JP2007247421A - 水素ポンプ - Google Patents

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Takatada Usami
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直人 轟木
Naohito Yamada
尚人 山田
Kenji Fushimi
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Abstract

【課題】インペラのバケット部が形成されるバケット形成面と、このバケット形成面と対向するハウジングの対向面と、のクリアランスを可変とする水素ポンプの提供を図る。
【解決手段】インペラ11のバケット部11aが形成されるバケット形成面11cと、このバケット形成面11cに対向するハウジングの対向面12aとの間のクリアランスδを、可変とするクリアランス調整手段100を備える。例えばポンプ10の運転時にクリアランスδを小さくし、ポンプ10の停止時にクリアランスδを大きくすることにより、運転時には小さなクリアランスδでポンプ効率を向上できるとともに、停止時には大きなクリアランスδでインペラ11とハウジング12とが残留水分により凍結してしまうことを抑制できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素ポンプに関し、特に燃料電池システムに適用するのに好適な水素ポンプに関する。
従来の水素ポンプには、インペラを備えた遠心式ポンプがあり、この遠心式の水素ポンプとしては、インペラの軸方向端面あるいはこれに対向するハウジングの対向面に同心円状の環状溝を形成して、凍結可能面積を減少させたものがある(例えば特許文献1参照)。
特開平2004−150298号公報(第4頁、第3図)
しかしながら、かかる従来の水素ポンプでは、インペラの軸方向端面とこれに対向するハウジングの対向面との間のクリアランスが一定となっている。そのため、環状溝によって凍結可能面積を減少させたとしても、クリアランスが小さい場合はやはり凍結してしまうため、そのクリアランスをある程度大きくせざるを得ない。ところが、このようにクリアランスを大きくするとポンプ効率が低下してしまう。そのため、従来の水素ポンプでは、凍結防止とポンプ効率向上の両方を同時に満足することが困難であった。
また、従来の水素ポンプでは、クリアランスが一定であるため、ポンプ運転中においてインペラ駆動電圧が過大になってしまっても、これに対処できない。
そこで本発明は、インペラとハウジングとの間のクリアランスを変更できる水素ポンプの提供を図る。
本発明にかかる水素ポンプは、ハウジングと、前記ハウジング内に回転自在に配置されたインペラと、前記インペラのバケット部が形成されるバケット形成面と、前記バケット形成面に対向するハウジングの対向面と、の間のクリアランスを可変とするクリアランス調整手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、インペラのバケットが形成されるバケット形成面と、このバケット形成面に対向するハウジングの対向面と、の間のクリアランスを適宜変更できる。このため、例えば以下のような具体的効果を奏することができる。
(1)ポンプ運転時に前記クリアランスを小さくし、ポンプ停止時にクリアランスを大きくすることで、ポンプ運転時にはポンプ効率を向上させることができ、一方、ポンプ停止時には残留水分によってインペラがハウジングに凍結するのを抑制できる。
(2)ポンプ運転中においてインペラ駆動電力が過大になるまたは過大になりそうな条件で前記クリアランスを大きくすることで、インペラ駆動電圧が過大にならないようにできる。
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
まず、以下の各実施形態の水素ポンプはいずれも燃料電池システムに適用されたものであるため、まず、燃料電池システム1について簡単に説明する。図2は燃料電池システムの概略構成図である。
