JP5061890B2 - 電子機器筐体 - Google Patents

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Description

本発明は、パーソナルコンピュータや携帯電話機等の電子機器における電子機器筐体に関する。
パーソナルコンピュータや携帯電話機等の電子機器の分野では、軽量で剛性が高く形状が複雑な電子機器筐体を容易に得ることができる技術の一例として、従来、複数の構成部品を接着によって組み合わせて電子機器筐体を得るという技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特に、このような技術で得られる電子機器筐体の中でも、剛性が高い軽量金属製の部品と、複雑な形状が容易に実現できる樹脂製の部品とが接着によって組み合わされた電子機器筐体は、携帯性や装飾性に優れていることから注目を集めている。
ところで、近年、環境に対する配慮の観点から、電子機器の分野でもリサイクルを行うことが強く求められている(例えば、特許文献2参照)。このようなリサイクルでは、材料の種類毎に分別しなければならず、上記のような金属製の部品と樹脂製の部品とで構成された電子機器筐体のリサイクルを行う際には、これら2種類の構成部品を互いに分離する必要がある。
そこで、このような電子機器筐体のリサイクル時における構成部品の分離を容易にするために、構成部品どうしの接着に、熱が加えられると発泡する発泡剤が混ぜられた接着性樹脂を用いるという技術が提案されている(例えば、特許文献3〜5参照)。この技術によれば、リサイクル時に電子機器筐体を加熱することにより上記の接着性樹脂中の発泡剤を発泡させ、その接着性樹脂の接着力を弱めることで、構成部品どうしを簡単に分離することができるようになる。しかしながら、このような発泡剤の発泡程度では接着力の弱め方が不十分で、電子機器筐体のリサイクル時の分離が困難な場合がある。そこで、電子機器筐体における構成部品どうしの接着に、熱が加えられると著しく膨張する熱膨張性のマイクロカプセルが分散した接着性樹脂を用いるという技術が提案されている(例えば、特許文献6〜8参照)。この熱膨張性のマイクロカプセルは、有機材料の殻の中に有機溶剤が封入されたもので、加熱によって有機材料の軟化と有機溶剤の気化が引き起こされることで著しく膨張する性質を有している。このマイクロカプセルが分散した接着性樹脂を用いるという技術によれば、加熱時に起こるマイクロカプセルの著しい膨張により、構成部品どうしの分離に十分な程度に接着性樹脂の接着力を弱めることができる。
特許第3762313号公報 特開平7−307536号公報 特開平7−7275号公報 特開平10−119169号公報 特開平6−334337号公報 特許第3941448号公報 特開2000−351974号公報 特許第3650546号公報
ここで、電子機器筐体が使われる電子機器の種類等によっては、電子機器筐体に高い耐熱性が求められることがある。しかしながら、上記のマイクロカプセルが分散した接着性樹脂を用いるという技術では、上記の有機材料や有機溶剤の選定等によってマイクロカプセルが膨張する温度を高めることが困難であることから、電子機器筐体において十分な耐熱性が得られないおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑み、十分な耐熱性を持ちつつも、リサイクル時における構成部品の分離が容易な電子機器筐体を提供することを目的とする。
上記目的を達成する電子機器筐体の基本形態は、
所定の第1部品と、
上記第1部品とは異なる第2部品と、
上記第1部品と上記第2部品を互いに接着した接着性樹脂とを備え、
上記接着性樹脂は、有機材料で形成された殻の内部に温度上昇により膨張する有機溶剤が封入され、その殻がさらに、その有機溶剤の膨張を高温側に遷移させる被覆体で被覆されたマイクロカプセルが分散してなるものであることを特徴とする。
この基本形態によれば、上記接着性樹脂に分散しているマイクロカプセルにおいて上記殻が上記被覆体によって被覆されている。その結果、上記マイクロカプセルは、上記有機材料の軟化と上記有機溶剤の気化によって生ずる内圧に上記被覆体が耐えられなくなるまで膨張が抑えられることとなるので、上記マイクロカプセルの膨張が高温側に遷移されることになる。一方で、リサイクル時には、上記の被覆体の耐力を超えた内圧が発生するまで加熱することによって確実にマイクロカプセルを膨張させることができる。つまり、この基本形態によれば、十分な耐熱性と、リサイクル時における構成部品の分離についての十分な容易性を得ることができる。
