JP5053397B2 - 電動真空弁 - Google Patents

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Description

本発明は、第1ポートと第2ポートと、第1ポートと第2ポートと連結する弁室と、弁室に形成された弁座と、を備える本体部と、ステッピングモータに接続した送りねじと、送りねじと螺合するシャフトと、送りねじとシャフトにより構成される送りねじ機構と、シャフトの回転を止める回転止手段と、シャフトの先端に取り付けられた弁体と、弁体と弁座に当接する方向に付勢させる復帰ばねと、を有する電動真空弁に関する。
チャンバを真空とするための真空ポンプを用いる場合、チャンバと真空ポンプの間には、チャンバと真空ポンプを遮断するため電動真空弁が用いられている。
停電(瞬時停電含む)や何らかの異常により、供給電源が断たれ、真空ポンプが停止した時や、電動真空弁の電力供給が停止された時に、チャンバ内の真空度の保持や真空ポンプからの逆拡散保護のために弁閉動作を行い、チャンバと真空ポンプを隔離する必要がある。
しかし、供給電源が断たれた場合には、電気により開閉する電動真空弁は、閉弁することができなくなり、チャンバと真空ポンプを隔離することができないため問題となる。
従来、停電時に閉弁するものとして以下のものが考えられる。
第1に、2次電池、電気二重層キャパシタ等の補助電源を用いて弁閉動作させる電動真空弁がある。第2に、油空圧等の蓄圧源でピストン等の圧力解除により弁閉動作させる電動真空弁がある。第3に、直線動作の場合は円筒ばねを内蔵し、動作とともに圧縮駆動し、クラッチ・ブレーキ機構あるいは動力を解除させたときにその荷重を利用し弁閉動作させる電動真空弁がある。
しかしながら、従来の補助電源、蓄圧源、及び、円筒ばねを用いる電動真空弁には、以下の問題があった。
すなわち、供給電源が断たれた場合に閉弁する電動真空弁は、補助電源を有する電動真空弁では、電源及び配線を必要となる。また、蓄圧源を有する電動真空弁では、圧を蓄えるタンク及び配線が必要となる。また、円筒ばねを有する電動真空弁では、駆動部との連結部材及びばねを戻す機構が必要となる。
したがって、補助電源、蓄圧源、及び、円筒ばねを有する電動真空弁では、既存の電動真空弁以外の部品が別途必要となるため、コストが高くなる問題、及び、大型化する問題があった。
上記問題を解決するものとして、停電時に復帰ばねだけで閉弁させる真空弁が、特許文献1及び特許文献2において原理的な提案されている。
特開2006−029426号公報 特開平01−316581号公報 特開2005−030439号公報 特許2662312号 特開2003−139256号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載する電動真空弁は、停電時に復帰ばねだけで閉弁させる旨記載するのみであり、抽象的なアイデア、及び、原理的な提案にすぎない。
すなわち、以下の条件を全て満足する具体的な手段を見つけ出していない。
第1に、通常作動時のシール性能と耐久性能を、既存のエア駆動真空弁と同等またはほぼ同等とするために、復帰ばねの力は既存のエア駆動真空弁と同じかおおよそ同じでなければならない。
第2に、正月休みなど長期間弁閉したままの状態で放置すると弁体のシール部材と弁座が固着するため、開弁するためには固着を引き剥がすための力がモータトルクに必要である。
第3に、真空ポンプが停電で停止すると、真空ポンプからチャンバ室側へ潤滑油などの拡散(逆流)が始まるため、停電時の閉弁は迅速でなければならない。
第4に、停電時に閉弁するためには、復帰ばねの推進力がステッピングモータのステータとロータの間に発生するディテントトルクより大きい必要がある。
特許文献1及び特許文献2に記載する電動真空弁は、上記第1乃至第4の具体的手段について、全く記載されていないため、抽象的なアイデア、及び、原理的な提案にすぎないといえる。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は既存の復帰ばねを用い、停電時に電源を持たなくとも閉弁できる電動真空弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様における電動真空弁は、以下の構成を有する。
(1)第1ポートと第2ポートと、該第1ポートと該第2ポートと連結する弁室と、該弁室に形成された弁座と、を備える本体部と、ステッピングモータに接続した送りねじと、該送りねじと螺合するシャフトと、該送りねじと該シャフトにより構成される送りねじ機構と、該シャフトの回転を止める回転止手段と、該シャフトの先端に取り付けられた弁体と、該弁体と該弁座に当接する方向に付勢させる復帰ばねと、を有する電動真空弁において、停電時に、ステッピングモータのステータとロータの間にディテントトルクが発生すること、前記復帰ばねの推進力が前記ディテントトルクを前記送りねじ機構により変換した抵抗力より大きいことにより閉弁すること、前記シャフトと前記復帰ばねはベローズで覆われていること、前記ベローズの前記シャフト側は大気圧であり、前記弁室内が真空圧力であるとき、前記復帰ばねの推進力と前記真空圧力により前記弁体に発生する推進力の和は、前記ディテントトルクを前記送りねじ機構により変換した抵抗力の3倍以上であること、を特徴とするものである。
(2)第1ポートと第2ポートと、該第1ポートと該第2ポートと連結する弁室と、該弁室に形成された弁座と、を備える本体部と、ステッピングモータに接続した送りねじと、該送りねじと螺合するシャフトと、該送りねじと該シャフトにより構成される送りねじ機構と、該シャフトの回転を止める回転止手段と、該シャフトの先端に取り付けられた弁体と、該弁体と該弁座に当接する方向に付勢させる復帰ばねと、を有する電動真空弁において、停電時に、ステッピングモータのステータとロータの間にディテントトルクが発生すること、前記復帰ばねの推進力が前記ディテントトルクを前記送りねじ機構により変換した抵抗力より大きいことにより閉弁すること、前記弁体を開弁するための前記ステッピングモータの駆動トルクを前記送りねじ機構により変換した直進推力は、前記復帰ばねの推進力と、前記第1ポート側が真空状態で前記第2ポート側が大気圧の時に前記弁体に発生する推進力との和に対して3倍以上であること、を特徴とするものである。
上記電動真空弁の作用及び効果について説明する。
