JP5067518B2 - 照明装置 - Google Patents

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Description

本発明は、面発光を行う照明装置に関する。
近年、電力の消費量が少ない面発光を行うデバイス(面発光デバイスとも言う)として、有機EL(organic electroluminescence)を利用した発光デバイス(有機ELデバイスとも言う)が注目されており、照明装置等への応用が進められている。
この有機ELデバイスは、2つの電極(アノード電極とカソード電極)が有機発光層を挟む構造を有しており、有機ELデバイスの大面積化に伴って、製造工程等において有機発光層の厚さが不均一になり易い傾向にある。そして、その結果、有機ELデバイスの発光時における輝度等が均一でないことに起因して、ユーザーが発光のムラ(発光ムラとも言う)を感じる虞がある。このような発光ムラは、有機ELデバイスの使用条件に応じた有機発光層等の劣化によっても生じ得る。
ここで、有機ELデバイスは、発光時における輝度の変動が所定の範囲内に収まっていれば、照明装置に要求される機能を十分満たす。但し、輝度の変動に因ってユーザーがある程度の発光ムラを感じれば、有機ELデバイスの照明装置としての品位が損なわれる。
このため、発光ムラの発生を防ぐために、均一な膜厚の有機発光層を形成するための技術が提案されている(例えば、特許文献1等)。
特開2009−245777号公報
しかしながら、特許文献1の技術によっても、有機ELデバイスの大面積化が指向される中で、有機発光層の膜厚のばらつきが完全には抑制され得ず、ユーザーに発光ムラを感じさせ得る。このような問題は、有機ELデバイスに限られず、面発光を行う照明装置一般に共通する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ユーザーが感じ得る発光ムラが抑制された照明装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の態様に係る照明装置は、給電部と、前記給電部によって印加される電圧に応じて発光し且つ面状に発光する発光面を有する面発光部と、を備え、前記面発光部が、略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動を生じる。
第2の態様に係る照明装置は、第1の態様に係る照明装置であって、前記輝度の変動が、視野角1度あたりに5回以上で且つ20回以下の輝度の増減の繰り返しを有する。
第3の態様に係る照明装置は、第1または第2の態様に係る照明装置であって、前記輝度の変動が、第1方向における略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動と、前記第1方向とは異なる第2方向における略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動と、が重畳することで生じる。
第4の態様に係る照明装置は、第1から第3の何れか1つの態様に係る照明装置であって、前記面発光部が生じる輝度の変動が、略一定の振幅を有する第1空間周波数の空間的に周期的な輝度の変動と、略一定の振幅を有する前記第1空間周波数とは異なる第2空間周波数の空間的に周期的な輝度の変動と、が重畳することで生じる。
第5の態様に係る照明装置は、第4の態様に係る照明装置であって、前記面発光部が生じる輝度の変動が、略一定の振幅を有する三角波および方形波のうちの少なくとも一方の波形に係る空間的に周期的な輝度の変動を含む。
第6の態様に係る照明装置は、第1から第5の何れか1つの態様に係る照明装置であって、前記面発光部が、第1電極層、第2電極層、および前記第1電極層と前記第2電極層とに挟まれた発光層を有し、前記発光層が、略一定の振幅を有する空間的に周期的な厚さの変動を有している。
第7の態様に係る照明装置は、第1から第6の何れか1つの態様に係る照明装置であって、前記面発光部が、第1電極層、第2電極層、および前記第1電極層と前記第2電極層とに挟まれた発光層、をそれぞれ有する複数の発光ユニットが少なくとも一方向に並列配置された構造を備え、前記複数の発光ユニットのうちの前記一方向に隣接し合う各組の発光ユニットの間で、一方の発光ユニットの前記第1電極層における第1一端部と他方の発光ユニットの前記第2電極層における第2一端部とが電気的に接続され、前記給電部による前記面発光部に対する電圧の印加に応じて、各前記発光ユニットにおいて、前記第1電極層の前記第1一端部と、前記第2電極層の前記第2一端部との間に電圧が印加されるとともに、各前記発光ユニットにおいて、前記第1電極層における前記一方向の電気抵抗が、前記第2電極層における前記一方向の電気抵抗よりも大きい。
第8の態様に係る照明装置は、第1から第7の何れか1つの態様に係る照明装置であって、前記面発光部が、第1電極層、第2電極層、および前記第1電極層と前記第2電極層とに挟まれた発光層を有し、前記給電部が、前記第1電極層に対して電気的に接続され且つ空間的に周期的に設けられる複数の配線を有するともに、前記複数の配線によって前記第1電極層と前記第2電極層との間に電圧を印加し、前記第1電極層の主面に沿った方向における電気抵抗が、前記第2電極層の主面に沿った方向における電気抵抗よりも大きい。
第9の態様に係る照明装置は、第1から第8の何れか1つの態様に係る照明装置であって、前記面発光部が、透明基板と、該透明基板上に順次に積層されている第1電極層と、発光層と、第2電極層とを有し、前記透明基板に対して、空間的に周期的な模様が設けられている。
第10の態様に係る照明装置は、第1から第9の何れか1つの態様に係る照明装置であって、前記面発光部が、透明基板と、該透明基板上に順次に積層されている第1電極層と、発光層と、第2電極層とを有し、前記透明基板に対して、空間的に周期的な凹凸が設けられている。
第1から第10の何れの態様に係る照明装置によっても、略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が存在することで、ユーザーが感じ得る発光ムラが抑制され得る。
第2の態様に係る照明装置によれば、ユーザーが感じ得る発光ムラが効率良く抑制され得る。
第3から第5の何れの態様に係る照明装置によっても、ユーザーが感じ得る発光ムラが更に抑制され得る。
第6から第10の何れの態様に係る照明装置によっても、比較的簡易な構成によってユーザーが感じ得る発光ムラが抑制され得る。
