JP2004211635A - エンジンの排気浄化装置および排気浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンの排気通路に設置したNOx触媒へ還元剤を供給するのに用いる還元剤供給インジェクタにつき、還元剤を噴射する噴射口のつまり防止を低コストで実現するのに有効な技術を提供する。
【解決手段】エンジン100の排気通路41に設けられたNOx触媒43へ還元剤としての燃料を供給するインジェクタユニット60につき、過給機50によって過給された過給空気をインジェクタ本体61へ導入することでこのインジェクタ本体61の冷却に用いる。このとき、エンジン回転数および燃料噴射量を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいてVSV63を制御し、過給空気による冷却能力を切り換える構成とする。これにより、排気温度を測定する温度センサ等を設置する必要がなく、インジェクタ本体61の噴射口のつまり防止を低コストで実現することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジン100の排気通路41に設けられたNOx触媒43へ還元剤としての燃料を供給するインジェクタユニット60につき、過給機50によって過給された過給空気をインジェクタ本体61へ導入することでこのインジェクタ本体61の冷却に用いる。このとき、エンジン回転数および燃料噴射量を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいてVSV63を制御し、過給空気による冷却能力を切り換える構成とする。これにより、排気温度を測定する温度センサ等を設置する必要がなく、インジェクタ本体61の噴射口のつまり防止を低コストで実現することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンから排出される排気ガスの排気浄化装置に係り、詳しくは排気浄化装置を構成するNOx触媒へ還元剤を供給する還元剤供給インジェクタの冷却技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばディーゼルエンジンから排出される排気ガスを浄化処理するために、エンジンの排気通路にNOx触媒を設置した構成のものが知られている。この技術では、NOx触媒の上流に、還元剤としての燃料(例えば、軽油)を供給する還元剤供給インジェクタが設置されている。そして、インジェクタ本体の先端部分に設けられた噴射口から排気通路内へ所定量の燃料(還元剤)が噴射されるようになっている。これにより、NOx触媒に吸収されたNOxは、噴射口から噴射された燃料によって還元処理される。ところで、このような還元剤供給インジェクタでは、インジェクタ本体の先端部分が高温の排気ガスに曝されるため、熱せられた燃料の炭化等によって噴射口につまりを生じる場合がある。このような場合には、NOx触媒へ適切な量の燃料を供給するのが難しくなるという問題がある。
そこで、従来、インジェクタ本体の先端部分の噴射口のつまりを防止するために種々の技術が提案されている。例えば、インジェクタ本体に冷却水を通すことによって、インジェクタ本体が噴射口のつまりを発生し難い温度となるように冷却する技術が公知である(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の技術では、インジェクタ本体に設置された温度センサによってインジェクタ本体の温度を検出し、この検出温度に基づいて冷却水量を制御する構成が用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−96212号公報(図1〜図6)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、インジェクタ本体を冷却するのに専用の温度センサを用いた上記従来技術では、温度センサの設置コストがかかるという問題がある。また、インジェクタ本体に冷却水を通す構成では、温度センサ自体が冷却水の影響を受け易く、この温度センサによって検出された情報を用いて適切な冷却制御を行うのには限界がある。なお、燃料の噴射圧を高めることで噴射口のつまりを防止する構成も考えられるが、このためには燃料供給系を高圧化させる必要がありやはりコストアップとなる。
そこで本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、エンジンの排気通路に設置したNOx触媒へ還元剤を供給するのに用いる還元剤供給インジェクタにつき、還元剤を噴射する噴射口のつまり防止を低コストで実現するのに有効な技術を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のエンジンの排気浄化装置は、請求項1〜4に記載のように構成される。また、本発明のエンジンの排気浄化方法としては、請求項5〜8に記載のような方法がある。これら各請求項に係る発明は、例えばディーゼルエンジンの排気通路に配置される還元剤供給インジェクタの冷却技術に好適に適用され得る。
【0006】
〔請求項1に記載の発明〕
請求項1に記載したエンジンの排気浄化装置は、NOx触媒、還元剤供給インジェクタ、冷却手段、制御手段等によって構成される。
NOx触媒は、エンジンから排出された排気ガス中のNOxを吸収し、吸収したこのNOxを還元剤の作用によって還元する機能を有する。このNOx触媒は、例えばアルミナ(Al2O3)にアルカリ金属、アルカリ土類、希土類と、貴金属等が担持された構成を有する。還元剤供給インジェクタは、NOx触媒へ還元剤を供給する機能を有するものであり、排気通路においてNOx触媒の上流に配置される。この還元剤供給インジェクタは、例えばインジェクタ本体の先端部分に形成された噴射口を備え、この噴射口から噴射された還元剤がその下流のNOx触媒に供給されることとなる。還元剤としては、燃料(例えば、軽油)、尿素系添加剤など用いることができる。エンジンで使用する燃料を還元剤として用いる場合、専用の還元剤を別途準備する必要がないため合理的である。
冷却手段は、還元剤供給インジェクタのインジェクタ本体を冷却する機能を有する。この冷却手段としては、インジェクタ本体の内部に冷媒(冷却媒体)を流通させる冷媒流通路を設ける構成や、吸熱機能を有する装置をインジェクタ本体に埋設ないし接触させる構成などがある。例えば、インジェクタ本体の内部の冷媒流通路に冷媒を流通させる構成の場合、空気、冷却水、油などを冷媒として用いることができる。とりわけ、インジェクタ本体の先端部分に冷媒流通路や吸熱機能を有する装置を設けることで、還元剤噴射用の噴射口を特に効果的に冷却することが可能となる。
制御手段は、エンジンに関する運転情報を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいて冷却手段の冷却能力を制御する機能を有する。ここでいう冷却能力とは、実質的にはインジェクタ本体と冷却手段との間の熱交換量をいう。また、エンジンの運転情報とは、エンジン回転数、燃焼室への燃料噴射量、またその他排気温度と相関のあるエンジン負荷等に関与する各種の情報を広く含むものである。これらの運転情報は排気温度と相関を有しており、予めその相関を求めておくことで運転情報から排気温度を算出することができる。なお、この排気温度は、必要に応じて温度および圧力による補正を行うのが好ましい。運転情報から排気温度を算出した結果、例えばインジェクタ本体の冷却が必要と判断した場合に冷却手段による冷却を開始し、冷却が不要と判断した場合に冷却手段による冷却を停止する。これにより、必要なときにだけインジェクタ本体の冷却を行うため合理的である。また、例えばインジェクタ本体の冷却状況に応じて冷却手段による冷却能力を可変とする構成を用いてもよい。これらの制御により、運転状態に見合った噴射口の冷却が可能となり、噴射口のつまりの発生を安定的に防止することができる。しかも、本発明では、運転情報から算出した排気温度を用いて冷却制御を行うため、排気温度を直接的に検出する温度センサ等を必要とせず、低コストでの対応が可能となる。
以上のように請求項1に記載の発明によれば、還元剤を噴射する噴射口のつまり防止を低コストで実現することが可能となる。とりわけ、排気温度が高温になるエンジンにおいても、還元剤供給インジェクタによる安定した還元剤の供給を行うことが可能となる。
【0007】
〔請求項2に記載の発明〕
ここで、請求項1に記載の制御手段は、請求項2に記載のように運転情報としてエンジン回転数および燃料噴射量を用いる構成であるのが好ましい。すなわち、本発明ではエンジン回転数および燃料噴射量から排気温度を算出する。エンジンの通常の運転状態では、とりわけこれらの運転情報と排気温度とが強い相関を有しており、排気温度をエンジン回転数と燃料噴射量の2次元マップによって推定することができる。
