JP6096525B2 - 被覆粉体及びこれを含有するメイクアップ化粧料 - Google Patents

被覆粉体及びこれを含有するメイクアップ化粧料 Download PDF

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Description

本願発明は、小皺や毛穴など、肌の微細な凹凸を隠しながらも、肌へ透き通った明るさを与えるために、光輝性板状表面に膠質炭酸カルシウムで被覆した被覆粉体と、これを含有してメイクアップ効果を高めたメイクアップ化粧料に関するものである。
小皺や毛穴などの肌の微細な凹凸を隠すことや、肌の明るさや透明感を上げ自然に見せる機能は、メイクアップ化粧料において重要な機能である。このため、メイクアップ化粧料では特徴のある粉体や様々な油剤等を配合する方法や、メイクテクニックによって肌のトラブルに対応している。
例えば、球状粒子は一般に光の拡散性が高く、毛穴を埋めることで肌の影の部分を無くす特性がある。この特性を利用してパウダーファンデーションでは肌の微細な凹凸を隠す目的で、無水ケイ酸やアクリル樹脂等の球状粒子が用いられることが多い。
また、肌の明るさや透明感を上げるために、メイクテクニックとして化粧下地にホワイト系のコントロールカラーを用いることで仕上がりに明るさを与える方法が用いられる。
しかし、これらの方法では、肌への付着が悪いために、メイクアップ化粧料のはがれが生じて経時的に凹凸が目立つようになったり、塗布色が白すぎて浮いてしまい見た時の印象も青白く不健康なイメージに見えたりする場合が多い。そこで、これらの問題を解決するため、次のような処方の組み合わせが提案されている。
例えば、特許文献1では、ソフトフォーカス特性と明るさとしての光輝特性を実現するために、単結晶板状硫酸バリウム、多孔質粒子形態の水不溶性粉末アクリルポリマー、及び担体を含む化粧品組成物を提示している。
特許文献2では、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体と、疎水化処理粉体、及び特定の不揮発性油剤とを特定の割合で組み合わせて、使用感が良好で肌上へ均一な化粧膜を形成し、肌につけた後の皮膜感が小さく、肌への密着性、小じわ、毛穴を目立たせなくする効果に優れた油中水型化粧料を示している。
さらに、肌上の小皺や毛穴などの好ましくない凹凸を目立たなくする凹凸補正性能に優れ、凹凸補正効果の持続性に優れたものを提供するために、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末、及び水素添加リン脂質処理粉体を組み合わせた粉末化粧料(特許文献3)や、凹凸補正化粧料として、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末,部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、及び該部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物成分を膨潤せしめる油剤を含有した化粧料(特許文献4)も提案され、様々な原料の組み合わせや剤型の工夫が行われている。
しかし、これらの発明は特定の原料の組み合わせや剤型であり、様々な形態の化粧料には応用性が欠ける。そのために、処方による工夫だけでなく高機能化被覆粉体の研究も盛んに行われ、これを化粧料に配合して肌の凹凸や明るさを改善しようとする試みも行われている。
