JPH1071213A

JPH1071213A - 陽子線治療システム

Info

Publication number: JPH1071213A
Application number: JP22981996A
Authority: JP
Inventors: Isamu Takekoshi; 勇竹越; Mitsuru Onuma; 満大沼; Atsushi Ninomiya; 篤二ノ宮; Shunji Kakiuchi; 俊二垣内; Junichi Hirota; 淳一廣田
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1996-08-30
Filing date: 1996-08-30
Publication date: 1998-03-17

Abstract

(57)【要約】【課題】患者に対する違和感や心理的負担を軽減する
ことのできる治療室環境や装置デザインを持った陽子線
治療システム。【解決手段】治療室内には、回転筒１１により構成さ
れる回転照射室を有する回転照射装置８が設置され、回
転照射室の陽子線照射部１２が取り付けられる位置には
フラット天井５１が設けられ、図示していないがこの天
井５１に照明器具が取り付けられる。回転照射室の入り
口の上部、左右側には、３台の監視カメラが設置され、
患者が見ることのできる位置にマイク、スピーカを備え
るモニタ装置５３が設置され、患者と外部とのコミュニ
ケーションが図られる。また、回転照射室の入り口付近
の治療室の床面には、突起またはテクスチャーの異なっ
たデッキ部５４が設けられる。また、患者から見える機
器は、シンプルで柔らかな形状のカバーデザインが施さ
れ、患者に冷たい印象を与えないようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、陽子線治療システ
ムに係り、特に、システム全体の小型化が可能で、保守
性がよく、かつ、患者に治療中の違和感や不安感を与え
ることの少ない構造、形状を備えた陽子線治療システム
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来技術による陽子線治療システムは、
大きな構造を有し、陽子線照射室が円筒状に構成されて
いるため保守性に難点があり、しかも、その装置形状が
いかにも機械であるというようにゴツゴツした形状を有
し、患者が治療を受ける空間が暗く閉鎖的であり他の病
院内施設と相違する環境を有するのが一般的である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記従来技術による陽
子線治療システムは、前述したように、システム構造が
大きく、陽子線照射室が円筒状に構成されているため保
守性に難点があり、しかも、その装置形状がいかにも機
械であるというようにゴツゴツした形状を有しており、
また、患者が治療を受ける空間が暗く閉鎖的であるた
め、患者に恐ろしいという印象を与えるという問題点を
有ている。また、前述の従来技術は、治療中患者が一人
だけになるため、患者を孤独で不安な心理状況してしま
うという問題点を有している。

【０００４】従来技術による前述のような環境は、患者
の病気に対する不安や葛藤のため、心理的に不安定な状
態にある患者にとって、心理的苦痛を増大させてしまう
ものである。

【０００５】本発明の目的は、前述した従来技術の問題
点を解決し、システム構造の小型化、保守の容易化を図
り、かつ、患者に対する違和感や心理的負担を軽減する
ことのできる照射室環境や装置デザインを持った陽子線
治療システムを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明によれば前記目的
は、シンクロトロンにより加速された陽子ビームを患部
に照射することにより治療を行う回転照射装置を備える
陽子線治療システムにおいて、前記回転照射装置を、前
記シンクロトロンから延びる陽子ビーム搬送路に対し
て、約１３５度の角度で配置することにより、また、前
記回転照射装置を、該回転照射装置を設置する略矩形状
の治療室の対角線方向に設置することにより達成され
る。

【０００７】前記目的は、前記回転照射装置の陽子線照
射部の周辺にフラットな天井部を設け、該天井部は、回
転照射装置が１８０度回転したとき、回転照射部が設置
される治療室の床面と同一高さとなるようにすることに
より、また、前記回転照射装置の陽子線照射部と対向す
る位置に設けられるイメージインテンシファイアーの周
辺に、治療室の床面と同一高さとなる平面部を設けるこ
とにより達成される。

【０００８】前記目的は、前記回転照射装置の照射室入
り口の前記治療室の床面に突起またはテクスチャーの異
なるデッキ部を設けることにより、前記回転照射装置の
照射室入り口付近の外部にアーチ型の防護壁を設けるこ
とにより、前記回転照射室に設けた天井部、前記アーチ
型の防護壁の上部の少なくとも一方に照明器具を設ける
ことにより、また、前記回転照射装置の照射室入り口近
傍の上部、左右の３箇所に、患者監視用のカメラを配置
することにより、さらにまた、前記回転照射装置の照射
室入り口近傍、または、治療室の壁面の患者から見るこ
とができる位置にモニタ装置を設け、治療室内の任意の
位置にマイク、スピーカを設けることにより達成され
る。