従って、請求項2に記載の発明によれば、エンジン回転数および燃料噴射量を用いて排気温度を算出することで、インジェクタ本体の実用的な冷却が可能となる。なお、エンジン回転数および燃料噴射量を用いて算出した排気温度を、更に外気温度、水温、大気圧等に用いて補正することが好ましい。これにより、より正確な排気温度の算出が可能となる。これら外気温度、水温、大気圧等の検出は、エンジンに既存のセンサを用いて行うことができる。
【0008】
〔請求項3に記載の発明〕
また、請求項3に記載のエンジンの排気浄化装置では、冷却手段が冷媒流通路、流量調節手段等によって構成されている。冷媒流通路は、インジェクタ本体の内部に冷媒を流通させる通路である。この冷媒流通路は、極力噴射口に近い位置に設けるのが好ましい。流量調節手段は、冷媒流通路を流れる冷媒の流量を調節する機能を有する。この流量調節手段としては、冷媒の流路を全開と全閉とに切り換える切換弁、冷媒の流路面積が無段階で可変となるように調節する調節弁等を用いることができる。この流量調節手段を用いて冷媒流通路を流れる冷媒の流量を調節することで、インジェクタ本体の冷却能力(インジェクタ本体と冷媒との間の熱交換量)を調節することが可能となる。
以上のように請求項3に記載の発明によれば、簡単な構成によってインジェクタ本体の冷却能力を調節することができる。
【0009】
〔請求項4に記載の発明〕
また、請求項4に記載のエンジンの排気浄化装置では、エンジンに搭載された過給手段を、冷媒流通路を流れる冷媒の供給源として用いる。すなわち、過給手段によって過給された過給空気を冷媒として用いる。例えば、エンジンの吸気通路から導出した過給空気を、流量調節手段を介して冷媒流通路へ導入する構成とする。これにより、流量調節手段を用いて過給空気の流量を調節することで、インジェクタ本体の冷却能力を調節することが可能となる。この過給手段としては、排気過給式の過給機、スーパーチャージャー、電気式ターボ等を用いることができる。
以上のように請求項4に記載の発明によれば、インジェクタ本体の冷却を過給された空気を用いて効率的に行うことが可能となる。とりわけ、エンジンに既存の過給機によって過給された空気を用いることで合理的な構成を実現することができる。
【0010】
〔請求項5に記載の発明〕
NOx触媒を用いる排気浄化装置では、還元剤供給インジェクタからNOx触媒へ還元剤を供給することでNOx触媒に吸収されたNOxを還元処理する。
請求項5に記載したエンジンの排気浄化方法は、この還元処理に際し、冷却手段を用いて還元剤供給インジェクタのインジェクタ本体を冷却する。例えば、インジェクタ本体の内部に冷媒(冷却媒体)を流通させたり、吸熱機能を有する装置をインジェクタ本体に埋設ないし接触させることでインジェクタ本体を冷却することができる。インジェクタ本体の内部の冷媒流通路に冷媒を流通させる場合、空気、冷却水、油などを冷媒として用いることができる。とりわけ、インジェクタ本体の先端部分に冷媒流通路や吸熱機能を有する装置を設けることで、還元剤噴射用の噴射口を特に効果的に冷却することが可能となる。
本発明では、エンジンに関する運転情報を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいて冷却手段の冷却能力を制御する方法を用いる。ここでいうエンジンの運転情報とは、エンジン回転数、燃焼室への燃料噴射量、またその他エンジンの負荷等に関与する各種の情報を広く含むものである。これらの運転情報は排気温度と相関を有しており、予めその相関を求めておくことで運転情報から排気温度を算出することができる。なお、この排気温度は、必要に応じて温度および圧力による補正を行うのが好ましい。運転情報から排気温度を算出した結果、例えばインジェクタ本体の冷却が必要と判断した場合に冷却手段による冷却を開始し、冷却が不要と判断した場合に冷却手段による冷却を停止する。これにより、必要なときにだけインジェクタ本体の冷却を行うため合理的である。また、例えばインジェクタ本体の冷却状況に応じて冷却手段による冷却能力を可変とする構成を用いてもよい。これらの制御により、運転状態に見合った噴射口の冷却が可能となり、噴射口のつまりの発生を安定的に防止することができる。しかも、本発明では、運転情報から算出した排気温度を用いて冷却制御を行うため、排気温度を直接的に検出するセンサ等を必要とせず、低コストでの対応が可能となる。
以上のように請求項5に記載の発明によれば、還元剤を噴射する噴射口のつまり防止を低コストで実現することが可能となる。とりわけ、排気温度が高温になるエンジンでも安定した還元剤の添加を行うことが可能となる。
【0011】
〔請求項6に記載の発明〕
ここで、請求項5に記載のエンジンの排気浄化方法では、請求項6に記載のように運転情報としてエンジン回転数および燃料噴射量を用いるのが好ましい。すなわち、本発明ではエンジン回転数および燃料噴射量から排気温度を算出する。エンジンの通常の運転状態では、とりわけこれらの運転情報と排気温度とが強い相関を有しており、排気温度をエンジン回転数と燃料噴射量の2次元マップによって推定することができる。
従って、請求項6に記載の発明によれば、エンジン回転数および燃料噴射量を用いて排気温度を算出することで、インジェクタ本体の実用的な冷却が可能となる。なお、エンジン回転数および燃料噴射量を用いて算出した排気温度を、更に外気温度、水温、大気圧等に用いて補正することが好ましい。これにより、より正確な排気温度の算出が可能となる。これら外気温度、水温、大気圧等の検出は、エンジンに既存のセンサを用いて行うことができる。
【0012】
〔請求項7に記載の発明〕
また、請求項7に記載のエンジンの排気浄化方法では、インジェクタ本体の内部の冷媒流通路に冷媒を流通させ、この冷媒流通路を流れる冷媒の流量を調節することでインジェクタ本体の冷却能力を調節する。冷媒流通路は、極力噴射口に近い位置に設けるのが好ましい。冷媒流通路を流れる冷媒の流量を調節することで、インジェクタ本体の冷却能力(インジェクタ本体と冷媒との間の熱交換量)を調節することが可能となる。
以上のように請求項7に記載の発明によれば、簡便にインジェクタ本体の冷却能力を調節することができる。
【0013】
〔請求項8に記載の発明〕
また、請求項8に記載のエンジンの排気浄化方法では、エンジンに搭載された過給手段によって過給された過給空気を、インジェクタ本体を冷却する冷媒として用いる。エンジンの吸気通路から導出した過給空気を、流量調節手段を介して冷媒流通路へ導入することで、インジェクタ本体の冷却能力を調節することが可能となる。この過給手段としては、排気過給式の過給機、スーパーチャージャー、電気式ターボ等を用いることができる。
以上のように請求項8に記載の発明によれば、インジェクタ本体の冷却を過給された空気を用いて効率的に行うことが可能となる。とりわけ、エンジンに既存の過給機によって過給された空気を用いることで合理的な方法を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施の形態を図1〜図3を用いて説明する。なお、本実施の形態は本発明を過給機(ターボチャージャー)付きのディーゼルエンジンに適用したものである。ここで、図1は本実施の形態のエンジン100の構成を模式的に示す図である。図2は図1中のインジェクタユニット60の部分断面図である。図3はインジェクタユニット60における冷却制御のフローチャートである。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態のエンジン100は、エンジン本体10、燃料供給系20、吸気系30、排気系40、過給機50、インジェクタユニット60、EGRユニット70、ECU(制御部)80等を主要部として構成される直列4気筒のディーゼルエンジンである。このうち、インジェクタユニット60、ECU80等によって本発明における排気浄化装置が構成されている。
【0016】
過給機(ターボチャージャー)50は、排気過給式の既知の構成のものであり、シャフト51を介して連結された2つのタービンホイール52,53を備える。一方のタービンホイール52は吸気系30の吸気通路31に配置された吸気側タービンホイールであり、他方のタービンホイール53は排気系40の排気通路41に配置された排気側タービンホイールである。このような過給機50の構成により、排気通路41を流れる排気ガスの排気流(排気圧)を利用してタービンホイール53を回転させ、タービンホイール52によって吸気通路31を流れる吸入空気(吸気)の圧力を高めるという過給を行う。従って、吸気通路31のタービンホイール52下流には過給空気が流れることとなる。この過給機50が、本発明における過給手段に対応している。
