JP5055275B2 - 照射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1に記載の陽子及び/またはイオンビーム治療用照射装置に関する。
この種の装置は治療施設として周知であり、そう呼ばれている。通常、こうした装置は、サイクロトロンやシンクロトロンの基部に実装される照射源と、ビーム案内装置と、治療ビームが仕向けられる少なくとも1つの治療室とを有する。このビームは治療される患者の居場所である治療現場へ向けて案内される。
ビームを加速させこれを患者の治療に使用する際、二次的放射が発生する。本願で考える核子当りおよそ100MeVまでのエネルギー範囲では、イオンを減速させると核反応(破砕反応すなわち発射体や標的の原子核の細分化)時に、中性子、陽子、光イオン、及びガンマ放射線が発生する。二次的放射線の遮蔽は主に発生した中性子放射線により重要となる。
周知のように、加速した治療ビームの大部分は組織に沈積して、そこに、治療ビームの方向から見れば、強力に前向きの中性子放射線の錐体を生じさせる。発生した中性子の殆どは相互作用せずに患者から退出する。中性子放射線は極めて高いエネルギーと10番目の明度(the tenth value)を持ち、層の濃度は、特に入射する治療ビームの前方方向では標準的なコンクリートなどの1メーターに匹敵するから、十分な遮蔽努力が必要である。放射線防護の構造設計は、放射線物理学と幾何学との基本条件を考慮しなければならない。
治療センター、特に本願で対処するタイプの照射装置を使用する粒子治療用臨床施設を計画する際には、しばしばその施設を大きな治療センターの近くの、あるいはその内部にある既存の下部構造に建てなければならないという問題が起る。複雑な加速器の技術とそれに関連するビーム案内装置とにより、サイクロトロンとシンクロトロンとを有した粒子治療の施設は、大きなフロアスペースを必要とする。治療ビームの提供には、多くの場合、放射源のビームを治療室へ仕向けるための分岐したビーム案内装置を必要とする。これにより、治療室への進入はしばしば制限される。多くの場合、治療室への入口は中性子放射領域に配置されるから、しばしば重い遮蔽扉が取り付けられるのは不可避である。このことは、一方で必要なスペースが拡張され、他方で患者への接近を遅らせる。
したがって本発明の目的は、本願で述べた不都合を回避する照射装置を提供することにある。
この目的を解決するために、請求項1に記載の特徴を持つ、陽子及び/またはイオンビーム治療用の放射源付き照射装置を提案する。本装置はビーム案内装置と、少なくとも1つの治療現場と、患者治療用の治療ビームが仕向けられる、入口付きの治療室とを具備する。照射装置の特徴は、幾つかの平面を設けることにある。
これにより、治療室を第1の平面に配置する。治療ビームはこの平面の上か下かに置かれる第2の平面から治療室へ仕向けられ、治療現場へ誘導されるから、治療ビームは入口から遠ざかる方へ方向づけられる。照射装置の各部品は別の平面に配置されるため、必要スペースを相当に削減することができる。さらに、ビーム案内装置を、治療室が配置された平面から排除することもできる。その上に、治療室の入口はビームの案内とは独立に選択することができる。本発明の照射装置では、治療室に治療現場に対して開口したシールドが設けられる。シールドは治療室の他の領域を放射から防護する。治療室への入口はシールドの、治療現場から遠ざかって対面する側に配置し、入口から治療現場へ通じる少なくとも1つの「迷路」を、治療室内をシールドへ向って進行する治療ビームから横にずらして設けることができる。この迷路に治療ビームは衝突しない。治療現場の下流で発生する中性子放射線も迷路と衝突しない。したがって治療室の入口は、反射された放射線からもっぱら迷路により防護され、具体的に遮蔽扉を省くことができる。それとともに、治療室への容易かつ迅速な進入ができるようになる。
治療室の治療現場領域で発生した中性子放射線は、DE 102 35 116 Alの治療室のように入口と、入口−治療現場間の迷路とに実際に衝突しないから、遮蔽の労力を減じることができる。これにより照射装置の必要スペースは減少する。
好ましい実施形態の照射装置では、迷路は入口と治療現場との間に、シールドの両側に設けられる。2つのうちの一方は入口として他方は出口として使用でき、治療室の使用は最適化される。患者の移動は入口を妨げず、患者の交換は迅速にできる。
