JP5058413B2 - 炭酸カルシウム含有複合基材、その製造方法及びそれを用いた塗工紙 - Google Patents

炭酸カルシウム含有複合基材、その製造方法及びそれを用いた塗工紙 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カオリンクレー、二酸化チタン、タルク等の白色無機酸化物を含む被覆層を有する炭酸カルシウム含有複合基材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カオリンクレー、タルク、炭酸カルシウム等の白色無機微粒子は製紙用では塗工用顔料、内填用填料として、また、ゴムやプラスティックにおいては充填剤として使用されている。このうち、カオリンクレーや二酸化チタン等の無機酸化物は白紙光沢度、印刷光沢度が高いという特徴を有し、軽質炭酸カルシウムは白色度、不透明度、インキ受理性、セット性が高いという特徴を有する。
【0003】
このようにカオリンクレー等の無機酸化物と炭酸カルシウムは、互いに相反する特徴を有しているため、両者の特徴を得るために、カオリンクレーと軽質炭酸カルシウムを同時に使用することも多々ある(特開昭62-2270号)。しかしながら、単にスラリーもしくは粉体を混合するだけでは、両者の特徴となる物性の向上には限界がある。
【0004】
これに対し、カオリンクレーについては白色度、不透明度を向上させるために、カオリンクレーの粒子表面を沈殿炭酸カルシウムで被覆する技術が提案されている(特表2000-506205号)。しかし一般にカオリンクレーと炭酸カルシウムとは結合しにくいため、カオリン粒子を薄い炭酸カルシウムで被覆することは困難であり、カオリンと炭酸カルシウム両者の性質を充分に生かした複合粒子は得られていない。また、粘土鉱物とカルシウム塩や消石灰を常圧又は加圧下で反応させて粘土鉱物―ケイ酸カルシウム複合体を得る技術も提案されているが(特表平11-29319号)、この技術によって得られる生成物は、炭酸カルシウムとは異なる化合物であって、製紙用の顔料としては必ずしも満足できる性能を有していない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明ではカオリンクレー等の白色無機酸化物を含有する軽質炭酸カルシウム複合体であり、粉体物性として白色度が高く、製紙用塗工用顔料や化粧料、塗料、インキ、プラスティック用充填剤およびその他充填剤として利用することができる複合体を提供することを目的とする。さらに、本発明は上記複合体を製紙用塗工顔料として利用した塗工紙であって、マットコート紙としての性能を有する紙を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明者らは、一般には結合しにくいカオリンクレー等の白色無機酸化物と炭酸カルシウムの複合化について、鋭意研究した結果、水酸化カルシウム含有懸濁液に二酸化炭素ガス、あるいは二酸化炭素含有ガスを通して炭酸化する際に、予め白色無機酸化物あるいはそれを含む鉱物資源を添加するとともに、所定の炭酸化率に達した時点で、少量の水溶性リン酸類またはその水溶性塩を加えてさらに反応させることにより、炭酸カルシウムを核として、その表面を炭酸カルシウムと白色無機酸化物の混合被覆層で覆った構造を有し、かつ粒子表面がアパタイトによって修復された球状粒子が得られること、またこの複合粒子は、通常の球状炭酸カルシウムに劣らない白色度と、高い比表面積を有することを見出し、本発明に至ったものである。
【0007】
即ち本発明の球状炭酸カルシウム複合基材(以下、単に複合基材という場合もある)の製造方法は、1種又は2種以上の白色無機酸化物を含む鉱物資源微粒子を、水酸化カルシウム含有懸濁液に混合した後、二酸化炭素含有ガスを導入し炭酸化する工程と、前記炭酸化工程の途中で、水溶性リン酸塩類を加え反応させる工程とを含むものである。
【0008】
また本発明の複合基材は、上記製造方法により製造した球状炭酸カルシウム複合基材である。
さらに本発明の塗工紙は、上記複合基材を塗工用顔料として用いたものである。
【0009】
以下、本発明の複合基材とその製造方法についてさらに詳細に記述する。
