JP3839701B2 - 釣糸 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超高分子量ポリエチレン繊維もしくはポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(以下、PBO繊維という)またはこれらを含む複合糸からなる芯糸と、該芯糸の周りを包む外糸部とからなり、芯糸と外糸部とが少なくとも部分的にホットメルト接着剤で固着されていることを特長とする釣糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
釣りの漁法が高度化するにつれて、釣糸に対してもより一層の高性能化が求められている。かかる要望を受けて、近年、高強力かつ低伸度である超高分子量ポリエチレン繊維またはPBO繊維が釣糸として盛んに使用されてきている。これら超高分子量ポリエチレン繊維またはPBO繊維の釣糸は、通常、マルチフィラメント原糸を複数本製紐した製紐糸からなる釣糸である。
【0003】
しかし、かかる製紐糸からなる釣糸はいわゆるコシがないなどの問題が生じていた。そこで、本発明者は、かかる問題を解決すべく、超高分子量ポリエチレン繊維を芯糸とし、その周りが合成繊維などで製紐されている芯鞘構造を有する釣糸を開発した(実公平4−40456)。また、本発明者は、PBO繊維を芯糸とし、その周りが合成繊維などで製紐されている芯鞘構造を有する釣糸も開発した(特願2001−73079)。
【0004】
しかし、上記釣糸においては、芯糸と外糸部とがずれる場合があった。特に、釣糸の製造時に芯糸と外糸部とのずれが生じやすかった。芯糸と外糸部にずれが生じると、釣り糸の外観が悪くなり商品価値が下がるという問題がある。また、釣り糸の平滑性が悪くなり、その結果釣り竿のガイドとの摩擦が大きくなり、正確かつ遠くへ投げることができなくなったり、釣り糸がすり切れ耐久性が低下したりするなどの問題も生じてくる。そのため、上記釣糸においては、芯糸と外糸部とがずれないように改善する余地があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、芯糸と外糸部とのずれが実質的に生じることがなく、高強力、低伸度で、耐磨耗性および耐候性に優れ、かつ平滑で外観の良好な釣糸を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記実公平4−40456および特願2001−73079に記載の釣り糸において、芯糸と外糸部とを少なくとも部分的にホットメルト接着剤で固着することにより、芯糸と外糸部とのずれを防止できるということを知見した。その結果、本発明に係る釣糸は、上記先行考案または発明にかかる釣糸に比べて平滑性に優れ、また、外観も良好で商品価値が高い。さらに、本発明に係る釣糸では、製紐糸からなる従来の釣糸のコシのなさが解決されている。その上、本発明に係る釣糸においては、少なくとも芯糸が超高分子量ポリエチレン繊維またはPBO繊維を含むので、低伸度かつ高強力である。また、本発明に係る釣糸は芯鞘構造を有するので、耐磨耗性および耐候性にも優れている。
本発明者は、さらに検討を加えて本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1) 超高分子量ポリエチレン繊維またはポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維を含む芯糸と、該芯糸の周りに製紐されている合成繊維または金属繊維から構成される外糸部とからなり、かつ該芯糸と外糸部とが少なくとも部分的にホットメルト接着剤で固着されていることを特徴とする釣糸、
(2) ホットメルト接着剤が、硬化後に100℃以下の温度で溶融しないことを特徴とする前記(1)に記載の釣糸、
(3) ホットメルト接着剤が、ポリオレフィン系またはポリエルテル系ホットメルト接着剤であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の釣糸、に関する。
【0008】
また、本発明は、
(4) ホットメルト接着剤が、反応型ホットメルト接着剤であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の釣糸、
(5) 反応型ホットメルト接着剤が、湿気硬化型ホットメルト接着剤あることを特徴とする前記(4)に記載の釣糸、
(6) 外糸部の合成繊維が、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維または超高分子量ポリエチレン繊維からなる群から選択される少なくとも1種の繊維からなることを特徴とする前記(1)〜(5)に記載の釣糸、
(7) 外糸部の合成繊維が、金属粒子を含む樹脂からなることを特徴とする前記(1)〜(6)に記載の釣糸、
に関する。
【0009】
また、本発明は、
(8) 芯糸が、(a)中空構造をもち、超高分子量ポリエチレン繊維以外の繊維からなる糸と、超高分子量ポリエチレン繊維からなる糸との複合糸、または(b)中空構造をもち、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維以外の繊維からなる糸と、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維からなる糸との複合糸であることを特徴とする前記(1)〜(7)に記載の釣糸、