【０００９】また、前記目的は、シンクロトロンにより
加速された陽子ビームを患部に照射することにより治療
を行う水平照射装置を備える陽子線治療システムにおい
て、前記水平照射装置の正面下部を凹形状とし、患者の
足元スペースを確保するようにすることにより、前記水
平照射装置が設置される治療室の壁面に１または複数の
患者監視用のカメラを配置することにより、また、前記
治療室の患者から見ることのできる壁面にモニタ装置を
設け、治療室内の任意の位置にマイク、スピーカを設け
ることにより達成される。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明による陽子線治療シ
ステムの一実施形態を図面により詳細に説明する。

【００１１】図１は本発明の一実施形態による陽子線治
療システムの機器配置を示す全体構成図、図２は陽子線
照射用の回転照射装置の構造を示す平面図、図３は陽子
線照射用の回転照射装置の構造を示す側面図、図４は回
転照射装置の陽子線照射部の構造を示す断面図、図５は
回転照射装置の入り口付近と治療用ベッドとを示す斜視
図、図６は水平照射ポートと治療用椅子とを示す斜視図
である。図１〜図６において、１は陽子ビーム生成室、
２、２’は照射室、３はインジェクター、４は前段加速
器、５はシンクロトロン、６は陽子ビーム搬送路、７は
方向転換器、８は回転照射装置、９は水平照射装置、１
０は遮蔽壁、１１は回転筒、１２は陽子線照射部、１３
はイメージインテンシファイアー、１４は治療用ベッ
ド、１５はベッド搬送台、１６はアーチ型防護壁、１７
は回転照射装置アーム、２１、２２は透過型線量モニ
タ、２３、２４は走査用電磁石、２５、２６は散乱体、
２７はレンジシフター、２８はファインデグレータ、２
９はリッジフィルター、３０はＸ線管、３１はレーザポ
インタフィールドライト、３２、３３は可動テーブル、
３４はブロックコリメータ、３５はマルチリーフコリメ
ータ、３６はビーム軸方向可動機構、３７は患者ボーラ
ス、３８は患者コリメータ、３９はアイソセンター、４
０は照射口、５１はフラット天井、５２はカメラ、５３
はモニタ装置、５４はデッキ部、６１は治療用椅子、６
２は凹部、６３は台部、６４はカメラである。

【００１２】本発明の一実施形態による陽子線治療シス
テムは、例えば、図１に示すように、各機器より漏出す
る陽子線を遮断する遮蔽壁１０により仕切られた陽子ビ
ーム生成室１、治療室２、２’を備えて構成される。陽
子ビーム生成室１には、陽子生成用のインジェクター
３、前段加速器４、シンクロトロン５が配置され、シン
クロトロン５内で所定の速度に加速された陽子ビーム
は、陽子ビーム搬送路６に出力される。そして、治療室
２には、治療用の回転照射装置８が、治療室２’には、
水平照射装置９が配置されている。

【００１３】治療室２は、略矩形状に形成され、陽子ビ
ームが、陽子ビーム搬送路６から方向転換器７、陽子ビ
ーム搬送路６’を介して室内に配置される回転照射装置
８に導かれる。治療室２に対する陽子ビーム搬送路６’
は、治療室２の陽子ビーム生成室１側の隅部から治療室
２の対角線方向に、すなわち、壁面に対して４５度方向
になるように設置される。これにより、陽子ビーム搬送
路６’は、陽子ビーム搬送路６との結合点に置かれる方
向転換器７における陽子ビームの転換角が４５度となる
ように、陽子ビーム搬送路６と結合することができる。
すなわち、回転照射装置８は、シンクロトロン５から延
びる陽子ビーム搬送路６に対して、約１３５度の角度で
配置される。

