JP2003040618A - 炭酸カルシウム含有複合基材、その製造方法及びそれを用いた塗工紙 - Google Patents
炭酸カルシウム含有複合基材、その製造方法及びそれを用いた塗工紙Info
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Abstract
料、インキ、プラスティック用充填剤、その他充填剤と
して利用することができるカオリンクレー等の白色無機
酸化物を含有する軽質炭酸カルシウム複合体を提供す
る。 【解決手段】1種又は2種以上の白色無機酸化物を含む
鉱物資源微粒子を、水酸化カルシウム含有懸濁液に混合
した後、所定の熟成時間経過後、二酸化炭素含有ガスを
導入し炭酸化する。この炭酸化工程における炭酸化率が
2〜10%に達した時点で、反応液に水溶性リン酸塩類
を加え、さらに反応させて、表面が白色無機酸化物と炭
酸カルシウムとを含む被覆層で覆われた球状の炭酸カル
シウム粒子を得る。
Description
ー、二酸化チタン、タルク等の白色無機酸化物を含む被
覆層を有する炭酸カルシウム含有複合基材とその製造方
法に関する。
ルシウム等の白色無機微粒子は製紙用では塗工用顔料、
内填用填料として、また、ゴムやプラスティックにおい
ては充填剤として使用されている。このうち、カオリン
クレーや二酸化チタン等の無機酸化物は白紙光沢度、印
刷光沢度が高いという特徴を有し、軽質炭酸カルシウム
は白色度、不透明度、インキ受理性、セット性が高いと
いう特徴を有する。
と炭酸カルシウムは、互いに相反する特徴を有している
ため、両者の特徴を得るために、カオリンクレーと軽質
炭酸カルシウムを同時に使用することも多々ある(特開
昭62-2270号)。しかしながら、単にスラリーもしくは
粉体を混合するだけでは、両者の特徴となる物性の向上
には限界がある。
色度、不透明度を向上させるために、カオリンクレーの
粒子表面を沈殿炭酸カルシウムで被覆する技術が提案さ
れている(特表2000-506205号)。しかし一般にカオリ
ンクレーと炭酸カルシウムとは結合しにくいため、カオ
リン粒子を薄い炭酸カルシウムで被覆することは困難で
あり、カオリンと炭酸カルシウム両者の性質を充分に生
かした複合粒子は得られていない。また、粘土鉱物とカ
ルシウム塩や消石灰を常圧又は加圧下で反応させて粘土
鉱物―ケイ酸カルシウム複合体を得る技術も提案されて
いるが(特表平11-29319号)、この技術によって得られ
る生成物は、炭酸カルシウムとは異なる化合物であっ
て、製紙用の顔料としては必ずしも満足できる性能を有
していない。
オリンクレー等の白色無機酸化物を含有する軽質炭酸カ
ルシウム複合体であり、粉体物性として白色度が高く、
製紙用塗工用顔料や化粧料、塗料、インキ、プラスティ
ック用充填剤およびその他充填剤として利用することが
できる複合体を提供することを目的とする。さらに、本
発明は上記複合体を製紙用塗工顔料として利用した塗工
紙であって、マットコート紙としての性能を有する紙を
提供することを目的とする。
明者らは、一般には結合しにくいカオリンクレー等の白
色無機酸化物と炭酸カルシウムの複合化について、鋭意
研究した結果、水酸化カルシウム含有懸濁液に二酸化炭
素ガス、あるいは二酸化炭素含有ガスを通して炭酸化す
る際に、予め白色無機酸化物あるいはそれを含む鉱物資
源を添加するとともに、所定の炭酸化率に達した時点
で、少量の水溶性リン酸類またはその水溶性塩を加えて
さらに反応させることにより、炭酸カルシウムを核とし
て、その表面を炭酸カルシウムと白色無機酸化物の混合
被覆層で覆った構造を有し、かつ粒子表面がアパタイト
によって修復された球状粒子が得られること、またこの
複合粒子は、通常の球状炭酸カルシウムに劣らない白色