図2に示すように燃料電池システム1は、燃料電池(燃料電池スタック)2と、燃料電池2に空気を供給する空気供給流路3aと、燃料電池2から空気を排出する空気排出流路3bと、水素タンク4から燃料電池2に水素を供給する水素供給流路7aと、燃料電池2から排水素を排出する水素排出流路7bと、を備えて構成され、燃料電池2で水素(燃料)と空気(酸化剤)とを化学反応させて発電するものである。
なお、水素供給流路7aには上流側から下流側に向けて順番に減圧弁5および圧力調整弁6が介在しており、水素タンク4からの高圧の水素は適正な圧力まで減圧されて燃料電池2に供給される。
燃料電池2のアノードに供給された水素ガスは全てが消費されるわけではなく、未消費の水素ガスが燃料電池2から水素排出流路7bへ排出される。この未消費の排水素ガスを再利用すべく、水素供給流路7aと水素排出流路7bとを連結する水素循環流路8に水素ポンプ10が配置されて、この水素ポンプ10により、燃料電池2から排出された排水素ガスが燃料電池2に再度供給される。
ここで、燃料電池2から水素排出流路7bへ排出される排水素ガスには、発電時に発生する生成水の他に燃料電池2のカソードから透過する窒素などの不純物も含まれており、水素ガス中の不純物濃度が一定の値を超えると、パージ弁9が開かれて系外に放出されるようになっている。
次に、水素ポンプについて詳しく説明する。なお、後述の各実施形態の水素ポンプはいずれも燃料電池システム1に用いられるものであるが、本発明の水素ポンプは燃料電池システム以外のその他のシステムに適用してもよい。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態の水素ポンプの断面図である。水素ポンプ10は、図1に示すようにインペラ11の回転により、吸入した水素ガスを加圧して吐出する渦流式ポンプとして構成される。この水素ポンプ10は、ハウジング12と、ハウジング12内に回転自在に軸支されたインペラ11と、ハウジング12内に固定され前記インペラ11を回転させる電動モータ13と、を備えて構成されている。
インペラ11は、ハウジング12内に設けられたポンプ室34に回転自在に収容されており、回転軸13cを中心として略円板状に形成されている。本実施形態では、インペラ11の回転軸13cが上下方向に沿って配置され、その上下端部が、軸受15、15aを介してハウジング12に回転自在に軸支されている。
インペラ11の上側つまりポンプ室34の上側には、前記電動モータ13が配置されており、インペラ11の回転軸13cの上側に電動モータ13のロータ13bが固定されている。別の言い方をすれば、電動モータ13のロータ13bの中心部から突出する出力軸13cが、インペラ11の回転軸13cになっている。これにより、電動モータ13に通電して電動モータ13のロータ13bが回転すると、電動モータ13の出力軸13cつまりインペラ11の回転軸13cを介してインペラ11が回転する。
電動モータ13は、周知の構造であって、ハウジング12に固定された筒状のステータ13aと、このステータ13aの内周側の中空部(ロータ室32)に回転可能に配置され且つその中心部から前記出力軸13cが突出するロータ13bと、を備えて構成されている。
ハウジング12には、ガス吸入口(図示省略)からガス吐出口(図示省略)へ向けて水素ガスを流すガイド流路12bが設けられている。ガイド流路12bの一部は、ポンプ室34に露出しており、このガイド流路12bのポンプ室34に露出する部位に、インペラ11の外周部の上面が近接して対向配置されている。このインペラ外周部上面には、インペラ回転時にガイド流路12b内の水素ガスが下流側に送り出すためのバケット部11aが設けられている。
このような構成により、インペラ11が回転すると、ガス吸入口(図示省略)を通じて外部から水素ポンプ10内に吸入された水素ガスが、バケット部11aで加圧されて吐出口(図示省略)から水素ポンプ10外に吐出されることとなる。
次に、インペラ11の支持構造をより詳しく説明する。
ロータ13bを収容するロータ室32の上方には、当該ロータ室32と連通する軸受収容室R1が設けられており、この軸受収容室R1に軸受15を介してインペラ11の回転軸13cの上端部が軸支されている。一方、インペラ11を収容するポンプ室34の下方には、当該ポンプ室34と連通する軸受収容室R2が設けられており、この軸受収容室R2に軸受15aをインペラ11の回転軸13cの下端部が軸支されている。
