以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)に係る設計支援装置について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
<システムの概要>
本設計支援装置は、構造材を組み合わせた架台の設計を支援する。本設計支援装置は、鋼材設定ダイアログと呼ぶ画面にて、架台に用いる各種鋼材の属性を設定する。そして、属性が設定された鋼材を用いて、主として、2次元の平面内(XY平面、YZ平面、ZX平面等)において、架台の平面図、断面図等の投影図を構築する。
鋼材設定ダイアログは、架台の構築途中において、自在に設定を変更できる。したがって、ユーザは、鋼材設定ダイアログにて、鋼材の属性を変更することで、鋼材の種類、向き等の属性を変更しつつ、2次元の平面内で鋼材を組み合わせて、架台を設計していく。また、一旦設計された架台の部分を選択し、鋼材設定ダイアログにて、鋼材の属性を変更することで、その部分の鋼材の属性を変更できる。なお、属性は、鋼材設定ダイアログによらず、キーボードまたはポインティングデバイス、あるいはその組み合わせによる操作によっても設定可能である。
架台の構築では、鋼材と鋼材との接続部分の仕様が極めて重要である。鋼材と鋼材とは、例えば、溶接で接続されるが、接続部分の組み合わせによっては、強度が大きく異なる結果となる。例えば、第1の等辺山形鋼に直交する方向に第2の等辺山形鋼を接続する場合、第2の等辺山形鋼の断面が、第1の等辺山形鋼の側面に接続される場合には、強度は良好となる。
しかし、第2の等辺山形鋼の断面が、第1の等辺山形鋼の一方の山形を構成する板の板厚方向の断面に接続される場合には、2つの鋼材の接触面積が小さく、強度が十分でない場合が生じる。このような関係は、等辺山形鋼以外の他の鋼材を接続する場合も考慮される必要がある。また、異なる種類の鋼材を接続する場合にも考慮が必要である。本設計支援装置は、このような鋼材の組み合わせによる架台の設計において、視覚的にユーザを支援する。また、鋼材の接続部分において、様々な接続仕様を例示する。
さらに、本設計支援装置は、一旦構築された架台の設計変更を視覚的に支援する。また、本設計支援装置は、作成された架台に含まれる個々の鋼材にラベルを付すことによって、架台に含まれるそれぞれの鋼材の使用量を集計し、使用量の見積もりを支援する。
<ハードウェア構成>
図2に、本設計支援装置のハードウェア構成図を示す。この設計支援装置は、例えば、パーソナルコンピュータと、パーソナルコンピュータで実行されるコンピュータプログラムによって実現される。また、この設計支援装置は、複数のパーソナルコンピュータにサービスを提供するサーバ上のプログラムとして実現してもよい。また、本設計支援装置は、複数のコンピュータが連携して機能を提供するコンピュータシステムとして実現してもよい。例えば、1以上のデータベースサーバと、1以上のシミュレータと、1以上のウェブサーバとによって、設計支援装置を実現してもよい。
図2は、本設計支援装置を構成するコンピュータの一例である。本設計支援装置は、CPU1と、メモリ2と、各種インターフェース3、5、7、9、11と、これらのインターフェースを通じてCPU1に接続される周辺装置とを含む。図2では、周辺装置の例として、ハードディスク4,入力装置6、表示装置8、ネットワークインターフェース10、および着脱可能記憶媒体駆動装置12が示されている。
CPU1は、メモリ2に展開されたプログラムを実行し、設計支援装置の機能を提供する。メモリ2は、CPU1が実行可能な形式でプログラムを保持する。また、メモリ2は、CPU1が処理するデータを保持する。メモリ2は、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリーメモリ)等である。ただし、メモリ2として、フラッシュメモリを用いてもよい。
ハードディスク駆動装置4は、ハードディスクにアクセスし、CPU1が処理したデータ、CPU1で実行されるプログラム等を記憶する。入力装置6は、例えば、キーボード等の文字入力装置、マウス等のポインティングデバイスなどである。表示装置8は、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル等である。
ネットワークインターフェース10は、例えば、LAN(ローカルエリアネットワーク)基板である。着脱可能媒体駆動装置12は、例えば、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリカード等の駆動装置である。なお、CPU2で実行されるプログラムは、通常、ネットワークインターフェース10、あるいは、着脱可能記憶媒体駆動装置12を通じて、ハードディスクに保存され、メモリ2に展開される。
<機能ブロック>
図3に、本設計支援装置の機能ブロック図を示す。図3のように、本設計支援装置の機能ブロックは、表示装置8および入力装置6を制御し、設計支援装置の機能を提供する制御部20によって実現される。制御部20は、例えば、図2に示したCPU1、メモリ2等の構成と、図2のメモリ2に展開され、CPU1で実行されるコンピュータプログラムとによって実現される。
図3のように、制御部20は、表示制御手段21、入力制御手段22、属性設定手段23、基準位置設定手段24、配置設定手段25、接続手段26および接続仕様記憶手段27を含む。制御部20に含まれる図3のそれぞれの要素は、例えば、コンピュータ上サブプログラムによって実現される。
表示制御手段21は、属性設定手段23、基準位置設定手段24等に引き渡す設定値の入力画面(いわゆるダイアログ)を表示装置8に表示する。また、表示制御手段21は、入力装置6を通じたユーザ操作にしたがって、鋼材を表示装置8の画面に表示する。また、また、表示制御手段21は、接続仕様記憶手段27に記憶された接続仕様から、現在の鋼材の種別と向きとに応じた鋼材間の接続仕様を読み出し、その接続仕様にしたがって、
鋼材を接続して表示する。表示制御手段21としては、例えば、表示装置8を制御するウィンドウシステムの関数、あるいは、そのような関数を呼び出し、ユーザインターフェースを構築するアプリケーションプログラムを例示できる。
接続手段26は、現在の鋼材の種別と向きとに応じた鋼材間の接続仕様を読み出し、所定の基準にしたがって、その接続仕様を選択し、表示制御手段に引き渡す。接続仕様記憶手段27は、鋼材の種別と向きとに応じた鋼材間の接続仕様を記憶する。
入力制御手段22は、入力装置を通じたユーザの入力操作を検出する。そして、入力制御手段22は、ダイアログへの設定を読み取り、メモリ2に格納する。また、入力制御手段22は、入力装置を通じたユーザの入力操作に応じて、鋼材の配置位置を決定する。例えば、入力制御手段22は、ユーザが指定した鋼材の種別、向き、基準点等を読み取る。また、入力制御手段22は、入力装置を通じたユーザの入力操作に追従し、配置位置確定前に鋼材を仮表示状態で伸縮して表示させる。入力制御手段22としては、例えば、入力装置6を制御するデバイスドライバ、入力操作を検知するウィンドウシステムの関数等を例示できる。
属性設定手段23は、表示制御手段21を通じて、表示装置にユーザインターフェース部品を表示する。そして、属性設定手段23は、ユーザインターフェース部品上で入力制御手段22を通じて、入力装置6から、鋼材の属性の入力を受け付ける。
基準位置手段24は、表示制御手段21を通じて、表示装置に基準位置設定のユーザインターフェース部品を表示する。そして、基準位置手段24は、ユーザインターフェース部品上で入力制御手段22を通じて、入力装置6から、鋼材の断面内での基準位置の入力を受け付ける。