例えば、外側にポリエチレングリコールの殻を有する球状ポリマー微粒子を板状粉体表面へ被覆した球状ポリマー微粒子被覆板状粉体(特許文献5)、特定のアルコキシシランを加水分解、重縮合することにより、球状の微粒子シリカを板状粉体表面へ被覆した被覆粉体(特許文献6)、皮膚の反射率と類似した反射率を持つ粉体を内包させた透明乃至半透明の有機合成球状粉体(特許文献7)、焼成された鉄含有の合成金雲母からなる粉体やこれと酸化チタン及び酸化鉄の焼結物から成る複合粉体(特許文献8)、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛及び酸化ジルコニウム等の金属酸化物で被覆した金属酸化物被覆薄片状タルク(特許文献9)、鱗片状粉体とパール光沢材料とを混合粉砕した平均粒径が5μm〜15μmの化粧料用粉体(特許文献10)、単分散の粒子径を有する球状樹脂粉末と薄片状粉末との重量比を60:40〜30:70とし、球状微細粒子を薄片状粉末の表面へ被覆した複合顔料(特許文献11)、屈折率の異なる2種以上の樹脂或いはシリカを、隣接する外層の屈折率が内層の屈折率より小さくなるように多層状に被覆した、再帰反射性を有する球状粉体(特許文献12)、セリシン及びその加水分解物を表面に被覆して成るセリシン被覆粉体(特許文献13)等、多くの被覆粉体の発明が示されている。
しかし、これらの被覆粉体は、いわゆる拡散反射光によって肌の欠点を隠すことを念頭に設計されているため、ぼんやりとした光となって明るさが不足している。実際の理想的な人間の肌は、きめの細かさ等に起因する肌上の拡散光だけでなく、反射してくる光量も多く明るい。したがって、光の拡散ばかりでなく、複合によって反射や透過してくる光量が損なわれないようにすることが重要である。
特表2010−513368 特開2010−018612 特開2010−202519 特開2010−202518 特開2009−190978 特開2009−114100 特開2008−001678 特開2006−348007 特開2004−339185 特開2004−067535 特開2003−012461 特開2002−187810 特開平10−226626
本願発明が解決しようとする課題は、小皺や毛穴などの肌の微細な凹凸を隠しながら、肌の明るさや透明感を上げて自然な仕上がりに見せるため、光の拡散特性と適度な明るさを有する被覆粉体と、これを配合したメイクアップ化粧料を提供することである。
本願発明は、光輝性板状粉体表面を膠質炭酸カルシウムで被覆することによって、光の拡散と明るさを両立させた被覆粉体であり、さらにこの被覆粉体を含有したメイクアップ化粧料である。すなわち、膠質炭酸カルシウムで被覆した光輝性板状粉体をメイクアップ化粧料に配合すると、肌の微細な凹凸を隠しながら、肌の明るさや透明感を上げて自然な仕上がりにできることを提案するものである。
さらには本願発明の被覆粉体を固形粉末のメイクアップ化粧料に配合した場合、実使用での強度の指標である落下強度を効果的に上げることができることも提案する。
本願発明において被覆粉体の母粉体として用いる光輝性板状粉体は、セリサイトである。光輝性板状粉体としてのセリサイトの特徴は、肌に密着し易い板状であり、被覆される炭酸カルシウムの屈折率(約1.58)と同様な屈折率の値を示す。本願発明では、この母粉体と子粒子の屈折率がほとんど同じであることが特徴であり、ヒトの肌の角質層の屈折率(約1.55)とも近接した値の粉体で被覆粉体化されている。これにより、本願発明の被覆粉体は、粉感を感じさせず自然で、これまでに無い明るさと透明感を保ちつつ、光の拡散性も有する。
これに対し、子粒子の屈折率が母粉体の光揮性板状粉体の屈折率より高い場合、例えば、酸化チタンの場合は光の拡散性は高められるものの、子粒子の被覆量が多い場合や過度に配合した場合には隠蔽性が増し透明感が失われる。また、逆に子粒子の屈折率が母粒子の屈折率よりも低い場合は光の拡散性が低下して屈折率の低いシリカが被覆されたパール剤のように輝度を増す傾向にある。
さらに光輝性板状粉体の中でもセリサイトを用いると、適度な光輝性と滑らかな使用感を得易く好ましい。
本願発明において被覆粉体の子粒子として光輝性板状粉体の表面に被覆される膠質炭酸カルシウムは、石灰乳(水酸化カルシウムの水懸濁液)に炭酸ガスを導入する炭酸化反応によって合成される。一般に、膠質炭酸カルシウムは、1)石灰石を焼成して生石灰を得る、2)その生石灰に水を加えて石灰乳を作る、3)その石灰乳と焼成時に発生した炭酸ガスを利用して、石灰乳温度は30℃未満の低温で、石灰乳濃度は10重量%未満の低濃度で、炭酸ガス導入量を多くした反応工程を経て製造される。本願発明では、この3番目の石灰乳と炭酸ガスを反応させる炭酸化反応において、反応前、反応途中、反応後(炭酸化反応で膠質炭酸カルシウム再溶解と再結晶の平衡状態にある生成物となり導電率が安定した時点)のいずれかの時点で光輝性板状粉体を加えて被覆粉体化を行う。