(1)第1ポートと第2ポートと、第1ポートと第2ポートと連結する弁室と、弁室に形成された弁座と、を備える本体部と、ステッピングモータに接続した送りねじと、送りねじと螺合するシャフトと、送りねじとシャフトにより構成される送りねじ機構と、シャフトの回転を止める回転止手段と、シャフトの先端に取り付けられた弁体と、弁体と弁座に当接する方向に付勢させる復帰ばねと、を有する電動真空弁において、停電時に、ステッピングモータのステータとロータの間にディテントトルクが発生すること、復帰ばねの推進力がディテントトルクを送りねじ機構により変換した抵抗力より大きいことにより閉弁することにより、停電時において、畜電源等の複雑な構造を必要とせず、復帰ばねの推力がステッピングモータのディテントトルクより大きくなるため閉弁することができる。
真空圧流体用という特殊な弁において、コストを抑え、大型化を防止しながら、復帰ばねのみにより閉弁するためには、ディテントトルクとの条件を探ることが必要であり、当該発見は、本実験を繰り返した本出願人でなければ、容易に想到することができない。
(2)シャフトと復帰ばねはベローズで覆われていることにより、駆動機構部と弁室を確実に分離することができるとともに、ベローズの駆動シャフト側は大気圧であるため、停電時に弁室内が真空圧であれば、差圧により発生推進力が復帰ばねの力に加わり、さらに迅速かつ確実に閉弁することができ、真空ポンプの油分等の拡散を防ぐことができる。また、この拡散のスピードは、真空度が高いほど速まるが、停電時の真空度が高いほど、開弁スピードも速くなるため、確実に拡散を防ぐことができる。
(3)ベローズのシャフト側は大気圧であり、弁室内は真空圧力であるとき、復帰ばねの推進力と真空圧力により弁体に発生する推進力の和は、ディテントトルクを送りねじ機構により変換した抵抗力の3倍以上であることにより、停電時において、迅速かつ確実に閉弁することができ真空ポンプの油分等の拡散を防ぐことができる。
(4)弁体を開弁するためのステッピングモータの駆動トルクを送りねじ機構により変換した直進推力は、復帰ばねの推進力と、第1ポート側が真空状態で第2ポート側が大気圧の時に弁体に発生する推進力との和に対して3倍以上であることにより、長時間開閉弁の放置による環状シール部材と弁座間の固着と、流体の圧力が閉弁方向もっとも強く働く場合であっても、迅速かつ確実に弁することができる。
また、復帰ばねの直進推力は閉弁方向に働く推力であり、ステッピングモータのトルクを送りねじ機構により変換した直進推力は開弁方向に働く推力であり、相反するものである。相反する関係にあるため、必要な復帰ばねの直進推力を保ちつつ、さらに、ステッピングモータのトルクを送りねじ機構により変換した直進推力を保つことができる、バランスが取れる範囲は狭い。バランスが取れた適切なリードを本出願人が実験により発見できたことにより、既存の電動真空弁の部品である復帰ばねを使用し停電時に確実に弁閉することができたのである。
本発明の本実施例1に係る電動真空弁の閉弁時の断面図を示す。 本発明の本実施例1に係る電動真空弁の開弁時の断面図を示す。 本発明の本実施例1に係る電動真空弁を含む減圧乾燥装置の略式図を示す。 本発明の本実施例1に係る電動真空弁の機種1の最適条件を示す。 本発明の本実施例1に係る電動真空弁の機種2の最適条件を示す。 本発明の本実施例1に係る電動真空弁の機種3の最適条件を示す。 本発明の本実施例1に係る電動真空弁停電時の機種1の発生推力と圧力の関係を示す。 本発明の本実施例1に係る電動真空弁停電時の機種2の発生推力と圧力の関係を示す。 本発明の本実施例1に係る電動真空弁停電時の機種3の発生推力と圧力の関係を示す。
以下に、本発明に係る電動真空弁の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に、電動真空弁21の閉弁状態の断面図を示す。図2に、電動真空弁21の開弁状態の断面図を示す。図3に、電動真空弁21を含む減圧乾燥装置1を示す。
<減圧乾燥装置の構成>
電動真空弁21は、図3に示す減圧乾燥装置1に使用される。電動真空弁21は、図1に示す、駆動部23により弁部22の弁開度を多段的に変化させ、チャンバ室10からガスを排気する排気速度を制御する。
図3に示す、減圧乾燥装置1においては、チャンバ室10内を減圧状態、すなわち、真空状態に保ちながら、基板の塗膜乾燥を行うが、大気圧状態から真空状態にするときには、チャンバ室10内の堆積物を巻き上げ、基板に付着させたり、排気流により基板そのものを損傷させたりしないため等に、排気量の調節が必要である。そこで、大口径真空遮断弁12の弁を開ける前に電動真空弁21により徐々に弁を開けることで排気量の調節を行う。
減圧乾燥装置1は、大口径真空遮断弁12と電動真空弁21を複数有している。大口径真空遮断弁12と電動真空弁21と真空ポンプ11の数は、チャンバ室10の大きさにより増減する。
<電動真空弁の構成>
図1に示すように、電動真空弁21は、バルブボディ24とシリンダボディ25がボルト55で一体化され、シリンダボディ25とカバー26とステッピングモータ27がボルト28で一体化され、外観が構成されている。
ステッピングモータ27は、ハイブリッド型ステッピングモータを利用する。ハイブリッド型ステッピングモータは、PM型とVR型を一体化した構造で、微細角駆動・高トルクが特徴である。また、内蔵する永久磁石にてロータを拘束する力は、保持力として発生し、省エネシステムの構成に貢献している。反面、無励磁の場合でも永久磁石の吸引・反発により低レベルの保持トルクが発生する。このトルクをディテントトルクといい、最大静止トルクの5〜10パーセントのトルクが周期的に発生する。本実施例では、ステッピングモータ27に、例えば、日本電産サーボ株式会社製の2相ハイブリッド型ステッピングモータと東芝製のチョッパ方式バイポーラ駆動ステッピングモータコントロールドライバIC等を利用している。
弁部22は、バルブボディ24に開口する第1ポート51と第2ポート52が弁室53を介して連通している。弁室53内の第1ポート51が開口する開口部外周に、弁座54が平坦に設けられている。弁室53には、弁座54に当接又は離間する弁体42が収納されている。
駆動部23は、ステッピングモータ27の回転運動を直線運動に変換して弁体42に伝達する。ステッピングモータ27の出力軸30は、カバー26とシリンダボディ25との間に形成される収納空間部31に突出している。カバー26とシリンダボディ25の間には、ベアリング32が挟持され、そのベアリング32にホルダー33が回転自在に保持されている。ホルダー33は、上端部に出力軸30がカップリング58に連結され、下端部に送りねじナット34が複数の固定ねじ35で固定されており、送りねじナット34の回転量をステッピングモータ27の回転量により制御できるようになっている。