本発明の複合基材の製造方法において、水酸化カルシウム含有水性懸濁液(消石灰懸濁液)は、一般に沈殿炭酸カルシウムを製造するのに用いる消石灰懸濁液を用いることができる。このような消石灰懸濁液は、消石灰を水と混合して調製するか、生石灰(酸化カルシウム)を水で湿式消化させることにより調製することができる。湿式消化は、CaO濃度50〜250g/L、温度20〜100℃、好ましくは40〜100℃で、スレーカーでの平均滞留時間60分以内、好ましくは3〜30分という消化条件下で、連続湿式型のスレーカーを用いて行うことが好ましい。
【0010】
消化用の水は通常の水道水、工業用水、地下水、井戸水、或いは次の炭酸化工程で生成される炭酸カルシウム水性スラリーの分離脱水処理により得られる分離水またはろ過処理により得られるろ水を用いることができる。
【0011】
このように調製した消石灰懸濁液に、白色無機酸化物を含有する鉱物資源微粒子を添加、混合する。白色無機酸化物を含有する鉱物資源微粒子としては、一般に製紙用顔料として使用される、カオリンクレー、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、マグネシア、タルク等を用いることができ、これらは1種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。鉱物資源微粒子は、好ましくは平均粒子径(一次粒子)0.1μm〜2.0μmの範囲のものを用いる。鉱物資源微粒子は、粉体もしくは分散スラリーとして上記消石灰懸濁液に添加することができる。分散スラリーは、例えば分散剤を0.5%添加した固形分濃度70%の分散スラリーを用いることができる。
【0012】
上記鉱物資源微粒子の量は水性懸濁液に含有される水酸化カルシウム(炭酸カルシウム換算量)との合計の1〜100重量%とすることができる。但し、鉱物資源微粒子の比率が大きくなるにつれ、複合化されない鉱物資源微粒子の量が増加するので、好適には鉱物資源微粒子と炭酸カルシウム換算値との重量比で75:25以下、より好適には50:50以下、更に好適には30:70以下とする。
【0013】
鉱物資源微粒子もしくはその分散スラリーを水酸化カルシウム含有水性懸濁液に加え、混合した後、常温もしくはそれ以上の温度において一定時間熟成することが好ましい。熟成時間は、特に限定されないが、通常30分〜1時間程度とする。このような熟成工程を設けることにより、鉱物資源微粒子が水酸化カルシウム含有水性懸濁液になじみ、その後の炭酸化工程において複合化が進みやすくなる。
【0014】
鉱物資源微粒子と水酸化カルシウムの混合水性懸濁液を所定時間熟成した後、必要に応じて水酸化カルシウム濃度を調整し、二酸化炭素ガスもしくは二酸化炭素含有ガスを用いて炭酸化を行う。炭酸化は少なくとも二段階に分けて行い、第1段階では、上記鉱物資源微粒子と水酸化カルシウムを含む懸濁液に二酸化炭素含有ガスを吹き込みながら炭酸化率4%付近まで炭酸化する。第2段階では炭酸化率約4%に達した時点で水溶性リン酸類又はそれらの水溶性塩を添加し、さらに炭酸化が完了するまで反応を行う。
【0015】
第1段階は、本発明の複合基材の核となる炭酸カルシウムを生成する工程であり、第1段階における炭酸化開始温度は、好適には0〜100℃、より好適には5〜50℃の温度とする。
【0016】
第2段階の工程では、最初の炭酸化工程において生じた炭酸カルシウムを主成分とする粒子を核としてその表面に白色無機酸化物と炭酸カルシウムとの混合被膜を形成するとともに、リン酸又はその塩によりアパタイトを形成し、表面修復を行う。
【0017】
炭酸化に好適な水酸化カルシウム濃度は通常50〜200g/L、好適には約50〜150g/Lである。この炭酸カルシウムの量が少なく低濃度になりすぎると生産性が低下する。また、炭酸カルシウム量が多く高濃度になりすぎると、水溶性リン酸塩類を添加した場合にその分散性が良好でなく、局所反応がおこりやすくなり、アパタイトによる均一な表面修復が得られなくなるうえに、炭酸カルシウムとアパタイトの混合物が生成しやすくなるので好ましくはない。
【0018】
炭酸化に用いる二酸化炭素含有ガスとしては、二酸化炭素そのものを用いてもよいが、石灰石の焼成工程で排出される排ガスやその他の焼却炉等で排出される排ガス等の二酸化炭素を含有するガスを用いてもよい。この場合、二酸化炭素濃度は5〜40容量%、好適には10〜35容量%とする。
【0019】
