JP5066633B1 - 副生消石灰排出装置 - Google Patents

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Abstract

機構が簡単であり、メンテナンス頻度の少ない副生消石灰排出装置を提供する。アセチレン発生機の副生消石灰排出口に連結され、アセチレン発生機からの副生消石灰に含まれる未反応カーバイドを攪拌し、反応させるための、内部にパドルミキサーが設置された熟成機と、該熟成機を加熱するための加熱装置と、該熟成機の出口に連結され、上部に入口、下部に出口を有しており、アセチレン発生機からの副生消石灰を保持するシールタンクと、該タンクの出口から副生消石灰を抜き出すための排出機と、該タンク及び該排出機を加熱するための加熱装置と、該タンクの重量を計測する秤量器と、該秤量器で計測された該タンクの重量に応じて副生消石灰を抜き出す速度を制御する制御機構とを備えた副生消石灰排出装置。
【選択図】図2

Description

本発明は乾式アセチレン発生設備に関し、より詳細には乾式アセチレン発生設備に付属する副生消石灰排出装置に関する。
工業的にアセチレンを発生する方法としては、カルシウムカーバイド(CaC2、以下「カーバイド」という。)と水を反応させる方法(CaC2+2H2O→C22+Ca(OH)2)が古くから行われている。この方法を大別すると、湿式法と乾式法に分けられる。湿式法はカーバイドに対して10当量以上の水を用いるため、副生成する消石灰と水の混合物が泥状となり、その処理方法が煩雑である。乾式法は、化学当量よりもやや過剰量の水の存在下で反応を進行させる方法であり、副生成する消石灰は数%の水分しか含まない粉状となるため、その処理を容易に行うことができる。
従来の乾式アセチレン発生設備の例を図6に示す。これは、特公昭31−7838号公報(特許文献1)の図面に記載されている乾式アセチレン発生設備であり、1はカーバイド運搬車、2はバケットエレベーター、3はホッパー、4はバケットエレベーター、5はアセチレン発生機で、ジグザグに装置された棚板6,7の上を撹拌腕8が回転し、バケットエレベーター4より供給されたカーバイド及び給水口9より散布された水を撹拌しつつ下方へ送るようにされている。10はスクリュープレス式の消石灰取出口、11は可及的大径ならしめたアセチレン取出管、12はバッフル型集塵装置、13,14は水洗型集塵装置、15はアセチレン流量計、16は水封安全装置、17はアセチレン送出管、18は給水ポンプ、19は給水管、20は給水制御装置、21は防爆用窒素管である。
ここで、特許文献1に記載された発明では、副生成する消石灰をスクリュープレス式の消石灰取出口10を用いて回収している。これにより、消石灰が出口を十分に閉塞するため、空気がアセチレン発生機内に侵入することを防止できると記載されている。
特公昭33−285号公報(特許文献2)では、アセチレン発生装置等に使用される密閉装置の後段に設置される粉体排出装置が記載されている。当該文献には、粉体に常に一定の密封力を保持して密閉装置内のガス圧と大気圧とを遮断し、粉体の排出を円滑かつ連続的に行うことを目的として、粉体を排出するスクリューコンベア1を発条2の力に抗して軸方向に移動可能に架設し、これに働く軸方向の圧力をリンク3、4、5により排出口に対向させた排出弁6に伝動すると共に重錘10によって該排出弁6に外力を与えて粉体の排出抵抗に応じて排出弁6の開度並びに圧縮力を自動的に制御することを特徴とした粉体排出装置が記載されている。特許文献2に記載された第1図を図7として示す。
特許文献2に記載の発明によれば、粉体の密封力は粉体の含水率と粉体に加えられる外力により決定されるところ、含水率の小さいときは大きな外力を加え、含水率の大きいときは小さな外力を加えることで、常に一定の密封力を保持するとされる。このため、排出される粉体は、粉体の含水率に応じて圧縮度が異なるものとなる。