駆動シャフト37は、シリンダボディ25に固定ねじ39で固定された回転止めナット38に挿通されている。駆動シャフト37は、断面六角形状をなす回転止め軸部37aが、回転止めナット38に形成された六角形状の回転止め穴38aに挿通され、回転を制限された状態で軸方向へ往復直線運動する。送りねじシャフト36は、送りねじナット34に螺合されて駆動シャフト37の上端部に接合され、送りねじナット34の回転運動を軸方向への直線運動に変換して駆動シャフト37に伝達する。
駆動シャフト37の下端部には、弁体42が、連結部材40を介して連結されている。弁体42は、ベローズディスク47とバルブディスク48とスカート49を備え、これらを重ね合わせて連結ナット43で連結部材40に一体的に固定することにより、構成されている。環状シール部材50は、弾性変形可能な材質からなり、ベローズディスク47とバルブディスク48との間に形成されるアリ溝に装着されている。復帰ばね44は、ばね受け45との間に縮設されて、弁体42を弁座54方向へ常時付勢している。連結部材40は、駆動シャフト37に対して軸方向へのガタを持って結合ピン41で連結されており、復帰ばね44のバネ力によりシール荷重が付与されるようになっている。ベローズ46は、上端部がシリンダボディ25とバルブボディ24に挟持される挟持部46aに溶接され、下端部がベローズディスク47に溶接されている。ベローズ46のうち駆動シャフト37側の空間を、ベローズ内空間57(請求項中「ベローズのシャフト側」。)とする。弁体42の上下動に応じて弁室53内で伸縮して、駆動シャフト37の摺動部等で発生するパーティクルが流路内へ流出しないようにしている。
ベローズ46の平均径は環状シール部材50とほぼ同じ径であり、ベローズ46の内部は大気に開放されている。
ここで、ステッピングモータ27には、図示しないロータの機械的回転変位量を計測するためのエンコーダ29が固定されている。エンコーダ29は、専用コントローラに通信可能に接続され、計測結果を専用コントローラに出力する。ステッピングモータ27には、図示しないステータを有する。
(送りねじリード・ステッピングモータ・復帰ばねの組み合わせ決定方法)
停電(瞬時停電含む)や何らかの異常により、供給電源が断たれ、真空ポンプが停止したときや、本製品を搭載するシステムが異常を判断し装置を停止させるときに、チャンバの真空度の保持や、真空ポンプからの逆拡散保護のために弁閉動作を行い、チャンバと真空ポンプを隔離する必要がある。
停電等の場合に電動真空弁に発生する力は、復帰ばね44による閉止方向への直線推進力と、ステッピングモータのディテントトルクを送りねじ機構により変換した直進推力である。また、弁室53内が真空圧であるときには、ベローズ内空間57が大気圧であることにより、真空圧力による閉弁方向に発生する推進力がある。
停電等の場合には、弁閉動作をするために、復帰ばね44による閉止方向への直線推進力を利用し、閉弁する。また、弁室53内が真空圧力であるときは、復帰ばね44による閉止方向の直進推力のほか、真空圧力による閉弁方向に発生する推進力を利用し、閉弁する。
そこで、本出願人は、実験により送りねじリード・ステッピングモータ・復帰ばねの組み合わせを検討した。実験方法は、図4乃至図6に示すように、機種1、機種2、及び、機種3に対して、3つのステッピングモータA〜Cを用意し、弁室53内が大気圧の状態で、直線推力が、ディテントトルクを送りねじ機構により変換した直進推力より大きくなる条件を以下の実験により検討した。また、弁室53内が真空圧(100Pa[abs])の状態で、直線推力が、ディテントトルクを送りねじ機構により変換した直進推力より大きくなる条件を以下の実験により検討した。さらに、通常時の場合には、弁閉動作をするために、ステッピングモータの送りねじ機構により変換した直進推力が、復帰ばねの直進推力より大きくなる条件を以下の実験により検討した。
機種1、機種2、及び、機種3の接続口径NW25、NW40、NW50である。
当該実験により、復帰ばね44の力は既存の電動真空弁と同じかおおよそ同じものを選ぶことができた。また、正月休みなど長期間弁閉したままの状態で放置した場合に、弁体42の環状シール部材50が弁座54に固着した場合でも、固着を引き剥がすことができるだけのモータトルクを有することができた。また、弁室53内が大気圧で停電した場合には、復帰ばねの推進力がステッピングモータのディテントトルクよりも大きいため迅速かつ確実に閉弁することができる送りねじリード・ステッピングモータ・復帰ばねの組み合わせを選ぶことができた。また、弁室53内が真空状態で停電した場合に、真空ポンプ11からチャンバ10へ潤滑油などの拡散が始まる前に、迅速かつ確実に閉弁することができる送りねじリード・ステッピングモータ・復帰ばねの組み合わせを選ぶことができた。
図4乃至図6に示すように、ステッピングモータが決定すると、最大静止トルクとディテントトルクは、自然と決まる。ステッピングモータのパワーにより、最大静止トルクとディテントトルクは決まってくるからである。
例えば、ステッピングモータAを使用したときには、最大静止トルクは、480Nmmであり、ディテントトルクは、24Nmmである。ステッピングモータBを使用したときには、最大静止トルクは、570Nmmであり、ディテントトルクは、30Nmmである。ステッピングモータCを使用したときには、最大静止トルクは、1373Nmmであり、ディテントトルクは、69Nmmである。
(弁開時)
図4乃至図6の弁開時の必要推力Faの求め方は、以下に示す[数1]の通りである。
Figure 0005053397
ここで、
Faは、弁開時に必要な推力である。
F1は、第1ポート51が真空で第2ポート52が大気圧である閉弁状態から開弁する時に必要な推力である。
Ffは、摩擦損失である。
弁開時の必要推力Faは、F1とFfの和により求めることができる。
具体的には、図4に示すステッピングモータAのねじリードが2mmの場合では、F1が、機種1においては、モータの種類を問わず186.14Nである。また、Ffが4.80Nである。
したがって、
Figure 0005053397
となる。
本実施例では、ステッピングモータAのねじリードが2mmの場合を挙げて説明したが、その他のステッピングモータ及びねじリードでも同様の計算によりFaを求めることができる。
図4乃至図6の弁開時の発生推力Fbの求め方は、以下に示す[数2]の通りである。
Figure 0005053397
Fbは、弁開時の発生推力である。
F2は、送りねじ作動力である。
Ffは、摩擦損失である。
弁開時の発生推力Fbは、F2とFfの差により求めることができる。
