JP5061629B2 - 記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液滴を吐出させて記録を行う記録装置に関する。
インク滴を吐出させて画像を記録するためのインクジェット記録装置のように液滴を吐出させて記録を行う記録装置では、記録ヘッドの吐出口から液滴を吐出させ、記録紙等の記録媒体上に着弾させる。
インクジェット記録装置において正常な記録を続けるために定期的なヘッドクリーニングが必要である。このヘッドクリーニングには記録と関係の無いインクを強制的に吐出させ、記録ヘッド内部の気泡や吐出口付近の増粘度インクを除去するフラッシングと呼ばれるものがある。
このフラッシングをするためには強制的に吐出されたインクを受け、回収するための液滴受け部が必要となる。この液滴受け部はフラッシングの際は吐出口対向面に位置されていなければならないが、記録の際には記録領域から退避していなければならない。
そこで、例えば、特許文献1に開示の技術のように、ヘッドが搭載されているキャリッジを記録領域外に設けられた穴(液滴受け部)と吐出口が対向するところまで動かす方法や、特許文献2に開示の技術のように、ヘッドを記録位置から退避させ、その後、フラッシングペーパー(液滴受け部)を吐出口対向部に移動させフラッシングを行なう方法等が知られている。
特開2000−168105号公報 特開平10−329341号公報
しかしながら、特許文献1では、記録領域外に液滴受け部を設けているため装置の大型化は避けることができない。
また、特許文献2では、液滴受け部が移動するスペースが必要となるため装置の大型化を招いている。
このように従来技術では装置の大型化を十分に防ぐことができていないという課題があり、設置面積を多く必要としているというのが現状である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、記録装置の大型化を防ぎ、設置面積の縮小を図ることができる記録装置を提供することを目的とする。
本発明の目的は、以下に示す発明により達成される。
1.
液滴を吐出させて記録を行う記録装置において、液滴を吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを上下方向に移動させる移動手段と、前記記録ヘッドの吐出口から吐出された液滴を受ける液滴受け部とを備え、
前記液滴受け部は回転可能に支持され、回転により前記記録ヘッドの吐出口に対向する位置と前記記録ヘッドの上下方向の移動経路から退避した退避位置とを切り換え可能に構成され、
前記記録ヘッドの吐出口に対向する位置における前記液滴受け部の一側面は、前記液滴受け部が前記退避位置へ移動したときに下面となり、当該下面となったときに記録装置の設置面に対して傾斜するように構成されていることを特徴とする記録装置。
2.
前記液滴受け部は、前記記録ヘッドの吐出口から吐出された液滴を受ける受け皿と、前記受け皿を支持する弾性部材とを備えることを特徴とする前記1に記載の記録装置。
3.
前記液滴受け部は、前記記録ヘッドとの相対位置を決めるための位置決め手段を備えることを特徴とする前記1又は2に記載の記録装置。
4.
前記液滴受け部は、前記記録ヘッドの吐出口を覆って保湿するキャップ手段として機能することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の記録装置。
5.
前記液滴受け部は、前記記録ヘッドの吐出口を覆って遮光する遮光手段として機能することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の記録装置。
6.
前記液滴受け部を回転移動させ、前記液滴受け部が前記記録ヘッドの吐出口に対向する位置及び前記退避位置を切り換える回転手段を備えることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の記録装置。
7.
前記移動手段により、前記記録ヘッドを移動させ、液滴を吐出させて記録を行う位置及び前記記録ヘッドを前記回転手段による前記液滴受け部の回転移動経路から退避した位置及び前記液滴受け部に対して液滴を吐出する位置を切り換えることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の記録装置。
8.
前記記録ヘッドはラインヘッドであることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の記録装置。
本発明によれば、記録装置の大型化を防ぎ、設置面積の縮小を図ることができる記録装置を提供できる。
以下に、本発明に関する実施の形態の例を示すが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
まず、本発明に係る記録装置が適用されるインクジェット記録装置1の概略構成について、図1の図面を参照しながら説明する。
このインクジェット記録装置1の主要構成は、図1に示すように、シート状の記録媒体2を記録時に前方(矢印A)へ搬送させる搬送装置3と、記録媒体2の記録面(正面)にインクを吐出するラインヘッド(記録ヘッド)4を含む記録部5と、これら各部の制御を行う制御部(図示省略)とを備えている。
搬送装置3は、互いに平行になって配置された元巻きローラ6及び駆動ローラ7とを備える。
元巻きローラ6はその軸心回りに回転自在となって支持されており、元巻きローラ6には記録媒体2が予め巻回されている。駆動ローラ7は、その軸心回りに回転自在となっており、図示しないモータ等の駆動源によって回転される。
元巻きローラ6から導き出された記録媒体2は、駆動ローラ7に導かれている。これにより、記録媒体2の搬送される搬送経路が確立される。そして、モータ等の駆動源によって駆動ローラ7が回転することで、記録媒体2が元巻きローラ6から引き出されて、引き出された記録媒体2は駆動ローラ7に搬送される。
記録部5は、元巻きローラ6と駆動ローラ7との間で張られた記録媒体2の上方において記録媒体2に対向するように位置されている。記録部5は、ラインヘッド4を備える。
ラインヘッド4は、元巻きローラ6から駆動ローラ7へと記録媒体2が搬送される方向に対して直交する方向つまり記録媒体2の幅方向に延在するように配設されている。ラインヘッド4の下面は元巻きローラ6と駆動ローラ7との間で張られた記録媒体2に指向されており、その下面には複数の吐出口が記録媒体2の幅方向に列を成して形成されている。ラインヘッド4内にはそれぞれの吐出口に対応してピエゾ素子といった吐出手段が設けられており、それぞれの吐出手段によって各吐出口からインクIが液滴として吐出される。
また、ラインヘッド4の吐出手段に記録とは関係のない駆動信号を印加してインクを強制的に吐出させる機能も備えており、これは通常フラッシングと呼ばれている。
図2は、インクジェット記録装置1における記録時の記録部の構成を示す斜視図であり、図3は、インクジェット記録装置1におけるキャリッジ退避時の記録部の構成を示す斜視図である。
本実施形態においては、複数個のヘッドモジュール13が2段の千鳥状に配列された状態で支持体14に取り付けられて、1つのラインヘッド4を構成している。
記録部5は、ラインヘッド4と、ラインヘッド4の支持体14の一部に結合されてラインヘッド4を搭載するキャリッジ12と、キャリッジ12が結合されたレール10と、レール10に案内されて、図の矢印Bで示すように、記録媒体2の搬送方向に垂直な上下方向にキャリッジ12を移動させる上下駆動機構(不図示)と、記録を行う際に記録媒体2を背面側から支持するプラテン8と、ラインヘッド4の吐出口からフラッシングを行う際に、ラインヘッド4の吐出口に対向して吐出口からのインクを受ける液滴受け部11と、液滴受け部11を回転可能に支持する回転支点軸20と、液滴受け部11を回転支点軸20を中心に所定の方向(図3の矢印C)に回転移動させる回転駆動機構(不図示)と、これら各部を一体的に支持するとともに、プラテン8の上面に固定されるフレーム9とを備える。つまり、各部は、相対的な位置関係がずれないようにフレーム9によって固定されている。
レール10と上下駆動機構は、本実施の形態における移動手段に相当する。
この上下駆動機構は、ラインヘッド4が搭載されたキャリッジ12を設定された所定の範囲で上下動させる。つまり、上下駆動機構は、図2に示すように、ラインヘッド4の吐出口から記録媒体2に液滴を吐出させて記録を行う位置(以下、記録位置と称する場合がある。)から、図3に示すように、ラインヘッド4を回転駆動機構による液滴受け部11の回転移動経路から退避した位置(以下、キャリッジ退避位置と称する場合がある。)まで、キャリッジ12を上下動させる(後述するように、記録位置とキャリッジ退避位置の間の位置で、液滴受け部11によりキャップされる位置(以下、キャップ位置と称する場合がある。)と液滴受け部11にインクを強制的に吐出する位置(以下、フラッシング位置と称する場合がある。)の合計4つの位置を切り換える)。
