JP5056795B2 - 内燃機関の排気系構造 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、排気センサの上流側の排気通路に排ガス中の水分が滞留する滞留部を設けるとともに、滞留部から流れ落ちる水分を貯留する水溜室を形成する構成が開示されている。この技術では、排気管の曲成部で生成される凝縮水の飛散を防止することによって、センサへの被水を阻止している。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成で、排気通路内に設けられるセンサの被水割れを防止することができるようにした、内燃機関の排気系構造を提供することを目的とする。
なお、前記排気通路の下部に近づくほど排気の流通方向に対する角度が小さくなるように、前記第一の流路が延びていることが好ましい(請求項2)。
なお、前記壁体から前記センサ近傍まで、排気の流通方向と交差する方向に沿って、前記センサを避けるように延びる面部が設けられていることが好ましい(請求項4)。
また、本発明の内燃機関の排気系構造(請求項6)は、請求項4又は5記載の内容において、前記面部から前記部分通路側に突出し、排気上流側から排気下流側へと排気を誘導する誘導面を備えた突出部が設けられていることを特徴としている。
また、本発明の内燃機関の排気系構造(請求項8)は、請求項6又は7記載の内容において、前記面部の前記センサ側の一部が切り欠かれてなる切り欠き部が設けられ、前記突出部が、前記切り欠き部の端辺に沿って設けられることを特徴としている。
また、前記第二の流路は、第二の突起又は溝で形成されることが好ましい。前記第二の流路は、前記第二の突起に隣接する空間あるいは前記第二の溝の内部空間として形成される。
また、排気通路の下部の内面にも第一の流路につらなる第二の流路を形成することで、壁体表面でセンサから遠ざけられた水滴のはね返りや飛散を防止することができる。
また、本発明の内燃機関の排気系構造(請求項2)によれば、第一の流路と第二の流路とがなす角度を小さくすることができ、例えば、第一の流路の配置形状を滑らかな曲線状にすることができる。これにより、第一の流路と第二の流路とがつながる部分での水滴のはね返りや飛散を防止する効果を高めることができる。
また、第一の流路と第二の流路とがなす角度を小さくすることができ、例えば、第一の流路の配置形状を滑らかな曲線状にすることができる。これにより、第一の流路と第二の流路とがつながる部分での水滴のはね返りや飛散を防止する効果を高めることができる。
また、本発明の内燃機関の排気系構造(請求項4)によれば、壁体からセンサ近傍まで、排気の流通方向と交差する方向に向かって、センサを避けるように延びる面部を設けることにより、センサを水滴から保護することができる。
また、本発明の内燃機関の排気系構造(請求項5)によれば、壁体の表面に形成された第一の流路が排気下流側に向かうにつれて排気通路の下部に近づく方向に延びているため、壁体の表面に伝わる水滴をセンサから遠ざかる方向へと誘導することができ、センサの被水割れを防止することができる。
また、壁体からセンサ近傍まで、排気の流通方向と交差する方向に向かって、センサを避けるように延びる面部を設けることにより、センサを水滴から保護することができる。
また、本発明の内燃機関の排気系構造(請求項7)によれば、突出部の壁体からの突出長さが長い部分では、面部と突出部とに沿って排気を誘導しやすくすることができる。また、突出長さの短い部分が排気下流側に配置されているため、ここに至るまでの排気と面部との接触面積が大きくなり、面部と突出部との間で排気中の水分を水滴化しやすくすることができる。
[1.第一実施形態]
[1−1.構成]
本発明に係る構造が適用された内燃機関(エンジン)の排気系を図1に示す。エンジン11は、複数の気筒を有するガソリンエンジンである。ここでは四気筒エンジンが例示されており、その点火順序は第一気筒,第三気筒,第四気筒,第二気筒の順である。
本第一実施形態では、図1に示すように、第一排気管13A及び第四排気管13Dが集結されて第五排気管13Eが形成されるとともに、第二排気管13B及び第三排気管13Cが集結されて第六排気管13Fが形成されている。第五排気管13E及び第六排気管13Fは、ほぼ水平に配置されている。さらに、これらの第五排気管13E及び第六排気管13Fが触媒コンバータ10の直前で集結され、第七排気管13Gとして一体に形成されている。
図2に示すように、第五排気管13E及び第六排気管13Fは、管体1と、管体1の内部に固定された壁体3とを備えて構成される。管体1は、排気通路P1,P2の外形を形成する筒状の部材である。また、壁体3は管体1の内部における上面1a(上部)及び下面1b(下部)に固設された板状の部材である。この壁体3は、上面1aと下面1bとの間の鉛直面内に延びている。
壁体3における管体1の上面1a側の端部、すなわち上端部には、開口部としての連通部3aが形成されている。連通部3aは、双方の部分通路P1,P2を連通している。また、管体1の上面1aにおける連通部3aの上部には、空燃比センサ2(センサ)を挿入するための取り付け穴1cが設けられている。
