JP5060243B2 - フィンガージョイントが加工された材料の供給装置 - Google Patents

Description

この発明は、両端木口にフィンガージョイントが加工された板状の材料を送りながらフィンガージョイント部分を仮接合させ、この仮接合した材料を本接続する次工程のフィンガーコンポーザーに対して送り込むための材料の供給装置に関する。

両端木口にフィンガージョイントが加工された板状の材料を自動的に接続するには、フィンガージョイントが加工され、このフィンガージョイントに接着剤が塗布された材料を長さ方向に送る材料挿入装置と、この材料挿入装置から送り込まれた材料を順次受け取って長さ方向に移送させながらフィンガージョイント部分を仮接合させ、材料を所定長さに接続する材料供給装置と、材料供給装置から送り込まれた所定長さの材料を受け取って長さ方向に圧締することで、材料を本接続するフィンガーコンポーザーとが用いられる。

従来の材料供給装置１は、図８と図９のように、両端木口にフィンガージョイントａが加工され、このフィンガージョイントａに接着剤が塗布された板状の材料Ａを、落下しないようにその長さ方向に沿って移動可能に水平支持する両側一対の材料滑り板２と、この材料滑り板２の上部で両側の位置に設けられ、その直線状走行部分３ａ、４ａが材料滑り板２の長さ方向に沿って配置されたエンドレスのチエン３、４とで構成され、チエン３、４の直線状走行部分３ａ、４ａで材料Ａを両側から挟んで長さ方向に送り、前方のフィンガーコンポーザーへ供給するようになっている。

両チエン３、４の直線状走行部分３ａ、４ａは、この直線状走行部分３ａ、４ａの略全長にわたって配置したガイド５で材料Ａを押圧する方向の弾性が付勢され、従って、材料供給装置１に供給された材料Ａは、両側チエン３、４の直線状走行部分３ａ、４ａで両側から挟まれながら送られることになり、これにより、材料Ａの両端に加工されたフィンガージョイントａが仮接合されながら搬送されることになる。

なお、上記材料供給装置１による材料Ａのフィンガージョイントａの仮接合は、材料Ａの両端フィンガージョイントａに予め接着剤を塗布しておくと共に、材料供給装置１の出側に位置するフィンガーコンポーザーの材料送り速度を、材料供給装置１の木材送り速度よりも遅く設定し、材料供給装置１で送られる先行材料Ａの先端がフィンガーコンポーザーに達して低速になると、後続の材料Ａは材料供給装置１の本来の送り速度で前進しているため、後続の材料Ａの先端フィンガージョイントａが先行材料Ａの後端フィンガージョイントａに嵌り合うことになり、このようにして後続の材料Ａが先行板状材料Ａに接続され、フィンガージョイントａの仮接合が行われることになる。

また、両側チエン３、４の本来の材料送り速度と、フィンガーコンポーザーで低速になった材料Ａの送り速度の差は、材料Ａに対してチエン３、４が滑動することによって吸収される。

ところで、従来の材料供給装置１において、材料Ａを下部から支えてその長さ方向に移動可能に支持する材料滑り板２は、材料Ａの受け取り端部から送り出し端部に向けて長い一体の板を用い、これを左右二箇所に固定配置され、この材料滑り板２の上面が材料移動の基準面となり、材料Ａが左右に配置したチエン３、４の直線状走行部分３ａ、４ａに挟まれて送られる構造になっている（例えば、特許文献１参照）。
実用新案登録第３１２９２８５号公報

上記のように、材料滑り板２の上面を材料移動の基準面とした構造では、上下にあまり反りのない素直な材料Ａならば、フィンガージョイントａの仮接合部は、材料滑り板２の上面を基準面として、上下の食違い（上下の目違い）がなく接合されることになる。

これに対して、上反りや下反りの大きな材料が送られてくると、図１１（ａ）乃至（ｃ）のように、フィンガージョイントａは、材料滑り板２の基準面に対して上下に位置が異なることになり、フィンガージョイントａの仮接合部に上下の食違い（上下の目違い）が発生し、不良品の発生原因になるという問題がある。

そこで、この発明の課題は、フィンガージョイントの仮接合時において、上反りや下反りの大きな材料であっても上下の食違いの発生を抑え、材料の正確な接続が得られる材料供給装置を提供することにある。