炭酸化反応においては、図1のように、炭酸化の経過時間と共に膠質炭酸カルシウムの生成状態が変化し反応溶液の導電率も変化する。導電率は水酸化カルシウムの溶解と炭酸ガスの溶解と生成物に由来して変化する。合成過程の初めは非晶質の炭酸カルシウムの生成と共に導電率は急激に低下し、次いでB地点(図1)から非晶質結晶から連鎖状結晶が生成して導電率が急激に上昇する。導電率が上昇し終えると連鎖状結晶は生成から結晶成長する過程となり導電率の安定する部分が現れる。そして、更なる炭酸化による連鎖状結晶の連鎖切断により膠質炭酸カルシウムが生成し、再度図中のC点まで導電率が低下する。C点まで低下した後は、更に炭酸ガスを導入すると、膠質炭酸カルシウム再溶解と再結晶の平衡状態にある生成物となり導電率が安定する(導電率が安定した時点は炭酸化反応の反応後とした時点に相当する。)。
本願発明においては、炭酸カルシウム独特のしっとりした使用感と光輝性板状粉体であるセリサイトの滑らかな使用感の両方を兼ね備えた被覆粉体を調製するために、この膠質炭酸カルシウムの非晶質生成が完了し連鎖状結晶を生成する反応工程で(図1のB地点から電気導電率が上昇する工程)、すなわち、炭酸化反応の経過時間と共に電気導電率が低下する過程から連鎖状結晶生成により増加に転じてから光輝性板状粉体であるセリサイトを反応溶液に加えて複合化する調製方法である。さらに、この連鎖状結晶が生成し始める時点(図1のB地点)で光輝性板状粉体であるセリサイトを反応溶液に短時間で加えるのが最も良い。
さらに本願発明での被覆粉体おける膠質炭酸カルシウムの被覆量も25〜35重量%が好ましい。被覆量が少ないと肌の明るさや透明感の上がった自然な仕上がりには見えず、逆に多いと膠質炭酸カルシウムのきしみ感が気になってくる。
本願発明で得られた被覆粉体は、撥水性や撥油性を付与するために、金属石鹸処理、シリコーン処理、含フッ素化合物処理、アミノ酸処理等、各種表面処理を行って化粧品に配合しても良い。なお、これら処理は1種又は2種以上組み合わせて用いても構わない。
また本願発明は、本願発明により調製した被覆粉体を含有するメイクアップ化粧料であるが、具体的には、化粧下地、パウダーファンデーション、クリームファンデーション、リキッドファンデーション、油性固形ファンデーション、乳化型固形ファンデーション、チークカラー、フェイスパウダー、アイシャドウ、コンシーラー、コントロールカラー等のメイクアップ化粧料である。
さらにこれらメイクアップ化粧料の中で、パウダーファンデーション、チークカラー、アイシャドウのような固形粉末メイクアップ化粧料に本願発明の被覆粉体を配合すると、プレス製品の落下強度を上げることができる。一般に、プレス製品の落下強度が上がると、メイクアップ化粧料の硬度も上がり、とれ量が少なくなる傾向がある。しかし、本願発明の被覆粉体を固形粉末メイクアップ化粧料に配合した場合は、プレス製品の落下強度が上がるにも拘らず硬度上昇が抑えられ、とれ量も良好であるという特異性を示す。
また、これらのメイクアップ化粧料に配合する被覆粉体の量としては、特に限定しないが、小皺や毛穴などの肌の微細な凹凸を隠しながら、肌の明るさや透明感を上げて自然な仕上がりに見せるためには1〜20重量%が好ましく、固形粉末メイクアップ化粧料の落下強度も効果的に上げることを考慮すると、5〜20重量%の配合量が好ましい。
本発明のメイクアップ化粧料には、前述の被覆粉体の他に、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常のメイクアップ化粧料に配合される成分である水、油脂、ロウ類、炭化水素、脂肪酸、アルコール、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーン油、フッ素油、多価アルコール、糖類、高分子、界面活性剤、粉体、色材、動植物抽出物、アミノ酸及びペプチド、ビタミン、紫外線吸収剤、殺菌・防腐剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、香料、pH調整剤等を適宜配合することができるが、特にこれらに限定されるものではない。
