JP5059250B1 - 金属板材の圧延機および圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【選択図】図1
Description
本願は、2011年3月24日に、日本に出願された特願2011−066153号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
(1)上作業ロールチョック3−1を抱え込む上補強ロールチョック4−1のアーム部に上インクリースベンディング装置6−1、6−2を組み込まざるを得ない。従って、大容量の油圧シリンダーを組み込むことが困難である。
例えば、特許文献2には、作業ロールのインクリースベンディング装置が作業ロールチョックに組み込まれた圧延機が開示されている。
同様に、特許文献3には、ロールクロス方式の圧延機が開示されている。この圧延機においても、インクリースベンディング装置が作業ロールチョックに組み込まれている。
(5)作業ロールを組み替える際に、油圧配管の着脱が必要となる。着脱を容易にしようとすると、フレキシブル配管を採用せざるを得ず、高応答油圧制御のためのサーボバルブを採用することが難しくなる。従って、応答性の高いベンディング装置を構成することが困難となる。
(6)プロジェクトブロックと作業ロールチョックとの接触面により、作業ロールに作用する圧延方向力を支持する構造であるため、ロール開度を大きくしていくと、この接触面が小さくなる。従って、作業ロールチョックの適切な支持が不可能となり、大きなロール開度をとることができない。
これは、(A)厚板圧延の場合、薄板圧延に比較して、相対的に大径の作業ロールを使用するため、同じベンディング力を付与してもロールクラウン形状の変化が小さいこと、さらには、(B)薄板圧延機に比較して、相対的に大径の作業ロールチョック周辺の狭隘な部分に小さなディクリースベンディング装置を設置しても、制御範囲が狭く、機械構造を複雑化するだけでコストパフォーマンス的に不利であること等に起因する。
本発明の解決すべき課題は、上下作業ロール間の最大開度を大きくとることができるとともに、強力なロールベンディング力を付与することのできる圧延機およびこの圧延機を用いた圧延方法を提供することである。
すなわち、本発明の目的は、広範な厚さの鋼板に対応できる圧延機にするため、薄板圧延機と同様のディクリースベンディング装置を具備することを前提とした上で、上下作業ロール間のロール開度を大きくとることができると共に、強力なロールベンディング力が容易に付与でき、上述した従来の圧延機が有する欠点を克服した圧延機およびこの圧延機を用いた圧延方法を提供することである。
(1)本発明の第一の態様は、金属板材を圧延する上作業ロール及び下作業ロールと;前記上作業ロール及び前記下作業ロールをそれぞれ支持する上補強ロール及び下補強ロールと;前記上作業ロール及び前記下作業ロールをそれぞれ支持する上作業ロールチョック及び下作業ロールチョックと;前記上補強ロール及び前記下補強ロールをそれぞれ支持する上補強ロールチョック及び下補強ロールチョックと;前記上作業ロールチョック、前記下作業ロールチョック、前記上補強ロールチョック、及び前記下補強ロールチョックを収容し、互いに内方へ突出して前記下作業ロールに作用する圧延方向力を負担する一対の第1プロジェクトブロックを有し、前記上作業ロールに作用する圧延方向力を負担するハウジングウィンドウが形成されるハウジングと;前記一対の第1プロジェクトブロックに設けられ、前記上作業ロールチョックを介して前記上作業ロールにインクリースベンディング力を付与する第1ピストンロッドを有する第1油圧シリンダーと;前記一対の第1プロジェクトブロックに設けられ、前記下作業ロールチョックを介して前記下作業ロールにインクリースベンディング力を付与する第2ピストンロッドを有する第2油圧シリンダーと;前記上補強ロールチョックに設けられ、前記上作業ロールにディクリースベンディング力を付与する、又は、前記上作業ロールを前記上補強ロールに接触させてロールバランス力を発生させる第3ピストンロッドを有する第3油圧シリンダーと;前記下作業ロールにディクリースベンディング力を付与する第4ピストンロッドを有する第4油圧シリンダーと;を備える金属板材の圧延機である。
(2)上記(1)に記載の金属板材の圧延機では、前記第1油圧シリンダーと、前記第2油圧シリンダーとが、前記一対の第1プロジェクトブロック内で平面図上の互いに異なる位置に設けられてもよい。
(3)上記(1)又は(2)に記載の金属板材の圧延機では、前記下補強ロールチョックに、前記第4油圧シリンダーが設けられてもよい。
(4)上記(1)又は(2)に記載の金属板材の圧延機では、前記ハウジングが、前記一対の第1プロジェクトブロックの下方において前記ハウジングから内方へ突出する一対の第2プロジェクトブロックを更に備え、前記一対の第2プロジェクトブロックに、前記第4油圧シリンダーが設けられてもよい。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の金属板材の圧延機では、前記第3ピストンロッドの先端部に第1の係合部が形成され、前記上作業ロールチョックに、前記第1の係合部が前記上作業ロールのロール軸方向移動によって係合する第2の係合部が形成されてもよい。
