JP5062972B2 - イオン除去装置およびイオン除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工業廃水等に含有されるイオンを低コストで効率的に除去する装置および方法に関する。
近年、環境汚染、富栄養化の問題から、工業廃水、飲料水、工業用水、下水道処理水、環境水中のリン、ホウ素、ヒ素、フッ素イオン等の環境基準が強化され、それらを除去する技術が求められている。
工業廃水中のこれらのイオンを除去する方法としては、従来凝集沈殿処理やイオン吸着処理が知られている。凝集沈澱処理は除去対象イオンを比較的高濃度で含有する廃水の処理が可能であるが、処理後の除去対象イオンの濃度を1mg/L以下にするような、いわゆる高度処理を目的とするような場合には多量の薬剤添加が必要になり、発生する汚泥も大量になるという問題点があった。
一方、イオン吸着処理は廃水の高度処理には優れているものの、除去対象イオンを高濃度で含有する廃水を吸着処理する場合には多量の吸着剤が必要になると共に、吸着剤の再生頻度も増大するため、再生のための薬剤も多量に必要となり運転コストが高くなるという問題点があった。
そこで、凝集沈澱処理とイオン吸着処理のそれぞれの問題点を解決する方法として、凝集沈澱処理とイオン吸着処理を直列に組み合わせて廃水を処理する方法が考えられている(特開平10−314798号公報(特許文献1)、特開2001−276814号公報(特許文献2))。この方法では、凝集沈殿処理で廃水に含まれる除去対象イオンを粗取りし、除去対象イオンがある程度除去された凝集沈殿処理水が、以降のイオン吸着処理に供給される。また、イオン吸着処理で用いられる吸着剤は一定量の吸着によって飽和するので、この場合も、再生液を用いて再生処理が行われる。この再生処理においては、吸着剤から脱離した除去対象イオンを含む再生廃液が生じるが、これを凝集沈殿処理に戻して再度処理することも行われている。
しかしながら、工業廃水等からのイオン除去に対しては、さらなる改良特にコストダウンが求められている。
特開平10−314798号公報 特開2001−276814号公報
本発明は、工業廃水等に含有されるイオンを低コストで効率的に除去できる装置および方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、有機高分子樹脂を適当な良溶媒に溶解させ、さらに、該良溶媒に可溶で該有機高分子樹脂に親和性のある水溶性高分子を溶解混合させたポリマー溶液に、吸着基質である無機イオン吸着体粉末を縣濁させ、貧溶媒を凝固浴として成形する方法を採ることにより、表面にスキン層がなく、表面開口性に優れる多孔性成形体が得られ、この多孔性成形体が極めて高い吸着性能と耐久性能を有することを見出した。そして、この多孔性成形体を吸着剤として用いるイオン吸着処理を凝集沈澱処理と組み合わせることで、水中からのイオンの吸着除去を極めて低コストで実施できることを見出した。
すなわち、本発明は下記の通りである。
1.凝集沈殿処理手段と、多孔性成形体を用いたイオン吸着処理手段とを組み合わせて、水中に含有されるイオンを除去するイオン除去装置であって、該多孔性成形体が有機高分子樹脂及び無機イオン吸着体を含んでなるフィブリルが三次元網目構造を形成してなり、外表面に開口する連通孔を有する多孔性成形体であり、フィブリル間の隙間が連通孔を形成し、かつ前記フィブリル内部に空隙を有していて、かつ、該空隙の少なくとも一部はフィブリルの表面で開孔しており、該フィブリルの外表面及び内部の空隙表面に無機イオン吸着体が担持されていることを特徴とするイオン除去装置。
2.前記イオン吸着処理手段で用いた多孔性成形体を再生処理する際に生じる除去対象イオンを含有する再生排液を、前記凝集沈降処理手段に返送する手段を備えていることを特徴とする1.に記載のイオン除去装置。
3.前記多孔性成形体の連通孔が、成形体表面付近に最大孔径層を有することを特徴とする1.または2.に記載のイオン除去装置。
4.前記多孔性成形体が、有機高分子樹脂としてエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリスルホン(PS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群から選ばれる一種以上を含んでなる多孔性成形体であることを特徴とする1.〜3.のいずれか一項に記載のイオン除去装置。
5.前記無機イオン吸着体が、下記式(I)で表される金属酸化物を少なくとも一種含有していることを特徴とする1.〜4.のいずれか一項に記載のイオン除去装置。
MN・mHO (I)
(式中、xは0〜3、nは1〜4、mは0〜6であり、MおよびNは、Ti、Zr、Sn、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Si、Cr、Co、Ga、Fe、Mn、Ni、V、Ge、Nb及びTaからなる群から選ばれる金属元素であり、互いに異なる。)
6.前記式(I)で表される金属酸化物が、下記(a)〜(c)のいずれかの群から選ばれた1種またはそれらの混合物であることを特徴とする5.に記載のイオン除去装置。
(a)水和酸化チタン、水和酸化ジルコニウム、水和酸化スズ、水和酸化セリウム、水和酸化ランタン、および水和酸化イットリウム
(b)チタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン、およびイットリウムからなる群から選ばれる金属元素と、アルミニウム、珪素、および鉄からなる群から選ばれる金属元素との複合金属酸化物
(c)活性アルミナ
7.凝集沈殿処理工程と、多孔性成形体を用いたイオン吸着処理工程とを組み合わせて、水中に含有されるイオンを除去するイオン除去方法であって、該多孔性成形体が有機高分子樹脂及び無機イオン吸着体を含んでなるフィブリルが三次元網目構造を形成してなり、外表面に開口する連通孔を有する多孔性成形体であり、フィブリル間の隙間が連通孔を形成し、かつ前記フィブリル内部に空隙を有していて、かつ、該空隙の少なくとも一部はフィブリルの表面で開孔しており、該フィブリルの外表面及び内部の空隙表面に無機イオン吸着体が担持されていることを特徴とするイオン除去方法。
8.前記イオン吸着処理工程で用いた多孔性成形体を再生処理する際に生じる除去対象イオンを含有する再生排液を、前記凝集沈降処理工程に返送する工程を含むことを特徴とする7.に記載のイオン除去方法。
本発明によれば、工業廃水等に含有されるイオンを低コストで効率的に除去できる。
以下、本発明について、特にその好ましい形態を中心に、具体的に説明する。
本発明でいう凝集沈殿処理には、工業廃水処理や下水処理等で実施されている従来公知の方法が何れも使用できる。
例えば、リンが除去対象イオンである場合には、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム塩や、硫酸第一鉄、塩化第二鉄等の鉄塩、及び消石灰に代表される無機凝集剤を添加してリンを凝集沈殿させる方法がある。
ホウ素が除去対象イオンである場合には、アルミニウム塩、鉄塩、マグネシウム塩、カルシウム塩を添加して凝集沈殿させる方法や、アルミニウム塩と消石灰を併用して添加して凝集沈殿させる方法等がある。
フッ素が除去対象イオンである場合には、カルシウム塩を添加してフッ化カルシウムとしてフッ素を凝集沈殿させる方法や、アルミニウム塩やマグネシウム塩を添加し、アルカリ性条件下で析出した水酸化アルミニウムあるいは水酸化マグネシウムにより凝集沈殿除去する方法等がある。
また、ヒ素が除去対象イオンである場合には、鉄塩を添加して凝集沈殿させる方法等がある。
