JP2020099866A - 多孔性成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】被処理水中のイオン、中でも、リン酸イオンをSV120hr−1、SV240hr−1といった超高速の通液速度でも除去することができ、かつ、吸着容量が大きい多孔性成形体の提供。【解決手段】被処理水中のイオン、中でも、リンイオンをSV120hr−1以上の超高速の通液速度でも除去することができ、かつ、吸着容量が大きい多孔性成形体を提供する。本発明に係る多孔性成形体は、有機高分子樹脂及び無機イオン吸着体を含む多孔性成形体であって、窒素ガス吸着法で測定した細孔直径1nm〜80nmの細孔体積の総和が、該無機イオン吸着体の単位質量当たり0.05cm3/g〜0.7cm3/gであることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、多孔性成形体に関する。より詳しくは、本発明は、被処理水中のイオン、中でも、リン酸イオンを超高速除去でき、かつ、吸着容量が大きい、有機高分子樹脂及び無機イオン吸着体を含む多孔性成形体に関する。
近年、環境汚染による富栄養化の問題から、飲料水、工業用水、工業排水、下水道処理水、各種環境水中のリン、ホウ素、ヒ素、フッ素等の有害物質に対する環境基準が強化されており、それらを除去する技術への要望が高まっている。さらには、近年、特に金属メッキ、医薬品製造、医療用途等において、それらを除去する技術への要望が高まっている。
リンは、富栄養化の原因物質の一つであり、特に、閉鎖水域で規制が強まっている。また、枯渇が危惧されている元素でもあるため、排水中から回収し、再利用する技術が求められている。また、慢性腎不全患者等の腎機能に障害を有している腎疾患患者等は、過剰なリンを体外に適切に排出できないため、徐々に体内にリンが蓄積され、高リン血症等の疾患を引き起こすため、高リン血症を防ぐために血液からリンを除去し、体内のリンの量を適切にコントロールする技術が求められている。
血液中のリンの量のコントロール以外にも以下の元素のコントロールが検討されている。
ホウ素は、植物の育成にとって必須の元素であるが、過剰に存在すると植物の成長に悪影響を及ぼすことが知られている。さらに、人体に対しても、飲料水中に含まれると健康への影響、特に、生殖機能の低下等の健康障害を起こす可能性が指摘されている。
ヒ素は、非鉄金属精錬工業の排水、地熱発電所の熱排水、特定地域の地下水等に含まれている。ヒ素の毒性については昔から知られており、生体への蓄積性があり、慢性中毒、体重減少、知覚傷害、肝臓障害、皮膚沈着、皮膚がん等を発症すると言われている。
フッ素は、金属精錬工業、ガラス工業、電子材料工業等からの排水に多く含まれる。フッ素の人体へ影響が懸念されており、フッ素を過剰に摂取すると、斑状歯、骨硬化症、甲状腺障害等の慢性フッ素中毒症を引き起こすことが知られている。
これらの各種有害物質の排出量は年々増加しており、これらの有害物質を効率的に除去する技術が求められている。また、従来の排水処理分野に加えて、金属メッキ、医薬品製造等に使用する水から、リン、ホウ素等の特定イオンを選択的に除去する要求が高まっている。
これらの各種有害物質を除去する技術としては、例えば、ジルコニウム含水亜鉄酸塩、水和酸化セリウム等の無機イオン吸着体粉末を高分子材料に担持させた吸着剤を用いる技術が知られている。
また、有機高分子樹脂と無機イオン吸着体を含む多孔性成形体が、リン、ホウ素等を吸着することが知られている。
このような多孔性成形体の製造方法として、例えば、以下の特許文献1には、有機高分子樹脂を適当な良溶媒に溶解させ、さらに、該良溶媒に可溶で該有機高分子樹脂に親和性のある水溶性高分子を溶解混合させたポリマー溶液に、吸着基質である無機イオン吸着体粉末を縣濁させ、貧溶媒を凝固浴として成形する方法により、表面にスキン層がなく、表面開口性に優れる成形体が得られることが開示されている。
また、以下の特許文献2には、多孔性成形体中に無機イオン吸着体の二次凝集物が少ない多孔性成形体は、吸着性能に優れ、強度も強いことが開示されている。
さらに、特許文献3には、水酸基を有する有機高分子樹脂と、無機イオン吸着体粉末とを含む多孔性成形体は、酸化剤等の洗浄薬剤に対する耐久性が高く、繰り返し使用可能な吸着剤に適した多孔性成形体であることが開示されている。
特許文献1〜3に開示される多孔性成形体からなる吸着剤は、多孔性成形体の表面にスキン層と呼ばれる薄い膜が無く、吸着剤内部も多孔性に優れているため、リン、ホウ素等の吸着対象物の吸着剤内部への拡散速度が速いという特徴を有している。そして、特許文献1〜3においては、吸着処理時は通液速度(SV)30hr−1で処理することが開示されている。
他方、近年、特に、金属メッキ、医薬品製造、医療機器等に使用する用途では従来の通液速度であるSV30hr−1より遥かに速いSV120hr−1、SV240hr−1といった超高速で処理することが求められていところ、以下の特許文献4には、水銀ポロシメーターで測定した最頻細孔径を制御して、リン、ホウ素等の吸着対象物質の多孔性成形体内部への拡散速度を速めることで超高速処理を行うことが開示されている。
また、以下の特許文献5には、平均粒径が100nmを超え100μm以下の希土類元素の炭酸塩又は第4族酸化物を含む粉粒体が内部に担持された多孔質繊維が内蔵されたリン吸着カラムが開示されている。
しかしながら、SV120hr−1といった超高速処理の条件でさらなる高吸着容量化が求められており、特許文献1〜5に開示されるような従来の多孔性成形体や多孔質繊維の更なる改良が望まれている。
国際公開第2005/056175号 特開2009−297707号公報 国際公開第2011/062277号 国際公開第2017/082420号 国際公開第2017/094478号
前記した従来技術に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、被処理水中のイオン、中でも、リン酸イオンをSV120hr−1、SV240hr−1といった超高速の通液速度でも除去することができ、かつ、吸着容量が大きい多孔性成形体を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究し実験を重ねた結果、有機高分子樹脂及び無機イオン吸着体を含み、窒素ガス吸着法で測定した細孔直径1nm〜80nmの細孔体積が無機イオン吸着体の単位質量当たり0.05〜0.7cm/gである多孔性成形体とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]有機高分子樹脂及び無機イオン吸着体を含む多孔性成形体であって、窒素ガス吸着法で測定した細孔直径1nm〜80nmの細孔体積の総和が、該無機イオン吸着体の単位質量当たり0.05cm/g〜0.7cm/gであることを特徴とする多孔性成形体。
[2]窒素ガス吸着法で測定した細孔直径1nm〜80nmの細孔体積の総和が、前記多孔性成形体の単位質量当たり0.02cm/g〜0.6cm/gである、前記[1]に記載の多孔性成形体。
[3]窒素ガス吸着法で測定した比表面積が50m/g〜400m/gである、前記[1]又は[2]に記載の多孔性成形体。
[4]前記多孔性成形体に含まれる無機イオン吸着体の担持量が、30質量%〜95質量%である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[5]平均粒径が100μm〜2500μmの球状粒子の形態にある、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[6]前記多孔性成形体粒子の扁平率が0〜0.3である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[7]前記多孔性成形体の嵩密度が、0.2g/ml〜0.7g/mlである、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[8]前記多孔性成形体に含まれる無機イオン吸着体の平均粒子径が0.08μm〜10μmであり、かつ、該無機イオン吸着体の最大粒子径/最小粒子径比が1〜500である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[9]水銀圧入法で測定した細孔直径5.5nm〜120μmの細孔体積が、0.6〜2.0cm/gである、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[10]水銀圧入法で測定した最頻細孔径が、0.08μm〜0.7μmである、前記[1]〜[9]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[11]前記多孔性成形体の弾性率が、1000mN/m〜12000mN/mである、前記[1]〜[10]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[12]前記多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の純水に1hr浸漬した後の水中アニオン濃度が、2.0mg/L未満である、前記[1]〜[11]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[13]前記多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の純水に1hr浸漬した後の水をUV測定した時の吸光度の値が、0.2未満である、前記[1]〜[12]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[14]前記多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の純水に1hr浸漬した後の水中の金属イオン濃度が、1.0mg/L未満である、前記[1]〜[13]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[15]前記多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の純水に1hr浸漬した後の水のpHが、5以上であり、かつ、pH変化量が、0〜1.5である、前記[1]〜[14]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[16]前記多孔性成形体の摩耗率が、0%〜0.1%であることを特徴とする、前記[1]〜[15]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[17]前記無機イオン吸着体が、下記式(I):
MNxOn・mHO ...(I)
{式中、xは、0〜3であり、nは、1〜4であり、mは、0〜6であり、そして、MとNは、Ti、Zr、Sn、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Si、Cr、Co、Ga、Fe、Mn、Ni、V、Ge、Nb及びTaからなる群から選ばれる金属元素であり、互いに異なる。}で表される少なくとも一種の金属酸化物、並びに/又は下記式(III):
QyRz(CO)s・tHO ...(III)
{式中、yは、1〜2であり、zは、0〜1であり、sは、1〜3であり、tは、0〜8であり、そして、QとRは、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Mn、Fe、Co、Ni、Ag、Zn、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選ばれる金属元素であり、互いに異なる。}で表される少なくとも一種の金属炭酸塩
を含有する、前記[1]〜[16]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[18]前記金属酸化物が、下記(a)〜(c)群:
(a)水和酸化チタン、水和酸化ジルコニウム、水和酸化スズ、水和酸化セリウム、水和酸化ランタン、及び水和酸化イットリウム;
