JP5053450B1 - イオン発生装置およびイオン発生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 放電により発生したイオンを、効率的に空間に放出するイオン発生装置および、イオン発生方法を実現する。
【解決手段】 本発明に係るイオン発生装置は、放電電極と、放電電極に対向する誘導電極を有するものであり、放電電極に直流電圧を印加する直流電源と、誘導電極に放電電極との間で放電が起こる第1の電圧と、放電が停止する第2の電圧を印加するパルス電源とを備えている。また、第2の電圧は、放電電極に印加する直流電圧と同極性であることを特徴としている。
【選択図】 図3
【解決手段】 本発明に係るイオン発生装置は、放電電極と、放電電極に対向する誘導電極を有するものであり、放電電極に直流電圧を印加する直流電源と、誘導電極に放電電極との間で放電が起こる第1の電圧と、放電が停止する第2の電圧を印加するパルス電源とを備えている。また、第2の電圧は、放電電極に印加する直流電圧と同極性であることを特徴としている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、空気中で放電してイオンを空間に放出するイオン発生装置、及びこれを備えた電気機器に関する。
イオン発生装置は、放電電極および誘導電極間に電圧を印加し、放電電極でコロナ放電を生じさせることで、正イオンあるいは負イオンを発生させる。市販されているイオン発生装置は大きく分けて2種類あり、負イオンだけを発生させるものと、正イオンと負イオンの両方を発生させるものがある。負イオンだけ発生させるイオン発生装置は、リラックス効果があるとされ、正イオンと負イオンを両方発生させる装置は、空気中に浮遊するカビ菌やウイルスの分解、におい成分の分解、静電気の除去等の効果があるとされる。また、このような効果は、発生させるイオン量が多いほど一層高められる。
特許文献1には、放電電極と、誘導電極を有するイオン発生素子が記載されている。誘導電極は、金属板からなっており、放電電極に対応した位置に貫通孔を有している。放電電極は、針状の形状であり、その先端が誘導電極の貫通孔の中心に位置するように、配置されている。この放電電極と誘導電極の間に高電圧が印加されることによって、コロナ放電が生じ、イオンが発生する。ここで、放電電極にプラスの電位が印加された場合、発生した正イオンと負イオンのうち、負イオンは放電電極上で中和され、正イオンは反発して放出される。また、放電電極にマイナスの電位が印加された場合、発生した正イオンと負イオンのうち、正イオンは放電電極上で中和され、負イオンは反発して放出される。
特許文献2には、図9で示すように、放電電極と誘導電極の両電極にプラス、または、両電極にマイナスのパルス電圧を印加して放電することが記載されている。図9(a)は、誘導電極に印加される電圧、(b)は、放電電極に印加される電圧を示す。ここで、両電極に電圧が印加されているT1の期間は、放電が起こり、イオンが発生する。一方、両電極に電圧が印加されていないT2の期間は、放電が停止している。
イオン発生装置においては、空間に効率的にイオンを放出するため、送風によりイオンを風に乗せて空間に拡散させることが一般的である。
しかしながら、誘導電極が接地されている場合、放電電極で発生したイオンは、両電極間の電界によって、電気的に抵抗の大きい空気中ではなく、誘導電極に移動してしまう。そのため、送風により空間に拡散する前に、発生したイオンの大半が、誘導電極に回収されてしまうという課題があった。
また、特許文献2のように、放電時に放電電極と誘導電極の両電極にプラス、または、両電極にマイナスの電圧を印加した場合、放電電極で発生したイオンは、誘導電極の電位と反発し、誘導電極に回収されにくくなることは期待される。しかしながら、放電が終了すると誘導電極の電位は0となり、電極近傍に存在するイオンが、同様に誘導電極に回収されてしまう。
