JP2007260561A - イオン処理装置及び方法 - Google Patents

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昭浩 大森
Sakae Ito
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Abstract

【課題】水中のリン分を吸着剤により除去する工程(吸着工程)、及び吸着剤の性能が劣化すると、アルカリを通水してリン酸イオンを脱着する工程(脱着工程)、及び脱着液のアルカリに石灰を加えてリン酸カルシウムを晶析させる工程(晶析工程)、及び晶析したリン酸カルシウムを固液分離する工程(固液分離工程)からなるリン除去システムを安定に運転し、リンを低濃度まで除去可能とし、ランニングコストの安価なイオン処理装置及び方法を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも、吸着剤が充填されたイオン吸着手段、該吸着剤と接触した脱着液から脱着したイオンを晶析する晶析手段、晶析物の固液分離手段、及び固液分離手段の洗浄手段を有することを特徴とするイオン処理装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、下水、食品工場、化学工場、家庭などから発生する廃水及び、河川や湖沼などの水中のイオンを処理するイオン処理装置およびイオン処理方法に関する。特に、水中のフッ素やリンを低濃度まで除去し、有価物として回収するイオン処理装置および方法に関する。
従来、廃水中のリン分を吸着剤により除去し、吸着剤の性能が劣化すると、アルカリを通水してリン酸イオンを脱着し、脱着したアルカリに石灰を加えてリン酸カルシウムを晶析させ、該リン酸カルシウムを固液分離し、固液分離したアルカリを次の脱着に再利用する方法が知られている(特許文献1)。
特開昭63−236588号公報
しかし、上記従来方法では、固液分離装置に、限外ろ過膜(UF)や精密ろ過膜(MF)を使用した場合、固液分離したリン酸カルシウムの微結晶がろ過膜を目詰まりさせ、透過水量を減少させるという問題点を有する。
上記問題点を更に詳細に説明する。上記従来技術は、廃水中のリン分を吸着剤により除去する工程(吸着工程)、及び吸着剤の性能が劣化すると、アルカリを通水してリン酸イオンを脱着する工程(脱着工程)、及び脱着液のアルカリに石灰を加えてリン酸カルシウムを晶析させる工程(晶析工程)、及び晶析したリン酸カルシウムを固液分離する工程(固液分離工程)を有する。リン酸カルシウムを固液分離したアルカリは、次の脱着工程で再利用することによりランニングコストを安価にできるシステムを目指している。
上記システムでは、各工程が時間的に連続で行われるのは稀であり、通常は、吸着工程が最も長く、それに続く脱着工程、晶析工程、固液分離工程は短時間でありかつ間欠的に行われる場合が多い。このような場合、一度固液分離操作に使用したろ過膜の表面には、リン酸カルシウムの微結晶が存在し、これが次の固液分離操作開始までの滞留時間に、結晶成長し、膜面を詰まらせ、透過水量を低下させるという、このシステム特有の問題が発生する。透水量が低下するとアルカリの再利用が困難になり次の脱着操作に支障をきたすことになり、システム全体が上手く機能しなくなり、低コスト化も困難になるという重大な問題になる。
このような問題点は、上記公知文献には、もちろん開示も示唆もされていない。
本発明は、このような問題点を鑑み、
固液分離装置に洗浄手段を付加することにより、ろ過膜の目詰まりを解消し、アルカリの効率的な回収を可能とし、低コストのイオン処理装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、
リン酸カルシウムの分離に用いた膜分離手段を、洗浄することにより、膜分離手段の目詰まりが解消でき、アルカリの効率的な回収が可能になることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
1.少なくとも、吸着剤が充填されたイオン吸着手段、吸着剤と接触した脱着液から脱着したイオンを晶析する晶析手段、晶析物の固液分離手段、及び固液分離手段の洗浄手段を有することを特徴とするイオン処理装置。
2.固液分離手段が、膜分離手段であることを特徴とする1.記載のイオン処理装置。
3.洗浄手段が洗浄液の通液手段及び/又は浸漬手段であることを特徴とする1.記載のイオン処理装置。
4.洗浄液が酸であることを特徴とする3.記載のイオン処理装置。
5.少なくとも、吸着剤が充填されたイオン吸着工程、および該吸着剤と接触した脱着液から脱着したイオンを晶析する晶析工程、晶析物の固液分離工程、及び固液分離工程の洗浄工程を有することを特徴とするイオン処理方法。
6.固液分離工程が、膜分離工程であることを特徴とする5.記載のイオン処理方法。
7.洗浄工程が洗浄液の通液工程又は浸漬工程であることを特徴とする5.記載のイオン処理方法。
8.洗浄工程として洗浄液の通液工程の後に浸漬工程を備えることを特徴とする5.に記載のイオン処理方法。
9.通液工程が、逆洗であることを特徴とする7.又は8.記載のイオン処理方法。
10.洗浄液が、酸であることを特徴とする7.又は8.記載のイオン処理方法。
本発明のイオン処理装置及び方法によれば、ろ過膜の目詰まりを解消し、アルカリの再利用を可能とし、低コストのイオン処理装置及び方法を提供できる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の装置および方法に使用される吸着剤について説明する。
吸着剤は、水中のイオンを吸着できるものであれば特に制限は無いが、特に、フッ素および/またはリン酸を特異的に吸着することができる吸着剤であることが好ましい。
該フッ素またはリン酸吸着剤は、フッ素および/またはリン酸を吸着できるものであれば、任意の材質から構成されることができ、例えば、金属および/または金属酸化物などの無機イオン吸着体を吸着剤として用いても良いし、該無機イオン吸着体を母体上に吸着または担持した吸着剤であっても良い。この場合の無機イオン吸着体としては、フッ素および/またはリン酸を吸着できる金属元素であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、鉄、アルミニウム、スズ並びに、セリウム等のランタノイド類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、該無機イオン吸着体の母体としては、上記無機イオン吸着体を担持、吸着等できるものであれば特に限定されるものではない。
さらに、特異的な細孔構造を有することで、水中のイオンを高速に除去できる点で下記の多孔性成形体が好ましい。
本発明に用いる多孔性成形体について以下に詳細に説明する。
成形体は、連通孔を有し多孔質な構造を有することが好ましい。さらに、外表面にはスキン層が無く、表面の開口性に優れ、さらに、連通孔を形成するフィブリル内部にも空隙を有し、その空隙の少なくとも一部はフィブリル表面で開孔しているものが好ましい。
成形体の外表面開口率は、走査型電子顕微鏡で表面を観察した視野の面積中に占める全ての孔の開口面積の和の割合をいう。本発明では10,000倍で成形体の表面を観察し外表面開口率を実測した。好ましい表面開口率の範囲は、10〜90%が好ましく、特に15〜80%が好ましい。10%未満では、リン等の吸着対象物質の成形体内部への拡散速度が遅くなり、一方90%を超えると成形体の強度が不足し、カ学的強度に優れた成形体の実現が困難である。成形体の外表面開口径は、走査型電子顕微鏡で表面を観察して求める。孔が円形の場合はその直径、円形以外の場合は、同一面積を有する円の円相当直径を用いる。好ましい表面開口径の範囲は、O.005μmm〜100μmであり、特にO.01μm〜50μmが好ましい。O.005μm未満では、リン等の吸着対象物質の成形体内部への拡散速度が遅くなりやすく、一方、100μmを超えると成形体の強度が不足しやすい。