本発明でいうイオン吸着処理とは、イオン吸着能を有する成形体を吸着剤として用いて、該成形体を水と接触させて該水中に含有されるイオンを吸着除去する処理であるが、イオン吸着処理工程は、凝集沈降処理工程の後段に設ける。
また、本発明の装置および方法を構成するイオン吸着処理では、吸着剤として特定の構造の多孔性成形体を用いる必要がある。
本発明で用いる多孔性成形体は、連通孔を有し多孔質な構造を有する。さらに、外表面にはスキン層が無く、表面の開口性に優れる。さらに、連通孔を形成するフィブリル内部にも空隙を有し、その空隙の少なくとも一部はフィブリル表面で開孔している。
本発明の多孔性成形体の外表面開口率は、走査型電子顕微鏡で表面を観察した視野の面積中に占める全ての孔の開口面積の和の割合をいう。本発明では10,000倍で成形体の表面を観察し外表面開口率を実測した。
好ましい表面開口率の範囲は、10〜90%であり、特に15〜80%が好ましい。10%未満では、リンやホウ素等の吸着対象物質の成形体内部への拡散速度が遅くなる傾向があり、一方90%を超えると成形体の強度が不足しやすく、カ学的強度に優れた成形体を実現しにくい。
本発明の多孔性成形体の外表面開口径は、走査型電子顕微鏡で表面を観察して求める。孔が円形の場合はその直径、円形以外の場合は、同一面積を有する円の円相当直径を用いる。好ましい表面開口径の範囲は、O.005μm〜100μmであり、特にO.01μm〜50μmが好ましい。O.005μm未満では、リンやホウ素等の吸着対象物質の成形体内部への拡散速度が遅くなりやすく、一方、100μmを超えると成形体の強度が不足しやすい。
本発明で用いる多孔性成形体は、連通孔を形成するフィブリル内部にも空隙を有し、かつ、その空隙の少なくとも一部はフィブリルの表面で開孔している。無機イオン吸着体は、このフィブリルの外表面およびフィブリル内部の空隙表面に担持されている。フィブリル自体も多孔質であるため、内部に埋め込まれた吸着基質である無機イオン吸着体も、リンやホウ素と言った吸着対象物質と接触することができ、有効に吸着剤として機能することができる。
本発明で用いる多孔性成形体は、このように吸着基質が担持されている部分も多孔質であるため、吸着基質とバインダを練り込んでつくる従来の方法の欠点であった、吸着基質の微細な吸着サイトがバインダで塞がれるといったことが少なく、吸着基質を有効に利用することができる。
ここで、フィブリルとは有機高分子樹脂からなり、成形体の外表面および内部に三次元的に連続した網目構造を形成する繊維状の構造体を意味する。フィブリル内部の空隙およびフィブリル表面の開孔は、走査型電子顕微鏡で成形体の割断面を観察して判定する。フィブリルの断面には空隙があり、フィブリルの表面は開孔していることが観察される。さらに、無機イオン吸着体粉末は、フィブリルの外表面および内部の空隙表面に担持されている様子が観察される。フィブリルの太さは、O.01μm〜50μmが好ましい。
フィブリル表面の開孔径は、O.001μm〜5μmが好ましい。
本発明で用いる多孔性成形体の構造が発現するメカニズムを考察する。
一般に、ポリマーとポリマーの良溶媒の混合物を貧溶媒の中に浸漬して、溶媒交換によりポリマーのゲル化を行わせて多孔体を形成する方法を湿式相分離法という。これらの過程で良溶媒の比率が減少し、それにつれてミクロ相分離が生じ、ポリマーの小球が形成し、成長し、絡み合い、フィブリルが形成され、フィブリルの隙間が連通孔となる。
さらに、成形体構造の決定(凝固)は、貧溶媒の内部への拡散により、外表面から内部へと順次進行していく。この方法では、成形体の表面にはスキン層と呼ばれる緻密な層が形成されるのが一般的である。
これに対し、本発明では、後述する水溶性高分子を添加することにより、相分離の過程で、ポリマーの絡み合いの間に水溶性高分子が分散し、介在することで、細孔同志が互いに連通し、フィブリル内部も多孔質となり、さらにフィブリル表面も開孔する。さらに、成形体の外表面においても開孔し、スキン層のない成形体が得られるものと考えられる。
さらに、水溶性高分子は、相分離の過程で一部は貧溶媒側に溶けだしていくが、一部は、有機高分子樹脂の分子鎖と絡みあったまま、フィブリルの中に残る。この残存した水溶性高分子は、無機イオン吸着体である吸着基質とフィブリルの隙間をコーティングして、吸着基質の活性点を塞がない役目をすると考えられる。したがって、本発明の多孔性成形体は、担持した無機イオン吸着体の吸着能力のほぼ全てを使うことができ、効率が高い。
さらに、水溶性高分子は、フィブリルの表面からその分子鎖を一部、あたかもヒゲのように伸ばすため、フィブリルの表面は親水性に保たれ、疎水的吸着などからの防汚効果が期待できる。
本発明で用いる多孔性成形体は、連通孔が、成形体表面付近に最大孔径層を有することが好ましい。ここで、最大孔径層とは、成形体の表面から内部に至る連通孔の孔径分布中で最大の部分をいう。ボイドと呼ばれる円形又はだ円形(指状)の大きな空隙がある場合には、ボイドが存在する層を最大孔径層という。
表面付近とは、外表面から中心部へ向かって、成形体の割断径の25%まで内側を意味する。
最大孔径層が成形体表面付近にあることによって、吸着対象物質の内部への拡散を速める効果を有する。よって、リンやホウ素といった吸着対象物質を素早く成形体内部に取り込み、処理水中から除去することができる。
最大孔径および最大孔径層の位置は、成形体の表面および割断面を走査型電子顕微鏡で観察して求める。
孔径は、孔が円形の場合はその直径、円形以外の場合は、同一面積を有する円の円相当直径を用いる。
成形体の形態は、粒子状、糸状、シート状、中空糸状、円柱状、中空円柱状等の任意の形態をとることができる。
粒子状の成形体の成形方法は特に限定されないが、流体ノズルから、ポリマー溶液を噴霧して凝固浴中で凝固する方法が挙げられる。
特に、粒子状で粒度分布がそろったものが得られる点で、下記の回転ノズル法が特に好ましい。回転ノズル法とは、高速で回転する回転容器の側面に設けたノズルから、遠心力で、ポリマー溶液(有機高分子樹脂と、該有機高分子樹脂の良溶媒と、無機イオン吸着体と、水溶性高分子の混合スラリー)を飛散させて液滴を形成させる方法である。
ノズルの径は、0.1mm〜1Ommの範囲が好ましく、0.1mm〜5mmの範囲がより好ましい。O.1mmより小さいと液滴が飛散しにくい傾向があり、10mmを超えると、粒度分布が広くなる傾向がある。
遠心力は、遠心加速度で表され5〜1500Gの範囲が好ましく、10〜1000Gの範囲がより好ましい。さらに好ましくは、10〜800Gの範囲である。遠心加速度が5G未満では、液滴の形成と飛散が困難になる傾向があり、1000Gを超えると、ポリマー液が糸状になって吐出するので粒度分布が広くなる傾向がある。
糸状およびシート状成形体は、該当する形状の紡口、ダイスからポリマー溶液を押しだし、貧溶媒中で凝固させる方法を採ることができる。また、中空糸状成形体は、環状オリフィスからなる紡口を用いることで同様に成形できる。円柱状および中空円柱状成形体は、紡口からポリマー原液を押し出す際、切断しながら貧溶媒中で凝固させてもよいし、糸状に凝固させてから後に切断しても構わない。
なかでも、成形体を水処理分野において吸着剤として使用する場合には、カラム等に充填して通水する際の圧力損失、接触面積の有効性の点、取り扱い易さの点から粒子状が好ましく、特に球状粒子(真球状のみならず、楕円球状であってもよい)が好ましい。