本発明は、従来技術における上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発生したイオンが放電電極およびに誘導電極に回収されることを抑制することで、従来よりも高濃度のイオンを発生する装置ならびに方法を提供することである。
本発明に係るイオン発生装置は、放電電極と、放電電極に対向する誘導電極を有するものであり、放電電極に直流電圧を印加する直流電源と、誘導電極に放電電極との間で放電が起こる第1の電圧と、放電が停止する第2の電圧を印加するパルス電源とを備えている。また、第2の電圧は、放電電極に印加する直流電圧と同極性であることを特徴としている。
また、第2の電圧の絶対値は、放電電極に印加する直流電圧の絶対値の2分の1より大きい値であることが好ましい。
また、第2の電圧は、前記放電電極に印加する直流電圧と略同電圧であることが好ましい。
また、パルス電源のデューティは、0.2以下であることが好ましい。
また、パルス電源の周波数は、700Hz以上であることが好ましい。
また、1周期あたりの放電時間は、150μs以下であることが好ましい。
また、1周期あたりの非放電時間は、150μs以上かつ、1500μs以下であることが好ましい。
また、本発明に係るイオン発生方法は、放電電極と、放電電極に対向する誘導電極を用いるイオン発生方法であって、放電電極に直流電圧を印加し、誘導電極に放電電極との間で放電が起こる第1の電圧と、放電が停止する第2の電圧を印加し、第2の電圧は、放電電極に印加する直流電圧と同極性とすることを特徴としている。
本発明に係る、イオン発生装置およびイオン発生方法によれば、発生したイオンが放電電極および誘導電極に回収されることを抑制することができ、従来よりも高濃度のイオンを発生する装置ならびに方法を提供することができる。
(第1の実施形態)
本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、イオン発生装置の模式図である。図2は、イオン発生装置の動作原理を示す模式図である。
本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、イオン発生装置の模式図である。図2は、イオン発生装置の動作原理を示す模式図である。
図1、2において、第1の実施形態に係るイオン発生装置は、主として、放電電極1と、放電電極1に対向する誘導電極2と、放電電極1に接続された直流電源3と、誘導電極2に接続されたパルス電源4と、放電電極1および誘導電極2が支持されている基板11と、これらの周囲にある風路管10とで構成されている。発生したイオンは風路管10内を通過して外へ放出される。
放電電極1は、例えば、針状、鋸歯状、ワイヤー状などの先端を有した形状であり、本実施形態では、針状電極としている。誘導電極2は、例えば、平板状、リング状などの形状で放電電極1より大きい表面積を有しており、放電電極1を取り囲むように配置されている。また、基板11は、絶縁材料からなり、放電電極1と誘導電極2が設置され、風路管10と絶縁されている。
風路管10は、例えば一端に、開口9を有しており、発生したイオンがそこから部屋空間に放出される。また、風路管10の開口9と対向する側には、図示しない送風機が設けられ、発生したイオンは、送風機による風に乗って、風路を通過し、部屋空間に拡散される。また、風路管10の材質は、特に限定されることはなく、成形性に優れた樹脂や、金属などから形成される。
次に、放電電極1と誘導電極2への電圧の印加状態とイオンの発生量の関係について説明する。
(実施例1)
図1及び図2を参照すると、放電電極1は、先端が尖った半径10μmの針状電極を用い、誘導電極2は、内径が9mmのリング状電極を用いた。また、風路管10は、50mm角の断面をもつものを用い、第1、第2の電極に対して十分大きいものとした。そして、両電極から10cm離れた位置にイオンカウンタを置いてイオン電流を測定した。
(実施例1)
