JP4986915B2 - 排気浄化装置 - Google Patents
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このような排気浄化装置では、アンモニアをアンモニア選択還元型NOx触媒に供給するために、アンモニアに比べて取り扱いが容易な尿素水を排気中に供給するのが一般的であり、尿素水インジェクタなどを用いて排気中に尿素水を噴射する。尿素水インジェクタから排気中に供給された霧状の尿素水は排気の熱により加水分解し、その結果生成されるアンモニアがアンモニア選択還元型NOx触媒に供給される。こうしてNOx触媒に供給されたアンモニアと排気中のNOxとの間の脱硝反応がNOx触媒によって促進されることによりNOxが還元されて排気の浄化が行われる。
このような排気昇温によって尿素由来堆積物を除去するようにした排気浄化装置は、特許文献1によって提案されている。この特許文献1の排気浄化装置では、排気温度が低い場合に、排気中のNOxとアンモニアとを反応させて硝酸アンモニウムを生成させ、この硝酸アンモニウムをアンモニア選択還元型触媒に積極的に堆積させる。このようにすることにより、アンモニア選択還元型触媒の還元作用が十分に得られない低い排気温度においても、排気中へのNOxの放出を防止するようにしている。
このように構成された排気浄化装置によれば、排気昇温制御を行って排気温度を目標温度まで上昇させる際に、排気温度の上昇率が目標昇温速度に制御される。このとき、目標昇温速度は尿素由来堆積物の堆積量の減少に伴って増大するように設定されるので、排気昇温制御を開始した当初は排気温度が比較的小さな変化率で目標温度に向けて上昇し、尿素由来堆積物の堆積量の減少に伴って、排気温度の変化率は徐々に増大していく。
このように構成された排気浄化装置によれば、排気昇温制御を実行しているときには、尿素水供給手段からの尿素水の供給が行われない。
このように構成された排気浄化装置によれば、排気昇温制御において排気中に供給された燃料成分が酸化触媒で酸化することにより排気の温度が上昇し、温度の上昇した排気が尿素水供給手段より下流側の排気通路に流入する。
そして、排気温度が一定であれば、尿素由来堆積物の堆積量が減少するのに伴ってアンモニアスリップが発生しにくくなるが、排気昇温制御では尿素由来堆積物の堆積量の減少に伴い、目標温度の上昇によって排気温度が上昇していくので、アンモニアスリップの発生を防止しながら速やかに尿素由来堆積物を排気通路内から除去することが可能となる。
また、請求項4の排気浄化装置によれば、排気中に供給された燃料成分を酸化触媒で酸化させることにより排気の昇温を行うので、比較的容易に排気昇温制御を実行することが可能となる。即ち、例えばエンジンへの燃料供給を気筒内への燃料噴射によって行っている場合には、動力の発生に寄与しないタイミングで燃料を追加噴射することにより排気中に燃料を供給することが可能であることから、排気中への燃料供給のために新たな装置を設ける必要がない。また、ディーゼルエンジンの場合には、排気中のパティキュレートを捕集するためのパティキュレートフィルタを排気通路に介装するのが一般的であって、パティキュレートフィルタの強制再生で排気中に燃料を供給するための機構を既に備えているので、この場合も排気中への燃料供給のために新たな装置を設ける必要がない。
図1は、本発明の一実施形態に係る排気浄化装置が適用された4気筒のディーゼルエンジン(以下、エンジンという)の全体構成図を示しており、図1に基づき本発明に係る排気浄化装置の構成を説明する。
エンジン1は各気筒共通の高圧蓄圧室(以下コモンレールという)2を備えており、図示しない燃料噴射ポンプから供給されてコモンレール2に蓄えられた高圧の燃料を、各気筒に設けられたインジェクタ4に供給し、各インジェクタ4からそれぞれの気筒内に燃料が噴射される。
排気管20はターボチャージャ8のタービン8bを経た後、排気絞り弁26を介して排気後処理装置28に接続されている。また、タービン8bの回転軸はコンプレッサ8aの回転軸と連結されており、タービン8bが排気管20内を流動する排気を受けてコンプレッサ8aを駆動するようになっている。
一方、下流側ケーシング34内には、アンモニアを還元剤として排気中のNOx(窒素酸化物)を選択還元して排気を浄化するアンモニア選択還元型NOx触媒(以下SCR触媒という)40が収容されると共に、このSCR触媒40の下流側にはSCR触媒40から流出したアンモニアを除去するための後段酸化触媒42が収容されている。