本願発明の被覆粉体が、肌から反射してくる光を拡散させながら、適度な光量と角度依存性のある反射光を有することから、光の制御法の一つとしての膠質炭酸カルシウムの被覆は、化粧品だけではなく、塗料、製紙、樹脂等の色調や光沢感などを要求される産業に展開が可能と考えられる。
炭酸化の経過時間による反応溶液の導電率の変化 各粉体の紫外可視透過率測定結果 各粉体及び二の腕表面の光沢測定結果
次に、本願発明の被覆粉体、及びこの被覆粉体を含有するメイクアップ化粧料について実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
「膠質炭酸カルシウムの被覆量検討」
4重量%の20℃の石灰乳400mLに撹拌しながら25容量%の炭酸ガスを1200mL/分で導入し、膠質炭酸カルシウムの結晶化まで反応が進む炭酸化を行った(図1中のC点まで)。その後、約86gのセリサイトを加え、引き続き炭酸ガスを導入しながら10分間撹拌を続け、ろ過、乾燥、粉砕工程を経て20重量%の膠質炭酸カルシウムで被覆した被覆粉体1を得た。
被覆粉体1と同様な方法で、セリサイト添加量を約65gとして25重量%の膠質炭酸カルシウムで被覆した複合あるいは吸着した粉体2を、セリサイト添加量を約50gとして30重量%の膠質炭酸カルシウムで被覆した被覆粉体3を、セリサイト添加量を約40gとして35重量%の膠質炭酸カルシウムで被覆した被覆粉体4を、セリサイト添加量を約32gとして40重量%の膠質炭酸カルシウムで被覆した被覆粉体5をそれぞれ得た。
得られた膠質炭酸カルシウムで被覆したセリサイトの被覆粉体1〜5について、膠質炭酸カルシウム独特のしっとりした使用感とセリサイトの滑らかさの両方を併せ持つ、膠質炭酸カルシウムの被覆量を評価した。評価方法は、しっとり感、滑らかさの項目について5人のモニターにて各被覆粉体を官能評価した。5人のモニターのうち4人以上が、しっとり感や滑らかさがあると評価した場合に、それぞれの項目の使用感を有すると判断した。
その結果、被覆粉体2〜4でしっとり感と滑らかさの両方の特性を有することが判った。すなわち、20重量%の被覆では、膠質炭酸カルシウムの被覆量が少ないためにしっとり感がやや不足し、40重量%まで被覆してしまうときしみ感が出てセリサイトの滑らかさが低下するという傾向を示した。この結果から、膠質炭酸カルシウムの被覆量として25〜35重量%が最適であると判断した。
「炭酸化反応におけるセリサイト添加時期の検討」
さらに、より滑らかでしっとりした使用感のある被覆粉体を得るために、上記実施例1の結果を踏まえ、石灰乳から炭酸化反応によって膠質炭酸カルシウムを析出させる反応過程でセリサイトを添加する時期を検討した。前述のように、炭酸化反応の過程では、膠質炭酸カルシウムの結晶化により大きく反応溶液の導電率が変化する。検討では図1のA〜Cの時点で反応溶液にセリサイトを添加した。
すなわち、Aは炭酸化反応を行う直前、Bは石灰乳中の膠質炭酸カルシウムが非晶質から連鎖状結晶質へと変化して炭酸化反応の経過時間と共に導電率が低下する過程から増加に転じる時点、Cは膠質炭酸カルシウムが結晶化して成長する過程が完了し過剰の炭酸ガスの導入により再び導電率が低下から増加に転じる時点である。
各反応は、実施例1で、膠質炭酸カルシウムの被覆量が30重量%となるようにセリサイトの添加量を約50gとし、各添加時期をずらして同様な操作を行った。得られた被覆粉体はセリサイト添加時期を区別して、それぞれ被覆粉体6A、被覆粉体6B、被覆粉体6C(被覆粉体6Cは実施例1の被覆粉体と同等)とした。
