JP5059056B2 - 微細構造体の製造方法及び液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

微細構造体の製造方法及び液体吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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本発明は、微細構造体の製造方法に関し、具体的には記録用紙等の被記録材にインク等を吐出することが可能な液体吐出ヘッドの製造方法の製造方法に関する。
インク等の記録液を吐出して記録を行うインクジェット記録方式に適用される液体吐出ヘッドを作製する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
特許文献1では以下のような液体吐出ヘッドの製造方法を開示している。まず、液体吐出エネルギー発生素子を形成した基板上に感光性材料にてインク流路の型をパターニングする。次いで、型パターンを被覆するように前記基板上に被覆樹脂層を塗布形成し、該被覆樹脂層に前記インク流路の型に連通するインク吐出孔を形成する。その後、型に使用した感光性材料を除去する。この製造方法では、感光性材料としては、除去の容易性の観点からポジ型レジストが用いられている。また、この製法によると、半導体のフォトリソグラフィーの手法を適用しているので、インク流路、吐出孔等の形成に関して極めて高精度で微細な加工が可能である。しかし、該半導体の製造方法を適用した製法においては基本的には、インク流路及び吐出口近傍の形状変更は素子基板と平行な2次元方向での変更に限定されてしまう。すなわち、インク流路及び吐出口の型に感光性材料を用いることにより、感光材層を部分的に多層化することができず、インク流路等の型において高さ方向に変化をつけた所望のパターンが得られない(素子基板からの高さ方向の形状が一様に限定されてしまう)。そのため流路の設計等に制約が生じる懸念がある。
一方、特許文献2では、液流路構造体のエキシマレーザー加工に際して、レーザーマスクの不透明度を部分的に変化せしめて樹脂フィルムの加工深さを制御することを開示している。この方法によれば、3次元方向、すなわち素子基板と平行な面内方向と該素子基板からの高さ方向でのインク流路の形状変更を実現することが可能である。しかし、これら加工に用いられるエキシマレーザーは、半導体の露光に使用されるエキシマレーザーと異なり、広帯域にて高い輝度のレーザーが使用され、レーザー照射面内での照度のバラツキを抑えてレーザー照度の安定化を実現することは非常に難しい。特に高画質のインクジェットヘッドにおいては、各吐出ノズル相互での加工形状のバラツキによる吐出特性の不均一は画像のムラとなって認識され、加工精度の向上を実現することが大きな課題となる。さらに、レーザー加工面に付くテーパーにより微細なパターン形成ができない場合がある。
米国特許第4657631号明細書 米国特許第6158843号明細書
そこで本発明は、以上のような課題を鑑みてなされたもので、近年のインクジェットプリンターなどに要望される高画質化、高精細化を達成できる微細構造を有する液体吐出ヘッドを安価に形成できる製造方法の提供を目的の一つとしている。
本発明の一例は、液体を吐出するための吐出口と、該吐出口と連通する液体の流路と、が設けられた流路壁部材を備えた基板を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
前記流路壁部材を形成するための有機樹脂からなる有機樹脂層、を備えた基板を提供する工程と、
パルス幅が2ピコ秒以上20ピコ秒以下であって、波長200nm以上2000nm以下のレーザー光を、レンズを用いて集光し、前記レーザー光の集光の焦点の位置が前記有機樹脂層の内部になるように前記有機樹脂層に照射しながら、前記焦点を移動させることにより前記有機樹脂層の有機樹脂をガス化させて部分的に除去して前記流路及び前記吐出口を形成することにより前記流路壁部材を形成する工程とを有し、
前記レーザー光が前記有機樹脂層を透過する透過率は20パーセント以上であり、前記レーザー光の波長帯に対する前記有機樹脂層の吸光度Aは下記式を満たし、
A=log10(I/I)=0.434αL
(但し、Iは、前記レーザー光が前記有機樹脂層に入射する前の強度、Iは前記レーザー光が前記有機樹脂層を透過した後のその透過光の強度、αは前記有機樹脂固有の吸光係数、Lは有機樹脂層の厚さである。かつ、Aは、0<A<10を満たし、Lは、10μm<L<1.0mmを満たす。)
前記吐出口を形成する際には、前記レンズの開口数をNAとして、NA≧0.3のレンズを用い、2.0×10[W/cm・Pulse]≦E≦3.0×1011[W/cm・Pulse]の条件で前記レーザー光を前記有機樹脂層に照射し、前記流路を形成する際には、NA≧0.5のレンズを用い、5.0×10[W/cm・Pulse]≦E≦3.0×1011[W/cm・Pulse]の条件で前記レーザー光を前記有機樹脂層に照射し、
(但し、E(単位[W/cm・Pulse])は、前記有機樹脂層に照射されるレーザーパルス光の、単位面積当たり、単位発振パルス時間当たりのパワーである。)