このため、ラインヘッド4をキャリッジ退避位置に移動させた際、回転駆動機構により液滴受け部11を、図3の矢印Cに示すように、回転支点軸20を中心として回転させることで、液滴受け部11をラインヘッド4の吐出口に対向する位置(以下、フラッシング位置と称する場合がある。)に回転移動させることができる。
なお、本実施形態においては、回転支点軸20を、記録媒体2の搬送方向に直行する方向に配置しているが、回転支点軸20を、記録媒体2の搬送方向に平行な方向に配置してもよい。
通常、ラインヘッドの複数の吐出口は、記録媒体の搬送方向に平行な方向よりも記録媒体の搬送方向に直行する方向に長く配置されるため、液滴受け部もこれに対応して記録媒体の搬送方向に平行な方向よりも記録媒体の搬送方向に直行する方向に長い直方体の形状となる。このため、回転支点軸を記録媒体の搬送方向に直行する方向に配置することにより、記録媒体の搬送方向に平行な方向に配置した場合に比較して、ラインヘッドを回転支持軸の周りに回転移動させたときの、回転移動に要するスペースを小さくすることができ、記録装置をコンパクトにできる。本実施形態のように、回転支点軸20を、記録媒体2の搬送方向に直行する方向に配置することは、ラインヘッドに対して特に有効である。
プラテン8は、記録時にラインヘッド4に対向した記録媒体2を平らな状態に維持することで、正確な記録を可能とする。
次に、液滴受け部11の構成について、図4〜図6を用いて、説明する。
液滴受け部11には、図4〜図6に示すように、ラインヘッド4の吐出口から強制的に吐出されたインクを受ける受け皿15と、受け皿15を支持する受け皿支持部18と、受け皿15に可動性を与えるために受け皿15と受け皿支持部18の間に圧縮した状態で設けられた複数のバネ(弾性部材)22とを備えている。
また、受け皿15には、強制的に吐出されたインクをインク吸収体(不図示)もしくは廃液貯蔵タンク(不図示)に導く廃液チューブ19が接続されている。
受け皿15は、桶のような形状から成り、フラッシング位置に配置された際(図5)の上面にエッジ17により形成された液滴受け口が設けられており、内部にインクが留められるように底面16及び側面21等により形成された桶部が設けられている。
受け皿15は上下左右に動くことができるが、必要以上に動かないように受け皿15に取り付けられた複数のガイドネジ24と、受け皿支持部18に設けられガイドネジ24がはめ込まれる複数の受け皿ガイド部23とによって規制されている。
液滴受け部11の受け皿15は、ラインヘッド4による記録を行っていない待機時にはラインヘッド4の支持体14に密着して吐出口を覆って保湿するキャップ手段としての機能をも有する。
受け皿15は、ゴム等の弾性体、或は、硬質プラスチックや金属等の剛体を成形して構成される。バネ22は、受け皿15に対して常時、図5における上方向への押し出し力を与えている。そして、このとき、受け皿15に取り付けられたガイドネジ24は、受け皿支持部18の受け皿ガイド部23内を摺動自在になっているが、受け皿15にバネ22の押圧力が加つている間は、ガイドネジ24が受け皿ガイド部23の図示上方端面に当接して衝止している。尚、バネ22に代えてスポンジや、ゴム等を適用することもできる。
以上のように、液滴受け部11は、記録ヘッドの吐出口から吐出された液滴を受ける受け皿15と、受け皿15を支持する弾性部材としてのバネ22とを備えているので、受け皿15をバネ22により上方(外方)へ押し出すようにすること可能になり、受け皿15をキヤップ手段として使用した場合にも高精度の密閉状態を長期間、持続することができる等々の効果を得ることができる。
前述のように、液滴受け部11は、回転支点軸20により回転可能に支持され、液滴受け部11自体を回転支点軸20を中心に回転させる回転駆動機構により回転する。回転支点軸20と回転駆動機構は、本実施の形態における回転手段に相当する。