照射装置の別の好ましい実施形態の特徴は、患者の前治療と後治療のための室と、別の人物の滞在用の室とを、治療室が置かれる第1の平面にそれぞれ同様に配置できることである。このことは治療準備(位置確認のためのコンピュータ断層X線写真、X線の使用など)と治療手順との道筋を最適化することができる。
照射装置の別の実施形態の特徴は、治療室に入射する治療ビームは治療現場に仕向けられ、上述の室には向けられないことである。したがって、これらの室はどんな場合にも治療ビームや、治療中発生する中性子放射線で汚染されない。これにより、入口領域と上述の室との間の特別なシールドは全く必要ではない。なぜなら、患者、治療スタッフ、及び照射装置を操作し保守する人物の汚染が回避される例えば地面に中性子を方向づけるように治療室を構成できるからである。
照射装置のさらなる好ましい実施形態では、照射源を第3の平面に配置する。照射装置は幾つかの平面上に配分され、さらなる平面もここで利用できるから、照射源、ビーム案内装置、治療室などの個々の要素は、一方を他方に重ねるいわば入れ子式にして必要スペースを最小化することができる。ただし、治療現場へ仕向けられるビームは、患者と別の人物とが滞在する室から遠ざかる方へ方向づけられることが必要である。
さらなる実施形態は残余の従属クレームから生じる。
以下に、図面を使って本発明をより詳細に説明する。
図1の略図は、照射源3、ビーム案内装置5、及び患者を治療ビーム13に曝す治療現場を持つ治療室7を具備した照射装置1を示している。同略図は、治療室を第1の平面E1に設置し、ビーム案内装置5を第2の平面E2に、照射装置3を第3の平面E3に配置して、ここでは平面E2、E3とを第1の平面E1の下に配して示してある。しかし容易に想像されるように、ビーム案内装置5と治療室7とは照射装置3の下に配してもよい。
図1の略図から明らかなように、ビーム案内装置5を出るビームは入口領域Eで治療室7へ進入する。
図1を見ればさらに、ビーム案内装置5の上の治療室には、ビーム偏向装置SUとビーム形成装置SFとが設けられている。
治療室7の隣には、患者の準備に有用なかつ照射装置の操作スタッフが滞在できる室15が示してある。
図は、照射源3、ビーム案内装置5、治療室7、並びに照射装置1と関連する別の室、ここでの室15、とが互いの上に配置され、結果として相当な省スペースを生じさせることを示している。さらに、ここではビーム案内装置5は治療室7の下に設置され、治療室7への入口を妨げないのが分かる。図1の照射装置では、入口17は室15と治療室7との間の移行領域に置かれる。図1の例示で、人はこのため左から右へ入口17を通過すれば室15から治療室7へ入る。図1の例示によればしたがって右から左へ行けば治療室7から室15へ達する。入口領域Eは、入口17から右へ一定の距離、また治療現場9から左へ一定の距離のところの治療室7の中にある。
入口領域Eを出発する治療ビーム13は治療室7を左から右へ通過するから、入口17はいかなる場合も治療ビーム3により害されることはない。さらに、治療現場9の先に伝わる中性子放射線はいかなる場合も入口17に衝突することはない。放射線は入口領域Eから見て右へ進行し、否応なく治療室7の上にも設けられた治療室7に続く地面へ案内される。したがって、上述したように中性子放射線19は地面21に案内されるから、治療ビーム13の方向から見て治療現場9から先は、特別なシールドを設ける必要はないことは明らかである。このため中性子放射線19は治療ビーム13の方向から見て、治療室7の治療現場9の反対側に配置された室15にはいかなる場合にも到達しない。
さらに、図は、入口17が治療ビーム7や中性子放射線19により応力を受けないことを明確に示している。
側面図を見れば、ビーム案内装置5は、放射源3の部分ビームTが治療室7の床を通りその下から入口領域Eのところで治療室7へ仕向けられ、そこで偏向して床Bと平行に、したがって治療現場9に向って水平に進行するように構築されている。
部分ビームTの偏向はまた、これがある角度を成して治療室7に進入するように、また一方でこれが治療室7の内部で偏向して床Bに平行でなく床に対して角度を成して進行するようにも選択することができる。これにより、治療ビーム13は治療現場9の床Bにも角度を成して進行する。