前記有機樹脂層の有機樹脂をガス化させて部分的に除去した後に、前記流路及び前記吐出口を、現像液を用いて洗浄することにより、前記流路或いは前記吐出口にガス化せず残存した前記有機樹脂の残留物を除去する工程を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法である。
本発明は、微細構造を有する液体吐出ヘッドを安価に形成できる製造方法を提供することができる。
実施例1の液体吐出ヘッドの上面図である。 図1で示した液体吐出ヘッドのA−A’断面図である。 図1で示した液体吐出ヘッドのB−B’断面図である。 実施例2の液体吐出ヘッドの上面図である。 図2で示した液体吐出ヘッドのA−A’断面図である。 図2で示した液体吐出ヘッドのB−B’断面図である。 本発明の液体吐出ヘッドの製造方法の工程フローである。 本発明の製造方法で用いた短パルスレーザー加工装置の概要である。 本発明の微細構造体の製造方法の工程フローである。 本発明の微細構造体及び液体吐出ヘッドの製造時の製造条件に関する説明図である。
以下、図面を参照して、本発明を具体的に説明する。
なお、液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。そして、この液体吐出ヘッドを用いることによって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど種々の記録媒体に記録を行うことができる。なお、本明細書内で用いられる「記録」とは、文字や図形などの意味を持つ画像を記録媒体に対して付与することだけでなく、パターンなどの意味を持たない画像を付与することも意味することとする。
さらに、「インク」又は「液体」とは、広く解釈されるべきものであり、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、記録媒体の加工、或いはインク又は記録媒体の処理に供される液体を言うものとする。ここで、インク又は記録媒体の処理としては、例えば、記録媒体に付与されるインク中の色材の凝固又は不溶化による定着性の向上や、記録品位乃至発色性の向上、画像耐久性の向上などのことを言う。
近年、インクジェット記録ヘッドは、インク以外に、薬液等の溶液を用いたバイオチップ作製や電子回路印刷の他、薬剤吐出用の医療用途にも使用される場合があり、液体吐出ヘッドとして説明を行う。
本発明により製造される液体吐出ヘッドは、図1〜6に示すように、複数の吐出口102とそれに連通する複数の流路103とが1対1に対応して配置されており、該複数の流路103が、1つの大きな供給口105と連通されている。図1〜3では、複数の吐出口102と、吐出口102に1対1で連通する流路103が、1つの大きな供給口105をはさんで、1列に配置されている。図1〜3では、複数の吐出口102と、吐出口102に1対1で連通する流路103が、約42μmピッチ(600dpi)で配列されており、それらが大きな供給口105をはさんで千鳥配置になっている。すなわち、面内では、約21μmピッチ(1200dpi)で配置されている。また、図4〜6では、複数の吐出口102と、吐出口102に1対1で連通する流路103が、約21μmピッチ(1200dpi)で配列されており、それらが大きな供給口105をはさんで、千鳥配置になっている。すなわち、面内では、約11μmピッチ(2400dpi)で配置されている。
本発明では、まず、液体を吐出するための吐出口と、該吐出口と連通する液体の流路と、が設けられた流路壁部材を形成するための有機樹脂からなる有機樹脂層、を備えた基板を提供する。具体的には、例えば、液滴を吐出させるためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子と、吐出エネルギー発生素子が設けられた素子基板上に、所望の厚膜の有機樹脂層を平坦に形成する。その後に、前記有機樹脂層を部分的に除去して前記流路及び前記吐出口を形成することにより前記流路壁部材を形成する。この除去は、パルス幅が2ピコ秒以上20ピコ秒以下のレーザー光を、前記レーザー光の集光の焦点の位置が前記有機樹脂層の内部になるように前記有機樹脂層に照射しながら、前記焦点を移動させることにより行う。このように、短パルスレーザー光を用いて、多光子吸収を用いたレーザアブレーションプロセスにより、吐出口と流路を同一工程によって形成することが可能になる。さらに、近年のレーザー発振器、及び、光学材料・設計の進歩によって、レーザー光のビーム径も、数μm(Φ5μm以下)に集光することができ、且つ、レーザー加工機の3軸制御も、サブμm以下の高精度で走査できるようになってきた。その結果、形成される吐出口のサイズも1.0μm〜100μmまで任意に形成でき、且つ、流路の幅や流路間隔(ピッチ)も従来に比べてさらに高密度に形成することができる。
前記レーザー光は波長200nm以上2000nm以下の光であることが好ましい。また、前記レーザー光が前記有機樹脂層を透過する透過率は20パーセント以上であることが好ましい。
本発明では、高密度に配置された液体吐出ヘッドを、高精度で、且つ、低コストで、且つ、高い信頼性のある製造方法によって形成することができる。