【００１４】前述したように、治療室２への陽子ビーム
搬送路６’を治療室２の隅部から治療室２の対角線方向
に向けて配置することにより、回転照射装置８を部屋の
対角線方向の長さを有効に利用して配置することがで
き、治療室２を小さく構成することが可能となる。ま
た、陽子ビーム搬送路６との結合点に置かれる方向転換
器７における陽子ビームの転換角が４５度となるよう
に、陽子ビーム搬送路６、６’を結合することができる
ので、全体の搬送路長を短くすることができ、転換及び
搬送により生じる陽子ビームのロスを小さくすることが
できる。

【００１５】治療室２内に配置される回転照射装置８
は、図２、図３に示すように、回転照射室を形成する回
転筒１１と、この回転筒１１と共に回転する陽子線照射
部１２及び陽子ビームを導く搬送路をその内部に持つ回
転照射装置アーム１７と、回転筒１１内の陽子線照射部
１２と対向する位置に設けられるイメージインテンシフ
ァイアー１３とにより構成されている。

【００１６】回転筒１１は、治療室２の床面から約１２
５０ｍｍの高さに中心を持つ、少なくとも約３０００ｍ
ｍの内径を有している。この大きさを有することによ
り、治療ベッド１４上の患者の介護や治療部位の設定等
の治療のための準備作業を、医師や技師が立位で行うこ
とが可能となり、また、回転照射室内に搬入された患者
の介護、陽子線照射口及びイメージインテンシファイア
ーのメンテナンスのために、照射室内に入り込んで作業
を行うことが可能となる。また、回転筒１１は、前述の
大きさを持つことにより、陽子線照射口を持ち、照射野
形成のための散乱体、コリメータ、線量測定のためのモ
ニタ、照射部位撮影のためのＸ線発生装置等を持つ陽子
線照射部１２、及び、Ｘ線透視のためのイメージインテ
ンシファイアー１３を回転筒１１の中に収納することが
できる。

【００１７】そして、回転筒１１は、前述した大きさと
配置を持つことにより、図３に示すように、内側周面の
位置が最も下の位置となったとき、照射室の床面より僅
かに下に位置するするようになる。このように、回転筒
１１内周面が照射室の床面より下に位置することによ
り、治療室２の床面との間に段差ができるが、後述する
ように、イメージインテンシファイアー１３等の保守を
容易にするため、イメージインテンシファイアー１３の
周辺に、治療室の床面と同一高さとなる平面部を設ける
ようにすることができる。

【００１８】また、回転筒１１と共に回転する回転照射
装置アーム１７は、陽子ビームを曲げて陽子線を患者に
垂直に照射する必要があるため、回転筒１１による回転
照射室外部に５ｍの範囲で回転する。

【００１９】回転筒１１による回転照射室の入り口には
アーチ型防護壁１６が設けられ、これにより、放射線に
よる散乱被爆を防止することができる。また、治療用ベ
ッド１４は、ベッド搬送台１５上にベッド搬送台１５上
で長手方向、上下方向に移動可能に載置され、患者を回
転照射室内の陽子線照射位置に搬送する。その際、図２
に示すように、治療用ベッド１４は、患者の治療部位に
応じて、回転筒１１の軸線に対して左右側に３０度程度
まで回転した方向から搬送することができる。

【００２０】陽子線照射部１２は、公知の構造を有する
ものでありその詳細の説明を省略するが、図４に示すよ
うに、第１、第２透過型線量モニタ２１、２２、第１、
第２走査用電磁石２３、２４、散乱体２５、２６、レン
ジシフター２７、ファインデグレータ２８、リッジフィ
ルター２９、Ｘ線管３０、レーザポインタフィールドラ
イト３１、第１、第２可動テーブル３２、３３、ブロッ
クコリメータ３４、マルチリーフコリメータ３５、ビー
ム軸方向可動機構３６、患者ボーラス３７、患者コリメ
ータ３８を備えて構成される。なお、患者コリメータ３
８の端部が照射口４０を構成している。

【００２１】前述において、レーザポインタフィールド
ライト３１は、陽子線の人体に対する照射位置を目視に
より把握するために使用され、治療用ベッド１４により
患者を搬送する場合のおよその位置確認のために使用さ
れる。また、Ｘ線管３０は、人体を通してイメージイン
テンシファイアー１３に人体の内部画像を形成させるた
めに使用され、これにより得られる透視画像により、陽
子線を照射すべき患部であるアイソセンター３９の位置
を確認しながら陽子線の照射を行うことができる。