具体的には、図4に示すステッピングモータAのねじリードが2mmの場合では、F2が、1333.56Nである。また、Ffが4.80Nである。
したがって、
Figure 0005053397
となる。
本実施例では、ステッピングモータAのねじリードが2mmの場合を挙げて説明したが、その他のステッピングモータ及びねじリードでも同様の計算によりFbを求めることができる。
[数2]に挿入される弁開時の送りねじ作動力F2の求め方は、以下に示す[数3]の通りである。
Figure 0005053397
η1は、送りねじの正効率である。正効率は、回転運動を直線運動に変えるときの効率である。
T1は、最大静止トルクである。
Phは、送りねじリードである。
弁開時の送りねじ作動力F2は、2πとη1とT1の積を、Phにより、割ることにより求めることができる。
具体的には、図4に示すステッピングモータAのねじリードが2mmの場合では、η1が0.888であり、T1が480であり、Phが2である。
したがって、
Figure 0005053397
となる。
本実施例では、ステッピングモータAのねじリードが2mmの場合を挙げて説明したが、その他のステッピングモータ及びねじリードでも同様の計算によりF2を求めることができる。
[数3]に挿入される弁開時の送りねじ正効率η1の求め方は、以下に示す[数4]の通りである。
Figure 0005053397
μは、送りねじの摩擦係数である。
tanβは、送りねじリード角である。tanβは、一周の360度をリードの長さで割ることにより求めることができる。
具体的には、図4に示すステッピングモータAのねじリードが2mmの場合では、μが、0.01であり、tanβが0.080である。
したがって、
Figure 0005053397
となる。
本実施例では、ステッピングモータAのねじリードが2mmの場合を挙げて説明したが、その他のステッピングモータ及びねじリードでも同様の計算によりη1を求めることができる。
(弁閉時)
図4乃至図6に示す弁閉時の発生推力Fdの求め方は、以下に示す[数5]の通りである。
Figure 0005053397

F3は、復帰ばね44の推進力と真空圧力による弁体に発生する推進力の和による発生推力である。
Ffは、摩擦損失である。
Fdは、F3とFfの差である。
弁閉時の発生推力Fdは、F3とFfの差により求めることができる。
具体的には、図4に示すステッピングモータAのねじリードが2mmの場合では、F3が154.2Nであり、Ffが0.40である。
したがって、
Figure 0005053397
となる。
本実施例では、ステッピングモータAのねじリードが2mmの場合を挙げて説明したが、その他のステッピングモータ及びねじリードでも同様の計算によりFdを求めることができる。
図7は、機種1停電時の閉弁方向発生推力と弁室内及び第1ポート及び第2ポート圧力の関係を示す。
図7のうち線グラフOは、図4のモータAの場合を示し、線グラフPは、図4のモータBの場合を示す。
図7に示すように、線グラフOで示す図4のモータAの場合は、弁室53内圧力が大気圧であるときには、大気圧であるベローズ内空間57との間には、圧力差がないため、復帰ばね44の推進力が発生推力となる。したがって、復帰ばね44の発生推力Hは81.7Nとなる。弁室53内圧力が100Pa[abs]であるときには、大気圧であるベローズ内空間57との間の差圧により推進力が発生し、復帰ばね44の推進力が加わり、発生推力153.8Nと大きくなる。すなわち、72.1Nだけ、真空圧力による推力が発生している。
図7に示す、弁室内圧力がS1であるとき、線グラフOで示す図4のモータAの場合の発生推力は、O1となる。弁室内圧力がS1のときには、O1と復帰ばね44の発生推力81.7Nとの差の真空圧力による推力が発生する。
図7に示すように、線グラフPで示す図4のモータBの場合は、弁室53内圧力が大気圧であるときには、大気圧であるベローズ内空間57との間には、圧力差がないため、復帰ばね44の推進力が発生推力となる。したがって、復帰ばね44の発生推力Hは81.6Nとなる。弁室53内圧力が100Pa[abs]であるときには、大気圧であるベローズ内空間57との間の差圧により推進力が発生し、復帰ばね44の推進力が加わり、発生推力153.7Nと大きくなる。すなわち、72.1Nだけ、真空圧力による推力が発生している。
図7に示す、弁室内圧力がS1であるとき、線グラフPで示す図4のモータBの場合の発生推力は、P1となる。弁室内圧力がS1のときには、P1と復帰ばね44の発生推力81.6Nとの差の真空圧力による推力が発生する。
図8は、機種2の発生推力と圧力の関係を示す。
図8のうち線グラフQは、図5のモータCの場合を示す。
線グラフQで示す図5のモータCの場合は、弁室53内圧力が大気圧であるときには、大気圧であるベローズ内空間57との間には、圧力差がないため、復帰ばね44の推進力が発生推力となる。したがって、復帰ばね44の発生推力Hは145.4Nとなる。弁室53内圧力が100Pa[abs]であるときには、大気圧であるベローズ内空間57との間の差圧により推進力が発生し、復帰ばね44の推進力が加わり、発生推力286.8Nと大きくなる。すなわち、141.4Nだけ、真空圧力による推力が発生している。
図8に示す、弁室内圧力がS2であるとき、線グラフQで示す図5のモータCの場合の発生推力は、Q1となる。弁室内圧力がS2のときには、Q1と復帰ばね44の発生推力145.4Nとの差の真空圧力による推力が発生する。
図9は、機種3の発生推力と圧力の関係を示す。
図9のうち線グラフRは、図6のモータCの場合を示す。
線グラフRで示す図6のモータCの場合は、弁室53内圧力が大気圧であるときには、大気圧であるベローズ内空間57との間には、圧力差がないため、復帰ばね44の推進力が発生推力となる。したがって、復帰ばね44の発生推力Hは182.5Nとなる。弁室53内圧力が100Pa[abs]であるときには、大気圧であるベローズ内空間57との間の差圧により推進力が発生し、復帰ばね44の推進力が加わり、発生推力371.2Nと大きくなる。すなわち、188.7Nだけ、真空圧力による推力が発生している。
図9に示す、弁室内圧力がS3であるとき、線グラフRで示す図6のモータCの場合の発生推力R1となる。弁室内圧力がS3のときには、R1と復帰ばね44の発生推力182.5Nとの差の真空圧力による推力が発生する。
図4乃至図6に示す弁閉時の必要推力Fcの求め方は、以下に示す[数6]の通りである。
Figure 0005053397


Fcは、弁閉時の必要推力であり、復帰ばねの力のみにより、ロッド・弁体を弁閉方向に移動させる力である。発生推力は、ねじリードに関係なく、ほぼ一定である。
