JP5067086B2 - 液晶表示素子および投射型液晶表示装置 - Google Patents
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Description
一般的な単板式のプロジェクタにおいては、たとえば特許文献2に開示されているカラーフィルタを用いてスクリーンに拡大投射する方法がある。
この方法は、光学系構成も簡易で低コストかつシステムもコンパクトになるといった利点がある。
この表示方式を用いることで、光利用効率は格段に向上し、高輝度の表示装置を得ることができる。
また、耐光性に関しては、カラーフィルタを用いずに、配向膜には、光に強いポリイミド膜や無機膜を用いることにより、長寿命の表示装置を得ることができる。
アクティブマトリクス駆動方式のLCDのほとんどには、ネマティック液晶が用いられており、表示方式としては、90度捩れた分子配列を持つツイステッドネマティック(TN型)液晶があげられる。
この垂直配向型の液晶表示素子は、透過型および反射型いずれにも用いられ、高寿命化を目的とした配向膜の無機化とともに、今後、液晶プロジェクタの主流となっていくと思われる。
基板間隙を制御するためのスペーサを形成し、液晶が封入されて、液晶セルが製造される。
なお、前述した液晶は、数種類の単体液晶材料からなり、液晶組成物ともよばれる。製造された液晶セルに偏光板が取り付けられて液晶表示素子が製造される。
たとえば、基板サイズが22.9mm(0.99インチ)XGA(extended graphics array)タイプの場合、画素数は1024×768であり、ピクセルピッチは各単色画素において6.5μmとなっている。
図1に示すような黒色背景下で、局所的な白色領域を移動させたところ、配向乱れが発生し、その乱れがなかなか消失しないために、視認されるといった異常が見受けられた。
これは黒/白の電界差がある領域においては、黒領域のラビング出口側にリバースチルトドメインが存在することが計算結果からわかっている(図2)。
ここで、リバースチルトドメインとは、もともと規定されたプレチルトの方向が逆になってしまう現象である。
図2は、フィード反転駆動の液晶パネルを想定したシミュレーション結果である。シミュレーションは、シンテック株式会社製、LCD MASTER 中の2D BENCH、3DBENCHを用いた。なお、シミュレーションにおいては、画素(6.5μm×19.5μm)を並列して設置し、液晶物性値(ne、no、弾性定数K11,K22,K33、回転粘性係数、誘電率)、プレチルト角、ツイスト角、アンカリング及び偏光子角度、検光子角度を設定し、交流駆動させている。
TFTなどのスイッチング素子を備えたマトリクス型の液晶表示素子において、高開口率と高コントラストを両立させるためには、画素内に発生するリバースチルトドメインと隣接する画素電極に対応する画素内に形成するリバースチルトドメインとの相互作用を低減することが有効であり、具体的には、隣り合う画素電極の間隔をより広げることにより、隣接するリバースチルトドメイン同士を物理的に引き離せばいいものと考えられる。
(1)画素電極間を単純に引き離す、という第1の方法、
(2)画素電極の端部を切り欠くことにより局所的に電極間隔を拡大する、第2の方法を採用することが可能である。
第1の方法についてはプロジェクタのような高精細、高開口デバイスにおいては画素電極設計上大きく引き離すことは不可能である。
ゆえに、第2の方法が適しており、特に全ての画素端部を切り欠くやり方は、従来から検討されてきた(たとえば、特許文献4参照)。
本発明を適用することにより、高画質の液晶表示素子を実現することが可能となる。
また、プロジェクタ等の投射型LCDにおいてはパネル小型化もしくは有効画素領域拡大による高開口率化も可能となり無機材料などの材料も画質を劣化させることなく適用できるので長寿命化も可能となる。
この液晶表示素子1の構成については、後でさらに詳述する。
白色光源2aの背面には、球面鏡2bが配置され、前面には白色光源を平行光にするためにコンデンサレンズ3が配置されている。
赤のダイクロイックミラー4Gは約600nm以上の波長、青のダイクロイックミラー4Bは500nm未満の短波長の可視光を反射する。緑のダイクロイックミラー4Gはおよそ570−500nmの範囲を反射する。
