JP5059629B2 - ダイカスト鋳造方法 - Google Patents
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Description
一体鋳造では、キャビティに予めプリフォームをセットしておき、次に溶湯を注湯する。溶湯の流動圧でプリフォームがずれることは、製品品質上、避けなければならない。そこで、プリフォームを固定する技術が必要となる。
図6は従来の金型の原理図であり、金型100内に形成された製品キャビティ101に、繊維集合体102を設置し、製品キャビティ101内に金属の溶湯103を注湯する。この際に、繊維集合体102に当接する金型100の部位にエアベント104を設け、このエアベント104を介して繊維集合体102を金型100に吸引保持する。この吸引保持は溶湯が凝固するまで続ける。すると、溶湯が繊維集合体102に強制的に含浸され、好ましい繊維複合金属材料を得ることができる。
とこで、(a)の要部拡大図である(b)に示されるように、想像線で示す繊維集合体102が、実線で示すように大きく圧縮されていることが分かった。
(b)のc部拡大図である(c)に示されるように、酸化膜107が繊維集合体102に付着し、溶湯の流路面積が減少し、矢印(1)、(1)で示す溶湯の流れが不十分になった。すなわち、含浸性が悪くなった。この結果、繊維集合体102が図右へ強く押され、過度に圧縮されたと考えられる。
そこで、繊維集合体、すなわちプリフォームの変形を抑えることができる技術が求められる。
プリフォームが高温であるため、アルミナ繊維と液体アルミニウムの濡れ性を向上させ、より含浸が促進される。
排気後に不活性ガスを充填することにより、不活性ガスでプリフォームに付着し残存していた空気を強制的に排出させることができる。また、不活性ガスを加熱することで、置換ガスの体積を増加させることができ、残存空気を効率よく不活性ガスに置き換えることができる。
このように、請求項1によれば、酸化物の発生を防止しつつ溶湯の浸透性を良好に保つことができるため、プリフォームの過度な変形を防止することができ、良質な鋳造製品を得ることができる。
プリフォームは熱伝導率が小さく、アルミニウムは熱伝導率が大きい。この相違により、プリフォームの冷却とアルミニウムの冷却とに差が発生し、この差により、含浸プリフォームにクラックが入ることがある。
図1は本発明に係る複合材の一例を示す図であり、複合材10は、アルミナなどの繊維材料からなるプリフォーム11、11を、アルミニウム12で鋳ぐるんで製造された鋳造複合材である。このような複合材10の製造に好適な鋳造装置を、次図で説明する。
先ず、プリフォーム11、11を、プリフォーム予熱炉33に投入し、650℃〜850℃に設定した、予熱温度まで炉温計34の監視の元で予熱する。
型組みが終わったら、真空ポンプ25、25でキャビティ24を排気し、空気をできるだけ排出する。同時に、650℃〜850℃に加熱されている不活性ガスを、ガス供給管28でキャビティ24へ供給する。
不活性ガスを高温にすることにより、プリフォーム11の温度低下を防ぐことができる。また、不活性ガスを高温にすると、ガスが膨張してガス流量が大幅に増加し、より効果的に酸素を押出すことができる。
ダイカスト法によりプリフォームをアルミニウムで鋳ぐるむことで、複合材を得るダイカスト鋳造方法において、プリフォームを予熱するプリフォーム予熱工程と、予熱済みのプリフォームを金型にセットするプリフォームセット工程と、プリフォームがセットされているキャビティを排気しながら、前記キャビティへ加熱された不活性ガスを供給するガス供給工程と、前記キャビティへ溶湯を供給する注湯工程と、からなることを特徴とする。
プリフォーム11はアルミナ(Al2O3)製、不活性ガスはアルゴンガス、アルゴンガスの温度は700℃、溶湯はアルミニウム合金として、プリフォーム予熱炉33により、予熱温度が450℃〜900℃の複数個のプリフォーム11を用いて、図2の装置20で、鋳造を行った。その結果を、次図に示す。
ただし、900℃に予熱したサンプルにクラックが認められたので、クラックの発生と予熱温度の関係を調べることにした。
複合部中央とアルミニウム部の温度差と収縮率差の違いが大きくなりすぎると、その収縮応力により高温側の複合部が破断する。
図5は不活性ガスの温度と圧縮率の関係を示すグラフであり、詳細な実験の内容は省略するが、実験の結果、不活性ガスの温度を上げると、圧縮率が下がることが確認できた。すなわち、不活性ガスの温度を上げると含浸プリフォームの品質が向上し、良質の複合材が得られる。
プリフォームを構成するアルミナ(Al2O3)の熱伝導率は、20〜30W/m・Kである。液体アルミニウムの熱伝導率は、約50W/m・Kと言われている。そして、アルミニウムの融点は約660℃である。
プリフォームは、650℃〜850℃であり、やはり金型で冷やされるが、熱伝導率が、アルミニウムの1/2であるため、内部までは、なかなか冷やされない。すると、プリフォームに含浸したアルミニウムは凝固するが、近傍のプリフォームは高温のままである部位が出現する。この部位はプリフォームの中央や中心に現れる。プリフォームは遅れて冷却され、熱収縮する。
アルミニウムとプリフォームの冷却タイミングに差が生じると、熱応力が増大し、含浸プリフォームにクラックが入る。
プリフォームは650℃〜850℃の範囲で予熱されたが、型組みから注湯までに表面の温度を下げることができる。不活性ガスの温度を低めに設定することでも達成できる。
そうすれば、熱応力を小規模に抑えることができ、クラックの発生を防止することができる。
Claims (5)
- ダイカスト法によりプリフォームをアルミニウムで鋳ぐるむことで、複合材を得るダイカスト鋳造方法において、
プリフォームを予熱するプリフォーム予熱工程と、
予熱済みのプリフォームを金型にセットするプリフォームセット工程と、
プリフォームがセットされているキャビティを排気しながら、前記キャビティへ加熱された不活性ガスを供給するガス供給工程と、
前記キャビティへ溶湯を供給する注湯工程と、からなることを特徴とするダイカスト鋳造方法。 - 前記プリフォーム予熱工程では、プリフォームを650℃〜850℃に予熱することを特徴とする請求項1記載のダイカスト鋳造方法。
- 前記プリフォーム予熱工程では、プリフォームを700℃〜850℃に予熱することを特徴とする請求項1記載のダイカスト鋳造方法。
- 前記ガス供給工程では、650℃〜850℃に加熱した不活性ガスを供給することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のダイカスト鋳造方法。
- 前記注湯工程では、キャビティ内のプリフォームの表面温度が、アルミニウムの融点以下の温度であるときに、キャビティへ溶湯を供給することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のダイカスト鋳造方法。
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