本実施の形態では、回転角度を90度に設定している。この回転支点軸20は、ラインヘッド4の移動方向に直交する方向に対して平行な回転軸であり、液滴受け部11はこの回転軸を中心に回転する。そして回転駆動機構は、液滴受け部11を上記設定された角度の範囲で回転させる。つまり、回転駆動機構は、ラインヘッド4の吐出口に対して液滴受け部11の受け皿15が対向したフラッシング位置から、図3に示すように、液滴受け部11がラインヘッド4の上下方向の移動経路から退避した位置(以下退避位置と称する場合がある)まで、液滴受け部11を回転させる。
このため、ラインヘッド4の吐出口と液滴受け部11の受け皿15が対向している際、ラインヘッド4の吐出口から強制的に吐出されたインクを受け皿15で受けることや、液滴受け部11の受け皿15によりラインヘッド4の吐出口をキャップすることが可能になる。また、液滴受け部11がラインヘッド4の移動経路から退避した際、ラインヘッド4の吐出口からインクを吐出させることで記録が可能になる。
次に、液滴受け部11とキャリッジ12の位置決め機構について、液滴受け部11によりラインヘッド4の吐出口をキャップする場合を例に挙げて、図7〜図8を用いて説明する。
本実施形態においては、図7に示すように、ラインヘッド4は、その支持体14に形成された複数のガイド穴25を有しており、液滴受け部11には、受け皿15の底面16に取り付けられていて、ガイド穴25に挿入する複数のガイドピン26(位置決め手段)を有している。ガイドピン26の先端にはテーパー部が形成されており、キャップする際には、ガイド穴25にガイドピン26が挿入され、キャリッジ12と受け皿15とが位置決めされる。このことにより、キヤリツジ12と液滴受け部11との間に位置のずれが多少あつても、両者の位置関係のずれは修正されて、ラインヘッド4の吐出口は受け皿15により確実に密閉される。
なお、ガイド穴25を支持体14ではなく、キャリッジ12に設けるようにしても良い。
また、図8に示すように、ラインヘッド4は、その支持体14に形成され、液滴受け部11の受け皿15のエッジ17を収容する溝27を有する。すなわち、支持体14におけるエッジ17との接触面には、ラインヘッド4の全ての吐出口の周囲を完全に囲むように溝27が凹設されている。
ここで、吐出口の周囲を完全に囲むとは、溝27が1本の輪状となって吐出口の周囲に凹設され、その溝27のどこにも途切れ部がない状態をい、受け皿15を金属等の遮光性の材料で構成とすることで、液滴受け部11をラインヘッド4の吐出口を覆って遮光する遮光手段として機能させることができる。このような構成は、光硬化型のインクを用いた場合、特に有効である。
例えば、画像記録に紫外線硬化インクを用いると、画像記録後に紫外線を照射すれば紫外線硬化インクは硬化するので、長期間にわたって画像を消えずに維持することができ、インクジェット記録による画像の品質を高めることができる。さらに、紫外線硬化インクを画像記録に用いれば、記録媒体がインク吸収性のよい記録媒体(例えば、紙など)でなくとも、インク吸収性のない記録媒体、あるいはインク吸収性の低い記録媒体であっても画像記録を行なうことができる。
特に、紫外線硬化インクの場合、吐出口内のインクや、吐出口近傍などに付着したサテライトインクに対して、インクジェット記録装置の作動時の紫外線照射の漏れ光や自然光などの紫外線が照射されて、硬化してしまうと除去が困難になるので、前記遮光手段により吐出口を遮光することは特に重要である。
このように液滴受け部11は、フラッシング時においては、ラインヘッド4の吐出口と対向した位置で、吐出口から強制的に吐出されたインクを受けるものでもある。そして、液滴受け部11は、記録を行っていない待機時においてはラインヘッド4の吐出口を覆った状態で密閉し、吐出口の保湿を維持するものである。つまり、強制的に吐出されたインクを受ける機能と保湿機能をそれぞれ別個の部材で行わなくとも、液滴受け部11のみでこれらを行うことができ、部材及び部材の設置スペースの省略化を実現している。
ここで、液滴受け部11の受け皿15に強制的に吐出されたインクの流れについて図9〜図10を用いて説明する。図9は、液滴受け部11がフラッシング位置に配置された状態における受け皿15を横方向から見た断面図であり、図10は、液滴受け部11が退避位置に配置された状態における受け皿15を横方向から見た断面図である。なお、図9、図10において符号Iは、強制的に吐出されたインクを示している。