成形体は、連通孔を形成するフィブリル内部にも空隙を有し、かつ、その空隙の少なくとも一部はフィブリルの表面で開孔している。無機イオン吸着体は、このフィブリルの外表面及びフィブリル内部の空隙表面に担持されている。フィブリル自体も多孔質であるため、内部に埋め込まれた吸着基質である無機イオン吸着体も、リンといった吸着対象物質と接触することができ、有効に吸着剤として機能することができる。多孔性成形体は、このように吸着基質が担持されている部分も多孔質であるため、吸着基質とバインダを練り込んでつくる従来の方法の欠点であった、吸着基質の微細な吸着サイトがバインダで塞がれるといったことが少なく、吸着基質を有効に利用することができる。
ここで、フィブリルとは有機高分子樹脂からなり、成形体の外表面及び内部に三次元的に連続した網目構造を形成する繊維状の構造体を意味する。フィブリル内部の空隙及びフィブリル表面の開孔は、走査型電子顕微鏡で成形体の割断面を観察して判定する。フィブリルの断面には空隙があり、フィブリルの表面は開孔していることが観察される。さらに、無機イオン吸着体粉末は、フィブリルの外表面及び内部の空隙表面に担持されている様子が観察される。フィブリルの太さは、O.01μm〜50μmが好ましい。フィブリル表面の開孔径は、O.001μm〜5μmが好ましい。
多孔性成形体は、連通孔が、成形体表面付近に最大孔径層を有することが好ましい。ここで、最大孔径層とは、成形体の表面から内部に至る連通孔の孔径分布中で最大の部分をいう。ボイドと呼ばれる円形又はだ円形(指状)の大きな空隙がある場合には、ボイドが存在する層を最大孔径層という。表面付近とは、外表面から中心部へ向かって、成形体の割断径の25%まで内側を意味する。最大孔径層が成形体表面付近にあることによって、吸着対象物質の内部への拡散を速める効果を有する。よって、リンといった吸着対象物質を素早く成形体内部に取り込み、処理水中から除去することができる。
最大孔径及び最大孔径層の位置は、成形体の表面及び割断面を走査型電子顕微鏡で観察して求める。孔径は、孔が円形の場合はその直径、円形以外の場合は、同一面積を有する円の円相当直径を用いる。成形体の形態は、粒子状、糸状、シート状、中空糸状、円柱状、中空円柱状等の任意の形態をとることができる。なかでも、成形体を水処理分野において吸着剤として使用する場合には、カラム等に充填して通水する際の圧力損失、接触面積の有効性の点、取り扱い易さの点から粒子状が好ましく、特に球状粒子(真球状のみならず、楕円球状であってもよい)が好ましい。
球状成形体の平均粒子径は、該粒子を球状とみなして、レーザー光による回折の散乱光強度の角度分布から求めた球相当径のモード径(最頻度粒子径)である。好ましい平均粒子径の範囲は、100〜2500μmであり、特に200〜2000μmが好ましい。平均粒径が100μmより小さければカラムやタンクになどへ充填した際に圧カ損失が大きくなりやすく、また、平均粒径が2500μmより大きければ、カラムやタンクに充填したときの表面積が小さくなり、処理効率が低下しやすい。
本発明の成形体の空孔率Pr(%)とは、成形体の含水時の重量W1(g)、乾燥後の重量W0(g)、及び成形体の比重をρとするとき、下式で表される値をいう。
Pr=(W1-WO)/(W1-WO+W0/ρ)×100
含水時の重量は、十分に水に濡れた成形体を、乾いたろ紙上に拡げ、余分な水分をとってから含水時の重量を測定すればよい。乾燥は、水分をとばすために、室温下で真空乾燥を行えばよい。成形体の比重は、比重瓶を用いて簡便に測定することができる。
好ましい空孔率Pr(%)の範囲は、50%〜90%であり、特に60〜85%が好ましい。50%未満ではリン等の吸着対象物質と吸着基質である無機イオン吸着体との接触頻度が不十分となりやすい。90%を超えると、成形体の強度が不足しやすい。
本発明の成形体の無機イオン吸着体の担持量は、成形体の乾燥時の重量Wd(g)、灰分の重量Wa(g)とするとき下式で表される値をいう。
担持量(%)=Wa/Wd×100
ここで、灰分は本発明の成形体を800℃で2時間焼成したときの残分をいう。
好ましい担持量の範囲は、30〜95%であり、さらに好ましくは、40〜90%であり、特に65〜90%が好ましい。30%未満だと、リン等の吸着対象物質と吸着基質である無機イオン吸着体との接触頻度が不十分となりやすく、95%を超えると、成形体の強度が不足しやすい。
本発明の方法によると、従来技術の添着法とは異なり、吸着基質と有機高分子樹脂を練り込んで成形するため、担持量を多く保ちかつ強度の強い成形体を得ることができる。
本発明の成形体の比表面積は、次式で定義される。
比表面積(m2/cm3)=SBET×かさ比重(g/cm3)
ここで、S BET は、成形体の単位重量あたりの比表面積(m2/g)である。
比表面積の測定方法は、成形体を室温で真空乾燥した後、BET法を用いて測定する。
かさ比重の測定方法は、粒子状、円柱状、中空円柱状等の形状が短いものは、湿潤状態の成形体を、メスシリンダー等を用いて、みかけの体積を測定する。その後、室温で真空乾燥して重量を求める。
糸状、中空糸状、シート状の形状が長いものについては、湿潤時の断面積と長さを測定して、両者の積から体積を算出する。その後、室温で真空乾燥して重量を求める。
好ましい比表面積の範囲は、5m/cm〜500m/cmである。5m/cm未満だと、吸着基質の担持量及び吸着性能が不十分となりやすい500m/cmを超えると、成形体の強度が不足しやすい。
一般的に、吸着基質である無機イオン吸着体の吸着性能(吸着容量)は、比表面積に比例する場合が多い。単位体積あたりの表面積が小さいと、カラムやタンクに充填したときの吸着容量、吸着性能が小さく、高速処理を達成しにくい。
本発明に用いる成形体は、多孔質でありフィブリルが複雑に絡み合った三次元網目構造をとる。さらに、フィブリル自体も空隙を有するため、表面積が大きいという特徴を有する。これに、更に大きい比表面積をもつ吸着基質(無機イオン吸着体)を担持させるので、単位体積あたりの表面積も大きくなるのが特徴である。次に本発明に用いる多孔性成形体の製造方法について説明する。
多孔性成形体の製造方法は、有機高分子樹脂とその良溶媒と無機イオン吸着体と水溶性高分子とを混合した後、成形し、貧溶媒中で凝固させることを特徴とする。
有機高分子樹脂は、特に限定されないが、湿式相分離による多孔化手法が可能なものが好ましい。たとえば、ポリスルホン系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、アクリロニトリル系ポリマー、ポリメタクリル酸メチル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、セルロース系ポリマー、エチレンビニルアルコール共重合体系ポリマー等、多種類が挙げられる。特に、水中での非膨潤性と耐生分解性、さらに製造の容易さから、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリスルホン(PS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が好ましく、さらに親水性と耐薬品性を兼ね備えている点で、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)が好ましい。
