JP5063533B2 - 製紐糸 - Google Patents

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Description

本発明は、製紐糸に関する。
渓流釣りの毛バリを使用したテンカラ釣りにおいては、釣り竿の動き(アクション)を毛バリに正確に伝えることができることから、テーパー状の釣糸が好んで使用されている。また、投げ釣りにおいても、ショック切れを防止することができることから、テーパー状の釣糸が使用されている。 ところで、投げ釣りにおいては、海底の魚を釣るためテーパー状のモノフィラメントをそのまま使用されている場合が多い。テンカラ釣りやフライフィッシュングにおいては、毛バリを狙った位置に正確に投げる必要があることから、撓りの効果を出すために、先端が細くなっているテーパー状のモノフィラメントを撚り上げたり、組み上げたりした釣糸が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、テーパー状のモノフィラメントの太細の位相を揃える必要があり、生産性、操作性で問題がある。また、テーパー状糸を芯にして外側を製紐する釣り糸も知られている(例えば、特許文献2参照)。
テーパー状の釣り糸としては、例えば、製紐糸を構成するフィラメントを順次切断、切断部分が芯糸として組み込まれているテーパー状釣り糸が知られている(例えば、特許文献3参照)。また、芯糸のまわりに複数層の製紐をおこなうことでテーパー状にする釣り糸が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
実開平5−43868号公報 実開平5−63277号公報 特開平8−289708号公報 特開平10−337139号公報
フィラメントを順次切断して細くテーパー状にした釣り糸は、実用化されているが、さらに、太細比の大きい釣り糸が要求されている。そこで、本発明は、例えばこのような釣り糸用に好適な製紐糸であって、一部を太くした製紐糸の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明の製紐糸は、組み組織と、芯糸とを含む製紐糸であり、前記組み組織が、複数のフィラメントによって組み上げられ、前記組み組織の一部が、組み組織の内側に芯糸を含み、芯糸を含まない部分の組み組織に比べて径が大きいことを特徴とする。
本発明の製紐糸は、一部を太くした製紐糸である。このような製紐糸は、例えば釣り糸用に好適である。
本発明の製紐糸は、前記のように、組み組織と芯糸とを含む。芯糸を含むことにより、本発明の製紐糸は太細を変化させることができるので、製紐糸の表面の毛羽立ちや、糸のよれが発生せず、好ましい。また、本発明の製紐糸は、前記のように、組み組織の一部の内側に芯糸を含む。このように内側に芯糸を含むことにより、含まない部分に比べて製紐糸が太くなるのである。また、組み組織の内側は、組み組織の外側でなければ、どの位置であってもよいが、組み組織の内側の中心部であるのが好ましい。また、芯糸を含む部分である「組み組織の一部」は、組み組織の全部でなければよく、組み組織の端部、端から内側に入った部分、中央部等に位置していてもよい。なお、本発明において、組み組織の一部の内側に芯糸を含む部分の長さは好ましくは30cm以上である。
本発明において、組み組織とは、製紐機の回転運動により形成される構造を意味する。また、芯糸とは、組み組織とは独立して、組み組織の内側に挿入される糸を意味する。
本発明の製紐糸は、細部、テーパー部および太部とを含み、太部の一部は、内側に芯糸を含む組み組織の一部であってもよい。このような製紐糸であれば、太部の一部をさらに太くしたり、従来よりも太細比を大きくすることが可能である。本発明の製紐糸は、投げ釣り用のテーパーラインやテーパーちから糸において、太部の最も力のかかる部分のみ、さらに太くすることが可能であり、好ましい。また、このような製紐糸であれば、最も摩擦力のかかるトップガイド付近のみさらに太くすることが可能である。前記のようにさらに太くすることが可能であれば、本発明の製紐糸は、負荷に強くなり好ましい。