図1及び図2を参照すると、放電電極1は、先端が尖った半径10μmの針状電極を用い、誘導電極2は、内径が9mmのリング状電極を用いた。また、風路管10は、50mm角の断面をもつものを用い、第1、第2の電極に対して十分大きいものとした。そして、両電極から10cm離れた位置にイオンカウンタを置いてイオン電流を測定した。
図3は、実施例1における、放電電極1と誘導電極2への印加電圧である。実線で示したV1は、放電電極1への印加電圧、破線で示したV2は、誘導電極2への印加電圧である。放電電極1にプラス5kVの直流電圧を印加し、誘導電極2に0kVとプラス5kVの電圧をパルス状に印加した。
図3において、誘導電極2に印加されるV2は、一周期をT(=T1+T2)とする。ここで、図3より、V2は、ピーク電圧である5kVとボトム電圧である0kVが切り替わるとき波形が斜めになっている。これは、電圧が切り替わるときのタイムラグを示す。本実施例では、放電電極1の電圧が、ボトム電圧になった時点から、ピーク電圧になった時点までを、T1とし、放電電極1の電圧が、ピーク電圧になった時点から、ボトム電圧になった時点までを、T2としている。
実施例1において、T1の期間、放電電極1に電界集中が発生しコロナ放電が起こる。コロナ放電によって発生した正イオンと負イオンのうち、負イオンは、放電電極1上で中和し、正イオンは、放電電極1と反発して放出される。一方、T2の期間、両電極間の電圧差は小さくなっており、放電は停止している。すなわち、イオンが発生している時間を分子とするデューティDは、T1/Tとなる。表1に、デューティを変化させてイオン電流を測定した結果を示す。
表1より、デューティが小さいときほど大きなイオン電流が計測された。イオン電流は、発生しているイオンの個数を相対的に表したものであるから、デューティが小さいときほど多数のイオンが外部へ放出されていることがわかる。ここで、実施例1におけるイオン放出のメカニズムを図2を参照して説明する。
図2(a)は、図3に示すT1の期間におけるイオン放出の様子を模式的に示している。図2(a)において、放電電極1で放電が起こっており、放電により空気分子が分解され正イオン5と負イオンが発生する。発生したイオンの内、負イオンは、放電電極1で中和されて消滅し、正イオン5は、放電電極1と反発し電極から放出される。しかし、正イオン5の大部分は、電気的に抵抗の大きい空気中よりも、抵抗の小さい誘導電極2に向かって移動する。
図2(b)は、図3に示すT2の期間におけるイオン放出の様子を表している。図2(b)において、誘導電極2の電位が放電電極1と同程度になり、放電が停止する。しかし、放電が停止しても、T1の期間に放電電極1から放出された正イオン5は、放電電極1と誘導電極2の近傍に多数存在していると考えられる。ここで、実施例1では、T2の期間、誘導電極2にはプラスの電圧が印加されている。そのため、電極近傍の正イオン5は、電極との反発力により、電極に回収されにくくなり、空間に放出されるイオンが増加することになる。
また、実施例1において、T2の期間、誘導電極2は、放電電極1と同じプラスの高電位となっている。そのため、誘導電極2近傍の正イオン5は、電極とより強く反発し、効果的に放出される。
以上のように、誘導電極2に印加されるパルス電圧のピーク値は、放電電極1の電圧と同電位である必要はなく、同極性であればよい。ただし、両電極間の電位差は、放電が停止する程度に小さくなっている必要はある。また、誘導電極2のピーク電圧を、放電電極の電圧と同電位、または、それ以上とした場合、誘導電極2の高電位によって、より効果的に発生したイオンを空間に放出することができる。
また、実験では、誘導電極2のピーク電圧と、放電電極の電圧が略同電位のとき、放出されるイオンが特に多くなった。また、その場合、電圧の種類が少なくてすむため、駆動回路もシンプルで低コスト化が可能である。
(比較例1)
図4は、比較例1における、放電電極1と誘導電極2への印加電圧である。両電極は、実施例1と同じものを用い、風路10およびイオン電流の測定条件は、実施例1と同一条件とする。その他、同じ符号は実施例1と同様とする。
(比較例1)