得られた被覆粉体6A〜6Cについて実施例1と同様に5人のモニターでしっとり感と滑らかさを評価し、3種の被覆粉体について順位付けした。その結果、被覆粉体6Bがいずれのモニターも最もしっとりし滑らかであると評価した。従って、炭酸化反応過程でセリサイトを添加する時期は図1中のBの時点、すなわち膠質炭酸カルシウムの連鎖状結晶が生成し始めてからが最も良いと判断した。(なお、製造スケールを10倍に増やした場合はB時点での迅速な添加は困難であったが、連鎖状結晶が生成して導電率が上がり続けている間に混合が完了していれば滑らかさに大きな差はなかった。)
「被覆粉体の光の透過性の検証」
肌の明るさや透明感を上げて自然な仕上がりに見せるための被覆粉体の光の透過性を確認するため、実施例2の被覆粉体6Bを再調製し、比較例1として膠質炭酸カルシウムよりも屈折率の高い酸化チタンを被覆粉体6Bと同じ30重量%被覆量のセリサイトである被覆粉体のCOVERLEAF PC−2035(日揮触媒化成株式会社製)と、比較例2として未被覆のセリサイトを用意した。
紫外可視透過率測定
光の透過性を評価するために紫外可視透過率測定を行った。測定手順は、先ず、シリコーンKE−1300T:CAT1300=90:10(何れも信越化学株式会社製)の重量比で混合したものに、各被覆粉体を5重量%添加し、フーバーマーラーにて十分撹拌した。その後、この撹拌物をガラス板上にドクターブレードにて膜厚20μmでキャストして、一晩置くことによって測定用試料であるフィルムを作製した。このフィルムを積分球ユニット付きの紫外可視分光光度計にセットし、透過率を波長280〜800nmの範囲で測定した(粉体を含まないフィルムにてベースライン補正)。
図2は本願発明の被覆粉体6Bと、比較例1及び2の測定結果である。本願発明の被覆粉体6Bは比較例2の未被覆のセリサイトと同程度の透過率を示し、膠質炭酸カルシウムを被覆しても透過率は殆ど下がらない。一方、比較例1は酸化チタンの被覆により透過率が下がっている。これは、屈折率が母粉体のセリサイトと同じ膠質炭酸カルシウムの被覆のためであり、光を遮らないために肌の明るさや透明感を上げて自然な仕上がりに見せる効果に繋がる。一方、屈折率の高い酸化チタンは透過率を下げ、紫外光の遮蔽という点では長所があるが可視光を遮り白さが出て透明感を失わせる。なお、この透過率が下がりにくい膠質炭酸カルシウム被覆の特性は35重量%の被覆量まで確認した。
「被覆粉体の光の拡散性の検証」
小皺や毛穴などの肌の微細な凹凸を隠す効果を調べるため、被覆粉体の光の拡散特性を検証した。実施例2で用いた被覆粉体6B、比較例としてセリサイトに酸化チタンを20重量%被覆したSTA−20C(三信鉱工株式会社製)を比較例3、板状硫酸バリウムに酸化チタンを6.5重量%被覆したSILSEEM BT−HLW(日本光研工業株式会社製)を比較例4、光の拡散効果が高い球状シリカであるシリカマイクロビード P−1500(日揮触媒化成株式会社製)を比較例5として用意し、さらに、理想的な肌の反射の指標として日に焼けにくく明るく透明感のある二の腕の内側の表面光沢を測定した。
光沢測定による光の拡散性評価
株式会社ビューラックス社製の肌色のバイオスキンに化粧下地を塗布した上に化粧用パフにて均一に各粉体を重ねて塗布した。塗布したサンプルを、スガ試験機社製デジタル変角光沢計にて入射角45度に固定し、受光角0〜85度で光沢強度を測定した。二の腕の内側の測定は洗浄後5分経過してからそのまま測定した。
図3は本願発明の被覆粉体6Bと、比較例3〜5及び二の腕の光沢測定を行った結果である。屈折率の高い酸化チタンで被覆した比較例3及び4は、受光角45度前後で高い光沢強度を示し正反射が強い。一方、比較例5は緩やかな反射特性を示し光の拡散反射性を示す。本願発明の被覆粉体6Bは緩やかな反射特性と適度な光沢強度を持ち、拡散反射しながら明るい光を放つ粉体であることが判った。しかも、被覆粉体6Bは二の腕の内側の表面光沢特性と類似の特性を示し、キメの細かさや明るく透明感のある光の反射特性であることが確認できた。なお、この被覆粉体と同様な傾向は、25重量%と35重量%の膠質炭酸カルシウム被覆量でも確認した。
実施例2で調製した被覆粉体6Bを用い下記処方で化粧下地を調製した。
成分名 配合量(重量%)