本発明の製紐糸は、細部、テーパー部および太部とを含み、細部の一部は、内側に芯糸を含む前記組み組織の一部であってもよい。
細部、テーパー部および太部とを含み、太部または細部の一部が、内側に芯糸を含む組み組織の一部である本発明の製紐糸は、組み組織が、2本のフィラメントを1組とする複数組のフィラメントで構成され、テーパー部において、1組のフィラメントのうちの1本づつを順次切断し、フィラメント数を減じることで長さ方向に組み組織の径が小さくされており、かつ切断部分が組み組織の内側に組み込まれているのが好ましい。このような構成であれば、製造コストが低く、かつ、繰返し使用に対しても形態および物性が安定しており、耐久性が優れた製紐糸が実現できるからである。また、切断部分が組み組織の内側に組み込まれているため、切断部分のフィラメントが外に突出することがなく、製紐糸の外観が安定し、見映えが良い。
なお、例えば、組み組織が、2本のフィラメントを1組とする4組のフィラメントで構成され、テーパー部において、1組のフィラメントのうちの1本づつを順次切断し、フィラメント数を減じることで長さ方向に組み組織の径が小さくされており、かつ切断部分が組み組織の内側に組み込まれている製紐糸の場合、太細比を大きくしようとすると切断するフィラメントを太くする必要がある。しかし、フィラメントを太くすると、切断部分で大きな段差が生じ、その結果、製紐糸の表面手触りが悪くなったり、組バランスが悪化するという問題が生じる。しかしながら、本発明のように、組み組織の一部の内側に芯糸を含み、太部または細部の一部が、その組み組織の一部である場合、フィラメントを太くする必要が無いため、切断面で大きな段差は生じない。また、組バランスも悪化しない。
組み組織が、2本のフィラメントを1組とする複数組のフィラメントで構成され、テーパー部において、1組のフィラメントのうちの1本づつを順次切断し、フィラメント数を減じることで長さ方向に組み組織の径が小さくされており、かつ切断部分が組み組織の内側に組み込まれている場合、フィラメントの切断部分が0.5cm〜5.0cmの長さに組み込まれていることが好ましい。切断部分が0.5cm以上であれば、製紐糸を繰返し使用した際の耐久性が十分になるからである。また、切断部分が5.0cm以下であれば、テーパー部の形状が良好であり、かつ、コスト的に有利であるからである。なお、切断部分が組み組織の内側に組み込まれている場合、製紐糸の径は太くならない。また、組み組織の内側に組み込まれた切断部分は、本発明における芯糸とは区別される。
本発明において、組み組織は、複数のフィラメントによって組み上げられている。組み組織の材料としては、例えば、超高分子量のポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、およびPBO(ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維からなる群から選択される1種以上である。本発明において、組み組織の材料としては、強度、耐摩耗性、耐光性などから、超高分子量のポリエチレン繊維が好ましい。また、本発明において、芯糸の材料としては、例えば、超高分子量のポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、およびPBO(ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維からなる群から選択される1種以上である。本発明において、芯糸の材料としては、超高分子量のポリエチレン繊維、アラミド繊維が好ましい。なお、本発明において、芯糸の材料は、組み組織と同じ材料か、組み組織より比重の重い材料が、キャスティング性の点などから好ましい。本発明において、芯糸の材料と組み組織の材料は、両方とも超高分子量の高強力ポリエチレン繊維であるのが、物性、耐久性などの点で好ましい。
