JP5066410B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスクの製造方法及び板厚測定装置に関し、板厚の精度や表面平滑性が高精度で求められる磁気ディスク用ガラス基板等の板厚を測定する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスクの製造方法及び板厚を測定する工程で使用される板厚測定装置に関する。
磁気記録媒体のひとつであるHDD(ハードディスクドライブ)等に搭載される磁気記録媒体として磁気ディスクがある。磁気ディスクとしては、アルミニウム−マグネシウム合金製の金属基板上にNiP(ニッケルリン)等の膜を被着した構成、またはガラス基板やセラミックス基板等の基板上に下地層、磁性層、保護層、潤滑層を順次積層した構成を有したもの等がある。
近年では、磁気ディスクの小型化、薄板化、及び高密度記録化に伴い、アルミニウム基板等の金属基板に比べて基板表面の平坦度に優れたガラス基板が用いられるようになっている。
ところで、ガラス基板においては、さらなる高密度記録化を達成するために、基板表面の平滑度を一段と向上させる必要があり、ガラス基板に対して厳しい寸法精度が要求されるようになっている。
磁気ディスク用ガラス基板の製造工程においては、かかる寸法精度の要求に対して、各プロセス毎、または複数のプロセスを経た後に、ガラス基板の寸法測定が行われている。ここで、磁気ディスク用ガラス基板は、その主表面が鏡面に研磨されているため、寸法精度の測定を行う際に、主表面に測定のための治具を接触させることは避けられている。そして、かかる高精度な測定を行うための測定機器として、精密測定機が用いられている。具体的には、磁気ディスク用ガラス基板に求められる板厚の精度として、0.1μm単位の精度が求められている。
かかる寸法精度に関しては、非接触で基板の板厚を測定する装置が提案されている(特許文献1参照)。この測定装置においては、ディスクの外周縁を支持することにより、ディスク両面に接触傷が発生し難い状態でディスクを支持するようになされている。
特開平8−147691号公報
しかしながら、磁気ディスク用ガラス基板の板厚を測定する場合において、例えば、研磨工程後のガラス基板の板厚を測定する場合には、基板表面に残留している研磨砥粒を除去し、乾燥させた状態で測定していた。
ところが、研磨砥粒の除去が完全でない場合、基板表面に残った研磨砥粒は、基板表面に強固に固着してしまうことにより不良品となり、たとえ測定前に良品であったとしても、測定後に製造工程に戻して製品とすることは困難であった。すなわち、従来の製造工程では、板厚を測定したガラス基板は、製造工程には戻さずに不良品として廃棄していた。
また、磁気ディスク用ガラス基板の主表面には、オングストローム単位の表面平滑性が求められており、この要求を達成するためには、ガラス基板表面に付着している研磨砥粒の数を限りなくゼロに近い値とすることが求められる。このような要求を満足するために、板厚を測定する際には、ガラス基板を洗浄して研磨砥粒を十分に除去しなければならず、その分、製造工程における製造効率が著しく低下する問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ガラス基板の検査として例えば板厚を測定したガラス基板を廃棄することなく、効率良くガラス基板を製造し得る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスクの製造方法及び板厚測定装置を提供することを目的とする。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、円板状のガラス基板の主表面を、研磨砥粒を用いて研磨する研磨工程と、研磨した後のガラス基板を検査する検査工程とを含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記検査工程は、前記ガラス基板を水槽に溜められた水中に保持した状態で、該ガラス基板の板厚前記水槽の外部に設けられたセンサから照射される光によって非接触で測定する工程を含み、前記検査されたガラス基板を製造工程に戻すことを特徴とする。
この製造方法によれば、ガラス基板を乾燥させずに検査することができることにより、乾燥によりガラス基板が不良となることを発生を防止し得る。これにより、検査済のガラス基板を製造ラインに戻すことができ、磁気ディスク用ガラス基板の製造工程における歩留りを向上することができる。
