JP5054607B2 - 排気浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの排気を浄化するための排気浄化装置に関し、特にアンモニアを還元剤として排気中のNOxを選択還元するアンモニア選択還元型NOx触媒を備えた排気浄化装置に関する。
エンジンの排気中には、汚染物質の1つとしてNOx(窒素酸化物)が含まれており、このNOxを排気中から除去して排気を浄化するための排気浄化装置として、エンジンの排気通路にアンモニア選択還元型NOx触媒(以下SCR触媒という)を配設し、還元剤としてアンモニアをSCR触媒に供給することにより、NOxを還元して排気を浄化するようにした排気浄化装置が知られている。
このような排気浄化装置では、アンモニアをSCR触媒に供給するために、アンモニアに比べて取り扱いが容易な尿素水を排気中に供給するのが一般的であり、尿素水インジェクタなどを用いて排気中に尿素水を噴射する。尿素水インジェクタから排気中に供給された霧状の尿素水は排気の熱により加水分解し、その結果生成されるアンモニアがSCR触媒に供給される。そして、SCR触媒に供給されたアンモニアと排気中のNOxとの間の脱硝反応がSCR触媒によって促進されることによりNOxが還元されて排気の浄化が行われる。
SCR触媒が活性化する温度領域ににおいて排気温度が比較的低い場合、SCR触媒に供給されたアンモニアはSCR触媒に一旦吸着され、吸着されているアンモニアを用いてNOxの選択還元が行われる。SCR触媒におけるアンモニアの吸着量には限界がある一方、アンモニアの吸着量によってSCR触媒の浄化率が変化するため、アンモニアの供給量を適切に調整しないと、アンモニアの過剰供給によるSCR触媒からのアンモニアの流出、即ちアンモニアスリップが生じたり、SCR触媒の排気浄化率を良好に維持できなくなったりするという問題が生じる。そこで、このような問題を解消するためにはSCR触媒におけるアンモニアの吸着量を適正に制御する必要があり、例えば特許文献1によってそのような制御を行うようにした排気浄化装置が提案されている。
この特許文献1の排気浄化装置では、SCR触媒におけるアンモニア吸着量の推定を精度良く行うようにして、SCR触媒におけるアンモニア吸着量を適正に制御することにより、アンモニアスリップの発生を防止しながらSCR触媒の排気浄化率を良好に維持するようにしている。
特開2003−314256号公報
SCR触媒において吸着可能なアンモニアの上限吸着量は、SCR触媒に流入する排気の温度及び排気流量によって変動し、排気温度が高いほど上限吸着量が減少すると共に、排気流量が増大するほど上限吸着量が減少する。このため、エンジンが高速高負荷運転状態にある場合のように、排気が高温となると共に大量の排気が流動するような場合には、上限吸着量が大幅に減少してSCR触媒におけるアンモニアの吸着がほとんど行われなくなる。このため、供給されたアンモニアのほとんどは、SCR触媒に吸着することなくそのままSCR触媒においてNOxの選択還元に消費されることになる。
また、エンジンの排気通路に、排気中のパティキュレートを捕集するためのパティキュレートフィルタを設けている場合、パティキュレートフィルタに堆積したパティキュレートを除去するための強制再生を行う必要がある。この強制再生においても、パティキュレートを焼却除去するために排気がかなり高温となるので、高速高負荷運転状態の場合と同様に、SCR触媒におけるアンモニアの吸着がほとんど行われなくなり、供給されたアンモニアのほとんどは、SCR触媒に吸着することなくそのままSCR触媒においてNOxの選択還元に消費される。
このように、SCR触媒におけるアンモニアの吸着がほとんど行われない状態であるにもかかわらず、SCR触媒におけるアンモニアの吸着を前提としたアンモニアの供給制御を行ってしまうと、実情にそぐわない制御が行われ、SCR触媒へのアンモニアの供給量が不適切なものとなってアンモニアスリップの発生やSCR触媒の排気浄化効率の低下を招くおそれがある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、SCR触媒におけるアンモニアの吸着状況の変化に対応し、アンモニアスリップの発生を防止しながら排気浄化効率を良好に維持可能な排気浄化装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の排気浄化装置は、アンモニアを還元剤としてエンジンの排気中のNOxを選択還元するアンモニア選択還元型NOx触媒と、上記アンモニア選択還元型NOx触媒にアンモニアを供給するアンモニア供給手段と、上記エンジンが、上記アンモニア選択還元型NOx触媒に吸着可能なアンモニアの上限吸着量の低下する運転状態として予め設定された所定運転状態にあるか否かを判定し、上記エンジンが上記所定運転状態にある場合には、上記アンモニア選択還元型NOx触媒において選択還元されるNOxに対する当量比が1となるアンモニア供給量に基づいて上記アンモニア供給手段を制御するための当量比制御を行う一方、上記エンジンが上記所定運転状態にない場合には、上記アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニアの吸着量を上記上限吸着量以下の所定量とするのに必要なアンモニアの供給量に基づいて上記アンモニア供給手段を制御するための吸着制御を行う上記制御手段とを備え、上記制御手段は、上記吸着制御から上記当量比制御に切り換える際には、上記アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニア吸着量が所定の下限吸着量を下回ったと判断するまで、上記アンモニア供給手段によるアンモニアの供給を中止することを特徴とする(請求項1)。