また、上記基本形態に対し、
「上記被覆体は、上記有機材料が軟化を始める第1の温度と上記有機溶剤が気化を始める第2の温度との両方よりも高い第3の温度を上記マイクロカプセルの温度が超えるまではその有機溶剤の気化に伴うそのマイクロカプセルの内圧に耐え、その第3の温度をそのマイクロカプセルの温度が超えるとその内圧によって割れる厚みを有するものである」という応用形態は好適である。
この好適な応用形態によれば、上記マイクロカプセルの膨張を確実に高温側に遷移させることができる。
また、上記基本形態に対し、
「上記被覆体は、0.01μm以上10μm以下の厚みを有するものである」という応用形態も好適である。
この応用形態は、上記の好適な応用形態の具体的な一形態であり、上記マイクロカプセルの膨張を確実に高温側に遷移させることができる。
また、上記基本形態に対し、
「上記殻は、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、およびメタクリル酸エステルからなる群の中から選択されたいずれか1つ以上を含む熱可塑性樹脂で形成されたものである」という応用形態も好適である。
この好適な応用形態によれば、上記マイクロカプセルが加熱されたときに、上記殻を良好に軟化させることができる。
また、上記基本形態に対し、
「上記有機溶剤は、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、およびブタンからなる群の中から選択されたいずれか1つ以上を含む有機溶剤である」という応用形態も好適である。
この好適な応用形態によれば、上記マイクロカプセルが加熱されたときに、上記殻の内部で気化を良好に発生させることができる。
また、上記基本形態に対し、
「上記被覆体は、金、銀、アルミニウム、銅、ニッケル、鉛、半田、錫、二酸化珪素、酸化ジルコニウム、および酸化アルミニウムからなる群の中から選択されたいずれか1つ以上を含む物質で形成されたものである」という応用形態も好適である。
この好適な応用形態によれば、上記被覆体に、上述した内圧に耐え得る良好な耐力を持たせることができる。また、上記被覆体は、上記マイクロカプセルを構成する殻の表面に、上記物質を、メッキ法、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、浸漬法、光硬化法等の方法によって付着することで簡単に形成することができる。
また、上記の基本形態に対し、
「上記被覆体は、フェノール樹脂とエポキシ樹脂との一方または両方を含む熱硬化性樹脂で形成されたものである」という応用形態も好適である。
この好適な応用形態によっても、上記被覆体に、上述した内圧に耐え得る良好な耐力を持たせることができる。
また、上記の基本形態に対し、
「上記接着性樹脂は、ニトリルゴムとクロロプレンゴムとの一方または両方を含むゴム系接着剤に上記マイクロカプセルが分散してなるものである」という応用形態も好適である。
この好適な応用形態によれば、上記接着性樹脂を、適切な加熱によって軟化させることができるので、上記マイクロカプセルの膨張と相俟って、リサイクル時における構成部品の分離について、一層の容易性を得ることができる。
また、上記の基本形態に対し、
「上記第1部品が、金属製の板状の部品であって、
上記第2部品は、上記接着性樹脂が未硬化状態で塗布された上記第1部品が内部に配置された金型に溶融状態の樹脂を流し込み硬化させることで、その第1部品にその接着性樹脂で接着された状態で成形された樹脂製の部品である」という応用形態も好適である。
この好適な応用形態によれば、上記第1部品において高い剛性を得て、上記第2部品において複雑な形状を得ることができる。
以上、説明したように、電子機器筐体の基本形態によれば、十分な耐熱性と、リサイクル時における構成部品の分離についての十分な容易性を得ることができる。
基本形態および応用形態について上記に説明した電子機器筐体に対する具体的な実施形態を、以下図面を参照して説明する。