度と、高い比表面積を有することを見出し、本発明に至
ったものである。
(以下、単に複合基材という場合もある)の製造方法
は、1種又は2種以上の白色無機酸化物を含む鉱物資源
微粒子を、水酸化カルシウム含有懸濁液に混合した後、
二酸化炭素含有ガスを導入し炭酸化する工程と、前記炭
酸化工程の途中で、水溶性リン酸塩類を加え反応させる
工程とを含むものである。
より製造した球状炭酸カルシウム複合基材である。さら
に本発明の塗工紙は、上記複合基材を塗工用顔料として
用いたものである。
ついてさらに詳細に記述する。本発明の複合基材の製造
方法において、水酸化カルシウム含有水性懸濁液(消石
灰懸濁液)は、一般に沈殿炭酸カルシウムを製造するの
に用いる消石灰懸濁液を用いることができる。このよう
な消石灰懸濁液は、消石灰を水と混合して調製するか、
生石灰(酸化カルシウム)を水で湿式消化させることに
より調製することができる。湿式消化は、CaO濃度50〜2
50g/L、温度20〜100℃、好ましくは40〜100℃で、スレ
ーカーでの平均滞留時間60分以内、好ましくは3〜30分
という消化条件下で、連続湿式型のスレーカーを用いて
行うことが好ましい。
下水、井戸水、或いは次の炭酸化工程で生成される炭酸
カルシウム水性スラリーの分離脱水処理により得られる
分離水またはろ過処理により得られるろ水を用いること
ができる。
無機酸化物を含有する鉱物資源微粒子を添加、混合す
る。白色無機酸化物を含有する鉱物資源微粒子として
は、一般に製紙用顔料として使用される、カオリンクレ
ー、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、マグネシア、タ
ルク等を用いることができ、これらは1種を単独で又は
二種以上を混合して用いることができる。鉱物資源微粒
子は、好ましくは平均粒子径(一次粒子)0.1μm〜2.0
μmの範囲のものを用いる。鉱物資源微粒子は、粉体も
しくは分散スラリーとして上記消石灰懸濁液に添加する
ことができる。分散スラリーは、例えば分散剤を0.5%
添加した固形分濃度70%の分散スラリーを用いることが
できる。
有される水酸化カルシウム(炭酸カルシウム換算量)と
の合計の1〜100重量%とすることができる。但し、鉱物
資源微粒子の比率が大きくなるにつれ、複合化されない
鉱物資源微粒子の量が増加するので、好適には鉱物資源
微粒子と炭酸カルシウム換算値との重量比で75:25以
下、より好適には50:50以下、更に好適には30:70以下
とする。
を水酸化カルシウム含有水性懸濁液に加え、混合した
後、常温もしくはそれ以上の温度において一定時間熟成
することが好ましい。熟成時間は、特に限定されない
が、通常30分〜1時間程度とする。このような熟成工程
を設けることにより、鉱物資源微粒子が水酸化カルシウ
ム含有水性懸濁液になじみ、その後の炭酸化工程におい
て複合化が進みやすくなる。
水性懸濁液を所定時間熟成した後、必要に応じて水酸化
カルシウム濃度を調整し、二酸化炭素ガスもしくは二酸
化炭素含有ガスを用いて炭酸化を行う。炭酸化は少なく
とも二段階に分けて行い、第1段階では、上記鉱物資源
微粒子と水酸化カルシウムを含む懸濁液に二酸化炭素含
有ガスを吹き込みながら炭酸化率4%付近まで炭酸化す
る。第2段階では炭酸化率約4%に達した時点で水溶性
リン酸類又はそれらの水溶性塩を添加し、さらに炭酸化
が完了するまで反応を行う。
炭酸カルシウムを生成する工程であり、第1段階におけ
る炭酸化開始温度は、好適には0〜100℃、より好適には
5〜50℃の温度とする。
おいて生じた炭酸カルシウムを主成分とする粒子を核と
してその表面に白色無機酸化物と炭酸カルシウムとの混
合被膜を形成するとともに、リン酸又はその塩によりア