【0017】
エンジン本体10には、複数(本実施の形態では4つ)の燃焼室11が形成されている。また、エンジン本体10には、エンジン回転数を検出する回転数センサ12、シリンダヘッドの温度を検出する温度センサ13等が設置されている。温度センサ13は、実質的にはエンジン本体10における冷却水の水温を測定する水温センサとして用いられる。
【0018】
燃料供給系20は、燃料タンク、燃料ポンプ等からなる燃料供給装置21を備え、この燃料供給装置21から供給された燃料(例えば、軽油)は、第1の燃料供給通路22、燃料噴射弁23を通じて各燃焼室11内へ噴射される構成になっている。また、燃料供給装置21から供給された燃料は、第2の燃料供給通路24を通じて後述するインジェクタユニット60へ供給される構成になっている。
【0019】
吸気系30には、各燃焼室11へ供給される吸入空気の通路(吸気通路31)が設けられている。この吸気通路31には、温度センサ32、圧力センサ33、エアクリーナー34、インタークーラー35、スロットル弁36等が設けられている。温度センサ32は、エアクリーナー34上流の温度を外気温として検出する。圧力センサ33は、エアクリーナー34上流の圧力を大気圧として検出する。エアクリーナー34は、吸入空気をフィルター処理する機能を有する。インタークーラー35は、過給機50による過給によって温度上昇した吸入空気を強制的に冷却する機能を有する。スロットル弁36は、例えば電子制御式の開閉弁であり、所定の条件下において吸入空気の流路面積を絞ることで、吸入空気の供給量を調節する機能を有する。
【0020】
排気系40には、排気通路41においてタービンホイール53の下流に触媒ケーシング42が設けられている。この触媒ケーシング42にNOx触媒43が収容されている。このNOx触媒43は、例えばアルミナ(Al2O3)を担体とし、この担体上に例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)のようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類と、白金(Pt)のような貴金属とが担持されることによって構成される。このNOx触媒43は、排気ガス中に多量の酸素が存在している状態においてはNOxを吸収し、排気ガス中の酸素濃度が低く且つ還元成分(例えば、燃料中の未燃成分(HC))が多量に存在している状態においてはNOxをNO2やNOに還元して放出する。このNO2やNOは、排気ガス中のHCやCOと速やかに反応することでさらに還元されてN2となる。
【0021】
インジェクタユニット60は、各燃焼室11から排出された排気ガスが合流した後の排気ポート41aに設置されている。このインジェクタユニット60が、本発明における還元剤供給インジェクタに対応している。このインジェクタユニット60は、インジェクタ本体61、吸気導出管62、この吸気導出管62に設けられた冷却用のVSV(Vacuum Switching Valve)63等によって構成されている。吸気導出管62は、吸気通路31とインジェクタ本体61とを接続する配管であり、吸気通路31から導出した過給空気をインジェクタ本体61へ導入する機能を有する。また、前記燃料供給系20の第2の燃料供給通路24を通じてインジェクタ本体61に燃料が供給されるようになっている。この燃料は、NOx触媒43のための還元剤として使用される。VSV63は、オン・オフ式の制御弁であり、過給空気の流路を全開状態ないし全閉状態に設定可能になっている。従って、VSV63の開放動作(ON動作)によって過給空気の流路が全開状態となる一方、VSV63の閉止動作(OFF動作)によって過給空気の流路が全閉状態となる。
【0022】
ここで、インジェクタ本体61の内部の構造を図2を参照しながら説明する。図2に示すように、インジェクタ本体61はガスケット68を介して排気ポート41aに取り付けられている。このインジェクタ本体61の内部には、燃料流通路65および空気流通路67が形成され、また電磁弁64が設置されている。燃料流通路65は、導入口65aから導入した燃料を流通させ、インジェクタ本体61の先端部66に形成された噴射口66aまで誘導する通路である。この燃料が本発明における還元剤に対応している。空気流通路67は、導入口67aから導入した過給空気(本発明における冷媒)を流通させ、排出口67bから排気する通路である。この空気流通路67が、本発明における冷媒流通路に対応しており、吸気導出管62、VSV63、空気流通路67、過給空気等によって本発明における冷却手段が構成されている。電磁弁64は、ソレノイドコイル64aからの磁力によって弁体64bを開弁方向ないし閉弁方向へ移動させて燃料流通路65の開閉動作を行う機能を有する。
【0023】
なお、電磁弁64は、排気ガスの性状の検出結果に基づいて燃料の供給が必要であると判定され、且つ燃料の添加条件(例えば、排気ガスの温度、圧力が所定条件に達している)が整っていると判定された場合に開放動作される。これにより、噴射口66aから噴射された燃料が還元剤としてNOx触媒43に供給され、この燃料中の未燃成分(HC)がNOx触媒43に吸収されたNOx成分をNO2やNOに、さらにはN2に還元することとなる。而して、NOx触媒43に吸収されたNOx成分が浄化されて排気され、NOx触媒43のNOx吸収能力が復活する。
【0024】
図1に戻って、EGR(イグゾースト・ガス・リサイキュレーション)ユニット70は、燃焼室11の上流(吸気側)と下流(排気側)とを接続する排気還流通路71を備える。この排気還流通路71は、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気系へ再循環させる機能を有する。この排気還流通路71には、EGRクーラー72、EGRバルブ73等が配置されている。EGRクーラー72は、排気還流通路71を流れる高温のEGRガスの冷却を行う。EGRバルブ73は、排気還流通路71を流れるEGRガスの流量を調整する機能を有する。
【0025】
ECU(制御部)80は、既知の構成のCPU、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、タイマーカウンタ等を備えている(いずれも図示省略)。このECU80は、回転数センサ12、温度センサ13、燃料供給装置21、温度センサ32、圧力センサ33、スロットル弁36、電磁弁64、VSV63、EGRバルブ73等と電気的に接続されており、検出信号あるいは制御信号を伝達可能になっている。このECU80が、本発明における制御手段に対応している。
【0026】
次に、インジェクタユニット60における冷却制御を説明する。なお、この冷却制御はECU(制御部)80を用いて行う。
本実施の形態の冷却制御では、エンジン100に関する運転情報(エンジン回転数、燃料噴射量等)を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいてVSV63の作動を切替える。具体的には、算出した排気温度が所定の条件範囲にある場合にVSV63をオン状態に設定して吸気導出管62と吸気通路31とを連通させ、空気流通路67に過給空気を導入し流通させることでインジェクタ本体61の冷却を行う。すなわち、空気流通路67を流通する過給空気とインジェクタ本体61との間の熱交換量が増大し、冷却能力が上がることによりインジェクタ本体61が冷却されることとなる。それ以外の条件では、VSV63をオフ状態に設定して吸気導出管62と空気流通路67とを遮断し空気流通路67への過給空気の導入を停止する。これにより、空気流通路67を流通する過給空気とインジェクタ本体61との間の熱交換量が低下し冷却能力が下がる。このように過給空気の流量を切り換えることでインジェクタ本体61の冷却能力を調節する。
【0027】
インジェクタ本体61の先端部66の温度は、排気温度に対し強い相関をもっていることが判っており、従って排気温度を用いることで先端部66の温度が噴射口66aの詰まりを生じやすい条件下にあるか否かを間接的に判定することができる。なお、本実施の形態では、この排気温度をエンジン100に関する運転情報(エンジン回転数、燃料噴射量等)を用いて推定するようになっている。これにより、冷却制御専用の温度センサ等を新たに設置する必要がなく、コスト低減を図ることができる。
【0028】
以下、インジェクタユニット60における冷却制御の具体例を図3に示すフローチャートにしたがって説明する。