また、良溶媒は有機高分子樹脂及び水溶性高分子を共に溶解するものであればいずれでもよい。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)等である。これらの良溶媒は1種又は混合溶媒としてもよい。有機高分子樹脂の良溶媒中の含有率に特に限定はないが、好ましくは5〜40重量%であり、さらに好ましくは、7〜30重量%である。5重量%未満では、強度のある成形体が得られにくい。40重量%を超えると、空孔率の高い多孔性成形体が得られにくい。本発明に用いる水溶性高分子は有機高分子樹脂と相溶性のあるものであれば特に限定されない。
天然高分子では、グアーガム、ローカストビーンガム、カラーギナン、アラビアゴム、トラガント、ペクチン、デンプン、デキストリン、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン等が挙げられる。また、半合成高分子では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン等が挙げられる。さらに、合成高分子では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、さらに、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリエチレングリコール類が挙げられる。これらの水溶性高分子の中でも、耐生分解性を有する点で合成高分子が好ましい。
特に、本発明に用いる成形体のように、連通孔を形成するフィブリル内部にも空隙を有する構造を発現する効果が高い点で、水溶性高分子としてポリビニルピロリドンを用いるのが特に好ましい。ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、2,000〜2,000,000の範囲が好ましく、2,000〜1,000,000の範囲がより好ましく、2,000〜100,000の範囲がさらに好ましい。重量平均分子量が2,000より小さいと、フィブリル内部に空隙を有する構造を発現させる効果が低くなる傾向があり、2,000,000を超えると、成形する時の粘度が上昇して、成形が難しくなる傾向がある。
本発明に用いる成形体の水溶性高分子の含有量は、成形体の乾燥時の重量をWd(g)、成形体から抽出した水溶性高分子の重量をWs(g)とするとき下式で表わされる値をいう。
含有量(%)=Ws/Wd ×100
水溶性高分子の含有量は、水溶性高分子の種類、分子量に左右されるが、0.001〜10%が好ましく、より好ましくは、0.01〜1%である。0.001%未満では、成形体の表面を開口させるのに効果が必ずしも十分でなく、10%を超えると相対的にポリマー濃度が薄くなり、強度が十分でない場合がある。
ここで、成形体中の水溶性高分子の重量Wsは、次のようにして測定する。まず、乾燥した成形体を乳鉢等で粉砕した後、該粉砕物から水溶性高分子の良溶媒を用いて水溶性高分子を抽出し、次いで該抽出液を蒸発乾固して、抽出した水溶性高分子の重量を求める。さらに、抽出した蒸発乾固物の同定と、フィブリル中に残存して抽出されなかった水溶性高分子の有無の確認は、赤外吸収スペクトル(IR)で測定できる。さらに、フィブリル中に残存して抽出されなかった水溶性高分子がある場合は、本発明の多孔性成形体を、有機高分子樹脂と水溶性高分子の両方の良溶媒で溶解後、無機イオン吸着体をろ過して除いた液を作成し、次いで、該液体をGPCを用いて分析して水溶性高分子の含有量を定量することができる。
水溶性高分子の含有量は、水溶性高分子の分子量、有機高分子樹脂とその良溶媒の組み合わせで適宜調整が可能である。例えば、分子量の高い水溶性高分子を使用すると、有機高分子樹脂との分子鎖の絡み合いが強固になり、成型時に貧溶媒側に移行しにくくなり、含有量を高くすることができる。
本発明で用いられる無機イオン吸着体とは、イオン吸着現象を示す無機物質をいう。
例えば、天然物ではゼオライトやモンモリロナイト、各種の鉱物性物質があり、合成物系では金属酸化物等がある。前者はアルミノケイ酸塩で単一層格子をもつカオリン鉱物、2層格子構造の白雲母、海緑石、鹿沼土、パイロフィライト、タルク、3次元骨組み構造の長石、ゼオライトなどで代表される。後者は、金属酸化物、多価金属の塩、不溶性のヘテロポリ酸塩、不溶性ヘキサシアノ鉄酸塩などが主要なものである。
多価金属の塩としては、下記式(II)のハイドロタルサイト系化合物が挙げられる。
2+ (1−X)3+ x(OH-(2+x-y)(An−)y/n (II)
〔式中、M2+はMg2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca 2+及びCu2+からなる群から選
ばれる少なくとも1種の二価の金属イオンを示し、M3+はAl3+及びFe3+からなる群から選ばれる少なくとも1種の三価の金属イオンを示し、An-はn価のアニオンを示し、0.1≦x≦ 0.5であり、0.1≦y≦0.5であり、nは1または2である。〕
金属酸化物とは、下記式(I)で表せる。
MN・mHO (I)
(式中、xは0〜3、nは1〜4、mは0〜6であり、MおよびNは、Ti、Zr、Sn、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Si、Cr、Co、Ga、Fe、Mn、Ni、V、Ge、Nb及びTaからなる群から選ばれる金属元素であり、互いに異なる。)
本発明でいう金属酸化物とは、式(I)中のmが0で表せる未水和(未含水)の金属酸化物であっても良いし、mが0以外の数値で表せる水和(含水)金属酸化物であっても良い。
また式(I)中のxが0以外の数値である場合の金属酸化物は、含有される各金属元素が規則性を持って酸化物全体に均一に分布して、例えば、ペロブスカイト構造、スピネル構造等を形成し、ニッケルフェライト(NiFe)、ジルコニウムの含水亜鉄酸塩(Zr・Fe24・mH2O mは0.5〜6)のごとく金属酸化物に含有される各金属元素の組成比が一定に定まった化学式で表される、複合金属酸化物である。
本発明に用いる多孔性成形体に担持させる無機イオン吸着体としては、リン、フッ素の吸着性能に優れている点から、水和酸化チタン、水和酸化ジルコニウム、水和酸化スズ、水和酸化セリウム、水和酸化ランタン、水和酸化イットリウム;チタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン、イットリウムからなる群から選ばれる金属元素と、アルミニウム、珪素、鉄からなる群から選ばれる金属元素との複合金属酸化物、および活性アルミナからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属酸化物であることが好ましい。
また、硫酸アルミニウム添着活性アルミナ、硫酸アルミニウム添着活性炭等も好ましい。
本発明で用いる式(I)で表される金属酸化物とは、M、N以外の金属元素が固溶したものであっても良い。例えば、式(I)に則ってZrO・mHOという式で表される水和酸化ジルコニウムとは、鉄が固溶した水和酸化ジルコニウムであっても良い。
本発明で用いる無機イオン吸着体は、式(I)で表せる金属酸化物を複数種含有していても良い。各金属酸化物の分布状態については特に制限はないが、各金属酸化物の有する特性を有効に活用し、よりコストパフォーマンスに優れる無機イオン吸着体を得るためには、特定の金属酸化物の廻りを、他の金属酸化物が覆った混合体構造にすることが好ましい。