本発明において、組み組織のフィラメントの太さはとくに限定されないが、10dtex〜700dtexが好ましく、20dtex〜600dtexがより好ましい。また、本発明において、組み組織が2本のフィラメントを1組とする4組のフィラメントで構成されている場合、この1組を構成する2本のフィラメントは、太さが同一であっても異なっていてもよい。太さが異なる場合、2本のフィラメントの太さの組み合わせとしては、10dtex〜220dtexと85dtex〜440dtexとの組み合わせが好ましく、33dtex〜165dtexと110dtex〜385dtexとの組み合わせがより好ましい。
本発明において、芯糸の太さはとくに限定されないが、マルチフィラメント糸で10dtex〜2000dtexが好ましく、110dtex〜1220dtexがより好ましい。太い芯糸の場合、太細の段差を少なくするため、多段階に挿入するのが望ましい。芯糸の単繊維太さは、0.2dtex〜20dtexが好ましく、0.3dtex〜15dtexがより好ましい。単繊維が20dtex以下であれば糸の風合いが柔らかく、好ましい。本発明において、芯糸としては、原糸(無撚り糸)、撚糸、製紐糸いずれも使用することができるが、製紐糸または撚糸が、集束性が良く操作性などの点で好ましい。
内側に芯糸を含む組み組織の一部において、製紐糸に対する芯糸の比率は、例えば5〜60重量%である。この比率は5重量%以上であれば、太細が明確であり、好ましい。また、この比率が60重量%以下であれば、本発明の製紐糸の表面被覆率が向上して、外観、耐久性の点で好ましい。
本発明の組み組織は、公知の各サイズの製紐機を使用して製造することができる。組み組織としては、例えば3〜48打ち、好ましくは4、8、12、16、24打ちである。また、本発明の組み組織は、丸打ち、角打ち等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明の製紐糸は、例えば、釣り糸に適用される。
本発明の製紐糸は、従来の製紐機を用いて製造することができるので、製造コストが安く、好ましい。例えば、中心部に穴があるスピンドルを有する製紐機を用い、芯糸をその中心部に挿入し、スピンドルを用いて複数のフィラメントを組み上げる。製紐糸が所望の長さになった時点で、芯糸を切断し、スピンドルを用いて複数のフィラメントをさらに組み上げることにより、組み組織の一部の内側に芯糸を含む製紐糸を得ることができる。
次に本発明の具体例を図で説明する。
図3は一般的なテーパー状製紐糸を示す模式図である。テーパー状製紐糸は図に示すように、太部と細部、そして、その間で太さが変化するテーパー部からなる。細部の太さをd(dTEX)、太部の太さくをD(dTEX)としたとき、太細比はD/dで表される。太部、細部、テーパー部の長さは用途により適宜設定される。
(実施形態1)
本発明の製紐糸の一例を図1に示す。図1の製紐糸は、太細比が7のテーパー状製紐糸である。この製紐糸において、細部は55dtex(55T)×4本のフィラメントからなる。太部は55dtex×4本のフィラメントと220dtex(220T)×4本のフィラメントからなる。最も太い部分の先端2mに、110dtex(110T)×4本のフィラメントからなる組み組織を挿入することで先端の2mだけさらに太くなっている。テーパー部は、太部を構成する220dtexのフィラメントを1本ずつ順次切断することで得られる。本発明の製紐糸を釣り糸として用いる場合、この最も太い部分を、重り付き仕掛け(図略)と結んで使用するが、この部分を太くしたことで、仕掛けとの結節強力が向上する。また、本発明の製紐糸は、所望な部分だけ太くできるので、太細比5のテーパー状糸(1−5号)に比べると仕掛けとの結節強力が向上している。また、本発明の製紐糸は、太細比7のテーパー糸(1−7号)に比べると結節強力は同等であるが、他の太部やテーパー部は本発明の方が細くて軽いため、投げ釣りにおいて飛翔性に優れるという特徴がある。
(実施形態2)