パタイトを形成し、表面修復を行う。
常50〜200g/L、好適には約50〜150g/Lである。この炭酸
カルシウムの量が少なく低濃度になりすぎると生産性が
低下する。また、炭酸カルシウム量が多く高濃度になり
すぎると、水溶性リン酸塩類を添加した場合にその分散
性が良好でなく、局所反応がおこりやすくなり、アパタ
イトによる均一な表面修復が得られなくなるうえに、炭
酸カルシウムとアパタイトの混合物が生成しやすくなる
ので好ましくはない。
は、二酸化炭素そのものを用いてもよいが、石灰石の焼
成工程で排出される排ガスやその他の焼却炉等で排出さ
れる排ガス等の二酸化炭素を含有するガスを用いてもよ
い。この場合、二酸化炭素濃度は5〜40容量%、好適
には10〜35容量%とする。
と水酸化カルシウム含有懸濁液との混合液に導入する際
の吹き込み量は、第1段階と第2段階とで吹込み量を異
ならせることが好ましい。例えば、第1段階は吹き込み
量0.1〜4.0NL/minで行うことができる。またリン酸又は
その塩添加後の第2段階では、吹き込み量3.0NL/minで
行う。
は、第1段階で反応液の炭酸化率が2〜10%の時点、
好適には4%付近で行う。炭酸化率が約4%となる時点
では、溶解した二酸化炭素ガスが既に溶解している水酸
化カルシウムとの反応してしまい、その後、スラリー中
の未溶解の水酸化カルシウムが溶解する速度が反応生成
物の結晶核の生成速度に追いつけない状態となる。この
時に、リン酸化合物を投入することで、水酸化カルシウ
ムの溶解と二酸化炭素ガスの溶解とのバランスをとりな
がら反応を進行させることができる。
炭酸カルシウムの生成過程において、一次粒子の細かい
凝集体となることなく球状粒子として成長するのを助長
するとともに、アパタイトを形成することによって粒子
の表面を修復し、その際、無機酸化物を取り込みながら
球状粒子を成長させるために添加される。
溶液あるいは水懸濁液として添加することが好ましく、
炭酸カルシウムの全表面にアパタイト被覆層を形成させ
るに十分な量や適当な濃度のものを用いることが重要で
ある。軽質炭酸カルシウムと水溶性リン酸またはその水
溶性塩とのCa/P(モル比)は通常2〜20、好ましくは10
〜20の範囲で選択する。この比が小さすぎると軽質炭酸
カルシウムとアパタイトの混合物が生成するし、また大
きすぎても軽質炭酸カルシウムの全表面へのアパタイト
被覆層の形成が不充分となるので好ましくない。
酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などが挙げら
れ、その水溶性塩としては、例えば、NH4H2PO4、(NH4)2
HPO4、(NH4)3PO4、NaH2PO4、Na2HPO4、Na3PO4、KH2P
O4、K2HPO4、K3PO4、などが挙げられる。これは1種類
を単独で用いてもよいし、また2種類以上を組み合わせ
て用いてもよい。
基性領域としては、通常pH10〜14、好ましくはpH11〜13
の範囲とする。このpH値が低すぎるとリン酸水素カルシ
ウム二水和物(CaHPO4・2H2O)などのアパタイト以外の
リン酸カルシウムが生成してしまう。また高すぎる場合
には、反応後の懸濁液のpHが高くなり、化粧料など用途
によっては好ましくない場合がある。上記塩基性領域
は、反応液の炭酸化率が4%付近で上記リン酸又はその
塩を上述した適当な量添加することにより達成できる。
等との関係もあり、好適な範囲も変動するが、高温ある
いは高圧になればなるほど表面被覆処理の速度が増大す
る傾向がみられる。また、攪拌速度が増大するほど表面
被覆処理の速度が増大する傾向がみられる。通常は常圧
または加圧下、0〜100℃の温度で行うことが好ましい。