(9) 外糸部が一定長毎に少なくとも2色以上に染め分けられていることを特徴とする前記(1)〜(8)に記載の釣糸、
(10) 超高分子量ポリエチレン繊維またはポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維を含む芯糸に、ホットメルト接着剤を塗布または含浸し、次いで該芯糸の周りを合成繊維または金属繊維で製紐し、その後、該芯鞘構造の糸条を加熱処理および所望により延伸処理に付することを特徴とする前記(1)〜(9)に記載の釣糸の製造方法、
に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる釣糸は、芯糸として超高分子量ポリエチレン繊維またはPBO繊維を含むことを特長とする。
本発明において芯糸として用いる超高分子量ポリエチレン繊維は、下記する超高分子量ポリエチレンから構成されている。該超高分子量ポリエチレンとしては、分子量が20万程度以上、より好ましくは60万程度以上のものが好適に用いられる。かかる超高分子量ポリエチレンは、ホモポリマーであってもよいし、炭素数3〜10程度の低級α−オレフィン類、例えばプロピレン、ブテン、ペンテン、へキセン等との共重合体であってもよい。該エチレンとα−オレフィンとの共重合体としては、後者の割合が炭素数1000個当たり平均0.1〜20個程度、好ましくは平均0.5〜10個程度である共重合体を用いるのが好ましい。
【0011】
超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法は、例えば特開昭55−5228、特開昭55−107506などに開示されており、これら公知の方法を用いてよい。また、超高分子量ポリエチレン繊維として、ダイニーマ(商品名 東洋紡績株式会社製)やスペクトラ(商品名 ハネウエル社製)等の市販品を用いてもよい。
【0012】
本発明おいて芯糸として使用されるPBO繊維は、下記式;
【化1】
Figure 0003839701
(nは1以上の整数を示す。)
で表されるポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)からなる繊維である。
前記PBO繊維は、引張強度が約29g/d程度以上、好ましくは約30〜50g/d程度、より好ましく約35〜42g/d程度、破断伸度が約4%程度以下、好ましくは約2〜4%程度であることが好ましい。ここで、引張強度および破断伸度は、自体公知の測定機、具体的には、万能試験機 オートグラフAG−100kNI(商品名 島津製作所製)を用いて容易に測定することができる。
該PBO繊維は、自体公知の方法に従って製造することができ、また、市販品、例えばザイロン(商品名 東洋紡績株式会社製)を用いることもできる。
【0013】
本発明において、芯糸は超高分子量ポリエチレン繊維またはPBO繊維のみからなる場合だけでなく、超高分子量ポリエチレン繊維と他の繊維との複合糸またはPBO繊維と他の繊維との複合糸であってもよい。該複合糸は、両者の適宜の本数を引き揃える、撚り合わせる、編み込む、放射状に組み込む等の方法で作られる。該複合糸には、超高分子量ポリエチレン繊維またはPBO繊維が、構成フィラメントの割合として、約50%以上、好ましくは約70%以上、より好ましくは約80%以上含有されていることが好適である。
また、複合糸を構成する超高分子量ポリエチレン繊維またはPBO繊維以外の他の繊維(以下、単に「他の繊維」という。)としては、自体公知の繊維を用いてよい。具体的には、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂またはポリオレフィン系樹脂など公知の熱可塑性樹脂からなる繊維が上記他の繊維として挙げられる。
【0014】
上記他の繊維は、公知の構造を有していてもよい。例えば、該他の繊維の断面形状は、略円形状であってもよいし、偏平状であってもよい。また、上記他の繊維として中空構造をもつ糸(以下、「中空糸」と略称する)を用いてもよい。中空糸を用いることにより釣糸に浮力を与えることができ、水中での沈降速度を調節することができるという利点がある。
【0015】
ここで、中空糸における中空構造は、中空部と中空部との間に架橋部が存在する構造が好ましい。言い換えれば、架橋部を介して2つ以上の中空部を有する構造が好ましい。このように架橋部を設けることにより、中空部の潰れを防ぐことができ、よって所望の浮力を維持することができるという利点がある。また、芯糸の強度を維持できるという利点もある。中空部の数は、芯糸の強度と中空部の形状の保持という観点から3程度以上がより好ましい。また、中空部の数の上限は特に限定するものではないが、製造が困難とならない程度が好ましく、おおむね20個程度とするのが好ましい。
【0016】
中空糸の断面積に対する中空部の面積の割合(以下、中空率という)は、約1〜50%程度が好ましく、約5〜35%程度がより好ましい。なお、中空率は、より具体的には次式より算出される。下記式中の面積は、光学顕微鏡、例えばニコン社製マイクロフォトS光学顕微鏡に、顕微鏡写真撮影装置を取り付け、中空糸断面の断面形状を撮影し、測定することができる。
中空率(%)=(中空部の面積の総和/中空糸の断面積)×100(数式1)
【0017】