更に、特公昭33−632号公報(特許文献3)では、アセチレン発生装置の底部において発生残滓と未反応カーバイドとの強力な混合及び圧搾作用を起こさせて、消石灰被殻に覆われて残滓中に残存する未反応カーバイドを圧搾撹拌して完全に反応させるためのスクリューコンベア装置3が記載されている。更に、スクリューコンベア装置3を出た残滓は排出用のスクリューコンベア装置5において更に混合撹拌された後に、円錐状の断面をもつ開口20から排出される。開口20には重錘22により適当な荷重を有する押え蓋21が設置されており、これにより、開口20内の残滓は常に適当な圧搾作用を受け、残滓層によって完全に発生装置を外気と遮断しつつ残滓を連続的に排出することができるとされる。特許文献3に記載された図面を図8として示す。
特公昭45−26629号公報(特許文献4)には、滓排出口11から出た副生消石灰中に含まれる少量の未反応カーバイドをパドル式撹拌機19内で撹拌することで完全に反応させることが記載されている。パドル式撹拌機19を出た副生消石灰は連続排出機20より系外へ排出される。特許文献4に記載された図面を図9として示す。
特公昭31−7838号公報 特公昭33−285号公報 特公昭33−632号公報 特公昭45−26629号公報
このように、従来のアセチレン発生設備においては、副生消石灰中に混入している未反応のカーバイドを反応させることを目的としてアセチレン発生機の後段にスクリューコンベア装置やパドル式撹拌機を設置している。更に、副生消石灰の排出作業をスクリュープレスやスクリューコンベアにより行い、副生消石灰の取出口には排出弁や抑え蓋を設置することでアセチレン発生設備の密封状態を確保している。
しかしながら、これらの手法では、機構が複雑であり、メンテナンスを頻繁に行う必要があるという問題が残されている。そこで、本発明は斯かる問題を解決することのできる副生消石灰排出装置を提供することを課題とする。また、本発明はそのような副生消石灰排出装置を備えたアセチレン発生設備を提供することを別の課題とする。
上記課題を解決するべく創作された本発明は一側面において、
アセチレン発生機の副生消石灰排出口に連結され、アセチレン発生機からの副生消石灰に含まれる未反応カーバイドを攪拌し、反応させるための、内部にパドルミキサーが設置された熟成機と、
該熟成機を加熱するための加熱装置と、
該熟成機の出口に連結され、上部に入口、下部に出口を有しており、アセチレン発生機からの副生消石灰を保持するシールタンクと、
該タンクの出口から副生消石灰を抜き出すための排出機と、
該タンク及び該排出機を加熱するための加熱装置と、
該タンクの重量を計測する秤量器と、
該秤量器で計測された該タンクの重量に応じて副生消石灰を抜き出す速度を制御する制御機構と、
を備えた副生消石灰排出装置である。
本発明に係る副生消石灰排出装置の一実施形態においては、前記パドルミキサーが2軸パドルミキサーである。
本発明に係る副生消石灰排出装置の別の一実施形態においては、前記パドルミキサーは、撹拌軸と、該撹拌軸の周囲に取り付けられた複数のリングと、該リングに支軸を介して取り付けられたパドルとを有する。
本発明に係る副生消石灰排出装置の更に別の一実施形態においては、前記排出機は前記タンクの出口よりも高い位置で副生消石灰を排出する登り勾配の傾斜型スクリューコンベアである。
本発明は別の一側面において、本発明に係る副生消石灰排出装置を備えたアセチレン発生設備である。
本発明は更に別の一側面において、アセチレン発生機の副生消石灰排出口から排出される副生消石灰に含まれる未反応カーバイドをパドルミキサーで攪拌しながら、100〜120℃の温度で反応させる工程と、未反応カーバイドを反応させた後の副生消石灰をシールタンクに上部に設置した入口から導入して、100〜120℃の温度で保持する工程と、
シールタンク内の副生消石灰を下部に設置された出口から排出機により抜き出す工程と、ここで、副生消石灰を抜き出す速度は該タンクの重量に応じて制御する、
を含むアセチレン発生機からの副生消石灰排出方法である。