図1は、一実施形態に係る照明装置の概略的な構成を示す模式図である。 図2は、一実施形態に係る面発光部の構成例を模式的に示す断面図である。 図3は、一実施形態に係る面発光部における輝度の変動を示す図である。 図4は、輝度の変動と発光ムラとの関係を得るための実験条件を示す図である。 図5は、輝度の変動と発光ムラとの関係を得るための実験条件を示す図である。 図6は、輝度の変動における空間周波数および振幅と感度との関係を示す図である。 図7は、ある輝度の変動に対する感度に他の輝度の変動が及ぼす影響を得るための実験条件を示す図である。 図8は、ある輝度の変動に対する感度に他の輝度の変動が及ぼす影響を示す図である。 図9は、輝度の変動における空間周波数とマスク効果係数との関係を示す図である。 図10は、発光ムラが感じられる輝度の変動における振幅の下限値と空間周波数との関係を示す図である。 図11は、発光ムラが感じられる輝度の変動における振幅の下限値と重畳される輝度の変動の振幅との関係を示す図である。 図12は、第1変形例に係る面発光部の構成例を示す断面図である。 図13は、第1変形例に係る面発光部で生じる輝度の変動を示す図である。 図14は、第2変形例に係る面発光部の構成例を示す断面図である。 図15は、第2変形例に係る給電部の構成例を示す平面図である。 図16は、第2変形例に係る面発光部で生じる輝度の変動を示す図である。 図17は、第3変形例に係る面発光部の構成例を示す断面図である。 図18は、第3変形例に係る面発光部の構成例を示す下面図である。 図19は、第4変形例に係る面発光部の構成例を示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造の寸法、形状、および位置関係等は正確に図示されたものではない。
<(1)照明装置の概略構成>
図1は、一実施形態に係る照明装置1の概略的な構成を示す模式図である。図1には、照明装置1において面状に発光する部分(発光面とも言う)に平行な面をXY平面とする左手系のXYZ座標系が付されている。図2以降の各図にも、必要に応じて、方位関係が明確となるように、図1に付されたXYZの3軸に対応する1以上の軸が付されている。
照明装置1は、面発光部10と、給電部21,22とを備える。
面発光部10は、透明基板11、下部電極層12、発光層13、および上部電極層14を備える。そして、面発光部10では、透明基板11上に、下部電極層12と、発光層13と、上部電極層14とが、この順番で空間順次に積層されている。透明基板11上に、下部電極層12と、発光層13と、上部電極層14とが積層される方法は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、および塗布法の何れであっても良い。
なお、実際には、例えば、下部電極層12と発光層13との間、および発光層13と上部電極層14との間に、電子輸送層および正孔輸送層等のその他の層が適宜介在している。但し、本実施形態では、説明および図示の簡略化のために、これらの層の存在が省略されている。
透明基板11は、可視光線を透過させる平板状の基板であり、例えば、ガラス等によって構成されている。
下部電極層12は、可視光線を透過させ且つ導電性を有する層であり、例えば、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)等によって構成されている。
上部電極層14は、導電性を有する層であり、例えば、モリブデンや銀等によって構成され、発光層13で発せられる光を反射する。
発光層13は、下部電極層12と上部電極層14との間に電圧が印加されることで発光する層であり、例えば、高分子材料または低分子材料等の発光材料によって構成されている。ここでは、下部電極層12と上部電極層14との間に電圧が印加されると、下部電極層12および上部電極層14のうちの一方の電極から電子が発光層13に注入されるとともに他方の電極から正孔が発光層13に注入される。このとき、発光層13で電子と正孔とが結合することで光が発せられる。
給電部21,22は、銅等といった良導体によって構成されている。そして、給電部21は、下部電極層12に対して電気的に接続され、給電部22は、上部電極層14に対して電気的に接続されている。また、給電部21と給電部22との間には、電源2とスイッチ部3とが順次に電気的に接続されている。
例えば、スイッチ部3が電流を流さない状態(開状態とも言う)の場合には、電源2と給電部22とが電気的に接続されず、電源2によって給電部21と給電部22との間に電圧が印加されない。一方、スイッチ部3が電流を流す状態(閉状態とも言う)の場合には、電源2と給電部22とが電気的に接続され、電源2によって給電部21と給電部22との間に電圧が印加される。
このため、面発光部10は、電源2から給電部21,22を介して印加される電圧に応じて発光層13において光を発する。発光層13で発する光は、図1の下向きの矢印AR1で示されるように、下部電極層12および透明基板11を順次に透過して透明基板11の外部に射出される。つまり、平面状の透明基板11の一主面(発光面とも言う)から光が発せられ、その結果、面発光部10の発光面が面状(ここでは平面状)に発光する。
ところで、面発光部10では、例えば、発光層13の厚さが不均一となれば、発光面で輝度のムラが生じ、ユーザーが発光のムラ(発光ムラとも言う)を感じる虞がある。そこで、本実施形態に係る面発光部10では、ユーザーが感じる発光ムラを抑制可能な構造(発光ムラ抑制構造とも言う)が採用されている。
<(2)発光ムラ抑制構造>
図2は、一実施形態に係る面発光部10の構成例を模式的に示す断面図である。
下部電極層12と上部電極層14とに挟まれた発光層13は、略一定(好ましくは一定)の振幅の空間的に周期的な厚さの変動を有する。
例えば、発光層13の厚さの方向がZ軸に沿った方向(Z軸方向とも言う)であれば、発光層13は、一方向としてのX軸に沿った方向(X軸方向とも言う)において、略一定の振幅の空間的に周期的な厚さの変動を有する。
ここで、略一定の振幅は、例えば、発光層13の厚さの平均値を基準とした該平均値の所定割合(例えば、4割)であれば良い。また、空間的に周期的な厚さの変動は、例えば、X軸方向における位置の変化に応じて正弦波で示されるように厚さが変化するものであれば良い。更に、例えば、X軸方向における位置が同一であれば、Y軸に沿った方向(Y軸方向とも言う)の位置に拘わらず、発光層13が略同一の厚さを有していれば良い。
このような発光層13の厚さの変動は、例えば、該厚さの変動における空間的な周期に応じた形状を有する金属マスクを用いた蒸着法またはスパッタリング法によって発光層13が形成されることで、実現され得る。
上述されたように、発光層13が、略一定の振幅の空間的に周期的な構造を有する。このため、面発光部10が発光する際に、発光層13の周期的な構造に応じて、面発光部10の発光面において、略一定(好ましくは一定)の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が生じる。
図3は、面発光部10の発光面で生じる輝度の変動を例示する図である。図3では、横軸がX方向の位置を示し、縦軸が輝度を示し、X方向の位置の変化に伴って発光面で生じる輝度の変動が太線で示されている。
次に、このような発光面における空間的に周期的な輝度の変動によって、発光ムラが抑制される原理および発光ムラの抑制に好適な条件について説明する。
<(3)発光ムラの抑制原理および好適な条件>
以下では、(3−1)発光面における輝度の変動と人による発光ムラとしての認識との関係、および(3−2)他の輝度の変動による発光ムラの抑制とその抑制に好適な条件、について順次に説明する。