また本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、円板状のガラス基板の主表面を、研磨砥粒を用いて研磨する研磨工程と、研磨した後のガラス基板の板厚を測定する測定工程とを含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記測定工程は、前記ガラス基板を水槽に溜められた水中に保持した状態で、該ガラス基板の前記主表面のうちの一方の面に対して斜め入射されるように、前記水槽の外部に設けられたセンサから光を照射する照射工程と、前記水中に保持されたガラス基板の前記一方の面からの反射光と、他方の面からの反射光とを受光する受光工程と、前記2つの反射光に基づいて前記ガラス基板の板厚を算出する算出工程とを含み、前記板厚が測定されたガラス基板を製造工程に戻すことを特徴とする。
この製造方法によれば、ガラス基板を乾燥させずにその板厚を測定することができることにより、乾燥によりガラス基板が不良となることの発生を防止し得る。これにより、測定済みのガラス基板を製造ラインに戻すことができ、磁気ディスク用ガラス基板の製造工程における歩留りを向上させることができる。
また本発明は、上記磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、前記製造工程は、前記ガラス基板の表面全体を化学強化するための化学強化工程と、前記化学強化を終えたガラス基板を洗浄する洗浄工程とを有することが好ましい。前記製造工程は、研磨工程を有さないことが好ましい。さらに、前記ガラス基板は、中心部に中心孔を有しており、前記中心孔を3点支持されて前記水中に保持されることが好ましい。
また本発明の磁気ディスクの製造方法は、円板状のガラス基板の主表面を、研磨砥粒を用いて研磨する研磨工程と、研磨した後のガラス基板の板厚を測定する測定工程と、前記ガラス基板の主表面に磁性体薄膜からなる磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程とを含む磁気ディスクの製造方法であって、前記測定工程は、前記ガラス基板を水槽に溜められた水中に保持した状態で、該ガラス基板の前記主表面のうちの一方の面に対して斜めに入射されるように、前記水槽の外部に設けられたセンサから光を照射する照射工程と、前記水中に保持されたガラス基板の前記一方の面からの反射光と、他方の面からの反射光とを受光する受光工程と、前記2つの反射光に基づいて前記ガラス基板の板厚を算出する算出工程とを含み、前記板厚が測定されたガラス基板を製造工程に戻すことを特徴とする。
この製造方法によれば、ガラス基板を乾燥させずにその板厚を測定することができることにより、乾燥によりガラス基板が不良となることの発生を防止し得る。これにより、測定済みのガラス基板を製造ラインに戻すことができ、磁気ディスク用ガラス基板の製造工程における歩留りを向上させることができる。かくして、この磁気ディスク用ガラス基板を用いる磁気ディスクの製造工程における歩留りを向上させることができる。
また本発明は、上記磁気ディスクの製造方法において、前記製造工程は、前記ガラス基板の表面全体を化学強化するための化学強化工程と、前記化学強化を終えたガラス基板を洗浄する洗浄工程とを有することが好ましい。前記製造工程は、研磨工程を有さないことが好ましい。さらに、前記ガラス基板は、中心部に中心孔を有しており、前記中心孔を3点支持されて前記水中に保持されることが好ましい。
本発明によれば、ガラス基板の検査として例えば板厚を測定したガラス基板を廃棄することなく、効率良くガラス基板を製造し得る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスクの製造方法及び板厚測定装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る磁気ディスクの製造方法は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)等に搭載される磁気ディスクを製造するものである。この磁気ディスクは、例えば、垂直磁気記録方式によって高密度の情報信号記録及び再生を行うことができる記録媒体である。また、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、上記磁気ディスクに用いられるガラス基板を製造するものである。
この磁気ディスク用ガラス基板は、外径15mm乃至30mm、内径5mm乃至12mm、板厚0.35mm乃至0.5mmであり、例えば、「0.8インチ(inch)型磁気ディスク」(内径6mm、外径21.6mm、板厚0.381mm)、「1.0インチ型磁気ディスク」(内径7mm、外径27.4mm、板厚0.381mm)などの所定の直径を有する磁気ディスクとして作製される。また、「2.5インチ型磁気ディスク」、「3.5インチ型磁気ディスク」など磁気ディスクとして作製されるものとしてもよい。なお、ここで、「内径」とは、ガラス基板の中心部の円孔の内径である。
図1は、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造される磁気ディスク用ガラス基板1(以下これを単にガラス基板と呼ぶ)の構成を示す斜視図である。