図1は、電子機器筐体の具体的な実施形態を示す図である。
この図1には、板状の第1部品110と、不図示の回路基板等を固定するためのボスやリブ等が設けられた複雑な形状を有する第2部品120とで構成された電子機器筐体100が示されている。この電子機器筐体100において、両部品110,120は、この電子機器筐体100の製造時に第1部品110に未硬化状態で塗布された接着性樹脂130によって互いに接着されている。
第1部品110は、軽量で高い剛性を有するマグネシウム合金で形成されており、第2部品120は、ポリカーボネイト(PC)樹脂にガラス繊維を20パーセントの割合で分散させた繊維強化樹脂で形成されている。第1部品110および第2部品120は、それぞれ上述の基本形態における第1部品および第2部品の各一例に相当する。
また、両者を互いに接着している接着性樹脂130は、ニトリルゴムのゴム系接着剤に後述のマイクロカプセルが10%の割合で分散してなるものであって上述の基本形態における接着性樹脂の一例に相当する。尚、基本形態における接着性樹脂は、このニトリルゴムのゴム系接着剤にマイクロカプセルが分散してなるものに限るものではなく、例えば、クロロプレンゴムのゴム系接着剤にマイクロカプセルが分散してなるものであっても良く、あるいは、ニトリルゴムとクロロプレンゴムとの両方からなるゴム系接着剤にマイクロカプセルが分散してなるものであっても良い。さらに、基本形態における接着性樹脂は、例えば、ニトリルゴムとクロロプレンゴムとの一方と、これらのゴム以外の他のゴムとからなるゴム系接着剤にマイクロカプセルが分散してなるものであっても良く、あるいは、ニトリルゴムとクロロプレンゴムとの両方と他のゴムとからなるゴム系接着剤にマイクロカプセルが分散してなるものであっても良い。
ここで、本実施形態では、この電子機器筐体100が、金属部品が内部に配置された金型内に溶融状態の樹脂を注いで硬化させることで、金属部品と樹脂部品とが一体となった製品を得るいわゆるインサート成形によって作られる。このインサート成形は、軽量で剛性が高い金属部品と、複雑な形状を有する樹脂部品とが一体となった製品を簡単に得ることができる方法であり、一般的に軽量さと高い剛性が要求されるとともに形状が複雑なことが多い電子機器筐体を簡単に得る方法として使われている。
図2は、図1に示す電子機器筐体を得るためのインサート成形の手順を模式的に示す図である。
まず、上記の第1部品110が用意され、この第1部品110表面のうち、第2部品120と組み合わさる部分に未硬化状態の接着性樹脂130が塗布される(ステップS101)。
次に、ステップS102において、型部分210と台座部分220とからなる金型200が用意される。型部分210には、上記の第2部品120に対応した形状の窪み211と、溶融状態の樹脂材料の注ぎ口を有し上記の窪み211にその樹脂材料を導く通路212とが設けられている。また、台座部分220は、上記の第1部品110が載置される台である。ステップS102では、まず、台座部分220上の所定の位置に、第1部品110が、接着性樹脂130の塗布面を台座部分220とは反対側に向けて載置され、この第1部品110に上記の窪み211が被さるように、型部分210が台座部分220に取り付けられる。ここで、第1部品110に塗布された接着性樹脂130は、この第1部品110が台座部分220に載置される時点で未硬化状態であっても良く、あるいは、その時点で既に硬化状態にあっても良い。
このステップS102では、第1部品110の金型200内への配置に続いて、射出成形機300によって、溶融状態の繊維強化樹脂が、上記の通路212における樹脂材料の注ぎ口に注ぎ込まれる。もし、第1部品110が台座部分220に載置される時点で上記の接着性樹脂130が硬化状態であった場合には、この溶融状態の繊維強化樹脂が持つ熱によって接着性樹脂130が溶融して接着性が復活することとなる。
ステップS102において金型200に樹脂材料が注がれ、所定時間をかけて樹脂材料の硬化が行われる。その結果、金型200内で、第1部品110に上記の接着性樹脂130で接着された状態で第2部品211が形成される。そして、その後に、金型200が外されると、軽量で高い剛性を有する第1部品110と複雑な形状を有する第2部品とが一体となった電子機器筐体100が得られる(ステップS103)。