<(3−1)輝度の変動と人による発光ムラとしての認識との関係>
図4および図5は、輝度の変動と発光ムラとの関係を得るための実験の条件を示す図である。
図4で示されるように、表示装置30の画面上に輝度の変動が表示され、その画面を見た観察者50が如何なる輝度の変動を輝度ムラとして感じるかを判断することによって、発光面における輝度の変動と人による発光ムラとしての認識との関係が得られた。
ここで、表示装置30は、多数の画素がマトリックス状に配列された液晶表示画面(適宜、画面と略称する)を有し、机20の上に載置されることで、位置および姿勢が一定に固定された。この画面は、473mmの横幅と22インチの対角線とを有する長方形の外縁を備えた略平面状のものであるとともに、横方向に1920個の画素が配列され、縦方向に1200個の画素が配列されたものであった。
また、実験中は、観察者50は、画面に対して正対するように椅子40に座り且つ壁60に背中と後頭部とを接触させた状態を維持することで、位置および姿勢が一定に保持された。そして、観察者50の両眼の瞳の重心を結ぶ線と画面の横方向とが略平行であり、観察者50の両眼の瞳の重心を結ぶ線の中点と画面の中心点30ctとを結ぶ線が、画面の法線と略一致し且つ1500mmの長さを有していた。
また、図5で示されるように、画面の左上の画素が原点、画面の右方向がx方向、画面の下方向がy方向とされた。そして、x方向に行けば行くほど空間的な周波数が高くなり且つy方向に行けば行くほど振幅が小さくなる輝度の変動を示す縦縞のパターン(縦縞模様とも言う)が画面上に表示された。
なお、図5では、輝度が極小値を示す領域が一点鎖線で示され、輝度が極大値を示す領域が破線で示されている。また、図5では、x方向に行けば行くほど縦縞模様の間隔が狭くなる様子が示されているが、縦縞模様の間隔が図示出来ないほど狭くなっている部分については、縦縞模様が省略されている。更に、視認不可能な縦縞模様も図示が省略されている。
x方向における輝度の増減は、例えば、x方向に行けば行くほど空間的な周波数(空間周波数とも言う)が高くなる正弦波(サイン波)で表されるものが採用された。空間周波数は、観察者50の視野角1°において輝度の増減が繰り返される回数に相当し、その単位は、1°当たりのサイクルの数、すなわちcpd(cycles per degree)で示される。
例えば、縦縞模様に係る空間周波数は、10-Xの定数倍とされ、縦縞模様に係る振幅は、10-yの定数倍とされた。具体的には、y=0における振幅は、所定輝度を基準とした該所定輝度の0.4倍とされた。そして、白色に対応する輝度の最大値が350cd/m2である条件において、所定輝度が、灰色に対応する輝度である100cd/m2に設定された。つまり、y=0では、輝度を80〜120cd/m2の範囲で変動させた。
このような縦縞模様が画面に表示された状態で、観察者50が、画面上において縦縞模様の存在が視認可能な領域と視認不可能な領域との境界を確認し、その境界を示す線(境界線とも言う)が画面上に付された。図5では、この境界線が太い曲線で示されており、この境界線は、空間周波数と視認可能な振幅との関係を示す。
ここで、各空間周波数について視認可能な振幅の最小値の逆数が感度として得られ、更に、各感度が感度の最大値(最大感度とも言う)で除される規格化が行われることで、各空間周波数について相対的な感度(相対感度とも言う)が得られた。そして、縦縞模様の空間周波数と相対感度との関係として、図6の太い曲線で示される関係が得られた。図6では、横軸が空間周波数を示し、縦軸が相対感度を示す。
図6で示されるように、人間の視覚については、視野角1°において輝度の増減が繰り返される回数(空間周波数)に応じて、輝度の増減に対する感度が異なることが分かった。具体的には、相対感度が、空間周波数が2〜6cpdの範囲においてピークを示し、100cpd辺りで感度が無くなることが分かった。別の観点から言えば、同じ振幅の輝度の変動であっても、中間的な空間周波数(ここでは、2〜100cpd)に係る輝度の変動は視認されるが、高域の空間周波数(100cpdを超えるもの)に係る輝度の変動は視認されないことが分かった。
<(3−2)他の輝度の変動による発光ムラの抑制とその抑制に好適な条件>
図7は、ある輝度の変動に対する感度に他の輝度の変動が及ぼす影響を得るための実験の条件を示す図である。
ここでは、表示装置30および観察者50については、図4で示されたものと同一の条件が採用された。また、図7で示されるように、表示装置30の画面上において、図5で示された輝度の変動(第1の輝度の変動とも言う)が表示され、更にその第1の輝度の変動とは異なる輝度の変動(第2の輝度の変動とも言う)が重畳された。そして、その画面を見た観察者50が第1の輝度の変動を輝度ムラとして感じるか否かの境界と、第2の輝度の変動に係る空間周波数との関係が得られた。
第2の輝度の変動は、図7で示されるように、y方向に輝度が増減し、所定の振幅と所定の空間周波数とを有する正弦波で表される輝度の変動を示す横縞のパターン(横縞模様とも言う)が採用された。
なお、図7でも、図5と同様に、第1および第2の輝度の変動において輝度が極小値を示す領域が一点鎖線で示され、輝度が極大値を示す領域が破線で示されている。更に、第1の輝度の変動において縦縞模様の間隔が図示出来ないほど狭くなっている部分については、縦縞模様が省略されている。更に、視認不可能な縦縞模様も図示が省略されている。
ここでは、横縞模様に係る空間周波数として、1,2,3,5,10,20,30,50,100,150cpdの10種類のものが順次に採用された。また、第2の輝度の変動としての横縞模様に係る輝度の振幅として、x方向の位置に拘わらず、一定の輝度の振幅が採用された。ここで一定の輝度の振幅は、灰色に相当する100cd/m2が中心とされた40cd/m2が採用された。つまり、横縞模様の輝度を、80〜120cd/m2の範囲で変動させた。
このような縦縞模様に横縞模様が重畳されたものが画面に表示された状態で、観察者50が、画面上において縦縞模様の存在が視認可能な領域と視認不可能な領域との境界を確認し、その境界を示す線(境界線)が画面上に付された。図7では、この境界線の一例が太い曲線で示されており、この境界線は、空間周波数と視認可能な振幅との関係を示す。
ここで、横縞模様の空間周波数毎に、縦縞模様の各空間周波数について視認可能な振幅の最小値の逆数が感度として得られた。更に、横縞模様が重畳されていない場合の感度の最大値(最大感度とも言う)で各感度が除される規格化によって相対感度が得られた。そして、横縞模様の空間周波数毎の縦縞模様に係る空間周波数と相対感度との関係として、図8で示される関係が得られた。図8では、横軸が空間周波数であり、縦軸が相対感度を示す。
図8では、図6で示された横縞模様が重畳されていない場合における縦縞模様の空間周波数と相対感度との関係が、太い曲線で描かれている。