せることにより、表面を白色無機酸化物と炭酸カルシウ
ムの混合物で被覆された球状粒子が得られる。なお、炭
酸化が完了するまで上記条件で反応を続けても良いが、
好適には、第3段階として、希釈後、ガス吹き込み量等
の条件を変えて、反応を続ける。このように条件を変え
て反応を行うことにより、凝集体の生成を抑制し、粒子
径分布の小さい複合基材を得ることができる。
することにより、本発明の複合基材を得ることができ
る。この場合、篩によるろ過に先立って、液体サイクロ
ンを用いた分級を行うことが好ましい。液体サイクロン
による分級を行うことにより、篩の目詰まりおよび、未
複合カオリン粒子の混入を防止することができる。
酸カルシウム複合基材は、優れた白色度、光沢度、比表
面積等の両者の特性を兼ね備えており、塗工紙の塗工用
顔料や化粧料等、炭酸カルシウムおよび白色無機酸化物
が適用される用途一般に適用することが可能である。
なお、以下の実施例において、二酸化炭素含有ガスの吹
き込み量(NL/分)は20℃の状態の100%二酸化炭素ガス
に換算した量で示す。
度105g/Lの水酸化カルシウム水性スラリーを得た。この
スラリーにカオリンクレー粉体(Mira Gloss:ENGELHAR
D社製)を、カオリンクレーと水酸カルシウム(炭酸カ
ルシウム換算)との重量混合比が30:70となるように添
加し、混合攪拌した。得られたカオリンクレー含有混合
スラリー(水酸化カルシウム+カオリンクレー(水酸化
カルシウム換算)の濃度175g/L)を80℃で60分間攪拌を
続けて熟成した。
20℃に調整した後、150Lを半回分式反応器に仕込み、周
速13m/sでかき混ぜながら、二酸化炭素濃度30容量%の
二酸化炭素含有ガスを、水酸化カルシウム1kg当たり、
100%二酸化炭素ガス換算で3NL/minの割合で吹き込み炭
酸化反応を行った。反応液の炭酸化率が約4%に達した
ところで、反応を一時停止し、一次反応中間体(スラリ
ー)を得た(第1段階)。
ナトリウムの2%水溶液を、スラリー中水酸化カルシウ
ム換算100重量部に対しヘキサメタリン酸ナトリウム添
加量が1重量部となるように添加して混合した。次いで
周速13m/sでかき混ぜながら、二酸化炭素濃度30容量%
の二酸化炭素含有ガスを、水酸化カルシウム1kg当た
り、100%二酸化炭素ガス換算で0.3NL/minの割合で吹き
込み炭酸化反応を行った。反応液の炭酸化率が約15%に
達したところで反応を一時停止し、二次反応中間体(ス
ラリー)を得た(第2段階)。
投入して希釈した後、周速13m/sでかき混ぜながら、二
酸化炭素濃度30容量%の二酸化炭素含有ガスを、水酸化
カルシウム1kg当たり、3.6NL/minの割合で20分〜30分
間、吹き込み炭酸化反応を終結させた。
レスで過脱水を行い、固形分濃度40重量%の脱水ケーキ
を得た。この脱水ケーキを乾燥機で乾燥し、さらに粉砕
処理を行うことによりパウダーを得た。
子で、X線回折分析結果からカルサイトであることが確
認された。また粒子断面を定量分析した結果、中心部が
ほぼ炭酸カルシウムからなり外側がアパタイトを含む炭
酸カルシウムとカオリンクレーの層からなる構造を有す
ることが確認された。
開始温度を5℃に変えた以外は実施例1と同様にして複
合基材を得た。得られた平均粒径4.0μmの球状粒子であ
り、X線回折分析結果からカルサイトであることが確認
された。
粉体を、コーレスミキサーにより分散剤0.5%存在下、
固形分濃度70%で分散処理した後、湿式粉砕によりカオ
リン粒子径を0.50μmから0.23μmに微粒化した。水酸
化カルシウム水性スラリーに添加するカオリンクレーと
して、この微粒化したカオリンを用い、それ以外は実施
例1と同様にして複合基材を得た。得られた平均粒径7.