Feは、ディテントトルクである。
η2は、送りねじ逆効率である。
Phは、送りねじリードを示す。
弁閉時の必要推力Fc、2πとFeの積を、η2とPhの積により割ることにより求めることができる。
具体的には、図4に示すステッピングモータAのねじリードが2mmの場合では、η2が0.874であり、Feが24であり、Phが2である。
したがって、
Figure 0005053397
となる。
本実施例では、ステッピングモータAのねじリードが2mmの場合を挙げて説明したが、その他のステッピングモータ及びねじリードでも同様の計算によりFcを求めることができる。
[数6]に挿入される弁閉時の送りねじ逆効率η2の求め方は、以下に示す[数7]の通りである。
Figure 0005053397
μは、送りねじ摩擦係数である。
tanβは、送りねじリード角である。
弁閉時の送りねじ逆効率η2は、1とμをtanβで割った値との差を、1とμtanβから求められる和により割ることにより求めることができる。
具体的には、図4に示すステッピングモータAのねじリードが2mmの場合では、μが、0.01であり、tanβが0.080である。
したがって、
Figure 0005053397
となる。
本実施例では、ステッピングモータAのねじリードが2mmの場合を挙げて説明したが、その他のステッピングモータ及びねじリードでも同様の計算によりη2を求めることができる。
(機種1)
(ステッピングモータAについて)
弁開時の必要推力Faは190.94Nであり、弁閉時の発生推力Fdは153.8Nであり一定である。
ステッピングモータAを用いた場合には、ねじリードを2mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、1333.76Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの190.94Nで割って算出される推力比は、7.0倍であり、3.0倍以上であるため問題ない。
推力比とは、発生推力Fbを必要推力Faで除した値であり、ここで発生推力Fbは、ステッピングモータのトルクを送りねじ機構により変換した直進推力、必要推力Faは、弁閉時で第1ポート51側が真空で、第2ポート52側が大気圧で差圧による最も大きな荷重が弁閉方向に働く状態とその時の復帰ばね荷重の和を想定している。また、推力比Kを3.0倍以上とするのは、電動真空弁を有するラインが正月などにより長期間停止し弁座と環状シール部材が固着して、再稼働するときに弁開すると、必要推力Faが上昇した場合であっても、確実に弁座と環状シール部材を引き離して弁開する状態を想定しているからである。
しかし、弁室53が真空状態の弁閉時においては、必要推力Fcは、86.30Nとなり、必要推力Fcを、発生推力Fdの153.8Nで割って算出される、推力比は、1.8倍であり、3.0倍未満となる。
また、弁室53が大気圧の場合においては、発生推力Hは、81.7Nとなり、必要推力Fcの、8.30Nを下回るため、閉弁することができない。
したがって、ステッピングモータAにおいては、ねじリードを2mmとすることは、弁閉時に推力比が3.0倍未満となるためできない。また、弁室53が大気圧の場合には復帰ばね44だけで閉弁できない。
ステッピングモータAを用いた場合には、ねじリードを4mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、703.48Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの190.94Nで割って算出される推力比は、3.7倍であり、3.0倍以上であるため問題ない。
また、弁閉時においては、必要推力Fcは、40.29Nとなり、必要推力Fcを、発生推力Fdの153.8Nで割って算出される、推力比は、3.8倍であり、3.0倍以上となり問題ない。
弁閉時の推力比は、発生推力Fdを弁閉時必要推力Fcで除した値であり、ここで発生推力Fdは、復帰ばね44の直進推力が最低に近い状態である復帰ばねが伸びた状態と、弁が開かれていることにより弁室53の内部が真空であり、ベローズ内空間57が大気圧であることの差圧により弁体42の受圧面で発生する推進力との和を想定している。また、推力比Lを3.0倍以上とするのは停電時において、直ちに弁閉することができるからである。その他のステッピングモータについても同様である。
したがって、ステッピングモータAにおいては、ねじリードを4mmとすることができる。また、弁室53が大気圧の場合においては、発生推力Hは、81.7Nとなり、必要推力Fcの、40.29Nを上回るため、復帰ばね44の推進力によって、閉弁することができる。
ステッピングモータAを用いた場合には、ねじリードを5mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、568.37Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの190.94Nで割って算出される推力比は、3.0倍であり、3.0倍以上であるため問題ない。
また、弁閉時においては、発生推力Fcは、31.82Nとなり、必要推力Fcを、必要推力Fdの153.8Nで割って算出される、推力比は、4.8倍であり、3.0倍以上となり問題ない。
したがって、ステッピングモータAにおいては、ねじリードを5mmとすることができる。また、弁室53が大気圧の場合においては、発生推力Hは、81.7Nとなり、必要推力Fcの、31.82Nを上回るため、復帰ばね44の推進力により閉弁することができる。
ステッピングモータAを用いた場合には、ねじリードを6mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、496.65Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの190.94Nで割って算出される推力比は、2.6倍であり、3.0倍未満となり問題である。
弁閉時においては、必要推力Fcは、26.29Nとなり、必要推力Fcを、発生推力Fdの153.8Nで割って算出される、推力比は、5.8倍であり、3.0倍以上となる。
したがって、ステッピングモータAにおいては、ねじリードを6mmとすることは、弁開時に推力比が3.0倍未満となるためできない。
また、同様に、ねじリードを8mmとすることは、弁開時に推力比が3.0倍未満となるためできない。
(ステッピングモータBついて)
ステッピングモータBは、ねじリードに関係なく、弁開時の必要推力Faは191.84Nであり、弁閉時の発生推力Fdは153.7Nであり一定である。