そして、図8では、横縞模様の空間周波数が1cpdの場合における縦縞模様の空間周波数と相対感度との関係が「黒丸印と実線の曲線との組み合わせ」で示され、横縞模様の空間周波数が2cpdの場合における縦縞模様の空間周波数と相対感度との関係が「X印と実線の曲線との組み合わせ」で示されている。横縞模様の空間周波数が3cpdの場合における縦縞模様の空間周波数と相対感度との関係が「黒塗りの三角印と実線の曲線との組み合わせ」で示され、横縞模様の空間周波数が5cpdの場合における縦縞模様の空間周波数と相対感度との関係が「黒塗りの菱形印と実線の曲線との組み合わせ」で示されている。
また、図8では、横縞模様の空間周波数が10cpdの場合における縦縞模様の空間周波数と相対感度との関係が「黒塗りの正方形印と実線の曲線との組み合わせ」で示され、横縞模様の空間周波数が20cpdの場合における縦縞模様の空間周波数と相対感度との関係が「白丸印と細線の曲線との組み合わせ」で示されている。横縞模様の空間周波数が30cpdの場合における縦縞模様の空間周波数と相対感度との関係が「バツ印と細線の曲線との組み合わせ」で示され、横縞模様の空間周波数が50cpdの場合における縦縞模様の空間周波数と相対感度との関係が「白塗りの三角印と細線の曲線との組み合わせ」で示されている。
更に、図8では、横縞模様の空間周波数が100cpdの場合における縦縞模様の空間周波数と相対感度との関係が「白塗りの菱形印と細線の曲線との組み合わせ」で示され、横縞模様の空間周波数が150cpdの場合における縦縞模様の空間周波数と相対感度との関係が「白塗りの正方形印と細線の曲線との組み合わせ」で示されている。
ここでは、図8で示されているように、縦縞模様に横縞模様が重畳されることで、縦縞模様の認識に係る相対感度が低下することが分かった。従って、故意に横縞模様を生じさせることで、縦縞模様に因る発光ムラが抑制される効果(マスク効果とも言う)が得られることが分かった。特に、横縞模様が重畳されていない場合に縦縞模様の相対感度が高くなる中間的な空間周波数の範囲(ここでは、2〜6cpdの付近)における輝度の変動に対して、顕著なマスク効果が得られることが分かった。
このマスク効果は、空間周波数が近い関係にある縦縞模様と横縞模様とが重畳された場合だけでなく、空間周波数が大きく異なる関係にある縦縞模様と横縞模様とが重畳された場合であっても得られることが分かった。
ところで、第2の輝度の変動のような一定の振幅および一定の空間周波数を有する輝度の変動は、意図的に生み出された輝度の変動として認識され、観察者50には発光ムラとして感じられない。従って、照明装置1では、製造工程において生じる発光層13の不均一な厚さおよび使用条件等に因って輝度ムラが発生したとしても、該輝度ムラが発光ムラとして感じられることが、意図的な輝度の変動によって抑制可能であることが分かった。
図9は、横縞模様の空間周波数毎の縦縞模様に係る空間周波数とマスク効果の程度との関係を示す図である。図9では、横軸が空間周波数を示し、縦軸がマスク効果の程度を示す数値であるマスク効果係数を示す。マスク効果係数は、横縞模様の空間周波数毎に、横縞模様が重畳された場合における縦縞模様に係る各空間周波数の相対感度が、横縞模様が重畳されていない場合における縦縞模様の対応する空間周波数の相対感度で除されることで導出された。
なお、図9では、横縞模様の空間周波数が1cpdの場合における縦縞模様の空間周波数とマスク効果係数との関係が「黒丸印と実線の曲線との組み合わせ」で示され、横縞模様の空間周波数が2cpdの場合における縦縞模様の空間周波数とマスク効果係数との関係が「バツ印と実線の曲線との組み合わせ」で示されている。横縞模様の空間周波数が3cpdの場合における縦縞模様の空間周波数とマスク効果係数との関係が「黒塗りの三角印と実線の曲線との組み合わせ」で示され、横縞模様の空間周波数が5cpdの場合における縦縞模様の空間周波数とマスク効果係数との関係が「黒塗りの菱形印と実線の曲線との組み合わせ」で示されている。
また、図9では、横縞模様の空間周波数が10cpdの場合における縦縞模様の空間周波数とマスク効果係数との関係が「黒塗りの正方形印と実線の曲線との組み合わせ」で示され、横縞模様の空間周波数が20cpdの場合における縦縞模様の空間周波数とマスク効果係数との関係が「白丸印と細線の曲線との組み合わせ」で示されている。横縞模様の空間周波数が30cpdの場合における縦縞模様の空間周波数とマスク効果係数との関係が「バツ印と細線の曲線との組み合わせ」で示され、横縞模様の空間周波数が50cpdの場合における縦縞模様の空間周波数とマスク効果係数との関係が「白塗りの三角印と細線の曲線との組み合わせ」で示されている。
更に、図9では、横縞模様の空間周波数が100cpdの場合における縦縞模様の空間周波数とマスク効果係数との関係が「白塗りの菱形印と細線の曲線との組み合わせ」で示され、横縞模様の空間周波数が150cpdの場合における縦縞模様の空間周波数とマスク効果係数との関係が「白塗りの正方形印と細線の曲線との組み合わせ」で示されている。
図9で示されるように、横縞模様の空間周波数が5〜20cpdの範囲であれば、相対的に高いマスク効果係数が得られる。換言すれば、高いマスク効果が得られる観点から言えば、横縞模様の空間周波数が5〜20cpdの範囲に含まれることが好ましい。そして、図6および図8の太線の曲線で示されるように、観察者50にとって横縞模様がより感じられ難くなる観点から言えば、横縞模様の空間周波数が10〜20cpdの範囲に含まれることがより好ましく、横縞模様の空間周波数が20cpdであることが更に好ましい。
また、別の観点から見れば、図4〜図6が示されて説明された輝度の変動と人による発光ムラとしての認識との関係に係る実験結果から、縦縞模様の空間周波数と、観察者50が発光ムラであると感じる縦縞模様の振幅の最小値との関係が得られる。この縦縞模様の振幅の最小値は、ムラのJND(Just Noticeable Difference)とも称され、縦縞模様の空間周波数とムラのJNDとの関係として、図10の太線の曲線で示される関係が得られた。
図10では、横軸が縦縞模様の空間周波数を示すとともに、縦軸が縦縞模様の振幅を示し、縦縞模様の振幅の中心となる輝度(ここでは、100cd/m2)と一致する振幅が、ムラのJNDの基準値(ここでは、1)とされている。
図10で示されるように、人間の目の感度が最も高くなる輝度の変動の空間周波数、つまりムラのJNDが最も小さくなる縦縞模様の空間周波数では、そのムラのJNDは、0.0017程度であった。また、有機ELデバイスについては、製造方法にも依るが、輝度の変動を2%以下に抑制することは非常に難しい。このため、ムラのJNDが、2%の輝度の変動に対応する0.02を超えるようにする条件が採用されることが好ましい。そして、ムラのJNDが0.02を超えるためには、人間の目の感度が最も高くなる輝度の変動の空間周波数について、ムラのJNDが約12(=0.02/0.0017)倍にされる必要がある。