空燃比センサ2は、排気成分の検出に係る素子が内蔵されたセンサ素子部2a(検知部)と、センサ素子部2aの外周を囲むプロテクタ部2bとを備えて構成されている。プロテクタ部2bはほぼ円筒状に形成されており、その表面にはプロテクタ部2bの外部の排気を内部のセンサ素子部2aへと流通させるための微少な連通孔が多数設けられている。また、壁体3の連通部3aは、空燃比センサ2のプロテクタ部2bと干渉しない大きさに形成されている。なお、空燃比センサ2の配設位置(すなわち、取り付け穴1cが開けられている管体1上の位置)は、管体1の上面1aと壁体3とが当接する線上である。
図3(a),(b)に示すように、空燃比センサ2が挿入される連通部3aよりも排気の上流側における壁体3の表面には、複数の溝4(第一の溝)が形成されている。これらの溝4は、壁体3の両面に設けられている。本実施形態では、直線状の複数の溝4が互いに平行に配設されている。図4(a)に示すように、溝4の内部空間4a(第一の流路)は排気中に含まれる水分(水滴)の流路として機能する。
本発明の第一実施形態に係る内燃機関の排気系構造は上述のように構成されているので、以下のような作用および効果を奏する。
エンジン11から排出される排気のうち、第一排気管13A及び第四排気管13Dの排気は、第五排気管13Eで合流して部分通路P1を流通する。また、第二排気管13B及び第三排気管13Cの排気は、第六排気管13Fで合流して部分通路P2を流通する。各部分通路P1,P2の排気中には水分が含まれているため、これらの部分通路P1,P2をなす管体1や壁体3の表面温度が低い場合には水分が結露し、管体1の内面及び壁体3の表面に水滴が付着する。
図5(a),(b)及び図6は、第一実施形態の構造に対して、水分を排気流から分離するための構造をさらに追加した第二実施形態を示す図である。ここでは、壁体3の形状を変更することによって、空燃比センサ2への被水をより効果的に防止している。
各々の面部6における空燃比センサ2側の一部は、切り欠き部7によって切り欠かれている。切り欠き部7の形状は、壁体3の側面から見ると、図5(b)に示すように、排気の下流側(空燃比センサ2側)の一辺を底辺とした二等辺三角形状となっている。
突出部8は、排気上流側から排気下流側へと排気を誘導する誘導面8aを備えている。排気は、誘導面8aを伝って流れる。また、突出部8の面部6からの突出長さは、排気の下流側ほど短くなるように形成されている。図5(a)に示すように、突出部8は上面視において排気の流通方向に対する平行線及び垂直線と面部6とで形成される直角三角形状となっている。なお、突出部8の突出長さは、各々の面部6における空燃比センサ2側の端部で0となっており、面部6における空燃比センサ2側の端部は、図6に示すように、排気の流通方向に対して傾斜した方向へ突き出た鋭利な形状となっている。
また、突出部8の突出長さと排気の流通作用との関係に着目すると、排気上流側の突出長さの長い部分では、面部6と突出部8とに沿って排気が誘導されやすくなり、排気下流側の突出長さの短い部分では、面部6と突出部8との間で排気中の水分が水滴化しやすくなる。このように、排気の流通性と水分の水滴化とを両立することができる。
以上、本発明の第一実施形態及び第二実施形態を説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上述の実施形態においては、エンジン11がガソリンエンジンである場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ディーゼルエンジンや他の形式のエンジンの排気系構造として適用することが可能である。
また、上述の実施形態では、管体1に形成された複数の溝4が直線状のものを示したが、これを曲線状の溝4′とすることも考えられる。例えば、図7(a)に示すように、下面1bに近づくほど排気の流通方向に対する角度が小さくなるように、溝4′を延ばすことが考えられる。つまり、壁体3と管体1の上面1a及び下面1bとの当接部近傍であるほど排気の流通方向とのなす角が減少するように、溝4′の形状を滑らかな曲線状に設定する。
なお、溝4′の形状は少なくとも、その下面1b側が曲線状に形成されていればよい。また、上述の実施形態では、溝5を排気の流通方向に沿って下流側へ形成しているが、壁体3から離れる方向へと延ばしてもよい。これらの変形例に係る溝4′及び溝5′を図7(b)に示す。
なお、本発明における第一の流路や第二の流路を形成する手段として、突起や溝の代わりに特殊な表面加工(撥水加工など)を施して水滴を滑りやすくすることも考えられる。このように、少なくとも重力にしたがって壁体3上の水分が自然に下方へ落ちるような構造であればよい。
また、上述の実施形態に係る図2では、空燃比センサ2が排気の流通方向に対して垂直に取り付けられるものが示されているが、部分通路P1,P2に対する空燃比センサ2の取り付け角度はこれに限定されない。例えば、排気の流路抵抗を小さくすることを目的として、空燃比センサ2の下端部を排気流の下流側へ傾けて取り付けてもよい。