ステッピングモータBを用いた場合には、ねじリードを2mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、1583.84Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの191.84Nで割って算出される推力比は、8.3倍であり、3.0倍以上であるため問題ない。
しかし、弁閉時においては、必要推力Fcは、107.88Nとなり、必要推力Fcを、発生推力Fdの153.7Nで割って算出される、推力比は、1.4倍であり、3.0倍未満となる。
したがって、ステッピングモータBにおいては、ねじリードを2mmとすることは、弁閉時に推力比が3.0倍未満となるためできない。また、弁室53が大気圧の場合には、必要推力Fcが107.88Nに対して、発生推力Hが81.6Nであるため、復帰ばね44だけの力で閉弁できない。
ステッピングモータBを用いた場合には、ねじリードを4mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、835.38Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの191.84Nで割って算出される推力比は、4.4倍であり、3.0倍以上であるため問題ない。
また、弁閉時においては、必要推力Fcは、50.36Nとなり、必要推力Fcを、発生推力Fdの153.7Nで割って算出される、推力比は、3.1倍であり、3.0倍以上となり問題ない。また、弁室53が大気圧の場合においては、発生推力Hは、81.6Nとなり、必要推力Fcの、50.36Nを上回るため、復帰ばね44の推進力により閉弁することができる。
したがって、ステッピングモータBにおいては、ねじリードを4mmとすることができる。
ステッピングモータBを用いた場合には、ねじリードを5mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、674.95Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの191.84Nで割って算出される推力比は、3.5倍であり、3.0倍以上であるため問題ない。
また、弁閉時においては、発生推力Fcは、39.77Nとなり、必要推力Fcを、必要推力Fdの153.7Nで割って算出される、推力比は、3.9倍であり、3.0倍以上となり問題ない。また、弁室53が大気圧の場合においては、発生推力Hは、81.7Nとなり、必要推力Fcの、39.77Nを上回るため、復帰ばね44の推進力により閉弁することができる。
したがって、ステッピングモータBにおいては、ねじリードを5mmとすることができる。
ステッピングモータBを用いた場合には、ねじリードを6mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、565.84Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの191.84Nで割って算出される推力比は、2.9倍であり、3.0倍未満となり問題である。
弁閉時においては、必要推力Fcは、32.87Nとなり、必要推力Fcを、発生推力Fdの153.7Nで割って算出される、推力比は、4.7倍であり、3.0倍以上となる。
したがって、ステッピングモータBにおいては、ねじリードを6mmとすることは、弁開時に推力比が3.0倍未満となるためできない。
上記と同様の計算によると、図4に示すように、ねじリードを8mmとすることは、弁開時に推力比が3.0倍未満となるためできない。
(機種2)
(ステッピングモータCについて)
ステッピングモータCは、ねじリードに関係なく、弁開時の必要推力Faは463.53Nであり、弁閉時の発せ推力Fdは286.6Nであり一定である。
ステッピングモータCを用いた場合には、ねじリードを4mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、1974.22Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの463.53Nで割って算出される推力比は、4.3倍であり、3.0倍以上であるため問題ない。
しかし、弁閉時においては、必要推力Fcは、117.77Nとなり、必要推力Fcを、発生推力Fdの286.8Nで割って算出される、推力比は、2.4倍であり、3.0倍未満となり問題となる。
したがって、ステッピングモータCにおいては、ねじリードを4mmとすることは、弁閉時に推力比が3.0倍未満となるためできない。
ステッピングモータCを用いた場合には、ねじリードを5mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、1597.90Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの463.53Nで割って算出される推力比は、3.4倍であり、3.0倍以上であるため問題ない。
また、弁閉時においては、必要推力Fcは、92.67Nとなり、必要推力Fcを、発生推力Fdの286.8Nで割って算出される、推力比は、3.1倍であり、3.0倍以上となり問題ない。また、弁室53が大気圧の場合においては、発生推力Hは、145.4Nとなり、必要推力Fcの、117.77Nを上回るため、復帰ばね44の推進力により閉弁することができる。
したがって、ステッピングモータCにおいては、ねじリードを5mmとすることができる。
ステッピングモータCを用いた場合には、ねじリードを6mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、1340.77Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの463.53Nで割って算出される推力比は、2.9倍であり、3.0倍未満となり問題となる。
また、弁閉時においては、必要推力Fcは、76.39Nとなり、必要推力Fcを、発生推力Fdの286.8Nで割って算出される、推力比は、3.8倍であり、3.0倍以上となり問題ない。
したがって、ステッピングモータCにおいては、ねじリードを6mmとすることは、弁開字に推力比が3.0倍未満となるためできない。
図5に示すように、ステッピングモータCを用いた場合、ねじリードを8mmとすることは、弁開時に推力比が3.0倍未満となるためできない。
(機種3)
(ステッピングモータCについて)