このように構成された排気浄化装置によれば、アンモニア選択還元型NOx触媒に吸着可能なアンモニアの上限吸着量が大幅に低下する運転状態でエンジンが運転されている場合、制御手段は、アンモニア選択還元型NOx触媒において選択還元されるNOxに対する当量比が1となるアンモニア供給量に基づき、当量比制御を行ってアンモニア供給手段を制御する。アンモニア選択還元型NOx触媒に吸着可能なアンモニアの上限吸着量の大幅な低下に伴い、アンモニア選択還元型NOx触媒に供給されるアンモニアのほとんどはアンモニア選択還元型NOx触媒に吸着せずにそのままアンモニア選択還元型NOx触媒に流入するNOxの選択還元に使用される。このとき、当量比制御によりアンモニア選択還元型NOx触媒において選択還元されるNOxに対する当量比が1となるアンモニア供給量に基づいてアンモニア選択還元型NOx触媒にアンモニアを供給するので、アンモニア選択還元型NOx触媒におけるNOxの選択還元に対して適正な量のアンモニアを供給することが可能となる。
一方、上限吸着量が大幅には低下しない運転状態でエンジンが運転されている場合、制御手段は、アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニアの吸着量を上限吸着量以下の所定量とするのに必要なアンモニアの供給量に基づき吸着制御を行ってアンモニア供給手段を制御する。この場合には、アンモニア選択還元型NOx触媒に供給されるアンモニアの多くはアンモニア選択還元型NOx触媒に一旦吸着した後、アンモニア選択還元型NOx触媒に流入するNOxの選択還元に使用される。このとき、吸着制御によりアンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニアの吸着量を上限吸着量以下の所定量とするのに必要なアンモニアの供給量に基づいてアンモニア選択還元型NOx触媒にアンモニアを供給するので、アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニアの吸着量を適正に調整することが可能となる。
また上記制御手段は、上記吸着制御から上記当量比制御に切り換える際には、上記アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニア吸着量が所定の下限吸着量を下回ったと判断するまで、上記アンモニア供給手段によるアンモニアの供給を中止する。
アンモニア選択還元型NOx触媒にある程度の量のアンモニアが吸着している状態で定量比制御を開始してしまうと、吸着されているアンモニアがアンモニア選択還元型NOx触媒から放出されたときに余剰となってアンモニアスリップが発生する可能性がある。そこで、このように構成された排気浄化装置によれば、吸着制御から当量比制御に切り換える際に、アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニア吸着量が所定の下限吸着量を下回ったと判断してから当量比制御を行うので、アンモニア選択還元型NOx触媒に吸着されていたアンモニアの放出による大量のアンモニアスリップが発生する可能性が低くなってから、当量比制御によるアンモニアの供給が開始される。
更に、上記排気浄化装置において、上記下限吸着量は、上記当量比制御を実行しても、上記アンモニア選択還元型NOx触媒からのアンモニアスリップが生じることのないアンモニア吸着量として設定されることを特徴とする(請求項)。
このように構成された排気浄化装置によれば、制御手段は、アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニア吸着量が、当量比制御を実行してもアンモニア選択還元型NOx触媒からのアンモニアスリップが生じることのないアンモニア吸着量を下回ったと判断してから当量比制御を開始する。
更に、上記排気浄化装置において、上記下限吸着量は、上記アンモニア選択還元型NOx触媒においてアンモニアが実質的に吸着してないと見なすことが可能な吸着量であることを特徴とする(請求項)。
このように構成された排気浄化装置によれば、制御手段は、アンモニア選択還元型NOx触媒にアンモニアが実質的に吸着していない状態となってから当量比制御を開始する。
また、上記排気浄化装置において、上記制御手段は、上記エンジンの回転数が所定回転数以上であると共に、上記エンジンの負荷が所定負荷以上であるときに、上記エンジンが上記所定運転状態にあると判定することを特徴とする(請求項)。
もしくは、上記排気浄化装置において、上記制御手段は、上記エンジンの排気温度が所定温度以上であると共に、上記エンジンの排気流量が所定排気流量以上であるときに、上記エンジンが上記所定運転状態にあると判定することを特徴とする(請求項)。
エンジンの回転数が所定回転数以上になると共に、エンジンの負荷が所定負荷以上となることにより、エンジンの排気温度は高温になると共に排気流量が増大する。このような状態ではアンモニア選択還元型NOx触媒に吸着可能なアンモニアの上限吸着量が大幅に減少する。従って、アンモニア選択還元型NOx触媒に供給されるアンモニアの多くはアンモニア選択還元型NOx触媒に吸着せずにそのままアンモニア選択還元型NOx触媒に流入するNOxの選択還元に使用される。そこで、エンジンの回転数が所定回転数以上であると共に、エンジンの負荷が所定負荷以上である場合、或いはエンジンの排気温度が所定温度以上であると共に、エンジンの排気流量が所定排気流量以上である場合、制御手段は、当量比制御によりアンモニア選択還元型NOx触媒において選択還元されるNOxに対する当量比が1となるアンモニア供給量に基づいてアンモニア選択還元型NOx触媒にアンモニアを供給する。この結果、NOxの選択還元に対して適正な量のアンモニアを供給することが可能となる。
また、上記排気浄化装置において、上記エンジンは、排気中に含まれるパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタを備え、上記制御手段は、上記パティキュレートフィルタの強制再生が実行されているときに、上記エンジンが上記所定運転状態にあると判定することを特徴とする(請求項)。