ところで、この電子機器筐体100は、リサイクルされることを前提としている。一般的に、リサイクルでは材料の種類毎に分別しなければならず、金属部品と樹脂部品とは、リサイクル時に互いに分離する必要がある。そこで、本実施形態では、このリサイクル時に、金属部品である第1部品110と樹脂部品である第2部品120とを互いに簡単に分離できるように、接着性樹脂130に以下に説明するマイクロカプセルが分散している。
図3は、図1や図2に示す接着性樹脂に分散したマイクロカプセルの1つを示す断面図である。
この図3に示すマイクロカプセル140は、熱可塑性の有機材料であるアクリロニトリルからなる殻141の内部に、温度上昇により気化して膨張する有機溶剤であるブタンが気化剤142として封入された球体であって、さらに、殻141が、厚さが0.01μmのニッケルの薄膜である被覆体143によって被覆されたものである。ここで、本実施形態では、マイクロカプセル140における、被覆体143を除いた球体は粒径が約10μmとなっており、加熱によってアクリロニトリル製の殻141が軟化するとともに気化剤142としてのブタンが気化すると、体積が5倍から250倍程度にまで膨張するという熱膨張性を有している。そして、被覆体143は、この熱膨張性を有する粒径約10μmの球体の表面に、蒸着法でニッケルが付着されることによって形成されたものである。このマイクロカプセル140は、上述の基本形態におけるマイクロカプセルの一例に相当し、殻141は、その基本形態における殻の一例に相当し、気化剤142は、その基本形態における有機溶剤の一例に相当し、被覆体143は、その基本形態における被覆体の一例に相当する。
尚、上述した基本形態における殻は、アクリロニトリルの殻141に限るものではなく、塩化ビニリデン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、および上記のアクリロニトリルからなる群の中から選択された1つの熱可塑性樹脂で形成されたものであっても良く、あるいは、その群の中から選択された2つ以上の熱可塑性樹脂で形成されたものであっても良い。さらに、基本形態における殻は、上記の群の中から選択された1つの熱可塑性樹脂と、その群に属する熱可塑性樹脂以外の他の熱可塑性樹脂とで形成されたものであっても良く、あるいは、その群の中から選択された2つ以上の熱可塑性樹脂と他の熱可塑性樹脂とで形成されたものであっても良い。
また、上述した基本形態における有機溶剤は、気化剤142としてのブタンに限るものではなく、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、および上記のブタンからなる群の中から選択された1つの有機溶剤であっても良く、あるいは、その群の中から選択された2つ以上の有機溶剤が混合されたものであっても良い。さらに、基本形態における有機溶剤は、上記の群の中から選択された1つの有機溶剤と、その群に属する有機溶剤以外の他の有機溶剤とが混合されたものであっても良く、あるいは、その群の中から選択された2つ以上の有機溶剤と他の有機溶剤とが混合されたものであっても良い。
また、上述した基本形態における被覆体は、蒸着法によって形成されたニッケル製の薄膜に限るものではない。基本形態における被覆体は、金、銀、アルミニウム、銅、鉛、半田、錫、二酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、および上記のニッケルからなる群の中から選択された1つの物質で形成されたものであっても良く、あるいは、その群の中から選択された2つ以上の物質で形成されたものであっても良い。さらに、基本形態における被覆体は、上記の群の中から選択された1つの物質と、その群に属する物質以外の他の物質とで形成されたものであっても良く、あるいは、その群の中から選択された2つ以上の物質と他の物質とで形成されたものであっても良い。また、基本形態における被覆体は、そのような物資を使って、メッキ法、スパッタリング法、印刷法、浸漬法、光硬化法、および上記の蒸着法からなる群の中から選択された1つの形成方法で形成されたものであっても良い。