上記のような課題を解決するため、この発明は、端部にフィンガージョイントが加工された板状の材料をその長さ方向に沿って移動可能となるよう下面から支持する材料滑り板と、この材料滑り板の上部で両側の位置に設けられ、その直線状走行部分が材料滑り板の長さ方向に沿って配置されたエンドレス走行体とを有し、前記両エンドレス走行体の直線状走行部分で材料を両側から挟んで材料を長さ方向に送るようにしたフィンガージョイントが加工された材料の供給装置において、上記材料滑り板に対する上部の位置に、この材料滑り板で支持された材料の移動方向に沿って長く、材料滑り板で支持された材料の上面を受けるための上部材料ガイドを配置し、前記材料滑り板を上下に移動可能とし、この材料滑り板に、支持した材料を押し上げて材料の上面を上部材料ガイドに押し付ける上昇弾性を付勢した構成を採用したものである。

上記材料滑り板は、多数の短尺材料滑り板を材料の移動方向に沿って直列に配置することにより形成され、各短尺材料滑り板は、その両端が、材料の移動方向に沿って固定配置した長いばね受け材に上下動可能となるよう取り付けられ、この短尺材料滑り板とばね受け材の間に、短尺材料滑り板に上昇弾性を付勢するばねを縮設した構造とすることができる。

また、上記上部材料ガイドは、上下の位置が調整可能になっているようにすることができる。

ここで、材料滑り板は、左右両側に材料を支持できる間隔を設けて平行配置され、この材料滑り板を形成する各短尺材料滑り板は、その両端に上下方向の長孔が設けられ、この長孔をばね受け材に設けた水平の取付け軸に嵌合することにより、ばね受け材に上下動可能に取付けられ、両長孔間の複数箇所に縮設したばねで上昇弾性が付勢されている。

また、上部材料ガイドは、材料の移動方向に沿って、材料の受け取り端部から送り出し端部に向けて長い帯板を用いて形成され、左右両側で材料滑り板の直上に配置され、その水平となる下面が材料移動の基準面となり、材料の厚みの変化に対応するため、固定部分に配置した高さ調整機構によって上下の位置が調整可能になっている。

この発明によると、上部材料ガイドの下面を材料移動の基準面とし、材料をその長さ方向に沿って移動可能となるよう下面から支持する材料滑り板を上下に移動可能とし、この材料滑り板に、支持した材料を押し上げて材料の上面を上部材料ガイドに押し付ける上昇弾性を付勢したので、移動する材料を上下から挟んで圧力を加えることで、フィンガージョイントを形成した材料の端部を上部材料ガイドの基準面に押し付けることができ、これにより、前後材料の仮接合におけるフィンガージョイントの上下位置が上部材料ガイドの基準面に沿い、この状態でフィンガージョイントを仮接合することにより、上反りや下反りの大きな材料であっても、フィンガージョイントによる接合部での上下の食違いの発生を抑えることができ、材料の正確な接続が得られることになる。

以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。

図１乃至図７のように、材料供給装置１１は、両端木口にフィンガージョイントａが加工された板状の材料（木材）Ａを、落下しないようにその長さ方向に沿って移動可能に水平支持する両側一対の材料滑り板１２と、この材料滑り板１２の上部で両側の位置に設けたエンドレスの走行体であるチエン１３と１４と、前記材料滑り板１２に対する上部の位置に固定配置した上部材料ガイド１５からなり、前記チエン１３と１４は、直線状走行部分１３ａと１４ａが材料滑り板１２の材料入り側から出側の全長に沿って配置され、この直線状走行部分１３ａと１４ａで材料滑り板１２上の材料Ａを両側から圧力的に挟んで長さ方向に送るようになっている。

上記材料滑り板１２は、図２乃至図５のように、前後に長いベース台１６上の左右両側に材料Ａを支持できる間隔を設けて材料入り側から出側の全長にわたって平行配置され、この材料滑り板１２は上下に移動可能となり、支持した材料Ａを押し上げて材料Ａの上面を上部材料ガイド１５の下面に押し付ける上昇弾性が付勢されている。

上記材料滑り板１２は、図６と図７のように、材料Ａの入り側端部の上面が斜めにカットされた多数の短尺材料滑り板１２ａを材料Ａの移動方向に沿って直列に配置することにより形成され、各短尺材料滑り板１２ａを取付けるため、ベース台１６上に設けた取付け台１７にアングル材を用いた水平のばね受け材１８を、材料入り側から出側の全長にわたって固定配置し、短尺材料滑り板１２ａは、その両端に上下方向の長孔１９が設けられ、この長孔１９をばね受け材１８の垂直片に設けた水平の取付け軸２０に嵌合することにより、長孔１９の範囲でばね受け材１８に対して上下動可能に取付けられ、短尺材料滑り板１２ａとばね受け材１８の水平片間で両長孔１９間の複数箇所に縮設したばね２１で上昇弾性が付勢されている。