したがって、照射装置1をこの態様に関しても多様に設計できるのは明らかである。これにより、治療ビーム13が治療室7の天井から角度を成して治療室7に入射することも、またこれを偏向させて床Bに平行でなく上から直角に治療現場9に衝突するようにすることも可能である。この放射径路の利点は、治療ビーム13と中性子放射線19とが上から地面21に案内され、最適な吸収が保証されることである。放射径路を直角上向きにする場合、治療室7の上の地面21の十分な厚さや、シールドの追加的設置が保証されなければならない。
ここでは部分ビームT特に治療ビーム13を治療現場9に角度を成して仕向けることが可能となるから、場合によってはガントリーは取り除けておくことができる。
図はさらに、部分ビームTの治療室7への入口領域Eが、治療室7の入口17へ一定の距離を置いて、治療現場9へも一定の距離を置いて配置されるのを示している。これにより、ここでのビーム案内装置5は床Bの下に設置されるから、入口17と入口領域Eとの間の領域が自由であるのが具体的に明確になる。
図1に、室15は治療センター、研究センター、または病院23の一部分でよいことが示してある。
治療室7の上にも地面21がある。地面レベル25の下に設置すれば、治療室7の上もコンクリートやその他の材料によるシールドを最小限に減じることができる。
自然のシールド材すなわち地面21を使用できるから、全体として、照射装置1と病院23の中で分厚いシールドの塊りを回避することができる。このことは追加的に設置費用のみならず解体費用も削減させる。
全体的に、以下の利点が将来される。
照射装置1の各要素を異なる平面E1、E2、E3に配置することで、ビーム案内装置5を治療室7とは別の平面に設けることが特に可能となる。そうすれば、治療室7の入口17と、治療室7の使用に関連して必要となる室15とが最適に配置され、治療の準備と治療の手順との道筋は邪魔されることがない。さらに、照射源3と、ビーム案内装置5と、治療室7との構造上の放射線防護が保証される。シールド材は極めて有効に使用される。特に、コンクリートなどの費用のかかる材料は地面で代用される。さらに、照射装置1の個々の要素はこじんまりと配置され空間の使用を最適化することができる。なお、既存の治療センターや研究センター、特に病院への連結は、治療ビームやそこで発生する中性子放射線による追加的な放射線の曝露なしに可能である。
図2は図1に示した照射装置1を正面図により示してある。ここでは、照射源3をはっきりと見ることができる。照射源3はLINACともいう前加速器VとサイクロトロンSとを備えている。照射源3は最も低い平面E3に設置される。
この平面の上、平面E2に、幾つかのビーム分岐管27、29、31を持つビーム案内装置5が設置される。平面E2の上に、ここでは4つの治療室7/1、7/2、7/3、7/4が示してある。
図2の例示から、治療室7/1乃至7/4へ供給される部分ビームTが、照射装置3から見るとビーム分岐管27、29、31の先に伝わるのが明らかとなる。
ここでの各治療室は同じ構造をしているから、以下ではもっぱら治療室7を記述する。図2に示した最右翼の治療室7を用いてさらなる説明をする。以下、この室を治療室7という。
治療室7への入口17は部分ビームTの方向に向きを揃える。図1の注釈から明らかなように、部分ビームTは治療室7の床Bの下を進行し、第1の個所で、ここでは下から、治療室7へ進入する。説明を要すまでもなく、この誘導されるビームは上からも出現する。
図2の例示で、治療現場9のイソセンター(isocentre)は点で示してある。入口領域Eで治療室7に入る治療ビーム13は、このイソセンターに仕向けられる。治療現場9の先へ伝わる中性子放射線は、入口17から遠ざかる方へ方向づけられ、治療室7を囲繞する地面21に入る。ここでも、入口17が治療ビーム13や中性子放射線19により応力を受けないことは明らかである。
入口領域Eは、治療現場9に向って開いたほぼU字型のシールド33に包囲されている。入口17から治療現場9側を見ると、シールド33の傍に少なくとも1つの迷路Lがある。図2に示した実施形態では、迷路はシールド33のそれぞれ右と左に設けてある。これらの迷路の一方を入口として、他方を出口として使用すれば、治療手順を最適化することができる。
図3は、図2で見た治療室7を大きな尺度で示してある。前文に言及する限り、同じ部分は同じ参照番号で呼ぶ。
治療室7は、従来のシールド壁35例えば厚さ1メーターのコンクリート壁で囲繞される。壁35の厚さは各使用例に合わせることができる。シールド材も然り。DE 103 12 271 Alからはシールドに石膏を使用した例が周知である。治療室7の外側には地面21がある。