二酸化炭素含有ガスを上記鉱物資源微粒子と水酸化カルシウム含有懸濁液との混合液に導入する際の吹き込み量は、第1段階と第2段階とで吹込み量を異ならせることが好ましい。例えば、第1段階は吹き込み量0.1〜4.0NL/minで行うことができる。またリン酸又はその塩添加後の第2段階では、吹き込み量3.0NL/minで行う。
【0020】
水溶性リン酸又はそれらの水溶性塩の添加は、第1段階で反応液の炭酸化率が2〜10%の時点、好適には4%付近で行う。炭酸化率が約4%となる時点では、溶解した二酸化炭素ガスが既に溶解している水酸化カルシウムとの反応してしまい、その後、スラリー中の未溶解の水酸化カルシウムが溶解する速度が反応生成物の結晶核の生成速度に追いつけない状態となる。この時に、リン酸化合物を投入することで、水酸化カルシウムの溶解と二酸化炭素ガスの溶解とのバランスをとりながら反応を進行させることができる。
【0021】
水溶性リン酸類又はそれらの水溶性塩は、炭酸カルシウムの生成過程において、一次粒子の細かい凝集体となることなく球状粒子として成長するのを助長するとともに、アパタイトを形成することによって粒子の表面を修復し、その際、無機酸化物を取り込みながら球状粒子を成長させるために添加される。
【0022】
水溶性リン酸類またはその水溶性塩は、水溶液あるいは水懸濁液として添加することが好ましく、炭酸カルシウムの全表面にアパタイト被覆層を形成させるに十分な量や適当な濃度のものを用いることが重要である。軽質炭酸カルシウムと水溶性リン酸またはその水溶性塩とのCa/P(モル比)は通常2〜20、好ましくは10〜20の範囲で選択する。この比が小さすぎると軽質炭酸カルシウムとアパタイトの混合物が生成するし、また大きすぎても軽質炭酸カルシウムの全表面へのアパタイト被覆層の形成が不充分となるので好ましくない。
【0023】
水溶性リン酸としては、例えばオルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などが挙げられ、その水溶性塩としては、例えば、NH4H2PO4、(NH4)2HPO4、(NH4)3PO4、NaH2PO4、Na2HPO4、Na3PO4、KH2PO4、K2HPO4、K3PO4、などが挙げられる。これは1種類を単独で用いてもよいし、また2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
第2段階の反応は、塩基性領域で行う。塩基性領域としては、通常pH10〜14、好ましくはpH11〜13の範囲とする。このpH値が低すぎるとリン酸水素カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O)などのアパタイト以外のリン酸カルシウムが生成してしまう。また高すぎる場合には、反応後の懸濁液のpHが高くなり、化粧料など用途によっては好ましくない場合がある。
上記塩基性領域は、反応液の炭酸化率が4%付近で上記リン酸又はその塩を上述した適当な量添加することにより達成できる。
【0025】
第2段階の反応温度については、圧力条件等との関係もあり、好適な範囲も変動するが、高温あるいは高圧になればなるほど表面被覆処理の速度が増大する傾向がみられる。また、攪拌速度が増大するほど表面被覆処理の速度が増大する傾向がみられる。通常は常圧または加圧下、0〜100℃の温度で行うことが好ましい。
【0026】
このような条件で、第2段階の反応を行わせることにより、表面を白色無機酸化物と炭酸カルシウムの混合物で被覆された球状粒子が得られる。なお、炭酸化が完了するまで上記条件で反応を続けても良いが、好適には、第3段階として、希釈後、ガス吹き込み量等の条件を変えて、反応を続ける。このように条件を変えて反応を行うことにより、凝集体の生成を抑制し、粒子径分布の小さい複合基材を得ることができる。
【0027】
炭酸化後のスラリーを振動篩等の篩でろ過することにより、本発明の複合基材を得ることができる。この場合、篩によるろ過に先立って、液体サイクロンを用いた分級を行うことが好ましい。液体サイクロンによる分級を行うことにより、篩の目詰まりおよび、未複合カオリン粒子の混入を防止することができる。
【0028】