上記中空糸の製造は、それ自体公知の方法に従って行うことができる。該製造の一実施態様としては、熱可塑性樹脂を例えばエクストルーダー溶融紡糸装置などの溶融紡糸装置に供給し、所望の数の中空を形成することができる中空糸用紡糸口金を備えた溶融紡糸装置を用いて、紡糸温度約230〜270℃程度で溶融紡糸し、紡糸後の糸条を液体中を通過させて冷却固化し、一旦巻き取った後または巻き取ることなく、液体または気体中で加熱しながら延伸し、所望により弛緩熱処理を施すという製造方法が挙げられる。
上記製造方法において、口金の形状を変更する、熱可塑性樹脂の相対粘度を変更する、紡出後冷却するまでの距離(エアーギャップ)を変更する、冷却用液体の温度を変更する等の方法により、中空率を任意に設定することできる。
【0018】
本発明に係る釣糸において、製紐により形成される外糸部は、自体公知の熱可塑性樹脂を材料として公知の方法で作られた合成繊維を使用してよい。例えば、該合成繊維として、上述の超高分子量ポリエチレン繊維が挙げられる。また、外糸部を構成する繊維として易染性の繊維を用いることも好ましい。易染性の繊維を用いることにより、本発明に係る釣糸を染色することができるという利点がある。該易染性の合成繊維として、具体的には、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂またはフッ素系樹脂などからなる繊維が挙げられる。
【0019】
上記ポリアミド系樹脂としては、具体的に、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6,10などの脂肪族ポリアミドもしくはその共重合、または芳香族ジアミンとジカルボン酸により形成される半芳香族ポリアミドもしくはその共重合体などが挙げられる。
【0020】
上記ポリエステル系樹脂としては、具体的に、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリン2,6ジカルボン酸、フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェニル)エタン、4,4’−ジカルボキシフェニルもしくは5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸もしくはセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコールまたはテトラメチレングリコールなどのジオール化合物とから重縮合されるポリエステルもしくはその共重合体などが挙げられる。
【0021】
上記フッ素系樹脂としては、具体的に、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリモノクロロトリフルオロエチレンもしくはポリヘキサフルオロプロピレンまたはその共重合体などが挙げられる。
【0022】
本発明において外糸部を形成する合成繊維は、金属粒子を含んでいるものであってもよい。このように、金属粒子を含有した熱可塑性樹脂から作られる合成繊維を使用して外糸部を形成することによって、合成繊維の素材である熱可塑性樹脂の固有の比重に関係なく、釣糸の比重を任意に設定することができるという利点がある。とくに、高比重の釣糸を製造することが可能となる。かかる高比重の釣糸は、投げ釣りにおいては道糸の浮き上がりを抑えることができ、船釣りにあっては潮流の影響を受けづらく、ねらったタナから仕掛けが外れにくいという利点を有する。
【0023】
外糸部を形成する合成繊維に含有される金属粒子としては、例えば、鉄、銅、亜鉛、錫、ニッケル、タングステン等を単独でまたは混合ないし合金としたものが挙げられる。これら金属粒子の中で、特に比重の大きいタングステンの使用が好ましい。繊維に重さを与えやすく、それゆえに所望の比重を得るために含有させる金属粒子の量が少なくて済むからである。
【0024】
これら金属粒子は、粒状に限らず、さらに微細な粉末状であってもよい。その大きさは約10μm程度以下、好ましくは約5μm程度以下が好適である。混合後の均一性という観点から上記範囲が好ましい。更に、金属粒子の添加量は上記合成繊維の素材である樹脂100重量部に対して約1〜90重量部程度、好ましくは約5〜70重量部程度添加するのがよい。
金属粒子と樹脂との混合は、それ自体公知の方法である単軸または二軸混練機を使用して溶融混練する方法により行われる。
【0025】
また、外糸部を形成する合成繊維は、発明の目的を損なわない範囲内で各種公知の顔料、安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤もしくは滑剤など、またはこれらの2種以上を有していてもよい。また、磁性材料、導電性物質、高誘電率を有する物質などを有してもよい。かかる物質としては、具体的には、例えば、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、雲母、長石、ベントナイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、二酸化チタン、シリカ、石膏などが挙げられる。これらの配合材は、例えばステアリン酸またはアクリル酸などで被覆されていてもよい。
【0026】
本発明に係る釣り糸において製紐により形成される外糸部には、金属繊維を用いてもよい。金属繊維としては、例えば、合金軟線、銅線、ステンレススチール線、タングステン線またはアモルファス線などが挙げられる。
【0027】
本発明に係る釣糸は、芯糸と外糸部とが少なくとも一部にホットメルト接着剤で固着されていることを特長とする。