両軸受収容室R1、R2には、インペラ11の回転軸13cの軸方向の移動を許容する移動スペースが設けられており、これによりインペラ11がその回転軸13cの軸方向(上下方向)に移動可能となっている。なお、インペラ11の回転軸13cに電動モータ13のロータ13bが固定されているため、インペラ11が移動するとインペラ11とともにロータ13bも移動する。つまり、電動モータ13のロータ13bとインペラ11とが回転軸13cによって一体になったインペラ組立体14が、その回転軸13cに沿って移動可能となっている。
ハウジング12の下端部には、インペラ組立体14をハウジング12に着脱するための開口部12cが形成されており、この開口部12cはハウジング12の一部を構成するカバー12dによって開閉可能に塞がれている。
次に、クリアランス調整手段について説明する。
本実施形態の水素ポンプ10は、インペラ11のバケット部11aが形成されるバケット形成面11cと、このバケット形成面11cに対向するハウジングの対向面12aと、の間のクリアランスδを、調整するクリアランス調整手段100を備えている。本発明のクリアランス調整手段は様々な態様で具現化されるが、本実施形態のクリアランス調整手段100はインペラ11をその回転軸13cの軸方向(この例では上下方向)に相対的に移動させるインペラ移動手段110として構成されている。
本実施形態のインペラ移動手段110は、インペラ組立体14をクリアランスδが増大する方向(この例では下方)に常時付勢する付勢手段としての予圧バネ111と、電動モータ13の通電時にインペラ組立体14のロータ13bをクリアランスδが減少する方向に移動させるステータ13aと、を備えて構成されている。
予圧ばね111は、回転軸13cの上端とハウジング12との間に配置された圧縮バネとして構成され、回転軸13cを常時下方に押圧付勢することにより、インペラ11を下方に押し下げてバケット形成面11cとその対向面12aとの間のクリアランスδが拡大する方向に常時付勢している。
ステータ13aへの通電がない場合には、予圧ばね111によってインペラ組立体14が所定位置よりも下方にずれて位置することで、インペラ11とバケット対向位置12aとの間のクリアランスδが大きくなっている。そして、ステータ13aへの通電すると、ステータ13aが発生させる磁力によってロータ13bが予圧ばね111の付勢力に抗して上方に引き寄せられて、クリアランスδが減少する。つまり、この実施形態の水素ポンプ10では、ポンプ10の運転時にクリアランスδが小さくなり、ポンプ10の停止時にそのクリアランスδが大きくなる。
次に、第1実施形態の効果を列挙する。
本実施形態の水素ポンプ10は、インペラ11の外周側においてバケット部11aが形成されたバケット形成面11cと、このバケット形成面11cに対向するハウジングの対向面12aと、の間のクリアランスを可変とするクリアランス調整手段100を備える。そのため、ポンプ運転条件などに応じて、互いに近接した状態で対向配置されるバケット形成面11cとその対向面12aとの間のクリアランスδを変更できる。
また本実施形態の水素ポンプ10は、クリアランス調整手段100によって、ポンプ10の運転時にクリアランスδを小さくし、ポンプ10の停止時にそのクリアランスδを大きくするものである。そのため、運転時には小さなクリアランスδでポンプ効率を向上できるとともに、停止時には大きなクリアランスδでインペラ11がハウジング12に氷着してしまうのを抑制できる。結果、寒冷時のポンプ停止時から、水素ポンプ10を直ちに起動させることができる。
特に本実施形態の如く水素ポンプ10が燃料電池システムに適用される場合、燃料電池2からの生成水や凝縮水等の水分が水素ポンプ10内に流入することとなるため、低温環境下での凍結の問題が生じやすく、上記効果が有効となる。
また本実施形態の水素ポンプ10は、クリアランス調整手段100が、インペラ11をその回転軸13cに沿って移動させるインペラ移動手段110として構成されている。そのため、後述する第2〜4実施形態とは異なり、バケット形成面11c全体でクリアランスδを均等に設定できるため、クリアランスδの調整を行いやすい利点がある。