ステッピングモータCは、ねじリードに関係なく、弁開時の必要推力Faは546.26Nであり、弁閉時の発生推力Fdは371.2Nであり一定である。
ステッピングモータCを用いた場合には、ねじリードを2mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、4287.78Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの526.26Nで割って算出される推力比は、7.8倍であり、3.0倍以上であるため問題ない。
しかし、弁閉時においては、弁室53が大気圧の場合には、必要推力Fcが257.33Nに対して、発生推力Hが182.5Nであるため、復帰ばね44だけの力で閉弁できない。
ステッピングモータCを用いた場合には、ねじリードを4mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、2131.07Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの546.26Nで割って算出される推力比は、3.9倍であり、3.0倍以上であるため問題ない。
また、弁閉時においては、必要推力Fcは、117.77Nとなり、必要推力Fcを、発生推力Fdの371.2Nで割って算出される、推力比は、3.2倍であり、3.0倍以上となり問題ない。また、弁室53が大気圧の場合においては、発生推力Hは、182.5Nとなり、必要推力Fcの、117.77Nを上回るため、復帰ばね44の推
進力により閉弁することができる。
したがって、ステッピングモータCにおいては、ねじリードを4mmとすることができる。
ステッピングモータCを用いた場合には、ねじリードを5mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、1699.73Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの546.26Nで割って算出される推力比は、3.1倍であり、3.0倍以上であるため問題ない。
また、弁閉時においては、必要推力Fcは、92.67Nとなり、必要推力Fcを、発生推力Fdの371.2Nで割って算出される、推力比は、4.0倍であり、3.0倍以上となり問題ない。また、弁室53が大気圧の場合においては、発生推力Hは、182.5Nとなり、必要推力Fcの、92.67Nを上回るため、復帰ばね44の推進力により閉弁することができる。
したがって、ステッピングモータCにおいては、ねじリードを5mmとすることができる。
ステッピングモータCを用いた場合には、ねじリードを6mmとすると、弁開時の発生推力Fbは、1412.17Nとなり、発生推力Fbを、必要推力Faの546.26Nで割って算出される推力比は、2.6倍であり、3.0倍未満となり問題となる。
また、弁閉時においては、必要推力Fcは、76.39Nとなり、必要推力Fcを、発生推力Fdの371.2Nで割って算出される、推力比は、4.9倍であり、3.0倍以上となり問題ない。また、弁室53が大気圧の場合においては、発生推力Hは、182.5Nとなり、必要推力Fcの、117.77Nを上回るため、復帰ばね44の推進力により閉弁することができる。
したがって、ステッピングモータCにおいては、ねじリードを6mmとすることは、弁開時に推力比が3.0倍未満となるためできない。
ステッピングモータCを用いた場合、ねじリードを8mmとすることは、弁開時に推力比が3.0倍未満となるためできない。
以上の実験により、例えば、図4に示す、機種1のステッピングモータAにおいては、ねじリードを4mm、又は、5mmとすること、ステッピングモータBにおいては、ねじリードを4mm、又は、5mmとすること、が判断できる。
また、図5に示す、機種2のステッピングモータCにおいては、ねじリードを5mmとすることが判断できる。
また、図6に示す、機種3のステッピングモータCにおいては、ねじリードを4mm、又は、5mmとすることが判断できる。
以上の実験により、ステッピングモータ、送りねじリード、復帰ばねを決定することができる。弁閉のための復帰ばね44は、ステッピングモータのディテントトルクに打ち勝って確実に弁閉できる直進推力が必要であり、弁開のためのステッピングモータは復帰ばねに打ち勝つトルクを持ちつつ、弁閉を妨げないディテントトルクでなければならず、相反するものである。相反する関係にあるため、必要な回転トルクによる推力を保ちつつ、さらに、必要な発生推力を保つことができる、バランスが取れる範囲は狭く、適切なリードを本出願人が上記実験により発見できたことで、既存のエア駆動真空弁の部品である復帰ばねを使用し停電時に確実に弁閉することができたのである。
また、弁室53が真空状態にあるときには、ベローズ内空間57が大気圧である、その差圧による推進力を利用することにより、復帰ばね44の推進力を弱くすることができる。そのため、ステッピングモータを小型化することができ、機器を小型化することができる。
また、既存のエア駆動真空弁の部品である環状シール部材50、復帰ばね44、ベローズ46、弁座54等を使用することができることにより、既存のエア駆動真空弁と同等のリーク量、耐久性を得られ、コストダウンを図ることができる。
また、上記の条件でねじリードを決定することにより、復帰ばねの直進推力を送りねじ機構により生じる回転トルクによる推力が、ステッピングモータのステータとロータの間に発生するディテントトルクによる推力の3.0倍以上となることにより、停電時に、電力を使わず、直ちに閉弁することができる。
また、弁開動作時に、ステッピングモータによる推力が、回転トルクによる推力の3.0倍以上であることにより、確実に開弁することができる。具体的には、電動真空弁を有するラインが長期間正月休みなどにより停止し、再稼働するときに、電動真空弁は部分的に固着し大きなメカロスを有している場合がある。そのような場合にも、ステッピングモータによる推力が、回転トルクによる推力の3.0倍以上であれば、確実に開弁することができる。
また、弁室53内と、ベローズ内空間57が大気圧である場合であっても、推力比が、1.0倍以上となるため、復帰ばね44の推進力によって、閉弁することができる。
<電動真空弁の作用>
(閉から開)
図1に、電動真空弁21の閉弁状態の断面図を示す。図2に、電動真空弁21の開弁状態の断面図を示す。
図1に示すように、電動真空弁21は、通常、弁体42が弁座54に当接して第1ポート51と第2ポート52との間を遮断する。この状態から、ステッピングモータ27が正方向と逆方向へ回転すると、送りねじナット34がホルダー33とカップリング58を介して出力軸30と一体的に回転し、その回転運動が図中上方向(弁開方向)への直線運動に変換されて送りねじシャフト36に伝達される。駆動シャフト37は、送りねじシャフト36と一体的に上昇し、図2に示すように連結部材40を介して弁体42を引き上げる。