パティキュレートフィルタの強制再生を実行する際には、パティキュレートフィルタに堆積しているパティキュレートを除去するために、パティキュレートが燃焼する程度の高温まで排気を昇温する。従って、このような状態においても、アンモニア選択還元型NOx触媒に吸着可能なアンモニアの上限吸着量が大幅に減少する。このため、アンモニア選択還元型NOx触媒に供給されるアンモニアの多くはアンモニア選択還元型NOx触媒に吸着せずにそのままアンモニア選択還元型NOx触媒に流入するNOxの選択還元に使用される。そこで、パティキュレートフィルタの強制再生が実行されている場合、制御手段は、当量比制御によりアンモニア選択還元型NOx触媒において選択還元されるNOxに対する当量比が1となるアンモニア供給量に基づいてアンモニア選択還元型NOx触媒にアンモニアを供給する。この結果、NOxの選択還元に対して適正な量のアンモニアを供給することが可能となる。
アンモニア選択還元型NOx触媒に吸着可能なアンモニアの上限吸着量が大きく低下する運転状態でエンジンが運転されているときには、供給されるアンモニアのほとんどがアンモニア選択還元型NOx触媒に吸着せずにそのままアンモニア選択還元型NOx触媒に流入するNOxの選択還元に使用されるが、本発明の排気浄化装置によれば、このような場合には、当量比制御により、アンモニア選択還元型NOx触媒において選択還元されるNOxに対する当量比が1となるアンモニア供給量に基づき、アンモニアがアンモニア選択還元型NOx触媒に供給される。従って、アンモニア選択還元型NOx触媒におけるNOxの選択還元に対して適正な量のアンモニアを供給することが可能となる。この結果、アンモニアの過剰供給に伴うアンモニアスリップの発生を防止しながら、アンモニア選択還元型NOx触媒の排気浄化効率を良好に維持することが可能となる。
一方、アンモニアの上限吸着量が大幅には低下しない運転状態でエンジンが運転されている場合、供給されるアンモニアの多くはアンモニア選択還元型NOx触媒に一旦吸着した後、アンモニア選択還元型NOx触媒に流入するNOxの選択還元に使用されるが、本発明の排気浄化装置によれば、吸着制御により、アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニアの吸着量を上限吸着量以下の所定量とするのに必要なアンモニアの供給量に基づいて、アンモニアがアンモニア選択還元型NOx触媒に供給される。従って、アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニアの吸着量を、上限吸着量の範囲内で適正に調整することが可能となる。アンモニア選択還元型NOx触媒にアンモニアが吸着されるような状況では、アンモニア選択還元型NOx触媒の排気浄化率がアンモニアの吸着量によって影響を受けるため、このような吸着制御が行われることにより、アンモニアの過剰供給に伴うアンモニアスリップの発生を防止しながら、アンモニア選択還元型NOx触媒の排気浄化効率を良好に維持することが可能となる。
また吸着制御から当量比制御に切り換える際に、アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニア吸着量が所定の下限吸着量を下回ったと判断してから当量比制御を行うので、アンモニア選択還元型NOx触媒に吸着されていたアンモニアの放出によって大量のアンモニアスリップが発生する可能性が低くなってから当量比制御が開始される。従って、吸着制御から当量比制御に切り換える際のアンモニアスリップの発生を抑制することが可能となる。
また、請求項の排気浄化装置によれば、アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニア吸着量が、当量比制御を実行してもアンモニア選択還元型NOx触媒からのアンモニアスリップが生じることのないアンモニア吸着量を下回ったと判断してから当量比制御を開始するので、吸着制御から当量比制御に切り換える際のアンモニアスリップの発生を確実に防止することが可能となる。
また、請求項の排気浄化装置によれば、アンモニア選択還元型NOx触媒にアンモニアが実質的に吸着していない状態となってから当量比制御を開始するので、吸着制御から当量比制御に切り換える際のアンモニアスリップの発生を、より一層確実に防止することが可能となる。
また、請求項乃至の排気浄化装置によれば、エンジンの回転数が所定回転数以上であると共にエンジンの負荷が所定負荷以上である場合、或いはエンジンの排気温度が所定温度以上であると共にエンジンの排気流量が所定排気流量以上である場合、或いはパティキュレートフィルタの強制再生が実行されている場合のように、アンモニア選択還元型NOx触媒に供給されるアンモニアの多くがアンモニア選択還元型NOx触媒に吸着せずにそのままNOxの選択還元に使用されるような運転状態でエンジンが運転されている場合には当量比制御が行われるので、アンモニア選択還元型NOx触媒におけるNOxの選択還元に対して適正な量のアンモニアを供給することが可能となる。この結果、アンモニアの過剰供給に伴うアンモニアスリップの発生を防止しながら、アンモニア選択還元型NOx触媒の排気浄化効率を良好に維持することが可能となる。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る排気浄化装置が適用された4気筒のディーゼルエンジン(以下、エンジンという)の全体構成図を示しており、図1に基づき本発明に係る排気浄化装置について説明する。
エンジン1は各気筒共通の高圧蓄圧室(以下コモンレールという)2を備えており、図示しない燃料噴射ポンプから供給されてコモンレール2に蓄えられた高圧の燃料が各気筒に設けられた燃料噴射弁4に供給され、各燃料噴射弁4からそれぞれの気筒内に燃料が噴射される。
吸気通路6には、ターボチャージャ8が装備されており、図示しないエアクリーナから吸入された吸気は、ターボチャージャ8のコンプレッサ8aに流入し、コンプレッサ8aで過給された吸気はインタークーラ10及び吸気制御弁12を介して吸気マニホールド14に導入される。コンプレッサ8aより上流側の吸気通路6には、エンジン1への吸入空気流量を検出する吸気量センサ16が設けられている。