また本実施形態の水素ポンプ10では、インペラ移動手段110が、インペラ組立体14をクリアランスδが増大する方向(この例では下方)に常時付勢する付勢手段としての予圧バネ111と、電動モータ13への通電時に、磁力によってロータ13bを引き付けることでインペラ組立体14をクリアランスδが減少する方向(この例では上方)に移動させるステータ13aと、を備えて構成されている。そのため、クリアランス調整手段100(インペラ移動手段110)を、既存の電動モータ13のステータ13aを用いて構成することができるので、その他の駆動手段を付加する必要がなく、安価となる。
なお本実施形態では、付勢手段として予圧バネ111を用いているが、その他の付勢手段を用いることができる。なお、インペラ組立体14の軸方向を上下方向に向けて配置することでインペラ組立体14の自重を利用する場合には、付勢手段を廃止できるため、構造を簡素化できる。無論、付勢手段を用いた場合は、インペラ組立体14の軸方向がどちらの向きに配置されていてもガタが発生せずに、ポンプの取り扱いが容易になる利点がある。
(第2実施形態)
図3、図4を参照しつつ本発明の第2実施形態を説明する。図3は第2実施形態の水素ポンプの断面図、図4は同水素ポンプのインペラの平面図であり、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
第2実施形態の水素ポンプ10Aは、クリアランス調整手段100Aが第1実施形態と異なる。即ち、第2実施形態のクリアランス調整手段100Aは、インペラ11の中心部とバケット部11aが設けられる外周部との間においてこれらを連結するヒンジ部112として構成されている。ヒンジ部112は、対向面12aの延長線上よりもバケット形成面11cとは反対側(上方)に配置されており、これにより回転に伴う遠心力でインペラ11の外周部(バケット形成面11c)がハウジングの対向面12aに近接することとなる。なお、図4に示すようにインペラ11のヒンジ部112よりも外周側は、複数のスリット11bによって周方向に等間隔を分割されており、これによりヒンジ部112を中心とするインペラ11の外周部の屈曲が容易に行われる。
以上のような構成により、水素ポンプ10Aが運転を開始すると、インペラ11の回転によりインペラ11の外周部に作用する遠心力によって、インペラ11の外周部が上方に回動してインペラ11の外周部のバケット形成面11cが、その対向面12aに近接する。一方、水素ポンプ10Aが停止すると、インペラ11の回転遠心力が無くなるため、インペラ11の外周部が自重により下方に回動して、インペラ11の外周部のバケット形成面11cがその対向面12aから離間する。つまり、第2実施形態の水素ポンプ10Aでは、運転時にはクリアランスδが小さくなり、停止時にはクリアランスδが大きくなる。
従って、第2実施形態の水素ポンプ10Aによれば、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、本実施形態ではインペラ11の回転軸13cがハウジング12に対して軸方向に移動しないようになっていて、この例では回転軸13cの上下両端部が軸受15、15aにボルト17、17a止めされている。
(第3実施形態)
図5、図6は本発明の第3実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。図5は水素ポンプの断面図、図6はインペラの平面図である。
本実施形態の水素ポンプ10Bは、第2実施形態と略同様の構成であるが、クリアランス調整手段100Gが、インペラ11の中心部とバケット部11aを有する外周部との間においてこれらを連結する可撓部材としての弾性体113で形成されている点で第2実施形態と異なっている。これにより、弾性体113が屈曲することでインペラ11の外周部(バケット形成面11c)がその対向面12aに対して接離(近接・離反)することとなる。
以上の構成により本実施形態の水素ポンプ10Bによれば、第2実施形態と同様に運転時には、インペラ11の回転による遠心力によってインペラ11の外周部が弾性体113の変形を伴ってハウジングの対向面12aに近接し、インペラ11の外周部のバケット形成面11cとハウジングの対向面12aとの間のクリアランスδが小さくなる。一方、運転停止時にはインペラ11の外周部は自重により弾性体113の変形を伴って下方に変位し、インペラ11の外周部のバケット形成面11cとハウジングの対向面12aとの間のクリアランスδが大きくなる。