ところで、別の実験として、図11で示されるように、表示装置30の画面に、x方向における輝度の増減が10-Xの定数倍の振幅と一定の空間周波数を有する正弦波で示される縦縞模様と、y方向における輝度の増減が10-yの定数倍の振幅と一定の空間周波数を有する正弦波で示される横縞模様とが重畳された。この際、観察者50によって確認された、画面上において縦縞模様の存在が視認可能な領域と視認不可能な領域との境界線が、図11の太線で示されるものであった。図11で示されるように、境界線については、縦縞模様の振幅が非常に小さくなるまで、縦縞模様の振幅と横縞模様の振幅とが比例関係を有することが分かった。
そして、図9で示されたように、人間の目の感度が最も高くなる輝度の変動の空間周波数では、縦縞模様に対して、空間周波数が20cpdであり且つ振幅が所定輝度を中心とした該所定輝度の0.4倍である横縞模様が重畳されれば、マスク効果係数が約80倍となり、ムラのJNDが約80倍になることが分かった。
ここで、ムラのJNDが約12倍となるためには、横縞模様の空間周波数が20cpdであり且つ振幅が所定輝度の約0.06倍(=0.4×12/80)となる条件が採用されれば良い。但し、実際には、有機ELデバイスにおいては、製造方法にも依るが、輝度の変動が約10%となることも頻繁に起こり得る。そして、ムラのJNDが約60(=0.1/0.0017)倍となるためには、横縞模様の空間周波数が20cpdであり且つ振幅が所定輝度の約0.3倍(=0.4×60/80)となる条件が採用されれば良い。
すなわち、発光ムラが抑制されるためには、例えば、意図的に生み出される輝度の変動が、空間周波数が20cpdであり且つ振幅が該振幅の中心である所定輝度の約0.3倍を超えるものであることが好ましい。
なお、照明装置1が卓上用の照明装置であれば、一般的には、ユーザーの目と面発光部10とが40〜100cm程度離隔する。また、照明装置1が天井に設けられる照明装置であれば、一般的には、ユーザーの目と面発光部10とが100〜300cm程度離隔する。このため、照明装置1の用途に応じて、輝度の変動に係る空間周波数が5〜20cpdとなるように、面発光部10における単位長さ当たりの輝度の変動の回数(例えば、単位がcycle/cm)が設定されることが好ましい。
<(4)一実施形態のまとめ>
以上のように、一実施形態に係る照明装置1によれば、略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が意図的に実現されるため、ユーザーが感じ得る発光ムラが抑制され得る。特に、意図的に設けられる輝度の変動の空間周波数が5〜20cpdであれば、ユーザーが感じ得る発光ムラが効率良く抑制され得る。
また、下部電極層12と上部電極層14とに挟まれた発光層13が、略一定の振幅の空間的に周期的な厚さの変動を有する構成を有していれば、略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が意図的に生み出される。従って、比較的簡易な構成によってユーザーが感じ得る発光ムラが抑制され得る。
<(5)変形例>
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良等が可能である。
例えば、上記一実施形態では、発光層13の厚さの変動によって、意図的に略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が実現されたが、これに限られない。例えば、その他の構成によって、意図的に略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が実現されも良い。以下、その他の構成の具体例(第1〜4変形例)を挙げて説明する。
<(5−1)第1変形例>
図12は、第1変形例に係る照明装置1Aの面発光部10Aの構成例を模式的に示す断面図である。面発光部10Aは、上記一実施形態に係る面発光部10がベースとされて、下部電極層12、発光層13、および上部電極層14が、下部電極層12A、発光層13A、および上部電極層14Aに置換されたものである。
下部電極層12Aは、上記一実施形態に係る下部電極層12が所定間隔でn個(nは2以上の自然数)に分割された形態を有する複数の下部電極層(分割下部電極層とも言う)12a1〜12an備えている。なお、隣接し合う各組の分割下部電極層12a1〜12anの間は、分離され、電気的に接続されていない。
発光層13Aは、上記一実施形態に係る発光層13が所定間隔で分割された形態を有する複数の発光層(分割発光層とも言う)13a1〜13anを備えている。なお、隣接し合う各組の分割発光層13a1〜13anの間は、分離されている。
上部電極層14Aは、上記一実施形態に係る上部電極層14が所定間隔で分割された形態を有する複数の上部電極層(分割上部電極層とも言う)14a1〜14anを備えている。なお、隣接し合う各組の分割上部電極層14a1〜14anの間は、分離され、電気的に接続されていない。
そして、分割下部電極層12a1と分割発光層13a1と分割上部電極層14a1とがこの順番で積層されて1つの発光可能な部分(発光ユニットとも言う)1A1が構成されている。ここで、1〜nの任意の自然数がNとされると、分割下部電極層12aNと分割発光層13aNと分割上部電極層14aNとがこの順番で積層されて1つの発光ユニット1ANが構成されている。
すなわち、面発光部10Aは、透明基板11の他主面(ここでは+Z側の面)上に、n個の発光ユニット1A1〜1Anが一方向(ここでは、X方向)に順次に並べられた構造を有している。具体的には、n個の発光ユニット1A1〜1Anが、X方向に沿って空間的に周期的に設けられている。
また、ここで、1〜(n−1)の任意の自然数がMとされると、n個の発光ユニット1A1〜1AnのうちのX方向に隣接し合う各組の発光ユニットの間で、一方の発光ユニットにおける分割下部電極層12aMの一端部(+X側の端部)と分割上部電極層14a(M+1)の一端部(−X側の端部)とが電気的に接続されている。
具体的には、各分割上部電極層14aNは、分割発光層13aNの一主面(+Z側の面)上に平面的に配列される部分(平面配列部とも言う)と、−X側において平面配列部から−Z方向に垂下する部分(垂下部とも言う)とを有している。そして、各分割上部電極層14a(M+1)の垂下部が一端部として、分割下部電極層12aMの一端部に対して電気的に接続されている。
また、分割下部電極層12anの一端部(+X側の端部)に給電部21が電気的に接続され、分割上部電極層14a1の一端部(−X側の端部)に給電部22が電気的に接続されている。このため、給電部21と給電部22との間に電圧が印加されると、各発光ユニット1ANにおいて、分割下部電極層12aNの一端部(+X側の端部)と分割上部電極層14aNの一端部(−X側の端部)との間に電圧が印加される。
また、各発光ユニット1ANにおいて、分割下部電極層12aNにおける一方向(ここでは+X方向)の電気抵抗が、分割上部電極層14aNにおける一方向(ここでは、+X方向)の電気抵抗よりも大きくなるように設定されている。このような電気抵抗の設定は、例えば、各分割上部電極層14aNと各分割下部電極層12aNとにおける厚さおよび素材のうちの少なくとも一方が適宜に調整されることで実現される。なお、層の厚さの調整は、例えば、蒸着法またはスパッタリング法等における成膜時間によって実現可能であり、層を形成する素材の変更は、例えば、スパッタリング法におけるターゲット材料の変更によって実現可能である。