7μmの球状粒子であり、X線回折分析結果からカルサイ
トであることが確認された。
開始温度を5℃に変えた以外は実施例3と同様にして複
合基材を得た。得られた平均粒径3.2μmの球状粒子であ
り、X線回折分析結果からカルサイトであることが確認
された。
に添加するカオリンクレーとして、種類の異なるカオリ
ンクレー(Ultra Gloss 90:ENGELHARD社製)を用いた
以外は実施例1と同様にして複合基材を得た。得られた
平均粒径8.8μmの球状粒子であり、X線回折分析結果か
らカルサイトであることが確認された。
に添加するカオリンクレーとして、粒子径の異なるカオ
リンクレー(平均粒子径0.18μm)を用いた以外は実施
例1と同様にして複合基材を得た。得られた平均粒径6.
1μmの球状粒子であり、X線回折分析結果からカルサイ
トであることが確認された。
ーと水酸化カルシウム(炭酸カルシウム換算)の重量混
合比を50:50に変えた以外は実施例と同様にして複合基
材を得た。得られた平均粒径6.4μmの球状粒子であり、
BET比表面積は11.7m2/gであった。またX線回折分析
結果からカルサイトであることが確認された。この実施
例7では、反応後のスラリー中に複合化されないカオリ
ンクレーの粒子が大量に存在していることが確認され
た。これによりカオリンクレーと炭酸カルシウムとの複
合化においては、所定量のカオリンクレーしか複合化せ
ず、混合割合をそれ以上に多くしても、効果はないこと
が示された。
6で得られた複合基材(パウダー)の粉体物性値を表1
に示す。なお、各物性は下記のように測定した。
乱式粒度分布測定装置(LA-920:堀場製作所)を用いて
測定した。 BET比表面積(m2/g):Flow Sorb II 2300 (島津製作
所)を用いて測定した。 ISO白色度(%):所定量(10〜15g)の粉末をプレス
器で密度1g/cm3となるようにプレス後、ISO白色
度計(CMS−35SPX)の受光部側にセットし、白色
度を測定した。 吸油量(cc/100g):JIS-K5101に準拠し、煮アマニ油を
用いて測定した。 動摩擦係数(μm):東洋精機製作所製のストログラフR
型を用い、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.30-79に準拠し
て、試料台上に両面テープを貼り、その表面に一定量(1
8〜20g/m2)の粉末をのせて測定した。
も同様に粉体物性値を表1に示す。 比較例1:カオリンクレーを添加することなく、それ以
外は実施例1と同様にして製造した軽質炭酸カルシウム 比較例2:カオリンクレーを添加することなく、それ以
外は実施例2と同様にして製造した軽質炭酸カルシウム 比較例3:実施例1で使用したカオリンクレー
本発明により得られる複合基材は、軽質炭酸カルシウム
とほぼ同様の白色度を示し、軽質炭酸カルシウムに比べ
非常に大きい比表面積を有していた。またカオリンクレ
ーと比べ白色度が大幅に向上している。また実施例1の
複合基材は、動摩擦係数が、炭酸カルシウムやカオリン
クレーと比較して低く、化粧料として有用であることが
示された。
価に用いた実施例1〜4のパウダーに、水と0.5重量%の
分散剤を添加してコーレスミキサーで分散させて、固形
分濃度68%の水性分散スラリーを得た。この水性分散ス
ラリーについて下記の物性を評価した。
乱式粒度分布測定装置(LA-920:堀場製作所社製)を用
いて測定した。 粘度:ブルックスフィールド型(B型)粘度計60rpm(2
5℃)で測定した。 固形分濃度:赤外線水分計(Mettler LP-16:メトラー社
製)を用い、105℃で乾燥したものである。
記比較例4、5のパウダーの水性分散スラリーについて