図3の例示では、治療室7の入口17は左側にある。この室の内部の、入口17に一定の距離を置いたところに図1及び2で示した部分ビームTの入口領域Eを見ることができる。部分ビームは、事実上治療室7の真ん中に配置されたシールド33で包囲される。
図3の略図から、図1ですでに明らかになったように、人は治療ビーム13による危険に曝されずに、入口17を介して治療室7に入ることができる。したがって、図1で言及したように、人は入口17の左に配された室15からシールド33に達することができる。
治療ビーム13はビーム管から出る。ビーム管は、ここでは治療室7に配置された通常の偏向成分と走査成分とを有するのがここで見られる。治療ビームは患者の寝台を設けた治療現場9に仕向けられる。双頭矢印39は、寝台が回転可能であることを示している。
治療ビーム13はビーム管37と、治療現場9側に開口したシールド33とを出て、治療現場9に突き当たる。治療現場9の先に伝わる中性子放射線19は、入口17から遠ざかる方へ向けられ壁35を通って地面21へ入る。
図3に示した実施形態では、迷路は治療ビーム13の方向で見ると、シールド33のそれぞれ右と左とに設けてある。これらの迷路は治療現場9で反射された放射線を吸収する働きをする。これにより、重い遮蔽扉なしの入口17を実装することができ、これが治療現場7への接近を容易にしかつ加速する。
ここに示した実施形態ではさらに、シールド33はその領域に、鉄から作られるのが好ましいシールド強化物41を具備する。シールド強化物41もまた治療現場9とは反対側の入口17に面している。
治療室7の内部で入口領域Eとシールド33との左と右に配置された迷路Lは、ここでは壁35の内側それもシールド33の外側に設けた段部43、45を実装する。一方迷路Lの通路に突き出る壁部の設置も考えられる。
図3の正面図から明らかなように、治療室7は対称に構築され、シールド33も対称的に入口領域Eを包囲する。
シールド33は、入口領域Eを挟入する、互いに対向して置かれた2つの壁部33a、33bを提供する。入口17と対面するシールド端部で、壁部33a、33bを基部33cにより互いに結合して、ほぼU字型の形状のシールド33を形成する。壁部33a、33bは、基部33cに面した側から治療現場9に向ってほぼ漏斗状に分かれ出る。換言すれば、両壁部領域の間のシールド33の領域は、入口領域Eの下流から見ると治療現場9に向って広がり、治療現場9で反射される中性子放射線のための漏斗状の吸収領域となる。したがって、この放射線はシールド33により最適に吸収され、シールドの、治療現場9と対面する側では、つまり入口17の領域とこれに続く室15の領域では放射線の曝露は最低限に減じられる。
図3に示した実施形態では、シールド33は治療室7内にそれ自体で独立しており、両側には、治療室7の壁部35とシールド33の外側との間に、通路すなわち上述した迷路が生じる。この実施形態の治療室7では、入口17から遠ざかって対面し治療室9の右手に配置された治療室7の極限的な壁が、地面21に出っ張った領域を有するから、操作スタッフは、治療現場9や患者のためにそこに設けた寝台をそれぞれ容易に巡回することができる。この突出部の寸法は、必要なスペースに合わせることができる。
図4は、図3に示した治療室とは別の、改造された治療室7の実施形態を示している。図3の記述に言及する限り、同じ部分は同じ参照番号で呼ぶ。
図4の治療室7は図3に示したものより少し簡単に構築されている。入口17に面した治療室7の極限的な壁は、図3で設けたものよりシールド33へ幾分大きい距離を置いて配置し、その結果入口領域Eに対面する側にある患者の寝台を巡回するための十分なスペースができる。この目的のため、ここでは治療室の極限的な壁を真っ直ぐ構築して、図3で示した出っ張りを取り除く。これは治療室7の製造費用を削減する。
一方ここでも同じ基本原理を実行する。治療現場9から右へ向けられる平均的な中性子放射線の錐体は、治療室7の壁35を通って地面21へ案内される。治療現場9で反射された中性子放射線はシールド33により吸収され、このため残ったとしても極端に減衰して入口に達する。
なお、治療室の特にシールド33の内部構造は、図3に示した実施形態と同じであるから、反復を避けるため先の注釈を参照されたい。
図5は改造型実施形態の治療室7を示している。同じ部分は同じ参照番号で呼ぶ。この限りにおいては、反復を避けるため先の注釈を参照されたい。