まず、図3中のステップS10によってそのときのエンジン回転数nを算出する。このエンジン回転数nは、回転数センサ12によって検出された検出情報を用いて導出される。また、ステップS12によって燃焼室11へ噴射されている、あるいは噴射される燃料噴射量qを算出する。この燃料噴射量qは、燃料供給装置21からの情報を用いて導出される。
【0029】
ステップS14では、ステップS10,S12において算出したエンジン回転数nおよび燃料噴射量qを所定関数fに導入することによって基本排気温度TAを算出する。これは、通常の運転状態では排気温度がエンジン回転数nと燃料噴射量qの2次元マップによって推定することができることを利用したものである。なお、所定関数fは、予め実施するテストや解析等によって定めることができる。
【0030】
ステップS16〜S20では、水温TW、外気温度TBおよび大気圧PAの算出を行う。水温TWは、シリンダヘッドに設置された温度センサ13によって検出された検出情報を用いて導出される。外気温度TBは、エアクリーナー34上流に設置された温度センサ32によって検出された検出情報を用いて導出される。大気圧PAは、エアクリーナー34上流に設置された圧力センサ33によって検出された検出情報を用いて導出される。
【0031】
ステップS22では、前記した基本排気温度TAを補正するべく補正係数kを算出する。この補正係数kは、ステップS16〜S18において算出した水温TW、外気温度TBおよび大気圧PAを、所定関数gに導入することによって得ることができる。なお、この所定関数gは予め実施するテストや解析等によって定めることができる。ステップS24では、ステップS14で得られた基本排気温度TAと、ステップS24で得られた補正係数kとの積によって、最終的に排気温度Tを算出する。
【0032】
次に、ステップS26〜S32では、ステップS24で算出した排気温度Tに基づいてVSV63の動作を制御する。
まず、ステップS26によって排気温度Tが上限値(例えば、530℃)に達しているか否かを判定する。排気温度Tが上限値よりも大きいと判定した場合(ステップS26のYES)にはインジェクタ本体61の冷却が必要であると判断してステップS28へすすみ、そうでない場合(ステップS26のNO)にはステップS10へ戻る。ステップS28では、VSV63を開放動作(ON動作)させることで吸気導出管62と空気流通路67とを連通させる。吸気通路31から導出された過給空気は、空気流通路67へ導入されこの空気流通路67を流通したのち排出口67bから排気される。これにより、過給空気を用いたインジェクタ本体61の冷却が開始される。なお、本実施の形態では、排出口67bから排気された空気がインジェクタ本体61と排気ポート41aとの間の隙間を通って外部へ排出される構成であるため、空気が隙間を通る際にもインジェクタ本体61の冷却に寄与することとなるため合理的である。
【0033】
ステップS30では、排気温度Tが下限値(例えば、500℃)に達しているか否かを判定する。排気温度Tが下限値以下であると判定した場合(ステップS30のYES)にはインジェクタ本体61の冷却は必要ないと判断してステップS32へすすみ、そうでない場合(ステップS30のNO)にはステップS28へ戻る。ステップS32では、VSV63を閉止動作(OFF動作)させることで吸気導出管62と空気流通路67とを遮断する。これにより、空気流通路67への過給空気の導入が停止されインジェクタ本体61の冷却が停止される。
【0034】
以上のように、本実施の形態によれば、運転情報から算出した排気温度に基づいて空気流通路67を流れる過給空気の流量を調節するようにしたため、排気温度を測定する温度センサ等を設置する必要がなく、インジェクタ本体61の噴射口66aのつまり防止を低コストで実現することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、空気流通路67への過給空気をエンジン100に既存の過給機50から供給する構成としたため合理的である。
【0035】
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0036】
(A)上記実施の形態では、過給機50によって過給された過給空気をインジェクタ本体61を冷却する冷媒として用いる場合について記載したが、その他の媒体、例えば過給空気以外の高圧空気、冷却水、油などを冷媒として用いてもよい。このような構成は、過給機を備えていないエンジンにおいて有効である。
【0037】
(B)また、上記実施の形態では排気過給式の過給機50を用いる場合について記載したが、これにかえてスーパーチャージャーや電気式ターボを用いることもできる。
【0038】
(C)また、上記実施の形態では、排気通路41の排気ポート41aにインジェクタユニット60を設置する場合について記載したが、このインジェクタユニット60の設置位置は種々変更可能である。例えば、シリンダヘッドの内部や、過給機50とNOx触媒43との間などにインジェクタユニット60を設置することができる。
【0039】
(D)また、上記実施の形態では、エンジン100に関する運転情報としてエンジン回転数nおよび燃料噴射量qを用いる場合について記載したが、排気温度と相関のあるエンジン負荷等、その他の運転情報を用いてもよい。
【0040】
(E)また、上記実施の形態では、空気流通路67を流通する過給空気の流量をオン・オフ式の制御弁であるVSV63を用いて制御する場合について記載したが、このVSVにかえて空気流通路67を流通する過給空気の流量を無段階で可変とする調節弁を用いることもできる。
【0041】
また、以上説明したきた実施の形態や様々な変更例の説明に鑑みた場合、本発明では、以下の構成を採り得る。
すなわち、「エンジンの排気通路に設けられたNOx触媒へ還元剤を供給する還元剤供給インジェクタであって、インジェクタ本体を冷却する冷却手段と、制御手段とを備え、前記制御手段は、前記エンジンに関する運転情報を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいて前記冷却手段による前記インジェクタ本体の冷却能力を制御するように構成されていることを特徴とする還元剤供給インジェクタ。」という構成が考えられる。
また、「エンジンの排気通路に設けられたNOx触媒へ還元剤を供給する還元剤供給インジェクタにつき、冷却手段を用いてインジェクタ本体を冷却する冷却方法であって、前記エンジンに関する運転情報を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいて前記冷却手段による前記インジェクタ本体の冷却能力を制御することを特徴とする冷却方法。」という構成が考えられる。
これらの構成によれば、本実施の形態と同様に還元剤を噴射する噴射口のつまり防止を低コストで実現することが可能となる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、エンジンの排気通路に設置したNOx触媒へ還元剤を供給するのに用いる還元剤供給インジェクタにつき、還元剤を噴射する噴射口のつまり防止を低コストで実現できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のエンジン100の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1中のインジェクタユニット60の部分断面図である。
【図3】インジェクタユニット60における冷却制御のフローチャートである。
【符号の説明】
12…回転数センサ
13…温度センサ
10…エンジン本体
20…燃料供給系
21…燃料供給装置
30…吸気系
31…吸気通路
32…温度センサ
33…圧力センサ
40…排気系
41…排気通路
41a…排気ポート
42…触媒ケーシング
43…NOx触媒
50…過給機
60…インジェクタユニット
61…インジェクタ本体
62…吸気導出管
63…VSV
64…電磁弁
65…燃料流通路
67…空気流通路
70…EGRユニット
80…ECU(制御部)
100…エンジン
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンから排出される排気ガスの排気浄化装置に係り、詳しくは排気浄化装置を構成するNOx触媒へ還元剤を供給する還元剤供給インジェクタの冷却技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばディーゼルエンジンから排出される排気ガスを浄化処理するために、エンジンの排気通路にNOx触媒を設置した構成のものが知られている。この技術では、NOx触媒の上流に、還元剤としての燃料(例えば、軽油)を供給する還元剤供給インジェクタが設置されている。そして、インジェクタ本体の先端部分に設けられた噴射口から排気通路内へ所定量の燃料(還元剤)が噴射されるようになっている。これにより、NOx触媒に吸収されたNOxは、噴射口から噴射された燃料によって還元処理される。ところで、このような還元剤供給インジェクタでは、インジェクタ本体の先端部分が高温の排気ガスに曝されるため、熱せられた燃料の炭化等によって噴射口につまりを生じる場合がある。このような場合には、NOx触媒へ適切な量の燃料を供給するのが難しくなるという問題がある。