従って、第3実施形態の水素ポンプ10Bによれば、第2実施形態と同様の効果が得られる。
(第4実施形態)
図7、図8は本発明の第4実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。図7は水素ポンプの断面図、図8はインペラの平面図である。
本実施形態の水素ポンプ10Cは、第3実施形態と略同様の構成であるが、クリアランス調整手段100Hとしての可撓部材が、温度上昇に伴ってインペラ11の外周部のバケット形成面11cをハウジングの対向面12aに近接させる方向に変形させる感温変位部材114で形成されている点で第3実施形態と異なっている。本実施形態の感温変位部材114は第3実施形態と同様に遠心力によって撓み変形する。また、本実施形態の感温変位部材114は、バイメタルで構成され、低温時にはインペラ11の外周部のバケット形成面11cをハウジングの対向面12aから離れる方向に変形する一方、高温時にはインペラ11の外周部のバケット形成面11cをハウジングの対向面12aから近づく方向に変形するように構成されている。このバイメタル114の近傍には、加熱手段としてのヒータ115が設けられ、このヒータ115による加熱量を制御してバイメタル114の変形量を任意に調節できるようになっている。
以上の構成により本実施形態の水素ポンプ10Cによれば、可撓部材としてのバイメタル114の可撓性によって、ポンプ運転時には遠心力によりインペラ11の外周部のバケット形成面11cがハウジングの対向面12aに近接して前記クリアランスδを小さくなり、ポンプ停止状態ではインペラ11の外周部のバケット形成面11cが自重によりハウジングの対向面12aから離れて前記クリアランスδが大きくなる。従って、第4実施形態の水素ポンプ10Cによれば、第2、3実施形態と同様の効果が得られる。
ここで、ポンプ運転時には、水素ガスの温度上昇や電動モータ13の発熱によってインペラ11のバイメタル114の温度が上昇するので、バイメタル114の変形によってクリアランスδがさらに小さくなり、ポンプ効率がさらに向上することとなる。
また、本実施形態では、バイメタル114の近傍に加熱手段としてのヒータ115が設けられているため、バイメタル114の変形量を任意に調整できる。
また、本実施形態では、ヒータ115を備えるため、氷点下の停止時にあってもインペラ11の回転が可能な状態では、ヒータ115に通電してバイメタル114を加熱することによりクリアランスδを小さし、この状態でポンプを起動できる。そのため、低温時の起動直後からポンプ効率を高めることができる。
なお、本実施形態ではヒータ115を備えるため、例えばポンプの運転開始時にヒータ115を起動した後、所定時間(例えばポンプ内の氷が溶けるのに十分な経過時間)が経過するのをまって、またはポンプ内が所定温度(例えばポンプ内の氷が溶けるのに十分な温度)に達するまでまって、インペラ11を回転駆動させてもよい。このように制御すると、氷点下の停止時にインペラ11が氷結して回転不能になっていても、確実にポンプを起動できる。
また、本実施形態では、可撓部材としてのバイメタル114は、遠心力によって変形するように材質や厚みなどが設定されているが、遠心力によって変形しないように構成されていてもよく、この場合は、遠心力を利用せずにバイメタル114の温度に相関する変形のみによってクリアランスδを調整できる。
(第5実施形態)
図9は本発明の第5実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。図9は水素ポンプの断面図である。
本実施形態の水素ポンプ10Dにおけるクリアランス調整手段100Bは、第1〜4実施形態のようなインペラ11を移動または変形させるものではなく、図9に示すようにハウジングの対向面12aをインペラ11のバケット形成面11cに対して変位させるハウジング側移動手段150として構成されている。なお、第2〜4実施形態と同様にインペラ組立体14の軸方向移動は阻止されている。