【００２２】次に、前述のように構成される陽子線治療
システムによる治療の操作の概要を説明する。なお、装
置の操作は、作業者の放射線被爆を避けるため、隣接す
る他の部屋から遠隔操作により次のような手順で行われ
るのが一般的である。

【００２３】まず、治療計画に基づいて、事前に回転
筒１１を回転させ、おおむねの陽子線照射角度の設定を
行っておく。患者を治療用ベッド１４に乗せ、患者が
動かないようにベルト等の補助具を用いて固定した後、
患者を照射室内２に移動させる。その後、作業者は操
作室に移動し、モニタ画面の観察と操作器の操作によ
り、レーザポインタフィールドライト３１からライトマ
ーカービームを照射した後、ベッド１４の移動操作を行
って患者を移動させ、陽子ビームの位置に治療患部の位
置、高さを合わせる。さらに、Ｘ線透視スイッチを押
してＸ線管３０からＸ線を照射し、イメージインテンシ
ファイアー１３からの透視画像により、患部中心に陽子
線の照射位置を合わせる。照射位置決定後、Ｘ線透視
スイッチをオフとして透視を終了する。陽子線照射ス
イッチを押し、患部に陽子線を照射して治療を行う。
必要な時間、通常１０分程度の陽子線の照射を行った
後、陽子線照射スイッチをオフとして治療を終了し、治
療ベッド１４の移動操作により患者を治療室外に移動さ
せる。作業者は、操作室から出て病室に移動し、患者
の固定具を開放し、患者をベッドから降ろす。

【００２４】前述したように、陽子線照射による治療
は、患者の治療室２への搬入の後、治療室２内には患者
以外だれも居ない状態で行われる。このため、治療室２
の環境は、患者に対して、冷たい印象を与えることのな
いように、設置装置の形状、色、照明等を患者に優しい
ものとすると共に、外部とのコミュニケーションを図る
ことができるようにする必要がある。

【００２５】次に、前述のような観点から構成した本発
明の実施形態による治療室２、２’について説明する。

【００２６】図５に示すように、治療室２内には、回転
筒１１により構成される回転照射室を有する回転照射装
置８が設置され、回転照射室の陽子線照射部１２が取り
付けられる位置にはフラット天井５１が設けられ、図示
していないがこの天井５１に照明器具が取り付けられ
る。この照明器具は、回転照射室内の壁面等に対して間
接的な照明を行う。また、回転照射室の入り口の回転し
ない部分の上部、左右側には、３台の監視カメラが設置
され、患者が見ることのできる位置にモニタ装置５３が
設置され、さらに、治療室２内の任意の位置にマイク、
スピーカが設置される。また、回転照射室の入り口付近
の治療室２の床面には、突起またはテクスチャーの異な
ったデッキ部５４が設けられる。

【００２７】前述において、照射口４０を含む陽子線照
射部１２、イメージインテンシファイアー１３は、シン
プルで柔らかな形状のカバー出サインを施し、優しい印
象の装置形態に構成される。このような機器、フラット
天井５１の形状、照明は、患者に対して不安感の軽減を
図ることを可能にする。また、フラット天井５１は、回
転照射室が１８０度回転した状態で、治療室２の床面と
ほぼ同一の高さとなるような位置に設けられており、こ
れにより、陽子線照射部１２、照射口４０のメンテナン
ス作業を容易に行うことが可能となる。

【００２８】また、前述の３箇所に設けた監視カメラ５
２は、陽子線照射部１２の照射口４０がどのような位置
に回転したときにも、常に、１台または２台のカメラに
よる患者の監視が可能である。また、モニタ装置５３、
マイク、スピーカが備えられているため、モニタ装置５
３に医師等を映し出すことにより、患者と外部の医師と
のコミュニケーションを図ることができ、また、ＢＧＭ
を流すことも可能であり、患者に安心感を与えることが
できる。なお、監視カメラの５２の位置は、照射口４０
の近傍とイメージインテンシファイアー１３の先端部で
あってもよい。