(b)チタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン及びイットリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素と、アルミニウム、珪素及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素との複合金属酸化物;
(c)活性アルミナ;
から選ばれる、前記[17]に記載の多孔性成形体。
[19]前記金属炭酸塩が、下記(d)群:
(d)炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸スカンジウム、炭酸マンガン、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸銀、炭酸亜鉛、炭酸イットリウム、炭酸ランタン、炭酸セリウム、炭酸プラセオジム、炭酸ネオジム、炭酸サマリウム、炭酸ユウロピウム、炭酸ガドリニウム、炭酸テルビウム、炭酸ジスプロシウム、炭酸ホルミウム、炭酸エルビウム、炭酸ツリウム、炭酸イッテルビウム、及び炭酸ルテチウム;
から選ばれる、前記[17]に記載の多孔性成形体。
[20]前記有機高分子樹脂が、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアリールエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、セルロース、及びセルローストリアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一種である、前記[1]〜[19]のいずれかに記載の多孔性成形体。
[21]前記[1]〜[20]のいずれかに記載の多孔性成形体を充填したカラム。
[22]前記[1]〜[20]のいずれかに記載の多孔性成形体を、前記[21]に記載のカラムに詰め、洗浄液及び/又は充填液をカラムの下から流す上向流、洗浄液及び/又は充填液をカラムの上から流す下向流、あるいはその両者によって洗浄液及び/又は充填液を該カラムに通液する工程を含む、多孔性成形体の洗浄及び/又は液充填方法。
[23]通液速度SV1hr−1〜SV300hr−1で前記洗浄液及び/又は充填液を通液する、前記[22]に記載の方法。
[24]前記多孔性成形体の嵩体積に対して1倍量〜10,000倍量の洗浄液及び/又は充填液を通液する、前記[22]又は[23]に記載の方法。
本発明に係る多孔性成形体は、被処理水中のイオン、中でも、リン酸イオンをSV120hr−1、SV240hr−1といった超高速の通液速度でも除去することができ、かつ、吸着容量が大きいため、特に金属メッキ、医薬品製造、医療用途等での有害物質の除去に好適に利用可能である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という。)について詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
[多孔性成形体]
本実施形態の多孔性成形体は、有機高分子樹脂及び無機イオン吸着体を含む多孔性成形体であって、窒素ガス吸着法で測定した細孔直径1nm〜80nmの細孔体積の総和が、該無機イオン吸着体の単位質量当たり0.05cm/g〜0.7cm/gであることを特徴とする。
本実施形態において、窒素ガス吸着法で測定した細孔直径1nm〜80nmの細孔体積の総和は、多孔性成形体に担持された無機イオン吸着体の単位質量当たり0.05cm/g〜0.7cm/gであり、好ましくは0.1cm/g〜0.6cm/gであり、より好ましくは0.2cm/g〜0.5cm/gである。
細孔体積の総和は、凍結乾燥した多孔性成形体を窒素ガス吸着法により測定し、BJH法によって算出されるものである。
無機イオン吸着体の単位質量当たりの細孔体積の総和Vaは、乾燥した多孔性成形体から算出された多孔性成形体の単位質量当たりの細孔体積をVb(cm/g)、多孔性成形体の無機イオン吸着体担持量をSa(質量%)としたとき、下記式:
Va = Vb / Sa × 100
で求められる。
多孔性成形体の無機イオン吸着体の担持量(質量%)Saは、多孔性成形体の乾燥時の質量Wa(g)、灰分の質量Wb(g)とするとき下式:
Sa = Wb / Wa × 100
で求められる。
ここで、灰分とは多孔性成形体を800℃で2時間焼成したときの残分である。
窒素ガス吸着法により測定される細孔直径1nm〜80nmの細孔体積は、主に多孔性成形体に含まれる無機イオン吸着体の細孔体積が反映された値となる。窒素ガス吸着法により測定される細孔直径1nm〜80nmの細孔体積が大きいほど無機イオン吸着体内部へのイオンの拡散効率が高くなり、吸着容量が高くなる。
無機イオン吸着体の単位質量当たりの細孔体積の総和が0.05cm/gより小さいと、無機イオン吸着体の細孔体積が小さく、無機イオン吸着体内部への吸着対象物質の拡散が起こりにくく、吸着容量が著しく低下する。他方、この値が0.7cm/gより大きいと、無機イオン吸着体の嵩密度が低く、原液スラリーの粘度上昇が起こりやすくなり、造粒が困難となる。
本実施形態において、窒素ガス吸着法で測定した細孔直径1nm〜80nmの細孔体積の総和は、多孔性成形体の単位質量当たり0.02cm/g〜0.6cm/gであり、好ましくは0.08cm/g〜0.55cm/gであり、より好ましくは0.12cm/g〜0.5cm/gである。
尚、以下に説明するように、多孔性成形体に含まれる無機イオン吸着体の担持量は、好ましくは30質量%〜95質量%、より好ましくは40質量%〜90質量%、さらに好ましくは50質量%〜80質量%である。
細孔体積は、凍結乾燥した多孔性成形体を窒素ガス吸着法により測定し、BJH法によって算出されるものである。
この値が0.02cm/gよりも小さいと、多孔性成形体内部への吸着対象物質の拡散が起こりにくく、吸着容量が低下する。他方、この値が0.6cm/gよりも大きいと、原液スラリーの粘度上昇が起こりやすく、造粒が困難となる。
本実施形態において、窒素ガス吸着法により測定した多孔性成形体の比表面積は、好ましくは50m/g〜400m/g、より好ましくは70m/g〜350m/g、さらに好ましくは100m/g〜300m/gである。
比表面積は凍結乾燥した多孔性成形体を窒素ガス吸着法により測定し、BET法によって算出されるものである。
窒素ガス吸着法により測定される多孔性成形体の比表面積は、主に多孔性成形体に含まれる無機イオン吸着体の比表面積が反映された値となるため、その値が大きいほどイオンの吸着サイトが増加して、吸着容量が高くなることを意味する。
多孔性成形体の比表面積が50m/gより小さいと、無機イオン吸着体の吸着サイトが少なく、吸着容量が著しく低下する。他方、この値が400m/gより大きいと、無機イオン吸着体の嵩密度が低く、原液スラリーの粘度上昇が起こり、造粒が困難となる。
本実施形態において、多孔性成形体に含まれる無機イオン吸着体の担持量は、好ましくは30質量%〜95質量%、より好ましくは40質量%〜90質量%、さらに好ましくは50質量%〜80質量%である。
無機イオン吸着体の担持量Saは、上述の通り測定される。
かかる担持量が30質量%未満であると、イオンの吸着対象物質と吸着基質である無機イオン吸着体との接触頻度が不十分となりやすく、十分な吸着性能が得られない。他方、95質量%を超えると、多孔性成形体の強度が不足しやすい。
従来、一般に、多孔性成形体を、医薬品製造や医療機器等に使用する用途、例えば、全血を超高速で通液する等の用途で用いる場合は、血中成分が多孔性成形体どうしの隙間の流路をふさぎ、圧力が上昇してしまうという問題が発生する場合がある。また、一般に、多孔性成形体を、医薬品製造や医療機器等に使用する場合、製造時に混入する不純物アニオンや金属イオン、また無機イオン吸着体自体から溶出する不純物アニオンや金属イオンが問題となることが知られている。例えば、無機イオン吸着体として水和酸化セリウムを使用した場合、塩化物から合成された水和酸化セリウムにはその表面に塩素が吸着されており、処理水への塩化物イオンの流出が懸念される。また、水和酸化セリウムに付着した不純物アニオンが処理水へ流出すると、その影響で処理水のpHが低下して水和酸化セリウム自体が溶出することが懸念される。さらに、医薬品製造や医療機器等に使用する用途では、多孔性成形体に担持された無機イオン吸着体又は有機高分子樹脂が剥がれ落ちる、所謂、粉落ちや、多孔性成形体どうしの擦れにより、無機イオン吸着体または有機高分子樹脂が擦り減る、所謂、摩耗により、処理液中に不純物の混入を起こさないことが求められている。
それゆえ、このような問題が生じないように、本実施形態の多孔性成形体は、医薬品製造や医療機器等に使用する場合、超高速で通液しても圧上昇が起こらず、製造時に混入する不純物アニオン、無機イオン吸着体から金属イオンが溶出せず、さらには粉落ちや摩耗が起こらないよう、後述する形態にあることが好ましい。
本実施形態の多孔性成形体は、平均粒径が100μm〜2500μmであり、かつ、実質的に球状粒子の形態にあることが好ましく、平均粒形は、150μm〜2000μmであることがより好ましく、200μm〜1500μmであることがさらに好ましく、300μm〜1000μmであることがさらに好ましい。
本実施形態の多孔性成形体は、球状粒子の形態であることが好ましく、球状粒子としては、真球状のみならず、楕円球状であってもよい。
本実施形態において、平均粒径は、多孔性成形体を球状とみなして、レーザー光による回折の散乱光強度の角度分布から求めた球相当径のメディアン径を意味する。
平均粒径が100μm以上であれば、多孔性成形体をカラムやタンクになどへ充填した際に圧カ損失が小さいため、超高速通水処理に適する。特に、平均粒径が300μm以上であれば、粒子同士の隙間の流路が広くなり、医療用途などにおいて、例えば、全血を通液する場合でも、圧力が上がりにくく、好適に使用することができる。他方、平均粒径が2500μm以下であれば、カラムやタンクに充填したとき、多孔性成形体と処理液が接する表面積を大きくすることができ、超高速で通液処理してもイオンを確実に吸着することができる。
本実施形態の多孔性成形体は、球状粒子の形態にあり、扁平率は、0〜0.3であり、好ましくは0〜0.25、より好ましくは0〜0.2である。
本実施形態において、扁平率は、湿潤状態の多孔性成形体をマイクロスコープで撮影し、多孔性成形体の長径をa、短径をbとした時、扁平率(f)=(a―b)/aで表される値を10回測定した平均値を意味する。
扁平率が0.3以下であれば、多孔性成形体をカラムやタンクになどへ充填した際に圧カ損失が小さいため超高速通水処理に適する。さらに、扁平率が0.3以下であれば、粒子同士の隙間の流路が広くなり、処理液を通液した時の圧力損失が小さくなる。さらに、多孔性成形体同士の接触面積が小さくなり、また、高い扁平率に特有な破損しやすい鋭利な形状部を有さないため、多孔性成形体の摩耗率が低下する。
本実施形態において、多孔性成形体の嵩密度は、好ましくは0.2g/mL〜0.7g/mL、より好ましくは0.25g/mL〜0.65g/mL、さらに好ましくは0.3g/mL〜0.6g/mLである。
多孔性成形体の嵩密度は、以下の方法で測定される。
多孔性成形体が、粒子状、円柱状、中空円柱状等であり、その形状が短いものは、湿潤状態の多孔性成形体を、メスシリンダー等を用いて、1mLを1cmとして嵩体積を測定する。多孔性成形体が、糸状、中空糸状、シート状等であり、その形状が長いものは、湿潤時の断面積と長さを測定して、両者の積から嵩体積を算出する。その後、凍結乾燥をして重量を求め、重量/嵩体積として、嵩密度を算出する。
多孔性成形体が、糸状、中空糸状、シート状等であり、その形状が長いものは、湿潤時の断面積と長さを測定して、両者の積から体積を算出する。その後、凍結乾燥して重量を求め、重量/嵩体積として、嵩密度を算出する。
嵩密度の値が0.2g/mLより小さいと、強度が不足して、輸送時やハンドリング時に多孔性成形体が変形しやすく、他方、0.7g/mLより大きいと、多孔性成形体同士が衝突した時の衝撃が大きくなり、粉落ちや摩耗が発生しやすくなる。