第2の実施形態は非対称に構築されているのは明らかだが、基本構造は同じである。
治療室7は、通常の遮蔽コンクリートなどから成る壁部35で包囲される。治療室7の外側には地面21がある。図5の左に治療室7の入口17が見て取れる。これに一定の距離を置いて入口領域Eがある。この領域で、図1乃至3で説明したように、部分ビームTが治療室7の床から治療室7へ入り込み、そこで偏向かつ形成される。入口17の領域で、部分ビームTは治療室7の床の下または天井の上を進行するから、入口17とシールド33との間の領域は妨害されず、また危険なく立ち入ることができる。
治療ビーム13は通常のビーム管37により治療現場9へ向けて案内される。治療ビーム13はビーム管37から見て右手へ出るから、入口17は決して被曝しない。治療現場9の領域で発生した中性子放射線は右に方向づけられ、壁35を通って地面21に入るから、ここではコンクリートなどで造る特に強力なシールドを省くことができる。
入口領域Eは、治療現場9側に開口するシールド33により包囲される。図4で迷路Lはシールドの上につくられるが、ここではシールドは、迷路の通路に出っ張った壁部47を持つ。しかし図3で説明したように、段部の設置も考えられる。
治療室7は非常にこじんまりと構築される。なぜならシールド33の下の位置の迷路を省略する上に、シールドの一部は壁35の領域で形成されるからである。
したがって、この基本設計に関しては、シールド33は図3を使って記述したものと同じである。シールド33は上方の壁領域33aと、これに対面する下方壁領域33bとを持つ。入口領域Eはこれらの壁部分の間に置かれる。ここには、ビーム偏向装置SUとビーム形成装置SFも配置する。2つの壁領域33a、33bは基部33cにより互いに結合され、上述したように同様にU字型シールド33が形成される。ここでも、上述したシールド強化物41を基部33cの領域に設ける。
したがって、シールド33は入口17側が閉じられ、治療現場9側が開いている。ここでも、壁領域33a、33bは基部33cから遠ざかって対面する側が治療現場9に向って広がるから、図3及び4の実施形態でも述べたように、反射された中性子放射線を吸収する領域が形成される。
図3及び4の実施形態と比べると、シールド33の壁部、ここでは下方壁領域33bが、治療室7を取り巻く壁35の一部であり、対向する壁領域33aが治療室7内で独立しているという違いが見て取れる。
図5に示した実施形態でも、図1乃至4に示した実施形態で見られるように、治療室7は入口17から自由に出入りできる。ここでは特別な遮蔽扉を必要としない。治療ビーム13は入口領域Eを経由して治療室7に達し、そこで反射/形成されビーム管37を出て治療現場9に達する。これにより、ビームの方向は入口17から遠ざかる方向となる。治療現場9で発生した中性子放射線19も入口から、したがって入口17の左手に位置する領域からも遠ざかる方へ方向づけられる。治療現場9で反射された放射線は、シールド33により、特に治療現場9に対するその漏斗型の広がりにより入口17に対して最適に遮蔽される。
全ての実施形態に共通することは、入口領域Eから治療現場9へ向う治療室7の限られた部分と、中性子放射線に曝される治療現場の下流に位置する領域とが放射線から十分に遮蔽されることである。この目的に使用されるシールド33は、両側から入口領域Eを、さらにまたビーム偏向装置SUとビーム形成装置SFとを包囲する。さらに、遮蔽装置33は反射された中性子放射線から防護するから、治療室の他の領域は極めて軽度の放射線レベルに曝されるだけである。治療ビーム13は、シールドの、治療現場9に対面する側にある入口領域Eの上または下から治療室に達するので、自由な領域すなわち、妨げられずに治療室へ入ることのできる入口17ができる。
したがって、入口17からシールド33まで邪魔な構造要素は存在せず、治療室7は最適に使用することができる。なお、治療ビーム13は、入口17から見ると、治療現場9へ向って遠ざかるように確実に仕向けられる。シールド33は、入口17と治療現場9とをつなぐ仮想線上に設置され、治療ビーム13と、それに伴う治療現場9から発散する中性子放射線は、入口から遠ざかるように方向づけられる。したがって、入口17とその左手に続く室との領域に、さらなる特別な遮蔽手段は不要である。入口領域Eで発生した放射線と、治療現場9で反射された中性子放射線とはシールド33により最適に吸収される。