本発明に係るガラス基板1の製造方法は、図1に示すように、中心部に円孔(中心孔)2を有するガラス基板1を製造する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。このガラス基板1は、ガラスからなることにより、鏡面研磨によって優れた平滑性を実現することができ、硬度が高く、また、剛性が高いので、耐衝撃性に優れている。特に、携帯(持運び)用、あるいは、車載用の情報器機に搭載されるハードディスクドライブに使用される磁気ディスクには、高い耐衝撃性が要求されることにより、このような磁気ディスクにおいてガラス基板を用いることには有用性が高い。ガラスは脆性材料であるが、化学強化等の強化処理により、破壊強度を向上させることができる。
このようなガラス基板1の材料として好ましいガラスとしては、アルミノシリケートガラスを挙げることができる。アルミノシリケートガラスは、優れた平滑鏡面を実現することができるとともに、例えば、化学強化を行なうことによって、破壊強度を高めることができるからである。また、このようなガラス基板1の材料として好ましいガラスとしては、結晶化(アモルファス)ガラスを挙げることができる。
アルミノシリケートガラスとしては、SiO:62乃至75重量%、Al:5乃至15〔重量%〕、LiO:4乃至10〔重量%〕、NaO:4乃至12〔重量%〕、ZrO:5.5乃至15〔重量%〕を主成分として含有するとともに、NaOとZrOとの重量比が0.5乃至2.0、AlとZrOとの重量比が0.4乃至2.5である化学強化用ガラスが好ましい。
また、このようなガラス基板1において、ZrOの未溶解物が原因で生じるガラス基板表面の突起をなくすためには、SiOを57乃至74〔mol%〕、ZrOを0乃至2.8〔mol%〕、Alを3乃至15〔mol%〕、LiOを7乃至16〔mol%〕、NaOを4乃至14〔mol%〕含有する化学強化用ガラスを使用することが好ましい。このような組成のアルミノシリケートガラスは、化学強化することによって、抗折強度が増加し、圧縮応力層の深さも深く、ヌープ硬度にも優れている。
また、本発明において製造するガラス基板1をなす材料は、前述したものに限定されるわけではない。すなわち、ガラスディスクの材質としては、前述したアルミノシリケートガラスの他に、例えば、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、または、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどを挙げることができる。
図2は、本発明の実施の形態に係るガラス基板1の製造工程を含む磁気ディスクの製造工程示すフローチャートである。図2に示すように、本実施の形態に係るガラス基板1の製造方法においては、ステップST11のガラスディスク形成工程において、プレス法などによってガラスディスク3(図1)を形成する。そして、ステップST12のラッピング工程において、ガラスディスク3の形状を整えると共に、主表面をラッピング加工する。ラッピング加工では、両面ラッピング装置とアルミナ砥粒を用いて加工を行い、ガラスディスク3の寸法精度と形状精度を所定のものとする。なお、ここで、ガラスディスク3の外周側端面部分及び内周側端面部分(中心孔2(図1)の内端面)の研磨を行うようにしてもよい。
次に、ステップST13において、ガラスディスク3の主表面研磨工程(ポリッシング工程)として、第1研磨工程を実行する。この第1研磨工程は、上述のラッピング工程で主表面に残留した傷や歪みの除去を主たる目的とする。この工程は、両面研磨装置と硬質樹脂ポリッシャとを用い、遊星歯車機構を用いて行うことができる。研磨剤としては、酸化セリウム砥粒を用いることが好ましい。因みに、ガラスディスク3の主表面とは、ガラスディスク3の表裏二面(表面3a及び裏面3b(図1))を意味する。
次に、ステップST14において、ガラスディスク3の主表面の鏡面研磨工程として、第2研磨工程を実行する。この第2研磨工程は、主表面を鏡面状に仕上げることを目的とする。この工程は、両面研磨装置と軟質発泡樹脂ポリッシャを用い、遊星歯車機構を用いて行うことができる。研磨剤としては、第1研磨工程で用いる酸化セリウム砥粒に比べて微細な酸化セリウム砥粒を用いることが好ましい。
次に、第2研磨工程が終了したガラスディスク3のうち、所定数(例えば100枚)ごとに1枚のガラスディスク3を抜き取って、そのガラスディスク3の形状の検査工程を実施する。この実施の形態の場合、ガラスディスク3の形状の検査として、その板厚を測定(後述する板厚測定工程:ステップST19)するものとする。因みに、ガラスディスク3の形状の検査としては、ガラスディスク3の板厚の検査に限らず、表面粗さ等の検査をも含む概念である。従って、ガラスディスク3の形状の検査としては、本実施の形態において説明する板厚の測定に限らず、例えば、ガラスディスク3の表面粗さを測定する場合等がある。