上記のように、ばね受け材１８の全長に沿って、多数の短尺材料滑り板１２ａを直列の配置で取付けることにより、材料入り側から出側の全長にわたる長い材料滑り板１２が形成され、移動する材料Ａは、各短尺材料滑り板１２ａの上面を摺動していくことになると共に、各短尺材料滑り板１２ａは、短い距離で個々に独立して材料Ａを押し上げることになり、このように、各短尺材料滑り板１２ａで材料Ａを分散して押し上げることにより、材料Ａのフィンガージョイントａが加工された端部を効果的に上部材料ガイド１５に向けて押し上げることができる。

上記上部材料ガイド１５は、材料Ａの移動方向に沿って、材料の受け取り端部から送り出し端部に向けて前後に二分割した長い帯板を用いて形成され、左右両側で材料滑り板１２の直上に材料Ａの厚みよりも少し狭くなる間隔を設けて固定化できるように配置され、その水平となる下面が材料移動の基準面ｂとなり、材料滑り板１２で押し上げられた材料Ａは、この上部材料ガイド１５の基準面ｂに上面が押し付けられた状態で移動し、材料Ａは上部材料ガイド１５と材料滑り板１２で弾力的に挟まれることで、この材料Ａに上下方向の反りが生じていた場合でも、材料Ａのフィンガージョイントａが加工された端部上面を基準面ｂに押し付けることができる。

この上部材料ガイド１５は、処理せんとする材料Ａの厚みの変化に対応するため、材料入り側と出側の両端部二箇所が固定部分に配置した高さ調整機構２２に取付けられ、上下の位置が調整可能になっている。

高さ調整機構２２は、両側の上部材料ガイド１５を前後の両端でボルト軸２３によって結合し、下端をボルト軸２３と結合した昇降杆２４をベース台１６上の固定部分に設けたガイド部材２５で上下動可能に保持し、昇降杆２４の上端に設けた水平の支持片２６を回転可能で上下動が一体となるよう貫通する昇降ねじ２７の下端をガイド部材２５のナット部材２８に螺合した構造を有し、上端のハンドル２９で昇降ねじ２７を回すことにより、昇降杆２４とボルト軸２３を介して両側の上部材料ガイド１５を上下動させて位置調整できるようになっている。

この発明の材料供給装置１１は、上記のような構成であり、両端木口にフィンガージョイントａが加工され、このフィンガージョイントａに接着剤が塗布された材料Ａを長さ方向に送る材料挿入装置（図示省略）と、材料Ａを本接続するフィンガーコンポーザー（図示省略）との間に配置され、材料挿入装置から送り込まれた材料Ａを搬送しながらフィンガージョイントａの部分を仮接合させ、この仮接合した材料Ａを次工程のフィンガーコンポーザーに対して送り込むものである。

材料供給装置１１は、両側のチエン１３と１４を駆動してその直線状走行部分１３ａと１４ａを入り側から出側に走行させた状態で、材料Ａが材料挿入装置で入り側に供給されると、材料Ａは材料滑り板１２と上部材料ガイド１５の間に進入し、その下面が材料滑り板１２で支持されると同時に材料滑り板１２は材料Ａで押し下げられ、ばね２１の弾性により材料滑り板１２は材料Ａを押し上げ、材料ａはこの押し上げにより上面が上部材料ガイド１５の下面の基準面ｂに押し付けられ、更に、両側チエン１３と１４の直線状走行部分１３ａと１４ａで両側から挟まれ、材料滑り板１２の前方に向けて搬送されることになり、このような材料Ａの供給が一定の間隔で間歇的に行われることになる。

上記材料滑り板１２を形成する各短尺材料滑り板１２ａは、ばね２１による上昇弾性で材料Ａを短い長さごとに独立して押し上げることにより、材料Ａは上面が上部材料ガイド１５の下面の基準面ｂに押し付けられ、これにより、移動する材料Ａは上下から挟まれて圧力が加わることで、この材料Ａに上下の反りが発生していても、材料Ａのフィンガージョイントａが加工された端部上面を基準面ｂに押し付けることができる。

先行の材料Ａが出側に達し、その先端がフィンガーコンポーザーに進入すると、フィンガーコンポーザーの材料送り速度は、材料供給装置１１の材料送り速度よりも遅く設定されているので、先行材料Ａの送り速度が低速になり、これに対して後続の材料Ａは材料供給装置のチエン１３、１４による本来の送り速度で前進しているため、材料供給装置１１での搬送中において、後続の材料Ａの先端フィンガージョイントａが先行材料Ａの後端フィンガージョイントａに嵌り合うことになり、これによってフィンガージョイントａの仮接合が行われると共に、後続の材料Ａが先行材料に順次接続されることになり、所定長さに仮接続された長尺の材料Ａがフィンガーコンポーザーに供給されることになる。