したがって、図5に示した実施形態でも、治療ビーム13は側壁からではなく床から治療室7に進入する。原理的には、天井からの導入もまた可能である。図1及び2を使って記述したビーム案内装置は、したがって治療室7の下または上に設置されて入口17を邪魔せず、また入口17は治療ビーム13や中性子放射線19にたたかれることはない。治療現場9の領域で発生する散乱放射線は、シールド33と迷路Lとに効果的に捕えられ、入口領域17で重い遮蔽扉を省くことができる。
図6乃至9を使って、治療室のいろいろな配置の仕方を議論する。
図6は、すでに図2、3、及び4で議論した、対称的に配置した多くの治療室7を示している。好ましくは治療室は、全く同じに形成され、治療室7の中間軸に対して対称に配置された迷路Lを持つ。迷路は入口17と治療現場9との連結部を形成し、シールド33の右と左を通る道筋を定める。
この文脈ではもっぱら各治療室の配置が重要であるから、全ての場合でビーム管37の表示を省略する。治療室はできるだけ接近して配置し、或る程度接触個所と共通の壁領域とが生じるようにする。全治療室7の入口は、患者の準備と治療介護に用いられる室15に通じる。室15は、X線領域49と、患者の寝具用の室と、照射装置1特に幾つかの治療室7に割り当てられた装置を操作/監視する医療技術補助員のための中央管理室とを含む。X線領域49は特に患者の位置を確認する働きをする。この文脈で明白に指摘しておきたいことは、患者を確認するためのX線診断は治療室7でも行うことができることである。
図6では、各治療室7を湾曲して配置して、共通スペースを最適に使用し、各治療室7に必要な総面積を最小に制限してある。ここでも治療室7は、線で示したように地面21で包囲されるから、治療現場9の下流に伝わる中性子放射線19は地面21により吸収され、その目的のための高価なシールドは省くことができる。
図7は、治療室7の配置の別の実施形態を示している。ここでは、図5を使って記述した治療室が湾曲に配置されている。したがってここでは、図6とは違って非対称の各治療室が湾曲に配置されている。各治療室の入口は共通の室15へ通じ、ここで患者は事前措置とアフターケアを受けることができ、横になることができる。さらに、X線領域49を中央管理室と共にここに設けることができる。中央管理室はここでは詳細に示していないが、照射装置1を操作しかつ治療室7の患者の治療を行うところである。
ここに示した実施形態でも、図2及び6のように、治療室7は、治療ビーム13と中性子放射線19とが治療室7を包囲する地面21に向って遠ざかるように方向づけられ地面21に突き当たるように構成されている。室15は、幾つかの治療室の治療ビーム13や、治療現場9の領域で発生する中性子放射線に曝されることはない。
最後に、図8は、図5を使って議論した治療室7を幾つか有した照射装置1を示している。したがって、これは迷路を1つだけ持つ非対称の治療室の例である。
図8の例示から明らかなように、治療現場9の領域に図5と同じある種の膨らみが与えられているが、各治療室7は互いに平行に伸びる側壁を持っている。図8の例示では、各治療室7は互いに平行に配置され、互いに長手方向にずれるため、2つの隣接する治療室の平行な壁領域は互いに寄りかかり、このため最小限の必要スペースをもたらしている。
ここでも、治療室7の入口17は、X線領域49やここで詳細に図示しない中央管理室を含む室15へ通じている。
ここでも、各治療室7の配置と整列とは、治療ビーム13と中性子放射線19とが入口17と室15とから遠ざかる方に仕向けられ、かつ治療室を包囲する地面21により遮蔽されるように選択される。
ここでも治療ビーム13と中性子放射線19とは入口17を攻撃に曝さないから、遮蔽扉が省略でき、治療現場9への簡単迅速な接近が可能となる。しかし非対称の治療室7では、迷路Lはそれぞれ入口や出口として選択的にしか使用できない。
最後に図9に、照射装置1の持つ4つの治療室7を図示した別の実施形態が示してある。これらは図示した中間面Mに対して鏡映式に配置され、また各治療室は中間面Mの右と左に鏡映式に形成される。中間面Mの右に配置された治療室では、迷路は入口領域Eのシールド33の左にあり、中間面Mの左に配置された治療室では、その左にある。治療室の入口17は同様に、患者が前後の治療をされる共通の室15へ通じている。ここで、X線領域も見ることができる。ここでも中央管理室を設けることができるが、図示していない。