また、連通路32には、連通路32内の排気中に尿素水を噴射供給する尿素水インジェクタ(尿素水供給手段)44が設けられており、尿素水を蓄えた尿素水タンク46から図示しない尿素水供給ポンプを介して尿素水インジェクタ44に尿素水が供給され、尿素水インジェクタ44を開閉することによって尿素水インジェクタ44から連通路32内の排気中に尿素水が噴射されるようになっている。
ECU(制御手段)50は、エンジン1の運転制御をはじめとして総合的な制御を行うための制御装置であり、CPU、メモリ、タイマカウンタなどから構成され、様々な制御量の演算を行うと共に、その制御量に基づき各種デバイスの制御を行っている。
このような尿素水インジェクタ44による尿素水の供給を適正に行うため、ECU50は図2に示すフローチャートに従い、所定の制御周期で尿素水供給制御を行う。なお、この尿素水供給制御はエンジン1の始動に伴って開始され、エンジン1の停止に伴って終了する。
次のステップS104では、ステップS103で読み出した加算値An及び減算値Dnを用い、第1判定値Xnの演算が行われる。具体的には、ECU50が前回の制御周期で算出した第1判定値Xn−1に対してステップS3で読み出した加算値Anを加算すると共にステップS3で読み出した減算値Dnを減算することにより今回の第1判定値Xnを求める。ここで、第1判定値Xn−1の初期値は予め設定された下限値であって、本実施形態では0を第1判定値Xn−1の初期値としている。従って、ステップS102からステップS103を経て初めてステップS104に処理が進んだ場合には、加算値Anから減算値Dnを減じた値が今回の第1判定値Xnとなる。
このとき、フラグFの値は0のままであることから、ECU50は処理をステップS102からステップS103を経てステップS104に進め、上述したようにしてステップS103で読み出した加算値An及び減算値Dnと前回の制御周期で算出した第1判定値Xn−1を用い、今回の第1判定値Xnを演算する。このようにステップS104では、加算値An及び減算値Dnと前回の制御周期で算出した第1判定値Xn−1を用い、制御周期毎に今回の第1判定値XnをECU50が演算することにより、今回の第1判定値Xnが更新されていく。
このように、尿素供給量、排気排出量及び排気温度によって加算値An及び減算値Dnが増減し、その結果として第1判定値Xnが上限値Lに達すると、それまで継続していた尿素インジェクタ44からの尿素水の噴射が中止される。
ステップS105において第1判定値Xnが上限値Lに達したと判定し、前述のようにしてステップS107乃至S109を経て終了した制御周期の次の制御周期では、処理がステップS101からステップS102に進むと、フラグFの値が1となっているため、ECU50はステップS110に処理を進める。
このとき、フラグFの値は1のままであることから、ECU50は処理をステップS102からステップS110を経てステップS111に進め、上述したようにしてステップS110で読み出した減算値Dnと前回の制御周期で算出した第2判定値Yn−1を用い、今回の第2判定値Ynを演算する。このようにステップS111では、減算値Dnと前回の制御周期で算出した第2判定値Yn−1を用い、制御周期毎に今回の第2判定値YnをECU50が演算することにより、今回の第2判定値Ynが更新されていく。このようにして今回の第2判定値Ynが更新されることにより、ステップS111において制御周期毎に繰り返し演算される第2判定値Ynの値は徐々に減少していくことになる。
尿素由来堆積物が全て消滅したと判断したことから、ECU50はステップS115でフラグFの値を0とした後、ステップS116に処理を進め、次回以降の制御周期においてステップS111に処理が進んだ場合に第2判定値Yn−1の初期値となる今回の第2判定値Ynの値を上限値Lにリセットし、その制御周期を終了する。このように、第2判定値Ynが下限値0に達すると、それまで継続して中止されていた尿素インジェクタ44からの尿素水の噴射が再開される。
即ち、予め実験においてエンジン1を所定の基準運転状態で運転し、このとき尿素水インジェクタ44から尿素水を連続的に排気中に供給した場合に、尿素水から生成された尿素由来堆積物の堆積量が基準堆積量Qrに達するまでに要する時間を基準供給継続時間として求める。次に、エンジン1を所定の基準運転状態で運転し、尿素水を基準供給時間にわたって連続的に供給した場合に生成された基準堆積量Qrの尿素由来堆積物が、尿素水供給を中止した後にアンモニアに転化して消滅し終える時間を基準供給中止時間として求める。そして、前述したようにして第2判定値Ynを演算したときに第2判定値Ynが上記基準供給中止時間で下限値0に達するように、上限値L及び基準運転状態における減算値Dnを定めると共に、これら上限値L及び基準運転状態における減算値Dnに基づき、前述したようにして第1判定値Xnを演算したときに第1判定値Xnが上記基準供給継続時間で上限値Lに達するように、基準運転状態における加算値Anを定める。