図4は、比較例1における、放電電極1と誘導電極2への印加電圧である。両電極は、実施例1と同じものを用い、風路10およびイオン電流の測定条件は、実施例1と同一条件とする。その他、同じ符号は実施例1と同様とする。
図4に示すように、放電電極1に0kVとプラス5kVのパルス電圧を印加し、誘導電極2に0kVの直流電圧を印加した。比較例1では、放電電極1と誘導電極2への印加電圧の電位差の大きいT1の期間にイオンが発生し、電位差が小さいT2の期間は、放電が停止している。したがって、デューティはT1/Tとなる。表2に、デューティを変化させてイオン電流を測定した結果を示す。
表2より、デューティが大きいほど大きなイオン電流が計測された。ただし、デューティを大きくするとイオン電流は大きくなるが、オゾンが発生しやすくなる。また、実施例1と比較例1を比較すると、全体的に実施例1の方が、外部へ取り出されるイオン量が大きいことがわかる。また、表2より、デューティが0.5と0.9の条件では、イオン電流に、ほとんだ差は見られなかった。これは、比較例1の場合、デューティが0.5付近で、放出されるイオンが飽和状態になったことを示していると考えられる。一方、実施例1では、表1で示したように、デューティが小さいほど、イオン電流は大きくなった。これは、比較例1の場合と逆の傾向であり、パルス電圧を放電電極か誘導電極のどちらに印加するかによって、イオンが発生し放出されるメカニズムが違うことを示唆するものである。
比較例1における、放電について説明する。図4において、T1の期間、放電によって正イオンが発生している。発生した正イオンは、送風に乗って、空間に放出されるが、放電電極1および誘導電極2の近傍にも多数のイオンが存在している。T1の期間が終了すると、放電電極1と誘導電極の電圧は、共に0Vとなる。このとき、いまだ、電極近傍に存在している正イオンは、その大部分が第2の電極に移動して回収されてしまう。ここで、周囲の空間と両電極はともに0Vであるが、空気はほぼ絶縁性であるのに対し、電極は導電性であるため、正イオンは、電極に移動し回収されてしまう。そのため、表1と2において、比較例1では、実施例1よりもイオン電流が小さくなっている。
また、先行文献2では、放電期間中、放電電極と誘導電極の両電極ともにプラス、または両電極ともにマイナスの電圧を印加している。しかし、非放電期間については、考慮されておらず、比較例1の場合と同様に、放電が終了したときに、電極近傍のイオンが電極に回収されてしまうことが考えられる。
(実施例2)
次に、実施例1に対して、誘導電極2への電圧印加条件を変動させて、イオン電流との関係を調査した。実施例1と同様に、放電電極1には、5kVの直流電圧を印加し、誘導電極2には、0kVと5kVのパルス電圧を印加した。パルス電圧の、デューティは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40%の各条件でイオン電流を測定した。また、パルス電圧の周波数を、500、700、1000、1500、2000、2500、3000、4000、5000Hzと変動させた。なお、特に、記載しないパラメータは上記実施例1と同じとする。
(実施例2)
次に、実施例1に対して、誘導電極2への電圧印加条件を変動させて、イオン電流との関係を調査した。実施例1と同様に、放電電極1には、5kVの直流電圧を印加し、誘導電極2には、0kVと5kVのパルス電圧を印加した。パルス電圧の、デューティは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40%の各条件でイオン電流を測定した。また、パルス電圧の周波数を、500、700、1000、1500、2000、2500、3000、4000、5000Hzと変動させた。なお、特に、記載しないパラメータは上記実施例1と同じとする。
図5は、その結果をプロットしたグラフであり、横軸が周波数F、縦軸がイオン電流Iを示す。また、マーカの形状は、デューティを表しており、図中の凡例に示した値と対応する。