(6)本発明の第二の態様は、上記(1)〜(5)の何れか1項に記載された前記圧延機を用いた金属板材の圧延方法であって、前記第1油圧シリンダーのストロークを超えるロール開度で圧延を行う際には、前記第3ピストンロッドの引き操作によってロールバランス力を発生させる金属板材の圧延方法である。
(7)本発明の第三の態様は、上記(1)〜(5)の何れか1項に記載された前記圧延機を用いた金属板材の圧延方法であって、前記第1油圧シリンダーのストロークを超えないロール開度で圧延を行う際には、圧延開始前に、インクリースベンディング力とディクリースベンディング力の双方を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させることにより、合力としてロールバランス力に相当するロールベンディング力を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させる第1工程と、その後、前記ディクリースベンディング力を圧延中ディクリースベンディング力に相当するディクリースベンディング力に変化させつつ、合力が前記ロールバランス力を維持するように、前記インクリースベンディング力を増加させる第2工程と、圧延開始時に、前記ディクリースベンディング力を保持しつつ、前記インクリースベンディング力を変化させることで、合力として圧延中ロールベンディング力に相当するロールベンディング力を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させる第3工程と、前記圧延中ロールベンディング力を保持して圧延を行う第4工程と、圧延終了時に、前記ディクリースベンディング力を保持しつつ、前記インクリースベンディング力を変化させることで、合力として前記ロールバランス力に相当するロールベンディング力を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させ、この状態で金属板材の圧延を終了する第5工程と、その後、前記ロールバランス力を維持するように、前記ディクリースベンディング力と前記インクリースベンディング力とを減少させる第6工程と、を行う金属板材の圧延方法である。
(8)上記(7)に記載の金属板材の圧延方法では、前記第3油圧シリンダー内の油圧、前記第3油圧シリンダーに繋がる油圧配管内の油圧、前記第4油圧シリンダー内の油圧、及び、前記第4油圧シリンダーに繋がる油圧配管内の油圧の少なくとも一つを連続的に測定し、その測定値に基づき、合力として前記上作業ロールチョック及び前記下作業ロールチョックに作用する前記ロールベンディング力が所定の値になるように前記インクリースベンディング力を制御してもよい。
(9)本発明の第四の態様は、上記(1)〜(5)の何れか1項に記載された前記圧延機を用いた金属板材の圧延方法であって、圧延時に前記第1油圧シリンダーのストロークを超えるロール開度で圧延を行う際には、前記第3ピストンロッドの引き操作によって、前記上作業ロールのロールバランス力を付与し、その後、前記第1油圧シリンダーのストロークを超えないロール開度で圧延を行う際には、圧延開始前に、インクリースベンディング力とディクリースベンディング力の双方を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させることにより、合力としてロールバランス力に相当するロールベンディング力を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させる第1工程と、その後、前記ディクリースベンディング力を圧延中ディクリースベンディング力に相当するディクリースベンディング力に変化させつつ、合力が前記ロールバランス力を維持するように、前記インクリースベンディング力を増加させる第2工程と、圧延開始時に、前記ディクリースベンディング力を保持しつつ、前記インクリースベンディング力を変化させることで、合力として圧延中ロールベンディング力に相当するロールベンディング力を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させる第3工程と、
前記圧延中ロールベンディング力を保持して圧延を行う第4工程と、圧延終了時に、前記ディクリースベンディング力を保持しつつ、前記インクリースベンディング力を変化させることで、合力として前記ロールバランス力に相当するロールベンディング力を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させ、この状態で金属板材の圧延を終了する第5工程と、その後、前記ロールバランス力を維持するように、前記ディクリースベンディング力と前記インクリースベンディング力とを減少させる第6工程と、を行う金属板材の圧延方法である。
(10)上記(9)に記載の金属板材の圧延方法では、前記第3油圧シリンダー内の油圧、前記第3油圧シリンダーに繋がる油圧配管内の油圧、前記第4油圧シリンダー内の油圧、及び、前記第4油圧シリンダーに繋がる油圧配管内の油圧の少なくとも一つを連続的に測定し、その測定値に基づき、合力として前記上作業ロールチョック及び前記下作業ロールチョックに作用する前記ロールベンディング力が所定の値になるように前記インクリースベンディング力を制御してもよい。
したがって、圧延材入側板厚や圧延材温度等の圧延中に変動する外乱に対しても良好な板クラウン・形状を造り込むことが可能であり、製品品質および歩留を大きく改善することができる。