このような構造としては、四三酸化鉄の廻りを水和酸化ジルコニウムが覆った構造が例示できる。
また、本発明でいう金属酸化物とは他の元素を固溶している金属酸化物も含むため、ジルコニウムが固溶した四三酸化鉄の廻りを、鉄が固溶した水和酸化ジルコニウムが覆った構造も好ましい例として例示できる。
上述の例においては、水和酸化ジルコニウムはリン、ホウ素、フッ素、ヒ素等のイオンに対する吸着性能や繰り返し使用に対する耐久性能は高いが、高価である。一方、四三酸化鉄は、水和酸化ジルコニウムに比較してリン、ホウ素、フッ素、ヒ素等のイオンに対する吸着性能や繰り返し使用に対する耐久性能は低いが、非常に安価である。
したがって、四三酸化鉄の廻りを水和酸化ジルコニウムで覆った構造にした場合、イオンの吸着に関与する無機イオン吸着体の表面付近は、吸着性能、耐久性能が高い水和酸化ジルコニウムになる一方、吸着に関与しない内部は安価な四三酸化鉄になるため、高吸着性能、高耐久性能で低価格の、すなわちコストパフォーマンスに極めて優れる吸着剤として利用できる多孔性成形体が得られる。
リン、ホウ素、フッ素、ヒ素の環境や健康に有害なイオンの吸着除去に対して、コストパフォーマンスに優れる吸着剤を得るという観点からは、本発明で用いる無機イオン吸着体は、式(I)中のMおよびNの少なくとも一方がアルミニウム、珪素、鉄からなる群から選ばれる金属元素である金属酸化物の廻りを、式(I)中のMおよびNの少なくとも一方がチタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン、イットリウムからなる群から選ばれる金属元素である金属酸化物で覆った構造で構成されていることが好ましい。
この場合、無機イオン吸着体中のアルミニウム、珪素、鉄からなる群から選ばれる金属元素の含有比率は、アルミニウム、珪素、鉄からなる群から選ばれる金属元素と、チタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン、イットリウムからなる群から選ばれる金属元素との合計モル数をT、アルミニウム、珪素、鉄からなる群から選ばれる金属元素のモル数をFとして、F/T(モル比)が、0.01〜0.95の範囲であることが好ましく、0.1〜0.90の範囲であることがより好ましく、0.2〜0.85であることがさらに好ましく、0.3〜0.80であることが特に好ましい。F/T(モル比)の値を大きくし過ぎると、吸着性能、耐久性能が低くなる傾向があり、小さくなると低価格化に対する効果が小さくなる。
また、金属によっては、金属元素の酸化数が異なる複数の形態の金属酸化物が存在するが、無機イオン吸着体中で安定に存在できるものであれば、その形態に制限はない。例えば、鉄の酸化物である場合は、空気中での酸化安定性の問題から水和酸化第二鉄(FeO1.5・mH2O)または水和四三酸化鉄(FeO1.33・mH2O)であることが好ましい。
なお、本発明の無機イオン吸着体は、その製造方法等に起因して混入する不純物元素を本発明の目的の達成を逸脱しない範囲で含有していても良い。混入する可能性がある不純物元素としては窒素(硝酸態、亜硝酸態、アンモニウム態)、ナトリウム、マグネシウム、イオウ、塩素、カリウム、カルシウム、銅、亜鉛、臭素、バリウム、ハフニウム等が考えられる。
また、無機イオン吸着体は、その比表面積が吸着性能や耐久性能に影響するため、比表面積が一定の範囲内であることが好ましい。具体的には、窒素吸着法で求めたBET比表面積が20〜1000m2/gであることが好ましく、30〜800m2/gであることがより好ましく、50〜600m2/gであることがさらに好ましく、60〜500m2/gであることが特に好ましい。BET比表面積が小さすぎると吸着性能が低下し、大きすぎると酸やアルカリアルカリに対する溶解性が大きくなり、その結果繰り返し使用に対する耐久性能が低下する。
本発明で用いられる式(I)で表される金属酸化物の製造方法は特に限定されないが、例えば、次のような方法により製造される。該金属塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の塩類水溶液中にアルカリ溶液を添加して得られた沈殿物をろ過、洗浄した後乾燥する。乾燥は風乾するかもしくは約150℃以下、好ましくは約90℃以下で約1〜20時間程度乾燥する。
次に、式(I)中のMおよびNの少なくとも一方がアルミニウム、珪素、鉄からなる群から選ばれる金属元素である金属酸化物の廻りを、式(I)中のMおよびNの少なくとも一方がチタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン、イットリウムからなる群から選ばれる金属元素である金属酸化物で覆った構造で構成されている無機イオン交換体の製造方法を、四三酸化鉄の廻りを酸化ジルコニウムが覆った構造の無機イオン吸着体を製造する場合を例に説明する。
まずジルコニウムの塩化物、硝酸塩、硫酸塩等の塩と、鉄の塩化物、硝酸塩、硫酸塩等の塩とを、上述のF/T(モル比)が所望の値になるように混合した塩類水溶液を作製する。その後、アルカリ水溶液を添加して、pHを8〜9.5好ましくは8.5〜9に調整して沈殿物を生成させる。この後、水溶液の温度を50℃にし、pHを8〜9.5好ましくは8.5〜9に保ちながら空気を吹き込み、液相に第一鉄イオンが検出できなくなるまで、酸化処理を行う。生じた沈澱を濾別し、水洗した後乾燥する。乾燥は風乾するかもしくは約150℃以下、好ましくは約90℃以下で約1〜20時間程度乾燥する。乾燥後の含水率は、約6〜30重量%の範囲内に入ることが好ましい。
前述の製造法において用いられるジルコニウムの塩としては、オキシ塩化ジルコニウム(ZrOC12)、四塩化ジルコニウム(ZrC14)、硝酸ジルコニウム(Zr(NO3)4)、硫酸ジルコニウム(Zr(SO4)2)等が挙げられる。これらは例えばZr(SO4)2・4H2Oなどのように含水塩であってもよい。これらの金属塩は通常、1リットル中に約0.05〜2.Oモルの溶液状で用いられる。
前述の製造法において用いられる鉄の塩としては、硫酸第一鉄(FeSO4)、硝酸第一鉄(Fe(NO3)2)、塩化第一鉄(FeC12)等の第一鉄塩が挙げられる。これらもFeSO4・7H2Oなどの含水塩であってもよい。これらの第一鉄塩は通常、固形物で加えられるが、溶液状で加えてもよい。
アルカリとしては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、好ましくは約5〜20重量%の水溶液で用いられる。
酸化性ガスを吹き込む場合、その時間は、酸化性ガスの種類などによって異なるが、通常約1〜10時間程度である。酸化剤としては、たとえば過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムなどが用いられる。
本発明に用いる無機イオン吸着体は、可能な限り微粒子であることが好ましく、その粒子径はO.01μm〜100μmが好ましく、より好ましくは、O.01μm〜50μm、さらに好ましくはO.01μm〜30μmの範囲である。
粒子径が0.01μmより小さいと、製造時のスラリー粘度が上昇し、成形しにくい傾向があり、100μmより大きいと、比表面積が小さくなるため、吸着性能が低下する傾向にある。
ここでいう粒子径とは、一次粒子と、一次粒子が凝集した二次粒子の両方又は混合物の粒子径をいう。無機イオン吸着体の粒子径は、レーザー光による回折の散乱光強度の角度分布から求めた球相当径のモード径(最頻度粒子径)である。