青の波長域の光は赤および緑のダイクロイックミラー4R、4Gを透過後、青のダイクロイックミラー4Bによって反射され、再び赤および緑のダイクロイックミラー4R、4Gを透過して同様にマイクロレンズアレイ133に異なる角度で入射する。
このように、単一の白色光源2aの光は3色の色光に分離され、3方向からマイクロレンズアレイ133に入射される。
TFTアレイ基板11は、たとえば透過型の場合、画素電極14が設けられている。画素電極14は、たとえばITO膜(インジウム・ティン・オキサイド膜)などの透明導電性薄膜により形成される。
対向基板12には、前述した全面ITO膜(対向電極)15が前面に設けられている。
TFTアレイ基板11と対向基板12とには、液晶を所定方向に配向させるための図示しない配向膜が形成されており、配向膜が所定間隙で対向するようにシール材16で貼り合わせた一対の基板間に、たとえば液晶層13が挟持されている(封入されている)。
画素表示領域21には複数のデータ線26と複数の走査線(ゲート配線)27が格子状に配線され、各データ線26の一端側は水平転送回路22に接続され、他端側はプリチャージ回路24に接続され、各走査線27の端部が垂直転送回路23−1,23−2に接続されている。
画素信号が供給されるデータ線26がトランジスタ28のソースに電気的に接続されており、書き込む画素信号を供給している。また、トランジスタ28のゲートに走査線27が電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線27にパルス的に走査信号を印加するように構成されている。
画素電極14は、トランジスタ28のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるトランジスタ28を一定期間だけそのスイッチをオンさせることにより、データ線26から供給される画素信号を所定のタイミングで書き込む。
ノーマリホワイト表示であれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶部分を通過可能とされ、全体として液晶表示素子から画素信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。
ここで、保持された画素信号がリークされるのを防ぐために、画素電極と対向電極との間に形成される液晶容量と並列に補助容量(蓄積容量)30を付加してある。これにより、保持特性はさらに改善され、コントラスト比の高い液晶表示素子が実現できる。
また、このような保持容量(蓄積容量)30を形成するために、抵抗化されたコモン配線31が設けられている。
この図8に関連付けて本実施形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示素子の製造方法を説明する。
その後、第一層間膜33としてSiO2を積層し、CVD法を用いて、多結晶Si膜(p-Si)34を形成し、エッチングによりパターン形成をする。
その後、ゲート絶縁膜35を形成し、ゲート電極36として、多結晶Si膜(p-Si)を形成し、エッチングによりパターン形成を行う。
その後、第二層間膜37として、SiO2を積層し、ソース、ドレイン電極として第一のコンタクト38を形成する。
第一の配線膜39として金属材料(本実施例ではAl)をスパッタなどの成膜により形成し、エッチングによりパターニングを行う。
その後、第三の層間膜40として、SiO2を積層し、第二のコンタクト41を形成した後に、第2の遮光膜42として、金属膜(本実施例ではTi)を形成する。
第四の層間膜43としてSiO2を積層し、第三のコンタクト44を形成し、透明電極45としてITOを形成する。
次いで、柱状スペーサ46となる透明レジスト層を形成する。
基板上にフォトレジストを所定厚さに塗布した後、フォトマスクを用いて紫外線照射による露光処理を行い、その後、現像し、焼成を行って、柱状スペーサ46を形成する。柱状スペーサ46は、隣接する画素電極の間の所望の位置に配置される。
次いで、作製したTFTアレイ基板11および対向基板12を洗浄する。
次いで、各基板に配向膜を形成する。
次いで、所定の配向になるようにラビングを行い、注入口を除いて形成されるシールパターンを形成し、液晶組成物を注入する。
以下に、本実施形態の液晶表示素子1,1Aの画素電極形状について説明する。