ガラスディスク3の検査工程では、ステップST15において、第2研磨工程が終了したガラスディスク3の数をカウントする。そして、カウント結果が「100」となるまでは抜き取りを行わず、ステップST15から、製造工程における次の工程である化学強化工程(ステップST16)に進む。これに対して、カウント結果が「100」となった場合には、第2研磨工程を終了した1枚のガラスディスク3を抜き取って、ステップST19に移り、その板厚を測定する。なお、カウント結果が「100」となって1枚のガラスディスク3が板厚検査用に抜き取られた場合には、カウント値をリセットする。
板厚測定工程(ステップST19)は、ガラスディスク3の板厚を非接触で精密に測定することにより、0.1μm単位の精度で板厚を測定する工程である。この板厚測定工程においては、図3(A)、(B)に示す板厚測定装置10が用いられる。すなわち、図3(A)、(B)に示すように、まず、第2研磨工程が終了したガラスディスク3を水中に浸漬し、該水中において、ガラスディスク3の内周側端面部分(中心孔2の内端面)の3か所を支持部材9a、9b及び9cによって3点支持する。支持部材9a、9b及び9cは、水槽11の外部から内部に延設されたアーム8の先端部に設けられており、ガラスディスク3の中心孔2を支持することにより、水槽11に溜められた水中においてガラスディスク3を保持する。
そして、図3(B)及び図4に示すように、この保持されたガラスディスク3に対して、水槽11の外部に設けられたセンサ20(図3(B))の発光部20aからレーザ光LAを照射し、ガラスディスク3の主表面のうちの一方の面3aにおいて反射した第1反射光LB1と、ガラスディスク3の主表面のうちの他方の面3bからの反射光LB2とを、センサ20の受光部20bにおいて受光する。因みに、主表面のうちの他方の面3bからの反射光LB2とは、図4に示すように、ガラスディスク3の主表面のうちの一方の面(第1の面)3aを介してガラスディスク3内に入射したレーザ光LA1が、ガラスディスク3の内部において、他方の面3bの裏面(第2の面)3cで反射した反射光を意味する。センサ20(図3(B))では、これら受光した反射光LB1及びLB2の受光位置に基づいて、センサ20から一方の面3aまでの距離と、センサ20から他方の面3bまでの距離とをそれぞれ検出し、これらの差からガラスディスク3の板厚を求める。すなわち本実施の形態の場合、センサ20は、発光部20aとして発光素子(半導体レーザ)を用いると共に、受光部20bとして光位置検出素子(PSD(Position Sensitive Detector))を用い、測定対象において斜め方向に反射する拡散反射成分を受光部20bにおいて受光し、この受光位置に基づいてセンサ20から測定対象(一方の面3a、他方の面3b)までの距離を検出する。センサ20としては、例えば、キーエンス社製LK−G15(商品名)を用いることができるが、同様の測定原理又は他の測定原理を利用した種々のセンサを用いることができる。
高精度のセンサ20は、一般に水中に浸漬することが困難であることにより、本実施の形態においては、センサ20を水槽11の外部に設置し、このセンサ20により、水槽11の外部から水中に向かってレーザ光LAを照射する。
水槽11のレーザ光LA及び反射光LB1、LB2が透過する窓部12(図3(B))には、透過板13が設けられている。この透過板13は、そのWaviness(Wq:うねり曲線の二乗平均平方根高さ)が5〔nm〕以下であり、レーザ光を透過するガラス板によって構成されている。
透過板13は、水槽11の側面部に形成された窓部12に嵌合するようになっており、透過板13の周囲と窓部12との間にはシール部材(図示せず)が設けられて水槽11内の水が漏れないようにシールしている。
かかる構成の板厚測定装置10を用いて、ガラスディスク3の板厚が測定及び算出され板厚測定工程(ステップST19)が実行される。この板厚測定工程においては、第2研磨工程が終了したガラスディスク3の表面を簡単に洗浄した後、該ガラスディスク3を水の入った水槽11内に浸漬する。上述したように、ガラスディスク3は、水槽11内において、その内周側端面(中心孔2)が3点支持される。このように中心孔2を3点支持することにより、ガラスディスク3を水中でも安定に保持することができる。また、この水槽内11において、ガラスディスク3は、その第1の面3aが、透過板13が設けられた窓部12に対向するように支持される。
この状態において、水槽11の外部に設けられたセンサ20の発光部20aからレーザ光LAを、透過板13を介して、ガラスディスク3の第1の面3aに対して斜め方向から照射し、第1の面3aにおいて反射した反射光LB1を受光部20bにおいて受光する。また、ガラスディスク3の第1の面3aに照射されたレーザ光LAは、第1の面3aを透過して、第1の面3aに対向する第2の面3cに入射されて、この第2の面3cにおいて反射し、第1の面3aを透過してセンサ20の受光部20bにおいて受光される。センサ20は、その内部に設けられた算出部により、第1の面3aからの反射光LB1と、第2の面3cからの反射光LB2とに基づいて、それらの位相差によりガラスディスクの板厚を算出する。