配置位置設定手段25は、入力制御手段22を通じて入力装置6から鋼材の配置位置の指定を受け付ける。そして、指定された位置に鋼材を配置して、表示制御手段21を通じて、表示装置8に表示する。
<機能詳細>
以下、図4から図30の図面を参照して、本設計支援装置が提供する機能の詳細を説明する。
(1)鋼材の属性設定
本設計支援装置は、架台を構成する個々の鋼材の属性を設定する機能を提供する。鋼材の属性は、鋼材設定ダイアログ(本発明の第2の画面に相当)と呼ばれる画面上で設定できる。本設計支援装置は、架台の設計において、架台の作図前、作図操作中、および作図後に、架台の平面図または断面図を表示する作図画面とともに、鋼材設定ダイアログを表示する。以下、本実施形態では、作図中、あるいは、作図後の架台を表示する画面を架台表示部(本発明の第1の画面に相当)という。
図4は、鋼材設定ダイアログを例示する図である。鋼材設定ダイアログは、鋼材の形状を図形表示する図形表示部31と、鋼材の属性を設定する属性設定部32とを有する。
図形表示部31には、鋼材を簡略化した斜視図と、回転ボタン33が表示される。斜視図には、鋼材の延伸方向に垂直な断面上に3×3の基準点の候補が明示される。図4の例では、鋼材として等辺山形鋼が例示されている。また、基準点の候補には、等辺山形鋼のL字状の外側の1辺の両端点および中点と、L字状の外側の他の1辺の両端点および中点と、これら直交する2辺を座標軸(例えば、X軸およびY軸)として、それぞれの辺の両端点および中点を座標値とする座標点とが、含まれる。図示しないが、他の鋼材、すなわ
ち、溝形鋼、H鋼、丸形鋼管、角形鋼管、鋼板においても、同様に、簡略化した斜視図と、基準点の候補が表示される。
基準点の候補は、基準点となり得る位置を示す丸形のグラフィックスオブジェクトで表示される。このグラフィックスオブジェクトは、ユーザ操作によって選択可能なシンボル、ここではラジオボタンを構成する。ラジオボタンとは、ポインティングデバイスで選択操作(マウスクリック等)することによって、ボタンを押し込んだ状態を表現し、その状態を維持する画面上のユーザインターフェース部品をいう。図4の例では、3×3の基準点の候補のうち、左上の基準点の候補が黒く着色され、選択された状態を示している。ユーザは、ポインティングデバイスで操作することで、任意の1つを選択状態にできる。
図5に、鋼材の種類ごとの基準点の位置を例示する。図5のように、本実施形態では、基準点は、それぞれの鋼材の外面を取り囲む矩形領域を3×3に区分する位置に設定される。例えば、等辺山形鋼の場合、2つの山形辺をそれぞれ一辺とする矩形が形成され、その矩形を等分割する位置に、基準点が設定される。なお、図5に示した基準点は、例示であり、他の位置に基準点を設定してもよい。ただし、鋼材断面の中心に基準点の1つを設けることが望ましい。したがって、図5のような、鋼材の外面を取り囲む矩形領域をN×M(NとMは、それぞれ奇数)となる位置に基準点を設定すればよい。ただし、本発明の実施は、そのような基準点の位置に限定されるものではない。例えば、鋼材断面の中心と、鋼材断面で外周面を取り囲む矩形の頂点とに基準点を設けてもよい。また、丸形鋼管の場合には、鋼材断面の中心と、鋼材断面で外周面を形成する円周上の等分割点とに基準点を設けてもよい。さらに、例えば、鋼材断面で外周面を取り囲む矩形を複数の矩形領域(メッシュ)に分割し、それぞれの矩形の頂点(メッシュを構成する線分の交点)とメッシュの中心とに基準点を設けてもよい。
図4において、回転ボタン33は、鋼材の断面の中心(延伸方向に平行な中心軸)を基準に鋼材を回転させるボタンである。ユーザが、ポインティングデバイスで回転ボタン33を押下するごとに、図形表示部31に表示された鋼材の断面が90度単位で回転する。
属性設定部32は、鋼材種類設定部34、配置レベル設定部35、「端点・中点・交点を取得」のラベルが付されたポインタ位置付け指定ボタン36、および属性取得部ボタン37を有する。
鋼材種類設定部34には、以降の操作において、設計対象の架台に使用する鋼材の種類と、寸法とを設定する。鋼材の種類は、等辺山形鋼、溝型鋼、H鋼、丸形鋼管、角形鋼管、鋼板等である。鋼材の種類を設定するフィールドを特に、鋼材種別設定部34Aという。
寸法は、鋼材の種類に応じて、選択可能なプルダウンメニューのリストから選択可能である。鋼材の寸法を設定するプルダウンメニューのリストを特に、サイズ設定部34Bと呼ぶ。
例えば、等辺山形鋼に対してL65×65×6、L100×100×10のように、鋼材の種類と断面寸法を指定したリスト中から選択可能である。この種類と断面寸法は、2つの山形部分の長さA、Bと、板の厚みtによって、”L A×B×t”の一般式で記述される(図1参照)。
同様に、溝型鋼に対して、種類と断面寸法は、溝の両側の壁部を構成する2つの板の幅B、2つの板の厚みt2、その2つの板に挟まれた溝の底面を構成する底面の板の厚みt1、底面および底面の両側の2枚の板を含む溝型鋼全体の幅Hによって、”[ H×B×
t1×t2”の一般式で示される。この種類と断面寸法を指定したリストがプルダウンメニューで表示される。
同様に、H鋼に対して、種類と断面寸法は、断面でHの字に含まれる両側の壁部を構成する2つの板の幅B、その2つの板に挟まれたHの字の中心を構成する板の厚みt1、Hの字の両側の2つの板の厚みt2、中心の板を挟む両側の外面から外面までの距離である、H型鋼全体の幅Hによって、”H H×B×t1×t2”の一般式で示される。この種類と断面寸法を指定したリストがプルダウンメニューで表示される。
同様に、丸形鋼管に対して、種類と断面寸法は、断面の円の直径Φ、鋼管の厚みtによって、”O Φ×t”の一般式で示される。この種類と断面寸法を指定したリストがプルダウンメニューで表示される。なお、本実施形態では、丸形鋼管を単に鋼管、あるいは、一般鋼管とも呼ぶ。
同様に、角形鋼管に対して、種類と断面寸法は、断面を構成する矩形の一方の辺の長さA、他方の辺の長さのB、鋼管の厚みtによって、”ロ A×B×t”の一般式で示される。この種類と断面寸法を指定したリストがプルダウンメニューで表示される。
同様に、鋼板に対して、種類と断面寸法は、断面の厚みtによって、”PL t”の一般式で示される。この種類と厚みを指定したリストがプルダウンメニューで表示される。
配置レベル設定部35には、その鋼材を配置する床からの高さを設定する。すなわち、配置レベル設定部35は、表示装置8の画面に表示される平面の位置を平面に垂直な座標軸方向にて設定する設定操作機能を提供する。本設計支援装置では、最初に配置する鋼材は、まず、床面に対して平行に配置されることになる。ただし、架台表示部の平面図上で鋼材の第1点目に、第2点目を重畳した状態で第2点目確定前に(この状態の画面の表示を仮表示という)、配置レベル設定部35の値を変更すると、鋼材は、床面に対して垂直方向に延伸して配置される。
なお、鋼材を作図途中で、配置レベル設定部35の値を変更すると、鋼材の両端で、床面に対して斜め、または垂直に鋼材を配置できる(図29、図30のオペレーション例を参照)。この機能は、例えば、筋交い等の補強材などを作図に便利である。また、平面図(XY平面をZ軸方向から見た図)を作図中に、Z軸方向の鋼材を作図するにも便利である。