排気昇温による尿素由来堆積物からのアンモニアの単位時間あたりの生成量は、尿素由来堆積物の堆積量を同一として排気温度を変化させた場合、排気温度の上昇率によっても変化し、排気温度の上昇率が大きいほど増加する。そこで、前述のように予め実験等により求めたアンモニアスリップを生じることなくSCR触媒40に供給可能なアンモニアの単位時間あたりの供給量に基づき、この供給量に対応した尿素由来堆積物からの単位時間あたりのアンモニア生成量を維持可能な排気温度の変化率を、尿素由来堆積物の堆積量をパラメータとして求め、この上昇率が目標昇温速度として目標昇温速度マップに記憶されている。従って、目標昇温速度マップにおける尿素由来堆積物の堆積量と目標昇温速度との関係は、その一例を図7に示すように、尿素由来堆積物の堆積量が減少するのに従って目標昇温速度が増大するようになっている。
こうしてステップS205で目標昇温速度を設定すると、ECU50は処理をステップS206に進め、ステップS204及びS205でそれぞれ設定した目標温度及び目標昇温速度を用い、排気温度センサ48によって検出された排気温度が目標昇温速度で目標温度まで上昇するように排気の昇温を行い、その制御周期を終了する。
ここでステップS206における排気の昇温は、インジェクタ4から主噴射とは別に、追加燃料を排気行程で各気筒に噴射することによって行われる。このような噴射タイミングで追加燃料が各気筒に噴射されることにより、追加燃料は気筒内や排気マニホールド18内で燃焼することなく前段酸化触媒36に達し、燃料のHCが前段酸化触媒36によって酸化反応を起こすことにより、前段酸化触媒36から流出する排気の温度が上昇する。
このようにして各制御周期において追加燃料が供給されることにより、排気温度は目標昇温速度に対応した変化率で目標温度に対応する温度まで上昇し、ほぼ目標温度に維持される。
以上で本発明の一実施形態に係る排気浄化装置についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、目標温度及び目標昇温速度を、尿素由来堆積物の堆積量の変化に従って連続的に変化させるようにしたが、尿素由来堆積物の堆積量変動範囲をいくつかの区間に分け、各区間内では目標温度及び目標昇温速度の少なくとも一方を一定に保持しながら段階的に変更するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、排気後処理装置28に前段酸化触媒36、フィルタ38、SCR触媒40及び後段酸化触媒42を設けるようにしたが、SCR触媒40以外については必要に応じて変更することが可能である。
30 上流側ケーシング(排気通路)
32 連通路(排気通路)
34 下流側ケーシング(排気通路)
40 アンモニア選択還元型NOx触媒
44 尿素水インジェクタ(尿素水供給手段)
50 ECU(制御手段)
Claims (4)
- エンジンの排気通路に配設され、アンモニアを還元剤として排気中のNOxを選択還元するアンモニア選択還元型NOx触媒と、
上記アンモニア選択還元型NOx触媒の上流側の排気中に尿素水を供給する尿素水供給手段と、
上記尿素水供給手段から供給された尿素水から生成されて上記排気通路内に堆積した尿素由来堆積物の堆積量が所定の基準堆積量に達すると、上記排気通路中の排気温度が目標温度となるように排気昇温制御を行う制御手段とを備え、
上記制御手段は、上記尿素由来堆積物の堆積量の減少に従って上記目標温度を上昇させることを特徴とする排気浄化装置。 - 上記制御手段は、上記尿素由来堆積物の堆積量の減少に従って増大する目標昇温速度を設定し、上記排気温度を上昇させる際の上記排気温度の変化率が上記目標昇温速度となるように、上記排気昇温制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
- 上記制御手段は、上記排気昇温制御を実行しているときには、上記尿素水供給手段からの尿素水の供給を中止することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
- 上記尿素水供給手段の上流側の上記排気通路に介装された酸化触媒を更に備え、
上記制御手段は、上記酸化触媒に流入する排気中に燃料を供給することにより、上記排気昇温制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
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