また、本発明では、上記の方法を、基板上に設けられた樹脂からなる微細構造体の製造に適用することもできる。具体的には、まず、有機樹脂からなる有機樹脂層、を備えた基板を提供する。その後に、前記有機樹脂層を部分的に除去して前記微細構造体を形成する。この除去は、パルス幅が2ピコ秒以上20ピコ秒以下のレーザー光を、前記レーザー光の集光の焦点の位置が前記有機樹脂層の内部になるように前記有機樹脂層に照射しながら、前記焦点を移動させることにより行う。さらに、前記有機樹脂層に照射されるレーザー光の単位面積当たり、単位発振パルス時間当たりのエネルギーE(単位[W/cm2・Pulse])は、5.0×109[W/cm2・Pulse]≦E≦3.0×1011[W/cm2・Pulse]を満たす。こうすることで、高精度で、且つ、低コストで、微細構造体を製造することができる。
(実施例1)
実施例1の液体吐出ヘッドのノズル形状を図1〜3に示す。液滴を吐出させるためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子101(以下、「ヒーター」と呼ぶ)設けられた素子基板100上に、複数の吐出口102と複数の流路103とが1対1に対応して連通している。そして、該複数の流路103が、大きな供給室105に連通している。前記流路103と前記供給室105が連通する近傍には、ノズルフィルター104が配置されている。これは、ヒーター101上で発生した気泡によって吐出口102から飛翔したインク液滴を補充するために供給室105から充填されるインク中に含まれるゴミなどが、前記流路103や吐出口102に詰まってしまい、不吐出の要因になるのを防ぐためである。
図1〜3に示した液体吐出ヘッドの製造工程を、図7に示している。
まず、図7(a)に示すように、ヒーター201が設けられた素子基板であるシリコン基板200の裏面に、酸化膜203を形成した。そして、前記素子基板200の両面には、高温硬化型の材料(例えば、日立化成製のHIMAL(商品名))である有機膜202を、厚さ2μmで形成した。なお、ヒーター201が形成されている面側にパターンを形成した有機膜202は、その後形成するノズル材料と素子基板との密着力を強化させる密着向上層として機能する。又、ヒーター201が形成されている面の裏面側にパターンを形成した有機膜202は、その後形成する供給室をアルカリ性のエッチング液に長時間浸漬する際の保護膜として機能する。
次に、図7(b)で示すように、前記素子基板200上に有機樹脂を塗布して、有機樹脂層204を25μm厚で形成した。前記膜厚での有機樹脂層の吸光度Aは、0.001(1064nm),0.7(355nm)であった。塗布した有機樹脂は、特開平6−286149号公報に記載されるエポキシ樹脂を主たる構成材料とする感光性材料である。前記有機樹脂は、特開平6−286149号公報に記載されるように、常温にて固体状のエポキシ樹脂と光照射によりカチオンを発生するオニウム塩を主成分とする材料であり、ネガ型の特性を有している。なお、本発明では、ネガ特性は必須ではないので、ポジ型のレジスト特性を有していても構わない。ここでは、以下の成分からなる組成物を有機樹脂として用い、塗布溶剤としてのキシレン50部に溶解したものを塗布液として用いた。
・EHPE−3150(商品名、ダイセル化学工業(株)製) 50重量部
・SP−172(商品名、旭電化工業(株)製、光カチオン重合開始剤) 1重量部
・A−187(商品名、日本ユニカー(株)製、シランカップリング剤) 2.5重量部
塗布はスピンコートにて行い、プリベークはホットプレートにて90℃、3分間行った。
その後、不図示ではあるが、撥水性被膜を形成するための撥水性材料を連続して塗布しても良い。撥水性材料としては、特開2000−326515号公報に記載されている、
・EHPE−3158(商品名、ダイセル化学工業(株)製) 34重量部
・2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)ヘキサフロロプロパン 25重量部
・1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフロロイソフ゜ロピル)ベンゼン 25重量部
・3−(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1、2−エポキシプロパン 16重量部
・A−187(商品名、日本ユニカー(株)製) 4重量部
・SP−170(商品名、旭電化工業(株)製) 1.5重量部
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 200重量部
からなる感光性撥水材を用いることができる。
なお、撥水性被膜の形成は、ラミネートにより実施することも可能である。本発明では、撥水性被膜の感光性は必須ではないので、非感光性材料の撥水材料を塗布して撥水性被膜を形成しても良い。
露光は、キヤノン製マスクアライナーMPA−600FA(商品名)を使用し、3J/cm2で行った。その際、マスクは不要であるので、パターンのないブランクマスクを使用して全面を露光した。但し、不図示ではあるが、ウェハ内のダイシング(切断)領域や、有機樹脂層が不要な領域は、マスクを使って除くことができる。その場合は、現像工程として、キシレンに60秒間浸漬して行った。その後、本硬化工程として、200℃、1時間のキュアを行った。
加工対象の有機樹脂の、前記短パルスレーザー光の波長帯に対する吸光度Aは、下記式を満たすことが好ましい。
A=log10(I0/I)=0.434αL
但し、I0は、レーザー光が前記有機樹脂層に入射する前の強度、Iはレーザー光が前記有機樹脂層を透過した後のその透過光の強度、αは前記有機樹脂固有の吸光係数、Lは有機樹脂層の厚さである。かつ、Aは、0<A<10を満たし、Lは、10μm<L<1.0mmを満たす。