の物性値を表2に示す。 比較例4:比較例1で合成した球状炭酸カルシウムと、
比較例3のカオリンクレーの単純混合物(重量混合比
炭酸カルシウム:カオリンクレー=70:30) 比較例5:比較例2で合成した球状炭酸カルシウムと、
比較例3のカオリンクレーの単純混合物(重量混合比
炭酸カルシウム:カオリンクレー=70:30)
物性値の評価で用いた実施例1(複合基材)、比較例1
(炭酸カルシウムのみ)、比較例3(カオリンクレーの
み)、比較例4(炭酸カルシウムとカオリンクレーの7
0:30混合物)の水性分散スラリーを顔料組成物として
用い、下記処方の塗工液(固形分濃度45重量%)を調製
した。
にコーティングロッドで手塗りにて塗工を行い、105℃
で2分乾燥後、24時間調湿を行い、スーパーカレンダ
ー処理(線圧:100kgf/cm、処理温度:55℃、処理速
度:8m/min、ニップ回数:3回)を行い、塗工紙を得
た。この塗工紙について、以下のようにISO白色度、白
色光沢度、インク受理性を評価した。その結果を表3に
示す。
面をISO白色度計(CMS−35SPX)の受光部側に
セットし、白色度を測定した。6回の測定の平均値を測
定値とした。 白色光沢度:デジタル光沢計(GM−26D型(45
°))を用いて、標準板(白色板)に対する光沢度
(%)を求めた。サンプル数10点の平均値を測定値と
した。 インク受理性:白色光沢度の測定と同じデジタル光沢計
を用い、インク吸収前と後の白色度W1、W2を求め、
次式によりインク受理性を求めた。サンプル数2点の平
均値を測定値とした。尚、インク吸収方法は、塗工紙試
料にインクを少量落とし、15秒後にへらで均一に塗っ
てインクを吸収させ、1分40秒後にへらでインクをか
き取り、さらに2分10分後にやわらかい布でインクを
全部拭き取った。インク吸収後の白色度は、この状態で
測定したものである。インク受理性={(W1−W2)
÷W1}×100
リンクレーよりも優れた値が得られ、光沢度については
炭酸カルシウムよりも優れた値が得られた。また白色
度、光沢度のいずれについても、単なる混合物よりもよ
い結果が得られた。
して白色無機酸化物及び炭酸カルシウムの混合物の被覆
層を有する球状の炭酸カルシウム含有複合基材であっ
て、白色無機酸化物と炭酸カルシウムの性質を併せ持つ
複合基材が提供される。また本発明によれば、結晶系が
カルサイト型の炭酸カルシウム含有複合基材を安定して
製造することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】1種又は2種以上の白色無機酸化物を含む
鉱物資源微粒子を、水酸化カルシウム含有懸濁液に混合
した後、二酸化炭素含有ガスを導入し炭酸化する工程
と、前記炭酸化工程の途中で、水溶性リン酸塩類を加え
反応させる工程とを含む、白色無機酸化物を含む炭酸カ
ルシウム含有複合基材の製造方法。 - 【請求項2】前記炭酸化工程に先立って、前記鉱物資源
微粒子を混合した水酸化カルシウム含有懸濁液を所定時
間熟成する工程を含む請求項1記載の炭酸カルシウム含
有複合基材の製造方法。 - 【請求項3】前記水溶性リン酸塩類を加え反応させる工
程は、炭酸化工程における反応液の炭酸化率が2〜10
%の時点で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載
の炭酸カルシウム含有複合基材の製造方法。 - 【請求項4】請求項1ないし3いずれか1項記載の製造
方法により製造した炭酸カルシウム含有複合基材。 - 【請求項5】請求項4記載の炭酸カルシウム含有複合基
材を塗工用顔料として用いたことを特徴とする塗工紙。
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