上記構成を有する第1変形例に係る照明装置1Aでは、給電部21と給電部22との間に電圧が印加されると、各発光ユニット1ANにおいて、分割発光層13aNを挟む分割下部電極層12aNと分割上部電極層14aNとの間に電圧が印加される。このとき、各発光ユニット1ANにおいて、分割下部電極層12aNと分割上部電極層14aNとの間に印加される電圧は、分割下部電極層12aNにおける相対的に高い電気抵抗によって、一端部側(ここでは+X側)から他端部側(ここでは−X側)に行けば行くほど低下する。
そして、各発光ユニット1ANにおける電圧の低下に応じて、面発光部10Aが発光する際には、面発光部10Aの発光面において、略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が生じる。
図13は、面発光部10Aの発光面で生じる輝度の変動を例示する図である。図13では、横軸がX方向の位置を示し、縦軸が輝度を示し、X方向の位置の変化に伴って発光面で生じる輝度の変動が太線で示されている。
以上のように、第1変形例に係る照明装置1Aによっても、上記一実施形態に係る照明装置1と同様に比較的簡易な構成によってユーザーが感じ得る発光ムラが抑制され得る。
なお、各発光ユニット1ANにおいて、分割上部電極層14aNにおける一方向(ここでは+X方向)の電気抵抗が、分割下部電極層12aNにおける一方向(ここでは、+X方向)の電気抵抗よりも大きくなるように設定されても、同様な効果が得られる。
<(5−2)第2変形例>
図14は、第2変形例に係る照明装置1Bの面発光部10Bの構成例を模式的に示す断面図である。面発光部10Bは、上記一実施形態に係る面発光部10がベースとされ、下部電極層12、発光層13、上部電極層14、および給電部21が、下部電極層12B、発光層13B、上部電極層14B、および給電部21Bに置換されたものである。
給電部21Bは、透明基板11の他主面(ここでは+Z側の面)上に層状に設けられている。図15は、給電部21Bの構成例を模式的に示す平面図である。図15で示されるように、給電部21Bは、2本の主配線211B,212Bと、n本(nは2以上の自然数)の副配線21b1〜21bnとを備えている。
2本の主配線211B,212Bは、X方向に沿って延在し且つY方向に離隔して配置されている。ここで、透明基板11の他主面(ここでは+Z側の面)のうちの相互に対向する第1および第2の外縁のうち、第1の外縁近傍において該第1の外縁に沿って主配線211Bが延在し、第2の外縁近傍において該第2の外縁に沿って主配線212Bが延在している。
また、n本の副配線21b1〜21bnは、それぞれ主配線211Bから主配線212Bに掛けてY方向に沿って延在するとともに、相互に所定の離隔距離を有して順次に配置されている。具体的には、n本の副配線21b1〜21bnは、X方向に空間的に周期的に設けられている。そして、n本の副配線21b1〜21bnは、2本の主配線211B,212Bを介して電源2に対して電気的に接続される。
このような給電部21Bは、例えば、メタルマスクを用いた蒸着法またはスパッタリング法等によって成膜可能である。なお、給電部21Bを構成する素材は、ITO等の透明な素材であっても良いし、銅等の良導体であっても良い。但し、給電部21Bを構成する素材は、下部電極層12Bを構成する素材よりも電気抵抗率が低いものであることが好ましい。
下部電極層12Bは、図14で示されるように、他主面(ここでは+Z側の面)上に給電部21Bが設けられた透明基板11の該他主面に対して、n本の副配線21b1〜21bnを覆うように略平坦に形成されている。これにより、n本の副配線21b1〜21bnは、下部電極層12Bに対して電気的に接続されている。そして、給電部21,22の間に電圧が印加されると、n本の副配線21b1〜21bnによって下部電極層12Bと上部電極層14Bとの間に電圧が印加される。
また、下部電極層12Bにおける一方向(ここでは+X方向)の電気抵抗が、上部電極層14Bにおける一方向(ここでは、+X方向)の電気抵抗よりも大きくなるように設定されている。このような電気抵抗の設定は、例えば、上部電極層14Bと下部電極層12Bとにおける厚さおよび素材のうちの少なくとも一方が適宜に調整されることで実現される。なお、層の厚さの調整は、例えば、蒸着法またはスパッタリング法等における成膜時間によって実現可能であり、層を形成する素材の変更は、例えば、スパッタリング法におけるターゲット材料の変更によって実現可能である。
発光層13Bは、下部電極層12B上に略均一の厚さで形成されている。また、上部電極層14Bは、発光層13B上に略均一の厚さで形成されている。
上記構成を有する第2変形例に係る照明装置1Bでは、給電部21Bと給電部22との間に電圧が印加されると、下部電極層12Bと上部電極層14Bとの間に電圧が印加される。このとき、下部電極層12Bと上部電極層14Bとの間に印加される電圧は、下部電極層12Bにおける相対的に高い電気抵抗によって、各副配線21b1〜21bnから離隔すれば離隔するほど低下する。
そして、各副配線21b1〜21bnを中心とした電圧の低下に応じて、面発光部10Bが発光する際には、面発光部10Bの発光面において、略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が生じる。
図16は、面発光部10Bの発光面で生じる輝度の変動を例示する図である。図16では、横軸がX方向の位置を示し、縦軸が輝度を示し、X方向の位置の変化に伴って発光面で生じる輝度の変動が太線で示されている。なお、n本の副配線21b1〜21bnが透明でなければ、n本の副配線21b1〜21bnの存在による光の遮蔽によって輝度の低下が生じるが、図16では、そのような輝度の低下については省略されている。仮に、そのような輝度の低下が生じても、面発光部10Bの発光面において、略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が生じる。
以上のように、第2変形例に係る照明装置1Bによっても、上記一実施形態に係る照明装置1と同様に比較的簡易な構成によってユーザーが感じ得る発光ムラが抑制され得る。
なお、給電部21Bの代わりに、給電部22が、給電部21Bと同様な形状を有し且つ上部電極層14Bに対して電気的に接続され、上部電極層14Bにおける一方向(ここでは+X方向)の電気抵抗が、下部電極層12Bにおける一方向(ここでは、+X方向)の電気抵抗よりも大きくなるように設定されても、同様な効果が得られる。
<(5−3)第3変形例>
図17は、第3変形例に係る照明装置1Cの面発光部10Cの構成例を模式的に示す断面図である。面発光部10Cは、上記一実施形態に係る面発光部10がベースとされ、発光層13および上部電極層14が、発光層13Cおよび上部電極層14Cに置換されて、更に、模様部15Cが設けられたものである。