ポインタ位置付け指定ボタン36を選択状態にすると、1以上の鋼材が配置された状態で、さらに、次の鋼材を配置する際に、その配置を指定する操作において、ポインティングデバイスのポインタが、画面上の線分の端点、中点、または線分と線分の交点に位置付けられる。ここで、線分は、画面上で、鋼材の形状を描画したグラフィックスの線分、または、基準の位置(例えば、所定部分の中心線等)を示す線分である。また、「位置付けられる」とは、ユーザが操作するポインティングデバイスのポインタが、いずれかの線分の端点、中点、または線分と線分の交点から、所定の距離に近づくと、そのポインタの位置が、ユーザ操作に関わりなく、近づいた端点、中点、または交点上に置かれるように、設計支援装置がポインタを制御することをいう。
属性取得部ボタン37は、鋼材設定ダイアログ中の情報を読み取るように、設計支援装置に指示するボタンである。本設計支援装置は、属性取得部ボタン37へのポインティングデバイスによる指示を検出し、鋼材設定ダイアログ中の情報を読み取る。以降、そのときの鋼材設定ダイアログ中の情報により、架台の設計が続行されることになる。
さらに、属性取得部ボタン37によって、すでに作図した鋼材の情報を取得できる。例えば、例えば、L65×65×6の等辺山形鋼が作図済みである場合、その鋼材を選択して、属性取得部ボタン37をポインティングデバイスで操作すると、L65×65×6の等辺山形鋼の属性、基準点位置(以下の(2)参照)、および向きの情報(以下の(3)参照)が取り込まれる。そして、その状態で、他の作図済みの鋼材(例えば、溝型鋼)を選択する(例えば、クリックする)と、その鋼材が、L65×65×6の等辺山形鋼となり、基準点位置、向き等も、属性取得部ボタン37で取り込まれた属性に変更される。このような鋼材の属性の変更は、上記等辺山形鋼と溝型鋼との組み合わせ以外についても同様である。さらに、鋼材の仮表示中に、属性取得部ボタン37をポインティングデバイスで操作すると、仮表示中の鋼材がどのような属性を有しているかが、表示される。
(2)基準点切替機能
図6により、基準点切替機能を説明する。基準点切替機能とは、図4の鋼材設定ダイアログで設定した基準点を、架台の作図中、あるいは、作図後に変更する機能をいう。
本設計支援装置は、鋼材設定ダイアログにおいて、3×3のラジオボタンを操作することによって、鋼材設定ダイアログ上で基準点切替機能を提供する。この鋼材設定ダイアログ上での基準点の切替に連動して、架台表示部の平面図、あるいは、断面図においても、基準点が切り替わる。
このような操作の他に、本設計支援装置は、ポインティングデバイスのボタン操作による基準点切替機能を提供する。例えば、すでに作図済みの鋼材をポインティングデバイスで選択した後、キーボードのコントロールボタンの押下とともに、ポインティングデバイス(例えば、マウス)の左ボタンを押下する。この操作によって、基準点は、鋼材の断面上で、水平方向に1区間、例えば、右方向に移動する。1区間とは、例えば、3×3のマトリクスで基準位置が設定される場合に、横方向の一要素分の区間をいう。さらに、同一の操作を繰り返すと、基準点は、水平方向にさらに1区間移動する。このような操作を繰り返すことによって、基準点が、マトリクスの端部の要素(例えば、右端)に位置した状態で、さらに、移動を指示すると、基準点は、水平方向で、移動方向と逆方向の端部(例えば、左端)の要素に移動する。
本設計支援装置は、架台表示画面上での基準点切替操作に連動して、鋼材設定ダイアログの基準点位置も切り替えられる。複数の鋼材が選択された状態で、基準点の切り替えが指示されると、設計支援装置は、最初に選択された鋼材の状態に、鋼材設定ダイアログの表示を合わせる。
このようにして、ユーザは、キーボードとポインティングデバイスの操作によって、鋼材設定ダイアログに戻ることなく、設計中の架台、または、設計後の架台を表示する架台表示部の画面にて、基準点を移動できる。なお、水平方向での基準点の移動は、右方向に限らず、左方向に移動するようにしてもよい。
図6では、架台表示画面とともに、鋼材設定ダイアログD1−D3が表示されている。図6で、架台表示画面は、鋼材を上方から見た平面図を表示している。図6の左側の状態では、基準点は、等辺山形鋼の断面で3×3のマトリクス上の左上に位置する。キーボードの押下ととポインティングデバイスの操作(クリックともいう)によって、基準点は、3×3の中央上点に移動する。さらに、キーボードの押下ととポインティングデバイスの操作によって、基準点は、3×3の右上点に移動する。このとき、架台表示画面では、三角マーク101によって、基準点位置が示される。このように、ユーザは、簡易な操作によって、架台作図中、あるいは、架台作図後に、基準点を水平方向に移動できる。なお、以上のような基準点の移動は、鋼材設定ダイアログ上でラジオボタンを操作した場合も同様である。
(3)向き切替機能
図7および図8により、向き切替機能を説明する。向き切替機能とは、鋼材を中心軸に対して90度単位で回転する機能をいう。向き切替機能は、図4の回転ボタン33をポインティングデバイスで押下することによって、実行される。また、回転ボタン33を操作する代わりに、キーボードのシフトキーの押下とともに、ポインティングデバイスの左ボタン押下によって、向きの変更(90度回転)が実行される。
本設計支援装置は、画面に表示されているいずれかの鋼材が選択された状態で、鋼材の回転が指示されると、断面中の基準点は、移動しないで、鋼材を回転する。このとき、鋼材設定ダイアログ上の断面も連動して回転する。なお、複数の鋼材が選択された状態で、鋼材の回転が指示されると、最初に選択された鋼材の向きに鋼材設定ダイアログの向きが合わせられる。
図7の上側のフローは、基準点が断面のマトリクス中で左上に位置する場合の例である。設計支援装置は、回転ボタン33に対する押下操作を検知すると、鋼材設定ダイアログD4−D7に示すように、鋼材は、断面内で、時計回りの方向に90度単位で回転する。このとき、架台表示画面上では、その回転に連動して、鋼材の側面が表示される。ただし、基準点を示す三角マーク101の位置は、移動しない。図7の下側に示すように、基準点が、断面のマトリクスの中心に置かれた場合も同様である。
図8に、H鋼に対して向き切替機能を実行した例を示す。図7の例では、操作の対象が等辺山形鋼であったため、向きの切替に伴う、鋼材断面位置と、基準点位置とのずれは生じなかった。図8のH鋼は、断面寸法B(Hの字の両脇の板の外面間の距離)と、断面寸法H(Hの字の両脇の板の幅)が、一致しない。したがって、Hの字を取り囲む矩形は、長方形となっている。この場合、例えば、基準点を3×3のマトリクス中で、左下に固定した状態で、H項を断面内で回転すると(矢印A1)、基準点が、H鋼の断面から離れた状態になる(円形C1参照)。
この場合、本設計支援装置は、回転した断面内で、改めて鋼材の外周を取り囲む矩形を生成し、矩形上に3×3のマトリクスを設定する(矢印A2参照)。そして、新たに設定された3×3のマトリクスの左下点を基準点に設定する。ただし、図8は、向き切替機能の説明の都合のために、円形C1内の鋼材から離れた基準点を示している。本設計支援装置のオペレーションでは、向き切替機能実行時に、鋼材から離れた基準点を表示する必要はなく、矢印A2の次の図のように、鋼材に接触した位置に基準点を表示すればよい。本設計支援装置での作図のオペレーションは、基準点にしたがって鋼材と鋼材とをつないで描画する異を予定している。その場合に、鋼材と鋼材との接点を基準点にして描画すると、接続される鋼材間の位置関係が把握しやすく、設計上便利なことが多い。逆に、図8の矢印A1の直後のように、鋼材から離れた位置に基準点があると、位置関係の把握がしづらく、不都合である。そこで、本設計支援装置では、鋼材の回転直後に、基準点を移動するようにしている。