上記フィンガージョイントａの仮接合時において、図５のように、材料Ａは上面が上部材料ガイド１５の下面の基準面ｂに押し付けられ、この材料に上下の反りが生じていても、フィンガージョイントａが加工された端部上面が基準面ｂに押し付けられているので、図７のように、前後フィンガージョイントａの仮接合における上下の位置合わせが上部材料ガイド１５の基準面ｂを基準として行われ、上反りや下反りの大きな材料Ａであっても、フィンガージョイントａによる仮接合部での上下の食違いの発生を抑えることができ、次工程のフィンガーコンポーザーにおいて、材料の正確な接続が得られることになる。

上記送り速度の低下した材料Ａと材料供給装置１１のチエン１３、１４による送り速度の差は、材料Ａに対してチエン１３、１４が摺動することによって吸収され、材料Ａに対するチエン１３、１４の摺動力がフィンガージョイントａの仮接合のための圧力として作用する。

上記材料供給装置１１によるフィンガージョイントａの仮結合において、材料Ａをチエン１３、１４で両側から挟んだとき、チエン１３、１４を材料Ａの両側縁の形状に沿わせることができ、しかも、両側から等しい圧力で押圧するため、後続の材料Ａの先端フィンガージョイントａと先行材料Ａの後端フィンガージョイントａは、図１０（ａ）乃至（ｃ）のように、上下だけでなく、前後に位置する幅方向の目の位相も合うことになり、上下及び幅方向の目違いの発生がない正確な仮接合が得られることになる。

このようにして、材料供給装置１１でフィンガージョイントａが仮接合された材料Ａは、前方のフィンガーコンポーザーに送り込まれ、長さ方向に圧締されることで本接続され、長尺木材となる。

（ａ）は材料供給装置の全体構造を示す平面図、（ｂ）は同正面図 材料供給装置に木材を供給した状態を拡大して示す側面図 図２の要部を拡大した側面図 図３の要部を更に拡大した縦断側面図 図４の要部を更に拡大した縦断側面図 材料供給装置の前半部分を示す正面図 材料供給装置の木材を送る状態の前半部分を示す正面図 従来の材料供給装置の全体構造を示す平面図 従来の材料供給装置の拡大した側面図 （ａ）はこの発明の材料供給装置で仮接合した木材の平面図、（ｂ）は同正面図、（ｃ）は斜視図 （ａ）は従来の材料供給装置で仮接合した木材の平面図、（ｂ）は同正面図、（ｃ）は斜視図

符号の説明

１１ 材料供給装置
１２ 材料滑り板
１３ チエン
１４ チエン
１５ 上部材料ガイド
１６ ベース台
１７ 取付け台
１８ ばね受け材
１９ 長孔
２０ 取付け軸
２１ ばね
２２ 高さ調整機構
２３ ボルト軸
２４ 昇降杆
２５ ガイド部材
２６ 支持片
２７ 昇降ねじ
２８ ナット部材
２９ ハンドル

Claims (3)

1. 端部にフィンガージョイントが加工された板状の材料をその長さ方向に沿って移動可能となるよう下面から支持する材料滑り板と、この材料滑り板の上部で両側の位置に設けられ、その直線状走行部分が材料滑り板の長さ方向に沿って配置されたエンドレス走行体とを有し、前記両エンドレス走行体の直線状走行部分で材料を両側から挟んで材料を長さ方向に送るようにしたフィンガージョイントが加工された材料の供給装置において、
   上記材料滑り板に対する上部の位置に、この材料滑り板で支持された材料の移動方向に沿って長く、材料滑り板で支持された材料の上面を受けるための上部材料ガイドを配置し、前記材料滑り板を上下に移動可能とし、この材料滑り板に、支持した材料を押し上げて材料の上面を上部材料ガイドに押し付ける上昇弾性を付勢したことを特徴とするフィンガージョイントが加工された材料の供給装置。
2. 上記材料滑り板は、多数の短尺材料滑り板を材料の移動方向に沿って直列に配置することにより形成され、各短尺材料滑り板は、その両端が、材料の移動方向に沿って固定配置した長いばね受け材に上下動可能となるよう取り付けられ、この短尺材料滑り板とばね受け材の間に、短尺材料滑り板に上昇弾性を付勢するばねを縮設したことを特徴とする請求項１に記載のフィンガージョイントが加工された材料の供給装置。
3. 上記上部材料ガイドは、上下の位置が調整可能になっていることを特徴とする請求項１又は２に記載のフィンガージョイントが加工された材料の供給装置。

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