本実施形態において、無機イオン吸着体の平均粒子径は、0.08μm〜10μmであり、好ましくは0.08μm〜5μm、より好ましくは0.08μm〜2μmである。無機イオン吸着体の平均粒子径が0.08μm以上であれば、多孔性成形体の原料である無機イオン吸着体、有機高分子樹脂、有機高分子樹脂の良溶媒を含む原料スラリーの粘度を適切な範囲に制御することができ、成形が容易になる。0.08μm未満の無機イオン吸着体が存在すると、表面積が高く、無機イオン吸着体表面に有機高分子樹脂の良溶媒が補足され、有機高分子樹脂を溶解させるために必要な良溶媒量が減少し、原料スラリーが高粘度化して成形が困難になるおそれがあるが、無機イオン吸着体の平均粒子径が0.08μm以上であると、成形に適切な原液スラリー粘度に制御しやすい。また、無機イオン吸着体の平均粒子径が10μm以下であれば、無機イオン吸着体の表面積を大きくすることができ、超高速で通液処理してもイオンを確実に吸着することができる。
本実施形態において、無機イオン吸着体の最大粒子径/最小粒子径比は1〜500であり、好ましくは1〜300、より好ましくは1〜200である。無機イオン吸着体の最大粒子径/最小粒子径比が500以下であれば、多孔性成形体の原料である無機イオン吸着体、有機高分子樹脂、有機高分子樹脂の良溶媒を含む原料スラリーの粘度を適切な範囲に制御することができ、成形が容易になる。
本実施形態において、多孔性成形体中の無機イオン吸着体の平均粒径は、以下の方法で測定することができる。
多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の有機高分子樹脂の良溶媒に浸漬して、60℃に加温しながら24時間150rpmの速度で往復振とうし、有機高分子樹脂を十分に溶解させる。次に、無機イオン吸着体の懸濁溶液を、有機高分子樹脂の良溶媒に対して耐性のある、孔径0.1μmのフィルターでろ過をし、ろ取した無機イオン吸着体を、多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の良溶媒に浸漬し、60℃に加温しながら24時間150rpmの速度で往復振とうする。有機高分子樹脂の良溶媒に対して耐性のあるフィルターとしては、例えば、PTFEフィルターなどを用いることができる。この操作を3回繰り返し、溶解した有機高分子樹脂を十分に取り除く。その後、ろ過操作でろ取した無機イオン吸着体を、多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の水に浸漬し、60℃に加温しながら24時間150rpmの速度で往復振とうし、無機イオン吸着体に含まれる良溶媒を水に置換する。その後、無機イオン吸着体の懸濁溶液を、有機高分子樹脂の良溶媒に対して耐性のある、孔径0.1μmのフィルターでろ過をする。この操作を2回繰り返した後、ろ過操作でろ取した無機イオン吸着体を、湿潤状態のまま、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定する。このとき、測定前に5分間の超音波照射を実施する。例えば、無機イオン吸着体に水和酸化セリウムを使用したサンプルの測定時は、屈折率に酸化セリウムの値を使用して測定する。同様に、無機イオン吸着体に水和酸化ジルコニウムを使用したサンプルを測定する時は、屈折率に酸化ジルコニウムの値を使用して測定する。上記操作によって得られたメディアン径(d50)の値を、平均粒子径とする。
同様に、及び最大粒子径/最小粒子径比は、上記測定操作によって得られた及び最大粒子径の値を、最小粒子径の値で割ることで算出する。
本実施形態において、水銀圧入法で測定した細孔直径5.5nm〜120μmの細孔体積は、0.6〜2.0cm/gであり、好ましくは0.8〜1.8μm、より好ましくは1.0〜1.6μmである。
細孔体積は凍結乾燥した多孔性成形体を、水銀ポロシメーターにより測定されるものである。水銀ポロシメーターは、水銀圧入法によって多孔性材料の細孔の大きさを評価する装置で、ガス吸着法(BET法)では測定ができないような比較的大きな細孔分布(メソポア(数nm)〜マクロポア(数百μm))の測定に適している。
水銀圧入法により測定した細孔体積の値が0.6cm/g以上であると、吸着対象物が多孔性成形体内部に拡散し易く、超高速通液処理を行っても高い吸着量が得られる。他方、細孔体積の値が2.0cm/gより大きいと、多孔性成形体の強度が不足する。
本実施形態において、多孔性成形体の水銀圧入法で測定した最頻細孔径は、0.08〜0.7μmであり、好ましくは0.1〜0.6μmであり、より好ましくは0.2〜0.5μmである。
最頻細孔径は、凍結乾燥した多孔性成形体を水銀圧入法により測定されるものである。
本実施形態において、最頻細孔径(モード径)とは、水銀ポロシメーターで測定した細孔直径に対して対数微分成功容積(dV/d(logD)、ここではVは水銀圧入容積、Dは細孔直径を示す。)をプロットした図上において、対数微分細孔容積の値が最大となる細孔直径を意味し、体積基準である。
本実施形態においては、水銀ポロシメーターで最頻細孔径を測定することにより、多孔性成形体における有機高分子樹脂からなる多孔構造(骨格構造)の特徴を詳細に測定することができる。
最頻細孔径が0.08μm以上あれば、吸着対象物が多孔性成形体内部へ拡散するための連通孔の孔径として十分であり、拡散速度が速くなる。他方、最頻細孔径が0.70μm以下であれば、多孔性成形体の空隙が小さくなり、単位体積中に占める無機イオン吸着体の存在量が密になり、超高速通水処理時を行っても高い吸着量が得られる。
本実施形態において、多孔性成形体の弾性率は、1000mN/m〜12000mN/mであり、好ましくは2000mN/m〜11000mN/mであり、より好ましくは3000mN/m〜10000mN/mである。
多孔性成形体の弾性率は、湿潤状態の多孔性成形体を、圧縮式の測定器で5回測定した平均値として求める。
弾性率が1000mN/mよりも小さいと、強度が不足して、輸送時やハンドリング時に多孔性成形体が変形しやすい。また、弾性率が12000mN/mよりも大きい多孔性成形体を成形するためには、原液スラリー中の無機イオン交換体、及び/又はポリマーの濃度を高くする必要があり、原液スラリーの粘度上昇が起こり、多孔性成形体の成形が困難となる。
本実施形態において、多孔性成形体を多孔性成形体の嵩体積に対して10倍重量の70℃の純水に1hr浸漬した後の水中アニオン濃度が2.0mg/L未満であることを特徴とする。
本実施形態において、多孔性成形体からのアニオン溶出量は、該多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の水に1hr浸漬した後の液(浸漬液)を、イオンクロマトグラフィで測定したアニオン濃度の総和を意味する。アニオン種として、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、硝酸、亜硝酸などが挙げられる。アニオン濃度は、2.0mg/L未満であることが好ましく、1.0mg/L未満であることがより好ましい。アニオン濃度が2.0mg/L未満であると、処理液への不純物アニオン混入が少ないだけでなく、アニオン脱離による処理液のpH低下を抑制することができ、多孔性成形体の構成成分である金属酸化物や金属炭酸塩の溶出を抑制することができる。
本実施形態において、多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の純水に1hr浸漬した後の水をUV測定した時の吸光度の値は、好ましくは0.2未満であり、より好ましくは0.1未満、さらに好ましくは0.05未満である。
本実施形態において、UV測定の吸光度の値は、多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の水に1hr浸漬した後の液(浸漬液)を光路長1cmの石英ガラスセルに入れ、波長200nm〜350nmの範囲で測定した時の最大吸光度を意味する。
浸漬液中に無機アニオンや有機物が存在することで吸光度が増加するため、吸光度の値が0.2未満であると、処理液への不純物イオン、不純物有機物の流出を低減することができる。
本実施形態において、多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の純水に1hr浸漬した後の水中の金属イオン濃度は、好ましくは1.0mg/L未満であり、より好ましくは0.5mg/L未満、さらに好ましくは0.1mg/L未満である。
本実施形態において、多孔性成形体からの金属イオン溶出量は、該多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の水に1hr浸漬した後の液(浸漬液)を、ICP−MS装置で測定した金属イオン濃度の総和を意味する。
浸漬液中の金属イオン濃度が1.0mg/L未満であることで、処理液への金属イオン流出を抑制することができる。
本実施形態において、多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の純水に1hr浸漬した後の水のpHは、5以上であり、かつ、pH変化量は、0〜1.5であることが好ましく、より好ましくは0〜1.0、さらに好ましくは0〜0.5である。
本実施形態において、pHとは、該多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の水に1hr浸漬した後の液(浸漬液)をpHメーターで測定した値を意味する。
また、pH変化量とは、上記測定値と、同量の純水を70℃で1hr加温した後の液をpHメーターで測定した値との差の絶対値を意味する。
浸漬液のpHが5以上であると、多孔性成形体の構成成分である金属酸化物や金属炭酸塩の溶出を抑制することができる。
浸漬液のpH変化が1.5以下であれば、処理液のpH変化が小さくなり、処理液のpH変化が問題となる用途、例えば、医療機器等に多孔性成形体を使用することができる。
本実施形態の多孔性成形体の摩耗率は0%〜0.1%である。
摩耗率が0.1%以下であると、多孔性成形体からの無機イオン吸着体の脱離、所謂、粉落ちや、多孔性成形体同士の擦れによる摩耗が少なく、多孔性成形からの不純物流出を抑制できる。さらには、多孔性成形体の摩耗による吸着量低下も防ぐことができる。
[無機イオン吸着体]
本実施形態の多孔性成形体を構成する無機イオン吸着体とは、イオン吸着現象又はイオン交換現象を示す無機物質を意味する。
天然物系の無機イオン吸着体としては、例えば、ゼオライト、モンモリロナイト等の各種の鉱物性物質等が挙げられる。
各種の鉱物性物質の具体例としては、アルミノケイ酸塩で単一層格子をもつカオリン鉱物、2層格子構造の白雲母、海緑石、鹿沼土、パイロフィライト、タルク、3次元骨組み構造の長石、ゼオライト、モンモリロナイト等が挙げられる。
合成物系の無機イオン吸着体としては、例えば、金属酸化物、多価金属の塩、不溶性の含水酸化物、金属炭酸塩等が挙げられる。金属酸化物は、複合金属酸化物、複合金属水酸化物、金属の含水酸化物等を含むことができる。
無機イオン吸着体は、吸着対象物の吸着性能及び溶出性の観点で、下記式(I):
MNxOn・mHO ...(I)
{式中、xは、0〜3であり、nは、1〜4であり、mは、0〜6であり、そして、MとNは、Ti、Zr、Sn、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Si、Cr、Co、Ga、Fe、Mn、Ni、V、Ge、Nb及びTaからなる群から選ばれる金属元素であり、互いに異なる。}で表される少なくとも一種の金属酸化物を含有することができる。
金属酸化物は、上記式(I)中のmが0である未含水(未水和)の金属酸化物であってもよいし、mが0以外の数値である金属の含水酸化物(水和金属酸化物)であってもよい。
上記式(I)中のx、n、mは必ずしも整数である必要はない。例えば、オキシ水酸化鉄(FeOOH)は、x=0、n=1.5、m=0.5として表すことができる。
上記式(I)中のxが0以外の数値である場合の金属酸化物は、含有される各金属元素が規則性を持って酸化物全体に均一に分布し、金属酸化物に含有される各金属元素の組成比が一定に定まった化学式で表される複合金属酸化物である。
具体的には、ペロブスカイト構造、スピネル構造等を形成し、ニッケルフェライト(NiFe)、ジルコニウムの含水亜鉄酸塩(Zr・Fe・mHO、ここで、mは0.5〜6である。)等が挙げられる。
無機イオン吸着体は、上記式(I)で表される金属酸化物を複数種含有していてもよい。
無機イオン吸着体としては、リン、ホウ素、フッ素及び/又はヒ素の吸着性能に優れているという観点から、前記金属酸化物が、下記(a)〜(c)群:
(a)水和酸化チタン、水和酸化ジルコニウム、水和酸化スズ、水和酸化セリウム、水和酸化ランタン、及び水和酸化イットリウム;
(b)チタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン及びイットリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素と、アルミニウム、珪素及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素との複合金属酸化物;
(c)活性アルミナ;
から選ばれることが好ましい。
前記金属酸化物は、(a)〜(c)群のいずれかの群から選択される材料であってもよく、(a)〜(c)群のいずれかの群から選択される材料を組み合わせて用いてもよく、(a)〜(c)群のそれぞれにおける材料を組み合わせて用いてもよい。組み合わせて用いる場合には、(a)〜(c)群のいずれかの群から選ばれる2種以上の材料の混合物であってもよく、(a)〜(c)群の2つ以上の群から選ばれる2種以上の材料の混合物であってもよい。
無機イオン吸着体は、安価で吸着性が高いという観点から、硫酸アルミニウム添着活性アルミナを含有してもよい。
無機イオン吸着体としては、上記式(I)で表される金属酸化物に加え、上記M及びN以外の金属元素がさらに固溶したものは、無機イオンの吸着性や製造コストの観点から、より好ましい。
例えば、ZrO・mHO(mが0以外の数値である。)で表される水和酸化ジルコニウムに、鉄が固溶したものが挙げられる。
多価金属の塩としては、例えば、下記式(II):
2+ (1−p)3+ (OH(2+p−q)(An−q/r・・・・・・(II)
{式中、M2+は、Mg2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca2+及びCu2+からなる群から選ばれる少なくとも一種の二価の金属イオンであり、M3+は、Al3+及びFe3+からなる群から選ばれる少なくとも一種の三価の金属イオンであり、An−は、n価のアニオンであり、0.1≦p≦0.5であり、0.1≦q≦0.5であり、そしてrは1又は2である。}で表されるハイドロタルサイト系化合物が挙げられる。
上記式(II)で表されるハイドロタルサイト系化合物は、無機イオン吸着体として原料が安価であり、吸着性が高いことから好ましい。
不溶性の含水酸化物としては、例えば、不溶性のヘテロポリ酸塩、不溶性ヘキサシアノ鉄酸塩等が挙げられる。
無機イオン吸着体として、金属炭酸塩は吸着性能の観点で優れた性能を有するが、溶出の観点からは炭酸塩を用いる場合は用途の検討が必要である。
金属炭酸塩としては、炭酸イオンとのイオン交換反応が期待できるという観点から、下記式(III):
QyRz(CO)s・tHO ...(III)
{式中、yは、1〜2であり、zは、0〜1であり、sは、1〜3であり、tは、0〜8であり、そして、QとRは、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Mn、Fe、Co、Ni、Ag、Zn、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選ばれる金属元素であり、互いに異なる。}で表される少なくとも一種の金属炭酸塩を含有することができる。
金属炭酸塩は、上記式(III)中のtが0である未含水(未水和)の金属炭酸塩であってもよいし、tが0以外の数値である水和物であってもよい。
無機イオン吸着体としては、溶出が少なく、リン、ホウ素、フッ素及び/又はヒ素の吸着性能に優れているという観点から、下記(d)群:
(d)炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸スカンジウム、炭酸マンガン、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸銀、炭酸亜鉛、炭酸イットリウム、炭酸ランタン、炭酸セリウム、炭酸プラセオジム、炭酸ネオジム、炭酸サマリウム、炭酸ユウロピウム、炭酸ガドリニウム、炭酸テルビウム、炭酸ジスプロシウム、炭酸ホルミウム、炭酸エルビウム、炭酸ツリウム、炭酸イッテルビウム、及び炭酸ルテチウム;
から選ばれることが好ましい。
金属炭酸塩の無機イオン吸着機構としては、金属炭酸塩の溶出、金属炭酸塩上での無機イオンと金属イオンの再結晶化が予想されるため、金属炭酸塩の溶解度が高いものほど無機イオン吸着量は高く、優れた吸着性能を期待できる。同時に、無機イオン吸着体からの金属溶出が懸念されるため、金属溶出が問題となる用途での使用においては充分な検討が必要となる。
本実施形態の多孔性成形体を構成する無機イオン吸着体は、その製造方法等に起因して混入する不純物元素を、本実施形態の多孔性成形体の機能を阻害しない範囲で含有していてもよい。混入する可能性がある不純物元素としては、窒素(硝酸態、亜硝酸態、アンモニウム態)、ナトリウム、マグネシウム、イオウ、塩素、カリウム、カルシウム、銅、亜鉛、臭素、バリウム、ハフニウム等が挙げられる。
本実施形態の多孔性成形体を構成する無機イオン吸着体は、乾燥時に凝集を防がれることが好ましい。乾燥時に凝集を抑制するためには、製造時に含有される水分を有機液体に置換した後に乾燥されることが好ましい。
無機イオン吸着体に含まれる水分を有機液体に置換した後に乾燥を行うことで、乾燥時の凝集を抑制することができ、無機イオン吸着体の細孔体積を増加させることができ、無機イオン吸着体の吸着容量を増加させることができる。
置換に用いる有機液体としては、無機イオン吸着体の凝集を抑制される効果があれば特に限定されないが、親水性が高い液体を用いることが好ましい。例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類等が挙げられる。また、置換に用いる有機液体は、これらの混合物であってもよいし、水との混合物であってもよい。
無機イオン吸着体の凝集抑制効果は、有機液体の持つ低い表面張力により発揮される。
乾燥時に無機イオン吸着体が含む有機液体の表面張力は、0〜30mN/mであることが好ましく、0〜27mN/mであることがより好ましく、0〜25mN/mであることがさらに好ましい。
無機イオン吸着体に含まれる液体の表面張力が、30mN/mよりも大きいと、乾燥時に粒子同士が凝集し、無機イオン吸着体の細孔体積が低下し、吸着容量が低下する。
無機イオン吸着体に含まれる水分の有機液体への置換率としては、例えば、20℃のエタノールであれば、上記表面張力を満たすためには、40質量%〜100質量%であればよく、好ましくは60質量%〜100質量%、より好ましくは80質量%〜100質量%であればよい。
有機液体の置換率とは、有機液体への置換率をSb(質量%)、水を含んだ無機イオン吸着体を有機液体で処理後の濾液の水分率をWc(質量%)とするとき下式で表される値をいう。
Sb = 100 − Wc
有機液体で処理後の濾液の水分率は、カールフィッシャー法で測定することで求められる。
エタノールの置換率が40質量%未満であると、乾燥時の凝集抑制効果が低くなり無機イオン吸着体の細孔体積が増加しない。
有機液体への置換方法は、特に限定されるものではなく、有機液体に水を含んだ無機イオン吸着体を分散させた後に遠心分離、濾過をしてもよいし、フィルタープレス等でろ過を行った後に有機液体を通液してもよい。置換率を高くするためには、有機液体へ無機イオン吸着体を分散後に濾過する方法を繰り返すことが好ましい。
[有機高分子樹脂]
本実施形態の多孔性成形体を構成する有機高分子樹脂は、多孔化が可能な樹脂であることが好ましい。
有機高分子樹脂としては、例えば、ポリスルホン系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、アクリロニトリル系ポリマー、ポリメタクリル酸メチル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、セルロース系ポリマー、エチレンビニルアルコール共重合体系ポリマー、ポリアリールエーテルスルホン、ポリプロピレン系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、多種類等が挙げられる。
中でも、水中での非膨潤性と耐生分解性、さらに製造の容易さから、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアリールエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、セルロース、及びセルローストリアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
有機高分子樹脂は、担持性の観点から、末端に水酸基を有しているポリエーテルスルホンが好ましい。末端基として水酸基を有していることによって、本実施形態の多孔性成形体において、優れた無機イオン吸着体の担持性能が発揮できる。加えて、疎水性が高い有機高分子樹脂が、末端に水酸基を有しているため親水性が向上し、本実施形態の多孔性成形体を水処理用途に使用してもファウリングが発生しにくい。
[カラム]
本実施形態の多孔性成形体を吸着剤として用いる場合、カラムや吸着塔に充填して使用する。カラムや吸着塔に充填して、被処理水を通液して接触させることにより、多孔性成形体の有する接触効率の高さを十分に引き出すことができる。また、本実施形態の多孔性成形体は、吸着剤表面の無機イオン吸着体の存在量が高いため、通水初期からの吸着対象物が漏れ出す(破過する)ことなく、十分な吸着性能で超高速処理を行うことができる。
カラムとは、下部及び上部の少なくとも一方に、多孔性成形体が流出しないように目皿やメッシュのような固液分離手段を備える筒状の容器を意味する。
カラムの材質は、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス、FRP(ガラス繊維入り強化プラスチック)、ガラス、及びPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PC(ポリカーボネート)などの各種プラスチックが挙げられる。
耐酸性、耐塩基性を考慮して、カラムの内面をゴムやフッ素樹脂ライニングしてもよい。
[洗浄方法]
本実施形態の多孔性成形体を吸着剤として用いる場合、上記カラムや吸着塔に充填した状態で洗浄することができる。
本実施形態において、多孔性成形体の洗浄液はカラムの下から流す上向流、洗浄液をカラムの上から流す下向流、あるいはその両者によって洗浄液を通液することができる。洗浄液を上向流で流した場合、通液初期にエアーを抱き込むことなく、カラム内部全体に洗浄液を充填することができる。洗浄液を下向流で流した場合、多孔性成形体が洗浄液の流れで動くことが無く、多孔性成形体同士の接触で摩耗するおそれがない。
本実施形態において、多孔性成形体の洗浄液の通液速度は、好ましくはSV1hr−1〜SV300hr−1、より好ましくはSV1hr−1〜SV250hr−1、さらに好ましくはSV1hr−1〜SV200hr−1である。多孔性成形体内部に存在する不純物の洗浄は主に拡散による効果であり、SVが1hr−1より小さいと、洗浄液中に不純物が滞留し拡散による洗浄効果が低下する。SVが300hr−1より大きいと、下向流で流した場合は高圧損により多孔性成形体が変形するおそれがあり、上向流で流した場合は多孔性成形体がカラム内部で激しく動き、多孔性成形体同士の接触で摩耗するおそれがある。
本実施形態において、多孔性成形体の洗浄液の通液量は、好ましくは多孔性成形体の嵩体積に対して1倍量〜10,000倍量であり、より好ましくは2倍量〜7,000倍量、さらに好ましくは3倍量〜5,000倍量である。
多孔性成形体の嵩体積は、粒子状、円柱状、中空柱状等の形状が短いものは、湿潤状態の成形体を、メスシリンダー等を用いて、みかけの体積を測定する。
洗浄液の通液量が多孔性成形体の嵩体積に対して1倍量以上であれば、不純物を十分に洗浄することができる。
本実施形態において、多孔性成形体の洗浄液は特に限定はされず、含まれる不純物に対して除去効果が高いものを選択できる。例えば、無機イオン吸着体である金属酸化物に吸着した不純物を除去したい場合は水酸化ナトリウム溶液を用いてもよいし、遊離した不純物を除去したい場合は純水を用いて洗浄してもよい。