また、レーザー光に対して透明であることが好ましいので、吸収係数αはα<0.1であることが好ましい。 また、有機樹脂の2光子吸収係数が、0.1〜1.0「Cm/GW」であることが好ましい。 次に、図示しないが、有機樹脂層204上に、有機樹脂層204をアルカリ溶液から保護するために、環化イソプレンを塗布した。この材料は、東京応化工業社よりOBCの商品名で上市される材料を用いた。その後、図7(c)に示すように、シリコン基板200を、テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)22重量%溶液に83℃で16時間浸漬し、インク供給のための供給室(インク供給口)205を形成した。なお、インク供給口205形成のためにマスク及びメンブレンとして使用した窒化シリコンはシリコン基板200に予めパターニングしてある。このような異方性エッチング後に、シリコン基板200を裏面が上になるようにドライエッチング装置に装着し、CF4に5%の酸素を混合したエッチャントにてメンブレン膜を除去した。次いで、シリコン基板200をキシレンに浸漬して環化イソプレンを除去した。
次に、図7(d)に示すように、短パルスレーザー光のフルエンス(単位面積当たり、単位発振パルス時間当たりのエネルギー)を0.1J/cm2として、XYZ方向に走査しながら短パルスレーザー光を照射した。なお、XYは図8でも示されるが、加工される基板の平面を規定するための直交する2方向であり、Zは加工される基板面に垂直な方向である。短パルスレーザー発振器は、Lumera社製:Hyper Rapidを使用し、次の条件で、レーザー発振をさせた。レーザー波長λ:1064nm、出力:0.00142W、繰り返し周波数:200kHz、パルスエネルギー:0.0071μJ、パルス幅:10ps、ピーク出力(ピークパワー)Pp:710kW、ビーム品質:1.1であった。この時、開口数(NA)が0.9のレンズを使用し、集光面でのスポット径は、Φ1.0μmであった。パワー密度(有機樹脂層に照射されるレーザーパルス光の、単位面積当たり、単位発振パルス時間当たりのパワー)Eは、1.0×1010[W/cm2・Pulse]であった。その結果、有機樹脂層204の流路206に相当する領域を構成する有機樹脂の分子結合を切断し、大半はガス化(アブレーション加工)し、一部が低分子状態で残っていた。
流路のような空洞領域の形成は、NAをできる限り大きく取って、Z軸方向(高さ方向)の焦点振動をできる限り浅くすることが好ましい。すなわち、加工部に対しては十分なパワー密度のレーザー光を与える必要があるが、その場合には、集光焦点以外の領域のパワーも上がることとなる。すると、加工部分と非加工部分(残す部分)とのコントラストが良好でなくなる可能性がある。しかしNAを調節し、集光焦点とその周囲のパワー差を大きく取ることによりに加工部分と非加工部分(残す部分)とのコントラストをよりはっきりさせることができる。そして加工に必要なパワー密度に応じてNAを変化させるというものである。具体的には、NA≧0.5のレンズを使用することが好ましい。また、NA<1のレンズが通常である。
また、上記の観点から、下記式(I):
E≦2.69/π×(NA)2/λ2×Pp (I)
の条件が満たされることがより好ましい。但し、E(単位[W/cm2・Pulse])は、前記有機樹脂層に照射されるレーザーパルス光の、単位面積当たり、単位発振パルス時間当たりのパワーである。λ(単位[cm])は、前記レーザー光の波長である。Pp(単位[W])は、前記有機樹脂層に照射されるレーザーパルス光のピークパワー(ピーク出力)である。
上記を満たすことにより、流路加工のように、樹脂硬化物の表層を加工せずに内部を選択的に加工する際に、加工部と非加工部との加工の程度の選択比を十分大きく取ることができる。言い換えれば、加工部の樹脂は十分に除去され、非加工部は形状を維持できるということである。
上記式は光照射技術の分野で知られるレイリーの式を元に、発明者らの検討により得られる。
また、照射する短パルスレーザー光のフルエンスを大きく取ることで、レーザー光の焦点領域での分子励起領域をできる限り狭くし、1パルス当たりでの分子結合を切断又はガス化する領域を狭くすることで、XYZ方向での高精度の加工が可能になる。前記の結果、流路幅:25μm、流路ピッチ:42μm(600dpi)、流路高さ:15μmの領域の前記有機樹脂層の、分子結合の切断、又はガス化を行った。
次に、図7(e)に示すように、短パルスレーザー光のフルエンスを3.144J/cm2として、開口数(NA)が0.3のレンズを使用し、XYZ方向に走査しながら短パルスレーザー光を照射した。短パルスレーザー発振器は、Lumera社製:Hyper Rapidを使用し、次の条件で、レーザー発振をさせた。レーザー波長:1064nm、出力:1W、繰り返し周波数:500kHz、パルスエネルギー:2μJ、パルス幅:12ps、ピーク出力:166kW、ビーム品質:1.2であった。集光面でのスポット径は、Φ2.0μmであった。エネルギー密度は、2.65×1011[W/cm2・Pulse]であった。その結果、有機樹脂層204の吐出口207に相当する領域を構成する有機樹脂の分子結合を切断し、大半はガス化(アブレーション加工)し、一部が低分子状態で残っていた。開口面(吐出口)の加工は、前記空洞領域ほど、Z軸(基板面に直交)方向での加工精度を考慮する必要がないので、NAは比較的小さくでも良い。つまり、焦点振動を深く取って、分子励起させる領域を大きくさせても、所望の形状を作成することができる。具体的には、吐出口加工時は、NA≧0.3のレンズが使用できる。