一方、エンジン1の各気筒から排気が排出される排気ポート(図示せず)は、排気マニホールド18を介して排気管20に接続されている。なお、排気マニホールド18と吸気マニホールド14との間には、EGR弁22を介して排気マニホールド18と吸気マニホールド14とを連通することにより、エンジン1の排気の一部を吸気側に還流するEGR通路24が設けられている。
排気管20はターボチャージャ8のタービン8bを経た後、排気絞り弁26を介して排気後処理装置28に接続されている。ターボチャージャ8は、タービン8bの回転軸がコンプレッサ8aの回転軸と連結されており、タービン8bが排気管20内を流動する排気を受けてコンプレッサ8aを駆動することにより過給が行われる。
排気後処理装置28は、排気管20に接続された筒状の上流側ケーシング30と、上流側ケーシング30の下流側に連通路32で連通された筒状の下流側ケーシング34とで構成される。排気管20から上流側ケーシング30内に流入した排気は、上流側ケーシング30内を通過した後に連通路32を介して下流側ケーシング34内に流入し、下流側ケーシング34内を通過した排気は、テールパイプ36から大気中に排出される。
上流側ケーシング30内には、前段酸化触媒38が収容されると共に、この前段酸化触媒38の下流側にはパティキュレートフィルタ(以下フィルタという)40が収容されている。フィルタ40は、排気中のパティキュレートを捕集してエンジン1の排気を浄化するために設けられる。フィルタ40はハニカム型のセラミック体からなり、エンジン1の排気が内部を流通することによって排気中のパティキュレートを捕集する。前段酸化触媒38は排気中のNO(一酸化窒素)を酸化させてNO(二酸化窒素)を生成するので、このように前段酸化触媒38とフィルタ40とを配置することにより、フィルタ40に捕集され堆積しているパティキュレートは前段酸化触媒38から供給されたNOと反応して酸化し、フィルタ40の連続再生が行われるようになっている。
一方、下流側ケーシング34内には、排気中のアンモニアを還元剤として排気中のNOxを選択還元して排気を浄化するアンモニア選択還元型NOx触媒(以下SCR触媒という)42が収容されると共に、このSCR触媒42の下流側には、SCR触媒42から流出したアンモニアを除去するための後段酸化触媒44が収容されている。後段酸化触媒44は、後述するフィルタ40の強制再生でパティキュレートが焼却される際に発生するCO(一酸化炭素)を酸化し、CO(二酸化炭素)として大気中に排出する機能も有している。
前段酸化触媒38によって生成されたNOの一部は、上述したようにフィルタ40の連続再生に使用されるが、残りのNOはSCR触媒42に供給され、排気中のNOに対するNOの比率を高めることによってSCR触媒42の排気浄化効率を上昇させる。
なお、上流側ケーシング30のフィルタ40下流側には、フィルタ40から流出して連通路32へと流入する排気中に尿素水を噴射供給する尿素水インジェクタ(アンモニア供給手段)46が設けられており、図示しない尿素水タンクから尿素水インジェクタ46に対して尿素水が供給されるようになっている。
尿素水インジェクタ46から噴射された尿素水は、排気の熱により加水分解してアンモニアとなり、還元剤としてSCR触媒42に供給される。SCR触媒42は供給されたアンモニアと排気中のNOxとの脱硝反応を促進することにより、NOxを還元して無害なNとする。なお、このときアンモニアがNOxと反応せずにSCR触媒42から流出した場合には、このアンモニアが後段酸化触媒44によって無害なNに変換され、テールパイプ36から大気中に放出される。
上流側ケーシング30には、フィルタ40上流側の排気圧力を検出する上流圧力センサ48がフィルタ40の上流側に設けられると共に、フィルタ40下流側の排気圧力を検出する下流圧力センサ50及びフィルタ40から流出する排気の温度を検出する排気温センサ52がフィルタ40の下流側に設けられている。
ECU(制御手段)54は、エンジン1の運転制御をはじめとして総合的な制御を行うための制御装置であり、CPU、メモリ、タイマカウンタなどから構成され、様々な制御量の演算を行うと共に、その制御量に基づき各種デバイスの制御を行っている。
ECU54の入力側には、各種制御に必要な情報を収集するため、上述した吸気量センサ16、吸気圧センサ18、上流圧力センサ48、下流圧力センサ50及び排気温センサ52のほか、エンジン1の回転数を検出する回転数センサ60、及びアクセルペダル(図示せず)の踏込量を検出するアクセル開度センサ58などの各種センサ類が接続されている。また、ECU54の出力側には、演算した制御量に基づき制御が行われる各気筒の燃料噴射弁4、吸気制御弁12、EGR弁24、排気絞り弁26及び尿素水インジェクタ46などの各種デバイス類が接続されている。
エンジン1の各気筒への燃料供給量の演算、及び演算した燃料供給量に基づく燃料噴射弁4からの燃料供給制御もECU54によって行われる。エンジン1の運転に必要な燃料供給量(主噴射量)は、回転数センサ56によって検出されたエンジン1の回転数とアクセル開度センサ58によって検出されたアクセルペダルの踏込量とに基づき、予め記憶しているマップから読み出されて決定される。各気筒に供給される燃料の量は、燃料噴射弁4の開弁時間によって調整され、決定された燃料量に対応した駆動時間で各燃料噴射弁4が開弁駆動され、各気筒に主噴射が行われることにより、エンジン1の運転に必要な燃料量が供給される。
ECU54は、このようなエンジン1の運転制御のほか、排気後処理装置28による排気浄化機能を良好に維持するための様々な制御を行っており、その1つとしてフィルタ40を強制再生して機能回復させるための強制再生制御も行う。
フィルタ40に堆積したパティキュレートは、前述したように前段酸化触媒38からフィルタ40に流入するNOとの反応による連続再生によって酸化除去されるが、排気温度が低い運転状態が長時間続いた場合などでは、このような連続再生だけでは堆積したパティキュレートが十分に酸化除去されない場合がある。このような状態が継続すると、フィルタ40内にパティキュレートが過剰に堆積し、フィルタ40が目詰まりを起こすおそれがある。そこでECU54は、フィルタ40におけるパティキュレートの堆積状況に応じ、ECU54は適宜フィルタ40の強制再生を行う。