(4)鋼材の種類の切替に伴う基準点の再設定
図9に、鋼材の種類を変更したときの基準点の再設定処理を示す。本設計支援装置は、鋼材の種類を変更した場合も、基準点の位置を維持する。この場合、断面形状、および、断面寸法のいずれかが変更された場合には、基準点を再設定する処理が必要となる。
例えば、等辺山形鋼において、3×3のマトリクスの左上点に、基準点が置かれていた場合を想定する。そして、ユーザ操作によって、鋼材の種類が溝形鋼に変更された場合を想定する。すると、設計支援装置は、溝形鋼の断面の存在領域を構成する矩形を作成し、その矩形を3×3に区切るマトリクスを形成し、左上点に基準点を設定する。このとき、溝形鋼で、断面寸法B(溝の両脇の板の幅)と、断面寸法H(溝の両脇の一方の板の外面
から他方の板の外面までの距離)が、一致しない場合でも、変更された溝形鋼の断面に基準点を設定できる。基準点がマトリクスの中心に置かれていた場合も同様である。
(5)端処理
図10から図13により、端処理について説明する。端処理は、鋼材と鋼材との接続部において、それぞれの鋼材の端部の形状を調整する処理である。
図10に、鋼材が屈曲点なしに配置される場合の処理例を示す。本設計支援装置は、鋼材の端点位置を指定する操作を受け付け、端点を結ぶ線分上に鋼材を配置する。この処理では、開始点である第1点目の位置が指定されると、鋼材設定ダイアログの属性取得ボタン37の操作により取り込まれた属性にしたがって、鋼材が仮表示される。そして、第2点目が指定されると、仮表示されていた鋼材の属性が確定し、鋼材の端点と、鋼材の属性がメモリ2に格納される。このとき、画面上には、第2点目を開始点として、ポインティングデバイスの操作に伴う画面上でのポインタの動きに追従して、2つ目の鋼材が仮表示される。そして、第3点目が確定すると、2つ目の鋼材が確定する。
この場合、第1点目から第3点目までが、同一直線上に指定されると、最初の鋼材と、2つ目の鋼材とが、1つの鋼材に結合される。ただし、第3点目が確定する前に、配置基準点が移動された場合には、鋼材の結合は実行されず、それぞれの鋼材が第1点目から第2点目の間、および第2点目から第3点目の間に存在することになる。
図11に、第1の鋼材に対して、第2の鋼材が直角に配置される場合の処理を示す。この場合、第1点目、および第2点目が確定したとき、第1の鋼材が確定し、第2の鋼材が仮表示されるまでは、図10の直線上の配置と同様である。そして、第3点目が、第1の鋼材に対して、直交する方向に配置されると、第2の鋼材が確定する。
このとき、基準点が、鋼材の中央部にあった場合、第1の鋼材と、第2の鋼材の接続個所において、鋼材の重複と、接続の欠落部分が発生する。このような場合、本設計支援装置は、横方向に置かれた第1の鋼材201と、縦方向に置かれた第2の鋼材202の接続個所において、一方の鋼材201の端部E1を右方向に延ばし、相手鋼材202の外端面の位置まで延長する。また、他方の鋼材202の端部E2を下方向に縮め、相手鋼材の外端面に接触させる。逆に、鋼材202の端部E2を上方向に延ばし、相手鋼材201の外端面まで延長する。そして、鋼材201の端部E1を左方向に縮め、相手鋼材202の外端面に接触させる。
このようにして、鋼材の接続個所の調整処理が実行される。すなわち、第1の構造材201と第2の構造材202との接続位置において、少なくとも一方の構造材を短縮または延伸することによって、その接続位置における複数の構造材の重複除去および隙間の埋め合わせが行われる。ここで、接続位置における構造材が鋼板または等辺山形鋼の場合には、通常2つの構造材の間で重複除去および隙間の埋め合わせが行われる。一方、接続位置における構造材が、溝型鋼、丸形鋼管、角形鋼管等の場合には、構造材を構成する複数の壁面の間で、重複除去および隙間の埋め合わせが行われる。なお、図11では、第1の構造材201と第2の構造材202とが、直交する例を示しているが、構造材の重複除去および隙間の埋め合わせは、複数の構造材が直角以外の角度で接続される場合も同様に行うことができる。
図12に、等辺山形鋼を例として、接続仕様を切り替える例を示す。ここでは、第1点目、第2点目、および第3が選択されたときの架台表示部の画面を想定する。図12は、その場合の架台表示の画面例であり、等辺山形鋼の一方の斜面(以下、第1の斜面という)を側方から表示した図である。また、点線およびハッチングは、他の斜面(以下、第2の斜面という)の位置を示している。第2の斜面は、第1の斜面に直交しており、第1の斜面の裏面に存在する。第2点目が選択されたとき、第1の鋼材が確定し、第3点目が選
択されたとき、第2点目と第3点目との間で、第2の鋼材が確定する。
その場合に、第1の鋼材と第2の鋼材との間で、メモリに記憶されている接続仕様のうちから、所定の基準にしたがって選択された接続仕様にしたがって、第1の鋼材と第2の鋼材とが接続されて表示される。そして、ユーザが、コントロールボタンとポインティングデバイスの左ボタンの押下を繰り返すと、図12の左側の接続仕様と、右側の接続仕様とが切り替わる。
例えば、図12(1)では、第1の等辺山形鋼121と、第2の等辺山形鋼122とが、第1の等辺山形鋼121の第2の斜面121Bにて、第2の等辺山形鋼122の端部が接触する仕様で接続される。この場合、第1の等辺山形鋼121の第2の斜面121Bに対して、第2の等辺山形鋼122の山形を構成する2つの板材の端部が接触するので、接続は強固となる。この場合、実際の接続は、溶接等の手法が用いられる。
一方、図12(1)が表示された状態で、ユーザが、コントロールボタンとポインティングデバイスの左ボタンを押下すると、図12(2)の接続仕様が表示される。この場合、一見、第1の等辺山形鋼121の端部が、第2の等辺山形鋼122の斜面に接続される仕様となる。しかし、実際には、第2の等辺山形鋼122の第2の斜面122Bは、第1の等辺山形鋼121の端部から離間した位置にあり、第1の等辺山形鋼121の端部は、第2の等辺山形鋼122の一方の山形を構成する板材の断面と接続することになる。端的にいえば、図12(1)では、鋼材121と鋼材122とが線で接触するのに対し、図12(2)では、鋼材121と鋼材122とが点で接触する。したがって、図12(2)の場合の第1の等辺山形鋼121と、第2の等辺山形鋼122との間の接触面積が小さく、接続は強固とならない。以上の操作は、図12(3)−(8)についても同様である。
このように、一方の鋼材の端部が、他方の鋼材の側面に強固に接続できるかどうかは、架台表示部に表示される鋼材側面の裏面に存在する側面の位置関係による。この側面は、鋼材の向きを切り替えることで移動することができる。例えば、図12(1)の第1の鋼材121の向きを切り替えると、(5)(7)のようになり、接続が強固でなくなる。一方、図12(2)の第2の鋼材122の向きを切り替えると、(4)(8)のようになり、接続が強固になる。
このように、等辺山形鋼の接続は、2つの鋼材のいずれを延長し、いずれを縮めるか、という接続部の関係指定と、それぞれの鋼材の向きを回転させることで、接続仕様を変更できる。本設計支援装置によれば、接続部の関係指定と、鋼材の向きとを自在に切り替えて表示できるので、ユーザは、架台の設計中に、接続部の仕様を自在に選択し、設定できる。
なお、図12では、等辺山形鋼を用いて説明したが、架台表示部の平面図および断面図に対する表示の仕方は、溝形鋼、H鋼についても、同様である。したがって、溝形鋼、H鋼についても、図12の手順と同様に、簡易に鋼材の接続部の仕様を確定できる。