本発明の球状成形体の平均粒子径は、該粒子を球状とみなして、レーザー光による回折の散乱光強度の角度分布から求めた球相当径のモード径(最頻度粒子径)である。好ましい平均粒子径の範囲は、100〜2500μmであり、特に200〜2000μmが好ましい。平均粒径が100μmより小さければカラムやタンクになどへ充填した際に圧カ損失が大きくなりやすく、また、平均粒径が2500μmより大きければ、カラムやタンクに充填したときの表面積が小さくなり、処理効率が低下しやすい。
本発明でいう成形体の空孔率Pr(%)とは、成形体の含水時の重量W1(g)、乾燥後の重量W0(g)、および成形体の比重をρとするとき、下式で表される値をいう。
Pr=(W1-WO)/(W1-WO+W0/ρ)×100
含水時の重量は、十分に水に濡れた成形体を、乾いたろ紙上に拡げ、余分な水分をとってから含水時の重量を測定すればよい。乾燥は、水分をとばすために、室温下で真空乾燥を行えばよい。成形体の比重は、比重瓶を用いて簡便に測定することができる。
好ましい空孔率Pr(%)の範囲は、50%〜90%であり、特に60〜85%が好ましい。50%未満ではリンやホウ素等の吸着対象物質と吸着基質である無機イオン吸着体との接触頻度が不十分となりやすい。90%を超えると、成形体の強度が不足しやすい。
本発明の成形体の無機イオン吸着体の担持量は、成形体の乾燥時の重量Wd(g)、灰分の重量Wa(g)とするとき下式で表される値をいう。
担持量(%)=Wa/Wd×100
ここで、灰分とは成形体を800℃で2時間焼成したときの残分をいう。
好ましい担持量の範囲は、30〜95%であり、さらに好ましくは、40〜90%であり、特に65〜90%が好ましい。30%未満だと、リンやホウ素等の吸着対象物質と吸着基質である無機イオン吸着体との接触頻度が不十分となりやすく、95%を超えると、成形体の強度が不足しやすい。
本発明に用いる多孔性成形体の製造方法は、従来技術の添着法とは異なり、吸着基質と有機高分子樹脂を練り込んで成形するため、担持量を多く保ちかつ強度の強い成形体を得ることができる。
本発明の成形体の比表面積は、次式で定義される。
比表面積(m2/cm3)=S BET×かさ比重(g/cm3)
ここで、S BET は、成形体の単位重量あたりの比表面積(m2/g)である。
比表面積の測定方法は、成形体を室温で真空乾燥した後、BET法を用いて測定する。
かさ比重の測定方法は、粒子状、円柱状、中空円柱状等の形状が短いものは、湿潤状態の成形体を、メスシリンダー等を用いて、みかけの体積を測定する。その後、室温で真空乾燥して重量を求める。
糸状、中空糸状、シート状の形状が長いものについては、湿潤時の断面積と長さを測定して、両者の積から体積を算出する。その後、室温で真空乾燥して重量を求める。
好ましい比表面積の範囲は、5m/cm〜500m/cmである。5m/cm未満だと、吸着基質の担持量および吸着性能が不十分となりやすく、500m/cmを超えると、成形体の強度が不足しやすい。
一般的に、吸着基質である無機イオン吸着体の吸着性能(吸着容量)は、比表面積に比例する場合が多い。単位体積あたりの表面積が小さいと、カラムやタンクに充填したときの吸着容量、吸着性能が小さく、高速処理を達成しにくい。
本発明で用いる成形体は、多孔質でありフィブリルが複雑に絡み合った三次元網目構造をとる。さらに、フィブリル自体も空隙を有するため、表面積が大きいという特徴を有する。これに、更に大きい比表面積をもつ吸着基質(無機イオン吸着体)を担持させるので、単位体積あたりの表面積も大きくなるのが特徴である。
次に、本発明で用いる多孔性成形体の製造方法について説明する。
本発明で用いる多孔性成形体の製造方法は、有機高分子樹脂とその良溶媒と無機イオン吸着体と水溶性高分子とを混合した後、成形し、貧溶媒中で凝固させることを特徴とする。
本発明で用いる有機高分子樹脂は、特に限定されないが、湿式相分離による多孔化手法が可能なものが好ましい。たとえば、ポリスルホン系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、アクリロニトリル系ポリマー、ポリメタクリル酸メチル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、セルロース系ポリマー、エチレンビニルアルコール共重合体系ポリマー等、多種類が挙げられる。
特に、水中での非膨潤性と耐生分解性、さらに製造の容易さから、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリスルホン(PS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が好ましく、さらに親水性と耐薬品性を兼ね備えている点で、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)が好ましい。
また、本発明に用いる良溶媒は有機高分子樹脂および水溶性高分子を共に溶解するものであればいずれでもよい。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)等である。これらの良溶媒は1種又は混合溶媒としてもよい。
有機高分子樹脂の良溶媒中の含有率に特に限定はないが、好ましくは5〜40重量%であり、さらに好ましくは、7〜30重量%である。5重量%未満では、強度のある成形体が得られにくい。40重量%を超えると、空孔率の高い多孔性成形体が得られにくい。
本発明に用いる水溶性高分子は有機高分子樹脂と相溶性のあるものであれば特に限定されない。
天然高分子では、グアーガム、ローカストビーンガム、カラーギナン、アラビアゴム、トラガント、ペクチン、デンプン、デキストリン、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン等が挙げられる。
また、半合成高分子では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン等が挙げられる。
さらに、合成高分子では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、さらに、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリエチレングリコール類が挙げられる。
これらの水溶性高分子の中でも、耐生分解性を有する点で合成高分子が好ましい。
特に、本発明の成形体のように、連通孔を形成するフィブリル内部にも空隙を有する構造を発現する効果が高い点で、水溶性高分子としてポリビニルピロリドンを用いるのが特に好ましい。
ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、2,000〜2,000,000の範囲が好ましく、2,000〜1,000,000の範囲がより好ましく、2,000〜100,000の範囲がさらに好ましい。重量平均分子量が2,000より小さいと、フィブリル内部に空隙を有する構造を発現させる効果が低くなる傾向があり、2,000,000を超えると、成形する時の粘度が上昇して、成形が難しくなる傾向がある。
本発明でいう成形体の水溶性高分子の含有量とは、成形体の乾燥時の重量をWd(g)、成形体から抽出した水溶性高分子の重量をWs(g)とするとき下式で表わされる値をいう。
含有量(%)=Ws/Wd ×100
水溶性高分子の含有量は、水溶性高分子の種類、分子量に左右されるが、0.001〜10%が好ましく、より好ましくは、0.01〜1%である。0.001%未満では、成形体の表面を開口させるのに効果が必ずしも十分でなく、10%を超えると相対的にポリマー濃度が薄くなり、強度が十分でない場合がある。