このように得られた白色無機酸化物含有炭酸カルシウム複合基材は、優れた白色度、光沢度、比表面積等の両者の特性を兼ね備えており、塗工紙の塗工用顔料や化粧料等、炭酸カルシウムおよび白色無機酸化物が適用される用途一般に適用することが可能である。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に説明する。なお、以下の実施例において、二酸化炭素含有ガスの吹き込み量(NL/分)は20℃の状態の100%二酸化炭素ガスに換算した量で示す。
【0030】
<複合基材の製造>
[実施例1]
1000Lの水(導電率0.05mS/cm)に、消石灰85gを入れ、濃度105g/Lの水酸化カルシウム水性スラリーを得た。このスラリーにカオリンクレー粉体(Mira Gloss:ENGELHARD社製)を、カオリンクレーと水酸カルシウム(炭酸カルシウム換算)との重量混合比が30:70となるように添加し、混合攪拌した。得られたカオリンクレー含有混合スラリー(水酸化カルシウム+カオリンクレー(水酸化カルシウム換算)の濃度175g/L)を80℃で60分間攪拌を続けて熟成した。
【0031】
次いで、この混合スラリーを濃度100g/L、20℃に調整した後、150Lを半回分式反応器に仕込み、周速13m/sでかき混ぜながら、二酸化炭素濃度30容量%の二酸化炭素含有ガスを、水酸化カルシウム1kg当たり、100%二酸化炭素ガス換算で3NL/minの割合で吹き込み炭酸化反応を行った。反応液の炭酸化率が約4%に達したところで、反応を一時停止し、一次反応中間体(スラリー)を得た(第1段階)。
【0032】
この一次反応中間体に、ヘキサメタリン酸ナトリウムの2%水溶液を、スラリー中水酸化カルシウム換算100重量部に対しヘキサメタリン酸ナトリウム添加量が1重量部となるように添加して混合した。次いで周速13m/sでかき混ぜながら、二酸化炭素濃度30容量%の二酸化炭素含有ガスを、水酸化カルシウム1kg当たり、100%二酸化炭素ガス換算で0.3NL/minの割合で吹き込み炭酸化反応を行った。反応液の炭酸化率が約15%に達したところで反応を一時停止し、二次反応中間体(スラリー)を得た(第2段階)。
【0033】
この二次反応中間体に、20℃の水150Lを投入して希釈した後、周速13m/sでかき混ぜながら、二酸化炭素濃度30容量%の二酸化炭素含有ガスを、水酸化カルシウム1kg当たり、3.6NL/minの割合で20分〜30分間、吹き込み炭酸化反応を終結させた。
【0034】
最終的に得られたスラリーをフィルタープレスで過脱水を行い、固形分濃度40重量%の脱水ケーキを得た。この脱水ケーキを乾燥機で乾燥し、さらに粉砕処理を行うことによりパウダーを得た。
【0035】
この複合基材は、平均粒径7.8μmの球状粒子で、X線回折分析結果からカルサイトであることが確認された。また粒子断面を定量分析した結果、中心部がほぼ炭酸カルシウムからなり外側がアパタイトを含む炭酸カルシウムとカオリンクレーの層からなる構造を有することが確認された。
【0036】
[実施例2]
第1段階における炭酸化反応の開始温度を5℃に変えた以外は実施例1と同様にして複合基材を得た。
得られた平均粒径4.0μmの球状粒子であり、X線回折分析結果からカルサイトであることが確認された。
【0037】
[実施例3]
実施例1と同じカオリンクレー粉体を、コーレスミキサーにより分散剤0.5%存在下、固形分濃度70%で分散処理した後、湿式粉砕によりカオリン粒子径を0.50μmから0.23μmに微粒化した。水酸化カルシウム水性スラリーに添加するカオリンクレーとして、この微粒化したカオリンを用い、それ以外は実施例1と同様にして複合基材を得た。
得られた平均粒径7.7μmの球状粒子であり、X線回折分析結果からカルサイトであることが確認された。
【0038】
[実施例4]
第1段階における炭酸化反応の開始温度を5℃に変えた以外は実施例3と同様にして複合基材を得た。
得られた平均粒径3.2μmの球状粒子であり、X線回折分析結果からカルサイトであることが確認された。
【0039】
[実施例5]
水酸化カルシウム水性スラリーに添加するカオリンクレーとして、種類の異なるカオリンクレー(Ultra Gloss 90:ENGELHARD社製)を用いた以外は実施例1と同様にして複合基材を得た。
得られた平均粒径8.8μmの球状粒子であり、X線回折分析結果からカルサイトであることが確認された。
【0040】
[実施例6]