さらに、上述した基本形態における被覆体は、上記の物質で形成された被覆体に限るものでもなく、基本形態における被覆体は、次のような熱硬化性樹脂で形成されたものであっても良い。即ち、基本形態における被覆体は、フェノール樹脂とエポキシ樹脂との一方の熱硬化性樹脂で形成されたものであっても良く、あるいは、フェノール樹脂とエポキシ樹脂との両方の熱硬化性樹脂で形成されたものであっても良い。さらに、基本形態における被覆体は、フェノール樹脂とエポキシ樹脂との一方の熱硬化性樹脂と、これらの熱硬化性樹脂以外の他の熱硬化性樹脂とで形成されたものであっても良く、あるいは、フェノール樹脂とエポキシ樹脂との両方の熱硬化性樹脂と他の熱硬化性樹脂とで形成されたものであっても良い。
図3に示すマイクロカプセル140の温度が、アクリロニトリル製の殻141が軟化を始める温度と気化剤142としてのブタンが気化を始める温度との両方を超えると、ブタンの気化による内圧がマイクロカプセル140内に発生する。しかし、本実施形態では、殻141を覆うニッケル製の被覆体143によってマイクロカプセル140の膨張が抑えられる。そして、マイクロカプセル140の温度がさらに上昇し、マイクロカプセル140の内圧に被覆体143が耐えられなくなると、被覆体143が割れて、マイクロカプセル140が膨張を始めることとなる。このように、本実施形態では、ニッケル製の被覆体143によって、マイクロカプセル140の膨張が、このような被覆体で覆われていないマイクロカプセルに比べて高温側に遷移している。
ここで、本実施形態では、上記のように被覆体143の厚みが0.01μmとなっている。上述した基本形態における被覆体の厚みはこの値に限るものではないが、被覆体の厚みは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。その理由は、被覆体143の厚みが0.01μm未満では、マイクロカプセル140に内圧が生じると被覆体143がすぐに割れてしまうので、マイクロカプセル140が膨張を始める温度を十分に遷移させることができず、被覆体143の厚みが10μmを超えると被覆体143が丈夫過ぎてマイクロカプセル140の膨張自体が困難となってしまうからである。
本実施形態では、このような被覆体143を有するマイクロカプセル140が接着性樹脂130中に分散している。そして、上述のリサイクル時に、図1の電子機器筐体100を、接着性樹脂130内のマイクロカプセル140の温度が上記の内圧に被覆体143が耐えられなくなる温度を超えるようになるまで加熱すると、接着性樹脂130に分散したマイクロカプセル140が膨張する。また、この加熱によって、接着性樹脂130をなすゴム系接着剤が軟化するので、このゴム系接着剤の軟化とマイクロカプセル140の膨張とが相俟って、接着性樹脂130の接着強度が大幅に弱められて上記の第1部品110と第2部品120との分離が容易になる。さらに、本実施形態では、上述したように、被覆体143によって、マイクロカプセル140の膨張が高温側に遷移している。このことは、接着性樹脂130の接着強度が、この遷移した高温まで保たれることを意味する。
図4は、被覆体で覆われたマイクロカプセルが分散した接着性樹脂について、硬化後に加熱したときの体積膨張率の温度変化を示すグラフである。
この図4のグラフGには、本実施形態における接着性樹脂130と同様に、ニッケル製で厚みが0.01μmの被覆体で粒径約10μmの球体が覆われた第1のマイクロカプセルが10パーセントの割合で分散した、ニトリルゴムを主成分とするゴム系接着剤について、硬化後に加熱したときの体積膨張率の温度変化が、白抜きの丸印を結ぶ第1のラインL1で示されている。
また、このグラフGには、上述の熱硬化性樹脂の一例であるエポキシ樹脂からなる厚さが0.5μmの被覆体を有する第2のマイクロカプセルが10パーセントの割合で分散したゴム系接着剤について、硬化後に加熱したときの体積膨張率の温度変化が、白抜きの三角印を結ぶ第2のラインL2で示されている。尚、この図4の例では、第2のマイクロカプセルが有する殻や気化剤は、上記の第1のマイクロカプセルと同じである。
さらに、このグラフGには、上記の2例に対する比較のために、本実施形態におけるマイクロカプセル140が有する殻141や気化剤142と同じ殻と気化剤とで構成された粒径約10μmのマイクロカプセルであって被覆無しの単なるマイクロカプセルが10パーセントの割合で分散したゴム系接着剤について、硬化後に加熱したときの体積膨張率の温度変化が、黒の菱形印を結ぶ第3のラインL3で示されている。