ここで、成形体中の水溶性高分子の重量Wsは、次のようにして測定する。まず、乾燥した成形体を乳鉢等で粉砕した後、該粉砕物から水溶性高分子の良溶媒を用いて水溶性高分子を抽出し、次いで該抽出液を蒸発乾固して、抽出した水溶性高分子の重量を求める。さらに、抽出した蒸発乾固物の同定と、フィブリル中に残存して抽出されなかった水溶性高分子の有無の確認は、赤外吸収スペクトル(IR)等で測定できる。さらに、フィブリル中に残存して抽出されなかった水溶性高分子がある場合は、本発明の多孔性成形体を、有機高分子樹脂と水溶性高分子の両方の良溶媒で溶解後、無機イオン吸着体をろ過して除いた液を作成し、次いで、該液体をGPC等を用いて分析して水溶性高分子の含有量を定量することができる。
本発明でいう成形体の水溶性高分子の含有量とは、成形体の乾燥時の重量をWd(g)、成形体から抽出した水溶性高分子の重量をWs(g)とするとき下式で表わされる値をいう。
含有量(%)=Ws/Wd ×100
水溶性高分子の含有量は、水溶性高分子の種類、分子量に左右されるが、0.001〜10%が好ましく、より好ましくは、0.01〜1%である。0.001%未満では、成形体の表面を開口させるのに効果が必ずしも十分でなく、10%を超えると相対的にポリマー濃度が薄くなり、強度が十分でない場合がある。
ここで、成形体中の水溶性高分子の重量Wsは、次のようにして測定する。まず、乾燥した成形体を乳鉢等で粉砕した後、該粉砕物から水溶性高分子の良溶媒を用いて水溶性高分子を抽出し、次いで該抽出液を蒸発乾固して、抽出した水溶性高分子の重量を求める。さらに、抽出した蒸発乾固物の同定と、フィブリル中に残存して抽出されなかった水溶性高分子の有無の確認は、赤外吸収スペクトル(IR)等で測定できる。さらに、フィブリル中に残存して抽出されなかった水溶性高分子がある場合は、本発明の多孔性成形体を、有機高分子樹脂と水溶性高分子の両方の良溶媒で溶解後、無機イオン吸着体をろ過して除いた液を作成し、次いで、該液体をGPC等を用いて分析して水溶性高分子の含有量を定量することができる。
水溶性高分子の含有量は、水溶性高分子の分子量、有機高分子樹脂とその良溶媒の組み合わせで適宜調整が可能である。例えば、分子量の高い水溶性高分子を使用すると、有機高分子樹脂との分子鎖の絡み合いが強固になり、成型時に貧溶媒側に移行しにくくなり、含有量を高くすることができる。
本発明で用いられる無機イオン吸着体とは、イオン吸着現象を示す無機物質をいう。
例えば、天然物ではゼオライトやモンモリロナイト、各種の鉱物性物質があり、合成物系では金属酸化物等がある。前者はアルミノケイ酸塩で単一層格子をもつカオリン鉱物、2層格子構造の白雲母、海緑石、鹿沼土、パイロフィライト、タルク、3次元骨組み構造の長石、ゼオライトなどで代表される。後者は、多価金属の塩、金属酸化物、不溶性のヘテロポリ酸塩、不溶性ヘキサシアノ鉄酸塩などが主要なものである。
多価金属の塩としては、下記式(II)のハイドロタルサイト系化合物が挙げられる。
2+ (1−X)3+ x(OH-(2+x-y)(An−)y/n (II)
〔式中、M2+はMg2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca 2+及びCu2+からなる群から選
ばれる少なくとも1種の二価の金属イオンを示し、M3+はAl3+及びFe3+からなる群から選ばれる少なくとも1種の三価の金属イオンを示し、An-はn価のアニオンを示し、0.1≦x≦ 0.5であり、0.1≦y≦0.5であり、nは1または2である。〕
金属酸化物とは、下記式(I)で表せる。
MN・mHO (I)
(式中、xは0〜3、nは1〜4、mは0〜6であり、MおよびNは、Ti、Zr、Sn、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Si、Cr、Co、Ga、Fe、Mn、Ni、V、Ge、Nb及びTaからなる群から選ばれる金属元素であり、互いに異なる。)
本発明でいう金属酸化物とは、式(I)中のmが0で表せる未水和(未含水)の金属酸化物であっても良いし、mが0以外の数値で表せる水和(含水)金属酸化物であっても良い。
また式(I)中のxが0以外の数値である場合の金属酸化物は、含有される各金属元素が規則性を持って酸化物全体に均一に分布して、例えば、ペロブスカイト構造、スピネル構造等を形成し、ニッケルフェライト(NiFe)、ジルコニウムの含水亜鉄酸塩(Zr・Fe24・mH2O mは0.5〜6)のごとく金属酸化物に含有される各金属元素の組成比が一定に定まった化学式で表される、複合金属酸化物である
本発明の多孔性成形体に担持させる無機イオン吸着体としては、リン、ホウ素、フッ素、ヒ素の吸着性能に優れている点から、前記式(I)で表わされ、かつ下記(a)〜(c)のいずれかの群から選ばれる金属酸化物の1種またはそれらの混合物であることが好ましい。
(a)水和酸化チタン、水和酸化ジルコニウム、水和酸化スズ、水和酸化セリウム、水和酸化ランタン、および水和酸化イットリウム
(b)チタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン、およびイットリウムからなる群から選ばれる金属元素と、アルミニウム、珪素、および鉄からなる群から選ばれる金属元素との複合金属酸化物
(c)活性アルミナ
また、硫酸アルミニウム添着活性アルミナ、硫酸アルミニウム添着活性炭等も好ましい。
本発明で用いる式(I)で表される金属酸化物とは、M、N以外の金属元素が固溶したものであっても良い。例えば、式(I)に則ってZrO・mHOという式で表される水和酸化ジルコニウムとは、鉄が固溶した水和酸化ジルコニウムであっても良い。
本発明で用いる無機イオン吸着体は、式(I)で表せる金属酸化物を複数種含有していても良い。各金属酸化物の分布状態については特に制限はないが、各金属酸化物の有する特性を有効に活用し、よりコストパフォーマンスに優れる無機イオン吸着体を得るためには、特定の金属酸化物の廻りを、他の金属酸化物が覆った混合体構造にすることが好ましい。このような構造としては、四三酸化鉄の廻りを水和酸化ジルコニウムが覆った構造が例示できる。
また、本発明でいう金属酸化物とは他の元素を固溶している金属酸化物も含むため、ジルコニウムが固溶した四三酸化鉄の廻りを、鉄が固溶した水和酸化ジルコニウムが覆った構造も好ましい例として例示できる。
上述の例においては、水和酸化ジルコニウムはリン、ホウ素、フッ素、ヒ素等のイオンに対する吸着性能や繰り返し使用に対する耐久性能は高いが、高価である。一方、四三酸化鉄は、水和酸化ジルコニウムに比較してリン、ホウ素、フッ素、ヒ素等のイオンに対する吸着性能や繰り返し使用に対する耐久性能は低いが、非常に安価である。
したがって、四三酸化鉄の廻りを水和酸化ジルコニウムで覆った構造にした場合、イオンの吸着に関与する無機イオン吸着体の表面付近は、吸着性能、耐久性能が高い水和酸化ジルコニウムになる一方、吸着に関与しない内部は安価な四三酸化鉄になるため、高吸着性能、高耐久性能で低価格の、すなわちコストパフォーマンスに極めて優れる吸着剤として利用できる多孔性成形体が得られる。
リン、ホウ素、フッ素、ヒ素の環境や健康に有害なイオンの吸着除去に対して、コストパフォーマンスに優れる吸着剤を得るという観点からは、本発明で用いる無機イオン吸着体は、式(I)中のMおよびNの少なくとも一方がアルミニウム、珪素、鉄からなる群から選ばれる金属元素である金属酸化物の廻りを、式(I)中のMおよびNの少なくとも一方がチタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン、イットリウムからなる群から選ばれる金属元素である金属酸化物で覆った構造で構成されていることが好ましい。