通常、原料や製造工程から混入する不純物であるアニオンは、無機イオン交換体に吸着されている場合が多く、好ましくは水酸化ナトリウム溶液を用いて洗浄を行った後、さらに純水で洗浄するとよい。
さらに、洗浄後の用途によって好ましい洗浄液を選択してもよい。例えば、多孔性成形体を排水処理用途で用いる場合は純水で洗浄を行ってもよいし、医療用途で用いる場合は生理食塩水や血液抗凝固剤を加えた生理食塩水を用いてもよい。
洗浄液は1種類であってもよいし、複数の洗浄液を組み合わせて使用してもよい。
[多孔性成形体の製造方法]
本実施形態の多孔性成形体の製造方法は、例えば、(1)無機イオン吸着体を乾燥する工程、(2)工程(1)で得られた無機イオン吸着体を粉砕する工程、(3)工程(2)で得られた無機イオン吸着体、有機高分子樹脂の良溶媒、有機高分子樹脂、及び水溶性高分子を混合してスラリーを作製する工程、(4)工程(3)で得られたスラリーを成形する工程、(5)工程(4)で得られた成形品を貧溶媒中で凝固させる工程、(6)工程(5)で得られた多孔性成形体を洗浄する工程、を含む。
[工程(1):無機イオン吸着体の乾燥工程]
工程(1)において、無機イオン吸着体を乾燥させて粉体を得る。このとき、乾燥時の凝集を抑制するために、製造時に含有される水分を有機液体に置換した後に乾燥されることが好ましい。無機イオン吸着体に含まれる水分を有機液体に置換した後に乾燥を行うことで、乾燥時の凝集を抑制することができ、無機イオン吸着体の細孔体積を増加させることができ、無機イオン吸着体の吸着容量を増加させることができる。
有機液体としては、無機イオン吸着体の凝集を抑制する効果があれば特に限定されないが、親水性が高い液体を用いることが好ましい。例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類等が挙げられる。また、置換に用いる有機液体は、これらの混合物であってもよいし、水との混合物であってもよい。
無機イオン吸着体の凝集抑制効果は、有機液体の持つ低い表面張力により発揮される。
乾燥時に無機イオン吸着体が含む有機液体の表面張力は、0〜30mN/mであることが好ましく、0〜27mN/mであることがより好ましく、0〜25mN/mであることがさらに好ましい。
無機イオン吸着体に含まれる液体の表面張力が、30mN/mよりも大きいと、乾燥時に粒子同士が凝集し、無機イオン吸着体の細孔体積が低下し、吸着容量が低下する。
無機イオン吸着体に含まれる水分の有機液体への置換率としては、例えば20℃のエタノールであれば、上記表面張力を満たすために、40質量%〜100質量%であればよく、好ましくは60質量%〜100質量%、より好ましくは80質量%〜100質量%であればよい。
有機液体の置換率とは、有機液体への置換率をSb(質量%)、水を含んだ無機イオン吸着体を有機液体で処理後の濾液の水分率をWc(質量%)とするとき下式で表される値をいう。
Sb = 100 − Wc
有機液体で処理後の濾液の水分率は、カールフィッシャー法で測定することで求められる。
エタノールの置換率が40質量%未満であると、乾燥時の凝集抑制効果が低くなり無機イオン吸着体の細孔体積が増加しない。
[工程(2):無機イオン吸着体の粉砕工程]
工程(2)においては、工程(1)により得られた無機イオン吸着体の粉末を粉砕する。粉砕の方法としては、特に限定されるものではなく、乾式粉砕や湿式粉砕を用いることができる。
乾式粉砕方法は、特に限定されるものではなく、ハンマーミルなどの衝撃式破砕機、ジェットミルなどの気流式粉砕機、ボールミルなどの媒体式粉砕機、ローラーミルなどの圧縮式粉砕機などを用いることができる。
中でも、粉砕した無機イオン吸着体の粒子径分布をシャープにすることができることから、気流式粉砕機が好ましい。
湿式粉砕方法は、無機イオン吸着体及び有機高分子樹脂の良溶媒を合わせて粉砕、混合できるものであれば、特に限定されるものではなく、加圧型破壊、機械的磨砕、超音波処理等の物理的破砕方法に用いられる手段を用いることができる。
粉砕混合手段の具体例としては、ジェネレーターシャフト型ホモジナイザー、ワーリングブレンダー等のブレンダー、サンドミル、ボールミル、アトライタ、ビーズミル等の媒体撹拌型ミル、ジェットミル、乳鉢と乳棒、らいかい器、超音波処理器等が挙げられる。
中でも、粉砕効率が高く、粘度の高いものまで粉砕できることから、媒体撹拌型ミルが好ましい。
媒体撹拌型ミルに使用するボール径は、特に限定されるものではないが、0.1mm〜10mmであることが好ましい。ボール径が0.1mm以上であれば、ボール質量が充分あるので粉砕力があり粉砕効率が高く、ボール径が10mm以下であれば、微粉砕する能力に優れる。
媒体攪拌型ミルに使用するボールの材質は、特に限定されるものではないが、鉄やステンレス等の金属、アルミナ、ジルコニア等の酸化物類、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の非酸化物類の各種セラミック等が挙げられる。中でも、耐摩耗性に優れ、製品へのコンタミネーション(摩耗物の混入)が少ない点で、ジルコニアが優れている。
[工程(3):スラリー作製工程]
工程(3)においては、工程(2)により得られた無機イオン吸着体と、有機高分子樹脂の良溶媒、有機高分子樹脂、場合により水溶性高分子を混合してスラリーを作製する。
工程(2)及び工程(3)に用いる有機高分子樹脂の良溶媒としては、多孔性成形体の製造条件において有機高分子樹脂を安定に1質量%を超えて溶解するものであれば、特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用できる。
良溶媒としては、例えば、N−メチル−2ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。
良溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
工程(3)における有機高分子樹脂の添加量は、有機高分子樹脂/(有機高分子樹脂+水溶性高分子+有機高分子樹脂の良溶媒)の割合が、3質量%〜40質量%となるようにすることが好ましく、4質量%〜30質量%であることがより好ましい。有機高分子樹脂の含有率が3質量%以上であれば、強度の高い多孔性成形体が得られ、40質量%以下であれば、空孔率の高い多孔性成形体が得られる。
工程(3)において、水溶性高分子は必ずしも添加される必要は無いが、添加をすることで多孔性成形体の外表面及び内部に三次元的に連続した網目構造を形成する繊維状の構造体を含む多孔性成形体が均一に得られ、超高速で通液処理してもイオンを確実に吸着できる多孔性成形体が得られる。
工程(3)に用いる水溶性高分子は、有機高分子樹脂の良溶媒と有機高分子樹脂とに対して相溶性のあるものであれば、特に限定されるものではない。
水溶性高分子としては、天然高分子、半合成高分子、及び合成高分子のいずれも使用できる。
天然高分子としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラーギナン、アラビアゴム、トラガント、ペクチン、デンプン、デキストリン、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン等が挙げられる。
半合成高分子としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン等が挙げられる。
合成高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリエチレングリコール類等が挙げられる。
中でも、無機イオン吸着体の担持性を高める点から、合成高分子が好ましく、多孔性が向上する点から、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール類がより好ましい。
ポリビニルピロリドンとポリエチレングリコール類の質量平均分子量は、400〜35,000,000であることが好ましく、1,000〜1,000,000であることがより好ましく、2,000〜100,000であることがさらに好ましい。
質量平均分子量が400以上であれば、表面開口性の高い多孔性成形体が得られ、35,000,000以下であれば、成形する時のスラリーの粘度が低いので成形が容易になる傾向がある。
水溶性高分子の質量平均分子量は、水溶性高分子を所定の溶媒に溶解し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析により測定できる。
水溶性高分子の添加量は、水溶性高分子/(水溶性高分子+有機高分子樹脂+有機高分子樹脂の良溶媒)の割合が、0.1質量%〜40質量%となるようにすることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。
水溶性高分子の添加量が0.1質量%以上であれば、多孔性成形体の外表面及び内部に三次元的に連続した網目構造を形成する繊維状の構造体を含む多孔性成形体が均一に得られる。水溶性高分子の添加量が40質量%以下であれば、外表面開口率が適当であり、多孔性成形体の外表面の無機イオン吸着体の存在量が多いため、超高速で通液処理してもイオンを確実に吸着できる多孔性成形体が得られる。
本実施形態において、工程(3)で作製されたスラリーの粘度は、500mPa・s
〜10,000mPa・sであることが好ましく、1,000mPa・s〜8000mPa・sであることがより好ましく、1,500mPa・s〜6,000mPa・sであることがさらに好ましい。スラリーの粘度が500mPa・sよりも小さいと、工程(4)成形工程において、凝固液に着水した時に多孔性成形体が変形しやすくなる。他方、スラリーの粘度が10,000mPa・sよりも大きいと、工程(4)成形工程において、吐出レートの低下や、吐出詰まりが起こり、成形が困難になる。
[工程(4):成形工程]
工程(4)においては、工程(3)により得られたスラリー(成形用スラリー)を成形する。成形用スラリーは、有機高分子樹脂と、有機高分子樹脂の良溶媒と、無機イオン吸着体と、水溶性高分子の混合スラリーである。
本実施形態の多孔性成形体の形態は、成形用スラリーを成形する方法によって、粒子状、糸状、シート状、中空糸状、円柱状、中空円柱状等の任意の形態を採ることができる。
粒子状、例えば、球状粒子の形態に成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、回転する容器の側面に設けたノズルから、容器中に収納されている成形用スラリーを飛散させて、液滴を形成させる回転ノズル法等が挙げられる。回転ノズル法により、粒度分布が揃った粒子状の形態に成形することができる。
具体的には、1流体ノズルや2流体ノズルから、成形用スラリーを噴霧して凝固浴中で凝固する方法が挙げられる。
ノズルの径は、0.1mm〜10mmであることが好ましく、0.1mm〜5mmであることがより好ましい。ノズルの径が0.1mm以上であれば、液滴が飛散しやすく、10mm以下であれば、粒度分布を均一にすることができる。
遠心力は、遠心加速度で表され、5G〜1500Gであることが好ましく、10G〜1000Gであることがより好ましく、10G〜800Gであることがさらに好ましい。
遠心加速度が5G以上であれば、液滴の形成と飛散が容易であり、1500G以下であえば、成形用スラリーが糸状にならずに吐出し、粒度分布が広くなるのを抑えることができる。粒度分布が狭いことにより、カラムに多孔性成形体を充填した時に水の流路が均一になるため、超高速通水処理に用いても通水初期からイオン(吸着対象物)が漏れ出す(破過する)ことが無いという利点を有している。
糸状又はシート状の形態に成形する方法としては、該当する形状の紡口、ダイスから成形用スラリーを押し出し、貧溶媒中で凝固させる方法が挙げられる。
中空糸状の多孔性成形体を成形する方法としては、環状オリフィスからなる紡口を用いることで、糸状やシート状の多孔性成形体を成形する方法と同様にして成形できる。
円柱状又は中空円柱状の多孔性成形体を成形する方法としては、紡口から成形用スラリーを押し出す際、切断しながら貧溶媒中で凝固させてもよいし、糸状に凝固させてから後に切断しても構わない。
[工程(5):凝固工程]
工程(5)においては、工程(4)で得られた凝固が促進された成形品を貧溶媒中で凝固させて、多孔性成形体を得る。