そして、この測定結果に基づいて、ガラスディスク3の良、不良が判定される(ステップST20)。良品と判定されたガラスディスク3は、製造ラインに戻され、第2研磨工程(ステップST14)に続く化学強化工程(ステップST16)が実行される。この化学強化工程においては、上述した板厚測定工程(ステップST19)のために抜き取られなかったガラスディスク3と板厚測定工程(ステップST19)で良品と判定されたガラスディスク3とが化学強化処理の対象となる。
化学強化工程(ステップST16)においては、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)とを混合した化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を400℃に加熱し、300℃に予熱された洗浄済みのガラスディスク3を約3時間浸漬して行う。この浸漬の際に、ガラスディスク3の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラスディスク3が端面で保持されるようにこれらをホルダに収納する。
このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラスディスク3の表層のリチウムイオン、ナトリウムイオンが、化学強化溶液中のナトリウムイオン、カリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラスディスク3が強化される。化学強化を終えたガラスディスク3を、20℃の水槽に浸漬して急冷し、約10分間維持する。
次に、急冷を終えたガラスディスク3を、約40℃に加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄工程(ステップST17)を行い、さらに、この硫酸洗浄を終えたガラスディスク3を、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、蒸気乾燥の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄を行う。なお、各洗浄槽には超音波を印加する。
以上の工程を経て得られたガラスディスク3の表面に対して、最終検査工程(ステップST18)を実施する。この検査工程においては、ガラスディスク3の表面粗さを、走査プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope; SPM)の一種である原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope ; AFM)によって測定し、数値の算出は、日本工業規格(JIS)B0601に拠る。また、鏡面状態の確認は、電子顕微鏡による観察、光学顕微鏡による観察の双方によって行う。
一方、上述したガラスディスク3の板厚を測定する板厚測定工程(ステップST19)において、不良と判定されたガラスディスク3のうち、その板厚が規定値よりも大きいことによって不良と判定されたか否かが判断され(ステップST21)、規定値よりも大きい場合(ステップST21:YES)、ステップST22に移って、上述のステップST15においてガラスディスク3を抜き取ったロット全体について、再度ラッピング工程に戻すためのロット再処理を行って、ラッピング工程(ステップST12)に戻る。これにより、板厚が規定値よりも大きいロット(抜き取り検査を行ったガラスディスク3を含む)について、再度ラッピング工程に戻して、板厚が規定値以内となるようにラッピング処理が行われる。このように、抜き取り検査されたガラスディスク3と同じロットのガラスディスク3であって抜き取り検査されていないガラスディスク3についても、同様の結果が得られるものと推定されることにより、これらのガラスディスク3についても再度ラッピング工程が施される。
再度ラッピング処理が行われたガラスディスク3は、再度、第1研磨工程(ステップST13)、第2研磨工程(ステップST14)及び抜き取られた1枚が板厚測定工程(ステップST19)へと進み、それぞれの工程における処理が施される。そして、再度行われた板厚測定工程で良品と判定された場合には、そのロットについては、続く化学強化工程(ステップST16)が実行されると共に、板厚測定が行われたガラスディスク3についても、製造ラインに戻されて化学強化工程へと送られる。
一方、板厚測定工程(ステップST19)の測定結果が規格の厚さよりも小さい結果が得られた場合には、ステップST21において否定結果が得られることにより、ステップST21からステップST23に移って、その測定されたガラスディスク3が廃棄処理され、さらに続くステップST24において、廃棄処理されたガラスディスク3と同じロットのガラスディスク3について、ロットエラー処理が実行される。このロットエラー処理では、例えば、そのロット全てのガラスディスク3の板厚を測定して規格内のものを製造ラインに戻し規格外のものを廃棄処理する工程、またはロットの全てのガラスディスク3を廃棄処理する工程などが実行される。