本発明で用いるホットメルト接着剤は、熱可塑性高分子を主体とする固形分100%の接着剤であって、熱溶融させて粘度を低くして塗布された後、冷却とともに固化し、接着力を発揮する接着剤をいう。本発明において、ホットメルト接着剤は、前述のようなものであれば特に限定されず、公知のホットメルト接着剤を用いてよい。中でも、本発明で用いるホットメルト接着剤は、硬化後に約100℃程度以下では溶融しないものを用いるのが好ましい。釣糸の運搬時または保存時にホットメルト接着剤が溶け出し、スプールに巻かれた状態で固化するのを防止するためである。また、該接着剤としては、芯糸である超高分子量ポリエチレン繊維またはPBO繊維、および外糸部を構成する合成繊維の融点よりも低い融点を有するものが好ましい。
【0028】
本発明で用いるホットメルト接着剤としては、例えば、ベースポリマーの種類により、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)系接着剤、ポリエチレン系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、熱可塑性ゴム系接着剤、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)系接着剤、ポリ酢酸ビニル共重合体系接着剤、ポリカーボネート(PC)系接着剤等が挙げられる。
【0029】
本発明で用いるホットメルト接着剤としては、中でもポリエチレン系接着剤またはポリオレフィン系接着剤を用いることが好ましい。
ポリエチレン系接着剤は、優れた耐熱性、耐寒性および耐薬品性を有し、被接着材との接着性にも優れているので好ましい。ポリエチレン系接着剤としては、特に限定されず、公知のものを用いてよい。例えば、ポリエチレンテレフタラートまたはポリブチレンテレフタラートに代表される飽和ポリエステルに、イソフタル酸または脂肪酸ジカルボン酸などの共重合成分が含有されている飽和共重合ポリエステルが、低結晶性で、ゆえに比較的低融点であるため、塗布などの製造の容易性の観点から好ましい。中でも、分子量が約10〜30×10程度である接着剤が好ましい。
【0030】
かかるポリエチレン系接着剤は、公知の方法で容易に製造することができ、また、例えば、東洋紡績株式会社製の「バイロン」(登録商標)、旭化成工業株式会社製の「ハーデック」(登録商標)または東レ株式会社製の「ケミット」(登録商標)などの市販品を適宜用いることができる。
また、上記ポリエステル系接着剤は水分散体の形態を有していてもよい。かかる水分散性ポリエステル系接着剤は、東洋紡績株式会社製の「バナロール」(登録商標)など公知のものを用いてよい。
【0031】
ポリオレフィン系接着剤は、被接着材との適合性が他のベースポリマーに比して優れているので好ましい。ポリオレフィン系接着剤としては、特に限定されず、公知のものを用いてよい。例えば、非結晶性ポリプロピレン、ポリプロピレンとエチレンとの共重合体、またはポリプロピレンとα−オレフィンとの共重合体からなる接着剤が挙げられる。より具体的には、アタクチックポリプロピレン樹脂、またはポリプロピレンとエチレンまたは1−ブテンとが共重合されてなるランダム共重合体などが挙げられる。
【0032】
また、本発明において用いるポリオレフィン系接着剤は、例えば、EVA、EEAまたはスチレン系熱可塑性樹脂などの他のベースポリマーと併用しても良い。また、ポリオレフィン系接着剤としてのポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂の不飽和カルボン酸(例えば、マレイン酸もしくは無水マレイン酸)またはその誘導体によりグラフト化された変性オレフィン樹脂であってもよい。
【0033】
かかるポリオレフィン系接着剤は、公知の方法で容易に製造することができ、また、例えば、宇部興産株式会社製の「宇部タック−APAO」、住友化学工業株式会社製の「スミチック」または三井石油化学株式会社製の「タフマー」などの市販品を適宜用いることができる。
【0034】
本発明においては、反応型ホットメルト接着剤を用いるのがより好ましい。反応型ホットメルト接着剤は、接着後に架橋反応が起こり、耐熱性が向上する。そのため、本発明において反応型ホットメルト接着剤を使用すれば、該接着剤を芯糸に塗布または含浸する際には、比較的低温で溶融させることができ、かかる塗布等が容易であるにもかかわらず、一旦接着すると、かかる接着剤は容易に溶融しなくなるという利点がある。
【0035】
本発明で用いる反応型ホットメルト接着剤としては、特に限定されず、公知のものを用いてもよい。中でも、該接着剤としては、接着剤塗布時に、比較的低温、具体的には約60〜130℃程度、好ましくは約70〜100℃程度の温度で溶融するものが好ましい。
【0036】
上記反応型ホットメルト接着剤としては、具体的には、架橋反応の種類により以下のような接着剤が挙げられる。例えば、(a)ポリマー中のカルボキシル基と多価金属イオンにより架橋反応を行わせるイオン架橋型ホットメルト接着剤;(b)接着後加熱硬化させる加熱架橋型ホットメルト接着剤;(c)二重結合を有するブロックコポリマーやポリエステルを利用し、電子線や紫外線などの高エネルギー線を照射することにより架橋反応を行わせるホットメルト接着剤;(d)溶融塗布後の空気中もしくは被着材中に存在する水分(湿気)と反応させることにより架橋反応を行わせる湿気硬化型ホットメルト接着剤;または(e)種々の官能基を有するポリマーとそのポリマー中に存在する官能基と反応する添加剤またはポリマーを各々溶融し、塗布直前に混合塗布することにより、2液を反応させ架橋構造を形成させるホットメルト接着剤等がある。