そこで、従来、インジェクタ本体の先端部分の噴射口のつまりを防止するために種々の技術が提案されている。例えば、インジェクタ本体に冷却水を通すことによって、インジェクタ本体が噴射口のつまりを発生し難い温度となるように冷却する技術が公知である(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の技術では、インジェクタ本体に設置された温度センサによってインジェクタ本体の温度を検出し、この検出温度に基づいて冷却水量を制御する構成が用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−96212号公報(図1〜図6)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、インジェクタ本体を冷却するのに専用の温度センサを用いた上記従来技術では、温度センサの設置コストがかかるという問題がある。また、インジェクタ本体に冷却水を通す構成では、温度センサ自体が冷却水の影響を受け易く、この温度センサによって検出された情報を用いて適切な冷却制御を行うのには限界がある。なお、燃料の噴射圧を高めることで噴射口のつまりを防止する構成も考えられるが、このためには燃料供給系を高圧化させる必要がありやはりコストアップとなる。
そこで本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、エンジンの排気通路に設置したNOx触媒へ還元剤を供給するのに用いる還元剤供給インジェクタにつき、還元剤を噴射する噴射口のつまり防止を低コストで実現するのに有効な技術を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のエンジンの排気浄化装置は、請求項1〜4に記載のように構成される。また、本発明のエンジンの排気浄化方法としては、請求項5〜8に記載のような方法がある。これら各請求項に係る発明は、例えばディーゼルエンジンの排気通路に配置される還元剤供給インジェクタの冷却技術に好適に適用され得る。
【0006】
〔請求項1に記載の発明〕
請求項1に記載したエンジンの排気浄化装置は、NOx触媒、還元剤供給インジェクタ、冷却手段、制御手段等によって構成される。
NOx触媒は、エンジンから排出された排気ガス中のNOxを吸収し、吸収したこのNOxを還元剤の作用によって還元する機能を有する。このNOx触媒は、例えばアルミナ(Al2O3)にアルカリ金属、アルカリ土類、希土類と、貴金属等が担持された構成を有する。還元剤供給インジェクタは、NOx触媒へ還元剤を供給する機能を有するものであり、排気通路においてNOx触媒の上流に配置される。この還元剤供給インジェクタは、例えばインジェクタ本体の先端部分に形成された噴射口を備え、この噴射口から噴射された還元剤がその下流のNOx触媒に供給されることとなる。還元剤としては、燃料(例えば、軽油)、尿素系添加剤など用いることができる。エンジンで使用する燃料を還元剤として用いる場合、専用の還元剤を別途準備する必要がないため合理的である。
冷却手段は、還元剤供給インジェクタのインジェクタ本体を冷却する機能を有する。この冷却手段としては、インジェクタ本体の内部に冷媒(冷却媒体)を流通させる冷媒流通路を設ける構成や、吸熱機能を有する装置をインジェクタ本体に埋設ないし接触させる構成などがある。例えば、インジェクタ本体の内部の冷媒流通路に冷媒を流通させる構成の場合、空気、冷却水、油などを冷媒として用いることができる。とりわけ、インジェクタ本体の先端部分に冷媒流通路や吸熱機能を有する装置を設けることで、還元剤噴射用の噴射口を特に効果的に冷却することが可能となる。
制御手段は、エンジンに関する運転情報を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいて冷却手段の冷却能力を制御する機能を有する。ここでいう冷却能力とは、実質的にはインジェクタ本体と冷却手段との間の熱交換量をいう。また、エンジンの運転情報とは、エンジン回転数、燃焼室への燃料噴射量、またその他排気温度と相関のあるエンジン負荷等に関与する各種の情報を広く含むものである。これらの運転情報は排気温度と相関を有しており、予めその相関を求めておくことで運転情報から排気温度を算出することができる。なお、この排気温度は、必要に応じて温度および圧力による補正を行うのが好ましい。運転情報から排気温度を算出した結果、例えばインジェクタ本体の冷却が必要と判断した場合に冷却手段による冷却を開始し、冷却が不要と判断した場合に冷却手段による冷却を停止する。これにより、必要なときにだけインジェクタ本体の冷却を行うため合理的である。また、例えばインジェクタ本体の冷却状況に応じて冷却手段による冷却能力を可変とする構成を用いてもよい。これらの制御により、運転状態に見合った噴射口の冷却が可能となり、噴射口のつまりの発生を安定的に防止することができる。しかも、本発明では、運転情報から算出した排気温度を用いて冷却制御を行うため、排気温度を直接的に検出する温度センサ等を必要とせず、低コストでの対応が可能となる。
以上のように請求項1に記載の発明によれば、還元剤を噴射する噴射口のつまり防止を低コストで実現することが可能となる。とりわけ、排気温度が高温になるエンジンにおいても、還元剤供給インジェクタによる安定した還元剤の供給を行うことが可能となる。
【0007】
〔請求項2に記載の発明〕
ここで、請求項1に記載の制御手段は、請求項2に記載のように運転情報としてエンジン回転数および燃料噴射量を用いる構成であるのが好ましい。すなわち、本発明ではエンジン回転数および燃料噴射量から排気温度を算出する。エンジンの通常の運転状態では、とりわけこれらの運転情報と排気温度とが強い相関を有しており、排気温度をエンジン回転数と燃料噴射量の2次元マップによって推定することができる。
従って、請求項2に記載の発明によれば、エンジン回転数および燃料噴射量を用いて排気温度を算出することで、インジェクタ本体の実用的な冷却が可能となる。なお、エンジン回転数および燃料噴射量を用いて算出した排気温度を、更に外気温度、水温、大気圧等に用いて補正することが好ましい。これにより、より正確な排気温度の算出が可能となる。これら外気温度、水温、大気圧等の検出は、エンジンに既存のセンサを用いて行うことができる。
【0008】
〔請求項3に記載の発明〕
また、請求項3に記載のエンジンの排気浄化装置では、冷却手段が冷媒流通路、流量調節手段等によって構成されている。冷媒流通路は、インジェクタ本体の内部に冷媒を流通させる通路である。この冷媒流通路は、極力噴射口に近い位置に設けるのが好ましい。流量調節手段は、冷媒流通路を流れる冷媒の流量を調節する機能を有する。この流量調節手段としては、冷媒の流路を全開と全閉とに切り換える切換弁、冷媒の流路面積が無段階で可変となるように調節する調節弁等を用いることができる。この流量調節手段を用いて冷媒流通路を流れる冷媒の流量を調節することで、インジェクタ本体の冷却能力(インジェクタ本体と冷媒との間の熱交換量)を調節することが可能となる。
以上のように請求項3に記載の発明によれば、簡単な構成によってインジェクタ本体の冷却能力を調節することができる。
【0009】
〔請求項4に記載の発明〕
また、請求項4に記載のエンジンの排気浄化装置では、エンジンに搭載された過給手段を、冷媒流通路を流れる冷媒の供給源として用いる。すなわち、過給手段によって過給された過給空気を冷媒として用いる。例えば、エンジンの吸気通路から導出した過給空気を、流量調節手段を介して冷媒流通路へ導入する構成とする。これにより、流量調節手段を用いて過給空気の流量を調節することで、インジェクタ本体の冷却能力を調節することが可能となる。この過給手段としては、排気過給式の過給機、スーパーチャージャー、電気式ターボ等を用いることができる。
以上のように請求項4に記載の発明によれば、インジェクタ本体の冷却を過給された空気を用いて効率的に行うことが可能となる。とりわけ、エンジンに既存の過給機によって過給された空気を用いることで合理的な構成を実現することができる。
【0010】
〔請求項5に記載の発明〕
NOx触媒を用いる排気浄化装置では、還元剤供給インジェクタからNOx触媒へ還元剤を供給することでNOx触媒に吸収されたNOxを還元処理する。