このようにして、以上説明した本実施の形態のガラス基板の製造工程においては、板厚測定工程(ステップST19)に回されたガラスディスク3について、その板厚が規格内となっている良品については、製造ラインに戻され、規格外の不良品であっても、板厚が規格よりも大きく再度のラッピング処理によって良品となり得るものについては、製造ラインに戻されて再度のラッピング処理が実行される。
以上説明した工程(ステップST11乃至ステップST24)によって磁気ディスク用のガラス基板1の製造が行われた後、製造されたガラス基板1に対して、ステップST30における磁性体薄膜からなる磁気記録層を形成することにより、磁気ディスクを製造する。
ステップST30における磁気記録層の形成工程の一例を述べる。上述のステップST11乃至ステップST24におけるガラス基板1の製造工程によって製造されたガラス基板1の両主表面に、静止対向型のDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、Ni−Ta合金第1下地層、Ru第2下地層、Co−Cr−Pt−B合金磁性層、水素化炭素保護層を順次成膜する。そして、アルコール変性パーフロロポリエーテル潤滑層をディップ法によって成膜する。このようにして、垂直磁気記録方式用の磁気ディスクを製造することができる。なお、磁気記録層の形成方法は、これに限られるものではなく、他の種々の方法や材質を適用することができる。
以上説明した磁気ディスクの製造方法においては、順次製造ラインを流れるガラスディスク3が所定枚数ごとに抜き取られ、該抜き取られたガラスディスク3の板厚が検査工程により測定される。この板厚の測定を行う検査工程においては、水槽11に溜められた水の中に検査対象であるガラスディスク3が浸漬される。そして、水槽11の外部の空気中に設置されたセンサ20から、水槽11の側面部に設けられた透過板13を介して、水槽11の水中に支持されたガラスディスク3の第1の面3aに対してレーザ光LAが照射される。
センサ20は、水中に設置することが困難な高精度タイプのものであり、水槽11の外部(空気中)に設置されている。そして、このセンサ20から照射されるレーザ光LAの光路上にある水槽11の側面部には、高平坦度の透過板13が設けられている。透過板13は、平滑であるほど板厚の測定精度が向上し、本実施の形態の場合、そのWaviness(Wq)が5〔nm〕以下となっている。これにより、0.1μm単位の精度が求められるガラスディスク3について、その精度を保つことが可能な測定精度を得ることができる。
このように、ガラスディスク3を水中において支持しながらその板厚を高精度に測定することができることにより、従来のようにガラスディスク3を乾燥させて測定する場合に比べて、その主表面に汚れが固着するという現象を回避することができる。これにより、測定後のガラスディスク3は、その表面が良好な状態のまま保たれることとなり、検査結果が良好と判定されたガラスディスク3については、そのまま製造ラインに戻して製品として完成させることができる。
かくして、以上の製造方法によれば、検査によって良品と判定されたガラスディスク3を製造ラインに戻して製品として完成させることにより、ガラス基板1の製造において、歩留りを向上させることができる。従って、このガラス基板1を用いて製造される磁気ディスクの製造上の歩留りを向上させることができる。
なお、上述の実施の形態においては、第2研磨工程の次に行われる検査工程に水槽外からレーザ光LAを照射する測定方法を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、他のタイミングにおける板厚測定工程においても適用することができる。
また、上述の実施の形態においては、磁気ディスク用ガラス基板の製造工程において、ガラスディスク3の板厚を非接触で測定する場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば原子間力顕微鏡を用いてガラスディスク3の表面粗さを非接触で測定する場合、またはガラスディスク3の表面に光を照射してその散乱光の性質から表面粗さを非接触で検査する場合等、ガラスディスク3を非接触で評価する検査工程のうち、水中で検査可能な種々の検査に本発明を適用することができる。
また、上述の実施の形態においては、センサ20を水槽11の外(空気中)に設置する場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、水中に設置可能なセンサを用いる場合には、水槽11の内部(水中)に設置して使用するようにしてもよい。