この場合、無機イオン吸着体中のアルミニウム、珪素、鉄からなる群から選ばれる金属元素の含有比率は、アルミニウム、珪素、鉄からなる群から選ばれる金属元素と、チタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン、イットリウムからなる群から選ばれる金属元素との合計モル数をT、アルミニウム、珪素、鉄からなる群から選ばれる金属元素のモル数をFとして、F/T(モル比)が、0.01〜0.95の範囲であることが好ましく、0.1〜0.90の範囲であることがより好ましく、0.2〜0.85であることがさらに好ましく、0.3〜0.80であることが特に好ましい。F/T(モル比)の値を大きくし過ぎると、吸着性能、耐久性能が低くなる傾向があり、小さくなると低価格化に対する効果が小さくなる。
また、金属によっては、金属元素の酸化数が異なる複数の形態の金属酸化物が存在するが、無機イオン吸着体中で安定に存在できるものであれば、その形態に制限はない。例えば、鉄の酸化物である場合は、空気中での酸化安定性の問題から水和酸化第二鉄(FeO1.5・mH2O)または水和四三酸化鉄(FeO1.33・mH2O)であることが好ましい。
なお、本発明の無機イオン吸着体は、その製造方法等に起因して混入する不純物元素を
本発明の目的の達成を逸脱しない範囲で含有していても良い。混入する可能性がある不純物元素としては窒素(硝酸態、亜硝酸態、アンモニウム態)、ナトリウム、マグネシウム、イオウ、塩素、カリウム、カルシウム、銅、亜鉛、臭素、バリウム、ハフニウム等が考えられる。
また、無機イオン吸着体は、その比表面積が吸着性能や耐久性能に影響するため、比表面積が一定の範囲内であることが好ましい。具体的には、窒素吸着法で求めたBET比表面積が20〜1000m2/gであることが好ましく、30〜800m2/gであることがより好ましく、50〜600m2/gであることがさらに好ましく、60〜500m2/gであることが特に好ましい。BET比表面積が小さすぎると吸着性能が低下し、大きすぎると酸やアルカリに対する溶解性が大きくなり、その結果繰り返し使用に対する耐久性能が低下する。
本発明で用いられる式(I)で表される金属酸化物の製造方法は特に限定されないが、例えば、次のような方法により製造される。該金属塩化物、硫酸塩、硝酸塩等の塩類水溶液中にアルカリ溶液を添加して得られた沈殿物をろ過、洗浄した後乾燥する。乾燥は風乾するかもしくは好ましくは約150℃以下、より好ましくは約90℃以下で約1〜20時間程度乾燥する。
次に、式(I)中のMおよびNの少なくとも一方がアルミニウム、珪素、鉄からなる群から選ばれる金属元素である金属酸化物の廻りを、式(I)中のMおよびNの少なくとも一方がチタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン、イットリウムからなる群から選ばれる金属元素である金属酸化物で覆った構造で構成されている無機イオン吸着体の製造方法として、四三酸化鉄の廻りを酸化ジルコニウムが覆った構造の無機イオン吸着体を製造する場合を例に説明する。
まずジルコニウムの塩化物、硝酸塩、硫酸塩等の塩と、鉄の塩化物、硝酸塩、硫酸塩等の塩とを、上述のF/T(モル比)が所望の値になるように混合した塩類水溶液を作製する。その後、アルカリ水溶液を添加して、pHを好ましくは8〜9.5より好ましくは8.5〜9に調整して沈殿物を生成させる。この後、水溶液の温度を50℃にし、pHを好ましくは8〜9.5より好ましくは8.5〜9に保ちながら空気を吹き込み、液相に第一鉄イオンが検出できなくなるまで、酸化処理を行う。生じた沈澱を濾別し、水洗した後乾燥する。乾燥は風乾するかもしくは好ましくは約150℃以下、より好ましくは約90℃以下で約1〜20時間程度乾燥する。乾燥後の含水率は、約6〜30重量%の範囲内に入ることが好ましい。
前述の製造法において用いられるジルコニウムの塩としては、オキシ塩化ジルコニウム(ZrOC12)、四塩化ジルコニウム(ZrC14)、硝酸ジルコニウム(Zr(NO3)4)、硫酸ジルコニウム(Zr(SO4)2)等が挙げられる。これらは例えばZr(SO4)2・4H2Oなどのように含水塩であってもよい。これらの金属塩は通常、1リットル中に約0.05〜2.Oモルの溶液状で用いられる。
前述の製造法において用いられる鉄の塩としては、硫酸第一鉄(FeSO4)、硝酸第一鉄(Fe(NO3)2)、塩化第一鉄(FeC12)等の第一鉄塩が挙げられる。これらもFeSO4・7H2Oなどの含水塩であってもよい。これらの第一鉄塩は通常、固形物で加えられるが、溶液状で加えてもよい。
アルカリとしては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、好ましくは約5〜20重量%の水溶液で用いられる。
酸化性ガスを吹き込む場合、その時間は、酸化性ガスの種類などによって異なるが、通常約1〜10時間程度である。酸化剤としては、たとえば過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムなどが用いられる。
本発明で用いる多孔性成形体が吸着対象とするイオンは、陰イオン、陽イオンと特に限定されない。例えば、陰イオンでは、リン(リン酸イオン)、フッ素(フッ化物イオン)、ヒ素(ヒ酸イオン、亜ヒ酸イオン)、ホウ素(ホウ酸イオン)、ヨウ素イオン、塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、及び酢酸等の各種有機酸のイオンが挙げられる。また、陽イオンでは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、カドミウム、鉛、クロム、コバルト、ストロンチウム、及びセシウム等が挙げられる。
本発明の無機イオン吸着体は、可能な限り微粒子であることが好ましく、その粒子径はO.01μm〜100μmが好ましく、より好ましくは、O.01μm〜50μm、さらに好ましくはO.01μm〜30μmの範囲である。
粒子径が0.01μmより小さいと、製造時のスラリー粘度が上昇し、成形しにくい傾向があり、100μmより大きいと、比表面積が小さくなるため、吸着性能が低下する傾向にある。
ここでいう粒子径とは、一次粒子と、一次粒子が凝集した二次粒子の両方又は混合物の粒子径をいう。本発明の無機イオン吸着体の粒子径は、レーザー光による回折の散乱光強度の角度分布から求めた球相当径のモード径(最頻度粒子径)である。
本発明で用いる多孔性成形体製造方法における貧溶媒としては、例えば、水や、メタノール、エタノール等のアルコール類、工一テル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類などの有機高分子樹脂を溶解しない液体が用いられるが、水を用いることが好ましい。また、貧溶媒中に有機高分子樹脂の良溶媒を若干添加することにより凝固速度をコントロールすることも可能である。好ましい高分子樹脂の良溶媒と水の混合比はO〜40%であり、0〜30%がより好ましい。混合比が40%を超えると、凝固速度が遅くなるため、液滴等に成形したポリマー溶液が、貧溶媒中への突入する時および貧溶媒中を移動中に、貧溶媒と成形体の間で摩擦低抗の影響を受けて、形状が歪になる傾向がある。
貧溶媒の温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは−30℃〜90℃、より好ましくはO℃〜90℃、さらに好ましくは0℃〜80℃である。貧溶媒の温度が90℃を超えたり、又は−30℃未満であると、貧溶媒中の成形体の状態が安定しにくい。