ここでも、各治療室7は省スペース的に、緊密圧縮式に配置され、どんな場合も治療ビームと中性子放射線19とは入口17と共通室15とに衝突しないことが保証される。どんな場合も、中性子放射線19は否応なく外側に仕向けられ、治療室7を包囲する地面21により吸収される。
全体として明らかなのは、照射装置1は異なる治療室7を提供でき、その治療室7は互いに各様に配置できることである。そのようにすれば、それぞれ2つの迷路を持つ対称に構築された治療室と、1つの迷路を持つ非対称に構築された治療室とを使用することができる。最適なスペース利用の確保のため、必要であれば対称な室と非対称な室とを組み合せることも十分可能である。いずれの場合も保証すべきは、治療室7の入口17を最適に配置するため、少なくとも1つの治療室7とビーム案内装置5とを異なる平面に配置することである。ビームはそれぞれ治療室の極限的な壁へ一定の距離を置いて治療室の内部へ誘導されるから、治療室7の内部ではどんな場合も、入口領域Eを自身のシールドで包囲でき、また入口17は治療ビーム13と中性子放射線19とから防護される。
全体的に明らかなのは、照射装置1は非常にコンパクトに構築され、また治療室7、放射源3及び/またはビーム案内装置5を異なる平面に配分して、照射装置1の各要素をいわば入れ子式にすることができ、結果として極めてコンパクトな設計となることである。
さらに治療室は、ビームを治療室7の側壁からでなくその天井から内部へ案内して治療現場9へ仕向けるように構築される。そうすることで、入口17を、それが治療ビーム13や中性子放射線19で被曝しないように配置することができ、さらに、入口17と治療現場9との間に迷路を形成することができる。迷路はビームの入口領域Eに対して対称に構成でき、入口と出口とを持つ。治療室は、入口としても出口としても働く1つだけの単一の迷路を設ければ、さらによりコンパクトになる。
治療ビーム13と特に中性子放射線19とは入口17から遠ざかる方へ、さらに入口17の先の室15から遠ざかる方へ仕向けられるから、照射装置1を治療センターや研究センター並びに病院23に近接して設置することができる。そうすれば、治療ビーム13と中性子放射線19とは治療室7を包囲する地面21に浸透し、これに捕らわれるから、高価な遮蔽装置は省かれる。
このようにして構築された各治療室は、湾曲式に互いに接近してまたは互いに平行に配置することができ、また各治療室7を段違いに繋ぎ合せることもできる。そうすることで共通の室15を幾つかの治療室7と関連づけることもでき、スペースの利用はさらに最適化される。
特に図8及び9から明らかとなるのは、ここに示した治療室の配置により、壁部を薄く形成しまたは全体的に省略して、シールド材とスペースとを節約することができることである。特に、このことは隣接する治療室の壁部が相接する領域で応用される。ここでは、通常の装置では、多くの場合遮蔽目的のための所望の厚さを超える壁厚が将来される。
照射装置の縦断面略図である。 図2に示した照射装置の平面図である。 第1の実施形態の治療室の正面図である。 図3に示した治療室の改造型実施形態の正面図である。 別の実施形態の治療室の正面図である。 多くの図3の治療室を湾曲に配置した図である。 多くの図4の治療室を湾曲に配置した図である。 多くの図4の治療室を平行に配置した図である。 多くの図4の治療室を鏡映的に配置した図である。
符号の説明
1 照射装置
3 照射源
5 ビーム案内装置
7 治療室
9 治療現場
13 治療ビーム
15 室
17 入口
19 中性子放射線
21 地面
23 病院
25 地面レベル
B 床
E 入口領域
E1 第1平面
E2 第2平面
E3 第3平面
SU ビーム偏向装置
SF ビーム形成装置
T 部分ビーム

Claims (19)

  1. 陽子及び/またはイオンビーム治療用照射装置(1)において、前記装置は、
    照射源(3)と、
    ビーム案内装置(5)と、
    治療ビーム(13)が仕向けられる、少なくとも1つの治療現場(9)と入口(17)とを備えた少なくとも1つの治療室(7)とを具備し、
    前記治療室(7)は第1の平面(E1)に配置され、また前記治療ビーム(13)は、前記第1の平面(E1)の上または下に置かれる第2の平面(E2)から前記治療室(7)へ仕向けられ、且つ偏向されて前記治療現場(9)へ向って方向づけられ、その結果、前記治療現場(9)へ仕向けられた前記治療ビーム(13)は前記入口(17)から遠ざかる方へ方向づけられ、