パティキュレートの堆積状況は、フィルタ40の上流側及び下流側にそれぞれ設けられた上流圧力センサ48及び下流圧力センサ50や吸気量センサ16の検出値などに基づき推定され、フィルタ40へのパティキュレート堆積量が所定量に達したと判断したときに強制再生の制御が開始される。
この強制再生制御では、排気温センサ52が検出した排気温度に基づき、必要に応じて吸気制御弁12や排気絞り弁28を閉方向に制御して排気温度を上昇させると共に、エンジン1の膨張行程や排気行程で燃料噴射弁4からポスト噴射による排気中への燃料供給を行い、フィルタ40に堆積したパティキュレートを焼却することが可能な温度(例えば600℃)までフィルタ40に流入する排気の温度を上昇させる。
即ち、燃料噴射弁4からのポスト噴射によって排気中に供給されたHCは前段酸化触媒38に達し、前段酸化触媒38でのHCの酸化反応によって温度が上昇した高温の排気がフィルタ40内に流入する。フィルタ40に堆積したパティキュレートは、このようにして高温となった排気により焼却され、フィルタ40が強制再生される。
またECU54は、排気後処理装置28による排気浄化機能を良好に維持するためのもう1つの制御として、排気中のNOxを選択還元して排気を浄化するために必要な量のアンモニアをSCR触媒42に供給するための尿素水供給制御も行う。
図2は、ECU54が実行する尿素水供給制御のフローチャートを示しており、ECU54は、エンジン1が始動されてから停止されるまでの間、図2のフローチャートに従って所定の制御周期で尿素水供給制御を実行する。
尿素水供給制御が開始されると、ECU54はステップS1で、尿素水供給を可能とする条件が成立したか否かを判定する。具体的には、排気温度センサ52が検出した排気温度に基づき、SCR触媒42が活性化しているか否かを確認し、SCR触媒42が活性化していると判断したときには尿素水供給を可能とする条件が成立したと判定する。
ステップS1で尿素水の供給が可能ではないとECU54が判定した場合には、その制御周期を終了し、次の制御周期で再びステップS1から処理を開始して、尿素水供給を可能とする条件が成立したか否かを判定する。従って、ステップS1で尿素水供給を可能とする条件が成立したと判定するまでは、ステップS1の処理のみが制御周期毎に繰り返される。そして、ステップS1で尿素水供給を可能とする条件が成立したと判定すると、ECU54は処理をステップS2に進める。以下では、尿素水供給を可能とする条件が成立しているものとして説明を行う。
ステップS2でECU54は、フィルタ40の強制再生が実行されているか否かの判定を行う。そして、フィルタ40の強制再生が実行されていない場合、ECU54は処理をステップS3に進め、尿素水インジェクタ46による尿素水の供給制御として吸着制御を行う。
ECU54は、ステップS3で吸着制御を行った後、その制御周期を終了し、次の制御周期で再びステップS1から処理を開始し、続くステップS2においてフィルタ40の強制再生が実行されているか否かを判定する。従って、フィルタ40の強制再生が行われない状態が継続している場合には、ステップS3の吸着制御が制御周期毎に繰り返されることになる。
吸着制御はSCR触媒42におけるアンモニアの吸着を前提とした制御であって、アンモニアの吸着量が所定の目標吸着量となるように、尿素水インジェクタ46からの尿素水供給量を制御するものである。図3は、排気流量を一定に保持した場合の、SCR触媒42に吸着可能なアンモニア吸着量の限界値である上限吸着量と、SCR触媒42に流入する排気温度との関係の一例を示すグラフである。また図4は、排気温度を一定に保持した場合の、上限吸着量と、SCR触媒42に流入する排気流量との関係の一例を示すグラフである。図3及び図4に示されるように上限吸着量は、SCR触媒42に流入する排気温度が低いほど増大し、また排気流量が減少するほど増大する。フィルタ40の強制再生が実行されない状態では、多くの場合に、エンジン1の排気温度は図3のグラフにおいて上限吸着量が比較的大きくなる温度領域にあり、エンジン1の排気流量は図4のグラフにおいて上限吸着量が比較的大きくなる排気流量領域にある。即ち、フィルタ40の強制再生が実行されない状態では、排気温度がSCR触媒42の活性化温度領域の範囲内で比較的低い領域にあると共に、排気流量は比較的少ない領域にある可能性が高い。
従って、SCR触媒42に供給されたアンモニアは、SCR触媒42に一旦吸着し、吸着しているアンモニアがSCR触媒42におけるNOxの選択還元に用いられて消費される。SCR触媒42のNOxの選択還元による排気の浄化率は、排気温度を一定にして比較した場合、図5に示されるようにSCR触媒42におけるアンモニアの吸着量が多いほど高くなる傾向にある。即ち、SCR触媒42には上限吸着量を超えない範囲で可能な限り多くのアンモニアを吸着させた方が、より高い排気の浄化率を達成することができる。そこで、フィルタ40の強制再生が実行されていない場合には、アンモニアの吸着量が所定の目標吸着量となるように吸着制御が行われる。ECU54が行う吸着制御の詳細は以下の通りである。
SCR触媒42におけるアンモニアの上限吸着量は、上述したようにSCR触媒42に流入する排気の温度と排気流量とによって変化し、排気温度及び排気流量に対して図3及び図4に例示するような関係がある。ECU54は、予め実験などによりエンジン1の運転状態を様々に変化させた際の、排気温度及び排気流量に対する上限吸着量の関係に基づいて設定された上限吸着量マップを記憶している。そして、ECU54はこの上限吸着量マップを用い、排気温センサ52が検出した排気温度と演算により求めた排気流量とに対応する上限吸着量を求める。なお、ここで用いられる排気流量は、吸気量センサ16が検出した吸入空気流量、回転数センサ62が検出したエンジン回転数及びECU54内で演算された燃料噴射量に基づいて演算を行うことにより求められる。