吐出口加工時には、レーザー光を集光させる集光面のレーザー光のスポット径は、所望の吐出口サイズよりも小さくしておく。前記の結果、吐出口径:Φ15μm、吐出口厚さ:10μmの円筒形状の領域で、前記有機樹脂層の、分子結合の切断、又はガス化を行った。
前述の図7(d)及び(e)に示した工程における、短パルスレーザー光による加工条件などを、図8を用いて詳細に説明する。図8に示すように、図7(d)及び(e)に示した工程において流路206や吐出口207を形成するために、短パルスレーザー光1を、集光レンズ2を通して集光して、加工サンプル5に材料片に照射する。そして、必要形状となるように集光された短パルスレーザー光1と加工サンプル5とを相対移動させる。集光された短パルスレーザー光1は、有機樹脂層の照射領域を構成する有機樹脂の分子結合を切断し空洞を形成することができる。ここで言う「短パルスレーザー光」とは、2ピコ秒以上、20ピコ秒以下のパルス幅のパルスレーザー光を指しており、有機樹脂の加工に必要な強度の光を簡便に得ることができる点で好ましい。そのパルスエネルギーは0.1μJ以上であることが好ましい。
また加工時のエネルギー密度について述べると、ピコ秒レーザー自体の発振領域の下限値は、1.0×109[W/cm2・Pulse]である。そして、吐出口等の表面に開口する穴は、ピコ秒レーザーの不安定領域である下限値に近い領域でも、直接加工(多光子吸収加工を必要としない)できるので、少し不安定領域の2.0×109[W/cm2・Pulse]以上であれば、容易に加工可能である。一方、液流路等の加工は深部のみを選択的に加工する。その際は、多光子吸収を利用した加工を行うために、5.0×109[W/cm2・Pulse]以上とすることが好ましい。つまり、ピコ秒レーザーの発振特性が不安定であれば、加工形状や多光子吸収の加工現象に影響が出てしまう可能性がある。又、ピコ秒レーザーでは、原理上、3.0×1011[W/cm2・Pulse]がエネルギー密度の上限となる。
すなわち、吐出口を形成する際には、2.0×109[W/cm2・Pulse]≦E≦3.0×1011[W/cm2・Pulse]の条件で前記レーザー光を前記有機樹脂層に照射することが好ましい。より好ましくは、2.0×109[W/cm2・Pulse]<E<3.0×1011[W/cm2・Pulse]である。また、流路を形成する際には、5.0×109[W/cm2・Pulse]≦E≦3.0×1011[W/cm2・Pulse]の条件で前記レーザー光を前記有機樹脂層に照射することが好ましい。より好ましくは、5.0×109[W/cm2・Pulse]<E<3.0×1011[W/cm2・Pulse]である。
さらに、所望の3次元構造の空洞を形成するために、有機樹脂層に対して、垂直に集光した超短パルスレーザー光を照射する。集光は開口数(NA)の高いレンズ、具体的には0.3以上のNAを有するレンズで行うことが好ましい。短パルスレーザー光を高いNAを有するレンズで集光すると、その焦点付近のみしか除去加工が起こらず、深さ方向の制御が容易に可能となる。この効果を利用して、加工精度の高い3次元構造の空洞を形成する。レンズの焦点がちょうど形成面に位置するように焦点を合わせながら、その焦点が所望の構造体を構成するように走査させる。
このような短パルスレーザー加工装置の概要を、図8(b)に示す。レーザー光10は、シャッター11及びNDフィルタ13を通過した後、ミラー13により方向が変えられ、ビーム整形器14により整形された後、ステージ16上に設置された加工サンプル15に照射される。
以上のような工程により、加工精度が高く、熱影響のない高品質な液体吐出ヘッドのノズル構造を得ることができる。
最後に、前述したように、吐出口207や流路206の領域に残っている低分子状態で残っている残留物を、現像液を用いて洗浄することで、完全に除いた。それによって、図7(f)で示すよう、液体吐出ヘッドを得ることができた。
図1〜3に示すように、ノズル密度が1列で600dpiを有する高密度の液体吐出ヘッドを形成することができた。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で作製した、実施例2の液体吐出ヘッドのノズル形状を図4〜6に示す。その際の条件としては、図7(d)に示すように、短パルスレーザー光のフルエンス(単位面積当たり、単位発振パルス時間当たりのエネルギー)を0.077J/cm2として、XYZ方向に走査しながら短パルスレーザー光を照射した。短パルスレーザー発振器は、Lumera社製:Hyper Rapidを使用し、次の条件で、レーザー発振をさせた。レーザー波長:1064nm、出力:0.00109W、繰り返し周波数:200kHz、パルスエネルギー:0.00545μJ、パルス幅:10ps、ピーク出力:545kW、ビーム品質:1.1であった。この時、開口数(NA)が0.9のレンズを使用し、集光面でのスポット径は、Φ1.0μmであった。エネルギー密度は、7.7×109[W/cm2・Pulse]であった。流路幅:14μm、流路ピッチ:21μm(1200dpi)、流路高さ:15μmの領域の前記有機樹脂層の、分子結合の切断、又はガス化を行った。