請求項5に記載したエンジンの排気浄化方法は、この還元処理に際し、冷却手段を用いて還元剤供給インジェクタのインジェクタ本体を冷却する。例えば、インジェクタ本体の内部に冷媒(冷却媒体)を流通させたり、吸熱機能を有する装置をインジェクタ本体に埋設ないし接触させることでインジェクタ本体を冷却することができる。インジェクタ本体の内部の冷媒流通路に冷媒を流通させる場合、空気、冷却水、油などを冷媒として用いることができる。とりわけ、インジェクタ本体の先端部分に冷媒流通路や吸熱機能を有する装置を設けることで、還元剤噴射用の噴射口を特に効果的に冷却することが可能となる。
本発明では、エンジンに関する運転情報を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいて冷却手段の冷却能力を制御する方法を用いる。ここでいうエンジンの運転情報とは、エンジン回転数、燃焼室への燃料噴射量、またその他エンジンの負荷等に関与する各種の情報を広く含むものである。これらの運転情報は排気温度と相関を有しており、予めその相関を求めておくことで運転情報から排気温度を算出することができる。なお、この排気温度は、必要に応じて温度および圧力による補正を行うのが好ましい。運転情報から排気温度を算出した結果、例えばインジェクタ本体の冷却が必要と判断した場合に冷却手段による冷却を開始し、冷却が不要と判断した場合に冷却手段による冷却を停止する。これにより、必要なときにだけインジェクタ本体の冷却を行うため合理的である。また、例えばインジェクタ本体の冷却状況に応じて冷却手段による冷却能力を可変とする構成を用いてもよい。これらの制御により、運転状態に見合った噴射口の冷却が可能となり、噴射口のつまりの発生を安定的に防止することができる。しかも、本発明では、運転情報から算出した排気温度を用いて冷却制御を行うため、排気温度を直接的に検出するセンサ等を必要とせず、低コストでの対応が可能となる。
以上のように請求項5に記載の発明によれば、還元剤を噴射する噴射口のつまり防止を低コストで実現することが可能となる。とりわけ、排気温度が高温になるエンジンでも安定した還元剤の添加を行うことが可能となる。
【0011】
〔請求項6に記載の発明〕
ここで、請求項5に記載のエンジンの排気浄化方法では、請求項6に記載のように運転情報としてエンジン回転数および燃料噴射量を用いるのが好ましい。すなわち、本発明ではエンジン回転数および燃料噴射量から排気温度を算出する。エンジンの通常の運転状態では、とりわけこれらの運転情報と排気温度とが強い相関を有しており、排気温度をエンジン回転数と燃料噴射量の2次元マップによって推定することができる。
従って、請求項6に記載の発明によれば、エンジン回転数および燃料噴射量を用いて排気温度を算出することで、インジェクタ本体の実用的な冷却が可能となる。なお、エンジン回転数および燃料噴射量を用いて算出した排気温度を、更に外気温度、水温、大気圧等に用いて補正することが好ましい。これにより、より正確な排気温度の算出が可能となる。これら外気温度、水温、大気圧等の検出は、エンジンに既存のセンサを用いて行うことができる。
【0012】
〔請求項7に記載の発明〕
また、請求項7に記載のエンジンの排気浄化方法では、インジェクタ本体の内部の冷媒流通路に冷媒を流通させ、この冷媒流通路を流れる冷媒の流量を調節することでインジェクタ本体の冷却能力を調節する。冷媒流通路は、極力噴射口に近い位置に設けるのが好ましい。冷媒流通路を流れる冷媒の流量を調節することで、インジェクタ本体の冷却能力(インジェクタ本体と冷媒との間の熱交換量)を調節することが可能となる。
以上のように請求項7に記載の発明によれば、簡便にインジェクタ本体の冷却能力を調節することができる。
【0013】
〔請求項8に記載の発明〕
また、請求項8に記載のエンジンの排気浄化方法では、エンジンに搭載された過給手段によって過給された過給空気を、インジェクタ本体を冷却する冷媒として用いる。エンジンの吸気通路から導出した過給空気を、流量調節手段を介して冷媒流通路へ導入することで、インジェクタ本体の冷却能力を調節することが可能となる。この過給手段としては、排気過給式の過給機、スーパーチャージャー、電気式ターボ等を用いることができる。
以上のように請求項8に記載の発明によれば、インジェクタ本体の冷却を過給された空気を用いて効率的に行うことが可能となる。とりわけ、エンジンに既存の過給機によって過給された空気を用いることで合理的な方法を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施の形態を図1〜図3を用いて説明する。なお、本実施の形態は本発明を過給機(ターボチャージャー)付きのディーゼルエンジンに適用したものである。ここで、図1は本実施の形態のエンジン100の構成を模式的に示す図である。図2は図1中のインジェクタユニット60の部分断面図である。図3はインジェクタユニット60における冷却制御のフローチャートである。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態のエンジン100は、エンジン本体10、燃料供給系20、吸気系30、排気系40、過給機50、インジェクタユニット60、EGRユニット70、ECU(制御部)80等を主要部として構成される直列4気筒のディーゼルエンジンである。このうち、インジェクタユニット60、ECU80等によって本発明における排気浄化装置が構成されている。
【0016】
過給機(ターボチャージャー)50は、排気過給式の既知の構成のものであり、シャフト51を介して連結された2つのタービンホイール52,53を備える。一方のタービンホイール52は吸気系30の吸気通路31に配置された吸気側タービンホイールであり、他方のタービンホイール53は排気系40の排気通路41に配置された排気側タービンホイールである。このような過給機50の構成により、排気通路41を流れる排気ガスの排気流(排気圧)を利用してタービンホイール53を回転させ、タービンホイール52によって吸気通路31を流れる吸入空気(吸気)の圧力を高めるという過給を行う。従って、吸気通路31のタービンホイール52下流には過給空気が流れることとなる。この過給機50が、本発明における過給手段に対応している。
【0017】
エンジン本体10には、複数(本実施の形態では4つ)の燃焼室11が形成されている。また、エンジン本体10には、エンジン回転数を検出する回転数センサ12、シリンダヘッドの温度を検出する温度センサ13等が設置されている。温度センサ13は、実質的にはエンジン本体10における冷却水の水温を測定する水温センサとして用いられる。
【0018】
燃料供給系20は、燃料タンク、燃料ポンプ等からなる燃料供給装置21を備え、この燃料供給装置21から供給された燃料(例えば、軽油)は、第1の燃料供給通路22、燃料噴射弁23を通じて各燃焼室11内へ噴射される構成になっている。また、燃料供給装置21から供給された燃料は、第2の燃料供給通路24を通じて後述するインジェクタユニット60へ供給される構成になっている。
【0019】
吸気系30には、各燃焼室11へ供給される吸入空気の通路(吸気通路31)が設けられている。この吸気通路31には、温度センサ32、圧力センサ33、エアクリーナー34、インタークーラー35、スロットル弁36等が設けられている。温度センサ32は、エアクリーナー34上流の温度を外気温として検出する。圧力センサ33は、エアクリーナー34上流の圧力を大気圧として検出する。エアクリーナー34は、吸入空気をフィルター処理する機能を有する。インタークーラー35は、過給機50による過給によって温度上昇した吸入空気を強制的に冷却する機能を有する。スロットル弁36は、例えば電子制御式の開閉弁であり、所定の条件下において吸入空気の流路面積を絞ることで、吸入空気の供給量を調節する機能を有する。
【0020】
排気系40には、排気通路41においてタービンホイール53の下流に触媒ケーシング42が設けられている。この触媒ケーシング42にNOx触媒43が収容されている。このNOx触媒43は、例えばアルミナ(Al2O3)を担体とし、この担体上に例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)のようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類と、白金(Pt)のような貴金属とが担持されることによって構成される。このNOx触媒43は、排気ガス中に多量の酸素が存在している状態においてはNOxを吸収し、排気ガス中の酸素濃度が低く且つ還元成分(例えば、燃料中の未燃成分(HC))が多量に存在している状態においてはNOxをNO2やNOに還元して放出する。このNO2やNOは、排気ガス中のHCやCOと速やかに反応することでさらに還元されてN2となる。