    前記治療室には、前記治療現場(9)側に開口し、かつ前記治療ビーム(13)の前記治療室(7)への入口領域(E)と関連するシールドを設け、
    前記入口(17)を、前記シールド(33)の、前記治療現場(9)から離れて対面する側に配置し、
    さらに、前記入口(17)から前記治療現場(9)へ導く少なくとも1つの迷路(l)を、前記治療室(7)内を前記シールド(33)に向って前進する前記治療ビーム(13)から横にずらして設置する、ことを特徴とする照射装置。
  2. 請求項1に記載の照射装置において、前記入口領域(E)で前記治療室(7)に進入する治療ビーム(13)は、前記治療室(7)に配置されたビーム偏向装置(SU)及び/またはビーム形成装置(SF)へ誘導されることを特徴とする照射装置。
  3. 請求項1または2に記載の照射装置において、前記治療ビーム(13)は、前記入口(17)の上または下の前記入口領域(E)まで進行することを特徴とする照射装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の照射装置において、前記シールド(33)は、前記入口領域(E)を挟入する2つの壁領域(33a、33b)を含み、前記壁領域(33a、33b)の一方は、前記治療室(7)のシールド壁(35)の一部となりえることを特徴とする照射装置。
  5. 請求項2に記載の照射装置において、前記ビーム偏向装置(SU)及び/または前記ビーム形成装置(SF)は、前記シールド(33)に含まれて前記入口領域(E)を挟入する2つの壁領域(33a、33b)間に配置されることを特徴とする照射装置。
  6. 請求項に記載の照射装置において、前記シールド(33)は、前記壁領域(33a、33b)を連結する基部(33C)を持つことを特徴とする照射装置。
  7. 請求項6に記載の照射装置において、前記基部(33c)はシールド強化物(41)を有することを特徴とする照射装置。
  8. 請求項7に記載の照射装置において、前記シールド(33)の前記壁領域(33a、33b)は、前記入口領域(E) から下流に見える前記治療現場に向って広がることを特徴とする照射装置。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の照射装置において、前記シールド(33)は対称に構築されることを特徴とする照射装置。
  10. 請求項1乃至9の何れか1項に記載の照射装置において、迷路(L)は前記入口(17)と前記治療現場(9)との間で、前記シールド(33)の両側に設けられることを特徴とする照射装置。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の照射装置において、前記治療現場(9)で治療される患者の事前治療並びに事後治療のために、また他の人物の滞在のために、前記第1の平面に少なくとも1つの室(15)が設置されることを特徴とする照射装置。
  12. 請求項11に記載の照射装置において、前記入口領域(E)から前記治療現場(9)側へ仕向けられる治療ビーム(13)は、前記少なくとも1つの室(15)から遠ざかる方へ方向づけられることを特徴とする照射装置。
  13. 請求項1乃至12の何れか1項に記載の照射装置において、前記治療ビーム(13)は、前記治療現場(9)へ一定の角度を成して仕向けられることを特徴とする照射装置。
  14. 請求項1乃至12の何れか1項に記載の照射装置において、前記治療ビーム(13)は、前記治療室(7)の床(B)に平行に進行することを特徴とする照射装置。
  15. 請求項1乃至14の何れか1項に記載の照射装置において、前記照射源(3)は第3の平面(E3)に設置されることを特徴とする照射装置。
  16. 請求項1乃至15の何れか1項に記載の照射装置において、幾つかの治療室(7/1、7/2、7/3、7/4)は互いに湾曲して配置されることを特徴とする照射装置。
  17. 先行請求項の請求項1乃至16の何れか1項に記載の照射装置において、前記幾つかの治療室(7)は互いに平行に配置されることを特徴とする照射装置。
  18. 請求項17に記載の照射装置において、前記各治療室は互いにずれて配置されることを特徴とする照射装置。
  19. 請求項1乃至18の何れか1項に記載の照射装置において、前記各治療室は、鏡映式に配置及び/または形成されることを特徴とする照射装置。
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