これにより、弁体42が弁座54から離間して第1及び第2ポート51,52を連通させる。電動真空弁21は、環状シール部材50の弾性変形量を変化させる領域では、流体漏れにより微小流量を制御でき、さらに、弁体42が弁座54から離間する領域では、離間量に応じて排気流量が制御される。この弁開度は、ステッピングモータ27の図示しないロータの回転量により制御される。
本実施例においては、上記実験により、ステッピングモータ、送りねじリード、復帰ばねを決定しているため、開弁する際に復帰ばねの力が、強すぎることがなく、省エネルギーで開弁することができる。省電力で済むためステッピングモータ27を小型化することができ、結果として電動真空弁21を小型化することができる。
(通常時の開から閉)
チャンバ11の真空圧力が目標圧力に達すると、図2に示す、ステッピングモータ27が正方向に回転する。送りねじナット34が出力軸30と一体的に正方向に回転すると、図1に示す、送りねじシャフト36が下降する。駆動シャフト37は、送りねじシャフト36と一体的に下降し、連結部材40を介して弁体42を弁座54に当接させる。駆動シャフト37の結合ピン41を通す穴は、結合ピン41の外径よりも大きくなっており、駆動シャフト37と結合ピン41との間にガタを残して止めた後、復帰ばね44の推進力だけ弁体42を弁座54側へ押し下げて環状シール部材50を弁座54に密着させ、シールを行う。
(停電時の開から閉)
停電(瞬時停電含む)や何らかの異常により、供給電源が断たれ、真空ポンプが停止したときや、本製品を搭載するシステムが異常を判断し装置を停止させるときに、チャンバの真空度の保持や、真空ポンプからの逆拡散保護のために弁閉動作を行い、チャンバと真空ポンプを隔離する必要がある。
停電等の場合に電動真空弁に発生する力は、復帰ばね44による閉止方向への直進推力と、モータのディテントトルクを送りねじ機構により変換した閉弁を妨げる力である。また、弁室53内が真空圧であるときには、ベローズ内空間57が大気圧であることにより、閉弁方向に発生する推進力がある。
停電等の場合には、弁閉動作をするために、復帰ばね44による閉止方向への直線推進力を利用し、閉弁する。また、弁室53内が真空圧であるときは、復帰ばね44による閉止方向の直進推力のほか、真空圧力による弁体方向に発生する推進力を利用し、閉弁する。
すなわち、停電等の場合に、上記実験により示した図4乃至図6で、弁閉時に推力比が3.0倍以上の条件を満たす、送りねじ・モータ・復帰ばねの組み合わせであることにより、電力を使わず電動真空弁を迅速かつ確実に閉弁することができる。
また、電力を使用しないで閉弁するエアオペレイトバルブを復帰ばねだけで閉弁する際の閉弁スピードと同様のスピードで閉弁することができることを確認できた。
さらに、エアオペレイトバルブと同様の環状シール部材、復帰ばね、ベローズ、弁座を有するため、同等のリーク量、耐久性を得ることができることを確認できた。また、ステッピングモータが大型化することがないため、エアオペレイトバルブと同様の設置性を有することも確認できた。
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、ベローズ46の平均径は環状シール部材50の径に対して大きい場合も小さい場合もあり、その大小に関わりなく、ベローズ46自身の平均径を受圧面積として差圧による弁閉方向への直進推力を発生する。
例えば、モータの種類が変わったとしても、本実施例のように、復帰ばねの直進推力が、ディテントトルクを送りねじ機構により変換した直進推力の推力比での3.0倍以上となるようにし、弁開動作時に、ステッピングモータの送りねじ機構により変換した直進推力が、復帰ばねの直進推力の推力比で3.0倍以上となるようにすることにより、停電時には、復帰ばねの力ですぐに閉弁することができる。また、通常時には、省電力で弁開することができる。
21 電動真空弁
27 ステッピングモータ
34 送りねじ
36 シャフト
38 回転止手段
42 弁体
44 復帰ばね
51 第1ポート
52 第2ポート
53 弁室
54 弁座

Claims (2)

  1. 第1ポートと第2ポートと、該第1ポートと該第2ポートと連結する弁室と、該弁室に形成された弁座と、を備える本体部と、ステッピングモータに接続した送りねじと、該送りねじと螺合するシャフトと、該送りねじと該シャフトにより構成される送りねじ機構と、該シャフトの回転を止める回転止手段と、該シャフトの先端に取り付けられた弁体と、該弁体と該弁座に当接する方向に付勢させる復帰ばねと、を有する電動真空弁において、
    停電時に、ステッピングモータのステータとロータの間にディテントトルクが発生すること、
    前記復帰ばねの推進力が前記ディテントトルクを前記送りねじ機構により変換した抵抗力より大きいことにより閉弁すること、
    前記シャフトと前記復帰ばねはベローズで覆われていること、
    前記ベローズの前記シャフト側は大気圧であり、前記弁室内が真空圧力であるとき、
    前記復帰ばねの推進力と前記真空圧力により前記弁体に発生する推進力の和は、前記ディテントトルクを前記送りねじ機構により変換した抵抗力の3倍以上であること、
    を特徴とする電動真空弁。
  2. 第1ポートと第2ポートと、該第1ポートと該第2ポートと連結する弁室と、該弁室に形成された弁座と、を備える本体部と、ステッピングモータに接続した送りねじと、該送りねじと螺合するシャフトと、該送りねじと該シャフトにより構成される送りねじ機構と、該シャフトの回転を止める回転止手段と、該シャフトの先端に取り付けられた弁体と、該弁体と該弁座に当接する方向に付勢させる復帰ばねと、を有する電動真空弁において、
    停電時に、ステッピングモータのステータとロータの間にディテントトルクが発生すること、
    前記復帰ばねの推進力が前記ディテントトルクを前記送りねじ機構により変換した抵抗力より大きいことにより閉弁すること、
    前記弁体を開弁するための前記ステッピングモータの駆動トルクを前記送りねじ機構により変換した直進推力は、前記復帰ばねの推進力と、前記第1ポート側が真空状態で前記第2ポート側が大気圧の時に前記弁体に発生する推進力との和に対して3倍以上であること、
    を特徴とする電動真空弁。
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