図13に、溝形鋼の接続仕様を切り替える例を示す。図12の等辺山形鋼の場合と同様、架台表示部に、平面図または断面図として表示される側面に隠された裏面側の側面が、点線とハッチングで表示される。図13で、第1の鋼材131は、溝形鋼である。また、第2の鋼材132は、溝形鋼を90度回転した側面、すなわち、溝を挟む2つの板材を側方から見た図としてもよいし、図12と同様の等辺山形鋼としてもよい。左側の仕様と、右側の仕様とは、コントロールボタンとポインティングデバイスの左ボタンの押下によって切り替えられる。この場合、図13の左側では、強固な接続が可能であり、右側では、強固な接続が困難であることが分かる。
図14に、H鋼とH鋼との接続仕様を切り替える例を示す。図12の等辺山形鋼の場合と同様、架台表示部に、平面図または断面図として表示される側面に隠された裏面側の側面が、点線とハッチングで表示される。この場合、2つの鋼材がH鋼であるので、図14の左側では、強固な接続が可能であり、右側では、強固な接続が困難であることが分かる。
他の鋼材、すなわち、角形鋼管、鋼板についても、同様に、接続仕様を確定できる。また、異なる鋼材の接続部の接続仕様を同様に確定できる。例えば、角形鋼管と、等辺山形鋼または溝形鋼の接続部の仕様は、図13と同様の表示になる。
図12−14では、鋼材の側面の裏面側に、その側面に直交する他の側面が隠されている状態で、鋼材と鋼材との接続仕様を表示する例を示した。しかし、そのような状態に限定されず、鋼材の側面の表面側に、その側面に直交する他の側面が明示されている状態についても、同様に、本設計支援装置は、鋼材と鋼材との接続仕様を表示し、設計を支援できる。
なお、図12の(2)(5)(6)(7)、図13の右側、図14の右側はいずれも、接続が強固とならない例を示している。しかし、このような強固ではない接続も、例えば、接続される鋼材の間に鋼板を介して溶接等をすることが行われる。したがって、そのような強固ではない関係での鋼材の接続が全く採用されないわけではない。したがって、本設計支援装置は、そのようなオペレーションを排除するわけではない。
図15から図18に、本設計支援装置で表示される、鋼材と鋼材との接続部の例を示す。図15−19は、それぞれ、縦方向の欄と、横方向の欄を有するテーブルが表示されている。そして、縦方向の欄と、横方向の欄には、複数の鋼材の種別と、向きによる鋼材の配置条件が指定されている。以下、図15−19において、縦方向に配置条件が分類される鋼材を第1の鋼材と呼ぶことにする。また、横方向に配置条件が分類される鋼材を第1の鋼材と呼ぶことにする。例えば、図15は、H鋼が、2つの向きで、場合分けされている。例えば、第1行であるR1は、第1の鋼材として、H鋼の両側の板材の方向から見た側面を表示したときの第2の鋼材(H鋼、溝形鋼)の接続仕様を示す。
また、第2行であるR2は、第1行であるR1に対して、第1の鋼材を90度回転した状態の接続仕様を示す。また、第3行(R3)から第6行(R6)は、第1の鋼材である溝形鋼をそれぞれ90度回転した状態で接続仕様である。また、第2の鋼材の向きは、第1列(C1のH鋼)、から第6列(C6の溝形鋼)まで、R1−R6の条件と同様である。
同様に、図16は、図15のR1からR6に対して、等辺山形鋼を90度単位で回転したもの(C7−C10)、丸形の鋼管(C11)および角形鋼管(C12)を組み合わせたものである。
同様に、図17は、等辺山形鋼を90度単位で回転したもの(R7−R10)、丸形の鋼管(R11)および角形鋼管(R12)を第1の鋼材として、C1−16を組み合わせたものである。同様に、図18は、R7−R12と、C7−C12の組み合わせに対する接続仕様である。
ただし、いずれも、第1の鋼材が、接続点から延長され、第2の鋼材が接続点から第1の鋼材の外形面まで縮められた接続仕様であり、第1の鋼材が、接続点から第1の鋼材の外形面まで縮められ、第2の鋼材が接続点から延長された接続仕様は省略されている。し
かしながら、図12−図14と同様の操作で、いずれの接続仕様も簡易に、架台表示部の平面図あるいは断面図として表示できる。
図19に、すでに作図した架台を構成する鋼材の接続個所の変更手順の一例を示す。上記図12から図14では、架台表示部に、鋼材の端点を設定する途中、例えば、鋼材が仮表示された状態での接続仕様の変更手順を示した。この接続仕様の変更は、一旦作図が終了した架台に対しても可能である。鋼材接続個所の端処理を変更する場合、まず、ユーザは、変更対象の接続個所で接続される2つの鋼材を選択する。本設計支援装置は、ユーザが、キーボードのコントロールボタンが押下された状態で、ポインティングデバイスの左ボタンが押下されると、端処理の仕様を切り替える。例えば、図12と同様、横方向の第1の鋼材101が延長され、上下方向の第2の鋼材102が縮んだ接続仕様が表示される。さらに、同一の操作で、切り替えが指示されると、横方向の第1の鋼材101が縮み、上下方向の第2の鋼材102が延長された接続仕様が表示される。このようにして、2種類の接続仕様が切り替えられて表示される。
(6)架台変形機能
本設計支援装置は、作図中および作図後の架台の変形機能を提供する。変更機能として、寸法を入力する指定、変形倍率を入力する指定の他、指定点を移動することによる変形機能を提供する。本設計支援装置は、まず、ユーザ操作を検知し、指定点の設定を受け付ける。次に、その指定点の移動先の指定を受け付ける。そして、本設計支援装置は、指定点を移動先に移動することによって、変形すべき鋼材を特定する。
この場合、変更すべき鋼材は、指定点を端点とする鋼材であって、移動方向に平行な鋼材が選択される。一方、指定点を端点とする鋼材であって、移動方向に垂直な鋼材は、両端点が移動される。この変形操作は、平面図または断面図に対してなされた場合、変形された鋼材および移動された鋼材と平行な関係にあるある鋼材は、同様に変形される。図20に、架台変形機能の実行例を示す。図20の下側に示すように、架台が3次元空間内で変形される。
図20の例では、まず、例えば、延ばす方向を指定し、次に、移動対象(例えば、架台の上半分)を囲う。例えば、ポインティングデバイス操作等すると、領域を囲む点線が表示される。すると、囲われた部分が指定方向に延ばされる。この機能によって、作図後の架台を塊としてとらえ、属性をそのままにして変形することができる。
さらに、この設計支援装置では、平面図のほかに断面図も表示できる。断面図とは、架台を水平方向に見る図であり、例えば、図20の上の図が断面図の模式図である。本設計支援装置は、断面図において、斜め方向への移動を指定することによって、架台を斜め方向に変形することも可能である。その場合には、ポインタによる点線で囲まれた個所は、指定の斜め方向に変形される。この操作によって、点線囲まれた個所の鉛直方向(Z軸方向)の線は、延伸または短縮され、水平線(XY平面内の線)は、移動方向に斜めに変形される。
(7)架台名称付加機能
架台名称付加機能とは、設計された架台を構成するそれぞれの鋼材に架台名称を付する機能である。架台名称は、メニューの選択によって起動される架台名設定ダイアログに名称を入力することで設定される。入力された名称は、架台作図時に設定したそれぞれの鋼材のレコードに格納される。
架台名称は、それぞれのレコードで規定される鋼材が、どの架台の設計に使用されるのかを明示するラベルの機能を提供する。したがって、レコードを格納したデータベースから、特定の架台名称のレコードを抽出することによって、その架台の製作に必要な鋼材一覧を作成できる。また、同一の種類の鋼材、あるいは同一種類かつ同一断面寸法の鋼材を