本発明に係る副生消石灰排出方法の一実施形態においては、前記パドルミキサーが2軸パドルミキサーである。
本発明に係る副生消石灰排出方法の別の一実施形態においては、前記パドルミキサーは、撹拌軸と該撹拌軸の周囲に取り付けられた複数のリングと、該リングに取り付けられたパドルとを有する。
本発明に係る副生消石灰排出方法の更に別の一実施形態においては、前記排出機は傾斜型スクリューコンベアであり、該傾斜型スクリューコンベアによって搬送される副生消石灰は該タンクの出口よりも高い位置に設置された取出口まで100〜120℃の温度に維持される。
本発明によれば、機構が簡単であり、特に、副生消石灰を抜き出すための排出機のメンテナンス頻度が少ない副生消石灰排出装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る乾式アセチレン発生設備の概略図を示す。 本発明の一実施形態にかかる副生消石灰排出装置の概略図(側面図)を示す。 本発明の一実施形態にかかる副生消石灰排出装置の概略図(平面図)を示す。 熟成機内に設置する二軸パドルミキサーの構成例を示す。 パドルの撹拌軸への取り付け方法の一例を示す断面図である。 特公昭31−7838号公報(特許文献1)に記載されている乾式アセチレン発生設備の図面を示す。 特公昭33−285号公報(特許文献2)に記載されている粉体排出装置の図面を示す。 特公昭33−632号公報(特許文献3)に記載されている乾式アセチレン発生装置の図面を示す。 特公昭45−26629号公報(特許文献4)に記載されている乾式アセチレン発生装置の図面を示す。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
図1に、本発明の一実施形態に係る乾式アセチレン発生設備100の概略図を示した。本実施形態に係る乾式アセチレン発生設備100は、原料シールタンク101、アセチレン発生機102、除塵冷却塔103、脱硫塔104、及び副生消石灰排出装置105備えており、粉砕したカルシウムカーバイドと必要最小量(例:カーバイドに対し2.8〜3.2当量)の水を反応させてアセチレンガスを発生させ、これを除塵等の処理を経た後に回収する一方で、副生する消石灰は7〜10重量%程度の水分を含む乾燥状態で回収する。以下、工程毎に各装置の動作及び目的を説明する。
1.原料供給工程
原料ホッパー(図示せず)には、破砕設備にて予め粉砕したカーバイドが貯蔵されている。カーバイドは粒度が小さすぎると温度が上昇し、アセチレン重合等の副反応が生じやすくなる一方で、粒度が大きすぎると反応が十分に進行しないことから、4mm以下、平均粒径約0.8〜1.3mm程度の粒度に粉砕されていることが好ましい。原料ホッパーの底部から抜き出されたカーバイドは、例えば、スクリューコンベア、バケットコンベア、及びフローコンベア等によって、原料シールタンク101に搬送される。操業中、原料シールタンク101はアセチレン発生機102からのアセチレンの逆流を防止するのに十分な量のカーバイドで常に満たしておくことが望ましい。原料シールタンク101はカーバイドで常に満杯にし、過剰なカーバイドはフローコンベアで原料ホッパーに戻すようにすることができる。また、安全のため、原料ホッパー、搬送機械、及び原料シールタンク101内は窒素雰囲気としている。希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rn)などの不活性ガスを用いてもよい。しかし、カルシウム系の物質を扱うため、二酸化炭素は不適である。原料シールタンク101の底部から、スクリューコンベアによってアセチレン発生機102へカーバイドを供給する。
2.アセチレン発生工程