本発明の製紐糸の別の一例を図2に示す。太部の中央よりやや先端部に3.5m長さの芯糸を挿入し、5号相当の太部の中央近くに7号相当のさらに太い部分を形成している以外は、図2の製紐糸は図1の製紐糸と基本構成は同じである。このような製紐糸であれば、キャスティング時におけるトップガイドの摩擦耐久性アップした釣り糸として有用である。
前記のように、本発明の製紐糸は芯糸の含まれる場所、芯糸の太さ、芯糸の長さを適宜選択することで、製紐糸の太さを簡単に変更することができる。その結果、製紐糸の太くなった部分における結節強力や耐摩耗性を向上できる。一方、本発明の製紐糸においては、不要な部分は太くならないので、糸としては飛翔性に優れるという効果を奏する。
同様にして必要に応じ、細部においても任意の場所に所定長さの芯糸を含ませ、太さを変更した製紐糸を形成することもできる。
(実施形態3)
本発明の製紐糸の製造方法について図1を例に述べる。公知の8打ち製紐機を使用し、マルチフィラメント糸55Tを巻いたボビンと220Tを巻いたボビンを交互に機械にセットし、これを一組として4本組みで製紐を開始する。その際中心部に芯糸として110Tの4本組み製紐糸を挿入する。必要長さ(図1では2m)製紐後に芯糸を切断して製紐する。さらに5m芯なしの8本組み(2組の4本組み)を組んだ時点で220Tの1本を切断する。なお、切断されるべき1本を組み組織の内側に組み込み、長さ0.5cm〜5.0cmを編組した後に切断する。1.5m製紐後さらに1本220Tを切断する。切断されるべき1本を組み組織の内側に組み込み、長さ0.5cm〜5.0cmを編組した後に切断するのが前記のとおりである。このようにして、4本の220Tを順次切断してテーパー部分を製紐した後、110Tの4本組みで細部の製紐を必要な長さ行う。その結果、本発明の製紐糸を得ることができる。
図2の場合も同様にして、芯糸挿入のタイミングと切断のタイミングを調整することで製紐糸を得ることができる。
本発明の製紐糸は必要に応じて、公知の各種の加工、例えば、樹脂加工、着色加工、仕上げ加工、熱処理、延伸などの加工を更に行って製品化してもよい。
以下実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
なお、結節強力は、JIS L1013(N=5の平均値)に従い、測定した。
また、摩擦回数測定は、図4に示した釣糸摩擦回数測定機を使用し、錘荷重が掛かった状態で測定機を回転運動させた。この回転運動により、錘の上下方向に対して往復運動(約10cm間、88往復/分)が発生する。この往復運動が生じた結果の、棒ヤスリ接触部(組ヤスリ丸タイプ)の摩擦耐久性(回数)を測定する。棒ヤスリ箇所での往復1回を1カウントとし、錘負荷により糸切れが発生するまでの回数を摩擦回数としてカウントする。
また、内側に芯糸を含む組み組織の一部において、製紐糸に対する芯糸の比率は、次のようにして測定した。まず、芯糸を含む部分の製紐糸を所定の長さ(30cm)に切断し、その重量(Gグラム)を測定する。次いで、その製紐糸を解いて芯糸を取り出し、その芯糸の重量(gグラム)を測定する。そして芯糸の比率(%)は、(g/G)×100の式から算出した。
台座の中心部に芯糸が通るための穴のある8スピンドル組機を用い、4本のスピンドルに超高分子量ポリエチレンン繊維(「ダイニーマ」東洋紡株式会社製)55dtexを用意し、他の4本のスピンドルには同繊維220dtexを用意した。各55dtexと220dtexのスピンドルが対(1ペアー)になって、同じ軌道を回る、いわゆる追い打ちする方法で編組した。