また、上作業ロールにインクリースベンディング力およびディクリースベンディング力を付与して、強力な板クラウン・形状制御機能を実現することができるだけでなく、上作業ロールディクリースベンディング装置に複動式油圧シリンダーを採用してロールバランス力の発生を可能としたので大開度のロール間隙をも実現できる。すなわち、一台で、板厚の大きな分塊圧延から、正確な板クラウン・形状制御を要求される熱延薄板圧延まで、対応することができる。
また、上作業ロールチョックにかかる圧延方向力を常にハウジングウィンドウで負担するため、安定して上作業ロールチョックを支えることができる。
また、一対の第1プロジェクトブロックに、上下インクリースベンディング装置を組み込むことができる。これにより、大容量・大ストロークの強力ベンディング装置を実現することができる。
また、インクリースベンディング装置を一対の第1プロジェクトブロックに組み込むことで、油圧配管を固定化でき、サーボバルブを適用することができる。これにより、高応答のインクリースベンディング力の制御が可能となる。
応答性の低いディクリースベンディング装置であっても、応答性の高いインクリースベンディング装置との協働により、高応答のロールベンディング力制御が可能となる。これにより、製品品質、圧延歩留が大きく改善される。
図1は、本発明の一実施形態に係る圧延機1の構造の一例を示す側面図である。当該図面に示すように、本発明の一実施形態に係る圧延機1は、上作業ロールチョック3−1及び下作業ロールチョック3−2と、上補強ロールチョック4−1及び下補強ロールチョック4−2と、これらのロールチョックを収容するハウジング9とを備える。ハウジング9には、一対の第1プロジェクトブロック5−1、5−2(すなわち、金属板材の入側に設けられる第1プロジェクトブロックと、出側に設けられる第1プロジェクトブロック)が一体に形成され、また、ハウジングウィンドウ12が形成される。
上作業ロールチョック3−1は、金属板材を圧延する上作業ロール1−1を支持し、下作業ロールチョック3−2は、金属板材を圧延する下作業ロール1−2を支持する。
また、上補強ロールチョック4−1は、上作業ロール1−1の上方に配置される上補強ロール2−1を支持し、下補強ロールチョック4−2は、下作業ロール1−2の下方に配置される下補強ロールを支持する。
具体的には、上インクリースベンディング装置6−1、6−2は、そのアクチュエータである第1油圧シリンダー及びそのピストンロッド(第1ピストンロッド)により構成される。第1油圧シリンダーは一対の第1プロジェクトブロック5−1、5−2に内蔵され、第1ピストンロッドはその先端部が一対の第1プロジェクトブロック5−1、5−2の上面から突出して上作業ロールチョック3−1に接触するように設けられる。
また、下インクリースベンディング装置6−3、6−4は、そのアクチュエータである第2油圧シリンダー及びそのピストンロッド(第2ピストンロッド)により構成される。第2油圧シリンダーは一対の第1プロジェクトブロック5−1、5−2に内蔵され、第2ピストンロッドはその先端部が一対の第1プロジェクトブロック5−1、5−2の下面から突出して下作業ロールチョック3−2に接触するように設けられる。
上記2つの機能を有する上ディクリースベンディング装置7−1、7−2は、そのアクチュエータである第3油圧シリンダー及びそのピストンロッド(第3ピストンロッド)により構成される。第3油圧シリンダーは上補強ロールチョック4−1内に配備される。第3ピストンロッドは、その先端部が上作業ロールチョック3−1に係合する形状を有する。
この下ディクリースベンディング装置7−3、7−4は、そのアクチュエータである第4油圧シリンダー及びそのピストンロッド(第4ピストンロッド)により構成される。第4油圧シリンダーは、下補強ロールチョック4−2に配備、又は、後述する一対の第2プロジェクトブロック5−3、5−4に内蔵される。第4ピストンロッドはその先端部が下作業ロールチョック3−2に接触するように設けられる。
図2は、上作業ロール1−1と上作業ロールチョック3−1の見取り図であり、図中、手前が駆動側、奥が作業側となる。上作業ロール1−1のロールチョック3−1の上面左右には、上ディクリースベンディング装置7−1、7−2を構成する第3油圧シリンダーの第3ピストンロッドの先端が嵌合する断面逆T字状の溝31が第1の係合部として形成されており、この溝31は、駆動側に開口するとともに、チョックの中心近傍まで形成されている。
圧延機1へのロールセットの挿入に際しては、操作側から両端部にロールチョックをセットした作業ロールを圧延機1のハウジング内の所定の位置にレール等を用いて搬入するに際して、上補強ロールチョック4−1内にディクリースベンディング装置である油圧シリンダーのピストンロッドを引き込んでおき、搬入の障害とならないようにしておく。
次いで、上作業ロールチョック3−1の溝31が係合すべき第3油圧シリンダーの第3ピストンロッドの拡大部(第2の係合部)の直前に位置した際に、このピストンロッドを所定の位置に下降させる。そして、図3Cに示すように、溝31の内面と第3ピストンロッドの外面とが接触しない位置関係を維持しつつ、駆動側の溝開口部から第3ピストンロッドの拡大部を溝31内に進入させる。これにより、第1の係合部と第2の係合部との係合を実現する。