本実施形態のハウジング側移動手段150は、ハウジング本体に対して取り付けられた弾性体152として構成されている。この弾性体152は、ハウジングの対向面12aを有するとともに、ハウジング本体との間の空間に冷却液を流通させる冷却流路151を画成している。インペラ11とハウジング12との間のクリアランスδは、初期状態は大きく設定されており、そして、ポンプ運転時に冷却流路151に冷却液を流通させると弾性体152がインペラ11のバケット部11aに向けて膨出変形して、クリアランスδが小さくなる。
以上のように本実施形態の水素ポンプ10Dによれば、クリアランス調整手段100Bがハウジング側移動手段150として構成されている。そのため、インペラ組立体14をハウジング12に対して軸方向に移動させることなくクリアランスδを変化させることができ、インペラ組立体14は軸方向の移動機能を無くしてハウジング12側に取り付けることができる。これによりインペラ組立体14の取付構造を簡素化でき、ひいてはインペラ組立体14の取り付け部分の耐久性を高めることができる。
また、本実施形態では、ハウジング側移動手段150は、ガイド流路12bを有するハウジング対向面12aを形成し且つハウジング本体との間に冷却液を流通する冷却流路151を形成した弾性体152により構成されている。そのため、ポンプ運転時には冷却流路151を流通する冷却液の圧力で弾性体152が膨出して、弾性体152のハウジング対向面12aがインペラ11のバケット形成面11c側に移動していき、これにより、クリアランスδが小さくなる。一方、停止時には、冷却液を循環させるための循環ポンプの圧力が冷却流路151に加わらないため、弾性体152は収縮状態となってハウジング本体側へ没入する方向に(つまりインペラ11のバケット部11aが離間する方向に)変形し、これにより、クリアランスδが大きくなる。
従って、本実施形態の水素ポンプ10Dによれば、上述の実施形態と同様に運転時には小さなクリアランスδでポンプ効率を向上できるとともに、停止時には大きなクリアランスδでインペラ11とハウジング12との間が凍結してしまうのを効果的に抑制できる
(第6実施形態)
図10は本発明の第6実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。図10は水素ポンプの断面図である。
本実施形態の水素ポンプ10Eは、図1の第1実施形態と略同様にクリアランス移動手段がインペラ移動手段として構成されているが、インペラ移動手段110Dの構成が第1実施形態と異なっている。
本実施形態のインペラ移動手段110Dは、インペラ組立体14の回転軸13cの下端とカバー12dとの間に設けられており、自身の伸縮によってインペラ組立体14を軸方向に移動させてクリアランスδを調整する伸縮手段である。
本実施形態の伸縮手段は、温度に相関して伸縮する熱伸縮部材116であって、インペラ組立体14の軸方向に伸縮することでインペラ組立体14を軸方向に移動させるものである。熱伸縮部材116としては、例えばサーモエレメントなどによって構成することができる。このサーモエレメントの一例としては、例えばピストンを出没自在に挿入した密閉容器内にパラフィンワックスを充填して構成され、パラフィンワックスの熱伸縮によりピストンが出没するものがある。また、熱伸縮部材116の近傍には、加熱量を任意に調整可能な加熱手段としてのヒータ117が設けられている。
以上の構成により、ポンプ停止時には水素ポンプ10E内の温度が運転時よりも低下するので、熱伸縮部材116が収縮してインペラ組立体14が下方に移動してクリアランスδが大きくなる。一方、ポンプ運転によって水素ポンプ10Eの温度が高まるにつれて、熱伸縮部材116が膨張してインペラ組立体14が上方に移動してクリアランスδが小さくなる。従って、本実施形態の水素ポンプ10Eによれば、運転時には小さなクリアランスδでポンプ効率を向上できるとともに、寒冷時の停止時には大きなクリアランスδでインペラ11とハウジング12との間の凍結を効果的に抑制できる。
また、本実施形態では熱伸縮部材116の近傍にヒータ117が設けられているので、運転中にもクリアランスδを任意に調整できる。