次に、本発明のイオン除去装置および方法におけるイオン吸着処理について説明する。
本発明のイオン吸着処理は、上述の多孔性成形体を吸着剤として用い、その多孔性成形体を処理対象の水と接触させて該水中に含有されるイオンを、多孔性成形体に吸着させて除去する処理である。通常多孔性成形体は容器内に充填して用いられるが、その容器の形状や多孔性成形体の充填層の形状については、多孔性成形体と処理対象の水が接触できるのであれば、特に制限はなく、例えば、円筒状、円柱状、多角柱状、箱型の容器に充填し、カラム、吸着塔、吸着槽等として用いることができるが、カラムや吸着塔に充填して、被処理水を通液して接触させる方が、多孔性成形体の特徴である接触効率の高さを充分に引き出せる。
これらの容器には、容器から多孔性成形体が流出しないような固液分離機構、例えば目皿やメッシュの設置等を備えていることが好ましい。
容器の材質は、特に限定されるものではないが、ステンレス、FRP(ガラス繊維入り強化プラスチック)、ガラス、各種プラスチックが挙げられる。耐酸性を考慮して、内面をゴムやフッ素樹脂ライニングとすることもできる。
多孔性成形体と処理対象水との接触方式についても、多孔性成形体と処理対象の水が接触できるのであれば、特に制限はない。多孔性成形体の充填層を固定床とする場合、円柱状、多角柱状、箱型の多孔性成形体の充填層に上昇流または下降流で通水する方式、
円筒状の多孔性成形体の充填層に円周方向外側から内筒へ通水する外圧方式、その逆方向に通水する内圧方式、箱型の充填層に水平方向に通水する方式等が例示できる。また、多孔性成形体の充填層を流動床方式としても良い。
本発明のイオン吸着処理手段は、特に限定されるものではないがメリーゴーランド方式をとることができる。メリーゴーランド方式とは、複数のイオン吸着処理手段を直列に配置して通水を行い、前段のイオン吸着処理手段の吸着能力低下すると、そのイオン吸着処理手段の通水を停止するとともに、後段に位置していたイオン吸着処理手段を今度は最前段として通水するというように、順次前段から時間差でイオン吸着処理手段に通水することによって、連続して水質の安定した処理水を得る方式をいう。
本発明のイオン吸着処理では、後述する脱着操作と活性化操作を、吸着操作を行う同じ現場ですることが一般的である。しかし、現場に十分なスペースが無い、又は、脱着頻度が少ないような場合には、カラムのみを装置から取り外し、別途、新しいカラムと交換することもできる。取り外したカラムは、別途、脱着、活性の施設の整った工場等で処理を行い、再利用することができる。
本発明のイオン除去装置および方法におけるイオン吸着処理は、その前処理として水中の縣濁物質を固液分離する手段を設けることが好ましい。あらかじめ水中の縣濁物質を除去することで、多孔性成形体の表面の閉塞を防ぐことができ、本発明で用いる多孔性成形体の吸着性能を十分発揮することができる。好ましい固液分離手段としては、凝集沈殿、沈降分離、砂ろ過、膜分離が挙げられる。特に、設置面積が少なくて、清澄なろ過水が得られる膜分離技術が好ましい。好ましい膜分離技術は、逆浸透膜(RO)、限外ろ過膜(UF)、精密ろ過膜(MF)等が挙げられる。膜の形態は、平膜、中空糸、プリーツ、スパイラル、チューブ等、限定されない。
本発明のイオン吸着処理では、被処理水のpHを吸着対象とするイオンと該無機イオン吸着体の組み合わせにより好適pHに調整したのち、吸着対象イオンを吸着することが好ましい。
例えば、液体中のリンを吸着対象とし、水和酸化ジルコニウムまたは四三酸化鉄を水和酸化ジルコニウムで覆った構造の無機イオン吸着体を用いた場合のpH調整範囲は、pH1.5〜10の範囲が好ましく、さらに好ましくは、pH2〜7である。
また、液体中のホウ素を吸着対象とし、水和酸化セリウムまたは四三酸化鉄を水和酸化セリウムで覆った構造の無機イオン吸着体を用いた場合のpH調整範囲は、pH3〜10の範囲が好ましく、さらに好ましくは、pH5〜8である。
また、液体中のフッ素を吸着対象とし、水和酸化セリウムまたは四三酸化鉄を水和酸化ジルコニウムで覆った構造の無機イオン吸着体を用いた場合のpH調整範囲は、pH1〜7の範囲が好ましく、さらに好ましくは、pH2〜5である。
また、液体中のヒ素を吸着対象とし、水和酸化セリウムまたは四三酸化鉄を水和酸化セリウムで覆った構造の無機イオン吸着体を用いた場合のpH調整範囲は、pH3〜12の範囲が好ましく、さらに好ましくは、pH5〜9である。
本発明の多孔性成形体は、再生液としてのアルカリ水溶液と接触することで、吸着した陰イオンを脱離させ、次いで酸性水溶液で処理することにより、再び陰イオンを吸着する性能を付与することができる(再生処理)。多孔性成形体を再生処理して再利用することにより、コストが削減できるばかりでなく、廃棄物が減るという効果がある。特に、本発明の多孔性成形体は、耐久性に優れるため、繰り返し使用に適している。
アルカリ溶液のpHの範囲は、pH10以上であれば陰イオンを脱離させることができるが、好ましくはpH12以上、より好ましくはpH13以上である。アルカリ濃度は、O.1wt%〜30wt%の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5〜20wt%の範囲である。O.1wt%より薄いと脱着効率が低くなり、30wt%より濃いと、アルカリの薬剤コストが増えてしまう傾向にある。
アルカリ性水溶液の通液速度は、特に制限はないが、通常SV0.5〜15(hr−1)の範囲が好ましい。SVO.5より低いと、脱着時間が長時間になり非効率になる傾向があり、SV15より大きいと、多孔性成形体とアルカリ水溶液の接触時間が短くなり、脱着効率が低下する傾向がある。
アルカリ性水溶液の種類は、特に制限はないが、通常、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ、及び有機アミン類などが用いられる。なかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムは、脱着効率が高く特に好ましい。
また、本発明においては、多孔性成形体の再生処理に用いたアルカリ水溶液(再生排液)は、晶析処理を施し、生じた沈殿を除去することも可能である。すなわち、この再生排液は、多孔性成形体から脱着したイオンを含有しているが、これらイオンと沈殿を生じる晶析薬剤を添加し、生じた沈殿を除去することで再利用が可能となる。
また、本発明においては、多孔性成形体から脱着したイオンを含有している再生排液を、凝集沈殿処理に戻して再度処理しても良い。イオン除去処理のイニシャルコストをより下げるという観点からは、再生排液は凝集沈殿処理に戻して再度処理することが好ましい。
脱着工程が終了したカラム内の多孔性成形体は、アルカリ性であり、このままでは、再び原水中のイオンを吸着する能力は低い。そこで、酸性水溶液を用いて、カラム内のpHを所定値に戻す操作、すなわち活性化処理を行う。
酸性水溶液は、特に限定されないが、硫酸、塩酸等の水溶液が用いられる。濃度は、O.001〜10wt%程度であればよい。O.001wt%より薄いと、活性化終了までに大量の水ボリュームが必要になり、10wt%より濃いと、酸性水溶液の取り扱い上の危険性等の点で問題が生じるおそれがある。
通液速度は、特に制限はないが、通常SV0.5〜30(hr-1)の範囲が好ましい。SV0.5より低いと、活性化時間が長時間になり非効率になる傾向があり、SV30より大きいと、多孔性成形体と酸性水溶液の接触時間が短くなり、活性化効率が低下する傾向がある。
活性化方法においてさらに好ましい方法は、カラムとpH調整槽の間で活性液を循環させて行うことである。