発光層13Cは、下部電極層12上に略均一の厚さで形成されている。また、上部電極層14Cは、発光層13C上に略均一の厚さで形成されている。
図18は、模様部15Cの構成例を模式的に示す下面図である。模様部15Cは、透明基板11の一主面(ここでは−Z側の面)上に、Y方向に沿った直線状のn本の模様15c1〜15cnがX方向に順次に設けられた構造を有している。換言すれば、一方向(ここでは、X方向)に略直交する他方向(ここでは、Y方向)に沿った直線状のn本の模様15c1〜15cnが、一方向(X方向)に沿って空間的に周期的に設けられている。
このような模様部15Cは、例えば、透明基板11の一主面に対してエッチングが施されることで形成されるスリガラス状の部分であっても良いし、凹部であっても良いし、凸部であっても良い。また、模様部15Cは、透明基板11の一主面に対して、n本の模様15c1〜15cnを有する透明フィルムであっても良い。なお、透明フィルムとしては、光損失が生じないように、n本の模様15c1〜15cnの部分が光を所定方向(例えば、フィルムの法線方向)に光を透過させ、それ以外の部分が種々の方向に進行する光を透過させるようなものが考えられる。
このような模様部15Cの存在によって、面発光部10Cが発光する際には、面発光部10Cの発光面において、略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が生じ得る。この輝度の変動は、例えば、連続的な輝度の増減、離散的に生じる線状の輝度の増減、および離散的な点状の輝度の増減のうちの少なくとも1つの輝度の増減、またはその組合せであれば良い。
以上のように、第3変形例に係る照明装置1Cによっても、上記一実施形態に係る照明装置1と同様に比較的簡易な構成によってユーザーが感じ得る発光ムラが抑制され得る。
<(5−4)第4変形例>
図19は、第4変形例に係る照明装置1Dの面発光部10Dの構成例を模式的に示す断面図である。面発光部10Dは、上記一実施形態に係る面発光部10がベースとされ、透明基板11、発光層13、および上部電極層14が、透明基板11D、発光層13D、および上部電極層14Dに置換されたものである。
発光層13Dは、下部電極層12上に略均一の厚さで形成されている。また、上部電極層14Dは、発光層13D上に略均一の厚さで形成されている。
透明基板11Dは、概ね平板状の形状を有するが、略平坦な他主面(+Z側の面)と、略一定の振幅を有する空間的に周期的な凹凸が設けられている一主面(−Z側の面)とを有している。ここでは、透明基板11Dは、透明基板11の一主面上に、Y方向に沿った直線状のn本の凹部11d1〜11dnがX方向に順次に設けられた構造を有している。換言すれば、一方向(ここでは、X方向)に略直交する他方向(ここでは、Y方向)に沿った直線状のn本の凹部11d1〜11dnが、一方向(X方向)に沿って空間的に周期的に設けられている。
このような透明基板11Dに設けられた凹凸によって、図19の黒塗りの矢印で示されるように、発光層13Dで生じた光が透明基板11Dを透過する際に、透明基板11Dの一主面(−Z側の面)における屈折に因る光の集中および拡散を生じさせる。その結果、面発光部10Dが発光する際には、面発光部10Dの発光面において、略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が生じる。
以上のように、第4変形例に係る照明装置1Dによっても、上記一実施形態に係る照明装置1と同様に比較的簡易な構成によってユーザーが感じ得る発光ムラが抑制され得る。
<(5−5)その他の変形例>
◎上記一実施形態および上記第1〜4変形例では、面発光部10,10A〜10Dが発光する際には、面発光部10,10A〜10Dの発光面において、1つの略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が生じたが、これに限られない。
例えば、発光ムラが更に抑制される観点から言えば、異なる空間周波数に係る輝度の変動が重畳した輝度の変動が生じる方が好ましい。換言すれば、略一定の振幅を有する第1の空間周波数の空間的に周期的な輝度の変動と、略一定の振幅を有する第1の空間周波数とは異なる第2の空間周波数の空間的に周期的な輝度の変動とが重畳して生じる輝度の変動が実現される方が好ましい。また、重畳する輝度の変動は3種類以上であっても良い。
但し、異なる空間周波数どうしの干渉によって発光ムラを発生させない観点から言えば、重畳される輝度の変動に係る相互に異なる空間周波数は、整数倍の関係を有することが好ましい。このような空間的に周期的な輝度の変動は、例えば、整数倍の空間周波数の関係を有する複数の波の成分が含まれる三角波および方形波の少なくとも一方の波形が、輝度の変動に適用されることで実現可能である。
なお、異なる空間周波数に係る輝度の変動が重畳した輝度の変動を意図的に生じさせることは、例えば、上記一実施形態および上記第1〜4変形例に係る構成が適宜に調整されることで実現可能である。具体的には、上記一実施形態に係る発光層13の厚みの調整、上記第1変形例に係る複数の発光ユニット1A1〜1Anの配列状態の調整、上記第2変形例に係る複数の副配線21b1〜21bnの配列状態の調整、上記第3変形例に係る模様の調整、および上記第4変形例に係る透明基板11Dの凹凸の調整のうちの少なくとも1つの方法または2以上の方法の組合せによって実現可能である。
◎上記一実施形態および上記第1〜4変形例では、面発光部10,10A〜10Dが発光する際には、面発光部10,10A〜10Dの発光面において、一方向に略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が生じたが、これに限られない。
例えば、発光ムラが更に抑制される観点から言えば、相互に異なる2以上の方向における略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が重畳した輝度の変動が生じる方が好ましい。換言すれば、第1の方向における略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動と、第1の方向とは異なる第2の方向における略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動とが重畳して生じる輝度の変動が実現される方が好ましい。
ここで、第1の方向と第2の方向とが成す角度は、0°を超え且つ90°以下の任意の角度であれば良い。ところで、或る方向の輝度ムラに起因してユーザーに感じさせる発光ムラがより効率的に抑制されるには、その或る方向と同一方向に略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動が生じることが好ましい。従って、第1の方向と第2の方向とが略直交すれば、輝度ムラが生じる方向に拘わらず、発光ムラがより効率的に抑制され得る。また、重畳する輝度の変動は3種類以上であっても良い。