【0021】
インジェクタユニット60は、各燃焼室11から排出された排気ガスが合流した後の排気ポート41aに設置されている。このインジェクタユニット60が、本発明における還元剤供給インジェクタに対応している。このインジェクタユニット60は、インジェクタ本体61、吸気導出管62、この吸気導出管62に設けられた冷却用のVSV(Vacuum Switching Valve)63等によって構成されている。吸気導出管62は、吸気通路31とインジェクタ本体61とを接続する配管であり、吸気通路31から導出した過給空気をインジェクタ本体61へ導入する機能を有する。また、前記燃料供給系20の第2の燃料供給通路24を通じてインジェクタ本体61に燃料が供給されるようになっている。この燃料は、NOx触媒43のための還元剤として使用される。VSV63は、オン・オフ式の制御弁であり、過給空気の流路を全開状態ないし全閉状態に設定可能になっている。従って、VSV63の開放動作(ON動作)によって過給空気の流路が全開状態となる一方、VSV63の閉止動作(OFF動作)によって過給空気の流路が全閉状態となる。
【0022】
ここで、インジェクタ本体61の内部の構造を図2を参照しながら説明する。図2に示すように、インジェクタ本体61はガスケット68を介して排気ポート41aに取り付けられている。このインジェクタ本体61の内部には、燃料流通路65および空気流通路67が形成され、また電磁弁64が設置されている。燃料流通路65は、導入口65aから導入した燃料を流通させ、インジェクタ本体61の先端部66に形成された噴射口66aまで誘導する通路である。この燃料が本発明における還元剤に対応している。空気流通路67は、導入口67aから導入した過給空気(本発明における冷媒)を流通させ、排出口67bから排気する通路である。この空気流通路67が、本発明における冷媒流通路に対応しており、吸気導出管62、VSV63、空気流通路67、過給空気等によって本発明における冷却手段が構成されている。電磁弁64は、ソレノイドコイル64aからの磁力によって弁体64bを開弁方向ないし閉弁方向へ移動させて燃料流通路65の開閉動作を行う機能を有する。
【0023】
なお、電磁弁64は、排気ガスの性状の検出結果に基づいて燃料の供給が必要であると判定され、且つ燃料の添加条件(例えば、排気ガスの温度、圧力が所定条件に達している)が整っていると判定された場合に開放動作される。これにより、噴射口66aから噴射された燃料が還元剤としてNOx触媒43に供給され、この燃料中の未燃成分(HC)がNOx触媒43に吸収されたNOx成分をNO2やNOに、さらにはN2に還元することとなる。而して、NOx触媒43に吸収されたNOx成分が浄化されて排気され、NOx触媒43のNOx吸収能力が復活する。
【0024】
図1に戻って、EGR(イグゾースト・ガス・リサイキュレーション)ユニット70は、燃焼室11の上流(吸気側)と下流(排気側)とを接続する排気還流通路71を備える。この排気還流通路71は、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気系へ再循環させる機能を有する。この排気還流通路71には、EGRクーラー72、EGRバルブ73等が配置されている。EGRクーラー72は、排気還流通路71を流れる高温のEGRガスの冷却を行う。EGRバルブ73は、排気還流通路71を流れるEGRガスの流量を調整する機能を有する。
【0025】
ECU(制御部)80は、既知の構成のCPU、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、タイマーカウンタ等を備えている(いずれも図示省略)。このECU80は、回転数センサ12、温度センサ13、燃料供給装置21、温度センサ32、圧力センサ33、スロットル弁36、電磁弁64、VSV63、EGRバルブ73等と電気的に接続されており、検出信号あるいは制御信号を伝達可能になっている。このECU80が、本発明における制御手段に対応している。
【0026】
次に、インジェクタユニット60における冷却制御を説明する。なお、この冷却制御はECU(制御部)80を用いて行う。
本実施の形態の冷却制御では、エンジン100に関する運転情報(エンジン回転数、燃料噴射量等)を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいてVSV63の作動を切替える。具体的には、算出した排気温度が所定の条件範囲にある場合にVSV63をオン状態に設定して吸気導出管62と吸気通路31とを連通させ、空気流通路67に過給空気を導入し流通させることでインジェクタ本体61の冷却を行う。すなわち、空気流通路67を流通する過給空気とインジェクタ本体61との間の熱交換量が増大し、冷却能力が上がることによりインジェクタ本体61が冷却されることとなる。それ以外の条件では、VSV63をオフ状態に設定して吸気導出管62と空気流通路67とを遮断し空気流通路67への過給空気の導入を停止する。これにより、空気流通路67を流通する過給空気とインジェクタ本体61との間の熱交換量が低下し冷却能力が下がる。このように過給空気の流量を切り換えることでインジェクタ本体61の冷却能力を調節する。
【0027】
インジェクタ本体61の先端部66の温度は、排気温度に対し強い相関をもっていることが判っており、従って排気温度を用いることで先端部66の温度が噴射口66aの詰まりを生じやすい条件下にあるか否かを間接的に判定することができる。なお、本実施の形態では、この排気温度をエンジン100に関する運転情報(エンジン回転数、燃料噴射量等)を用いて推定するようになっている。これにより、冷却制御専用の温度センサ等を新たに設置する必要がなく、コスト低減を図ることができる。
【0028】
以下、インジェクタユニット60における冷却制御の具体例を図3に示すフローチャートにしたがって説明する。
まず、図3中のステップS10によってそのときのエンジン回転数nを算出する。このエンジン回転数nは、回転数センサ12によって検出された検出情報を用いて導出される。また、ステップS12によって燃焼室11へ噴射されている、あるいは噴射される燃料噴射量qを算出する。この燃料噴射量qは、燃料供給装置21からの情報を用いて導出される。
【0029】
ステップS14では、ステップS10,S12において算出したエンジン回転数nおよび燃料噴射量qを所定関数fに導入することによって基本排気温度TAを算出する。これは、通常の運転状態では排気温度がエンジン回転数nと燃料噴射量qの2次元マップによって推定することができることを利用したものである。なお、所定関数fは、予め実施するテストや解析等によって定めることができる。
【0030】
ステップS16〜S20では、水温TW、外気温度TBおよび大気圧PAの算出を行う。水温TWは、シリンダヘッドに設置された温度センサ13によって検出された検出情報を用いて導出される。外気温度TBは、エアクリーナー34上流に設置された温度センサ32によって検出された検出情報を用いて導出される。大気圧PAは、エアクリーナー34上流に設置された圧力センサ33によって検出された検出情報を用いて導出される。
【0031】
ステップS22では、前記した基本排気温度TAを補正するべく補正係数kを算出する。この補正係数kは、ステップS16〜S18において算出した水温TW、外気温度TBおよび大気圧PAを、所定関数gに導入することによって得ることができる。なお、この所定関数gは予め実施するテストや解析等によって定めることができる。ステップS24では、ステップS14で得られた基本排気温度TAと、ステップS24で得られた補正係数kとの積によって、最終的に排気温度Tを算出する。
【0032】
次に、ステップS26〜S32では、ステップS24で算出した排気温度Tに基づいてVSV63の動作を制御する。
まず、ステップS26によって排気温度Tが上限値(例えば、530℃)に達しているか否かを判定する。排気温度Tが上限値よりも大きいと判定した場合(ステップS26のYES)にはインジェクタ本体61の冷却が必要であると判断してステップS28へすすみ、そうでない場合(ステップS26のNO)にはステップS10へ戻る。ステップS28では、VSV63を開放動作(ON動作)させることで吸気導出管62と空気流通路67とを連通させる。吸気通路31から導出された過給空気は、空気流通路67へ導入されこの空気流通路67を流通したのち排出口67bから排気される。これにより、過給空気を用いたインジェクタ本体61の冷却が開始される。なお、本実施の形態では、排出口67bから排気された空気がインジェクタ本体61と排気ポート41aとの間の隙間を通って外部へ排出される構成であるため、空気が隙間を通る際にもインジェクタ本体61の冷却に寄与することとなるため合理的である。