[貧溶媒]
工程(5)に用いる貧溶媒としては、工程(5)の条件において有機高分子樹脂の溶解度が1質量%以下の溶媒を使用することができ、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール類、エーテル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。中でも、貧溶媒としては、水が好ましい。
工程(5)では、先行する工程から良溶媒が持ち込まれ、良溶媒の濃度が、凝固工程開始時と終点で、変化してしまう。そのため、予め良溶媒を加えた貧溶媒としてもよく、初期の濃度を維持するように水等を別途加えながら濃度を管理して凝固工程を行うことが好ましい。
良溶媒の濃度を調整することで、多孔性成形体の構造(外表面開口率及び粒子形状)を制御できる。
貧溶媒が水又は有機高分子樹脂の良溶媒と水の混合物の場合、凝固工程において、水に対する有機高分子樹脂の良溶媒の含有量は、0質量%〜80質量%であることが好ましく、0質量%〜60質量%であることがより好ましい。
有機高分子樹脂の良溶媒の含有量が80質量%以下であれば、多孔性成形体の形状が良好になる効果が得られる。
貧溶媒の温度は、空間部の温度と湿度を制御する観点から、40℃〜100℃であることが好ましく、50℃〜100℃であることがより好ましく、60℃〜100℃であることがさらに好ましい。
[工程(6):多孔性成形体の洗浄工程]
工程6においては、工程(5)で得られた多孔性成形体を洗浄する。
[カラム]
多孔性成形体の洗浄は、多孔性成形体をカラムに充填した状態で行う。
カラムとは、下部及び上部の少なくとも一方に、多孔性成形体が流出しないように目皿やメッシュのような固液分離手段を備える筒状の容器を意味する。
カラムの材質は、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス、FRP(ガラス繊維入り強化プラスチック)、ガラス、及びPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PC(ポリカーボネート)などの各種プラスチックが挙げられる。
耐酸性、耐塩基性を考慮して、カラムの内面をゴムやフッ素樹脂ライニングしてもよい。
[洗浄方法]
本実施形態の多孔性成形体を吸着剤として用いる場合、上記カラムや吸着塔に充填した状態で洗浄することができる。
本実施形態において、多孔性成形体の洗浄液はカラムの下から流す上向流、洗浄液をカラムの上から流す下向流、あるいはその両者によって洗浄液を通液することができる。洗浄液を上向流で流した場合、通液初期にエアーを抱き込むことなく、カラム内部全体に洗浄液を充填することができる。洗浄液を下向流で流した場合、多孔性成形体が洗浄液の流れで動くことが無く、多孔性成形体同士の接触で摩耗する恐れがない。
本実施形態において、多孔性成形体の洗浄液の通液速度は、好ましくはSV1hr−1〜SV300hr−1、より好ましくはSV1hr−1〜SV250hr−1、さらに好ましくはSV1hr−1〜SV200hr−1である。多孔性成形体内部に存在する不純物の洗浄は主に拡散による効果であり、SVが1hr−1より小さいと、洗浄液中に不純物が滞留し拡散による洗浄効果が低下する。SVが300hr−1より大きいと、下向流で流した場合は高圧損により多孔性成形体が変形するおそれがあり、上向流で流した場合は多孔性成形体がカラム内部で激しく動き、多孔性成形体同士の接触で摩耗するおそれがある。
本実施形態において、多孔性成形体の洗浄液の通液量は、好ましくは多孔性成形体の嵩体積に対して1倍量〜10,000倍量であり、より好ましくは2倍量〜7,000倍量、さらに好ましくは3倍量〜5,000倍量である。
多孔性成形体の嵩体積は、粒子状、円柱状、中空柱状等の形状が短いものは、湿潤状態の成形体を、メスシリンダー等を用いて、みかけの体積を測定する。
洗浄液の通液量が多孔性成形体の嵩体積に対して1倍量以上であれば、不純物を十分に洗浄することができる。
本実施形態において、多孔性成形体の洗浄液は特に限定はされず、含まれる不純物に対して除去効果が高いものを選択できる。例えば、無機イオン吸着体である金属酸化物に吸着した不純物を除去したい場合は水酸化ナトリウム溶液を用いてもよいし、遊離した不純物を除去したい場合は純水を用いて洗浄してもよい。
通常、原料もしくは製造工程から混入する不純物であるアニオンは、無機イオン交換体に吸着されている場合が多く、好ましくは水酸化ナトリウム溶液を用いて洗浄を行った後、さらに純水で洗浄するとよい。
さらに、洗浄後の用途によって好ましい洗浄液を選択してもよい。例えば、多孔性成形体を排水処理用途で用いる場合は純水で洗浄を行ってもよいし、医療用途で用いる場合は生理食塩水や血液抗凝固剤を加えた生理食塩水を用いてもよい。
洗浄液は1種類であってもよいし、複数の洗浄液を組み合わせて使用してもよい。
[多孔性成形体の製造装置]
本実施形態の多孔性成形体の製造装置は、例えば、液滴を遠心力で飛散させる回転容器と、凝固液を貯留する凝固槽とを備える。
液滴を遠心力で飛散させる回転容器は、成形用スラリーを球状の液滴にして遠心力で飛散する機能があれば、特定の構造からなるものに限定されず、例えば、周知の回転ディスク、回転ノズル等が挙げられる。
回転ディスクは、成形用スラリーが回転するディスクの中心に供給され、回転するディスクの表面に沿って成形用スラリーが均一な厚みでフィルム状に展開し、ディスクの周縁から遠心力で滴状に分裂して微小液滴を飛散させるものである。
回転ノズルは、中空円盤型の回転容器の周壁に多数の貫通孔を形成するか又は周壁に貫通させてノズルを取付け、回転容器内に成形用スラリーを供給すると共に回転容器を回転させ、その際に貫通孔又はノズルから遠心力により成形用スラリーを吐出させて液滴を形成するものである。
凝固液を貯留する凝固槽は、凝固液を貯留できる機能があれば、特定の構造からなるものに限定されず、例えば、周知の上面開口の凝固槽や、回転容器を囲むように配置した筒体の内面に沿って凝固液を重力により自然流下させる構造の凝固槽等が挙げられる。
上面開口の凝固槽は、回転容器から水平方向に飛散した液滴を自然落下させ、上面が開口した凝固槽に貯留した凝固液の水面で液滴を捕捉する装置である。
回転容器を囲むように配置した筒体の内面に沿って凝固液を重力により自然流下させる構造の凝固槽は、凝固液を筒体の内面に沿わせて周方向にほぼ均等な流量で流出させ、内面に沿って自然流下する凝固液流中に液滴を捕捉して凝固させる装置である。
[多孔性成形体の用途]
本実施形態の多孔性成形体は、通液速度(SV)120hr−1、SV240hr−1といった超高速で処理する分野で使用することができる。特に、リン、ホウ素、ヒ素、フッ素等のイオンの吸着剤として、金属メッキや医薬品製造等の製造プロセス水用途において好適に利用できる。その中でも、リン酸イオンの吸着剤として使用することがより好適である。
本実施形態の多孔性成形体は、多孔性成形体の内部に連通孔が三次元網目状に緻密に発達しており、無機イオン吸着体とイオンとの接触効率が高く、さらに無機イオン吸着体の細孔体積が大きく吸着容量が大きい。
接触効率が高く吸着容量が大きいことを活かし、水処理用途、特に、金属メッキや医薬品製造に利用でき、また、血液処理等の医療用途に利用できる。
本実施形態の多孔性成形体は、その他にも、各種吸着剤、脱臭剤、抗菌剤、吸湿剤、食品の鮮度保持剤、酵素固定担体、クロマトグラフィーの担体等の用途において用いることができる。
本実施形態において、例えば、無機イオン吸着体にゼオライトを用いた場合は、脱臭剤として利用できる。
無機イオン吸着体がゼオライトであり、さらに、該ゼオライトに銀を担持した場合には抗菌剤として利用できる。該ゼオライトにパラジウムや白金を担持させた場合には、エチレンを吸着することから鮮度保持剤として使用できる。該ゼオライトに銀又は銅を担持させた場合は、硫化水素やアンモニア、メチルメルカプタンといった悪臭ガスを吸着、分解できることから脱臭剤として利用できる。
以下、本発明を、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。成形体の物性は、以下の方法により測定した。
(1)窒素ガス吸着法で測定した細孔体積、比表面積
多孔性成形体を凍結乾燥した後、比表面積、細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)製、BELSORP−miniII(商品名))で測定した。
凍結乾燥をした多孔性成形体約0.3gを測り取り、専用の5mLガラスセルに投入し、液体窒素でガラスセルを冷却しながら、窒素ガスの吸脱着により、細孔体積および比表面積の測定を行った。
吸着質として純度99.99体積%以上の窒素ガス、パージガスとして純度99.99体積%以上のヘリウムガスを用いた。
参照セルとして、測定用のガラスセルと同体積の空のガラスセルを用い、測定値を補正する設定で測定を行った。
測定方式は簡易方式で、吸着相対圧上限0.95まで、脱着相対圧下限0.3までの設定で、測定を行った。
測定後のBET法及びBJH法による解析は、解析ソフト(マイクロトラック・ベル(株)製、BEL Master(Version6.3.1.0))を用いて行った。
(2)多孔性成形体の凍結乾燥
凍結乾燥は、凍結乾燥機(EYELA社製のFDS−1000型(商品名))を用いて行った。
湿潤状態の多孔性成形体1〜10mLを、メスシリンダー等を用いて秤り取り、100mLのガラス製ナスフラスコへ投入した後、マイナス18度以下の冷凍庫に6時間以上静置して、含まれる水分を凍らせたのち、凍結乾燥機にナスフラスコを接続し、真空度20Pa以下、トラップ温度マイナス80℃以下の条件で、10時間以上凍結乾燥を行った。
(3)多孔性成形体の平均粒径、無機イオン吸着体の平均粒径
多孔性成形体の平均粒径、及び無機イオン吸着体の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA社製のLA−950(商品名))で測定した。分散媒体は水を用いた。無機イオン吸着体に水和酸化セリウムを使用したサンプルの測定時は、屈折率に酸化セリウムの値を使用して測定した。同様に、無機イオン吸着体に水和酸化ジルコニウムを使用したサンプルを測定する時は、屈折率に酸化ジルコニウムの値を使用して測定した。
(4)多孔性成形体の、水銀圧入法で測定した細孔体積、最頻細孔径
多孔性成形体を上述の方法で凍結乾燥した後、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製、島津オートポアIV9500型)で測定した。
(5)多孔性成形体の弾性率
弾性率は、圧縮式の弾性率測定装置(SHIMADZU社製EZ−Test−500N(商品名))で測定した。湿潤状態の多孔性成形体を、メスシリンダー等を用いて嵩体積1mLを秤り取った後、1mLの専用セルに投入し、直径10mmの円筒状圧縮冶具で、ストローク速度1mm/minの速度で圧縮し、測定を行った。
(6)スラリーの粘度測定
工程(3):スラリー作製工程で作製したスラリーの粘度は、温度25度±1℃に温度を制御した後、直径50mm、深さ70mmの円筒状容器にスラリーを投入し、B型粘度計(東機産業(株)社製、RB−85L(商品名))を用いて測定した。ロータNo.3(商品名)を用いて、0.3rpm〜60rpmの回転速度で粘度測定を行った。
(7)アニオン濃度の測定
多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の水に1hr浸漬し、浸漬後の水中アニオン濃度を、イオンクロマトグラフィ(ThremoSCIENTIFIC社製のDIONEXICS−2100(商品名))で測定し、各アニオン種濃度の総和をアニオン濃度として算出した。標準液として、陰イオン混合標準液1(富士フイルム和光(株)、製品名)を用いて、リン酸イオン、硫酸イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオンの測定を行った。
(8)金属濃度の測定
多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の水に1hr浸漬し、浸漬後の水中金属濃度を、誘導結合プラズマ質量分析装置(ThremoSCIENTIFIC社製iCAPQ(商品名))で測定した。標準液は、無機イオン吸着体を構成する金属元素イオンを含む標準液を用いた。例えば、無機イオン吸着体が水和酸化セリウムの場合は、セリウム標準液(1,000ppm)(富士フイルム和光(株)、製品名)を用いた。