アセチレン発生機102は多段攪拌方式になっており、一般には円筒状である。上段で大部分の反応を完了し、下段で攪拌混合し、未反応カーバイドを反応させることで変換効率を上げている。図1に示すアセチレン発生機102は10段で構成されており、第1段及び第2段が反応段であり、第3〜第10段が混合段となっている。反応段にはカーバイドに加えて、スプレーノズルから反応用の水が供給される。スプレーノズルから噴霧される反応水の流量は、スプレーノズル毎に独立制御することが可能である。これにより、例えば、原料投入口に近いスプレーノズルの流量を上げ、遠ざかるに従い流量を下げる制御や、発生機立ち上げ時における原料投入時に、スプレーノズルの下部に原料が到達することを待ってから散水開始するなどの制御が可能である。供給する反応水は例えば2.8〜3.2当量とすることができる。反応水は反応熱を吸収して蒸発し、発生機102内の温度上昇を防ぐ冷却効果もある。カーバイドは第1段及び第2段棚上に外周部より投入され、回転軸106を中心にして回転する回転腕(図示せず)に複数取り付けられた撹拌羽根(図示せず)により中心部に向って拡散移送され、上面より噴霧状に散布された反応水と混和しアセチレンガスを発生しつつ中心部の回転軸106周辺より第3段棚上に落下する。第3段では第1段とは逆に中心部より外周部に向って反応しながら移送される。以降、未反応のカーバイド及び副生消石灰は同様のジグザグ移動を繰り返しながら順に下段に移動し、最下段でアセチレン発生機102での反応が終了する。発生機102内は、アセチレンの分解爆発を抑えるため、140℃以下に制御することが好ましく、90〜130℃程度に制御することがより好ましい。その後、アセチレンガスは除塵工程へと送られる一方で、副生消石灰は副生消石灰排出工程へと送られる。
3.除塵工程
発生機102で生じたアセチレンガスは除塵冷却塔103に送られる。この際に、大粒径の副生消石灰が除塵冷却塔103に入り込まないように、ガス道を確保しながら発生機102へ押し戻すことができるように、除塵冷却塔103の前段にリボンスクリュー107を上下2段設置している。
除塵冷却塔103に流入するアセチレンガスは80〜95℃程度の温度であり、リボンスクリュー107で除去できない粉塵消石灰を同伴している。除塵冷却塔103は、下段のスプレー室108と充填物を詰めた上段の充填室109に分かれている。除塵冷却塔103の下段から流入するアセチレンガスは、スプレー室108内を上方に流動していく間に、霧状に散布されるスプレー水によって粉塵消石灰が洗い流されると共に冷却される。次いで、アセチレンガスは、リング状、ペレット状又はハニカム状などの形状の充填物が詰まった充填室109内を蛇行しながら更に上昇していく。充填室109の上方からは冷却水110が供給されており、冷却水110は分散板111により塔内に均一に分散された後に充填室109に流れ込む。アセチレンガスが充填室109を通過する間にスプレー室108では洗い流されなかった粉塵消石灰が除去される。ガスの冷却も更に進行し、20〜30℃程度にまで冷却される。本実施形態では、使用水量の削減のため、充填室109内に供給する冷却水110を新水とし、使用後の水を除塵水槽112に受け入れ、除塵水槽循環ポンプ113を介してスプレー室108で再使用している。除塵冷却塔103をアセチレンガスが通過する間にアセチレンガスが水中に溶解してロスするのを防止するため、排水温度は70〜80℃程度に高く維持することが望ましい。
4.脱硫工程
除塵冷却塔103を通過したアセチレンは、次いで脱硫塔104に流入する。一般に、原料カーバイドには不純物として硫化カルシウムが混入しているため、アセチレン発生機102では水との反応により硫化水素が発生している。そこで、脱硫塔104にて水酸化ナトリウム(以下、「NaOH」)の水溶液を用いて硫化水素を除去する。脱硫塔104内には充填物114が詰められており、アセチレンガス中に含まれる少量の硫化水素は脱硫塔104内を蛇行しながら上昇していく間に、脱硫塔104の上方から散布されるNaOH水溶液と反応して硫化ナトリウムとなって洗い流される。使用後のNaOH水溶液は脱硫水槽115に受け入れて、脱硫循環ポンプ117によって再び脱硫塔104に戻されるか、脱硫水槽廃液ポンプ118によって廃水処理へ回す。脱硫効果が持続する限り循環使用することで使用量削減が可能である。NaOH水溶液以外のアルカリ液も使用可能であるが、カルシウム系のアルカリ液は析出のおそれがあることから、NaOH水溶液が好ましい。