また、図7(e)に示すように、短パルスレーザー光のフルエンスを0.12J/cm2として、開口数(NA)が0.3のレンズを使用し、XYZ方向に走査しながら短パルスレーザー光を照射した。短パルスレーザー発振器は、Lumera社製:Hyper Rapidを使用し、次の条件で、レーザー発振をさせた。レーザー波長:1064nm、出力:0.038W、繰り返し周波数:500kHz、パルスエネルギー:0.076μJ、パルス幅:12ps、ピーク出力:6.3kW、ビーム品質:1.2であった。集光面でのスポット径は、Φ9.0μmであった。パワー密度は、1.0×1010[W/cm2・Pulse]であった。吐出口径(楕円形状):長手方向が17μmで、短手方向に12μmで、吐出口厚さ:10μmの楕円筒形状の領域で、前記有機樹脂層の、分子結合の切断、又はガス化を行った。
こうすることで、図4〜6に示すように、ノズル密度が1列で1200dpiに相当する高密度の液体吐出ヘッドを形成することができた。
(実施例3)
図8に示すようにして、短パルスレーザー光を用いた3次元構造を有する空洞が形成された微細構造体を形成する方法を、図9に示す。
図9(a)は、シリコンなど、制御用のICなどを形成するために、半導体技術を応用して形成した基板301を示している。但し、基板301は、シリコンに限る必要はなく、有機樹脂基板や、ガラスなどの材料でも構わない。
図9(b)に示すように、前記基板301上に有機樹脂層302を形成する。形成した有機樹脂層の膜厚は、500μmであった。前記膜厚での有機樹脂層の吸光度Aは、0.1(1064nm)であった。有機樹脂層302の形成には、SU8(商品名、Micro Chemical Corp.製)のような感光性のネガ型レジストを使用することができる。また、メッキ作製用に使用されるNQD系ポジ型レジスト(商品名:THB−611P(JSR社製))、アクリル系のネガ型レジスト(商品名:THB−151N(JSR社製))などを使用することもできる。また、近年、マイクロフルイディクス(微小流体デバイス)用の材料として多く使用されているPDMS樹脂(polydimethylsiloxane)((Dow Corning社製、商品名:Sylgard 184)を使用しても良い。
次に、図9(c)に示すように、有機樹脂層302の表面から、短パルスレーザー光を用いて、開口形状303となる部分を形成した。短パルスレーザー発振器は、Lumera社製:Super Rapidを使用し、次の条件で、レーザー発振をさせた。レーザー波長:1064nm、出力:0.154W、繰り返し周波数:500kHz、パルスエネルギー:0.308μJ、パルス幅:10ps、ピーク出力:30800kW、ビーム品質:1.1であった。集光面でのスポット径は、Φ7.0μmであった。そして、短パルスレーザー光のフルエンスを0.796J/cm2として、開口数(NA)が0.3のレンズを使用し、XYZ方向に走査しながら短パルスレーザー光を照射した。パワー密度は、8.00×1010[W/cm2・Pulse]であった。前記の条件で、Φ10μm〜Φ80μm、高さ:50〜100μmの円筒形状の領域で、前記有機樹脂層の、分子結合の切断、又はガス化を行った。
次に、図9(d)に示すように、空洞形状304となる部分を、短パルスレーザー光を用いて形成した。短パルスレーザー発振器は、Lumera社製:Hyper Rapidを使用し、次の条件で、レーザー発振をさせた。レーザー波長:1064nm、出力:0.00196W、繰り返し周波数:200kHz、パルスエネルギー:0.0098μJ、パルス幅:10ps、ピーク出力:980kW、ビーム品質:1.2であった。集光面でのスポット径は、Φ5.0μmであった。そして、短パルスレーザー光のフルエンスを0.050J/cm2として、開口数(NA)が0.5のレンズを使用し、XYZ方向に走査しながら短パルスレーザー光を照射した。パワー密度は、5.0×109[W/cm2・Pulse]であった。前記条件で、幅:10〜100μm、高さ:5〜150μmの領域で、前記有機樹脂層の、分子結合の切断、又はガス化を行った。
そして、図9(e)に示すように、レーザーアブレーション加工での残留物がある場合があるので、現像液や洗浄のアルコール液などを使用して洗浄して、最終的に、3次元構造を有する空洞が形成された微細構造体を形成した。
(実施例4)
図8に示すようにして、短パルスレーザー光を用いた3次元構造を有する空洞が形成された微細構造体を形成する方法を、図9に示す。
図9(a)は、シリコンなど、制御用のICなどを形成するために、半導体技術を応用して形成した基板301を示している。但し、基板301は、シリコンに限る必要はなく、有機樹脂基板や、ガラスなどの材料でも構わない。
図9(b)に示すように、前記基板301上に有機樹脂層302を形成する。形成した有機樹脂層の膜厚は、200μmであった。前記膜厚での有機樹脂層の吸光度Aは、5.0(355nm)であった。有機樹脂層302の形成には、SU8(商品名、Micro Chemical Corp.製)のような感光性のネガ型レジストを使用することができる。また、メッキ作製用に使用されるNQD系ポジ型レジスト(商品名:THB−611P(JSR社製))、アクリル系のネガ型レジスト(商品名:THB−151N(JSR社製))などを使用することもできる。また、近年、マイクロフルイディクス(微小流体デバイス)用の材料として多く使用されているPDMS樹脂(polydimethylsiloxane)((Dow Corning社製、商品名:Sylgard 184)を使用しても良い。