【0037】
本発明で用いる反応型ホットメルト接着剤としては、加熱架橋型ホットメルト接着剤または湿気硬化型ホットメルト接着剤がより好ましく、さらに湿気硬化型ホットメルト接着剤が特に好ましい。
加熱架橋型ホットメルト接着剤として、具体的には、(a)ポリエステルもしくはコポリアミドの末端カルボキシル基もしくはアミノ基、または(b)分子末端もしくは側鎖に導入したイソシアネート基を、カプロラクタムまたはフェノール等のブロック剤でブロックしたブロックイソシアネートを含有するホットメルト接着剤が挙げられる。
【0038】
湿気硬化型ホットメルト接着剤として、具体的には、アルコキシ基をポリマー中に導入したホットメルト接着剤と、イソシアネート基をポリマー中に導入したホットメルト接着剤とに大別できる。
アルコキシ基をポリマー中に導入したホットメルト接着剤としては、公知のものを用いてよい。具体的には、シラン化合物をグラフト重合させたオレフィン系樹脂からなる反応型ホットメルト接着剤組成物が特開昭54−149741、特開昭55−160074および特開昭55−165973に記載されている。また、アルコキシシリル基を有するポリエステルからなる反応型ホットメルト接着剤が特開昭59−172573および特開昭59−174673に記載されている。更に、アルコキシシリル基を有するポリアミドからなる反応型ホットメルト接着剤が特開昭59−172573および特開昭59−174673に記載されている。
【0039】
イソシアネート基をポリマー中に導入したホットメルト接着剤としては、公知のものを用いてよい。具体的には、アクリル系反応型ホットメルト接着剤またはポリウレタン系反応型ホットメルト接着剤が挙げられる。
アクリル系反応型ホットメルト接着剤として、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マクロモノマー(ポリマー状モノマー)、シリル基を持った(メタ)アクリル酸エステルおよびイソシアネート化合物からなるアクリル系の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物が特開平3−259984に記載されている。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、重合性ポリマーおよび不飽和イソシアネートからなるアクリル系の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物が、特開平3−139584に記載されている。さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、重合性ポリマー、不飽和イソシアネート、有機錫化合物および有機燐化合物からなるアクリル系の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物が特開平4−31482に記載されている。ここで、上記「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸またはメタクリル酸」を意味する。
また、ポリウレタン系反応ホットメルト接着剤の具体例は、例えば特開昭59−197432、特開昭61−115977、特開昭62−181375、特開平2−305881、特開平2−305882等に記載されている。
【0040】
本発明で用いるホットメルト接着剤には、上述したようなベースポリマーに公知の添加物が含有されていてもよい。かかる添加物としては、例えば、粘着付与剤樹脂、ワックス、可塑剤、充填剤、例えば亜リン酸エステルもしくはヒンダードフェノール系など酸化防止剤、例えば置換ベンゾトリアゾール類等の紫外線吸収剤、フェノール誘導体等の酸化防止剤または加水分解防止剤などが挙げられる。
粘着付与剤樹脂とは、通常分子量が数百〜数千までの無定形オリゴマーで、ベースポリマーとブレンドすることにより、流動性・タックを付与し、接着力を向上せしめるものである。粘着付与剤樹脂としては、例えば、ロジン、エステル化ロジン、不均化ロジン、重合ロジンまたは水添ロジンなどのロジン樹脂;芳香族変性テルペン、フェノール変性テルペンなどのテルペン系樹脂;または脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂もしくはその共重合系石油樹脂、脂環族水添系石油樹脂などの石油系樹脂等が挙げられる。
【0041】
ワックスは、常温で固体であり、加熱すると低粘度の液体となる有機物であり、天然ワックスと合成ワックスとがある。天然ワックスとしては、例えば、動・植物ワックス、鉱物ワックスもしくは石油ワックスが挙げられ、合成ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、フィシャ−トロプシュワックスなどが挙げられる。
充填剤としては、酸化亜鉛紛、酸化マグネシウム紛、金属紛、シリカ紛(コロイダルシリカ紛も含む)、炭酸カルシウム紛、酸化チタン紛、タルク紛、アルミナ紛、カーボンブラック紛などが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、液状ポリイソブテン、液状ポリブテン、液状(水添)ポリイソプレン、液状(水添)ポリブタジエン、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、エポキシ可塑剤、リン酸エステル類、フタル酸エステル類、脂肪族2塩基酸エステル類、グリコールエステル類等が代表例として挙げられる。