水酸化カルシウム水性スラリーに添加するカオリンクレーとして、粒子径の異なるカオリンクレー(平均粒子径0.18μm)を用いた以外は実施例1と同様にして複合基材を得た。
得られた平均粒径6.1μmの球状粒子であり、X線回折分析結果からカルサイトであることが確認された。
【0041】
[実施例7]
実施例1におけるカオリンクレーと水酸化カルシウム(炭酸カルシウム換算)の重量混合比を50:50に変えた以外は実施例と同様にして複合基材を得た。
得られた平均粒径6.4μmの球状粒子であり、BET比表面積は11.7m2/gであった。またX線回折分析結果からカルサイトであることが確認された。
この実施例7では、反応後のスラリー中に複合化されないカオリンクレーの粒子が大量に存在していることが確認された。これによりカオリンクレーと炭酸カルシウムとの複合化においては、所定量のカオリンクレーしか複合化せず、混合割合をそれ以上に多くしても、効果はないことが示された。
【0042】
<複合基材の粉体物性>
以上の実施例1〜6で得られた複合基材(パウダー)の粉体物性値を表1に示す。なお、各物性は下記のように測定した。
【0043】
メディアン径(μm):レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA-920:堀場製作所)を用いて測定した。
BET比表面積(m2/g):Flow Sorb II 2300 (島津製作所)を用いて測定した。
ISO白色度(%):所定量(10〜15g)の粉末をプレス器で密度1g/cm3となるようにプレス後、ISO白色度計(CMS−35SPX)の受光部側にセットし、白色度を測定した。
吸油量(cc/100g):JIS-K5101に準拠し、煮アマニ油を用いて測定した。
動摩擦係数(μm):東洋精機製作所製のストログラフR型を用い、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.30-79に準拠して、試料台上に両面テープを貼り、その表面に一定量(18〜20g/m2)の粉末をのせて測定した。
【0044】
参考として、下記の比較例1〜3についても同様に粉体物性値を表1に示す。
比較例1:カオリンクレーを添加することなく、それ以外は実施例1と同様にして製造した軽質炭酸カルシウム
比較例2:カオリンクレーを添加することなく、それ以外は実施例2と同様にして製造した軽質炭酸カルシウム
比較例3:実施例1で使用したカオリンクレー
【0045】
【表1】
Figure 0005058413
【0046】
表1の物性値の比較から明らかなように、本発明により得られる複合基材は、軽質炭酸カルシウムとほぼ同様の白色度を示し、軽質炭酸カルシウムに比べ非常に大きい比表面積を有していた。またカオリンクレーと比べ白色度が大幅に向上している。
また実施例1の複合基材は、動摩擦係数が、炭酸カルシウムやカオリンクレーと比較して低く、化粧料として有用であることが示された。
【0047】
<分散スラリーの物性>
上記粉体物性の評価に用いた実施例1〜4のパウダーに、水と0.5重量%の分散剤を添加してコーレスミキサーで分散させて、固形分濃度68%の水性分散スラリーを得た。この水性分散スラリーについて下記の物性を評価した。
【0048】
メディアン径(μm):レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA-920:堀場製作所社製)を用いて測定した。
粘度:ブルックスフィールド型(B型)粘度計60rpm(25℃)で測定した。
固形分濃度:赤外線水分計(Mettler LP-16:メトラー社製)を用い、105℃で乾燥したものである。
【0049】
参考として、上記した比較例1、2及び下記比較例4、5のパウダーの水性分散スラリーについての物性値を表2に示す。
比較例4:比較例1で合成した球状炭酸カルシウムと、比較例3のカオリンクレーの単純混合物(重量混合比 炭酸カルシウム:カオリンクレー=70:30)
比較例5:比較例2で合成した球状炭酸カルシウムと、比較例3のカオリンクレーの単純混合物(重量混合比 炭酸カルシウム:カオリンクレー=70:30)
【0050】
【表2】
Figure 0005058413
【0051】
<塗工紙の製造>