図5に示されるように、デューティが小さい条件でイオン電流は大きくなった。これは、デューティが大きい場合、非放電時間が短くなるので、電極近傍に存在するイオンが、誘導電極2の反発力によって、電極から十分に離れる前に、次の放電が起こるためと考えられる。そのため、イオンが空間に放出されにくくなる。
ここで、デューティは、20%以下であることが好ましい。デューティが、20%以下の条件で、イオン電流は、同じ周波数の条件での最大値の80%以上となっている。また、デューティは、10%以下であることがさらに好ましい。デューティが、10%以下の条件で、イオン電流は、同じ周波数の条件での最大値の90%以上となっている。なお、図5では、イオン電流で示しているがイオン電流が高いほど放出されるイオン数が多くなり、同じ空間内においてイオンが高濃度で存在することになる。
また、図5より、周波数が小さい条件では、イオン電流が小さいことがわかる。これは、周波数Fが小さいと、放電回数が少なくなり、イオンの発生量が減少したと考えられる。
ここで、周波数Fは、700Hz以上であることが好ましい。周波数が、700Hz以上の条件で、イオン電流は、同じデューティの条件での最大値の80%程度となっている。また、周波数Fは、1000Hz以上かつ2000Hz以下であることがさらに好ましい。周波数Fが、1000Hz以上かつ2000Hz以下であるとき、イオン電流Iは、同じデューティの条件では、もっとも大きくなった。図から明らかなように1000Hz以上の高周波でイオン電流はほぼ飽和するため、あまり高周波パルスを印加する必要はない。1000Hzから2000Hz程度であれば、高周波によるノイズの問題を抑制することができる。また、高周波になっても、ストリーマ放電に発展しないことが望ましい。ストリーマ放電になることで、電子温度が高くなり、解離反応が主反応となるためオゾン濃度が増加する。
次に、放電時間と、非放電時間が、イオン電流に与える影響について、図6に示す。図6において、横軸が1パルスあたりの放電時間であるT1、縦軸が1パルスあたりの非放電時間であるT2を示す。また、図6において、マーカの形状は、イオン電流の大きさを示しており、図中の凡例に示したイオン電流値を表す。
図6において、放電時間T1は、150μs以下で、非放電時間T2は、150μs以上かつ1500μs以下であることが好ましい。この領域を領域Aとして、実線で囲んで示す。領域Aでは、イオン電流値は、最大値の80%程度となっている。ここで、放電時間T1をそれ以上長くしても、発生したイオンの大部分は、誘導電極2に回収されて空間に放出されない。また、非放電時間T2が、150μs以下であると、反発力によってイオンを空間に放出する時間が短くなり、電極近傍に存在するイオンが、電極から十分に離れることができない。また、非放電時間T2が、1500μs以上であると、放電の周期が長くなり、放電回数が少なくなるため、単位時間あたりに放出されるイオンの量は少なくなる。
また、図6において、放電時間T1が20μs以上70μs以下で、非放電時間T2が300μs以上かつ1000μs以下であることがさらに好ましい。この領域を領域Bとして実線で囲んで示す。領域Bでは、測定されたイオン電流は、最大値の90%程度であり、より高濃度のイオンを放出することができる。
また、図5、6において、各放電条件は、適宜、組み合わせることが可能である。最適な条件を組みあわせることで、放出されるイオンの更なる高濃度化が期待される。
(第2の実施形態)
実際のイオン発生装置は、正イオン発生装置と、負イオン発生装置のいずれか、もしくは両方を具備している。正イオン発生装置、負イオン発生装置の両方が具備されていることがより好ましく、除菌速度が増加すると言われている。
(第2の実施形態)
実際のイオン発生装置は、正イオン発生装置と、負イオン発生装置のいずれか、もしくは両方を具備している。正イオン発生装置、負イオン発生装置の両方が具備されていることがより好ましく、除菌速度が増加すると言われている。
図7は、第2の実施形態にかかる、正イオン発生装置7と、負イオン発生装置8を示す概略図である。