(9)UV吸光度の測定
多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の水に1hr浸漬し、浸漬後の液を光路長1cmの石英ガラスセルに入れ、UV−Vis分光光度計(島津社製 UV−2400PC)を用いて、波長200nm〜350nmの範囲で吸光度を測定し、吸光度の最大値を測定値とした。
(10)pH、及びpH変化量の測定
pHは、該多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の水に1hr浸漬し、浸漬後の液をpHメーター(HORIBA社製pH/CONDMETER D−54)で測定した。
また、pH変化量は、上記測定値と、同量の純水を70℃で1hr加温した後の液をpHメーターで測定した値との差の絶対値とした。
(11)摩耗率
摩耗率は、多孔性成形体5mLと純水50mLを、高さ5〜10cmで体積100mLの容器に投入した後、250rpmの速度で30分間の往復振とうを行い、その上澄み液を0.2μmのフィルターを用いて吸引濾過し、得られた摩耗成分を乾燥した重量をWd、往復振とう後の多孔性成形体5mLを乾燥した重量をWeとするとき、下式:
摩耗率(%)={Wd/(We+Wd)}×100
で求めた。
摩耗率が0.1質量%未満であると、摩耗が少なく良好であると判断した。
(12)圧力損失
多孔性成形体60mLを内径20mmφ、高さ500mmのカラムに充填した。LV20m/hrの速度でカラム上部から下部に純水を通液し、入口圧力と出口圧力との差(A(kPa))を測定した。吸着材を除いた空のカラムに、LV20m/hrの速度でカラム上部から下部に純水を通液し、入口圧力と出口圧力との差(B(kPa))を測定した。吸着材の充填高さ(H)を測定し、圧力損失((A−B)/H(kPa/m))を算出した。
圧力損失の値が、50kPa/m未満であると、圧上昇が小さく良好であると判断した。
(13)リン吸着量
リン酸三ナトリウム(NaPO・12HO)を蒸留水に溶解し、リン濃度9mg−P/Lの液を作製し、硫酸でpH7に調製した液を吸着原液とした。
メスシリンダーを用いてタッピングを繰り返して秤量した多孔性成形体8mLを、カラム(内径10mm)に充填して、吸着原液を960mL/hr(SV120hr−1)、及び1,920mL/hr(SV240hr−1)の速度で、それぞれ、通液した。
カラムからの流出液(処理液)を10分毎にサンプリングして、該処理水中のリン濃度を測定して、4時間通液時までのリンの積算吸着量(g−P/L−多孔性成形体)を求めた。
リン酸イオン濃度は、HACH社製リン酸測定装置フォスファックス・コンパクト(商品名)を用いて測定した。
リンの積算吸着量が、SV120hr−1の速度において、1.8(g−P/L−多孔性成形体)以上であれば、多孔性成形体の吸着容量が大きく、リン吸着材として良好であり、2.5(g−P/L−多孔性成形体)以上であれば、さらに良好であると判断した。
[実施例1]
硫酸セリウム4水和物(和光純薬(株))2000gを50Lの純水中に投入し、撹拌羽を用いて溶解させた後、8M苛性ソーダ(和光純薬(株))3Lを20mL/minの速度で滴下し、水和酸化セリウムの沈殿物を得た。得られた沈殿物をフィルタープレスにてろ過した後、純水500Lを通液して洗浄し、さらにエタノール(和光純薬(株))80Lを通液して水和酸化セリウムに含まれる水分をエタノールに置換した。このとき、濾過終了時の濾液10mLを採取し、カールフィッシャー水分率計((株)三菱ケミカルアナリテック社製のCA−200(商品名))にて水分率の測定を行ったところ、水分率は5質量%であり、有機液体の置換率は95質量%であった。得られた有機液体を含む水和酸化セリウムを風乾し、乾燥した水和酸化セリウムを得た。
得られた乾燥水和酸化セリウムを、ジェットミル装置(日清エンジニアリング(株)社製のSJ−100(商品名))を用いて、圧気圧力0.8MPa、原料フィード速度100g/hrの条件で粉砕した。
N−メチル−2ピロリドン(NMP、三菱化学(株))220gと、粉砕した水和酸化セリウム粉末150g、ポリエーテルスルホン40gを加えて、溶解槽中にて、60℃に加温して撹拌羽根を用いて撹拌・溶解し、均一な成形用スラリー溶液を得た。
得られた成形用スラリーを側面に直径4mmのノズルを開けた円筒状回転容器の内部に供給し、この容器を回転させ、遠心力(15G)によりノズルから液滴を形成させた。水に対するNMPの含有量が50質量%の凝固液を60℃に加温して貯留した、上面開口の凝固槽中に液滴を着水させ、成形用スラリーを凝固させた。
凝固した多孔性成形体を回収し、多孔性成形体150mLを内径20mmφのカラムに充填して、70℃に加温した1500mLの0.4wt%水酸化ナトリウム水溶液をSV10hr−1の条件でカラムの上部から下部の方向に通液することで、アルカリ洗浄した。さらに、450Lの純水をSV80hr−1の条件で、カラムの上部から下部の方向に通液することで水洗し、洗浄した多孔性成形体を得た。
[実施例2]
通液するエタノール量を60Lにし、有機液体への置換率を83質量%にしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例3]
通液するエタノール量を40Lにし、有機液体への置換率を72質量%にしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例4]
通液するエタノール量を20Lにし、有機液体への置換率を54質量%にしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例5]
スラリーに水溶性高分子としてポリビニルピロリドン(PVP、BASF社製)を5g添加したこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例6]
水和酸化セリウム粉末を300gにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例7]
水和酸化セリウム粉末を120gにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例8]
水和酸化セリウム粉末を80gにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例9]
水和酸化セリウム粉末を50gにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例10]
水和酸化セリウム粉末を40gにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例11]
水和酸化セリウム粉末を30gにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例12]
水和酸化セリウム粉末を20gにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例13]
水和酸化セリウム粉末を17gにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例14]
ノズルの直径を3.5mmにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例15]
ノズルの直径を3.0mmにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例16]
N−メチル−2ピロリドンの量を240gにし、ノズルの直径を4.5mmにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例17]
貧溶媒にドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬)を2,000mg/Lの濃度で添加したこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例18]
水に対するNMPの含有量が60質量%の凝固液としたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例19]
凝固液の温度を80℃としたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例20]
N−メチル−2ピロリドンの量を250gにし、ノズルの直径を3.5mmにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例21]
凝固液を水にして、水に対するNMPの含有量が0質量%の凝固液としたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例22]
凝固液の温度を25℃としたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例23]
凝固液の温度を25℃とし、凝固液を水にして、水に対するNMPの含有量が0質量%の凝固液としたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例24]
ノズルの直径を2.5mmにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例25]
ノズルの直径を5.0mmにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例26]
凝固液の温度を80℃にしたこと以外は、実施例10に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例27]
凝固液の温度を80℃にして、さらに水に対するNMPの含有量を60質量%としたこと以外は、実施例10に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例28]
N−メチル−2ピロリドンの量を180gとしたこと以外は、実施例10に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例29]
N−メチル−2ピロリドンの量を140gとしたこと以外は、実施例10に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例30]
凝固液の水に対するNMPの含有量を0質量%としたこと以外は、実施例10に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例31]
凝固液の水に対するNMPの含有量を0質量%とし、さらに温度を25℃としたこと以外は、実施例10に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例32]
ジェットミルを用いて水和酸化セリウムを粉砕するときの圧気圧力を0.6MPaにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例33]
ジェットミルを用いて水和酸化セリウムを粉砕するときの圧気圧力を0.5MPaにし、原料フィード速度を200g/hrとしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例34]
ジェットミルを用いて水和酸化セリウムを粉砕するときの圧気圧力を0.9MPaにし、原料フィード速度を50g/hrとしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例35]
風乾して得られた水和酸化セリウムの粉砕方法を、湿式のボールミル粉砕に変更してスラリーを作製したこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。ボールミルの粉砕は、風乾して得られた水和酸化セリウム150gと、N−メチル−2ピロリドン220gとを、直径5mmφのステンレス製ボール1.5kgを充填した容積1Lのステンレス製ボールミルポットに投入し、75rpmの回転数で150分間粉砕・混合処理を行い黄色のスラリーを得た。得られたスラリーに、ポリエーテルサルホン40gを加えて、溶解槽中にて、60℃に加温して撹拌羽根を用いて撹拌・溶解し、均一な成形用スラリー溶液を得た。