まず、最初は8本のスピンドルを全部使用し、芯糸として超高分子量ポリエチレンン繊維(「ダイニーマ」東洋紡株式会社製)55dtex(単繊維の太さは約1dtex)の4本組み製紐糸を挿入して編組し、芯糸入り製紐糸を2mの長さに組みあげた。この段階で芯糸を切断し、8スピンドルのみで5m組みあげた。次にこの時点で、220dtexの1スピンドルの糸を切断し、台座中央の穴に通し、これを芯糸とし約2cm組みあげた。その後1.5m組みあげ、別の220dtexの1スピンドルの糸を切断し、台座中央の穴に通して約2cm組みあげた。その後1.5m組みあげ、同様にして、次の220dtexの1スピンドルの糸を切断し、台座中央の穴に通して約2cm組みあげた。その後1.5m組みあげ、次の220dtexの1スピンドルの糸を切断し、台座中央の穴に通し、これを芯糸とし約2cm組みあげた。55dtex4本組みで細部を1.5m組みあげた。このようにして、最終的に全長13mのテーパー状の8打ち丸組み組織の製紐糸を得た(図1参照)。図1においてTはdtex(10000m当たりの糸重量)を示す。また、この製紐糸の、内側に芯糸を含む前記組み組織の一部において、前記製紐糸に対する前記芯糸の比率は、27重量%であった。
比較例として、実施例1において芯糸を挿入せずに製造した1−5号の従来のテーパー糸製紐糸と、220dtex(220T)の糸に変え330dtex(330T)を用いて製紐した1−7号のテーパー糸製紐糸を準備した。
実施例1において、太部の先端2mのみに芯糸を挿入した製紐糸の結節強力を、従来の1−5号および1−7号のテーパー製紐糸と比較検討した結果を表1に示した。表1に示すように、本発明の太部(5号)先端に芯糸440dtex(2号相当)を挿入し見掛け繊度1540dtex(7号)にした場合の結節強力は、挿入していない太部あるいは従来のテーパー糸の5号部分に比べて約44%の結節強力アップが得られた。また、従来品の7号(テーパー品)と比較してもほぼ同等並み以上の結節強力が得られており、芯糸挿入による結節強力アップが構造的にも有効であることが確認できた。
又、表1に示すように、従来品の1−7号のテーパー製紐糸と総繊度(重量)を比較したところ、従来品の総繊度(重量)を100とした場合、本発明の製紐糸の総繊度は78.8%であり、約21%のスリム化を実現し、従来品の5号(総繊度73.0%)と比較した場合でも、本発明の製紐糸は約6%程度の総繊度アップに留めることができた。
実施例1の製紐糸を通常と同様に着色樹脂加工を行って得られた釣り糸を、投げ釣り用キャスティングラインのちから糸として、釣り名人と言われる釣り人が評価した。その結果、従来品7号に比べて上記の様にスリム化を実現した事により、キャスト時のリールからの糸離れがスムーズになり飛翔性に優れると評価された。
Figure 0005063533
実施例1と同様に、まず、最初は8本のスピンドルを全部使用し、製紐糸を1mの長さに組み上げた。次にこの時点で芯糸として同素材のダイニーマ110dtexの4本組みの製紐糸1本を挿入し、芯入り製紐糸を3.5mの長さに組み上げた。この段階で芯糸を切断し、さらに8スピンドルで2.5m組み上げた。次に220dtexの1スピンドルの糸を切断し、台座の中央の穴に通し、これを芯糸とし約2cm組み上げた。その後1.5m組み上げ、この時点で、220dtexの1スピンドルの糸を切断し、台座中央の穴に通して約2cm組み上げた。その後1.5m組み上げ、同様にして、次に220dtexの1スピンドルの糸を切断し、台座の中央の穴に通して約2cm組み上げた。その後1.5m組み上げ、次に220dtexの1スピンドルの糸を切断し、台座中央の穴に通して約2cm組み上げた。その後55dtex4本組みで細部を1.5m組み上げ、8打ち丸組み組織の製紐糸を得た(図2参照)。また、この製紐糸の、内側に芯糸を含む前記組み組織の一部において、前記製紐糸に対する前記芯糸の比率は、27重量%であった。
Figure 0005063533
前記表2に示すように、実施例2の製紐糸は、内側中央部に芯糸を含む太部において(太部中間3.5m部)、太部に芯糸を含まない1−5号テーパーの比較例および1−7号テーパーの比較例と比べて、摩擦耐久性が約28%および約10%それぞれ向上することが確認できた。