より具体的には、画素単位50の中央に位置する第二画素52は緑色画素(PX)Gであり、画素端部に切り欠いたような形状を有するのは、第一画素51である赤色画素(PX)R、第三画素53である青色画素(PX)Bのうちの少なくとも一方の画素であり、中央に位置する第二画素52である緑色画素(PX)Gの画素端部は切り欠いたような形状を有していない。
また、赤色画素R,青色画素Gのうちの少なくとも一方の画素端部は多角形となるように、切り欠いたような形状を有する。
この理由は、人間の目は、光の波長によって、明るさの感じ方が異なるからである。一般的に、明るさの感じ方は、視感度といわれるが、図10(CIE測光標準観測者の明所視の比視感度)示すように、人の目は555nmの波長の光を最も感じる。
つまり、前述した配向乱れや、光漏れによるコントラストの低下は緑色画素部において発生しなければ人間の目にはされにくくなる。
本実施形態においては隣り合っている赤色画素、緑色画素、青色画素の緑色画素以外(赤色画素、青色画素)に切り欠きを設ける。
その結果、緑色画素と隣り合っている赤色画素、青色画素との電極距離を局所的に拡大することができるため、各画素で生じる配向乱れを防止できる。更に、緑色画素には切り欠きが設けられていないので、(視認し易い)緑色画素での電界制御不足による光漏れも抑えることが可能となる。
また、特に配向制御にラビングを用いる場合は、スペーサ周辺の配向制御は段差の存在から、非常に困難である。本発明はラビングを用いた配向制御法に非常に効果が大きい。
また、液晶層に用いる液晶は室温での屈折率異方性が0.10以上であり、セルギャップが4μm以下であることを特徴としている。
また、液晶表示素子の画素ピッチは20μm以下であり、また、配向膜に無機配向膜を用いることも可能である。
上述した横電界によるリバースチルトドメインによる配向乱れには非常に厳しい方向にある。対策としては、狭ギャップ化、すなわちセルギャップを薄くして、TFTアレイ基板と対向基板の上下方向の電界を強め、横方向の電界の影響を防止することも効果的である。
狭ギャップ化については、特に遮光部などに選択式のスペーサを作成することがギャップ制御に非常に有効である。なお、最大透過率特性を得るには、前述したセルギャップを薄くするといった対策を施した場合、液晶の屈折率異方性Δnを高くする必要がある。
たとえば、クロスニコル下にTN配向セルを置いた場合(TN配向で電圧OFF時の透過率)は、次のようになる。
T=1-[sin2 ((1+u2)1/2 ×π/2)]/ (1+u2)
u=2Δnd/λ
・Δnd=(4n2 -1 )1/2 × (λ/2)のとき最大(Max)となる。
したがって、次の関係を得る
1stΔnd=√3×(λ/2)
また近年では、プロジェクタに有利な光に強く高寿命化を狙える無機系の配向膜も検討されている。無機系の配向膜材料は、通常のポリイミド等の有機材料に比べ、配向規制力が小さいものが多く、電界の力をより受けやすい。ゆえに、本発明の有効性が発揮できる。
ITOパターンを図11、図12、図13、図14、および図15に示すようなITO形状をエッチングによりパターニングした。
図11に示すパターンは赤色画素、緑色画素、青色画素において画素電極端部切り欠き無しのパターンである(一般例1)。
図12に示すパターンは赤色画素、緑色画素、青色画素において画素電極端部に切り欠き設けたパターンである(一般例2)。
図13に示す本実施形態に係るパターンは赤色画素、緑色画素、青色画素のうち赤色画素および青色画素に画素電極端部に切り欠き設けたパターンである(本例)。
図14に示すパターンは赤色画素、緑色画素、青色画素のうち緑色画素および青色画素に画素電極端部に切り欠き設けたパターンである(比較例1)。
図15に示すパターンは赤色画素、緑色画素、青色画素のうち赤色画素および緑色画素に画素電極端部に切り欠き設けたパターンである(比較例2)。
図16は、実施例1における評価結果を示す図である。
また、図12〜図15の例を比較すると、緑色画素に切り欠きを設けなくとも配向乱れ消失時間の改善効果は充分得られていることがわかる。
一方、コントラスト評価結果に注目すると、図11と図12、図13〜図15の関係より緑色画素に切り欠きを設けないことでコントラスト特性低下を抑えることができる結果が得られている。
前述した配向膜形成を有機材料の代わりに無機配向膜を用いた。代表的に蒸着で形成されるシリコン等があげられるが、ゲルマニウムなどのIV属元素の単体または混合物または化合物、蒸着によって成膜が可能なほとんどすべての物質が使用可能であると考えられる。