【００２９】回転照射室の入り口付近の治療室２の床面
に設けられた突起またはテクスチャーの異なったデッキ
部５４は、保守者、介護者等が足で触れたとき、その感
触により、照射室の入り口であることを保守者、介護者
等に知らせることができ、回転筒１１の内部への転落を
防止することができる。また、デッキ部５４に足で触れ
られたことを検知するセンサを設け、あるいは、デッキ
部５４の代わりに光センサ等を設けて、保守者、介護者
等が照射室の入り口に近づいたとき警報音を発するよう
にしてもよい。さらに、すでに説明したように、イメー
ジインテンシファイアー１３の保守を行うために、イメ
ージインテンシファイアー１３の周辺に、治療室の床面
と同一高さとなる平面部を設けるようにすることができ
る。

【００３０】回転筒１１により構成される回転照射室の
入り口に設けられるアーチ型の防護壁１６は、その天井
部に照明器具を取り付け配置することができ、これによ
り、回転照射室の入り口付近を照明することができる。

【００３１】本発明の一実施形態では、さらに、回転照
射室の開口部の患者に対する違和感の軽減のため、開口
部前面の治療室２の天井面を回転照射室と一体間のある
形状に形成し、また、機器等の金属光沢部の露出を極力
抑えるようにして、医師、技師等に対する視覚的なノイ
ズを排除すると共に、患者に冷たい印象を与えないよう
にしている。また、前述した照明器具による照明を間接
光で行うようにし、治療室２の壁面、天井面の色彩を、
心理的に重量感が少なく経過時間を短く感じさせること
がき、休息に適すると言われている淡い青緑色を一部に
用いた白を基調とした配色とすることにより、患者に対
して圧迫感を軽減することができる。

【００３２】治療室２’には、図６に示すように、水平
方向に陽子線を照射する水平照射装置９と、治療用椅子
６１とが配置される。水平照射装置９は、その内部に図
４により説明したと同様な陽子線照射部が備えられ、治
療用椅子６１に座った患者の患部に対して陽子線の照射
を行う。治療用椅子６１は、上下、前後、左右に移動可
能に、また、回転可能に設置されており、これにより、
陽子線を患者の患部に位置決めして照射することができ
る。

【００３３】水平照射装置９を乗せる台部６３の患者側
の正面下部は、凹形状に窪んだ凹部６２を備えた形状に
構成されており、これにより、患者の足元スペースを確
保することができ、患者の頭部等の上半身を水平照射装
置９の照射口に接近させることが容易となる。

【００３４】また、図には治療室２’の壁面に設けた患
者監視用のカメラ６４のみが示されているが、水平照射
装置９の前面部にカメラを設けるようにしてもよい。ま
た、図示していないが、治療室２の場合と同様に、治療
室の入り口付近、あるいは、壁面等にモニタ装置、マイ
ク、スピーカを設け、外部の医師等とのコミュニケーシ
ョンを図ることが可能とされている。

【００３５】さらに、治療室２’内の機器の形態、色
彩、照明等の環境は、治療室２の場合と同様な配慮を行
って形成される。

【００３６】前述した本発明の実施形態によれば、治療
室２への陽子ビーム搬送路６’を治療室２の隅部から治
療室２の対角線方向に向けて配置しているので、回転照
射装置８を部屋の対角線方向の長さを有効に利用して配
置することができ、治療室２を小さく構成することが可
能となり、また、陽子ビーム搬送路６との結合点に置か
れる方向転換器７における陽子ビームの転換角が４５度
となるように、陽子ビーム搬送路６、６’を結合してい
るので、全体の搬送路長を短くすることができ、転換及
び搬送により生じる陽子ビームのロスを小さくすること
ができる。

【００３７】また、前述した本発明の実施形態によれ
ば、回転照射室内の陽子線照射部の周辺にフラットな天
井を設け、回転照射室が１８０度回転したとき、天井が
治療室の床面と一致し、また、イメージインテンシファ
イアーの周辺にも治療室床面と同一高さの平面を構成す
ることができるので、照射室内部の機器の保守を容易に
行うことができる。

【００３８】また、前述した本発明の実施形態によれ
ば、装置形状、照明、治療室全体の色彩等を優しい印象
を与えるものとしているので、患者が治療を受ける空間
を開放的に見えるようにすることができ、また、外部と
のコミュニケーションを可能としているので、患者に不
安感、孤独感を抱かせることことを防止し、患者の心理
的苦痛を和らげることができる。

【００３９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、シ
ステム全体を小型に、かつ、保守を容易に行うことがで
きる構成とすることができ、また、患者に対する違和感
や心理的負担を軽減することのできる治療室環境や装置
デザインを持った陽子線治療システムを提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態による陽子線治療システム
の機器配置を示す全体構成図である。