集計することによって、必要な鋼材量の見積もり作業を支援できる。
<操作フロー例>
以下、図21から図30にしたがって、本設計支援装置による架台作図時の操作フロー例を説明する。
(1)鋼材作図アイコンのクリック
ユーザが、画面上の鋼材作図アイコンをポインティングデバイスでクリックすると、本設計支援装置は、鋼材設定ダイアログ(図4参照)を表示する。
(2)描く鋼材の選択
ユーザは、まず、鋼材種別設定部34Aにて、鋼材の種類を選択する。鋼材の種類は、プルダウンメニューのリストとして表示される。ここでは、H鋼を選択したものとして説明する。すると、図21に示すように、図形表示部31にH鋼の形状が表示される。さらに、サイズ設定部34Bは、H鋼のサイズを選択するプルダウンメニューに変化する。例えば、図21に示すように、H125×125×6.5×9を選択する。
(3)配置レベルの入力
次に、配置レベル設定部35にレベル、すなわち、床からの高さを入力する。ここでは、図21に示すように、2250を入力したものとする。
(4)配置基準点の選択
次に、図形表示部31に示された3×3のラジオボタンから、配置基準点を設定する。ここでは、図21に示すように、中央のラジオボタンが選択されたとして説明する。以降、架台表示部の作図領域での作図を実行する。
(5)架台表示部の作図領域での作図
(5−1)ユーザが、作図開始点(第1点目)をポインティングデバイスで指示する。そして、ポインティングデバイスを鋼材の延伸方向に操作する。すると、図22(1)に示すように、本設計支援装置は、画面上で、ポインタの移動に追従して、鋼材を延伸させ、鋼材を仮表示する。仮表示は、例えば、薄い線、細い線等による表示である。あるいは、仮表示は、実線以外の点線等による表示であってもよい。
(5−2)ユーザが、第2点目を確定する。あるいは、ユーザが第1点目からの相対座標値を入力する。すると、本設計支援装置は、鋼材の両端点を確定できるので、確定した2点を結ぶ位置に第1の鋼材が確定したことを示す形式で表示する。確定したことを示す形式は、例えば、太い線での表示である。
(5−3)ユーザは、ポインティングデバイスでの操作方向を第1の鋼材の延伸方向から90度回転した方向とすることによって、作図方向を変更できる。この操作によって、第2の鋼材が、例えば、図22(3)に示すように、下方向に仮表示される。
(5−4)ユーザは、鋼材の仮表示中に、鋼材設定ダイアログの設定値を変更できる。ここでは、例えば、鋼材種類設定部34を変更し、溝形鋼([ 150×75×9×12.5)を選択したものとして説明する。すると、設計支援装置の画面は、図23のように、溝形鋼が表示される。
さらに、ユーザが、回転ボタン33をポインティングデバイスで操作すると、2回のクリックによって、溝形鋼を180度回転できる。さらに、ユーザが、配置基準点を断面右上に設定する。本設計支援装置では、断面内の左右方向は、作図の進行方向に向かったときの左右方向と一致する。したがって、鋼材の回転と基準点の変更により、図24に示すように、溝形鋼の背面(溝と反対側の面)が第1の鋼材に接触する形式で、第2の鋼材である溝形鋼が仮表示される。
(5−5)ユーザが第3点目を確定すると、第2の鋼材が確定された形式で表示される。さらに第1の鋼材と第2の鋼材との接続部が、所定の形式で表示される。ここで、所定の形式とは、例えば、ユーザが環境設定機能によってデフォルトで設定した形式である。ただし、図12−図14に示したように、コントロールボタンとポインティングデバイスの左ボタンの押下によって、接続部の仕様を切り替えることができる。
図25は、架台表示部の画面例である。また、図26は、平面図とともに、断面図を表示する画面の例である。ここでは、上記の操作を繰り返して、枠状の架台を構成した例を示している。この例では、第4点目は、3点目から第2の鋼材をそのまま延長した位置にある。また、第4点目の後の仮表示で、第3の鋼材がH鋼に変更されている。また、第5点目確定後、第4の鋼材が溝形鋼に変更され、さらに、向きが第2の鋼材に対して180度回転している。なお、図25に示すように、本設計支援装置は、平面図(および断面図)を表示する架台表示部とともに、鋼材設定ダイアログを表示する。したがって、鋼材によって架台を作図中に、仮表示された鋼材の属性の参照、確認、属性の変更を行うことができる。そのため、本設計支援装置は、複数の鋼材を組み合わせて構成する架台の設計を効果的に支援する。
図27および図28は、一旦作図が完了した架台に対して、さらに、鋼材を追加する処理を示している。図27の鋼材設定ウィンドウに示すように、現在、鋼材としてH125×125×6.5×9が設定されている。この処理では、ユーザは、まず、第1点目を確定する。図27の例では、枠状の架台を構成する溝形鋼の端部に第1点目が設定されている。
そして、ユーザが例えば、断面図を示す画面領域にて、ポインティングデバイスを操作すると、断面図を示す画面領域で、ポインタの動きに追従してH鋼が仮表示される。さらに、断面図上で、第2点目を確定することによって、H鋼が確定した状態で表示される。
このとき、追加されたH鋼と、枠状を構成する溝形鋼の接続部分で端処理が実行される。すなわち、図28の平面図の領域に示すように、H鋼の外面(図28の平面図で上側の面)まで、溝形鋼が短縮され、H鋼の外面に接触している。
図29および図30に、配置レベルの設定を変更しつつ、架台を作図する操作例を示す。図29および図30は、ともに、平面を示す領域、および断面を示す領域を含む架台表示部の画面例である。図29では、まず、配置レベルが、FL+0に設定され、平面を示す領域上で、第1点目P1、第2点目P2が確定し、第1の鋼材230が実線で表示されている。そして、第3点目P3が確定前に、点線で第2の鋼材231が表示されている。
この状態で、鋼材設定ダイアログの配置レベル設定部35に、FL+200が設定されると、第2の鋼材231の2つ目の端点である第3点目P3の高さ方向の位置が、断面図上FL+200に移動する。このとき、ユーザは、そのまま平面図上で、第3点目を確定し、さらに、次の鋼材を仮表示させて、さらなる作図を続行すればよい。
図30は、平面図上で第3点目P3を第2点目P2の位置に重畳した上で、配置レベルを変更する例を示している。この場合も、ユーザは、平面図上、配置レベルFL+0設定、第1点目確定、第2点目確定、第3点目を第2点目に重ねた上で、配置レベルFL+100設定という操作で、作図ができる。さらに、ユーザは、そのまま平面図上で、第3点目を確定し、さらに、次の鋼材を仮表示させて、さらなる作図を続行すればよい。
このように、本設計支援装置によれば、平面図上での作図操作、あるいは、断面図上での作図操作と組みあわせて、鋼材設定ダイアログの配置レベル設定部35の設定を変更していくことで、鋼材を断面図上(鉛直面内)で、斜め方向に作図できる。したがって、例えば、ユーザは、平面を示す領域内だけを操作して、鉛直線に対して斜め方向の鋼材の作図ができる。このような機能により、ユーザは、平面を示す領域内だけで筋交い等の補強材の作図を簡易に行える。もちろん、直接、断面図上で、第1点目に対して斜め方向に第2点目を指定することで、鉛直面内で斜めに傾いた鋼材を作図してもよい。
同様に、ユーザは、本設計支援装置によれば、平面図上での作図操作、あるいは、断面図上での作図操作と組みあわせて、鋼材設定ダイアログの配置レベル設定部35の設定を変更していくことで、鋼材を断面図上(鉛直面内)で、鉛直方向に作図できる。したがって、例えば、ユーザは、平面を示す領域内だけを操作して、鉛直線方向の鋼材の作図ができる。もちろん、直接、断面図上で、第1点目に対して鉛直線方向に第2点目を指定することで、鋼材を作図してもよい。