なお、相互に異なる2以上の方向における輝度の変動が重畳した輝度の変動を意図的に生じさせることは、例えば、上記一実施形態および上記第1〜4変形例に係る構成が適宜に調整されることで実現可能である。具体的には、上記一実施形態に係る発光層13の厚みの調整、上記第1変形例に係る複数の発光ユニット1A1〜1Anの配列状態の調整、上記第2変形例に係る複数の副配線21b1〜21bnの配列状態の調整、上記第3変形例に係る模様の調整、および上記第4変形例に係る透明基板11Dの凹凸の調整のうちの少なくとも1つの方法または2以上の方法の組合せによって実現可能である。
なお、発光ムラが更に抑制される観点から言えば、ランダムな輝度の変動が意図的に生じる構成が採用されても良い。
◎上記一実施形態および上記第1〜4変形例では、面発光部10,10A〜10Dは、略平面状の形状を有していたが、これに限られず、曲面状の形状等といった種々の面形状を有していても良い。
◎上記一実施形態および上記第1〜4変形例では、意図的に生じさせる輝度の変動として、輝度の増減が採用されたが、これに限られない。例えば、発光層13,13A〜13Dで発生した光が透明基板11,11Dから射出する迄の光路上に、光を遮蔽する空間的に周期的な配列を有する遮光部が設けられることで、意図的に輝度の変動を生じさせても良い。なお、空間的に周期的な配列を有する遮光部は、例えば、メタルマスクを用いた蒸着法またはスパッタリング等によって可視光線を透過しない絶縁体等が、発光層13,13A〜13Dから透明基板11,11Dの一主面に至る任意の部分に形成される方法によって実現可能である。
◎なお、上記一実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部は、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
◎更に、本発明の技術的思想は、面発光を行う照明装置一般に適用可能である。
1,1A〜1D 照明装置
1A1〜1AN 発光ユニット
10,10A〜10D 面発光部
11,11D 透明基板
11d1〜11dn 凹部
12,12A,12B 下部電極層
12a1〜12an,12aM,12aN 分割下部電極層
13,13A〜13D 発光層
13a1〜13an,13aN 分割発光層
14,14A〜14D 上部電極層
14a1〜14an,14aM,14aN 分割上部電極層
21b1〜21bn 副配線
21,21B,22 給電部
211B,212B 主配線

Claims (10)

  1. 給電部と、
    前記給電部によって印加される電圧に応じて発光し且つ面状に発光する発光面を有する面発光部と、
    を備え、
    前記面発光部が、
    略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動を生じることを特徴とする照明装置。
  2. 請求項1に記載の照明装置であって、
    前記輝度の変動が、
    視野角1度あたりに5回以上で且つ20回以下の輝度の増減の繰り返しを有することを特徴とする照明装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の照明装置であって、
    前記輝度の変動が、
    第1方向における略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動と、前記第1方向とは異なる第2方向における略一定の振幅を有する空間的に周期的な輝度の変動と、が重畳することで生じることを特徴とする照明装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の照明装置であって、
    前記面発光部が生じる輝度の変動が、
    略一定の振幅を有する第1空間周波数の空間的に周期的な輝度の変動と、略一定の振幅を有する前記第1空間周波数とは異なる第2空間周波数の空間的に周期的な輝度の変動と、が重畳することで生じることを特徴とする照明装置。
  5. 請求項4に記載の照明装置であって、
    前記面発光部が生じる輝度の変動が、
    略一定の振幅を有する三角波および方形波のうちの少なくとも一方の波形に係る空間的に周期的な輝度の変動を含むことを特徴とする照明装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れか1つの請求項に記載の照明装置であって、
    前記面発光部が、
    第1電極層、第2電極層、および前記第1電極層と前記第2電極層とに挟まれた発光層を有し、
    前記発光層が、
    略一定の振幅を有する空間的に周期的な厚さの変動を有していることを特徴とする照明装置。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1つの請求項に記載の照明装置であって、
    前記面発光部が、
    第1電極層、第2電極層、および前記第1電極層と前記第2電極層とに挟まれた発光層、をそれぞれ有する複数の発光ユニットが少なくとも一方向に並列配置された構造を備え、
    前記複数の発光ユニットのうちの前記一方向に隣接し合う各組の発光ユニットの間で、一方の発光ユニットの前記第1電極層における第1一端部と他方の発光ユニットの前記第2電極層における第2一端部とが電気的に接続され、
    前記給電部による前記面発光部に対する電圧の印加に応じて、各前記発光ユニットにおいて、前記第1電極層の前記第1一端部と、前記第2電極層の前記第2一端部との間に電圧が印加されるとともに、
    各前記発光ユニットにおいて、前記第1電極層における前記一方向の電気抵抗が、前記第2電極層における前記一方向の電気抵抗よりも大きいことを特徴とする照明装置。
  8. 請求項1から請求項7の何れか1つの請求項に記載の照明装置であって、
    前記面発光部が、
    第1電極層、第2電極層、および前記第1電極層と前記第2電極層とに挟まれた発光層を有し、
    前記給電部が、
    前記第1電極層に対して電気的に接続され且つ空間的に周期的に設けられる複数の配線を有するともに、前記複数の配線によって前記第1電極層と前記第2電極層との間に電圧を印加し、
    前記第1電極層の主面に沿った方向における電気抵抗が、前記第2電極層の主面に沿った方向における電気抵抗よりも大きいことを特徴とする照明装置。
  9. 請求項1から請求項8の何れか1つの請求項に記載の照明装置であって、
    前記面発光部が、
    透明基板と、該透明基板上に順次に積層されている第1電極層と、発光層と、第2電極層とを有し、
    前記透明基板に対して、空間的に周期的な模様が設けられていることを特徴とする照明装置。
  10. 請求項1から請求項9の何れか1つの請求項に記載の照明装置であって、
    前記面発光部が、
    透明基板と、該透明基板上に順次に積層されている第1電極層と、発光層と、第2電極層とを有し、
    前記透明基板に対して、空間的に周期的な凹凸が設けられていることを特徴とする照明装置。
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