1)流動イソパラフィン 8.50
2)メチルフェニルポリシロキサン 1.20
3)スクワラン 4.20
4)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 4.00
5)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 0.50
6)ベヘニルアルコール 2.00
7)ペンタステアリン酸デカグリセリル 1.52
8)硬化ナタネ油アルコール 0.50
9)ステアロイル乳酸ナトリウム 0.48
10)天然ビタミンE 0.05
11)精製水 57.05
12)合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 0.50
13)キサンタンガム 0.20
14)被覆粉体6B 5.00
15)モノイソステアリン酸ポリグリセリル 3.00
16)1,3−ブチレングリコール 7.00
17)ジグリセリン 4.00
18)メチルパラベン 0.30
合計 100.00
成分1)〜10)を混合し加熱溶解して油相を調製した。水相は、成分11)〜14)を均一分散したものを加温しながら成分15)を加え、さらに成分16)〜18)を混合均一溶解したものを添加して水相を調製した。乳化は油相80℃、水相85℃にして、水相へ油相を投入し、ホモジナイザーで十分に撹拌し、その後、ホモジナイザーを停止してから冷却して、実施例5の化粧下地を得た。
また、実施例5の処方のうち成分14)の被覆粉体6Bを精製水に置き換えて比較例6の化粧下地も用意した。
実施例5と比較例6の化粧下地をそれぞれ被験者の素顔に塗布し、D65色検定用蛍光灯を光源とした撮影ボックスにて顔を撮像した。さらに得られた画像について二値化処理を行い、肌の凹凸を画像上に黒色で検出した。その結果、比較例6よりも実施例5の二値化処理画像の方が検出される黒色の部分が少なかった。これは、実施例5が小皺や毛穴を隠す効果が高く明るさのある仕上がりになっていることを示している。
実施例2で調製した被覆粉体6Bを用い下記処方でパウダーファンデーションを調製した。
成分名 配合量(重量%)
1)シリコーン処理セリサイト 17.10
2)シリコーン処理タルク 15.00
3)シリコーン処理合成金雲母 13.00
4)シリコーン処理酸化チタン 8.00
5)シリコーン処理微粒子酸化チタン 7.00
6)シリコーン処理酸化亜鉛 2.00
7)ステアリン酸亜鉛 1.00
8)メチルパラベン 0.50
9)シリコーン処理黄酸化鉄 1.60
10)シリコーン処理ベンガラ 0.50
11)シリコーン処理黒酸化鉄 0.30
12)無水ケイ酸 4.00
13)硫酸バリウム 5.00
14)窒化ホウ素 3.00
15)(ジメチコン/ビニルジメチコン
/メチコン)クロスポリマー 1.00
16)ポリメタクリル酸メチル 6.00
17)被覆粉体6B 4.00
18)メチルポリシロキサン 7.00
19)コハク酸ジ2−エチルヘキシル 4.00
合計 100.00
成分1)〜17)をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合し、アトマイザーにて粉砕を行った。さらに、成分1)〜17)の混合粉砕物と成分18)及び19)をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合してアトマイザー粉砕後、ふるいを通し、中皿にプレスして実施例6のパウダーファンデーションを得た。
また、実施例6の処方のうち成分17)の被覆粉体6Bをセリサイトに置き換えて比較例7のパウダーファンデーションも用意した。
実施例6と比較例7のパウダーファンデーションをそれぞれ被験者の素顔に塗布し、実施例5と同様に評価した。その結果、実施例6の二値化処理画像の方が黒色の検出部分が少なく、実施例6のパウダーファンデーションの方が小皺や毛穴を隠す効果が高く明るさのある仕上がりになっていた。
実施例2で調製した被覆粉体6Bを用い下記処方でチークカラーを調製した。
成分名 配合量(重量%)