次に、図9(c)に示すように、有機樹脂層302の表面から、短パルスレーザー光を用いて、開口形状303となる部分を形成した。短パルスレーザー発振器は、Lumera社製:Super Rapidを使用し、次の条件で、レーザー発振をさせた。レーザー波長:355nm、出力:4W、繰り返し周波数:500kHz、パルスエネルギー:2μJ、パルス幅:10ps、ピーク出力:200kW、ビーム品質:1.1であった。集光面でのスポット径は、Φ2.0μmであった。そして、短パルスレーザー光のフルエンスを1.274J/cm2として、開口数(NA)が0.6のレンズを使用し、XYZ方向に走査しながら短パルスレーザー光を照射した。前記の条件で、Φ5μm〜Φ50μm、高さ:20〜80μmの円筒形状の領域で、前記有機樹脂層の、分子結合の切断、又はガス化を行ったパワー密度は、2.0×109[W/cm2・Pulse]であった。
次に、図9(d)に示すように、空洞形状304となる部分を、短パルスレーザー光を用いて形成した。短パルスレーザー発振器は、Lumera社製:Hyper Rapidを使用し、次の条件で、レーザー発振をさせた。レーザー波長:355nm、出力:0.00196W、繰り返し周波数:200kHz、パルスエネルギー:0.0098μJ、パルス幅:10ps、ピーク出力:0.98kW、ビーム品質:1.2であった。集光面でのスポット径は、Φ1.0μmであった。そして、短パルスレーザー光のフルエンスを0.05J/cm2として、開口数(NA)が0.7のレンズを使用し、XYZ方向に走査しながら短パルスレーザー光を照射した。パワー密度は、5×109[W/cm2・Pulse]であった。前記条件で、幅:5〜50μm、高さ:5〜100μmの領域で、前記有機樹脂層の、分子結合の切断、又はガス化を行った。
そして、図9(e)に示すように、レーザーアブレーション加工での残留物がある場合があるので、現像液や洗浄のアルコール液などを使用して洗浄して、最終的に、3次元構造を有する空洞が形成された微細構造体を形成した。
(実施例5)
図8に示すようにして、短パルスレーザー光を用いた3次元構造を有する空洞が形成された微細構造体を形成する方法を、図9に示す。
図9(a)は、シリコンなど、制御用のICなどを形成するために、半導体技術を応用して形成した基板301を示している。但し、基板301は、シリコンに限る必要はなく、有機樹脂基板や、ガラスなどの材料でも構わない。
図9(b)に示すように、前記基板301上に有機樹脂層302を形成する。形成した有機樹脂層の膜厚は、100μmであった。前記膜厚での有機樹脂層の吸光度Aは、5.0(355nm)であった。有機樹脂層302の形成には、SU8(商品名、Micro Chemical Corp.製)のような感光性のネガ型レジストを使用することができる。また、メッキ作製用に使用されるNQD系ポジ型レジスト(商品名:THB−611P(JSR社製))、アクリル系のネガ型レジスト(商品名:THB−151N(JSR社製))などを使用することもできる。また、近年、マイクロフルイディクス(微小流体デバイス)用の材料として多く使用されているPDMS樹脂(polydimethylsiloxane)((Dow Corning社製、商品名:Sylgard 184)を使用しても良い。
次に、図9(c)に示すように、有機樹脂層302の表面から、短パルスレーザー光を用いて、開口形状303となる部分を形成した。短パルスレーザー発振器は、Lumera社製:Super Rapidを使用し、次の条件で、レーザー発振をさせた。レーザー波長:355nm、出力:4W、繰り返し周波数:500kHz、パルスエネルギー:2μJ、パルス幅:10ps、ピーク出力:392W、ビーム品質:1.1であった。集光面でのスポット径は、Φ2.0μmであった。そして、短パルスレーザー光のフルエンスを0.02J/cm2として、開口数(NA)が0.5のレンズを使用し、XYZ方向に走査しながら短パルスレーザー光を照射した。前記の条件で、Φ5μm〜Φ50μm、高さ:10〜20μmの円筒形状の領域で、前記有機樹脂層の、分子結合の切断、又はガス化を行ったパワー密度は、2.0×109[W/cm2・Pulse]であった。
次に、図9(d)に示すように、空洞形状304となる部分を、短パルスレーザー光を用いて形成した。短パルスレーザー発振器は、Lumera社製:Hyper Rapidを使用し、次の条件で、レーザー発振をさせた。レーザー波長:355nm、出力:0.00196W、繰り返し周波数:200kHz、パルスエネルギー:0.0098μJ、パルス幅:10ps、ピーク出力:980kW、ビーム品質:1.2であった。集光面でのスポット径は、Φ1.0μmであった。そして、短パルスレーザー光のフルエンスを0.064J/cm2として、開口数(NA)が0.95のレンズを使用し、XYZ方向に走査しながら短パルスレーザー光を照射した。エネルギー密度は、5.0×109[W/cm2・Pulse]であった。前記条件で、幅:5〜50μm、高さ:5〜90μmの領域で、前記有機樹脂層の、分子結合の切断、又はガス化を行った。