本発明は、例えば、磁気ディスク用ガラス基板の製造工程においてガラスディスクの板厚を測定する場合に適用可能である。
本発明の実施の形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において製造されるガラス基板を示す斜視図 本発明の実施の形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造工程を含む磁気ディスクの製造工程を示すフローチャート 図2の製造工程に用いられる板厚測定装置を示す断面図 ガラスディスクにおけるレーザ光及びその反射光を示す断面図
符号の説明
1 ガラス基板
2 中心孔
3 ガラスディスク
3a 第1の面
3b 第2の面
8 アーム
9a、9b、9c 支持部材
11 水槽
12 窓部
13 透過板
20 センサ
20a 発光部
20b 受光部
LA レーザ光
LB1、LB2 反射光

Claims (9)

  1. 円板状のガラス基板の主表面を、研磨砥粒を用いて研磨する研磨工程と、研磨した後のガラス基板を検査する検査工程とを含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    前記検査工程は、
    前記ガラス基板を水槽に溜められた水中に保持した状態で、該ガラス基板の板厚前記水槽の外部に設けられたセンサから照射される光によって非接触で測定する工程を含み、
    前記検査されたガラス基板を製造工程に戻すことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 円板状のガラス基板の主表面を、研磨砥粒を用いて研磨する研磨工程と、研磨した後のガラス基板の板厚を測定する測定工程とを含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    前記測定工程は、
    前記ガラス基板を水槽に溜められた水中に保持した状態で、該ガラス基板の前記主表面のうちの一方の面に対して斜め入射されるように、前記水槽の外部に設けられたセンサから光を照射する照射工程と、
    前記水中に保持されたガラス基板の前記一方の面からの反射光と、他方の面からの反射光とを受光する受光工程と、
    前記2つの反射光に基づいて前記ガラス基板の板厚を算出する算出工程とを含み、
    前記板厚が測定されたガラス基板を製造工程に戻すことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記製造工程は、前記ガラス基板の表面全体を化学強化するための化学強化工程と、前記化学強化を終えたガラス基板を洗浄する洗浄工程とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記製造工程は、研磨工程を有さないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記ガラス基板は、中心部に中心孔を有しており、前記中心孔を3点支持されて前記水中に保持されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  6. 円板状のガラス基板の主表面を、研磨砥粒を用いて研磨する研磨工程と、研磨した後のガラス基板の板厚を測定する測定工程と、前記ガラス基板の主表面に磁性体薄膜からなる磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程とを含む磁気ディスクの製造方法であって、
    前記測定工程は、
    前記ガラス基板を水槽に溜められた水中に保持した状態で、該ガラス基板の前記主表面のうちの一方の面に対して斜めに入射されるように、前記水槽の外部に設けられたセンサから光を照射する照射工程と、
    前記水中に保持されたガラス基板の前記一方の面からの反射光と、他方の面からの反射光とを受光する受光工程と、
    前記2つの反射光に基づいて前記ガラス基板の板厚を算出する算出工程とを含み、
    前記板厚が測定されたガラス基板を製造工程に戻すことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
  7. 前記製造工程は、前記ガラス基板の表面全体を化学強化するための化学強化工程と、前記化学強化を終えたガラス基板を洗浄する洗浄工程とを有することを特徴とする請求項6に記載の磁気ディスクの製造方法。
  8. 前記製造工程は、研磨工程を有さないことを特徴とする請求項6に記載の磁気ディスクの製造方法。
  9. 前記ガラス基板は、中心部に中心孔を有しており、前記中心孔を3点支持されて前記水中に保持されることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の磁気ディスクの製造方法。
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