【0042】
本発明に係る釣糸は、伸度が約5%程度以下、好ましくは約4.0%程度以下、より好ましくは約3.0%程度以下、さらに好ましくは約2.7%程度以下であることが特長である。例えば、釣糸に関して言えば魚信を的確に捉えやすくなるなどの理由から、伸度は前記範囲が好ましい。なお、伸度は、JIS L 1013(1992)に従って、万能試験機 オートグラフAG−100kNI(商品名 島津製作所製)を用いて測定する。
【0043】
本発明に係る釣糸の製造方法について、以下に述べる。
本発明において用いる芯糸は、モノフィラメントであってもよいが、モノフィラメント複数本からなるマルチフィラメントのほうが好ましい。また、芯糸は、例えば、引き揃え糸、撚り糸または製紐糸など該マルチフィラメントを複数本用いた合糸であってもよい。かかる撚り糸は、リング撚糸機、ダブルツイスターもしくはイタリー式撚糸機など公知の撚糸機を用いて容易に製造することができる。また、かかる製紐糸は4本打ち、8本打ち、12本打ち、16本打ちなど公知の製紐機を用いて容易に製造することができる。
【0044】
上記芯糸を構成するフィラメントが、超高分子量ポリエチレン繊維のように延伸可能なフィラメントの場合は、市販されているフィラメントのように延伸処理がなされているものであってもよいし、市販されているフィラメントと比較して低い延伸倍率で延伸処理がなされているものであってもよいし、全く延伸処理がなされていない、いわゆる未延伸フィラメントであってもよい。
【0045】
次いで、上記芯糸にホットメルト接着剤を塗布または含浸させる。塗布または含浸方法としては、特に限定されず、公知の方法が採用され得る。具体的には、例えば、上記芯糸を溶融装置内にディッピングして所望により余剰分を搾り取る方法、スプレーなどを用いて塗布する方法、または押出し被覆機を用いて押出しコーティングする方法などが挙げられる。また、公知のアプリケーターを使用してもよい。特に、ノズルガンヘッドを有するアプリケーターを用いるのが好ましい。
本発明に係る釣糸において、接着剤の付着量は、芯糸と外糸部とがずれない程度に適宜定めればよい。より具体的には、接着剤の付着量は釣糸全体の重量に対して約1〜20重量%程度、より好ましくは約5〜10重量%程度であることが好適である。
【0046】
次いで、得られた芯糸の周りを合成繊維または金属繊維で製紐し、外糸部を形成する。製紐方法は特に限定されず、自体公知の方法に従ってよいが、一般的には製紐機にかけ組み上げる。この組上方法(編組方法)としては、丸打ち、角打ち、平打ちなどがあり、これらを組み合わせてもよい。また、外糸部を構成する繊維の数は特に限定されないが、例えば、4本、8本、12本、16本の場合が挙げられる。
【0047】
次いで、得られた芯鞘構造を有する糸条を、加熱処理に付す。かかる加熱処理は、空気中もしくは水蒸気中など公知の条件下で行えばよく、また、常圧下で行っても、加圧下で行ってもよい。また、加熱処理時の加熱温度は、ホットメルト接着剤の種類または外糸部を構成する繊維の種類もしくは本数などにより異なるので一概には言えない。しかし、ホットメルト接着剤の溶融温度以上、超高分子量ポリエチレン繊維またはPBO繊維の融点、および外糸部を構成する繊維の融点(外糸部が複数種の繊維で構成されている場合は、最も低融点の繊維の融点をさす)以下の温度で行うのが好ましい。具体的には、約50〜200℃の範囲内で加熱処理を行うのがより好ましい。
【0048】
本発明においては、上記得られた芯鞘構造を有する糸条に対し、所望により延伸処理を行っても良い。特に構成フィラメントが延伸可能なフィラメントである場合は、延伸処理を行うことが好ましい。ここで、延伸可能なフィラメントとしては、延伸処理により延伸することができるフィラメントであれば特に限定されないが、具体的には、例えば、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、超高分子量ポリエチレン繊維またはポリビニルアルコール繊維などが挙げられる。とくに、芯糸に超高分子量ポリエチレン繊維を含む場合は、延伸可能なフィラメントから構成され、製造工程において延伸処理が行われていることが好ましい。
かかる延伸処理は、上述の加熱処理と別々に行ってもよいし、同時に行っても良い。別々に行う場合は、いずれの処理を先に行っても良い。なかでも、本発明において延伸処理を行う場合は、加熱処理と延伸処理とを同時に行うことが好ましい。
【0049】
上記延伸処理は特に限定されず、液体または気体中で加熱しながら延伸する等自体公知の方法が採用され得る。延伸時の温度は外糸部を構成する繊維の種類または延伸前の糸条の径の大きさによって異なるので一概には言えない。例えば、延伸前の糸条の直径が約1mm以上である場合、芯糸および外糸部を構成する繊維の融点以上の温度で延伸処理を行うのが好ましい。また、延伸前の糸条の直径が約1mm以下である場合、芯糸および外糸部を構成する繊維の融点以上の温度で延伸処理を行っても、融点以下の温度で延伸処理を行ってもよいが、融点以上の温度で行うのが好ましい。より具体的には、延伸時の温度は、約120〜300℃程度、好ましくは約130〜250℃程度、より好ましくは約130〜200℃程度、さらに好ましくは約130〜170℃程度である。