また、本実施形態ではヒータ117を備えるため、氷点下の停止時にあってもインペラ11の回転が可能な状態では、ヒータ117で熱伸縮部材116を加熱することによりクリアランスδを小さくして、起動直後からポンプ効率を高めることができる。
(第7実施形態)
図11、図12は本発明の第7実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。図11は第7実施形態の水素ポンプの断面図、図12はクリアランス制御を実行するためのフローチャートの説明図である。なお、図11以降の図において電動モータのステータは図示省略してある。
本実施形態の水素ポンプ10Jは、図10の第6実施形態と略同様の構造であるが、インペラ移動手段100Fとしての伸縮手段が、圧電素子118である点で第6実施形態と異なっている。以下、具体的に説明する。
回転軸13cの下方の軸受収容室R2には、圧電素子118と、この圧電素子118の自由端としての上端に固定された土台部127と、が収容されている。この土台部127には、回転軸13cの下端が軸受15aを介して軸支されている。この土台部127は、圧電素子118の伸縮に伴って回転軸13cの軸方向に移動する。これにより、圧電素子118へ印加する電圧を制御すると、土台部127ととともに回転軸13cが軸方向(上下方向)に移動してクリアランスδが変化する。
本実施形態では、圧電素子118への印可電圧の制御によって、ポンプ停止時には圧電素子118を収縮させることでインペラ組立体14を下方に移動させて、クリアランスδが大きくし、一方、ポンプ運転時には、圧電素子118を伸長させることでインペラ組立体14を上方に移動させて、クリアランスδを小さくしている。
従って、第6実施形態と同様に、運転時には小さなクリアランスδでポンプ効率を向上できるとともに、停止時には大きなクリアランスδでインペラ11とハウジング12とが氷着してしまうのを効果的に抑制できる。
また、本実施形態では、伸長手段が圧電素子118であるため、水素ポンプ10Jの運転中に水素ポンプ内の温度に影響を受けずに制御できる。そのため、運転中に圧電素子118への印可電圧を圧電素子コントローラ119で制御することでクリアランスδを制御して、水素ポンプ10Jの過負荷運転を回避できる。このように水素ポンプ10Jの過負荷運転を回避するには、水素ポンプ10Jの運転負荷が所定値(例えば適正運転負荷よりも大きい値)以上に増加した場合に、クリアランスδを大きくすればよい。なお、これはクリアランスδが小さくなると運転負荷が大きくなり、クリアランスδを大きくすると運転負荷が小さくなることにもとづく。
ここで、水素ポンプ10Jの運転負荷が所定値以上に増加する場合にクリアランスδを大きくすることで水素ポンプ10Jの過負荷運転を回避する方法としては、例えば、水素ポンプ10Jの水素ガスの吸入圧と吐出圧との差圧が所定圧以上となる場合にクリアランスδを大きくする方法、ポンプの運転電流が所定値以上に増加した場合にクリアランスδ大きくする方法などがある。
また、ポンプの運転時にポンプ内に流入する水分量を検出してこの検出した水分量が所定量以上になった場合にクリアランスδを大きくする方法や、クリアランスδを検出して構成部品の熱膨張などによりクリアランスδが小さくなる場合にクリアランスδを大きくする方法などがある。これは、ポンプ運転中には、水素ポンプ10Gに水分が流入することで水素ガスの流通抵抗が大きくなるため運転電流が増加したり、構成部品の熱膨張によりクリアランスδが小さくなることで負荷が大きくなり運転電流が増加したりすることにもとづく。
本実施形態では、水素ポンプ10Jの吸入圧と吐出圧との差圧が所定圧以上になるとクリアランスδを大きくするように制御している。より具体的には、圧電素子コントローラ119が、水素ポンプ10Jの吸入口側に設けられた第1圧力センサ120で検出した吸入圧と、水素ポンプ10Jの吐出口側に設けられた第2圧力センサ121で検出した吐出圧と、の差圧が所定圧以上になった場合にクリアランスδを大きくするように圧電素子118への印可電圧を制御している。このように運転中に水素ポンプ10Jの吸入圧と吐出圧との圧力差(揚程圧力)が増加した際にクリアランスδを大きくすると、揚程圧力の上昇が抑えられ、水素ポンプ10Jの過負荷運転が回避さえる