【図２】陽子線照射用の回転照射装置の構造を示す平面
図である。

【図３】陽子線照射用の回転照射装置の構造を示す側面
図である。

【図４】回転照射装置の陽子線照射部の構造を示す断面
図である。

【図５】回転照射装置の入り口付近と治療用ベッドとを
示す斜視図である。

【図６】水平照射装置と治療用椅子とを示す斜視図であ
る。

【符号の説明】１陽子ビーム生成室２、２’ 照射室３インジェクター４前段加速器５シンクロトロン６陽子ビーム搬送路７方向転換器８回転照射装置９水平照射装置１０遮蔽壁１１回転筒１２陽子線照射部１３イメージインテンシファイアー１４治療用ベッド１５ベッド搬送台１６アーチ型防護壁１７回転照射装置アーム４０照射口５１フラット天井５２、６４カメラ５３モニタ装置５４デッキ部６１治療用椅子６２凹部６３台部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者垣内俊二茨城県日立市幸町三丁目１番１号株式会社日立製作所日立工場内 (72)発明者廣田淳一茨城県日立市幸町三丁目１番１号株式会社日立製作所日立工場内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シンクロトロンにより加速された陽子ビ
ームを患部に照射することにより治療を行う回転照射装
置を備える陽子線治療システムにおいて、前記回転照射
装置を、前記シンクロトロンから延びる陽子ビーム搬送
路に対して、約１３５度の角度で配置したことを特徴と
する陽子線治療システム。
【請求項２】前記回転照射装置が、該回転照射装置を
設置する略矩形状の治療室の対角線方向に設置されるこ
とを特徴とする請求項１記載の陽子線治療システム。
【請求項３】シンクロトロンにより加速された陽子ビ
ームを患部に照射することにより治療を行う回転照射装
置を備える陽子線治療システムにおいて、前記回転照射
装置の陽子線照射部の周辺にフラットな天井部を設け、
該天井部は、回転照射装置が１８０度回転したとき、回
転照射部が設置される治療室の床面と略同一高さとなる
ことを特徴とする陽子線治療システム。
【請求項４】前記回転照射装置の陽子線照射部と対向
する位置に設けられるイメージインテンシファイアーの
周辺に、治療室の床面と同一高さとなる平面部を設けた
ことを特徴とする請求項３記載の陽子線治療装置。
【請求項５】前記回転照射装置の照射室入り口の前記
治療室の床面に突起またはテクスチャーの異なるデッキ
部を設けたことを特徴とする請求項３または４記載の陽
子線治療システム。
【請求項６】前記回転照射装置の照射室入り口付近の
外部にアーチ型の防護壁を設けたことを特徴とする請求
項３、４または５記載の陽子線治療システム。
【請求項７】前記回転照射室に設けた天井部、前記ア
ーチ型の防護壁の上部の少なくとも一方に照明器具を設
けたことを特徴とする請求項６記載の陽子線治療システ
ム。
【請求項８】前記回転照射装置の照射室入り口近傍の
上部、左右の３箇所に、患者監視用のカメラを配置した
ことを特徴とする請求項３ないし７のうちいずれか１記
載の陽子線治療システム。
【請求項９】前記回転照射装置の照射室入り口近傍、
または、治療室の壁面の患者から見ることができる位置
にモニタ装置が設けられ、治療室内の任意の位置にマイ
ク、スピーカが設けられたことを特徴とする請求項３な
いし８のうちいずれか１記載の陽子線治療システム。
【請求項１０】シンクロトロンにより加速された陽子
ビームを患部に照射することにより治療を行う水平照射
装置を備える陽子線治療システムにおいて、前記水平照
射装置の正面下部を凹形状とし、患者の足元スペースを
確保したことを特徴とする陽子線治療装置。
【請求項１１】前記水平照射装置が設置される治療室
の壁面に１または複数の患者監視用のカメラを配置した
ことを特徴とする請求項１０記載の陽子線治療システ
ム。
【請求項１２】前記水平照射装置が設置される治療室
の患者から見ることのできる壁面にモニタ装置が設けら
れ、治療室内の任意の位置にマイク、スピーカが設けら
れたことを特徴とする請求項１０または１１記載の陽子
線治療システム。