貧溶媒としては、例えば、水や、メタノール、エタノール等のアルコール類、工一テル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類などの有機高分子樹脂を溶解しない液体が用いられるが、水を用いることが好ましい。また、貧溶媒中に有機高分子樹脂の良溶媒を若干添加することにより凝固速度をコントロールすることも可能である。好ましい高分子樹脂の良溶媒と水の混合比はO〜40%であり、0〜30%がより好ましい。混合比が40%を超えると、凝固速度が遅くなるため、液滴等に成形したポリマー溶液が、貧溶媒中への突入する時及び貧溶媒中を移動中に、貧溶媒と成形体の間で摩擦低抗の影響を受けて、形状が歪になる傾向がある。
貧溶媒の温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは−30℃〜90℃、より好ましくはO℃〜90℃、さらに好ましくは0℃〜80℃である。貧溶媒の温度が90℃を超えたり、又は−30℃未満であると、貧溶媒中の成形体の状態が安定しにくい。
次に本発明に用いる多孔性成形体を吸着剤として使用したイオンの処理方法について説明する。
本発明に用いる多孔性成形体は、液体と接触させて水中のイオンを吸着除去する吸着剤として使用するのに適している。多孔性成形体が吸着の対象とするイオンは、下水や産業排水のように雑多なイオンが共存する中から、リンやフッ素などのイオンを除去するのに適している。
具体的には、無機イオン吸着体に水和酸化チタン、水和酸化ジルコニウム、水和酸化スズ、水和酸化セリウム、水和酸化ランタン、水和酸化イットリウム;チタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、ランタン、イットリウムからなる群から選ばれる金属元素と、アルミニウム、珪素、鉄からなる群から選ばれる金属元素との複合金属酸化物;活性アルミナ;硫酸アルミニウム添着活性アルミナ;及び硫酸アルミニウム添着活性炭からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属酸化物を選択するのが好ましい。
多孔性成形体を吸着剤として水処理用途に用いる場合、通常、多孔性成形体は容器内に充填して用いられるが、その容器の形状や多孔性成形体の充填層の形状については、多孔性成形体と処理対象の水が接触できるのであれば特に制限はなく、例えば、円筒状、円柱状、多角柱状、箱型の容器をあげることができる。好ましくは、カラムや吸着塔に充填して、被処理水を通液して接触させる方が、多孔性成形体の特徴である接触効率の高さを充分に引き出せる。
これらの容器には、容器から多孔性成形体が流出しないような固液分離機構、例えば目皿やメッシュ等を備えていることが好ましい。
容器の材質は、特に限定されるものではないが、ステンレス、FRP(ガラス繊維入り強化プラスチック)、ガラス、各種プラスチックが挙げられる。耐酸性を考慮して、内面をゴムやフッ素樹脂ライニングとすることもできる。
多孔性成形体と処理対象水との接触方式についても、多孔性成形体と処理対象の水が接触できるのであれば、特に制限はない。多孔性成形体の充填層を固定床とする場合、円柱状、多角柱状、箱型の多孔性成形体の充填層に上昇流または下降流で通水する方式、または、円筒状の多孔性成形体の充填層に円周方向外側から内筒へ通水する外圧方式、その逆方向に通水する内圧方式、箱型の充填層に水平方向に通水する方式等が例示できる。また、多孔性成形体の充填層を流動床方式としても良い。
本発明のイオン吸着手段は、特に限定されるものではないがメリーゴーランド方式をとることができる。メリーゴーランド方式とは、複数のイオン吸着手段を直列に配置して通水を行い、前段のイオン吸着手段の吸着能力低下すると、そのイオン吸着手段の通水を停止するとともに、後段に位置していたイオン吸着手段を今度は最前段として通水するというように、順次前段から時間差でイオン吸着手段に通水することによって、連続して水質の安定した処理水を得る方式をいう。
本発明のイオン吸着装置及びイオンの処理方法では、後述する脱着操作と活性化操作を、吸着操作を行う同じ現場ですることが一般的である。しかし、現場に十分なスペースが無い、又は、脱着頻度が少ないような場合には、カラムのみを装置から取り外し、別途、新しいカラムと交換することもできる。取り外したカラムは、別途、脱着操作、活性操作の施設の整った工場等で処理を行い、再利用することができる。
本発明の多孔性成形体を吸着剤として水処理用途に用いる場合、その前処理として水中の縣濁物質の除濁手段を設けることが好ましい。あらかじめ水中の縣濁物質を除去することで、多孔性成形体の表面の閉塞を防ぐことができ、本発明の多孔性成形体の吸着性能を十分発揮することができる。好ましい除濁手段としては、凝集沈殿、沈降分離、砂ろ過、膜分離技術が挙げられる。特に、設置面積が少なくて、清澄なろ過水が得られる膜分離技術が好ましい。膜分離技術に使用される好ましい分離膜は、逆浸透膜(RO)、限外ろ過膜(UF)、精密ろ過膜(MF)等が挙げられる。膜の形態は、平膜、中空糸、プリーツ、スパイラル、チューブ等、限定されない。
本発明の吸着工程では、液体のpHを吸着対象とするイオンと該無機イオン吸着体の組み合わせにより好適pHに調整したのち、吸着対象イオンを吸着することが好ましい。
例えば、液体中のリンを吸着対象とし、水和酸化ジルコニウムまたは四三酸化鉄を水和酸化ジルコニウムで覆った構造の無機イオン吸着体を用いた場合のpH調整範囲は、pH1.5〜10の範囲であり、さらに好ましくは、pH2〜7である。
また、液体中のフッ素を吸着対象とし、水和酸化セリウムまたは四三酸化鉄を水和酸化ジルコニウムで覆った構造の無機イオン吸着体を用いた場合のpH調整範囲は、pH1〜7の範囲であり、さらに好ましくは、pH2〜5である。
吸着能力が低下したイオン吸着手段は、吸着剤の逆洗、脱着、活性化等の工程を順次行い、次の吸着工程の順番がくるまで待機している。また、脱着の頻度が少ない場合は、イオン吸着手段を水処理装置から取り外して、新たに吸着能力を持つイオン吸着手段に取り替えることもできる。
本発明に用いる多孔性成形体は、脱着液と接触することで、吸着した陰イオンを脱離させ、次いでこの多孔性成形体を酸性水溶液で処理することにより、再び陰イオンを吸着することができる(再利用)。多孔性成形体を再利用することにより、コストが削減できるばかりでなく、廃棄物が減るという効果がある。特に、本発明に用いる多孔性成形体は、耐久性に優れるため、繰り返し使用に適している。
脱着液は、アルカリ性が好ましく、アルカリ溶液のpHの範囲は、pH10以上であれば陰イオンを脱離させることができるが、好ましくはpH12以上、より好ましくはpH13以上である。アルカリ濃度は、O.1wt%〜30wt%の範囲であり、さらに好ましくは0.5〜20wt%の範囲である。O.1wt%より薄いと脱着効率が低くなり、30wt%より濃いと、アルカリの薬剤コストが増えてしまう傾向にある。
アルカリ性水溶液の通液速度は、特に制限はないが、通常SV0.5〜15(hr−1)の範囲が好ましい。SVO.5より低いと、脱着時間が長時間になり非効率になる傾向があり、SV15より大きいと、多孔性成形体とアルカリ水溶液の接触時間が短くなり、脱着効率が低下する傾向がある。
脱着液の種類は、特に制限はないが、通常、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ、及び有機アミン類などが用いられる。
なかでも、コストの点で水酸化ナトリウムを用いることが特に好ましい。
本発明の晶析手段および晶析工程について説明する。