すなわち、上ディクリースベンディング装置7−1、7−2の第3油圧シリンダーにより、その第3ピストンロッドは下方に伸長して、上作業ロールチョック3−1の溝31の底面に押圧力fDCを付与することで、ディクリースベンディング力を付与する。
本実施形態に係る圧延機1では、上下のインクリースベンディング装置6−1〜6−4を、一対の第1プロジェクトブロック5−1、5−2の平面断面図上で、互いにずらして配備することが望ましい。例えば、図4に示すように、上インクリースベンディング装置6−1、6−2と、下インクリースベンディング装置6−3、6−4とを、作業ロール1−2の軸方向にシフトした位置関係となるように配備することが望ましい。このようにすれば、一対の第1プロジェクトブロック5−1、5−2内のそれぞれにおいて、上下のインクリースベンディング装置6−1〜6−4が互いに干渉しない。
すなわち、第1プロジェクトブロック5−1、5−2のそれぞれに内蔵される第1油圧シリンダーと第2油圧シリンダーとが互いに干渉しない。このため、第1油圧シリンダー及び第2油圧シリンダーの容量を大きくし、且つ、第1ピストンロッド及び第2ピストンロッドのストロークを大きくして、インクリースベンディング操作量を大きくすることができる。
ここまでは、主に解決課題の一つである大きなロール開度を得る観点から、本実施形態に係る圧延機1の構造について説明してきた。
図12、13はいずれも従来技術に係る圧延機1A、1Bであり、何れの圧延機もロール開度を大きくとることができる。
しかしながら、これらの圧延機1A、1Bでは、強力なロールベンディング力を付与することができない。これは、上補強ロールチョック4−1から下方に突出したアーム部に、上インクリースベンディング装置6−1、6−2を組み込む構造であるため、大容量および大ストロークの上インクリースベンディング装置6−1、6−2を配備することができないからである。また、これらの圧延機1A、1Bは、上補強ロールチョック4−1からアーム部を延出するため、上ディクリースベンディング装置7−1、7−2を設置しようとしても、設置スペースがロールの軸心に寄ってしまう。そのため、上補強ロール2−1の軸受けと干渉するので、大容量・大ストロークの上ディクリースベンディング装置7−1、7−2を配備することができない。
また、本実施形態に係る圧延機1は、上補強ロールチョック4−1には、図12、13に示す圧延機1A、1Bのようなアーム部を備えない。このため、上補強ロールチョック4−1の上補強ロール2−1の軸受けと干渉しない位置に、大容量・大ストロークの上ディクリースベンディング装置7−1、7−2を配備することができ、これによって上作業ロール1−1に大きなディクリースベンディング力を付与することができる。
また、作業ロールの組み換え作業の度に、インクリースベンディング装置の油圧配管を着脱する必要がない。このために、それぞれのインクリースベンディング装置6−1〜6−4には、固定油圧配管を介してそれぞれの油圧制御弁に接続することができ、高応答油圧制御のためのサーボバルブを採用することができる。したがって、応答性の高いインクリースベンディング装置とすることができる。
このために、一般に高応答油圧制御のためのサーボバルブを採用することが困難となる上、フレキシブル配管を一部に採用しなければならない場合もある。
したがって、固定配管やサーボバルブを採用した場合と比較すると、ロールベンディング装置の応答性は低くならざるを得ない。
図1、6に示すように、上ディクリースベンディング装置7−1、7−2を上補強ロールチョック4−1に配備した場合、上補強ロール2−1を組み替える際には、上ディクリースベンディング装置7−1、7−2の油圧配管を着脱しなければならず、着脱時には油圧配管内に微小な異物が混入する可能性が高い。
このため、一般に高応答油圧制御のためのサーボバルブを採用することが比較的困難となる。また、配管着脱を容易にするために、フレキシブル配管等のように柔構造かつ着脱自在な油圧配管を介してそれぞれの油圧制御弁に接続しなければならない。フレキシブル配管等の柔構造かつ着脱自在な油圧配管を採用する場合には、柔構造であるが故に油圧の変動を吸収し、または緩和してしまうこともある。
ところで、ディクリースベンディング力は、圧延荷重が負荷されていないアイドル時に付与することができない。そのため、ディクリースベンディング力を適用する場合は、ロールバランス力をとるアイドル状態から圧延開始までに、迅速にディクリースベンディング力を設定し、さらに圧延終了時には迅速にロールバランス状態に戻す必要がある。
したがって、ロールベンディング力の変更を応答性に劣るディクリースベンディング装置による制御で実施すると、圧延材の先尾端において、所定のディクリースベンディング力が付与されずに、形状不良部が長くなる可能性がある。
すなわち、上ディクリースベンディング装置7−1、7−2を上補強ロールチョック4−1に配備した本実施形態に係る圧延機1、1’を用いた圧延方法であって、当該圧延機1、1’に生じ得る上記問題を解決する圧延方法である。
前記したように、上ディクリースベンディング装置7−1、7−2を上補強ロールチョック4−1に配備した圧延機1、1’においては、ディクリースベンディング装置の応答性が悪くなる場合がある。