5.水封安全器
脱硫工程を経たアセチレンガスは、逆流防止のための水封安全器116を通過し、貯蔵用のガスホルダーに送られる。
6.副生消石灰排出工程
一方、アセチレン発生工程で副生する消石灰は、本発明に係る副生消石灰排出装置105を経て回収される。副生消石灰排出装置は熟成機と、シールタンクと、排出機と、加熱装置と、秤量器とを備えている。以下、各構成機器について詳述する。
(1)熟成機
副生消石灰はアセチレン発生機102の最下段から副生消石灰排出口119を通って熟成機120に落下する。熟成機120では副生消石灰に含まれる未反応カーバイドを反応させる。未反応カーバイドは副生消石灰によって表面が被覆されて反応が進行しにくくなっている状態にあることから、熟成機120内で未反応カーバイドを副生消石灰と共に強固に攪拌する。これにより、表面の副生消石灰層が破壊されて未反応カーバイドの反応が促進され、アセチレンの収率を高めることが可能となる。この反応には、副生消石灰に付着する水分を用いるため、熟成機に改めて反応水を供給する必要はない。
熟成機120では、アセチレン発生機102で反応し切れなかった微量の未反応カーバイドを反応させることから発熱量は少ない。そこで、副生消石灰が熟成機120の内壁及び撹拌軸に付着するのを防止するため、加熱することが好ましい。加熱温度は高すぎると機器の寿命に影響を及ぼす一方で、低すぎると十分な付着防止効果が得られないため、100〜120℃に加熱することが好ましい。加熱装置は特に限定されないが、例えばスチーム加熱、電熱などにより行うことが出来る。これらの中でも、軸の加熱が容易であることから、スチーム加熱が好ましい。攪拌装置は特に限定されないが、例えばパドルミキサー、スクリューコンベア等が挙げられる。これらの中でも、適切な条件を選ぶことで、熟成機内の粉体レベル、及び流れを均一に出来ることから、二軸パドルミキサーが好ましい。
図4には熟成機内に設置する二軸パドルミキサー200の構成例が示されている。熟成機120は主に、外装205と外装205に収容されたパドルミキサー200とから構成される。パドルミキサー200においては、中空の撹拌軸201の周囲に複数のパドル202が取り付けられており、図中に示す回転方向に撹拌軸201が回転する。これにより、熟成機120の入口206より投入された副生消石灰及び未反応カーバイドは、二軸パドルミキサー200によって、図中の送り方向に向かって撹拌されながら熟成機120の出口208まで搬送される。入口滞留及びバイパス流が起きないように、パドル202の取り付け角度や取り付け位置を調整することができる。パドルミキサーの出口付近には、堰板207を設けてもよい。堰板207を設けることにより、未反応カーバイドの熟成機120内での滞留時間が長くなり、反応を効率的に行うことができる。撹拌軸201へのパドル202の取付方法として、直接溶接した場合、熱歪みによる割れが発生することがあるため、撹拌軸201の周囲に取り付けられたリング203を介して取り付ける方法にすることが好ましい。図5には、パドル202が撹拌軸201に取り付けられている状態の一例について、撹拌軸201の中心軸に沿った断面から見た概略図(a)及び撹拌軸201の中心軸に垂直な断面から見た概略図(b)を示している。撹拌軸201の周囲には所定の幅をもつリング203が取り付けられている。リング203からは、撹拌軸201の中心軸の半径方向に沿って外方に円柱状の支軸204が延設されており、支軸204の先端には板状のパドル202が支軸204を中心とする半径方向に沿って横設されている。撹拌軸201、リング203、支軸204及びパドル202はそれぞれ溶接により固定されている。なお、パドル202は、摩耗を抑えるために、その外縁部にコルモノイ合金等による硬化肉盛加工を行ってもよい。