この図4のグラフGから分かるように、被覆無しの単なるマイクロカプセルが分散したゴム系接着剤では、第3のラインL3が示す体積膨張率の上昇がおよそ150℃で25パーセントを超え接着強度が著しく低下している。
これに対し、本実施形態に対応する第1のマイクロカプセルが分散したゴム系接着剤では、第1のラインL1が示す体積膨張率の上昇はおよそ150℃で5パーセント未満であり、十分な接着強度を保持している。また、第2のマイクロカプセルが分散したゴム系接着剤では、第2のラインL2が示す体積膨張率の上昇はおよそ150℃で10パーセント程度となっており、第1のマイクロカプセルが分散したゴム系接着剤に比べれば若干低いものの、やはり十分な接着強度を保持している。これらマイクロカプセルが分散したゴム系接着剤の体積膨張率の上昇が20パーセントを超え、接着対象物の分離が容易になるのはおよそ160℃に達してからである。このことから、これらマイクロカプセルが分散したゴム系接着剤の耐熱性が、被覆無しの単なるマイクロカプセルが分散したゴム系接着剤の耐熱性を約10℃上回っていることが分かる。
図1から図3を参照して説明した本実施形態の電子機器筐体100では、接着性樹脂130が、図4の例における第1のマイクロカプセルが分散したゴム系接着剤と同等な高い耐熱性を有しており、その結果、この電子機器筐体100自体も高い耐熱性を有することとなっている。そして、リサイクル時には、電子機器筐体100を、接着性樹脂130の耐熱性を超える温度で加熱することによりその接着性樹脂130の接着強度を低下させて、金属製の第1部品110と樹脂製の第2部品120とを互いに簡単に分離することができる。このように、本実施形態の電子機器筐体100では、十分な耐熱性と、リサイクル時における構成部品の分離についての十分な容易性が実現されている。
尚、上記では、上述の基本形態における第1の部品の一例として、マグネシウム合金製の第1の部品110を例示したが、この基本形態における第1の部品はこれに限るものではなく、この第1の部品は、例えば、アルミニウム合金やニッケル合金や亜鉛合金等といったマグネシウム合金以外の金属で形成された部品であっても良く、また、炭素繊維で編まれた布に樹脂を含浸させてなる板状の繊維強化樹脂等の、金属以外の物質で形成された部品であっても良い。
また、上記では、上述の基本形態における第1の部品の一例として、板状の第1の部品110を例示したが、この基本形態における第1の部品はこれに限るものではなく、この第1の部品は、例えば、ダイカスト成形やチクソモールド成形等の成形方法で作られた、板状以外の複雑な形状の部品であっても良い。
また、上記では、上述の基本形態における第2の部品の一例として、ポリカーボネイト(PC)樹脂にガラス繊維を分散させた繊維強化樹脂で形成された第2部品120を例示したが、この基本形態における第2の部品はこれに限るものではなく、この第2の部品は、例えば、ポリカーボネイト(PC)樹脂に炭素繊維を分散させた繊維強化樹脂で形成されたものであっても良く、ガラス繊維や炭素繊維をポリアミド(PA)樹脂に分散させた繊維強化樹脂で形成されたものであっても良い。
以下、上述した基本形態および応用形態を含む種々の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
所定の第1部品と、
前記第1部品とは異なる第2部品と、
前記第1部品と前記第2部品を互いに接着した接着性樹脂とを備え、
前記接着性樹脂は、有機材料で形成された殻の内部に温度上昇により膨張する有機溶剤が封入され、該殻がさらに、該有機溶剤の膨張を高温側に遷移させる被覆体で被覆されたマイクロカプセルが分散してなるものであることを特徴とする電子機器筐体。
(付記2)
前記被覆体は、前記有機材料が軟化を始める第1の温度と前記有機溶剤が気化を始める第2の温度との両方よりも高い第3の温度を前記マイクロカプセルの温度が超えるまでは該有機溶剤の気化に伴う該マイクロカプセルの内圧に耐え、該第3の温度を該マイクロカプセルの温度が超えると該内圧によって割れる厚みを有するものであることを特徴とする付記1記載の電子機器筐体。
(付記3)
前記被覆体は、0.01μm以上10μm以下の厚みを有するものであることを特徴とする付記1又は2記載の電子機器筐体。
(付記4)