本発明の晶析工程は、脱着液からイオンを晶析できれば特に制限は無いが、脱着したイオンを溶解している溶液から、溶媒を蒸発させて濃縮したり、あるいは冷却して飽和溶解度よりも濃度を高くして結晶を晶析させる工程、または、晶析薬剤を加えて反応により溶解度の小さな結晶を晶析させる工程、あるいは、晶析核材と接触させて該核材表面にイオンを晶析させる工程等が好ましい。脱着液のアルカリを再利用する際に有利な点、すなわちアルカリが希釈されにくい点で、脱着液を冷却して結晶を晶析させる工程、または、晶析薬剤を加えて結晶を晶析させる工程が更に好ましい。
本発明の晶析手段で、脱着液を冷却する場合は、特に限定されるものではないが、チラーや熱交換機等を用いて冷却することが好ましい。
冷却温度は、脱着したイオンを晶析できる温度であれば特に制限されないが、5〜25℃の範囲が好ましく、5〜10℃の範囲がさらに好ましい。5℃未満では、冷却エネルギーが多く必要で経済的に不利になる傾向があり、10℃より高いと沈殿物を晶析させる効果が低い傾向がある。
さらに、例えばリンを吸着対象とした場合、脱着液中のリン酸ナトリウムの冷却による晶析を効果的に行うために、新たに水酸化ナトリウムを加えて、脱着液中の水酸化ナトリウム濃度を上げることもできる。
本発明の晶析手段で、晶析薬剤を添加する場合も、晶析手段に特に制限は無いが、槽と、ポンプやホッパー等の晶析薬剤を添加する添加手段、それらをつなぐ流路、および、撹拌羽根やポンプ等の撹拌手段を具備していることが好ましい。
晶析薬剤としては、多価金属の水酸化物が挙げられる。多価金属の水酸化物は、金属塩がリン、フッ素といった陰イオンと結合して沈殿物を生成する。また水酸化物が脱着液のアルカリ源となるため、再生液を回収、リサイクルすることによりクローズな系とすることができる。具体的には、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが挙げられる。
特に、コストの点で水酸化カルシウムが好ましい。
晶析薬剤の性状は、粉体、スラリー、液状等特に制限はないが、操作性や反応の均一性を考慮するとスラリー、または液状が好ましい。
例えば、脱着液中にフッ素がフッ化ナトリウムとして存在する場合に、次の反応式にしたがって高濃度のアルカリを回収することができる。
2NaF+Ca(OH)2→2NaOH+CaF2
同様に、リン酸ナトリウムとして存在する場合は、下記反応式にしたがって、アルカリを回収できる。さらに、晶析したリン酸カルシウムは、肥料等に再資源化が可能である。
6Na3PO4+10Ca(OH)2→18NaOH+Ca10(OH)2(PO4)6
多価金属の水酸化物の添加量は、特に制限は無いが対象とするイオンに対して1〜4倍当量である。添加量が等モル以下では、沈殿除去効率が低くなるし、4倍当量を超えると、除去効率はほとんど変わらないので経済的に不利になる傾向がある。
沈殿除去する場合のpHは6以上であることが好ましく、さらにアルカリ水溶液を回収して、再利用することを考慮するとpH12以上、好ましくはpH13以上に保持するのが好ましい。沈殿処理時のpHが6より低いと、沈殿物の溶解度が大きくなり、沈殿効率が低下する。沈殿除去する場合に、金属の水酸化物の他に、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等の無機系凝集剤や、高分子凝集剤を併用することもできる。本発明の、脱着液中の晶析物の固液分離手段は、沈降分離、遠心分離機、フィルタープレス機、ベルトプレス機、スクリュープレス機、膜分離手段等が挙げられるが、膜分離手段が好ましい。
膜分離手段であれば、設置面積が少なくて、清澄なろ過水を得ることができるため、クローズシステムに適している。
膜分離手段に用いられる分離膜としては、特に限定されないが、限外ろ過膜(UF)、精密ろ過膜(MF)、透析膜等が挙げられる。膜の形態も、平膜、中空糸、プリーツ、チューブ状等、限定されない。分離膜としては、ろ過スピードとろ過精度の点で、限外ろ過膜(UF)、精密ろ過膜(MF)が好ましい。ろ過膜の材質も特に限定されるものではないが、ポリスルホン系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、アクリロニトリル系ポリマー、ポリメタクリル酸メチル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、セルロース系ポリマー、エチレンビニルアルコール共重合体系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー等多種類が挙げられる。特に耐酸性と耐アルカリ性に優れる点で、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリスルホン(PS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)が好ましい。
また、前記固液分離手段の中で、複数の固液分離手段を組み合わせて使用することもできる。例えば、予め沈降分離やフィルタープレス機にて大まかな晶析物を取り除き、その後、脱着液を膜分離手段でろ過することもできる。この構成は、膜分離手段への負荷が軽減され透過水量が多くとれる点で好ましい。
本発明の、固液分離手段の洗浄手段及び固液分離工程の洗浄工程について説明する。
晶析物を固液分離する際、固液分離手段は次第に晶析物の付着や堆積により固液分離能力が低下するので、固液分離能力を回復するために洗浄を行う。
洗浄手段とは、固液分離手段に付着する晶析物を洗い取り除くことができる手段をいうが、洗浄液の通液手段及び/又は浸漬手段であることが好ましい。洗浄液通液手段及び浸漬手段を備えると、洗浄効果が高い点で特に好ましい。
洗浄液の通液手段は、固液分離手段に洗浄液を通液することができれば特に制限は無いが、洗浄液槽とポンプおよびそれらをつなぐ流路からなることが好ましい。また、固液分離手段より高い位置に洗浄液槽を設置して、水頭差により洗浄液を通液することもできる。
浸漬手段は、固液分離手段に洗浄液を通液後、固液分離手段内に洗浄液を封入した状態に維持できれば特に制限は無いが、弁等を具備していて、流路を一時的に閉鎖することが好ましく、これにより浸漬状態を維持することができる。浸漬時間の調整は、弁の開閉をタイマー等で制御することができる。他の方法として、固液分離手段の中のろ過膜だけを装置から取り外して、別に用意した洗浄液槽に浸漬することもできる。
固液分離手段に膜分離手段を用いた場合、洗浄液の通液は、ろ過方向とは逆向きに通水する逆洗、及び、膜面に平行に速い線速で通水するフラッシング等がとれる。洗浄効率が高い点で、逆洗が好ましい。もちろん、逆洗とフラッシングを組み合わせて、交互に行ってもよい。逆洗を行う時は、通常のろ過に使用するポンプとは別に逆洗専用のポンプを具備している方が、洗浄効率が高い点で好ましい。
洗浄頻度は、1バッチ分の脱着液をろ過している間、間欠的に行っても良いし、1バッチの脱着液を全てろ過した後、次のバッチをろ過するまでの間に行っても良い。
1バッチ分とは、1回の固液分離操作で処理する脱着液の量を意味する。脱着液の固液分離操作は、吸着剤の脱着操作を行う度に毎回行ってもよいし、複数回分の脱着液を保管しておいて、まとめて固液分離してもよい。
逆洗圧力は、特に限定されるものではないが、ろ過期間中に間欠的に逆洗を行う場合は、平均ろ過圧力の1.1倍〜2倍の範囲が好ましい。1.1倍より低いと洗浄効果が低い傾向があり、2倍を超えるとろ過膜に負荷がかかり寿命を短くする傾向がある。
洗浄液は特に限定されないが、膜透過水や、鉱酸、有機酸等の酸、またはEDTA(エチレンジアミン四酢酸)系等のキレート系洗浄液等が挙げられる。