しかし、本実施形態に係る圧延機1、1’では、ハウジング9からその内側方向に突出する一対の第1プロジェクトブロック5−1、5−2に、上インクリースベンディング装置6−1、6−2を配備する構造であるため、大容量・大ストロークの上インクリースベンディング装置とすることができる。
本実施形態に係る圧延方法は、板クラウン・形状制御の目的で、作業ロールにディクリースベンディング力を作用させる場合に、圧延開始時および圧延終了時のロールベンディング力の変更を、応答性の高いインクリースベンディング装置を用いて行い、ディクリースベンディング装置の応答性を補償する。
また、図8に、この圧延方法における、一本の圧延材に対するロールベンディング力等の時系列変化を示す。図8は上から、圧延荷重、インクリースベンディング装置の出力、ディクリースベンディング装置の出力、それらの合力である作業ロールベンディング力の時系列変化を示している。以下、図7、8に基づいて説明する。
圧延開始前は、インクリースベンディング力とディクリースベンディング力の双方を作用させ、合力としてロールバランス力FBに相当するインクリース側のロールベンディング力が作業ロールチョックに作用するようにする。
すなわち、圧延前のアイドル時には、インクリースベンディング装置出力をIB(>0)、ディクリースベンディング装置出力をDB(<0)とし、IB+DBがロールバランス力FB(>0)として作用する。
そして、圧延開始前のあるタイミング(時間軸上のa点)において、圧延中作業ロールベンディング力FRを作用させるのに十分な所定の圧延中ディクリースベンディング装置出力DSをDS=FR−IRによって演算する。そして、ロールバランス力FBが一定となるように、DSおよびISを同時に出力する。ここで、IRは、圧延中のインクリースベンディング装置出力であり、DSの絶対値が過大にならないように、制御可能な最小値に近い値を予め決めておく。ISはIS+DS=Frとなるインクリースベンディング装置出力である。したがって、設定タイミングにおいては、合力としての作業ロールベンディング力はFBのままで、実質的に変化しない。
次に、圧延開始時に、ディクリースベンディング力は一定値を保持しつつ、インクリースベンディング力を変化(低下)させ、合力として所定の圧延中作業ロールベンディング力FRが作業ロールチョックに作用するようにする。
すなわち、圧延開始時(時間軸上のb点)において、インクリースベンディング装置出力をISからIRに変更する。このようにすることで、応答の遅いディクリースベンディング装置出力はDSのままで、応答の速いインクリースベンディング装置の制御によって、合力としての作業ロールベンディング力をロールバランス力FB(>0)から圧延作業中ロールベンディング力FR(<0)に、迅速に切り換えることができる。
そして、この圧延中ロールベンディング力を維持して金属板の圧延を行う。
圧延終了時に、ロールベンディング力を圧延開始前の状態に戻すため、合力として、ロールバランス力FBに相当するロールベンディング力を作業ロールチョックに作用させ、圧延を終了する。
すなわち、圧延終了時(時間軸上のc点)において、ディクリースベンディング装置出力はDSのままで、応答の速いインクリースベンディング装置出力をIRからISに変化させる。このようにすることで、合力としての作業ロールベンディング力を圧延中作業ロールベンディング力(FR(<0))からロールバランス力(FS(>0))に迅速に切り替えることができる。
そして、圧延終了時(c)から、例えば1〜3秒経過した時点を、作業完了タイミング(時間軸上のd点)とし、このタイミングで、インクリースベンディング装置出力をIBに、ディクリースベンディング装置出力をDBに変更する。この変更でも、合力としての作業ロールベンディング力はロールバランス力FBにほぼ維持される。
さらに、圧延中に種々の要因(外乱)によって圧延力が変化する場合にあっても、高応答なインクリースベンディング装置で、最適な作業ロールベンディング力を維持するように迅速に制御することが可能である。
タイミングbおよびcにおいて、応答性の高いインクリースベンディング装置の出力が急激に変化するため、応答性の悪いディクリースベンディング装置の出力が変動する。その結果、合力としての作業ロールベンディング力は、タイミングbでFRに到達するのが送れ、タイミングcでFBに到達するのが遅れることになる。図10に示す圧延方法は、この問題を解決する。
図10に示す圧延方法では、ディクリースベンディング装置に設置したロードセルでディクリースベンディング力を、あるいはディクリースベンディング装置に繋がる油圧配管内の油圧を常時測定し、この測定値に基づいてインクリースベンディング装置をダイナミック制御する。すなわち、圧延前後は作業ロールベンディング力がロールバランス力FBとなるように、インクリースベンディング装置の出力を、ディクリースベンディング力またはディクリースベンディング装置の油圧に応じて制御する。なお、これ以外の制御は、図7に示す圧延方法と同様であるが、以下に具体的に説明する。
(第1工程)
圧延開始前は、インクリースベンディング力とディクリースベンディング力の双方を作用させ、合力としてロールバランス力FBに相当するインクリース側のロールベンディング力が作業ロールチョックに作用するようにする。
すなわち、圧延前のアイドル時には、インクリースベンディング装置出力をIB(>0)、ディクリースベンディング装置出力をDB(<0)とし、IB+DBがロールバランス力FB(>0)として作用する。