また、延伸は、1段で行ってもよいし、2段以上で行ってもよい。
【0050】
延伸する際の延伸倍率は、延伸時の温度または原料となるフィラメントの延伸履歴(既に延伸されたことがあるか否か、どの程度の延伸倍率で延伸されたか)等により異なるので一概にはいえない。具体的には、延伸倍率は約1.01〜15程度、好ましくは約2〜10程度、より好ましくは約2.2〜8程度である。
【0051】
上記のようにして得られる本発明に係る釣り糸は着色してもよい。特に、外糸部を一定長毎に少なくとも2色以上に染め分けることが好ましい。例えば25メートル毎に赤、青、黄、緑の順に着色することで繰り出した糸の全長を知ることができるので、釣り場での棚取りに大変便利となる。
着色方法は、公知方法を用いてよく、例えば、本発明の釣糸を着色剤溶液が入っている浴に室温、例えば約20〜25℃程度の温度下に通過させるという方法が挙げられる。この後、こうして被覆された糸を乾燥し、この被覆糸を約100〜130℃程度の温度に保たれた炉に通し、通過させることによって着色された糸条を製造できる。
着色剤としては、無機顔料、有機顔料または有機染料が知られているが、好適なものとしては、例えば、酸化チタン、カドミウム化合物、カーボンブラック、アゾ化合物、シアニン染料または多環顔料などが挙げられる
【0052】
本発明の釣糸は、上述のようにして得られる釣糸の表面を、さらに樹脂でコーティングしても良い。このように樹脂層を設けると糸条の表面がより滑らかになり、また、耐吸水性や耐摩擦性をより向上させることができるという利点がある。
被覆に使用する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、塩化ビニル、アクリル、ウレタン、ナイロン、ポリエステル、エポキシ、酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニルなどの合成樹脂などが挙げられ、エマルジョン型もしくは溶剤型のいずれでも良い。さらには天然ゴムやSBRなどの合成ゴム系統も用いることができる。中でも、ポリプロピレンを用いるのが好ましい。
被覆方法は自体公知の方法を用いてよく、例えば、溶融押出し被覆などが挙げられる。
【0053】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げるが、本発明がこれに限られないことはいうまでもない。
〔実施例1〕
超高分子量ポリエチレン繊維であるダイニーマ150d/140F(東洋紡績株式会社製)4本を製紐し、これを芯糸として用いた。ディップコートを用いてホットメルト接着剤(HM220(商品名) セメダイン株式会社製)を塗布した。このとき、ホットメルト接着剤の塗布量は、釣糸全体の重量に対して約10重量%であった。得られた芯糸の周りを、30dのナイロン糸8本で製紐した。得られた芯鞘構造の糸条を送り込みローラー100m/分の速度で、170℃に加熱した加熱炉に送り込み、巻き取りローラー250m/分の速度で巻き取り、本発明に係る糸条を製造した。かかる製造中に、芯糸と外糸部のナイロン糸とがずれることはなく、外観が良好で、平滑性の高い釣糸が得られた。該低伸度糸の伸度は2.5%であった。なお、伸度は、万能試験機 オートグラフAG−100kNI(商品名 島津製作所製)を用いて測定した。
【0054】
〔実施例2〕
ナイロン6/66(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社 ノバミッド2030Jチップ、比重=1.14)と、金属粒子(タングステン、比重=19.3)を含有する高比重ナイロン樹脂(カネボウ合繊株式会社製 MCTS00005チップ、比重=3)とを用いて次の条件によりモノフィラメントを製造した。すなわち、上記2種のチップを50/50の重量割合でブレンドし、このブレンド物を孔径40mmエクストルーダーに供給し、270℃で溶融し、孔径2.1mmの紡糸口金から紡出し、さらに50℃の水溶中で冷却した。引き続いて、この未延伸糸を95℃湿熱と220℃乾熱で4.5倍に2段延伸した後、225℃で0.98倍に弛緩熱処理することにより直径0.515mmのモノフィラメントを得た。
【0055】
得られたタングステン含有モノフィラメント1本を芯糸として、その周りを実施例1で用いたダイニーマ4本で角打ちにて製紐した。
実施例1におけるダイニーマ4本からなる製紐糸のかわりに、得られた上記製紐糸を芯糸とし、実施例1と全く同様にして、本発明に係る釣糸を得た。かかる製造中に、芯糸と外糸部のナイロン糸とがずれることはなく、外観が良好で、平滑性の高い釣糸が得られた。
【0056】
〔実施例3〕
エクストルーダー型溶融紡糸装置を使用し、モノフィラメントの断面形状が中空部の数が4個となるような紡糸口金を用いて、ペレット状ポリアミド−6(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社 ミツビシノバミッド1020A)を溶融紡糸した。紡出したフィラメントを20℃の水で冷却後、引き続いてこれを95℃の水蒸気雰囲気中で2.5倍に延伸し、0.5号の4つの中空部を有するモノフィラメント(中空糸)を製造した。かかるモノフィラメントは、比重が1.14、中空率が10%であった。なお、中空率は、ニコン社製マイクロフォトS光学顕微鏡に、顕微鏡写真撮影装置を取り付け、単糸断面の断面形状を撮影し、中空部の面積および中空糸の断面積を測定し、上記数式1より算出した。
【0057】