受け皿15は、ラインヘッド4の吐出口と液滴受け部11の受け皿15が対向している際(図9)、フラッシングによりラインヘッド4の吐出口から強制的に吐出されたインクIを受ける底面16と、液滴受け部11がラインヘッド4から退避した際(図10)、受け皿15の底面16に溜まった状態から鉛直下向きに流れてきたインクIを受けて、廃液チューブ19までインクIが流れるように傾斜した側面21を備えている。側面21は、ラインヘッド4の吐出口と液滴受け部11の受け皿15が対向している際、受け皿15の側面(以下、下面と称する場合がある。)21を構成し、液滴受け部11がラインヘッド4から退避した際、受け皿15の下面21を構成し、このとき、下面21は、記録装置1の設置面(略水平面)に対して所定の角度をもって傾斜している。
廃液チューブ19は、例えば樹脂製のチューブなどであり、下面21の傾斜に沿って流れてきたインクを廃液チューブ19内部に導けるように、下面21の下側に取り付けられている。
以上の様な構成にすることにより、ラインヘッド4の吐出口と液滴受け部11の受け皿15が対向している際に、吐出口から強制的に吐出されて受け皿15の底面16に溜まったインクI(図9)を、液滴受け部11がラインヘッド4から退避した際に、図10の矢印で示すように、鉛直下向きに落下させた後、傾斜した下面21に沿って、廃液チューブ19へと導くことができ、強制的に吐出されてインクIを液滴受け部11の外部に排出し易くなる。このため、液滴受け部11にインクIが溜まってあふれることを防止でき、常にフラッシング可能な状態を維持することができる。
なお、ラインヘッド4の吐出口と液滴受け部11の受け皿15が対向している際に、吐出口から強制的に吐出されて受け皿15の底面16に溜まったインクI(図9)を、液滴受け部11がラインヘッド4から退避した際に、図10の矢印で示すように、鉛直下向きに落下してきたインクを、下面21に停留しないようにして、インクの自重により、液滴受け部11の外に排出し、廃液回収部に導く手段としては、上記の下面21を傾斜面とする構成に限らず、種々の構成が適用可能である。
図16(a)及び(b)は、インクジェット記録装置1に備えられた液滴受け部11の受け皿15の他の実施形態を示す図であり、(a)は、液滴受け部11がフラッシング位置に配置された状態における受け皿15の断面図、(b)は、退避位置に配置された状態における受け皿15の断面図である。
この実施形態においては、図16に示すように、受け皿15の下面21に設けられ、回転支点軸20の軸方向(図16の奥行き方向)に連続して形成された開口穴51と、この開口51の先方(下側)に配置された廃液回収部(不図示)との間に、傾いた斜面部を有するインクガイド部材50が設けられている点に特徴がある。
即ち、この開口穴51とその先方(下側)に配置された廃液回収部(不図示)との間に、傾いた斜面部を有するインクガイド部材50を設けることにより、ラインヘッド4の吐出口と液滴受け部11の受け皿15が対向している際に、吐出口から強制的に吐出されて受け皿15の底面16に溜まったインクI(図16(a))を、液滴受け部11がラインヘッド4から退避した際に、鉛直下向きに落下してきたインク(図16(b))は、自重により、前記開口穴51を通過し、インクガイド部材50の斜面部に付着する。そして、斜面部にある程度インクが付着すると、インクは滴状となって廃液回収部(不図示)の方向に落下し、前記廃液回収部(不図示)に導かれる。
以上の様な構成にすることにより、強制的に吐出されたインクIを液滴受け部11の外部に排出し易くなる。このため、液滴受け部11にインクIが溜まってあふれることを防止でき、常にフラッシング可能な状態を維持することができる。
なお、下面21を傾斜面とする構成と、下面21に開口穴50とその先に傾いた斜面部を有するインクガイド部材50を設ける構成の両方を設けても良い。
図1〜図3に戻って、制御部は、インターフェイス、ROM(Read Only Memory)、RAM(RandomAccess Memory)、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、ROM中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従いインターフェイスに接続された各種機器を制御するようになっている。
インターフェイスには、搬送装置3、ラインヘッド4、回転駆動機構、キャリッジの上下駆動機構などが電気的に接続されている。
ROMには、インクジェット記録装置の各部の動作に関する各種制御プログラムや制御データなどが書き込まれている。