空燃比センサ2への被水を防止するとの観点から、上述の第二実施形態の構成を簡略化することが可能である。例えば、図9(a),(b)に示すように、単一の面部6′が設けられた構造とすることが考えられる。
この例では、上面視における面部6′の延長線Lが空燃比センサ2のプロテクタ部2bと衝突しないように、壁体3に対する面部6′のなす角度θが設定されている。このように、空燃比センサ2を避けるように面部6′を延ばすことにより、少なくとも部分通路P2側では空燃比センサ2を被水から効果的に保護することができる。
この例では、連通部3aの排気上流側の端辺から、排気の流通方向に対して垂直に飛び出すように突出部8′が設けられている。つまり、突出部8′の誘導面8a′が空燃比センサ2に対して拡がるように突出している。
1a 上面(上部)
1b 下面(下部)
2 空燃比センサ(センサ)
2a センサ素子部(検知部)
2b プロテクタ部
3 壁体
3a 連通部
4,4′ 溝(第一の溝)
4a 内部空間(第一の流路)
4″ 突起(第一の突起)
4a″ 隣接する空間(第一の流路)
5 溝(第二の溝)
5a 内部空間(第二の流路)
5″ 突起(第二の突起)
5a″ 隣接する空間(第二の流路)
6 面部
7 切り欠き部
8 突出部
8a 誘導面
10 触媒コンバータ
11 エンジン(内燃機関)
11a シリンダヘッド
11b シリンダブロック
12A,12B,12C,12D 排気ポート
13A 第一排気管
13B 第二排気管
13C 第三排気管
13D 第四排気管
13E 第五排気管
13F 第六排気管
13G 第七排気管
P1,P2 排気通路(部分通路)
Claims (8)
- 内燃機関の排気通路の上部に設けられた、前記排気通路内に臨む検知部を有するセンサと、
少なくとも前記センサよりも排気上流側で、前記排気通路の内部を複数の部分通路に区画する壁体と、を備え、
前記壁体は、前記排気通路の上部と下部との間の鉛直面内に延びて、前記センサの検知部が前記複数の部分通路のそれぞれに面するように配置されており、
前記壁体の表面には、排気中に含まれる水分の流路として、排気下流側に向かうにつれて前記排気通路の下部に近づくように延びる第一の流路が形成され、
前記排気通路の下部の内面には、前記第一の流路につらなる第二の流路が形成されている
ことを特徴とする、内燃機関の排気系構造。 - 前記排気通路の下部に近づくほど排気の流通方向に対する角度が小さくなるように、前記第一の流路が延びている
ことを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の排気系構造。 - 内燃機関の排気通路の上部に設けられた、前記排気通路内に臨む検知部を有するセンサと、
少なくとも前記センサよりも排気上流側で、前記排気通路の内部を複数の部分通路に区画する壁体と、を備え、
前記壁体は、前記排気通路の上部と下部との間の鉛直面内に延びて、前記センサの検知部が前記複数の部分通路のそれぞれに面するように配置されており、
前記壁体の表面には、排気中に含まれる水分の流路として、排気下流側に向かうにつれて前記排気通路の下部に近づくように延びる第一の流路が形成され、
前記排気通路の下部に近づくほど排気の流通方向に対する角度が小さくなるように、前記第一の流路が延びている
ことを特徴とする、内燃機関の排気系構造。 - 前記壁体から前記センサ近傍まで、排気の流通方向と交差する方向に沿って、前記センサを避けるように延びる面部が設けられている
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の内燃機関の排気系構造。 - 内燃機関の排気通路の上部に設けられた、前記排気通路内に臨む検知部を有するセンサと、
少なくとも前記センサよりも排気上流側で、前記排気通路の内部を複数の部分通路に区画する壁体と、を備え、
前記壁体は、前記排気通路の上部と下部との間の鉛直面内に延びて、前記センサの検知部が前記複数の部分通路のそれぞれに面するように配置されており、
前記壁体の表面には、排気中に含まれる水分の流路として、排気下流側に向かうにつれて前記排気通路の下部に近づくように延びる第一の流路が形成され、
前記壁体から前記センサ近傍まで、排気の流通方向と交差する方向に沿って、前記センサを避けるように延びる面部が設けられている
ことを特徴とする、内燃機関の排気系構造。 - 前記面部から前記部分通路側に突出し、排気上流側から排気下流側へと排気を誘導する誘導面を備えた突出部が設けられている
ことを特徴とする、請求項4又は5記載の内燃機関の排気系構造。 - 前記突出部の前記壁体からの突出長さが、前記排気下流側に向かうにつれて短くなるように形成されている
ことを特徴とする、請求項6記載の内燃機関の排気系構造。 - 前記面部の前記センサ側の一部が切り欠かれてなる切り欠き部が設けられ、
前記突出部が、前記切り欠き部の端辺に沿って設けられる
ことを特徴とする、請求項6又は7記載の内燃機関の排気系構造。
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