この構成をとることにより、脱着操作でアルカリ側にシフトしたカラム中の多孔性成形体のpHを、無機イオン吸着体の耐酸性を考慮して、ゆるやかに所定のpHに戻すことができる。
例えば、酸化鉄はpH3以下では酸による溶解が著しいことが知られている。このような酸化鉄を多孔性成形体に担持した場合、従来の活性化方法は、先の鉄の溶解という問題があるため、pH3以上という薄い酸で処理するしか方法がなかった。しかし、この方法では、大量の水ボリュームが必要となるため、経済的に許されるものではなかった。
このような従来技術に対して、本発明の活性化方法は、カラムとpH調整槽を設けて、活性化液を循環するため、酸によって溶解するpH範囲を避けて活性化でき、さらに、活性化に用いる水のボリュームを少なくすることができ、装置をコンパクトにできる。
この時の通液速度は、通常SV1〜200(hr-1)の範囲で選ばれる。さらに好ましくは、SV1O〜100の範囲である。SV1より低いと、活性化時間が長時間になり非効率になる傾向があり、SV200より大きいと、大きなポンプ動カが必要であり非効率になる傾向がある。
この一連の脱着、活性化操作はカラムに吸着剤を充填したまま行うことができる。すなわち、吸着剤を充填したカラムに、吸着操作が終了後、アルカリ性水溶液、酸性水溶液を順番にカラムに通水することにより容易に再生を行うことができる。この場合、通液方向は、上向流、下向流のいずれでもよい。
本発明に用いる多孔性成形体は、耐薬品性、強度に優れているため、この再生処理を数十回から数百回以上繰り返してもイオンの吸着性能はほとんど低下しない。
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
実施例において成形体の種々の物性を、以下の方法で測定した。
・走査型電子顕微鏡による成形体の観察
走査型電子顕微鏡(SEM)による成形体の観察は、目立製作所製のS-800型走査型電子顕微鏡で行った。
・成形体の割断
成形体を室温で真空乾燥し、乾燥した成形体をイソプロピルアルコール(IPA)に加えて、成形体中にIPAを含浸させた。次いで、IPAと共に成形体を直径5mmのゼラチンカプセルに封入し、液体窒素中で凍結した。凍結した成形体をカプセルごと彫刻刀で割断した。割断されている成形体を選別して顕微鏡試料とした。
・表面の開口率
走査型電子顕微鏡を用いて撮影した成形体の表面の画像を、画像解析ソフト(三谷商事(株)製ウインルーフ(商品名))を用いて求めた。さらに詳しく説明すると、得られたSEM像を濃淡画像として認識し、色が濃い部分を開口部、色が薄い部分をフィブリルとして、しきい値を手動で調整し、開口部分とフィブリル部分に分割して、その面積比を求めた
・表面の開口径
走査型電子顕微鏡を用いて撮影した成形体の表面の画像から実測して求めた。孔が円形の場合はその直径、円形以外の場合は、同一面積を有する円の円相当直径を用いた。
・粒径
成形体および無機イオン吸着体の粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA杜製のLA-910(商品名))で測定した。但し、粒径が1、OOOμm以上の場合には、SEM像を用いて、成形体の最長直径と最短直径を測定し、その平均値を粒径とした。
・空孔率
十分に水に濡れた成形体を乾いたろ紙上に拡げ、余分な水分をとった後に重量を測定し、成形体の含水時の重量(W1)とした。次に、成形体を室温下で真空乾燥に24時間付して乾燥した成形体を得た。乾燥した成形体の重量を測定し、成形体の乾燥時の重量(W0)とした。
次に、比重瓶(ゲーリュサック型、容量10m1)を用意し、この比重瓶に純水(25℃)を満たしたときの重量を測定し、満水時の重量(Ww)とした。次に、この比重瓶に、純水に湿潤した状態の成形体を入れ、さらに標線まで純水を満たして重量を測定し、(Wwm)とした。次に、この成形体を比重瓶から取り出し、室温下で24時間、真空乾燥に付して、乾燥した成形体を得た。乾燥した成形体の重量を測定して(M)とした。
下記の計算式に従って、成形体の比重(ρ)、および、空孔率(Pr)を求めた。
ρ=M/(Ww+M-Wwm)
Pr=(W1-W0)/(W1-W0+W0/ρ)×100
式中、Prは空孔率(%)であり、W1は成形体の含水時の重量(g)、WOは成形体の乾燥後の重量(g)、および、ρは成形体の比重(g/cm3)、Mは成形体の乾燥後の重量(g)、Wwは比重瓶の満水時の重量(g)、Wwmは比重瓶に含水した成形体と純水を入いたときの重量(g)である。
・担持量
成形体を室温下で真空乾燥に24時間付して乾燥した成形体を得た。乾燥した成形体の重量を測定し、成形体の乾燥時の重量Wd(g)とした。次に、乾燥した成形体を、電気炉を用いて800℃で2時間焼成して灰分の重量を測定し、灰分の重量Wa(g)とした。下記式より、担持量を求めた。
担持量(%)=Wa/Wd×100
式中、Waは、成形体の灰分の重量(g)であり、Wdは成形体の乾燥時の重量(g)である。
・比表面積(m2/cm3)
成形体を室温で真空乾燥した後、ベックマン・コールター(株)杜製コールターSA3100(商品名)を用い、BET法で多孔性成形体の比表面積SBET(m2/g)を求めた。
次に、湿潤状態の成形体を、メスシリンダー等を用いてみかけの体積V(cm3)を測定した。
その後、室温で真空乾燥して重量W(g)を求める。
本発明の成形体の比表面積は、次式から求めた。
比表面積(m2/cm3)= SBET×かさ比重(g/cm3)
かさ比重(g/cm3)=W/V
式中、SSBETは成形体の比表面積(m2/g) であり、Wは成形体の乾燥重量(g)、Vはそのみかけの体積(cm3)である。
・リン濃度測定 HACH杜製リン酸測定装置フォスファックス・コンパクト(商品名)を用いて、リン濃度を測定した。
(製造例)多孔性成形体の製造
オキシ塩化ジルコニウム(ZrOC12)のO.15モル水溶液を1リットル調製した。この溶液中にはジルコニウムとして13.7gの金属イオンが含まれていた。この水溶液中に硫酸第一鉄結晶(FeSO4・7H2O)84.Ogを添加し、撹幹しながら溶解した。この量は鉄イオンとしてO.3モルに相当する(F/T(モル比) 0.67)。次にこの水溶液に15重量%の水酸化ナトリウム溶液を撹拌しながら液のpHが9になるまで滴下すると青緑色の沈澱が生じた。次に、この水溶液を50℃に加温しながら10リットル/時の流量で空気を吹き込んだ。空気吹き込みを続けると水溶液のpHが低下するので、この場合は、15重量%の水酸化ナトリウム溶液を滴下してpHを8.5〜9に保持した。吸光光度分析で液相に第一鉄イオンが検出できなくなるまで空気の吹き込みを続けると黒色の沈澱が生成した。次に、この黒色沈澱物を吸引濾別し、脱イオン水で濾液が中性となるまで洗浄した後、70℃以下で乾燥した。これをボールミルで7時間粉砕し、平均粒径2.8μmの無機イオン吸着体粉末を得た。この粉末の
BET比表面積は、170 m2/gであった。
得られた無機イオン吸着体粉末の構造は、X線回折分析および元素分析装置を装着した透過型電子顕微鏡による観察、分析の結果より、鉄の酸化物(ジルコニウムが固溶している可能性有り)の廻りを、水和酸化ジルコニウム(鉄が固溶している可能性あり)が、覆った構造であると判断された。
次に、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH、日本合成化学工業(株)、ソアノールE3803(商品名))10g、ポリビニルピロリドン(PVP、BASFジャパン(株)、Luvitec K30 Powder(商品名))10g、ジメチルスルホキシド(DMSO、関東化学(株))80gを、セパラフラスコ中にて、60℃に加温して溶解し、均一なポリマー溶液を得た。このポリマー溶液100gに対し、上述の無機イオン吸着体粉末95gを加え、よく混合してスラリーを得た。