その他に、印刷やスピンコート、インクジェット法で形成されるシロキ酸骨格を有する材料などもあげられる。各基板の配向膜形成を行った。
それぞれの基板を蒸着装置に導入し、それぞれに配向膜として、SiO2を斜め蒸着して形成した。膜厚は、約50nmの厚さに塗布した。次いで注入口を除いて形成されるシールパターンを形成した。液晶層に用いる液晶材料は、Δεが負の垂直型液晶材料で室温での屈折率異方性Δnが0.07以上に設定され、液晶層の厚みであるセルギャップdが4μm以下に設定される。
この場合も良好は結果を得ることができた。
Claims (10)
- 互いに対向する二つの基板と、
前記二つの基板間に配置された液晶層と、
マトリクス状の画素を形成すべく各基板の対向する面に配置される複数の画素電極と、
前記液晶層の液晶を所定方向に配向させるために前記二つの基板上に形成された配向膜と、を有し、
画素単位は、所定間隔を置いて配列された矩形状の赤緑青で形成する第一画素、中央に位置する緑色画素である第二画素、および第三画素の三画素単位であり、
前記画素電極は、三画素単位のうちの前記第二画素である中央の緑色画素を除く、前記第一画素および前記第三画素である赤色画素、青色画素の端部を切り欠いた形状を有し、
前記赤色画素および青色画素は、多角形となるように全角端部がそれぞれ切り欠かれている
液晶表示素子。 - 前記二つの基板間において、隣接して配置された前記画素単位間に形成されたスペーサを有し、
複数の画素単位が、第一方向および当該第一方向に直交する第二方向にアレイ状に配列され、
前記スペーサは、
少なくとも第一方向に隣接する画素単位間における第一画素と第三画素間に形成されている
請求項1記載の液晶表示素子。 - 前記スペーサは、
第一方向および第二方向に隣接する画素単位間における第一画素と第三画素間に形成され、第二方向に隣接する画素単位間において緑色画素である第二画素と第一画素間または第三画素間は避けて形成されている
請求項2記載の液晶表示素子。 - 前記液晶層に用いる液晶は室温での屈折率異方性が0.10以上であり、液晶層の厚みが4μm以下である
請求項1から3のいずれか一に記載の液晶表示素子。 - 前記画素電極が設けられた液晶パネルは透過型である
請求項1から4のいずれか一に記載の液晶表示素子。 - 単色1画素の画素ピッチは20μm以下である
請求項1から5のいずれか一に記載の液晶表示素子。 - 前記配向膜は無機配向膜により形成されている
請求項1から6のいずれか一に記載の液晶表示素子。 - 光源と、
液晶表示素子と、
前記光源から出射された光を互いに異なる主波長を有する赤色光、緑色光、青色光の色光に分離し、前記液晶表示素子に導く集光光学系と、
上記液晶表示素子で光変調した光を拡大して投射する投射光学系と、を有し、
上記液晶表示素子は、
互いに対向する二つの基板と、
前記二つの基板間に配置された液晶層と、
マトリクス状の画素を形成すべく各基板の対向する面に配置される複数の画素電極と、
前記液晶層の液晶を所定方向に配向させるために前記二つの基板上に形成された配向膜と、を有し、
画素単位は、所定間隔を置いて配列された矩形状の赤緑青で形成する第一画素、中央に位置する緑色画素である第二画素、および第三画素の三画素単位であり、
前記画素電極は、三画素単位のうちの前記第二画素である中央の緑色画素を除く、前記第一画素および前記第三画素である赤色画素、青色画素の端部を切り欠いた形状を有し、
前記赤色画素および青色画素は、多角形となるように全角端部がそれぞれ切り欠かれている
投射型液晶表示装置。 - 前記二つの基板間において、隣接して配置された前記画素単位間に形成されたスペーサを有し、
複数の画素単位が、第一方向および当該第一方向に直交する第二方向にアレイ状に配列され、
前記スペーサは、
少なくとも第一方向に隣接する画素単位間における第一画素と第三画素間に形成されている
請求項8記載の投射型液晶表示装置。 - 前記スペーサは、
第一方向および第二方向に隣接する画素単位間における第一画素と第三画素間に形成され、第二方向に隣接する画素単位間において緑色画素である第二画素と第一画素間または第三画素間は避けて形成されている
請求項9記載の投射型液晶表示装置。
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