(2)シールタンク
熟成機120の出口208から出た副生消石灰は、シールタンク121に落下する。シールタンク121は上部に入口、下部に出口を有しており、所定量の副生消石灰を一定期間保持した後、排出する。シールタンク121に保持されるべき副生消石灰の基準量は、後段の排出機出口からリークするアセチレンガスが許容値以下になるような量で、且つ、シールタンクの容量よりも少ない量に設定すればよい。ガスリーク量とシールタンク内の副生消石灰の量の関係は、経験則で見出すことができる。Kozeny-Carmanの式などを用いて、アセチレンガスの粘度等を考慮しながら工学的に算出しても良い。そこで、本実施形態に係る副生消石灰排出装置には、シールタンク121内に収容されている副生消石灰の量を把握するために、該タンクの重量を連続的又は断続的に自動計測する秤量器が設置されている。本発明において、「タンクの重量を計測する」とは、シールタンク121内に保持される副生消石灰の重量を評価することができる限り、シールタンク121の重量そのものの他、それに連結される各種機器(例えば排出機や付属品)を含めた重量を測定する場合を含む概念である。
基準量からの増減により、排出機の抜き出し速度(例えばスクリューコンベアの回転数)をフィードバック制御する(シールタンク内の副生消石灰の量が基準量より多ければ回転数を上げて抜き取り量を増やす。一方、基準量より少なければ回転数を下げて抜き取り量を減らしたり、停止したりする。)。重量基準で副生消石灰を管理することにより、アセチレンガスを漏洩させることなく外部から点検が出来るというメリットがある。レベル計等の場合は点検の際にガス漏洩のリスクがあるうえ、副生消石灰の付着などの理由から点検頻度も高くする必要がある。秤量器としては、例えばロードセル等を用いることが出来る。アセチレンガスの許容リーク量は、リーク側機器の保安条件を逸脱しないよう、適宜設定すればよい。
(3)シールタンク抜出部(傾斜型スクリューコンベア)
シールタンク121の出口123には、副生消石灰の抜出量を調整出来る排出機122が取り付けられている。排出機122の種類は特に制限はなく、スクリューコンベア、ロータリーバルブ等、通常用いられているものを用いることが出来るが、スクリューコンベアを用いると、機器設置の自由度を上げることが出来る。さらに、副生消石灰の取出口124をシールタンクの出口123よりも高い位置に設置することで、シールタンク121からの内容物の噴出を防止することができるため好ましい。
シールタンク121から抜き出す副生消石灰の量は、例えば排出機122としてスクリューコンベアを選択した場合は、スクリューコンベアの回転数によって決定される。そこで、本実施形態に係る副生消石灰排出装置には、シールタンク121内に所定量の副生消石灰が保持されるように、秤量器で計測されたシールタンク121の重量に応じてスクリューコンベアの回転数を制御する制御機構が備わっている。スクリューコンベアの回転数制御は、インバータ制御やバイエル減速機による制御等、従来知られた方法で行うことが出来るが、操作性及びメンテナンスの面から、インバータ制御が好ましい。
シールタンク121及び排出機122は、副生消石灰が内壁及び撹拌軸に付着するのを防止するために、加熱することが好ましい。加熱温度は高すぎると機器の寿命に影響を及ぼすである一方で、低すぎると十分な付着防止効果が得られないため、100〜120℃に加熱することが好ましい。加熱装置は特に限定されないが、例えばスチーム加熱、電熱などにより行うことが出来る。これらの中でも、軸の加熱が容易であることから、スチーム加熱やを用いることが好ましい。
図2及び図3では、排出機として登り勾配の傾斜型スクリューコンベアを採用したときの模式図を示している。121はシールタンク、122Aはスクリューコンベア、125はロードセル、126は加熱ジャケット、127はシールタンク入口、123はシールタンク出口、128はスクリューコンベア吊り用ステー、129は架台、124は副生消石灰取出口、130はステーをそれぞれ示す。図2の実施形態では、ロードセルによってシールタンク121及びスクリューコンベア122Aの合計の重量が計測される。