安価で効果が高い点で鉱酸が好ましく、中でも塩酸、硝酸がより好ましい。
鉱酸のpHは、特に限定されないが、pH5以下が好ましく、更に効果が高い点でpH4以下が好ましい。
洗浄液は、1バッチ分の脱着液をろ過している間に間欠的に逆洗を行う場合は、洗浄液に膜透過水を使用するのが好ましい。洗浄液に酸を使用する場合、酸により回収するアルカリが中和されることを防ぐため、バッチ間に洗浄するのが効率的である。
浸漬時間は、特に限定されないが、洗浄液の種類と濃度、及び、ろ過膜の耐薬品性とを勘案して調整できる。1バッチ分の脱着液を固液分離した後、次の脱着液を固液分離するまでの休止期間中を洗浄液に浸漬するのが、洗浄効果が高く好ましい。
本発明の洗浄工程は、洗浄液の種類と、通液工程と、浸漬工程等の洗浄工程のいかなる組み合わせも選択できる。
洗浄工程として洗浄液の通液工程の後に浸漬工程を備えることが、洗浄効果が高い点でより好ましい。洗浄液の通液工程とは、固液分離手段に洗浄液を通液する工程をいい、洗浄液のろ過、逆洗、フラッシングする工程であればよい。浸漬工程とは、固液分離手段内に洗浄液を封入した状態に維持する工程をいい、例えば、洗浄液を通液後に洗浄液の排出流路を弁等で遮断して浸漬する工程、ろ過膜等の固液分離手段を装置から取り外して別途設けた浸漬槽に浸漬する工程であればよい。例えば、脱着液のろ過期間中は、膜透過水による逆洗を間欠的に行い、1バッチ分のろ過が終了すると、硝酸からなる洗浄液をろ過とは逆方向に膜分離手段に通液して逆洗を行い、次いで洗浄液の排出流路の弁を閉じて、ろ過の休止期間中、膜分離手段を硝酸で浸漬状態に保持することができる。
脱着工程が終了したカラム内の多孔性成形体は、アルカリ性であり、このままでは、再び原水中のイオンを吸着する能力は十分ではない。そこで、酸性水溶液を用いて、カラム内のpHを所定値に戻す操作、すなわち活性化処理を行うことが好ましい。
酸性水溶液は、特に限定されないが、硫酸、塩酸等の水溶液が用いられる。濃度は、O.001〜10wt%程度であればよい。O.001wt%より薄いと、活性化終了までに大量の水ボリュームが必要になり、10wt%より濃いと、酸性水溶液の取り扱い上の危険性等の点で問題が生じるおそれがある。
通液速度は、特に制限はないが、通常SV0.5〜30(hr-1)の範囲が好ましい。SV0.5より低いと、活性化時間が長時間になり非効率になる傾向があり、SV30より大きいと、多孔性成形体と酸性水溶液の接触時間が短くなり、活性化効率が低下する傾向がある。
活性化方法においてさらに好ましい方法は、カラムとpH調整槽の間で活性液を循環させて行うことである。
この構成をとることにより、脱着操作でアルカリ側にシフトしたカラム中の多孔性成形体のpHを、無機イオン吸着体の耐酸性を考慮して、ゆるやかに所定のpHに戻すことができる。
例えば、酸化鉄はpH3以下では酸による溶解が著しいことが知られている。このような酸化鉄を多孔性成形体に担持した場合、従来の活性化方法は、先の鉄の溶解という問題があるため、pH3以上という薄い酸で処理するしか方法がなかった。しかし、この方法では、大量の水ボリュームが必要となるため、経済的に許されるものではなかった。
このような従来技術に対して、本発明で行われる活性化方法は、カラムとpH調整槽を設けて、活性化液を循環するため、酸によって溶解するpH範囲を避けて活性化でき、さらに、活性化に用いる水のボリュームを少なくすることができ、装置をコンパクトにできる。
この時の通液速度は、通常SV1〜200(hr-1)の範囲で選ばれる。さらに好ましくは、SV1O〜100の範囲である。SV1より低いと、活性化時間が長時間になり非効率になる傾向があり、SV200より大きいと、大きなポンプ動カが必要であり非効率になる傾向がある。
この一連の脱着、活性化操作はカラムに吸着剤を充填したまま行うことができる。すなわち、吸着剤を充填したカラムに、吸着操作が終了後、アルカリ性水溶液、酸性水溶液を順番にカラムに通水することにより容易に再生を行うことができる。この場合、通液方向は、上向流、下向流のいずれでもよい。
本発明で用いられる多孔性成形体は、耐薬品性、強度に優れているため、この再生処理を数十回から数百回以上繰り返してもイオンの吸着性能はほとんど低下しない。
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
本発明を実施例に基づいて説明する。
[製造例1]無機イオン吸着体の製造
オキシ塩化ジルコニウム(ZrOC12)のO.15モル水溶液を1リットル調製した。この溶液中にはジルコニウムとして13.7gの金属イオンが含まれていた。この水溶液中に硫酸第一鉄結晶(FeSO4・7H2O)84.Ogを添加し、撹幹しながら溶解した。この量は鉄イオンとしてO.3モルに相当する(F/T(モル比) 0.67)。つぎにこの水溶液に15重量%の水酸化ナトリウム溶液を撹拌しながら液のpHが9になるまで滴下すると青緑色の沈澱が生じた。
次に、この水溶液を50℃に加温しながら10リットル/時の流量で空気を吹き込んだ。空気吹き込みを続けると水溶液のpHが低下するので、この場合は、15重量%の水酸化ナトリウム溶液を滴下してpHを8.5〜9に保持した。吸光光度分析で液相に第一鉄イオンが検出できなくなるまで空気の吹き込みを続けると黒色の沈澱が生成した。次に、この黒色沈澱物を吸引濾別し、脱イオン水で濾液が中性となるまで洗浄した後、70℃以下で乾燥した。これをボールミルで7時間粉砕し、平均粒径2.8μmの無機イオン吸着体粉末を得た。この粉末のBET比表面積は、170 m2/gであった。
得られた無機イオン吸着体粉末の構造は、X線回折分析および元素分析装置を装着した透過型電子顕微鏡による観察、分析の結果より、鉄の酸化物(ジルコニウムが固溶している可能性有り)の廻りを、水和酸化ジルコニウム(鉄が固溶している可能性あり)が、覆った構造であると判断された。
[製造例2]多孔性成形体の製造
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH、日本合成化学工業(株)、ソアノールE3803(商品名))10g、ポリビニルピロリドン(PVP、BASFジャパン(株)、Luvitec K30 Powder(商品名))10g、ジメチルスルホキシド(DMSO、関東化学(株))80gを、セパラフラスコ中にて、60℃に加温して溶解し、均一なポリマー溶液を得た。このポリマー溶液100gに対し、製造例1で作った無機イオン吸着体粉末92gを加え、よく混合してスラリーを得た。
得られた複合高分子スラリーを40℃に加温し、側面に直径5mmのノズルを開けた円筒状回転容器の内部に供給し、この容器を回転させ、遠心力(15G)によりノズルから液滴を形成し、60℃の水からなる凝固浴槽中に吐出させ、複合高分子スラリーを凝固させた。さらに、洗浄、分級を行い、平均粒径623μmの球状成形体を得た。
[実施例1]
本発明のイオン処理装置の実施例を図1に示す。
図1において、まず吸着工程について説明する。
食品工場の排水処理設備において、活性汚泥、沈降処理を行った処理水を、原水供給路 1を介して原水貯槽2に一時貯留される。
原水の水質は、濁度は最高20、最低3、平均5.1で推移した。リン酸イオン濃度3mg-P/リットルでほぼ安定して推移した。
次に流路3及びポンプ4を用いて除濁手段5(旭化成ケミカルズ(株)杜製、精密ろ過膜、公称孔径O.1μm)でろ過して、pH調整槽8に貯留した。
除濁後の水質は、濁度<0.1と濁質が除去され、リン酸イオン濃度に変化はなかった。
pH調整槽8では、pH調整剤添加機構9を用いて、硫酸を添加してpH3に調整した。