正イオン発生装置7では、放電電極1と、放電電極1に対向する誘導電極2との間でコロナ放電が起こる。放電電極1には、プラスの電圧が印加されており、発生した正イオン5と負イオン6のうち、負イオン6は、第1の電極で中和され、正イオン5は反発して放出される。
負イオン発生装置8側では、放電電極1bと、放電電極1bに対向する誘導電極2bとの間でコロナ放電させる。放電電極1bには、マイナスの電圧が印加されており、発生した正イオン5と負イオン6のうち、正イオン5は、放電電極1bで中和され、負イオン6は反発して放出される。
なお、本実施形態においては、誘導電極2および2bとして、リング状の電極を用いた場合を示しており、図7の2および2bは、リングの断面を表している。また、放電電極1と1bには、それぞれ、直流電源3と3bが接続され、誘導電極2と2bには、それぞれ、パルス電源4と4bが接続される。
次に、負イオン発生装置8の各電極に印加する電圧波形について説明する。図8は、負イオン発生装置8の、放電電極1bと、誘導電極2bへの電圧印加状態の一例を示す図である。正イオン発生装置7については、実施例1の場合と同様であるため説明を省略する。
図8において、V1は、放電電極1bに印加する電圧、V2は、誘導電極2bに印加する電圧を示す。放電電極1bには、マイナス5kVの定電圧が印加され、誘導電極2bには、0kVとマイナス5kVのパルス電圧が印加される。V2の周期はT(=T1+T2)とする。
図8において、誘導電極2にボトム値である0kVを印加している期間をT1とする。T1の期間、両電極間の電位差は大きく、コロナ放電によって、イオンが発生している。一方、誘導電極2にピーク値である−5kVが印加されている期間をT2とする。T2の期間、両電極間の電位差は小さくなり、放電は停止している。したがって、放電している期間を分子とするデューティは、T1/Tとなる。
発生した負イオンがゼロ電位の室内に向けて放出されるのは、正イオンの場合と同様に説明される。放電期間T1が終了すると、誘導電極2bの電位が放電電極1bと同程度になり、放電が停止する。ここで、放電電極1bの近傍には、多数の負イオンが存在している。しかし、電極近傍のイオンは、誘導電極2bの電位がマイナスになっているため、誘導電極2に回収されにくくなる。そのため、負イオンは、近傍のゼロ電位に近い方向に向かうため、ゼロ電位に近い部屋空間に放出されやすくなる。
本発明に係るイオン発生装置において、正イオンを放出する放電電極1の電位は、+2kV以上+10kV以下であることが好ましい。より好ましくは+3kV以上+6kV以下である。+2kV以下では放電開始させるためには、放電電極1と誘導電極2間の電極間距離を狭くする必要がある。電極間距離が狭くなりすぎると、放電電極1と誘導電極2に静電気で埃が付着した場合、漏電のおそれがある。また、+10kVを超えると、電極の形状によってはオゾンの発生量が増え、オゾン臭が強くなる恐れが生じる。
また、同様に、負イオンを放出する放電電極1bの電位は、−2kVから−10kVであることが好ましい。より好ましくは−6kV以上−3kV以下である。−2kV以上の場合、放電させるには、放電電極1bと誘導電極2bの電極間距離が狭くする必要があり、漏電するおそれがある。また、−10kVを下回ると、オゾン臭が強くなり、健康を害する恐れが生じる。
また、本発明に係るイオン発生装置においては、放電電極1、1bに直流電圧が印加され、常に高電位に維持されている。このように、放電が停止した後も、放電電極1、1bが高電位であることにより、イオンを放電電極1、1bから反発させやすくなり、遠方に飛散させる効果がある。
また、誘導電極2には、パルス電源4から正側に変調するパルス状の電圧が印加されており、誘導電極2bにはパルス電源4bから負側に変調するパルス状の電圧が印加されている。誘導電極2に印加する正側のパルス状の電圧のピーク値は、+10kV以下で、パルスの振幅は15kV以下であることが好ましい。また、誘導電極2bに印加する負側のパルス状の電圧のピークは、−10kV以上で、振幅が15kV以下であることが好ましい。