RAMは、電力が供給されている間だけ入力されたデータを複数記憶可能であり、記録される画像データ等の各種データを記憶する記憶領域とCPUによる作業領域などが備えられている。
CPUは、ROMに格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムを、RAM内の作業領域に展開し、各種入力信号に応じて、プログラムに従った各種処理を実行する。
この制御部は、インクジェット記録装置1の動作全体を制御するものであるが、ここでは記録時からラインヘッド4のフラッシング時までに行われる制御について、図11〜図15を用いて説明する。
図11〜図15において、30は、液滴受け部11がラインヘッド4の上下方向の移動経路から退避した位置に配置された際に(図13、図14参照)、液滴受け部11の受け皿15のエッジ17に当接して、液滴受け口を覆う遮光板を示している。このような構成は、光硬化型のインクを用いた場合、特に有効である。
例えば、紫外線硬化インクを用いた場合、受け皿15に残留したインクや付着したインクなどがインクジェット記録装置の作動時の紫外線照射の漏れ光や自然光などの紫外線により硬化し、フラッシングやキャッピングを確実に行うことができなくなる場合がある。遮光板30を備えていることにより、液滴受け部11がラインヘッド4の移動経路から退避した際に、インクジェット記録装置の紫外線照射装置からや自然光からの受け皿15に残留や付着などしているインクへ照射される紫外線を遮光することができる。
また、遮光板30には、遮光板30と受け皿15のエッジ17が当接した際、受け皿15のガイドピン26を収容する凹部31が形成されている。凹部31は、遮光板30として金属板を用いて、絞り加工することにより形成できる。
まず、記録を行っていない待機状態(待機時;記録要求を受けていない場合や電源OFF時等)では、図11に示すように、ラインヘッド4の吐出口が液滴受け部11によりキャップされている。これにより、待機時においても、液滴受け部11によりラインヘッド4の吐出口の保湿状態を維持することができる。
制御部は、電源がONされた状態で、記録の開始タイミングとなると、キャリッジの上下駆動機構を制御して、図12に示すように、ラインヘッド4を上方に移動させ、キャリッジ退避位置まで移動させる。次に、制御部は、回転駆動機構を制御して、図13に示すように、液滴受け部11を坂時計回りに90度回転移動させ、退避位置まで移動させる。次に、制御部は、キャリッジの上下駆動機構を制御して、図14に示すように、ラインヘッド4を下方に移動させ、記録位置まで移動させる。その後、制御部は記録媒体2がラインヘッド4と対向する位置までくるように、搬送装置3を制御する。記録媒体2とラインヘッド4とが対向すると、制御部はラインヘッド4を制御して、プラテン8により支持された記録媒体2に向けてインクを吐出させるとともに、ラインヘッド4の吐出タイミングに応じて記録媒体2が搬送されるように、搬送装置3を制御する(図1)。
記録を終了、あるいは、一時中断すると、制御部は、搬送装置3を制御し記録媒体2の搬送を停止させる。次いで、ラインヘッド4のフラッシングを開始する。制御部は、キャリッジの上下駆動機構を制御して、図13に示すように、ラインヘッド4を上方に移動させ、キャリッジ退避位置まで移動させる。次いで、制御部は、回転駆動機構を制御して、図12に示すように、液滴受け部11を時計回りに90度回転移動させ、ラインヘッド4の吐出口と対向するフラッシング位置まで移動させる。次いで、制御部は、キャリッジの上下駆動機構を制御して、図15に示すように、ラインヘッド4を下方に移動させ、フラッシング位置まで移動させる。
ラインヘッド4の吐出口と液滴受け部11とが所定間隔で離間すると、制御部はラインヘッド4を制御して吐出口から液滴受け部11の受け皿15の底面16に向けてインクIを強制的に吐出させる。このとき、強制的に吐出されたインクIは、図9に示すように、受け皿15の底面16に溜まる。
フラッシングの終了後には、制御部は、キャリッジの上下駆動機構を制御して、図12に示すように、ラインヘッド4を上方に移動させ、キャリッジ退避位置まで移動させる。次に、制御部は、回転駆動機構を制御して、図13に示すように、液滴受け部11を坂時計回りに90度回転移動させ、退避位置に移動させる。このとき、受け皿15の底面16に溜まっていたインクIは、図10に示すように、鉛直下向きに流れた後、傾斜した下面21に沿って、廃液チューブ19へと導かれ、インク吸収体または廃液貯蔵タンクまで排出される。