ECU54は、こうして求めた上限吸着量に安全係数(例えば0.9)を乗算することにより、SCR触媒42に対するアンモニアの目標吸着量を設定する。ここで安全係数を乗算するのは、上限吸着量までアンモニアを吸着させようとすると、何らかの要因によるエンジン1の運転状態急変、或いはSCR触媒42の排気浄化特性やエンジン1の運転性能のばらつきなどによって上限吸着量に対して過剰なアンモニアが供給されてしまう可能性があるので、これを避けるためである。なお、安全係数の値はSCR触媒42やエンジン1の特性などに応じて適宜変更することができる。
次にECU54は、前述したように燃料供給制御において演算したエンジン1の燃料噴射量と、回転数センサ56が検出したエンジン回転数とに基づき、エンジン1からのNOx排出量を求め、更に予め記憶している浄化率マップを用い、SCR触媒42のNOxの還元による排気の浄化率を求める。
SCR触媒42のNOxの還元による排気の浄化率は、上述したようにSCR触媒42におけるアンモニア吸着量によって変動するほか、SCR触媒42に流入する排気の温度によっても変動する。アンモニア吸着量と浄化率との関係は、排気温度を一定とした場合に図5のグラフのようになることは上述したとおりであるが、排気温度と浄化率との関係は、アンモニア吸着量を一定とした場合に図6のグラフのようになる。ECU54が記憶している浄化率マップは、予め実験などによりエンジン1の運転状態を変化させることによってこれらの関係を求め、マップにしたものである。ECU54は、このようにして設定された浄化率マップを用い、SCR触媒42における実際のアンモニア吸着量と、排気温センサ52が検出した排気温度とに基づき、その時点のSCR触媒42の浄化率を求める。
なお、ECU54は、SCR触媒42にアンモニアが吸着していない状態からエンジン1が運転されるたびに尿素水供給制御を実行し、SCR触媒42へのアンモニア供給量を演算して把握しており、後述するSCR触媒42からのアンモニア放出量とアンモニア供給量とから、SCR触媒42における実際のアンモニア吸着量を求めている。
このようにして求めたSCR触媒42の浄化率とエンジンからのNOx排出量とから、ECU54はSCR触媒42で選択還元されるNOxの量を求め、この選択還元されるNOxの量に対応したアンモニアの量をSCR触媒42からのアンモニア放出量として求める。
上述したように、ECU54は、SCR触媒42にアンモニアが吸着していない状態からSCR触媒42へのアンモニア供給量を演算して把握しているので、このアンモニア供給量と上述のようにして求められたアンモニア放出量とからその時点のSCR触媒42におけるアンモニア吸着量を求めることができる。そこでECU54は、上述のようにして求めたアンモニアの目標吸着量から、SCR触媒42における実際のアンモニア吸着量を減算することにより、SCR触媒42に対して供給可能なアンモニア供給量を求める。更にECU54は、このアンモニア供給量を得るための尿素水の供給量を尿素水の目標供給量として設定し、目標供給量の尿素水が尿素水インジェクタ46から噴射されるよう、尿素水インジェクタ46を制御する。
尿素水インジェクタ46から噴射された霧状の尿素水は、前述したように、排気の熱により加水分解してアンモニアとなり、このアンモニアがSCR触媒42に供給される。SCR触媒42は、供給されたアンモニアを一旦吸着し、吸着したアンモニアと排気中のNOxとの脱硝反応を促進することにより、NOxを還元して無害なNとする。
フィルタ40の強制再生が行われておらず、比較的排気温度が低く排気流量の少ない運転状態となってSCR触媒42におけるアンモニアの吸着量が比較的多くなる場合に、このようにして吸着制御が行われることにより、SCR触媒42におけるアンモニア吸着量が上限吸着量を超えない範囲で、可能な限り大量のアンモニアをSCR触媒42に吸着させることが可能となる。この結果、SCR触媒42からのアンモニアスリップの発生を防止しつつ、SCR触媒42の排気の浄化効率を良好に維持することが可能となる。
一方、このようにして尿素水供給制御を実行しているときにフィルタ40の強制再生が開始されると、ECU54はステップS2における判定によってステップS4に処理を進め、その時点におけるSCR触媒42のアンモニア吸着量Qaが所定の下限吸着量Qoを下回ったか否を判定する。この下限吸着量Qoは、後述する当量比制御を実行しても、SCR触媒42からのアンモニアスリップが生じることのないアンモニア吸着量として設定されるものであり、本実施形態ではSCR触媒42においてアンモニアが実質的に吸着してないと見なすことが可能な微少な吸着量が下限吸着量Qoとして設定されている。
ステップS4において実際のアンモニア吸着量Qaが下限吸着量Qoを下回っていないと判定した場合、ECU54は処理をステップS5に進め、尿素水インジェクタ46からの尿素水の供給を停止した後、その制御周期を終了する。次の制御周期で再びステップS1から処理を開始し、ステップS2でフィルタ40の強制再生が引き続き行われていると判定した場合、ECU54は再びステップS4で実際のアンモニア吸着量Qaが下限吸着量Qoを下回ったか否かを判定する。従って、フィルタ40の強制再生が継続している場合には、ステップS4において実際のアンモニア吸着量Qaが下限吸着量Qoを下回っていないと判定する限り、ステップS5の処理によって尿素水インジェクタ46からの尿素水の供給が停止されたままとなる。
このようにして尿素水インジェクタ46からの尿素水の供給が停止されることにより、SCR触媒42に吸着しているアンモニアは、SCR触媒42から放出されると共にNOxの選択還元に消費され、SCR触媒42におけるアンモニア吸着量は減少していく。
尿素水の供給停止によりSCR触媒42におけるアンモニア吸着量が減少し、ステップS4において実際のアンモニア吸着量Qaが下限吸着量Qoを下回ったと判定すると、ECU54は処理をステップS4からステップS6に進め、尿素水インジェクタ46による尿素水の供給制御として当量比制御を行う。
ECU54は、ステップS6で当量比制御を行った後、その制御周期を終了し、次の制御周期で再びステップS1から処理を開始し、フィルタ40の強制再生が継続している場合には、ステップS4で実際のアンモニア吸着量Qaが下限吸着量Qoを下回ったか否かの判定を行う。上述のように実際のアンモニア吸着量Qaは既に下限吸着量Qoを下回っているので、ECU54は更に処理をステップS6に進めて当量比制御を行う。従って、フィルタ40の強制再生が継続している限り、ステップS6の当量比制御が制御周期毎に繰り返されることになる。