そして、圧延開始前のあるタイミング(時間軸上のa点)において、圧延中作業ロールベンディング力FRを作用させるのに十分な所定の圧延中ディクリースベンディング装置出力DSをDS=FR−IRによって演算し、ディクリースベンディング力をDBからDSに変更する。また、ISはIS+DS=Frにより定まるインクリースベンディング装置出力であり、Dsと同時に出力する。ここで、ディクリースベンディング力を時々刻々と(すなわち、連続的に)測定することにより得られる測定値DMを用いて、微小に変動し得るロールバランス力FBが常に一定となるようにインクリースベンディング装置出力ISを制御する。
次に、圧延開始時に、ディクリースベンディング力は一定値を保持しつつ、インクリースベンディング力を変化(低下)させ、合力として所定の圧延中作業ロールベンディング力FRが作業ロールチョックに作用するようにする。
すなわち、圧延開始時(時間軸上のb点)において、インクリースベンディング装置出力をISからIRに変更する。このようにすることで、応答の遅いディクリースベンディング装置出力はDSのままで、応答の速いインクリースベンディング装置の制御によって、合力としての作業ロールベンディング力をロールバランス力FB(>0)から圧延作業中ロールベンディング力FR(<0)に、迅速に切り換えることができる。
そして、この圧延中ロールベンディング力を維持して圧延を行う。ここで、ディクリースベンディング力を時々刻々と(すなわち、連続的に)に測定することにより得られる測定値DMを用いて、微小に変動し得るロールバランス力FBが常に一定となるようにインクリースベンディング装置出力IRを制御し、ディクリースベンディング装置出力DSと同時に出力する。
圧延終了時に、ロールベンディング力を圧延開始前の状態に戻すため、合力として、ロールバランス力FBに相当するロールベンディング力を作業ロールチョックに作用させ、圧延を終了する。
すなわち、圧延終了時(時間軸上のc点)において、ディクリースベンディング装置出力はDSのままで、応答の速いインクリースベンディング装置出力をIRからISに変化させる。このようにすることで、合力としての作業ロールベンディング力を圧延中作業ロールベンディング力(FR(<0))からロールバランス力(FS(>0))に迅速に切り替えることができる。
そして、圧延終了時(c)から、例えば1〜3秒経過した時点を、作業完了タイミング(時間軸上のd点)とし、このタイミングで、インクリースベンディング装置出力をIBに、ディクリースベンディング装置出力をDBに変更する。ここで、ディクリースベンディング力を時々刻々と(すなわち、連続的に)測定することにより得られる測定値DMを用いて、微小に変動し得るロールバランス力FBが常に一定となるようにインクリースベンディング装置出力ISを制御し、DSと同時に出力する。
また、圧延中のディクリースベンディング力の測定や、油圧測定によるフィードバック制御をしなくても、ディクリースベンディング装置の出力変動を予め予測し、それを補償するインクリースベンディング装置の出力を設定することでも、同様の効果を得ることができる。
(1)上下一対の作業ロールと、これらをそれぞれ支持する上下一対の補強ロールを有する金属板材の圧延機であって、上下作業ロールにそれぞれインクリースベンディング力を付与する油圧シリンダーが、圧延機ハウジングの内側に突出したプロジェクトブロックに配備され、下作業ロールに作用する圧延方向力が、該プロジェクトブロックに支持され、上作業ロールに作用する圧延方向力が該プロジェクトブロックの上方に位置する圧延機ハウジングウィンドウによって支持されるとともに、上作業ロールディクリースベンディング力を付与する複動式の油圧シリンダーが上補強ロールチョック内に配備され、そのピストン先端が、上作業ロールチョックに接続し、上補強ロールと上作業ロールとを接触状態に保持するロールバランス出力を有する金属板材の圧延機。
この圧延機では、上作業ロールにインクリースベンディング力を付与する油圧シリンダーと、下作業ロールにインクリースベンディング力を付与する油圧シリンダーとが、前記プロジェクトブロック内において平面図上で異なる位置に配備されてもよい。
この圧延機では、下作業ロールにディクリースベンディング力を付与する油圧シリンダーが、下補強ロールチョックまたは前記プロジェクトブロックの下方に位置する第2のプロジェクトブロックに配備されてもよい。
この圧延機では、上作業ロールディクリースベンディング力を付与する油圧シリンダーのピストン先端断面が拡大部を具備し、上作業ロールチョックには、該拡大部が、上作業ロール交換時のロール軸方向移動によって、係合する凹部が形成されてもよい。
(2)上述の圧延機を用いて、厚板圧延を行う熱間圧延方法。
(3)上述の圧延機を用いて、厚板を製造するに当たり、上作業ロールインクリースベンディング力を付与する油圧シリンダーのストロークを超えるロール開度をとる場合に、上作業ロールディクリースベンディング力を付与する油圧シリンダーの引き操作によって、上作業ロールのロールバランス力を付与する熱間圧延方法。
(4)上述の圧延機を用いて、薄板熱間圧延の粗圧延および/または仕上圧延を行う熱間圧延方法。