100 乾式アセチレン発生設備
101 原料シールタンク
102 アセチレン発生機
103 除塵冷却塔
104 脱硫塔
105 副生消石灰排出装置
106 回転軸
107 リボンスクリュー
108 スプレー室
109 充填室
110 冷却水
111 分散板
112 除塵水槽
113 除塵水槽循環ポンプ
114 充填物
115 脱硫水槽
116 水封安全器
117 脱硫循環ポンプ
118 脱硫水槽廃液ポンプ
119 副生消石灰排出口
120 熟成機
121 シールタンク
122 排出機
122A スクリューコンベア
123 シールタンクの出口
124 副生消石灰の取出口
125 ロードセル
126 加熱ジャケット
127 シールタンク入口
128 スクリューコンベア吊り用ステー
129 架台
130 ステー
200 パドルミキサー
201 撹拌軸
202 パドル
203 リング
204 支軸
205 外装
206 熟成機入口
207 堰板
208 熟成機出口

Claims (9)

  1. アセチレン発生機の副生消石灰排出口に連結され、アセチレン発生機からの副生消石灰に含まれる未反応カーバイドを攪拌し、反応させるための、内部にパドルミキサーが設置された熟成機と、
    該熟成機を加熱するための加熱装置と、
    該熟成機の出口に連結され、上部に入口、下部に出口を有しており、アセチレン発生機からの副生消石灰を保持するシールタンクと、
    該タンクの出口から副生消石灰を抜き出すための排出機と、
    該タンク及び該排出機を加熱するための加熱装置と、
    該タンクの重量を計測する秤量器と、
    該秤量器で計測された該タンクの重量に応じて副生消石灰を抜き出す速度を制御する制御機構と、
    を備えた副生消石灰排出装置。
  2. 前記パドルミキサーが2軸パドルミキサーである請求項1に記載の副生消石灰排出装置。
  3. 前記パドルミキサーは、撹拌軸と、該撹拌軸の周囲に取り付けられた複数のリングと、該リングに支軸を介して取り付けられたパドルとを有する請求項1又は2に記載の副生消石灰排出装置。
  4. 前記排出機は前記タンクの出口よりも高い位置で副生消石灰を排出する登り勾配の傾斜型スクリューコンベアである請求項1〜3の何れか一項に記載の副生消石灰排出装置。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の副生消石灰排出装置を備えたアセチレン発生設備。
  6. アセチレン発生機の副生消石灰排出口から排出される副生消石灰に含まれる未反応カーバイドをパドルミキサーで攪拌しながら、100〜120℃の温度で反応させる工程と、未反応カーバイドを反応させた後の副生消石灰をシールタンクに上部に設置した入口から導入して、100〜120℃の温度で保持する工程と、
    シールタンク内の副生消石灰を下部に設置された出口から排出機により抜き出す工程と、ここで、副生消石灰を抜き出す速度は該タンクの重量に応じて制御する、
    を含むアセチレン発生機からの副生消石灰排出方法。
  7. 前記パドルミキサーが2軸パドルミキサーである請求項6に記載の副生消石灰排出方法。
  8. 前記パドルミキサーは、撹拌軸と該撹拌軸の周囲に取り付けられた複数のリングと、該リングに取り付けられたパドルとを有する請求項6又は7に記載の副生消石灰排出方法。
  9. 前記排出機は傾斜型スクリューコンベアであり、該傾斜型スクリューコンベアによって搬送される副生消石灰は該タンクの出口よりも高い位置に設置された取出口まで100〜120℃の温度に維持される請求項6〜8の何れか一項に記載の副生消石灰排出方法。
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