[実施例36]
水和酸化セリウムの粉砕方法を、乳鉢で5分間粉砕する方法に変更したこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例37]
風乾して得られた水和酸化セリウムの粉砕を湿式のボールミル粉砕で行う際の粉砕時間を60分に変更したこと以外は、実施例35に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例38]
洗浄に用いた水酸化ナトリウム水溶液の濃度を1.0wt%にしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例39]
洗浄に用いた水酸化ナトリウム水溶液の濃度を0.1wt%にしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例40]
無機イオン吸着体の原料を塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬(株))としたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例41]
水酸化ナトリウム水溶液洗浄を行わなかったこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[実施例42]
水酸化ナトリウム水溶液及び純水で洗浄しなかったこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[比較例1]
通液するエタノール量を4Lにし、有機液体への置換率を14質量%にしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[比較例2]
通液するエタノール量を0Lにし、有機液体への置換率を0質量%にしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[比較例3]
通液するエタノール量を0Lにし、有機液体への置換率を0質量%にし、かつ、水和酸化セリウム粉末を500gにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[比較例4]
水和酸化セリウム粉末の添加量を0gにしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[比較例5]
圧気圧力を0.9MPaにし、原料フィード速度を20g/hrとしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[比較例6]
風乾して得られた水和酸化セリウムの粉砕を湿式のボールミル粉砕で行う際の粉砕時間を600分に変更したこと以外は、実施例35に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
[比較例7]
水酸化ナトリウム水溶液洗浄を行わなかったこと以外は、比較例1に記載の方法と同様にして、球状の多孔性成形体を得た。
実施例1〜42、及び比較例1〜7で得られた多孔性成形体の物性等を以下の表1([表1−2]、[表1−3]、[表1−4]、[表1−5]は、[表1−1]の続きである。)に示す。
Figure 2020099866
Figure 2020099866
Figure 2020099866
Figure 2020099866
Figure 2020099866
上記表1に示す結果から、無機イオン吸着体を乾燥する時、有機液体への置換率が高いほど多孔性成形体の細孔体積が高くなり、超高速通水(SV120hr−1、及びSV240hr−1)時のリン吸着量が高い多孔性成形体が得られることが分かった。
本発明に係る多孔性成形体は、被処理水中のイオン、中でも、リン酸イオンをSV120hr−1、SV240hr−1といった超高速の通液速度でも除去することができ、かつ、吸着容量が大きいため、特に金属メッキ、医薬品製造、医療用途等での有害物質の除去に好適に利用可能である。

Claims (24)

  1. 有機高分子樹脂及び無機イオン吸着体を含む多孔性成形体であって、窒素ガス吸着法で測定した細孔直径1nm〜80nmの細孔体積の総和が、該無機イオン吸着体の単位質量当たり0.05cm/g〜0.7cm/gであることを特徴とする多孔性成形体。
  2. 窒素ガス吸着法で測定した細孔直径1nm〜80nmの細孔体積の総和が、前記多孔性成形体の単位質量当たり0.02cm/g〜0.6cm/gである、請求項1に記載の多孔性成形体。
  3. 窒素ガス吸着法で測定した比表面積が50m/g〜400m/gである、請求項1又は2に記載の多孔性成形体。
  4. 前記多孔性成形体に含まれる無機イオン吸着体の担持量が、30質量%〜95質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  5. 平均粒径が100μm〜2500μmの球状粒子の形態にある、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  6. 前記多孔性成形体粒子の扁平率が0〜0.3である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  7. 前記多孔性成形体の嵩密度が、0.2g/ml〜0.7g/mlである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  8. 前記多孔性成形体に含まれる無機イオン吸着体の平均粒子径が0.08μm〜10μmであり、かつ、該無機イオン吸着体の最大粒子径/最小粒子径比が1〜500である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  9. 水銀圧入法で測定した細孔直径5.5nm〜120μmの細孔体積が、0.6〜2.0cm/gである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  10. 水銀圧入法で測定した最頻細孔径が、0.08μm〜0.7μmである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  11. 前記多孔性成形体の弾性率が、1000mN/m〜12000mN/mである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  12. 前記多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の純水に1hr浸漬した後の水中アニオン濃度が、2.0mg/l未満である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  13. 前記多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の純水に1hr浸漬した後の水をUV測定した時の吸光度の値が、0.2未満である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  14. 前記多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の純水に1hr浸漬した後の水中の金属イオン濃度が、1.0mg/L未満である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  15. 前記多孔性成形体の嵩体積に対して10倍量の70℃の純水に1hr浸漬した後の水のpHが、5以上であり、かつ、pH変化量が、0〜1.5である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  16. 前記多孔性成形体の摩耗率が、0%〜0.1%である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  17. 前記無機イオン吸着体が、下記式(I):
    MNxOn・mHO ...(I)
    {式中、xは、0〜3であり、nは、1〜4であり、mは、0〜6であり、そして、MとNは、Ti、Zr、Sn、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Si、Cr、Co、Ga、Fe、Mn、Ni、V、Ge、Nb及びTaからなる群から選ばれる金属元素であり、互いに異なる。}で表される少なくとも一種の金属酸化物、並びに/又は下記式(III):
    QyRz(CO)s・tHO ...(III)
    {式中、yは、1〜2であり、zは、0〜1であり、sは、1〜3であり、tは、0〜8であり、そして、QとRは、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Mn、Fe、Co、Ni、Ag、Zn、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選ばれる金属元素であり、互いに異なる。}で表される少なくとも一種の金属炭酸塩、
    を含有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  18. 前記金属酸化物が、下記(a)〜(c)群:
    (a)水和酸化チタン、水和酸化ジルコニウム、水和酸化スズ、水和酸化セリウム、水和酸化ランタン、及び水和酸化イットリウム;
    (b)チタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン及びイットリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素と、アルミニウム、珪素及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素との複合金属酸化物;
    (c)活性アルミナ;
    から選ばれる、請求項17に記載の多孔性成形体。
  19. 前記金属炭酸塩が、下記(d)群:
    (d)炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸スカンジウム、炭酸マンガン、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸銀、炭酸亜鉛、炭酸イットリウム、炭酸ランタン、炭酸セリウム、炭酸プラセオジム、炭酸ネオジム、炭酸サマリウム、炭酸ユウロピウム、炭酸ガドリニウム、炭酸テルビウム、炭酸ジスプロシウム、炭酸ホルミウム、炭酸エルビウム、炭酸ツリウム、炭酸イッテルビウム、及び炭酸ルテチウム;
    から選ばれる、請求項17に記載の多孔性成形体。
  20. 前記有機高分子樹脂が、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアリールエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、セルロース、及びセルローストリアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の多孔性成形体。
  21. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の多孔性成形体を充填したカラム。
  22. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の多孔性成形体を、請求項21に記載のカラムに詰め、洗浄液及び/又は充填液をカラムの下から流す上向流、洗浄液及び/又は充填液をカラムの上から流す下向流、あるいはその両者によって洗浄液及び/又は充填液を該カラムに通液する工程を含む、多孔性成形体の洗浄及び/又は液充填方法。
  23. 通液速度SV1hr−1〜SV300hr−1で前記洗浄液及び/又は充填液を通液する、請求項22に記載の方法。
  24. 前記多孔性成形体の嵩体積に対して1倍量〜10,000倍量の洗浄液及び/又は充填液を通液する、請求項22又は23に記載の方法。
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