また、実施例2の製紐糸を、投げ釣り用キャスティングラインのちから糸として、釣り名人と言われる釣り人が評価した。その結果、6回程度の実釣(約48時間程度)において、トップガイド付近の毛羽立ち状況を確認したところ、本製紐糸は従来品7号(毛羽立ち発生少)と比較すると僅かに毛羽立ちが少なく(毛羽立ち発生極少)、又、従来品5号(毛羽立ち発生中)との比較では明らかに毛羽立ちが少なく、かつ、摩擦耐久性において優位差が有ると評価された。又、本製紐糸の先端が細くなる形状については、結果的にフライラインのシューティングラインと形状が似ていることから、キャスティングにおける飛行姿勢が安定し、ポイントの正確性がアップしていると評価された。
芯糸としてダイニーマ440Tの片撚り糸1本を挿入した以外は実施例2と同様にしてテーパー状の8打ち丸組み組織の製紐糸を組み上げた(図2参照)。この製紐糸の、内側に芯糸を含む前記組み組織の一部において、前記製紐糸に対する前記芯糸の比率は、26重量%であった。
Figure 0005063533
前記表3に示すように、実施例3の製紐糸は、中間部に芯糸を含む太部において(太部中間3.5m部)、太部に芯糸を含まない1−5号テーパーの比較例および1−7号テーパーの比較例と比べて、摩擦耐久性が約35%および約15%それぞれ向上することが確認できた。
また、実施例3の製紐糸を、実施例2の製紐糸と同様、投げ釣り用キャスティングラインのちから糸として、釣り名人と言われる釣り人が評価した。その結果、実施例2の製紐糸と同様、摩擦耐久性に有意差がみられると評価された。
本発明の製紐糸は、投げ釣りの「ちから糸」、「リール糸」等にも適用できる。
図1は、本発明の製紐糸の一例を示す。 図2は、本発明の製紐糸の別の一例を示す。 図3は、一般的なテーパー状製紐糸を示す模式図である。 図4は、摩擦回数測定のために用いた釣糸摩擦回数測定機の一例を示す。

Claims (10)

  1. 組み組織と、芯糸とを含む製紐糸であり、
    前記組み組織が、複数のフィラメントによって組み上げられ、
    前記組み組織の一部が、前記組み組織の内側に前記芯糸を含み、前記芯糸を含まない部分の前記組み組織に比べて径が大きいことを特徴とする製紐糸。
  2. 請求項1に記載の製紐糸であって、
    前記製紐糸が、細部、テーパー部および太部とを含み、
    前記太部の一部が、前記内側に芯糸を含み、前記芯糸を含まない部分の前記太部に比べて径が大きい前記組み組織の一部である製紐糸。
  3. 請求項1に記載の製紐糸であって、
    前記製紐糸が、細部、テーパー部および太部とを含み、
    前記細部の一部が、前記内側に芯糸を含み、前記芯糸を含まない部分の前記細部に比べて径が大きい前記組み組織の一部である製紐糸。
  4. 前記組み組織が、2本のフィラメントを1組とする複数組のフィラメントで構成され、前記テーパー部において、前記1組のフィラメントのうちの1本づつを順次切断し、フィラメント数を減じることで長さ方向に前記組み組織の径が小さくされており、かつ前記切断部分が前記組み組織の内側に組み込まれている請求項1〜3のいずれかに記載の製紐糸。
  5. 前記芯糸が、マルチフィラメントからなる製紐糸または撚り糸である請求項1〜4のいずれかに記載の製紐糸
  6. 前記芯糸が、単繊維太さ0.2dtex〜20dtexのマルチフィラメントからなり、前記芯糸の太さが10dtex〜2000dtexである請求項1〜5のいずれかに記載の製紐糸。
  7. 内側に芯糸を含む前記組み組織の一部において、前記製紐糸に対する前記芯糸の比率が、5〜60重量%である請求項1〜6のいずれかに記載の製紐糸。
  8. 前記芯糸の材料が、超高分子量のポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、およびPBO繊維からなる群から選択される1種以上である請求項1〜7のいずれかに記載の製紐糸。
  9. 前記フィラメントの材料が、ポリエチレン繊維である請求項1〜8のいずれかに記載の製紐糸。
  10. 前記製紐糸が釣り糸用である請求項1〜9のいずれかに記載の製紐糸。
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