当量比制御は、アンモニアがSCR触媒42にほとんど吸着せずに、供給されたアンモニアがそのままNOxの選択還元に使用される状態を前提とした制御であって、SCR触媒42において選択還元されるNOxに対する当量比が1となるアンモニア供給量に基づいて尿素水インジェクタ46を制御するものである。
図3を用いて前述したように、SCR触媒42に対するアンモニアの上限吸着量は、SCR触媒42に流入する排気温度が高いほど減少する。フィルタ40の強制再生が実行されている状態では、フィルタ40に堆積しているパティキュレートを焼却するために排気がかなりの高温(例えば600℃)となる。このため、図3に示されるように、アンモニアの上限吸着量が大幅に減少し、SCR触媒42にはアンモニアがほとんど吸着しなくなる。従って、SCR触媒42に供給されたアンモニアのほとんどは、SCR触媒42に吸着せずに、そのままSCR触媒42におけるNOxの選択還元に用いられて消費される。そこで、フィルタ40の強制再生が実行されている場合には、このような状況を前提として当量比制御を行うことにより、SCR触媒42におけるNOxの選択還元に必要な量のアンモニアが供給されるよう尿素水インジェクタ46を制御する。ECU54が行う当量比制御の詳細は以下の通りである。
ECU54は、まず燃料供給制御において演算したエンジン1の燃料噴射量と、回転数センサ56が検出したエンジン回転数とに基づき、エンジン1からのNOx排出量を求める。更にECU54は、前述の吸着制御で使用した浄化率マップを用い、SCR触媒42における実際のアンモニア吸着量と、排気温センサ52が検出した排気温度とに基づき、その時点のSCR触媒42の浄化率を求める。
次にECU54は、エンジン1からのNOx排出量とSCR触媒42の浄化率とから、SCR触媒42において選択還元されるNOxの量を求め、この選択還元されるNOxに対して当量比が1となるアンモニアの量をアンモニアの目標供給量として求める。更にECU54は、このアンモニアの目標供給量を得るための尿素水の供給量を尿素水の目標供給量として設定し、こうして求められた目標供給量の尿素水が尿素水インジェクタ46から噴射されるよう、尿素水インジェクタ46を制御する。
尿素水インジェクタ46から噴射された霧状の尿素水は、前述したように、排気の熱により加水分解してアンモニアとなり、このアンモニアがSCR触媒42に供給される。SCR触媒42に供給されたアンモニアのほとんどはSCR触媒42に吸着せずに、SCR触媒42の触媒作用によって排気中のNOxの選択還元に使用され、NOxが還元されて無害なNが生成される。
フィルタ40の強制再生が行われて排気がかなりの高温となっている場合には、このようにして当量比制御が行われることにより、SCR触媒42にほとんど吸着することなくそのままNOxの選択還元に用いられるアンモニアの量を、NOxの選択還元に必要な適正な量に制御することが可能となる。この結果、アンモニア供給量の不足に伴うSCR触媒42の排気浄化効率の低下や、アンモニアの過剰供給によるアンモニアスリップの発生を良好に防止することが可能となる。
また、フィルタ40の強制再生を開始した直後から当量比制御を開始してしまうと、SCR触媒42に吸着しているアンモニアがSCR触媒から放出された際に、放出されたアンモニアがNOxの選択還元において余剰となってしまう。そこで本実施形態では、上述したように、フィルタ40の強制再生が開始されると、SCR触媒42の実際の吸着量Qaが所定の下限吸着量Qoを下回るまでの間、尿素水インジェクタ46からの尿素水の供給を停止するようにしたので、当量比制御を開始したときにSCR触媒42にはアンモニアがほとんど吸着していない状態となる。従って、上述したような当量比制御を開始したときに、SCR触媒42においてアンモニアが余剰となるのを防止することができる。この結果、吸着制御から当量比制御への切り換えの際における、SCR触媒42からのアンモニアスリップの発生を良好に防止することが可能となる。
更に、本実施形態では下限吸着量Qoとして、SCR触媒42においてアンモニアが実質的に吸着してないと見なすことが可能な微少な吸着量を用いたので、上述のように吸着制御から当量比制御に切り換える際のアンモニアスリップの発生を確実に防止することができる。なお、下限吸着量Qoとしては、当量比制御に移行したときに、SCR触媒42からのアンモニアスリップの発生を抑制できるアンモニア吸着量であればよい。即ち、例えば本実施形態で用いた下限吸着量Qoよりも大きめの下限吸着量を用いた場合、当量比制御に移行したときに、わずかにアンモニアスリップが発生する可能性があるが、この場合にも、直ちに当量比制御に移行した場合に比してアンモニアスリップの発生を抑制することができる。
このようにして当量比制御を行っている間に、フィルタ40の強制再生が終了すると、ステップS2の判定によってECU54は処理をステップS3に進めるので、その後の各制御周期における尿素水の供給は、前述した吸着制御によって行われるようになる。
なお、上記尿素水供給制御では、フィルタ40の強制再生が実行されていることを条件として、当量比制御を行うようにしたが、当量比制御を行う条件を別の運転状態により定めるようにしても良い。即ち、SCR触媒42においてアンモニアの吸着がほとんど行われなくなる運転状態としては、エンジン1が高速高負荷で運転されている場合が考えられるほか、エンジン1の排気が高温となると共に排気流量が大きい場合が考えられる。
従って、尿素水供給制御のステップS2における強制再生が行われているか否かの判定に代えて、回転数センサ56が検出したエンジン回転数が所定の判定用回転数以上であると共に、エンジン1の負荷が所定の判定用負荷以上となる高速高負荷運転状態である場合に、ステップS4に処理を進め、このような高速高負荷運転状態にはない場合に、ステップS3に処理を進めるようにしても良い。