上記水性分散スラリーの物性値の評価で用いた実施例1(複合基材)、比較例1(炭酸カルシウムのみ)、比較例3(カオリンクレーのみ)、比較例4(炭酸カルシウムとカオリンクレーの70:30混合物)の水性分散スラリーを顔料組成物として用い、下記処方の塗工液(固形分濃度45重量%)を調製した。
【0052】
・分散スラリー 100重量部
・スチレンブタジエンゴム 13重量部
(JSR#0692:日本合成ゴム社製)
・スターチ 7重量部
(MS#4600:日本食品化工社製)
・潤滑剤(ステアリン酸カルシウム) 1.5重量部
(ノプコートC104)
・水
・アンモニア水(pH調整用)
【0053】
この塗工液を市販の上質紙(坪量54g/m2)にコーティングロッドで手塗りにて塗工を行い、105℃で2分乾燥後、24時間調湿を行い、スーパーカレンダー処理(線圧:100kgf/cm、処理温度:55℃、処理速度:8m/min、ニップ回数:3回)を行い、塗工紙を得た。この塗工紙について、以下のようにISO白色度、白色光沢度、インク受理性を評価した。その結果を表3に示す。
【0054】
ISO白色度:塗工紙を4枚重ねて、測定面をISO白色度計(CMS−35SPX)の受光部側にセットし、白色度を測定した。6回の測定の平均値を測定値とした。
白色光沢度:デジタル光沢計(GM−26D型(45°))を用いて、標準板(白色板)に対する光沢度(%)を求めた。サンプル数10点の平均値を測定値とした。
インク受理性:白色光沢度の測定と同じデジタル光沢計を用い、インク吸収前と後の白色度W1、W2を求め、次式によりインク受理性を求めた。サンプル数2点の平均値を測定値とした。尚、インク吸収方法は、塗工紙試料にインクを少量落とし、15秒後にへらで均一に塗ってインクを吸収させ、1分40秒後にへらでインクをかき取り、さらに2分10分後にやわらかい布でインクを全部拭き取った。インク吸収後の白色度は、この状態で測定したものである。
インク受理性={(W1−W2)÷W1}×100
【0055】
【表3】
Figure 0005058413
表3の結果からもわかるように、白色度についてはカオリンクレーよりも優れた値が得られ、光沢度については炭酸カルシウムよりも優れた値が得られた。また白色度、光沢度のいずれについても、単なる混合物よりもよい結果が得られた。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、炭酸カルシウムを核として白色無機酸化物及び炭酸カルシウムの混合物の被覆層を有する球状の炭酸カルシウム含有複合基材であって、白色無機酸化物と炭酸カルシウムの性質を併せ持つ複合基材が提供される。また本発明によれば、結晶系がカルサイト型の炭酸カルシウム含有複合基材を安定して製造することができる。

Claims (6)

  1. カオリンクレーを含む鉱物資源微粒子を、水酸化カルシウム含有懸濁液に混合した後、二酸化炭素含有ガスを導入し炭酸化する工程と、前記炭酸化工程の途中で、アパタイトを形成する水溶性リン酸塩類を加え塩基性領域で反応させる工程とを含む、白色無機酸化物を含む炭酸カルシウム含有複合基材の製造方法。
  2. 前記水溶性リン酸塩類が、ヘキサメタリン酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1記載の炭酸カルシウム含有複合基材の製造方法。
  3. 前記炭酸化工程に先立って、前記鉱物資源微粒子を混合した水酸化カルシウム含有懸濁液を所定時間熟成する工程を含む請求項1又は2に記載の炭酸カルシウム含有複合基材の製造方法。
  4. 前記水溶性リン酸塩類を加え反応させる工程は、炭酸化工程における反応液の炭酸化率が2〜10%の時点で行うことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載の炭酸カルシウム含有複合基材の製造方法。
  5. 請求項1ないしいずれか1項記載の製造方法により製造した炭酸カルシウム含有複合基材。
  6. 請求項記載の炭酸カルシウム含有複合基材を塗工用顔料として用いたことを特徴とする塗工紙。
JP2001225501A 2001-07-26 2001-07-26 炭酸カルシウム含有複合基材、その製造方法及びそれを用いた塗工紙 Expired - Lifetime JP5058413B2 (ja)

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