そして、図9(e)に示すように、レーザーアブレーション加工での残留物がある場合があるので、現像液や洗浄のアルコール液などを使用して洗浄して、最終的に、3次元構造を有する空洞が形成された微細構造体を形成した。
図10は、縦軸をNA、横軸をパワー密度E[W/cm2・Pulse]として、各加工条件((1)〜(5)が実施例1〜5の流路又は内部空洞の加工条件、(1)’〜(5)’が吐出口又は表面に開口する空洞の加工条件)をプロットした図である。なお、Yで示される領域はピコ秒レーザーの不安定領域であり、Aで示される領域は5×109≦E≦3×1011かつ0.5≦NA<1を満たす領域である。各プロット位置は、それぞれの実施例に記載の開口数NA、パワー密度Eに基づく。
有機樹脂中に流路又は内部空洞を形成する場合((1)〜(5))においては、図10中の領域Aの内で加工が行われた。これにより加工部の樹脂は十分に除去され、非加工部は良好な形状となった。特に非加工部と加工部との界面の形状を維持できた。一方、(1)’〜(5)’は吐出口又は表面に開口する空洞の加工条件である。領域Aの外の条件で加工が行われ、良好な開口が得られている。
一例として、実施例1の流路加工条件について述べる。上述した実施例1の値から、以下の計算により、実施例1の流路加工条件が式(I)を満たしていることが分かる。E(実施例1の流路加工)=1.0×1010[W/cm2・Pulse]≦2.69/3.14×(0.9)2/(1064×10-7cm)2×(710×103W)=4.35×1013[W/cm2・Pulse]
なお、他の実施例についても同様に計算できる。
100 素子基板
101 吐出エネルギー発生素子(ヒータ)
102 吐出口(オリフィス)
103 流路
104 ノズルフィルター
105 供給室
200 シリコン基板
201 ヒーター
202 有機膜
203 酸化膜
204 有機樹脂層
205 インク供給口
206 流路
207 吐出口(オリフィス)
1 短パルスレーザー光
2 集光レンズ
5 加工サンプル
10 レーザー光
11 シャッター
12 NDフィルタ
13 ミラー
14 ビーム整形器
15 加工サンプル
16 ステージ
301 基板
302 有機樹脂層
303 開口形状
304 空洞形状

Claims (2)

  1. 液体を吐出するための吐出口と、該吐出口と連通する液体の流路と、が設けられた流路壁部材を備えた基板を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記流路壁部材を形成するための有機樹脂からなる有機樹脂層、を備えた基板を提供する工程と、
    パルス幅が2ピコ秒以上20ピコ秒以下であって、波長200nm以上2000nm以下のレーザー光を、レンズを用いて集光し、前記レーザー光の集光の焦点の位置が前記有機樹脂層の内部になるように前記有機樹脂層に照射しながら、前記焦点を移動させることにより前記有機樹脂層の有機樹脂をガス化させて部分的に除去して前記流路及び前記吐出口を形成することにより前記流路壁部材を形成する工程とを有し、
    前記レーザー光が前記有機樹脂層を透過する透過率は20パーセント以上であり、前記レーザー光の波長帯に対する前記有機樹脂層の吸光度Aは下記式を満たし、
    A=log10(I/I)=0.434αL
    (但し、Iは、前記レーザー光が前記有機樹脂層に入射する前の強度、Iは前記レーザー光が前記有機樹脂層を透過した後のその透過光の強度、αは前記有機樹脂固有の吸光係数、Lは有機樹脂層の厚さである。かつ、Aは、0<A<10を満たし、Lは、10μm<L<1.0mmを満たす。)
    前記吐出口を形成する際には、前記レンズの開口数をNAとして、NA≧0.3のレンズを用い、2.0×10[W/cm・Pulse]≦E≦3.0×1011[W/cm・Pulse]の条件で前記レーザー光を前記有機樹脂層に照射し、前記流路を形成する際には、NA≧0.5のレンズを用い、5.0×10[W/cm・Pulse]≦E≦3.0×1011[W/cm・Pulse]の条件で前記レーザー光を前記有機樹脂層に照射し、
    (但し、E(単位[W/cm・Pulse])は、前記有機樹脂層に照射されるレーザーパルス光の、単位面積当たり、単位発振パルス時間当たりのパワーである。)
    前記有機樹脂層の有機樹脂をガス化させて部分的に除去した後に、前記流路及び前記吐出口を、現像液を用いて洗浄することにより、前記流路或いは前記吐出口にガス化せず残存した前記有機樹脂の残留物を除去する工程を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 前記流路を形成する際には、E≦2.69/π×(NA)2/λ2×Pp[W/cm2・Pulse]の条件が満たされる請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
    但し、E(単位[W/cm2・Pulse])は、前記有機樹脂層に照射されるレーザーパルス光の、単位面積当たり、単位発振パルス時間当たりのパワーであり、λ(単位[cm])は前記レーザー光の波長であり、Pp(単位[W])は前記有機樹脂層に照射されるレーザーパルス光のピークパワーである。
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