【0033】
ステップS30では、排気温度Tが下限値(例えば、500℃)に達しているか否かを判定する。排気温度Tが下限値以下であると判定した場合(ステップS30のYES)にはインジェクタ本体61の冷却は必要ないと判断してステップS32へすすみ、そうでない場合(ステップS30のNO)にはステップS28へ戻る。ステップS32では、VSV63を閉止動作(OFF動作)させることで吸気導出管62と空気流通路67とを遮断する。これにより、空気流通路67への過給空気の導入が停止されインジェクタ本体61の冷却が停止される。
【0034】
以上のように、本実施の形態によれば、運転情報から算出した排気温度に基づいて空気流通路67を流れる過給空気の流量を調節するようにしたため、排気温度を測定する温度センサ等を設置する必要がなく、インジェクタ本体61の噴射口66aのつまり防止を低コストで実現することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、空気流通路67への過給空気をエンジン100に既存の過給機50から供給する構成としたため合理的である。
【0035】
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0036】
(A)上記実施の形態では、過給機50によって過給された過給空気をインジェクタ本体61を冷却する冷媒として用いる場合について記載したが、その他の媒体、例えば過給空気以外の高圧空気、冷却水、油などを冷媒として用いてもよい。このような構成は、過給機を備えていないエンジンにおいて有効である。
【0037】
(B)また、上記実施の形態では排気過給式の過給機50を用いる場合について記載したが、これにかえてスーパーチャージャーや電気式ターボを用いることもできる。
【0038】
(C)また、上記実施の形態では、排気通路41の排気ポート41aにインジェクタユニット60を設置する場合について記載したが、このインジェクタユニット60の設置位置は種々変更可能である。例えば、シリンダヘッドの内部や、過給機50とNOx触媒43との間などにインジェクタユニット60を設置することができる。
【0039】
(D)また、上記実施の形態では、エンジン100に関する運転情報としてエンジン回転数nおよび燃料噴射量qを用いる場合について記載したが、排気温度と相関のあるエンジン負荷等、その他の運転情報を用いてもよい。
【0040】
(E)また、上記実施の形態では、空気流通路67を流通する過給空気の流量をオン・オフ式の制御弁であるVSV63を用いて制御する場合について記載したが、このVSVにかえて空気流通路67を流通する過給空気の流量を無段階で可変とする調節弁を用いることもできる。
【0041】
また、以上説明したきた実施の形態や様々な変更例の説明に鑑みた場合、本発明では、以下の構成を採り得る。
すなわち、「エンジンの排気通路に設けられたNOx触媒へ還元剤を供給する還元剤供給インジェクタであって、インジェクタ本体を冷却する冷却手段と、制御手段とを備え、前記制御手段は、前記エンジンに関する運転情報を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいて前記冷却手段による前記インジェクタ本体の冷却能力を制御するように構成されていることを特徴とする還元剤供給インジェクタ。」という構成が考えられる。
また、「エンジンの排気通路に設けられたNOx触媒へ還元剤を供給する還元剤供給インジェクタにつき、冷却手段を用いてインジェクタ本体を冷却する冷却方法であって、前記エンジンに関する運転情報を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいて前記冷却手段による前記インジェクタ本体の冷却能力を制御することを特徴とする冷却方法。」という構成が考えられる。
これらの構成によれば、本実施の形態と同様に還元剤を噴射する噴射口のつまり防止を低コストで実現することが可能となる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、エンジンの排気通路に設置したNOx触媒へ還元剤を供給するのに用いる還元剤供給インジェクタにつき、還元剤を噴射する噴射口のつまり防止を低コストで実現できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のエンジン100の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1中のインジェクタユニット60の部分断面図である。
【図3】インジェクタユニット60における冷却制御のフローチャートである。
【符号の説明】
12…回転数センサ
13…温度センサ
10…エンジン本体
20…燃料供給系
21…燃料供給装置
30…吸気系
31…吸気通路
32…温度センサ
33…圧力センサ
40…排気系
41…排気通路
41a…排気ポート
42…触媒ケーシング
43…NOx触媒
50…過給機
60…インジェクタユニット
61…インジェクタ本体
62…吸気導出管
63…VSV
64…電磁弁
65…燃料流通路
67…空気流通路
70…EGRユニット
80…ECU(制御部)
100…エンジン
Claims (8)
- エンジンの排気通路に設けられたNOx触媒と、このNOx触媒へ還元剤を供給する還元剤供給インジェクタと、この還元剤供給インジェクタのインジェクタ本体を冷却する冷却手段と、制御手段とを有するエンジンの排気浄化装置であって、
前記制御手段は、前記エンジンに関する運転情報を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいて前記冷却手段による前記インジェクタ本体の冷却能力を制御するように構成されていることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。 - 請求項1に記載したエンジンの排気浄化装置であって、
前記制御手段は、前記運転情報としてエンジン回転数および燃料噴射量を用いることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。 - 請求項1または2に記載したエンジンの排気浄化装置であって、
前記冷却手段は、前記インジェクタ本体の内部に冷媒を流通させる冷媒流通路と、この冷媒流通路を流れる冷媒の流量を調節することで前記インジェクタ本体の冷却能力を調節する流量調節手段とを備えていることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。 - 請求項3に記載したエンジンの排気浄化装置であって、
前記エンジンは、その吸気通路を流通する吸入空気を過給する過給手段を有する構成であり、前記冷却手段は、前記過給手段によって過給された過給空気を前記冷媒として前記冷媒流通路へ導入する構成であることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。 - エンジンの排気通路に設けられたNOx触媒と、このNOx触媒へ還元剤を供給する還元剤供給インジェクタと、冷却手段とを有する排気浄化装置につき、前記冷却手段を用いて前記還元剤供給インジェクタのインジェクタ本体を冷却するステップを有するエンジンの排気浄化方法であって、
前記エンジンに関する運転情報を用いて排気温度を算出し、算出したこの排気温度に基づいて前記冷却手段による前記インジェクタ本体の冷却能力を制御することを特徴とするエンジンの排気浄化方法。 - 請求項5に記載したエンジンの排気浄化方法であって、
前記運転情報としてエンジン回転数および燃料噴射量を用いることを特徴とするエンジンの排気浄化方法。 - 請求項5または6に記載したエンジンの排気浄化方法であって、
前記インジェクタ本体の内部の冷媒流通路に冷媒を流通させ、この冷媒流通路を流れる冷媒の流量を調節することで前記インジェクタ本体の冷却能力を調節することを特徴とするエンジンの排気浄化方法。 - 請求項7に記載したエンジンの排気浄化方法であって、
前記エンジンは、その吸気通路を流通する吸入空気を過給する過給手段を有する構成であり、前記過給手段によって過給された過給空気を前記冷媒として前記冷媒流通路へ導入することを特徴とするエンジンの排気浄化方法。
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-
2003
- 2003-01-07 JP JP2003001288A patent/JP2004211635A/ja active Pending
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