1)シリコーン処理タルク 11.72
2)ベンガラ 0.70
3)酸化チタン 0.50
4)赤色226号 0.08
5)エチルパラベン 0.35
6)メチルパラベン 0.15
7)シリコーン処理水酸化アルミニウム被覆マイカ 28.60
8)被覆粉体6B 10.00
9)セリサイト 5.00
10)無水ケイ酸 1.00
11)合成金雲母 6.00
12)窒化ホウ素 5.00
13)マイカ 4.90
14)メチルシロキサン網状重合体 2.00
15)ベンガラ被覆雲母チタン 10.00
16)メチルポリシロキサン 4.00
17)コハク酸ジ2−エチルヘキシル 8.00
18)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 2.00
合計 100.00
成分1)〜6)をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合し、アトマイザーにて粉砕を行った。さらに、成分1)〜6)の混合粉砕物と成分7)〜18)をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合してアトマイザー粉砕後、ふるいを通し、中皿(25mm×25mm×3mm、アルミ製)に内容量約2.5gでプレスして(プレス圧2MPa)実施例7のチークカラーを得た。
また、実施例7の処方のうち成分8)の被覆粉体6Bを成分7)に置き換えた比較例8のチークカラーも用意した。
硬度測定
20℃中に2時間放置後レオメーターで中皿中心1点の針入硬度(アダプター:2mm径、針入速度18mm/min)を測定した。測定は3個行い、その平均値を硬度とした。
実施例7:567g 比較例8:790g
比容積
旧化粧品原料規格基準一般試験法にて規定される比容積測定法(タッピング法)に準じ、プレスする前のチークカラーの比容積を測定した。
実施例7:1.5cm/g 比較例8:1.6cm/g
落下試験
中皿にプレスされたチークカラーをそのまま1mの高さから水平にポリエチレン板の上に落下した。ヒビ、欠け、割れるまでの良好な回数を見て、3枚のチークカラーについて良好な回数の平均を取った。
実施例7:3.00回 比較例8:1.67回
チークカラーを構成する粉体の粒度や油分の濡れ方などの指標となる比容積がほとんど同じであるので、同じプレス圧で圧縮成型した場合、同じような充填のされ方をすると考えられた。しかし、本願発明の実施例7のチークカラーは、硬度が低いにも拘らず落下強度に勝るという結果になった。すなわち、固形粉末メイクアップ化粧料に本願発明の被覆粉体を配合すると、ブラシ等によるとれが良好で使用性に優れ、落下や持ち運びに丈夫な商品が提供できるメリットがある。なお、この落下強度のテストでは、被覆粉体の配合量を5重量%、20重量%として行ったが、それぞれ良好な落下の回数は2.33回、3.67回となり比較例8の結果よりも優れていた。したがって、本願発明の被覆粉体は、光の拡散と明るさを両立させるだけでなく、固形粉末メイクアップ化粧料の強度も上げる効果を有する。
本願発明で用いた膠質炭酸カルシウムを子粒子とする被覆化は、屈折率が低いにも拘らず光を拡散させる特性がある。このため、光の透過性を維持したまま拡散できるので今までにない明るさの外観を得ることができる。したがって、車のホワイト塗装など、一段と明るさを求めるような塗料や樹脂フィラー用途にも適用できる。

Claims (3)

  1. 石灰乳と炭酸ガスを反応させて膠質炭酸カルシウムを合成する炭酸化反応において、炭酸化開始から反応溶液の導電率が低下する非晶質の膠質炭酸カルシウムの生成過程から、連鎖状結晶を生成する過程への移行によって導電率が増加する反応過程でセリサイトを加えて調製される、セリサイト表面に膠質炭酸カルシウムを被覆した被覆粉体。
  2. 請求項1記載の被覆粉体を含有するメイクアップ化粧料。
  3. 形態が固形粉末である請求項2記載のメイクアップ化粧料。
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