(5)上述の熱間圧延方法であって、圧延開始前に、インクリースベンディング力とディクリースベンディング力の双方を作用させ、合力としてロールバランス力に相当するロールベンディング力を作業ロールチョックに作用させ、その後、ディクリースベンディング力を所定の圧延中ディクリースベンディング力となるように変化させつつ、ディクリースベンディング力とインクリースベンディング力の合力がロールバランス力を維持するようにインクリースベンディング力を変化させ、その後、圧延開始時に、ディクリースベンディング力を前記所定の圧延中ディクリースベンディング力を保持する制御を継続しつつ、インクリースベンディング力を変化させ、合力としての所定の圧延中作業ロールベンディング力が作業ロールチョックに作用する状態にし、圧延中は、前記所定の圧延中作業ロールベンディング力を維持するように圧延を行い、その後、圧延終了時に、インクリースベンディング力を変化させ、ディクリースベンディング力との合力としてロールバランス力に相当するロールベンディング力を作業ロールチョックに作用させ、この状態で金属板材の圧延を終了し、その後、前記合力としてのロールバランス力を維持するように、ディクリースベンディング力とインクリースベンディング力を減少させることを特徴とする金属板材の圧延方法。
この金属板材の圧延方法では、ディクリースベンディング力を発生させる油圧シリンダー内あるいは該油圧シリンダーに繋がる油圧配管内の油圧を測定し、その測定値に基づき、合力として作業ロールチョックに作用するロールベンディング力が所定の値になるようにインクリースベンディング力を制御してもよい。
1−2 下作業ロール
2−1 上補強ロール
2−2 下補強ロール
3−1 上作業ロールチョック
3−2 下作業ロールチョック
4−1 上補強ロールチョック
4−2 下補強ロールチョック
5−1、5−2 一対の第1プロジェクトブロック
5−3、5−4 一対の第2プロジェクトブロック
6−1 入側上インクリースベンディング装置
6−2 出側上インクリースベンディング装置
6−3 入側下インクリースベンディング装置
6−4 出側下インクリースベンディング装置
7−1 入側上ディクリースベンディング装置
7−2 出側上ディクリースベンディング装置
7−3 入側下ディクリースベンディング装置
7−4 出側下ディクリースベンディング装置
8−1 入側補強ロールバランス装置
8−2 出側補強ロールバランス装置
9 ハウジング
10 金属板材
11 圧下装置
12 ハウジングウィンドウ
31 溝
Claims (10)
- 金属板材を圧延する上作業ロール及び下作業ロールと;
前記上作業ロール及び前記下作業ロールをそれぞれ支持する上補強ロール及び下補強ロールと;
前記上作業ロール及び前記下作業ロールをそれぞれ支持する上作業ロールチョック及び下作業ロールチョックと;
前記上補強ロール及び前記下補強ロールをそれぞれ支持する上補強ロールチョック及び下補強ロールチョックと;
前記上作業ロールチョック、前記下作業ロールチョック、前記上補強ロールチョック、及び前記下補強ロールチョックを収容し、互いに内方へ突出して前記下作業ロールに作用する圧延方向力を負担する一対の第1プロジェクトブロックを有し、前記上作業ロールに作用する圧延方向力を負担するハウジングウィンドウが形成されるハウジングと;
前記一対の第1プロジェクトブロックに設けられ、前記上作業ロールチョックを介して前記上作業ロールにインクリースベンディング力を付与する第1ピストンロッドを有する第1油圧シリンダーと;
前記一対の第1プロジェクトブロックに設けられ、前記下作業ロールチョックを介して前記下作業ロールにインクリースベンディング力を付与する第2ピストンロッドを有する第2油圧シリンダーと;
前記上補強ロールチョックに設けられ、前記上作業ロールにディクリースベンディング力を付与する、又は、前記上作業ロールを前記上補強ロールに接触させてロールバランス力を発生させる第3ピストンロッドを有する第3油圧シリンダーと;
前記下作業ロールにディクリースベンディング力を付与する第4ピストンロッドを有する第4油圧シリンダーと;
を備えることを特徴とする金属板材の圧延機。 - 前記第1油圧シリンダーと、前記第2油圧シリンダーとが、前記一対の第1プロジェクトブロック内で平面図上の互いに異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の金属板材の圧延機。
- 前記下補強ロールチョックに、前記第4油圧シリンダーが設けられることを特徴とする請求項1に記載の金属板材の圧延機。
- 前記ハウジングが、前記一対の第1プロジェクトブロックの下方において前記ハウジングから内方へ突出する一対の第2プロジェクトブロックを更に備え、
前記一対の第2プロジェクトブロックに、前記第4油圧シリンダーが設けられることを特徴とする請求項1に記載の金属板材の圧延機。 - 前記第3ピストンロッドの先端部に第1の係合部が形成され、
前記上作業ロールチョックに、前記第1の係合部が前記上作業ロールのロール軸方向移動によって係合する第2の係合部が形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の金属板材の圧延機。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載された前記圧延機を用いた金属板材の圧延方法であって、