次いで、制御部は、キャリッジ12の上下駆動機構を制御して、図14に示すように、ラインヘッド4を下方に移動させ、記録位置に移動させて、記録が可能な状態に戻す。
そして、記録が終了すると、制御部は、キャリッジ12の上下駆動機構を制御して、図13に示すように、ラインヘッド4を上方に移動させ、キャリッジ退避位置に移動させる。次に、制御部は、回転駆動機構を制御して、図12に示すように、液滴受け部11を時計回りに90度回転移動させ、ラインヘッド4の吐出口と対向する位置に移動させる。次に、制御部は、キャリッジの上下駆動機構を制御して、図11に示すように、ラインヘッド4を下方に移動させ、キヤップ位置まで移動させる。これにより、記録を行っていない待機状態においても、液滴受け部11によりラインヘッド4の吐出口の保湿状態を維持することができる。
フラッシングは、使用者が手動で開始させても、図示されないタイマー等の時間検出手段にて設定された時間を超えた場合や予め定められた所定のタイミングに到達した場合に自動的に開始させるようにしても良い。
以上のように、本実施の形態のインクジェット記録装置1によれば、フラッシング時及び記録時に応じて、液滴受け部11を回転移動させ、液滴受け部11がラインヘッド4の吐出口に対向する位置及び液滴受け部11がラインヘッド4の上下方向の移動経路から退避した位置を切り換えるので、ラインヘッド4の上下移動に加えて、液滴受け部11を回転させるだけで、フラッシング時及び記録時の切り換えを行うことができるので、小さなスペースで両者を切り換えることができ、スペース効率を高め、記録装置の大型化を防ぎ、設置面積の縮小を図ることができる。
さらに、液滴受け部11がラインヘッド4の上下方向の移動経路から退避した際に、下面になる側面が、記録装置の設置面に対して傾斜するように構成されているので、フラッシングにより液滴受け部11に溜まったインクは、液滴受け部11がラインヘッド4の上下方向の移動経路から退避した際に、傾斜した下面に沿って液滴受け部11の外部に排出される。このため、液滴受け部11にインクが溜まってあふれることを防止でき、常にフラッシング可能な状態を維持することができる。より容量の小さな液滴受け部11を用いることができ、設計の自由度を増すことができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施の形態では、液滴受け部の一部を支点として回転可能に支持する回転支点軸を中心として、液滴受け部が回転することで、フラッシング時及び記録時に応じて、液滴受け部を回転移動させる構成であったが、これ以外でも、例えば、ラインヘッドと平行に延びる回転軸と、この回転軸に対して回転可能に設けられた回転板と、一端を回転板に固定するとともに、他端において液滴受け部を保持するアーム(回転面内に延びるように設けられたアーム)とを設け、回転軸を中心として回転板を回転させることにより、フラッシング時及び記録時に応じて、液滴受け部を回転移動(回動)させるようにしてもよい。
また、ラインヘッド4の吐出口からインクを強制的に吐出する際、液滴受け部11は、強制的に吐出されたインクを受けることが可能な位置に配置されていれば良い。したがって、上記の実施形態のように、液滴受け部11は、必ずしもラインヘッド4と離間した位置に配置させる必要はなく、液滴受け部11をラインヘッド4に密着させたキャップ位置に配置させてもよい。
本発明の記録装置は、上記実施形態の、吐出口を多数並べたラインヘッドを備え、ラインヘッドを移動させずに記録するラインプリント方式の記録装置のみならず、ヘッドが移動させがら記録する、所謂シリアルプリント方式の記録装置にも適用可能であり、有効である。
また、上記実施形態では、ラインヘッドが複数のヘッドによって構成される場合を例示したが、ラインヘッドが1つのラインヘッドからなる構成であってもよい。
また、上記実施形態では、記録装置として記録媒体にインクを吐出して画像記録を行うインクジェット記録装置の適用例を示したが、本発明は、これに限定されるものではなく、液滴を吐出させて記録を行う記録装置として広く適用可能である。