前記殻は、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、およびメタクリル酸エステルからなる群の中から選択されたいずれか1つ以上を含む熱可塑性樹脂で形成されたものであることを特徴とする付記1から3のうちいずれか1項記載の電子機器筐体。
(付記5)
前記有機溶剤は、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、およびブタンからなる群の中から選択されたいずれか1つ以上を含む有機溶剤であることを特徴とする付記1から4のうちいずれか1項記載の電子機器筐体。
(付記6)
前記被覆体は、金、銀、アルミニウム、銅、ニッケル、鉛、半田、錫、二酸化珪素、酸化ジルコニウム、および酸化アルミニウムからなる群の中から選択されたいずれか1つ以上を含む物質で形成されたものであることを特徴とする付記1から5のうちいずれか1項記載の電子機器筐体。
(付記7)
前記被覆体は、フェノール樹脂とエポキシ樹脂との一方または両方を含む熱硬化性樹脂で形成されたものであることを特徴とする付記1から5のうちいずれか1項記載の電子機器筐体。
(付記8)
前記接着性樹脂は、ニトリルゴムとクロロプレンゴムとの一方または両方を含むゴム系接着剤に前記マイクロカプセルが分散してなるものであることを特徴とする付記1から7のうちいずれか1項記載の電子機器筐体。
(付記9)
前記第1部品が、金属製の板状の部品であって、
前記第2部品は、前記接着性樹脂が未硬化状態で塗布された前記第1部品が内部に配置された金型に溶融状態の樹脂を流し込み硬化させることで、該第1部品に該接着性樹脂で接着された状態で成形された樹脂製の部品であることを特徴とする付記1から8のうちいずれか1項記載の電子機器筐体。
電子機器筐体の具体的な実施形態を示す図である。 図1に示す電子機器筐体を得るためのインサート成形の手順を模式的に示す図である。 図1や図2に示す接着性樹脂に分散したマイクロカプセルの1つを示す断面図である。 被覆体で覆われたマイクロカプセルが分散した接着性樹脂について、硬化後に加熱したときの体積膨張率の温度変化を示すグラフである。
符号の説明
100 電子機器筐体
110 第1部品
120 第2部品
130 接着性樹脂
140 マイクロカプセル
141 殻
142 気化剤
143 被覆体
200 金型
210 型部分
211 窪み
212 通路
220 台座部分
300 射出成形機

Claims (3)

  1. 所定の第1部品と、
    前記第1部品とは異なる第2部品と、
    前記第1部品と前記第2部品を互いに接着した接着性樹脂とを備え、
    前記接着性樹脂は、有機材料で形成された殻の内部に温度上昇により膨張する有機溶剤が封入され、該殻がさらに、該有機溶剤の膨張を高温側に遷移させる被覆体で被覆されたマイクロカプセルが分散してなるものであり、
    前記被覆体は、前記有機材料が軟化を始める第1の温度と前記有機溶剤が気化を始める第2の温度との両方よりも高い第3の温度を前記マイクロカプセルの温度が超えるまでは該有機溶剤の気化に伴う該マイクロカプセルの内圧に耐え、該第3の温度を該マイクロカプセルの温度が超えると該内圧によって割れる厚みを有するものであり、
    前記第1部品が、金属製の板状の部品であって、
    前記第2部品は、前記接着性樹脂が未硬化状態で塗布された前記第1部品が内部に配置された金型に溶融状態の樹脂を流し込み硬化させることで、該第1部品に該接着性樹脂で接着された状態で成形された樹脂製の部品であり、
    前記第3の温度が、前記溶融状態の樹脂からの熱によって前記マイクロカプセルが達する温度よりも高い温度であることを特徴とする電子機器筐体。
  2. 前記被覆体は、0.01μm以上10μm以下の厚みを有するものであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器筐体。
  3. 前記接着性樹脂は、ニトリルゴムとクロロプレンゴムとの一方または両方を含むゴム系接着剤に前記マイクロカプセルが分散してなるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器筐体。
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