前記第1油圧シリンダーのストロークを超えるロール開度で圧延を行う際には、前記第3ピストンロッドの引き操作によってロールバランス力を発生させる
ことを特徴とする金属板材の圧延方法。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載された前記圧延機を用いた金属板材の圧延方法であって、
前記第1油圧シリンダーのストロークを超えないロール開度で圧延を行う際には、
圧延開始前に、インクリースベンディング力とディクリースベンディング力の双方を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させることにより、合力としてロールバランス力に相当するロールベンディング力を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させる第1工程と、
その後、前記ディクリースベンディング力を圧延中ディクリースベンディング力に相当するディクリースベンディング力に変化させつつ、合力が前記ロールバランス力を維持するように、前記インクリースベンディング力を増加させる第2工程と、
圧延開始時に、前記ディクリースベンディング力を保持しつつ、前記インクリースベンディング力を変化させることで、合力として圧延中ロールベンディング力に相当するロールベンディング力を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させる第3工程と、
前記圧延中ロールベンディング力を保持して圧延を行う第4工程と、
圧延終了時に、前記ディクリースベンディング力を保持しつつ、前記インクリースベンディング力を変化させることで、合力として前記ロールバランス力に相当するロールベンディング力を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させ、この状態で金属板材の圧延を終了する第5工程と、
その後、前記ロールバランス力を維持するように、前記ディクリースベンディング力と前記インクリースベンディング力とを減少させる第6工程と、
を行うことを特徴とする金属板材の圧延方法。 - 前記第3油圧シリンダー内の油圧、前記第3油圧シリンダーに繋がる油圧配管内の油圧、前記第4油圧シリンダー内の油圧、及び、前記第4油圧シリンダーに繋がる油圧配管内の油圧の少なくとも一つを連続的に測定し、その測定値に基づき、合力として前記上作業ロールチョック及び前記下作業ロールチョックに作用する前記ロールベンディング力が所定の値になるように前記インクリースベンディング力を制御する
ことを特徴とする請求項7に記載された金属板材の圧延方法。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載された前記圧延機を用いた金属板材の圧延方法であって、
圧延時に前記第1油圧シリンダーのストロークを超えるロール開度で圧延を行う際には、前記第3ピストンロッドの引き操作によって、前記上作業ロールのロールバランス力を付与し、
その後、前記第1油圧シリンダーのストロークを超えないロール開度で圧延を行う際には、
圧延開始前に、インクリースベンディング力とディクリースベンディング力の双方を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させることにより、合力としてロールバランス力に相当するロールベンディング力を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させる第1工程と、
その後、前記ディクリースベンディング力を圧延中ディクリースベンディング力に相当するディクリースベンディング力に変化させつつ、合力が前記ロールバランス力を維持するように、前記インクリースベンディング力を増加させる第2工程と、
圧延開始時に、前記ディクリースベンディング力を保持しつつ、前記インクリースベンディング力を変化させることで、合力として圧延中ロールベンディング力に相当するロールベンディング力を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させる第3工程と、
前記圧延中ロールベンディング力を保持して圧延を行う第4工程と、
圧延終了時に、前記ディクリースベンディング力を保持しつつ、前記インクリースベンディング力を変化させることで、合力として前記ロールバランス力に相当するロールベンディング力を前記上作業ロール及び前記下作業ロールに作用させ、この状態で金属板材の圧延を終了する第5工程と、
その後、前記ロールバランス力を維持するように、前記ディクリースベンディング力と前記インクリースベンディング力とを減少させる第6工程と、
を行うことを特徴とする金属板材の圧延方法。 - 前記第3油圧シリンダー内の油圧、前記第3油圧シリンダーに繋がる油圧配管内の油圧、前記第4油圧シリンダー内の油圧、及び、前記第4油圧シリンダーに繋がる油圧配管内の油圧の少なくとも一つを連続的に測定し、その測定値に基づき、合力として前記上作業ロールチョック及び前記下作業ロールチョックに作用する前記ロールベンディング力が所定の値になるように前記インクリースベンディング力を制御する
ことを特徴とする請求項9に記載された金属板材の圧延方法。
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