本発明に係る記録装置が適用されるインクジェット記録装置1の概略構成を示す模式図である。 インクジェット記録装置1における記録時の記録部の構成を示す斜視図である。 インクジェット記録装置1におけるキャリッジ退避時の記録部の構成を示す斜視図である。 インクジェット記録装置1に備えられた液滴受け部の構成を示す斜視図である。 インクジェット記録装置1に備えられた液滴受け部の構成を示す正面図である。 インクジェット記録装置1に備えられた液滴受け部の構成を示す分解斜視図である。 インクジェット記録装置1に備えられた液滴受け部によりラインヘッドをキャップする際の様子を示す斜視図である。 インクジェット記録装置1に備えられた液滴受け部によりラインヘッドをキャップする際の様子を示す斜視図である。 インクジェット記録装置1に備えられた液滴受け部がフラッシング位置に配置された状態における受け皿の断面図である。 インクジェット記録装置1に備えられた液滴受け部が退避位置に配置された状態における受け皿の断面図である。 インクジェット記録装置1における待機時の位置関係を示す側面図である。 インクジェット記録装置1におけるキャリッジ退避時の位置関係を示す側面図である。 インクジェット記録装置1における液滴受け部の退避時の位置関係を示す側面図である。 インクジェット記録装置1における記録時の位置関係を示す側面図である。 インクジェット記録装置1におけるフラッシング時の位置関係を示す側面図である。 (a)及び(b)は、インクジェット記録装置1に備えられた液滴受け部の受け皿の他の実施形態を示す図であり、(a)は、液滴受け部がフラッシング位置に配置された状態における受け皿の断面図、(b)は、退避位置に配置された状態における受け皿の断面図である。
符号の説明
1 インクジェット記録装置
2 記録媒体
3 搬送装置
4 ラインヘッド
10 レール
11 液滴受け部
12 キャリッジ
20 回転支点軸

Claims (8)

  1. 液滴を吐出させて記録を行う記録装置において、液滴を吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを上下方向に移動させる移動手段と、前記記録ヘッドの吐出口から吐出された液滴を受ける液滴受け部とを備え、
    前記液滴受け部は回転可能に支持され、回転により前記記録ヘッドの吐出口に対向する位置と前記記録ヘッドの上下方向の移動経路から退避した退避位置とを切り換え可能に構成され、
    前記記録ヘッドの吐出口に対向する位置における前記液滴受け部の一側面は、前記液滴受け部が前記退避位置へ移動したときに下面となり、当該下面となったときに記録装置の設置面に対して傾斜するように構成されていることを特徴とする記録装置。
  2. 前記液滴受け部は、前記記録ヘッドの吐出口から吐出された液滴を受ける受け皿と、前記受け皿を支持する弾性部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記液滴受け部は、前記記録ヘッドとの相対位置を決めるための位置決め手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
  4. 前記液滴受け部は、前記記録ヘッドの吐出口を覆って保湿するキャップ手段として機能することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録装置。
  5. 前記液滴受け部は、前記記録ヘッドの吐出口を覆って遮光する遮光手段として機能することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録装置。
  6. 前記液滴受け部を回転移動させ、前記液滴受け部が前記記録ヘッドの吐出口に対向する位置及び前記退避位置を切り換える回転手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の記録装置。
  7. 前記移動手段により、前記記録ヘッドを移動させ、液滴を吐出させて記録を行う位置及び前記記録ヘッドを前記回転手段による前記液滴受け部の回転移動経路から退避した位置及び前記液滴受け部に対して液滴を吐出する位置を切り換えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の記録装置。
  8. 前記記録ヘッドはラインヘッドであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の記録装置。
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