この場合、図3及び図4に示される関係から、上限吸着量が大きく減少する排気温度及び排気流量となるエンジン回転数及びエンジン負荷を予め求め、これらエンジン回転数及びエンジン負荷に基づき、判定用回転数及び判定用負荷を設定すればよい。なお、エンジン負荷としては、例えば燃料噴射量や、アクセル開度センサ58が検出したアクセルペダルの踏込量を用いても良い。即ち、エンジン負荷として燃料噴射量を用いる場合には、判定用負荷として所定の判定用燃料噴射量が用いられ、アクセルペダルの踏込量を用いる場合には、判定用負荷として所定の判定用踏込量が用いられる。
また、尿素水供給制御のステップS2における強制再生の判定に代えて、排気温センサ52が検出した排気温度が所定の判定用温度以上となると共に、前述のようにして演算した排気流量が所定の判定用排気流量以上となる高排気温運転状態である場合に、ステップS4に処理を進め、このような高排気温運転状態にはない場合に、ステップS3に処理を進めるようにしても良い。
このように、高速高負荷運転状態に基づく判定、或いは高排気温運転状態に基づく判定により吸着制御と当量比制御とを切り換えるようにした場合には、排気通路にフィルタ40を備えていないエンジンに対しても本発明を適用することが可能となる。
以上で本発明の一実施形態に係る排気浄化装置についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、SCR触媒42にアンモニアを供給するために、取り扱いの容易な尿素水を尿素水インジェクタ46から噴射するようにしたが、アンモニアの供給方法はこれに限定されるものではない。アンモニアを生成可能な尿素水以外の溶液や薬剤などを排気中に供給するようにしても良いし、アンモニアを直接排気中に供給するようにしても良い。
また、排気後処理装置28の構成は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、上述したようにフィルタ40を備えていない排気後処理装置であっても本発明を適用可能であり、アンモニアを還元剤として用いるSCR触媒42を備えた排気後処理装置であれば本発明を適用可能である。
更に、上記実施形態では、エンジン1を4気筒のディーゼルエンジンとしたが、エンジン1の気筒数や形式は、これに限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る排気浄化装置が適用されたエンジンの全体構成図である。 ECUが実行する尿素水供給制御のフローチャートである。 SCR触媒におけるアンモニアの上限吸着量と排気温度との関係の一例を示すグラフである。 SCR触媒におけるアンモニアの上限吸着量と排気流量との関係の一例を示すグラフである。 SCR触媒の浄化率とSCR触媒におけるアンモニアの吸着量との関係の一例を示すグラフである。 SCR触媒の排気浄化率と排気温度との関係の一例を示すグラフである。
符号の説明
1 エンジン
40 フィルタ(パティキュレートフィルタ)
42 SCR触媒(アンモニア選択還元型NOx触媒)
46 尿素水インジェクタ(アンモニア供給手段)
54 ECU(制御手段)

Claims (6)

  1. アンモニアを還元剤としてエンジンの排気中のNOxを選択還元するアンモニア選択還元型NOx触媒と、
    上記アンモニア選択還元型NOx触媒にアンモニアを供給するアンモニア供給手段と、
    上記エンジンが、上記アンモニア選択還元型NOx触媒に吸着可能なアンモニアの上限吸着量の低下する運転状態として予め設定された所定運転状態にあるか否かを判定し、上記エンジンが上記所定運転状態にある場合には、上記アンモニア選択還元型NOx触媒において選択還元されるNOxに対する当量比が1となるアンモニア供給量に基づいて上記アンモニア供給手段を制御するための当量比制御を行う一方、上記エンジンが上記所定運転状態にない場合には、上記アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニアの吸着量を上記上限吸着量以下の所定量とするのに必要なアンモニアの供給量に基づいて上記アンモニア供給手段を制御するための吸着制御を行う上記制御手段と
    を備え
    上記制御手段は、上記吸着制御から上記当量比制御に切り換える際には、上記アンモニア選択還元型NOx触媒におけるアンモニア吸着量が所定の下限吸着量を下回ったと判断するまで、上記アンモニア供給手段によるアンモニアの供給を中止する
    ことを特徴とする排気浄化装置。
  2. 上記下限吸着量は、上記当量比制御を実行しても、上記アンモニア選択還元型NOx触媒からのアンモニアスリップが生じることのないアンモニア吸着量として設定されることを特徴とする請求項に記載の排気浄化装置。
  3. 上記下限吸着量は、上記アンモニア選択還元型NOx触媒においてアンモニアが実質的に吸着してないと見なすことが可能な吸着量であることを特徴とする請求項に記載の排気浄化装置。
  4. 上記制御手段は、上記エンジンの回転数が所定回転数以上であると共に、上記エンジンの負荷が所定負荷以上であるときに、上記エンジンが上記所定運転状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  5. 上記制御手段は、上記エンジンの排気温度が所定温度以上であると共に、上記エンジンの排気流量が所定排気流量以上であるときに、上記エンジンが上記所定運転状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  6. 上記エンジンは、排気中に含まれるパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタを備え、
    上記制御手段は、上記パティキュレートフィルタの強制再生が実行されているときに、上記エンジンが上記所定運転状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
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