得られた中空糸1本を芯糸として、その周りを実施例1で用いたダイニーマ4本で角打ちにて製紐した。
実施例1におけるダイニーマ4本からなる製紐糸のかわりに、得られた上記製紐糸を芯糸とし、実施例1と全く同様にして、本発明に係る釣糸を得た。かかる製造中に、芯糸と外糸部のナイロン糸とがずれることはなく、外観が良好で、平滑性の高い釣糸が得られた。
【0058】
〔実施例4〕
実施例1〜3で得た釣糸について、それぞれ25mずつ五つかせどりし、連続した各々のかせを赤、青、黄、緑に染色し、25mごとに4色に染め分けた。顔料としては、三井酸性染料(三井BASF染料株式会社製)を用いた。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係る釣糸は、芯糸と外糸部とが少なくとも部分的にホットメルト接着剤で固着されているので、芯糸と外糸部がずれることがないという利点を有する。その結果、従来よりも平滑で、かつ外観も良好な釣糸を提供できる。また、製造時に芯糸と外糸部とがずれることがなくなるので、前記優れた釣糸を効率よく製造することができ、また製造工程管理が容易になる。
【0060】
本発明に係る釣糸は、芯糸として超高分子量ポリエチレン繊維またはPBO繊維を用いているので、高強力、低伸度である。また、芯鞘構造を有するので、耐磨耗性または耐候性にも優れている。
本発明に係る釣糸において外糸部に易染性の繊維を用いることにより、釣糸を染色することが可能になる。これは、特に深釣り用の釣糸にとっては、棚取り用の染め分けをすることが可能になることから好ましい。
【0061】
芯糸として超高分子量ポリエチレン繊維を用いた場合、製造工程において比較的大きな延伸倍率で延伸することにより、径の細い糸を製造することができる。これにより、フィラメント複数本を製紐すると、見かけの太さがデニールから計算した号数に比べ大きくなる問題点を解消できる。また、細い釣糸を製造しようとする場合、釣糸を構成するフィラメントは非常に径の小さいものを用いなければならないが、かかる径の小さいフィラメントは高価であるため最終製品である釣糸の価格も勢い高くなるという問題点もあった。しかし、本発明によれば、製造工程において延伸処理を行うので、原料となるフィラメントとして径の太いフィラメントを用いることができ、その結果、低コストの釣糸が提供できる。

Claims (10)

  1. 超高分子量ポリエチレン繊維またはポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維を含む芯糸と、該芯糸の周りに製紐されている合成繊維または金属繊維から構成される外糸部とからなり、かつ該芯糸と外糸部とが芯糸に塗布または含浸させたホットメルト接着剤で固着されていることを特徴とする釣糸。
  2. ホットメルト接着剤が、硬化後に100℃以下の温度で溶融しないことを特徴とする請求項1に記載の釣糸。
  3. ホットメルト接着剤が、ポリオレフィン系またはポリエルテル系ホットメルト接着剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の釣糸。
  4. ホットメルト接着剤が、反応型ホットメルト接着剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の釣糸。
  5. 反応型ホットメルト接着剤が、湿気硬化型ホットメルト接着剤あることを特徴とする請求項4に記載の釣糸。
  6. 外糸部の合成繊維が、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維または超高分子量ポリエチレン繊維からなる群から選択される少なくとも1種の繊維からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の釣糸。
  7. 外糸部の合成繊維が、金属粒子を含む樹脂からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の釣糸。
  8. 芯糸が、(a)中空構造をもち、超高分子量ポリエチレン繊維以外の繊維からなる糸と、超高分子量ポリエチレン繊維からなる糸との複合糸、または(b)中空構造をもち、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維以外の繊維からなる糸と、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維からなる糸との複合糸であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の釣糸。
  9. 外糸部が一定長毎に少なくとも2色以上に染め分けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の釣糸。
  10. 超高分子量ポリエチレン繊維またはポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維を含む芯糸に、ホットメルト接着剤を塗布または含浸し、次いで該芯糸の周りを合成繊維または金属繊維で製紐し、その後、該芯鞘構造の糸条を加熱処理および所望により延伸処理に付することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の釣糸の製造方法。
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