pH調整された原水は、流路10、ポンプ11を介してカラム12に送液した。カラム12には、製造例2の多孔性成形体を2L充填して、20リットル/hr(SV1O)で通水した。
リン酸イオンが吸着され浄化された排水は、流路13を介して、処理水槽14に一時貯留され、pH調整剤添加機構15により、水酸化ナトリウムを用いて中和後に放流した。
処理水のリン酸イオン濃度はO.1mg-P/リットル以下であった。
次に、吸着剤の逆洗工程について説明する。
処理水のリン酸イオン濃度が、0.5mg-P/リットルを超えた時点で、弁c及び弁hを閉じて、原水の送液を止めた。次に、弁g及び弁bを開け、処理水槽14の処理水を流路16、ポンプ17を介して、カラム12の下方から、60リットル/hr(SV30)で送液して、カラム12内の多孔性成形体を展開して洗浄した。吸着剤の洗浄液は、流路18を介してpH調整槽8に戻した。
次に、脱着工程について説明する。
脱着液槽19に貯槽した5wt%の水酸化ナトリウム水溶液を、流路20、ポンプ21を介して、2リットル/hr(SV1)で6時間、カラム12に送液して、吸着剤と接触して、吸着したリン酸イオンを水酸化ナトリウム水溶液中に溶離して、流路22を介して、晶析槽23に貯留した。
この時の、晶析槽23中のリン酸イオン濃度は、570mg-P/リットルであった。
続いて、晶析工程について説明する。
晶析槽23に貯留されたリン酸ナトリウム水溶液に、晶析薬剤槽24に貯留した水酸化カルシウムスラリーを水酸化カルシウム換算で3g/リットル、流路25、ポンプ26を介して、晶析槽23に注入し、撹拌機27を用いて20時間撹拌して、リン酸カルシウムの結晶生成させる晶析反応を行った。
次に、固液分離工程および洗浄工程について説明する。
晶析反応終了後、晶析したリン酸カルシウムを含む白濁した液を、流路28、ポンプ29を介して膜分離装置30(旭化成ケミカルズ(株)杜製、限外ろ過膜、SIP-1013、公称分画分子量6、000)に送液して、平均ろ過圧0.1Mpaで固液分離した。この時、5分間ろ過した後、10秒間の逆洗を間欠的に行った。この時の逆洗には、膜透過水を用いた。すなわち、膜透過水を脱着液槽19から流路42を介して、逆洗ポンプ43、流路44を介して、膜分離装置30に送液して、膜面をろ過とは逆方向に透過した液は、流路31を介して晶析槽23に戻した。
この固液分離工程の平均膜透過水量を下記式から算出すると、0.4L/minであった。
平均膜透過水量(L/min)=透過水量(L)/ろ過時間(min)
固液分離後の水酸化ナトリウム水溶液は、リン酸イオン濃度10mg-P/リツトル、カルシウムイオン濃度1mg-Ca/リットルであった。
固液分離されて濃縮したリン酸カルシウムスラリーは、流路31を介して晶析槽23に循環する。晶析槽23に濃縮されたリン酸カルシウムスラリーは、弁iから排出した。
次に、固液分離装置の洗浄工程について説明する。
固液分離工程が終了した膜分離装置30について、酸による逆洗、および酸による浸漬を行った。
すなわち、洗浄液槽45に充填した6wt%硝酸の洗浄液を、流路46、逆洗ポンプ43、流路44を介して膜分離装置30に送液して、ろ過膜の透過水側及びろ過膜の肉厚部、更にろ過膜の原水側に通液および充填し、一部を流路47を介して廃洗浄液槽48に排出した。このとき廃洗浄液槽48内の廃洗浄液のpHは1以下であった。次いで、弁jを閉じて、このまま次の固液分離工程が始まるまでの間、膜分離装置30内の洗浄液浸漬状態を保持した。
次に、活性化工程について説明する。
pH調整槽33に硫酸でpH3に調整した活性化溶液を10リットル用意した。流路34、ポンプ35を介してカラム12に120リットル/hr(SV60)で送液して、カラム内の多孔性成形体と接触して流路36を介してpH調整槽33に循環させた。活性化液は、カラム12で多孔性成形体と接触してアルカリ性となるので、pH調整槽33内に設置したpHコントローラー37と連動したポンプ40を用いて、活性化液貯留槽38に貯留した50wt%の硫酸水溶液を、流路39を介して、pH貯留槽33に送液してpH3〜5の範囲でコントロールした。この操作を9時間繰り返して、カラム12内のpHを5に安定化した。pHコントロールの精度を高めるために、撹拌機41を用いて、活性化液を撹拌した。
以上の、吸着工程、吸着剤の逆洗工程、脱着工程、晶析工程、固液分離工程、固液分離装置の洗浄工程、活性化工程を順次10回繰り返しても、吸着量及び、膜分離装置30の平均膜透過水量に変化はみられなかった。
〔比較例1〕
固液分離装置の洗浄工程を行わない事以外は同様の方法で実施例1を実施したところ、1バッチ目(洗浄工程を行わなくなって最初)の膜分離装置の平均膜透過水量は、0.2L/minに低下し、洗浄工程を行う場合に対して約半分に平均膜透過水量が減少した。透過水量の減少傾向はサイクルを繰り返す度に悪くなり、システム全体を安定に運転することができなかった。
このように、本発明のイオン処理装置及び方法は、例えばリンを低濃度に処理可能で、膜分離装置を酸で洗浄することにより、繰り返しサイクル運転が安定にできることがわかった。
高価なアルカリを再利用できるので、低コストでリンを除去することができる。
本発明のイオン処理装置および方法は、有機性廃水、および、リンを含む工業廃水の処理の分野で好適に利用できる。
本発明のイオン処理装置の模式図。
符号の説明
1:原水供給路
2:原水貯槽
3:流路
4:ポンプ
5:除濁手段
6:流路
7:循環路
8:pH調整槽
9:pH調整剤添加装置
10:流路
11:ポンプ
12:カラム
13:流路
14:処理水槽
15:pH調整剤添加機構
16:流路
17:ポンプ
18:流路
19:脱着液槽
20:流路
21:ポンプ
22:流路
23:晶析槽
24:晶析薬剤槽
25:流路
26:ポンプ
27:攪拌機
28:流路
29:ポンプ
30:膜分離装置
31:流路
32:流路
33:pH調整槽
34:流路
35:ポンプ
36:流路
37:pHコントローラー
38:活性化液貯槽
39:流路
40:ポンプ
41:撹拌機
42:流路
43:逆洗ポンプ
44:流路
45:洗浄液槽
46:流路
47:流路
48:廃洗浄液槽
a、b、c、d、e、f、g、h、i、j:弁

Claims (10)

  1. 少なくとも、吸着剤が充填されたイオン吸着手段、該吸着剤と接触した脱着液から脱着したイオンを晶析する晶析手段、晶析物の固液分離手段、及び前記固液分離手段の洗浄手段を有することを特徴とするイオン処理装置。
  2. 固液分離手段が、膜分離手段であることを特徴とする請求項1記載のイオン処理装置。
  3. 洗浄手段が洗浄液の通液手段及び/又は浸漬手段であることを特徴とする請求項1に記載のイオン処理装置。
  4. 洗浄液が酸であることを特徴とする請求項3記載のイオン処理装置。
  5. 少なくとも、吸着剤が充填されたイオン吸着工程、および該吸着剤と接触した脱着液から脱着したイオンを晶析する晶析工程、晶析物の固液分離工程、及び固液分離工程の洗浄工程を有することを特徴とするイオン処理方法。
  6. 固液分離工程が、膜分離工程であることを特徴とする請求項5記載のイオン処理方法。
  7. 洗浄工程が洗浄液の通液工程又は浸漬工程であることを特徴とする請求項5記載のイオン処理方法。
  8. 洗浄工程として洗浄液の通液工程の後に浸漬工程を備えることを特徴とする請求項5記載のイオン処理方法。
  9. 通液工程が、逆洗であることを特徴とする請求項7又は8記載のイオン処理方法。
  10. 洗浄液が、酸であることを特徴とする請求項7又は8記載のイオン処理方法。
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