最小ピークが−10kV、最大ピークが+10kVを上回ると、電極の形状によってはオゾンの発生量が増え、オゾン臭が強くなる恐れが生じる。また放電電極1と誘導電極2の電位差および放電電極1bと誘導電極2bの電位差が15kVを超えると、電極間距離によってはコロナ放電からアーク放電やストリーマ放電に達する恐れがある。アーク放電やストリーマ放電になると、健康に悪影響を及ぼす量のオゾンが発生する恐れが生じたり、発火の危険性が増大したりする。オゾン発生量を減少させるには、放電電極1、誘導電極2および放電電極1b、誘導電極2bの電位差はそれぞれ6kV以下であることが、より好ましい。また、これら2つのパルス電源から発生するパルスの位相は特に制限されない。
本発明に係るイオン発生装置は、放電電極1と誘導電極2との電極間距離、および、放電電極1bと誘導電極2bとの電極間距離は2mm以上である。
電極間距離が2mm以下であると、静電気で埃が付着した場合、漏電しやすくなる。また、電極間距離の上限は特に制限されないが、100mmを下回ることが好ましい。電極間距離が大きい場合、放電開始電圧が高くなりオゾン発生量が増加するだけでなく、対向電極に対して放電せず、基板や筐体に対して放電することがあり、機器の故障につながる。
本発明は、空気中で放電してイオンを空間に放出するイオン発生装置、及びこれを備えた電気機器に関するものである。なお、上記の電気機器としては、例えば、主に閉空間(家屋内、ビル内の一室、病院の病室や手術室、車内、飛行機内、船内、倉庫内、冷蔵庫の庫内等)で使用される空気調和機、除湿器、加湿器、空気清浄機、冷蔵庫、ファンヒータ、電子レンジ、洗濯乾燥機、掃除機、殺菌装置などに広く適用することができる。
1、1b 第1の電極
2、2b 第2の電極
3、3b 直流電源
4、4b パルス電源
5 正イオン
6 負イオン
7 正イオン発生装置
8 負イオン発生装置
9 開口
10 風路
11 基板
2、2b 第2の電極
3、3b 直流電源
4、4b パルス電源
5 正イオン
6 負イオン
7 正イオン発生装置
8 負イオン発生装置
9 開口
10 風路
11 基板
Claims (8)
- 放電電極と、放電電極に対向する誘導電極を有するイオン発生装置において、
前記放電電極に直流電圧を印加する直流電源と、
前記誘導電極に前記放電電極との間で放電が起こる第1の電圧と、放電が停止する第2の電圧を印加するパルス電源と、を備え、
前記第2の電圧は、前記放電電極に印加する直流電圧と同極性であるイオン発生装置。 - 前記第2の電圧の絶対値は、前記放電電極に印加する直流電圧の絶対値の2分の1より大きい値である請求項1に記載のイオン発生装置。
- 前記第2の電圧は、前記放電電極に印加する直流電圧と略同電圧である請求項1に記載のイオン発生装置。
- 前記パルス電源のデューティは、0.2以下である請求項1から3のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
- 前記パルス電源の周波数は、700Hz以上である請求項1から4のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
- 1周期あたりの放電時間は、150μs以下である請求項1から5のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
- 1周期あたりの非放電時間は、150μs以上かつ1500μs以下である請求項1から6のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
- 放電電極と、放電電極に対向する誘導電極を用いるイオン発生方法において、
前記放電電極に直流電圧を印加し、
前記誘導電極に前記放電電極との間で放電が起こる第1の電圧と、放電が停止する第2の電圧を印加し、
前記第2の電圧は、前記放電電極に印加する直流電圧と同極性とするイオン発生方法。
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