<データ構造>
図31に、本設計支援装置で設定される架台データのレコードの構造を示す。架台データは、図31の単位を1レコードとして設計データベースに格納される。1レコードが、架台を構成する1つの鋼材の情報を格納する。架台データは、図23−図28の操作例で説明した第2点目が確定するごとに生成され、ユーザによる”データ格納”の指示(例えば、エンターキーの押下等)があったときに、データベースに格納される。
図31のように、架台データのレコードは、レコードID、架台名称、架台ID、鋼材の種類、断面寸法、基準点の位置、鋼材の向き、第1端点の座標、第1端点での接続部の仕様、第2端点の座標、第2端点での接続部の仕様の各要素を含む。
レコードIDは、データベース中で、各レコードをユニークに識別する情報である。架台名称は、設計対象の架台を特定する情報である。架台IDは、データベース中で、設計対象の架台をユニークに識別する情報である。
架台の種別は、鋼材の種別を特定する情報である。この情報は、図4の鋼材設定ダイアログにて、鋼材種別設定部34Aに設定した文字列である。本実施形態では、鋼材ごとに、L(等辺山形鋼)、[(溝形鋼)、H(H鋼)、O(鋼管)、ロ(角形鋼管)、PL(鋼材)のいずれかが設定される。
断面寸法は、鋼材の種別に応じた断面寸法が指定される。一般式で、等辺山形鋼 :”L A×B×t”、溝形鋼 :”[ H×B×t1×t2”、H鋼 :”H H×B×t1×t2”、(丸形)鋼管:”O Φ×t”、角形鋼管:”ロ A×B×t”、鋼材 :”PL t”として表される文字列が設定される。
基準点の位置には、鋼材の断面の存在領域を示す矩形を3×3に区分するマトリクスの座標値(I,J)I=1〜3、J=1〜3が設定される。
鋼材の向きは、鋼材の中心軸に対する回転角が設定される。例えば、0:回転なし、1:時計回りに90度回転、2:時計回りに180度回転、3:時計回りに270度回転のように情報が設定される。なお、回転なしのときの向きは、鋼材ごとに決定されている。例えば、等辺山形鋼の回転なしの状態は、谷を構成する内角90度の空間が座標軸の第1象限を向く状態である。すなわち、断面が、“L”の形に見える向きである。同様に、溝形鋼の回転なしの状態は、溝が、座標軸でX軸方向を向く状態である。すなわち、断面が“[”の形に見える向きである。同様に、H鋼の回転なしの状態は、断面が“H”の形に見える状態の場合である。
第1端点の座標は、鋼材の開始点の座標(X,Y,Z)である。また、第1端点での接続部の仕様は、第1端点に接触する相手鋼材との接触の仕方を指定する情報である。例えば、この情報として”0”は、相手鋼材の側面外壁に、当該鋼材の端面が接触する指定である。例えば、図12(1)の等辺山形鋼122の端面が、等辺山形鋼121の側面に接触する場合の、等辺山形鋼122の当該端点の接続仕様である。また、”1”は、当該鋼材の側面外壁に、相手鋼材の端面が接触する指定である。例えば、図12(1)の等辺山形鋼121の側面が、等辺山形鋼122の端面に接触する場合の、等辺山形鋼121の当
該端点の接続仕様である。第2端点についても、同様の情報が設定される。
図32に、鋼材と鋼材との接続仕様を分類する接続仕様テーブルの例を示す。接続仕様テーブルは、第1の鋼材の種別と向き、第2の鋼材の種別と向き、第1の鋼材の第2の鋼材に対する接続仕様の組み合わせに対して、接続部分の接触面積、およびユーザ指定の順位を保持する。
例えば、図32の表の1行目は、第1の鋼材の種別が等辺山形鋼であり、向きは0である。すなわち、L字の断面で、90度の角度をなす2つの板に挟まれた空間が第1象限を向く状態である。同様に、第2の鋼材の種別が等辺山形鋼であり、向きは0である。そして、接続仕様は0、すなわち、第1の鋼材の端面が、第2の鋼材の側面に接触する仕様である。この場合、接触面積は、A×t+B×t−t×tと記述できる。ここで、AとBは、等辺山形鋼のそれぞれ辺を構成する板の幅であり、tは、板の厚みである。
一方、図32の表の第2行目は、第1行目に対して、接続仕様は1、すなわち、第1の鋼材の側面に、第2の鋼材の端面が接触する仕様である。この場合、接触面積は、A×tと記述できる。したがって、接触面積の大きさによって、向き0の等辺山形鋼と、向き0の等辺山形鋼とを組みあわせた接続仕様を選択する場合、図32の表の第1行目ではなく、第2行目の条件から、接続仕様1(第1の鋼材の側面に、第2の鋼材の端面が接触する仕様)が選択される。
なお、ユーザ指定は、ユーザが事前にマニュアル設定で、優先順位を設定した場合の優先順を示す。接触面積の順と、ユーザ指定優先順位とが異なる場合に、いずれを優先するかは、例えば、設計支援装置へのシステムパラメータで設定できるようにすればよい。
図32は、等辺山形鋼、溝形鋼、H鋼、丸形鋼管、角形鋼管等、鋼材の組み合わせに対して、接続仕様、接触面積、およびユーザ指定優先順位を保持する。したがって、本設計支援装置は、ユーザが、鋼材の配置を確定していくときに、ユーザにとって好ましい形態の接続仕様で接続した鋼材を表示できる。
<処理手順>
図33に、鋼材作図の処理フローを示す。この処理は、ユーザの操作に応答して、鋼材を組み合わせて架台を作成する処理である。この処理では、まず、設計支援装置は、鋼材作図プログラムを起動する(S1)。鋼材作図プログラムにより、鋼材作図のための様々のメニュー(機能ともいう)が提供される。鋼材作図の処理では、主として、鋼材が配置される経路が設定される。経路は、例えば、2点を指定した線分によって設定される。
次に、ユーザがメニューから鋼材アイコンをクリックすると、設計支援装置が、その操作を検知し、本設計支援装置は、鋼材設定ダイアログを画面に表示する(S2)。鋼材設定ダイアログに対して、図4を用いて説明した項目がユーザによって設定される。そして、ユーザが、属性取得ボタン37をクリックすると、本設計支援装置は、鋼材設定ダイアログに設定された情報を取り込む(S3)。
次に、ユーザは、架台表示部の平面図または断面図の表示領域で、架台の作図を実行する。まず、ユーザがポインティングデバイスを操作し、始点(第1点目)を入力する。すると、設計支援装置は、その入力を受け付け、始点の座標を算出し、保持する(S4)。このとき、設計支援装置は、ポインタの動きに追従させて、鋼材を仮表示する。
さらに、このとき、設計支援装置は、仮表示されている鋼材の基準点、および向きの切り替えを受け付ける(S5)。ユーザが、鋼材の基準点、または向きを切り替える入力をした場合には、その入力に応じて、基準点または向きが変更になる。
また、ユーザが2点目以降の通過点を指示した場合(S6でNOかつ、S8でYESの場合)、その点が確定し、設計支援装置は、制御をS5に戻す。なお、本設計支援装置の処理では、今確定した鋼材の第2点目(終点)が、次の鋼材の第1点目(始点)となる。
また、第3点目以降の通過点に対して、本設計支援装置は、端処理を実行する(S7)。すなわち、直線上の通過点については、そのまま鋼材が接続される(図10参照)。また、鋼材の第1点から第2点に至る第1の鋼材に対して直交する方向に第3点を設定した場合、第2点目から第3点目に至る第2の鋼材の属性が確定するとともに、第1の鋼材と第2の鋼材との接続部で端処理が実行され、デフォルトで設定されている端処理のパターンが表示される(S7)。