得られた複合高分子スラリーを40℃に加温し、側面に直径5mmのノズルを開けた円筒状回転容器の内部に供給し、この容器を回転させ、遠心力(15G)によりノズルから液滴を形成し、60℃の水からなる凝固浴槽中に吐出させ、複合高分子スラリーを凝固させた。さらに、洗浄、分級を行い、平均粒径645μmの球状成形体を得た。
本球状多孔性成形体は、空孔率80%、表面開口径0.1〜10μm、担持量82%、表面開口率56%、比表面積65m2/cm3であった。
さらに得られた多孔性成形体の表面および割断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したところ、スキン層の存在は観察されなかった。また表面付近に最大孔径層(ボイド層)が観察され、フィブリル内部の空隙、およびフィブリル表面の開孔も確認された。さらに、そのフィブリル外表面およびフィブリル内部の空隙表面には無機イオン吸着体粉末が担持されている様子が観察された。
(実施例1)
まず、製造例で作った多孔性成形体について、リン吸着試験を以下の条件で実施した。
リン酸三ナトリウム(Na3PO4・12H2O)を蒸留水に溶解し、リン濃度9mg-P/リットルの液を作り、硫酸でpHを7に調整した液をモデル液、すなわち吸着原液とした。
得られた多孔性成形体8mlを、カラム(内径10mm)に充填して、さきの吸着原液を240ml/hr(SV30)の速度で通水した。カラムからの流出液(処理液)を30分毎にサンプリングして、該処理水中のリン酸イオン濃度(リン濃度)を測定して、0.5 mg-P/リットル(ppm)超過時までの通水量(吸着量)を求めた。
上記の吸着操作後、7wt%の水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬し、吸着したリン酸を脱着させた後、蒸留水で洗浄した。次に、O.1wt%の硫酸水溶液に5時間浸漬して再生を行った。次に再び蒸留水で洗浄した。
以上の吸着、脱着および再生操作を50回繰り返し、1回目と50回目の吸着量とその変化率を調べた。
なお、吸着量変化率は下式で表す。
吸着量変化率=(50回目の吸着量)/(1回目の吸着量)×100
結果は、1回目吸着量940mg−P/L−吸着剤、50回目吸着量910mg−P/L−吸着剤、吸着量変化率97%であり、吸着容量は1回目と50回目ではほとんど変化がなくであり、本吸着剤の耐久性の高さが確認された。
次に、図1にフロー概要を示したような、凝集沈殿処理と、製造例で製造した多孔性成形体を吸着剤として用いるイオン吸着処理とを組み合わせた本発明のイオン除去装置を作製し、この装置によりフッ素含有廃水の処理を行った。
100mg/Lのフッ素を含有する廃水を本発明のイオン除去装置に供給した。
凝集沈澱処理では、カルシウム塩として水酸化カルシウムを9kg/m3-廃水、アルミニウム塩として硫酸アルミニウムを5kg/m3-廃水を使用した。凝集沈澱処理後の処理水中のフッ素濃度は11mg/Lであった。
この凝集沈澱処理後の処理水をpH11に調整した後、イオン吸着処理を行い、さらにpHを7に調整して最終処理水を得た。最終処理水中のフッ素濃度は1mg/L未満であった。
なお、pH調整には硫酸および水酸化ナトリウムを使用した。
本発明のイオン除去装置および方法は、工業廃水等に含有されるイオンを低コストで効率的に除去でき、廃水処理等の分野で好適に利用できる。
実施例のイオン除去工程のフロー概要図。
符号の説明
1 凝集沈澱処理工程
2 イオン吸着処理工程

Claims (8)

  1. 凝集沈殿処理手段と、多孔性成形体を用いたイオン吸着処理手段とを組み合わせて、水中に含有されるイオンを除去するイオン除去装置であって、該多孔性成形体が有機高分子樹脂及び無機イオン吸着体を含んでなるフィブリルが三次元網目構造を形成してなり、外表面に開口する連通孔を有する多孔性成形体であり、フィブリル間の隙間が連通孔を形成し、かつ前記フィブリル内部に空隙を有していて、かつ、該空隙の少なくとも一部はフィブリルの表面で開孔しており、該フィブリルの外表面及び内部の空隙表面に無機イオン吸着体が担持されていることを特徴とするイオン除去装置。
  2. 前記イオン吸着処理手段で用いた多孔性成形体を再生処理する際に生じる除去対象イオンを含有する再生排液を、前記凝集沈降処理手段に返送する手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のイオン除去装置。
  3. 前記多孔性成形体の連通孔が、成形体表面付近に最大孔径層を有することを特徴とする請求項1または2に記載のイオン除去装置。
  4. 前記多孔性成形体が、有機高分子樹脂としてエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリスルホン(PS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群から選ばれる一種以上を含んでなる多孔性成形体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン除去装置。
  5. 前記無機イオン吸着体が、下記式(I)で表される金属酸化物を少なくとも一種含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のイオン除去装置。
    MN・mHO (I)
    (式中、xは0〜3、nは1〜4、mは0〜6であり、MおよびNは、Ti、Zr、Sn、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Si、Cr、Co、Ga、Fe、Mn、Ni、V、Ge、Nb及びTaからなる群から選ばれる金属元素であり、互いに異なる。)
  6. 前記式(I)で表される金属酸化物が、下記(a)〜(c)のいずれかの群から選ばれた1種またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項5に記載のイオン除去装置。
    (a)水和酸化チタン、水和酸化ジルコニウム、水和酸化スズ、水和酸化セリウム、水和酸化ランタン、および水和酸化イットリウム
    (b)チタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン、およびイットリウムからなる群から選ばれる金属元素と、アルミニウム、珪素、および鉄からなる群から選ばれる金属元素との複合金属酸化物
    (c)活性アルミナ
  7. 凝集沈殿処理工程と、多孔性成形体を用いたイオン吸着処理工程とを組み合わせて、水中に含有されるイオンを除去するイオン除去方法であって、該多孔性成形体が有機高分子樹脂及び無機イオン吸着体を含んでなるフィブリルが三次元網目構造を形成してなり、外表面に開口する連通孔を有する多孔性成形体であり、フィブリル間の隙間が連通孔を形成し、かつ前記フィブリル内部に空隙を有していて、かつ、該空隙の少なくとも一部はフィブリルの表面で開孔しており、該フィブリルの外表面及び内部の空隙表面に無機イオン吸着体が担持されていることを特徴とするイオン除去方法。
  8. 前記イオン吸着処理工程で用いた多孔性成形体を再生処理する際に生じる除去対象イオンを含有する再生排液を、前記凝集沈降処理工程に返送する工程を含むことを特徴とする請求項7に記載のイオン除去方法。
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