以上のようなS5−S8の処理を繰り返すことによって、ユーザは、自在に鋼材の基準点と向きを変更しつつ、架台を作図する。そして、ユーザがエンターキーを押下すると、設計支援装置は、その操作を検出し(S9)、鋼材の配置を確定する(S10)。これによって、データベースに、確定した鋼材の情報が、図31に示したレコード形式で格納される。
その後、設計支援装置は、制御をS2に戻す。その後、ユーザは、鋼材設定ダイアログの設定を変更し、さらに作図を継続できる。図33では、省略しているが、ユーザが作図終了を指示すると、鋼材作図プログラムが終了する。
図34に、鋼材と鋼材との間の接続仕様の選択処理の例を示す。図34の処理は、図33のS7にて、実行される端処理でのデフォルトで設定されている端処理のパターンの選択手順の例である。
この処理では、設計支援装置は、第1の鋼材の種別、向き、第2の鋼材の種別、向きの組み合わせから、接続仕様テーブルを検索する(S71)。そして、本設計支援装置は、第1の鋼材の種別、向き、第2の鋼材の種別、向きの組み合わせにて特性される複数の条件から、接続仕様を選択する。
すなわち、本設計支援装置は、接続仕様として、ユーザ指定を優先するか、接触面積を優先するかを判定する(S72)。そして、接触面積を優先する場合、本設計支援装置は、図32の接続仕様テーブル中の第1の鋼材の種別、向き、第2の鋼材の種別、向きの組み合わせにて特性される複数の条件から、接触面積の大きい条件を選択する。一方、ユーザ指定を優先する場合、図32の接続仕様テーブル中の第1の鋼材の種別、向き、第2の鋼材の種別、向きの組み合わせにて特性される複数の条件から、ユーザ指定の優先度が高いものを選択する(S74)。
以上のように、本設計支援装置によれば、架台を作図するときに、鋼材と鋼材との間の接続仕様について、好ましい条件にて選択して、架台表示部の画面上に表示できる。図34では、接続仕様の選択条件として、ユーザ指定と接触面積の種類の選択基準を示した。しかし、本発明の実施は、このような処理に限定されるわけではない。他の条件、例えば、設計支援装置で、接触面積、あるいは、ユーザ指定のいずれかに選択条件を固定してもよい。また、設計支援装置で、デフォルトの優先順を固定しておいてもよい。また、接続の仕様として、0または1すなわち、一方の鋼材の端面が他方の鋼材の側面に接触する仕様以外に、L字形状に2つの鋼材が接続されるときに、45度で、接触するようにしてもよい。すなわち、一の構造材の延伸方向に対して垂直方向に次の構造材が延伸してL型部の側面を構成する場合に、L型部の外周頂点とL型部の内周角部とを接続する境界線で一の構造材と次の構造材と接続するようにしてもよい。
図35に、鋼材編集処理の処理フローを示す。鋼材編集処理では、一旦配置された鋼材の向き、サイズ、種別等が編集、再設定される。ユーザが、メニューから鋼材編集アイコンをクリックすると、鋼材編集コマンドが起動される。
そして、設計支援装置は、エスケープキーが押下された否かを監視する(S20)。エスケープキーが押下されると、鋼材編集コマンドは、終了する(S21)。エスケープキーが押下されない場合には、設計支援装置は、編集対象となる鋼材の選択を受け付ける(S22)。鋼材は、例えば、鋼材表示部の画面上で、ポインティングデバイスによって選択される。そして、エンターキーが押下されることによって、選択が確定する(S23、S24)。なお、エンターキーが押下されるまでは、設計支援装置は、鋼材の選択を改めて受け付ける(S23でNOの場合)。
そして、鋼材の選択が確定すると、設計支援装置は、鋼材設定ダイアログを表示する(S25)。そして、設計支援装置は、ユーザによる機能の選択を受け付ける(S26)。ユーザが、向きの変更を指定すると、その指定に応じて、鋼材の向きを変更する。例えば、シフトキーの押下と、ポインティングデバイスの左ボタンによる指示である(S27)。ただし、鋼材設定ダイアログ上の回転ボタン33によって向きを変更してもよい。なお、この状態で、エンターキーが押下されると、設計支援装置は、変更を確定し(S40)、ダイアログを終了する(S41)。
ユーザがエンターキーを押下しない場合、設計支援装置は、鋼材設定ダイアログの表示を継続し、さらに、編集を受け付ける。そして、ユーザが、鋼材設定ダイアログで種別・サイズの変更を指示した場合、設計支援装置は、さらに、基準点の変更を受け付ける(S30)。例えば、コントロールキーと、ポインティングデバイスの左ボタンによる指示である。鋼材設定ダイアログ上の図形表示部31のラジオボタンによって基準点を変更してもよい。
そして、設計支援装置は、さらに、ユーザの操作を受け付ける(S32)。そして、ユーザが鋼材設定ダイアログで種別を変更した場合、その操作を受け付ける(S33)。また、ユーザが鋼材設定ダイアログでサイズを変更した場合、その操作を受け付ける(S34)。さらに、ユーザがエンターキーを押下すると、設計支援装置は、変更を確定し(S40)、ダイアログを終了する(S41)。
なお、図6では、種別・サイズの変更とともに、基準点を選択している。しかし、基準点単独で変更するようにしてもよい。また、図6では、種別・サイズの変更前に、基準点を選択しているが、種別・サイズの変更後に、基準点を選択してもよい。
図36に、見積もり処理の処理フローの例を示す。この処理は、設計支援装置が、ユーザの見積もり処理の実行指示を受け付けたときに起動される。この処理では、設計支援装置は、まず、見積もりを行う架台の種類の選択を受ける(S101)。架台の種類は、架台名称または架台IDで指定される。なお、現在設計中の架台に対して、見積もり実行の指示を受けることもできる。
本設計支援装置は、見積もりの実行を受け付けると、指定された架台の架台IDを有する設計データベースのレコードを抽出する(S102)。なお、架台IDを用いて、レコードを抽出する代わりに、架台名称が、設計データベース中でユニークに定められている場合には、架台名称にて、レコードを抽出してもよい。
次に、本設計支援装置は、抽出したレコードを基に、同一種別の鋼材ごとに、長さを積
算する(S103)。そして、本設計支援装置は、単価マスターを参照し、鋼材の長さと、その長さの鋼材を購入するための費用を画面に表示する(S104)。
以上述べたように、本実施形態の設計支援装置によれば、鋼材設定ダイアログにて、鋼材の種別・サイズ、その他の属性を参照しつつ、鋼材の配置ができる。図13−図19に示したように、鋼材は、種類によって接続点での接続の仕方に制約がある。本設計支援装置では、鋼材設定ダイアログで、鋼材の向き、基準点、断面形状を視認しつつ、平面図または断面図で複数の鋼材を接続できるための、操作性が向上する。
また、本設計支援装置によれば、複数の鋼材の接続部において、鋼材の種類ごとに、デフォルトで接続仕様を表示し、さらに、簡易な操作で、接続仕様を切り替えることができる。したがって、マニュアルで、接続仕様を作図する場合と比較して、簡易な操作で作図効率を向上できる。
また、本設計支援装置によれば、まず、一旦鋼材を配置した後、さらに、向き、種別・サイズ、基準点を変更できる。したがって、一旦作図した架台を自在に変更し、接続部の形状を設定できる。また、例えば、まず、全体の配置を確定した後に、細部を微調整できる。
さらに、本設計支援装置によれば、「端点・中点・交点を取得」のラベルが付されたポインタ位置付け指定ボタン36をオンにすることによって、ポインティングデバイスによる鋼材の配置において、細かな操作にとらわれることなく、ポインタを近接した端点・中点・交点のいずれかに位置付けることができる。
また、本設計支援装置によれば、架台名称、あるいは、架台IDが付されたレコードを集計することによって、架台の構築に必要な鋼材量、費用等の見積もりが容易に行える。