なお水素ポンプ10Jに発生する吸入圧と吐出圧の圧力差(揚程圧力)は、例えば水素ポンプ10Jの運転時に生ずる構成部品の熱膨張によるクリアランスδの縮小により増加するし、また、その他の原因により増加するものである。
図12はポンプ運転中における制御の一例を示す。まず、圧電素子コントローラ119は、ステップS1で第1圧力センサ120と第2圧力センサ121の圧力差をモニタし、ステップS2でその圧力差が規定上限値以上であると判断した場合は、ステップS3で圧電素子118にインペラ組立体14を下降させる信号を出力してクリアランスδを大きくする。また、ステップS4で前記圧力差が規定下限値以下であると判断した場合は、ステップS5で圧電素子118にインペラ組立体14を上昇させる信号を出力してクリアランスδを小さく。そして、前記制御を繰り返しつつクリアランスδの制御を実行するとともに、ステップS6で燃料電池システム1の運転終了を検知することにより制御を終了する。
このように運転中に水素ポンプ10Jの吸入圧と吐出圧との圧力差(揚程圧力)が増加した際にクリアランスδを大きくすると、揚程圧力の上昇を抑えることができ、水素ポンプ10Jの過負荷運転を回避できる。また逆に水素ポンプ10Jの吸入圧と吐出圧との圧力差(揚程圧力)が低下した際にはクリアランスδを小さくすると、揚程圧力の低下を抑えて、ポンプ効率を高く維持できる。従って、運転中のポンプ効率を高く維持しつつも過負荷運転にならないような適正範囲に出力(圧力差)を維持できる。
以上のように、本実施形態によれば、クリアランス調整手段としての伸縮手段118を備えるため、上述の第6実施形態と同様の作用効果が得られる。
また本実施形態によれば、伸縮手段118が圧電素子であるため、水素ポンプ10Jの温度に影響されずにクリアランスδを微調整できる。これにより、運転時には、クリアランスδを微調整して運転負荷などの運転状態を適正に保つことができる。また、出荷時のクリアランス調整も容易になり、製造コストを低減できる利点もある。
また本実施形態によれば、運転中に水素ポンプ10Jの吸入圧と吐出圧との圧力差(揚程圧力)の過渡的な上昇を抑えることで、水素ポンプ10Jの過負荷運転を回避できる。また逆に水素ポンプ10Jの吸入圧と吐出圧との圧力差(揚程圧力)の過渡的な低下を抑えることで、ポンプ効率を高く維持できる。
なお、本実施形態では水素ポンプの運転状況に応じてクリアランスδを制御しているが、本発明は燃料電池システム1の運転状況に応じて制御されるものであってもよい。
(第8実施形態)
図13は本発明の第8実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図13は水素ポンプの断面図である。
本実施形態の水素ポンプ10Kは、図11〜12の第7実施形態と略同様の構造であるが、インペラ移動手段110Fの構成が第7実施形態と異なる。本実施形態のインペラ移動手段110Fは、回転角度制御が可能なステッピングモータ122と、このステッピングモータ122の回転量をインペラ組立体14の軸方向移動に変換するねじ部123と、によって構成されている。ステッピングモータ122は、ステッピングモータロータ122aとステッピングモータコイル122bとを備えて構成され、回転軸13cの下端部がねじ部123を介してステッピングモータロータ122aの回転中心部に支持されている。そして、燃料電池システム1の運転状況に応じてつまり第1・第2圧力センサ120、121の検出圧力に基づいて、ステッピングモータドライバ124からステッピングモータ122への制御電流を制御することで、ステッピングモータロータ122aの回転量を調整し、回転軸13cの軸方向移動量を調整して、クリアランスδを調整している。
従って、本実施形態の水素ポンプ10Kによれば、クリアランスδの変化を第1・第2圧力センサ120、121の圧力差をモニタして、第7実施形態の図12に示したフローチャートと同様の制御ができ、第7実施形態と略同様の作用効果が得られる。
(第9実施形態)
図14は本発明の第9実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。図14は水素ポンプの断面図である。
本実施形態の水素ポンプ10Lは、クリアランス調整手段が、ハウジング側移動手段150Aである点で図9の第5実施形態と同様であるが、その構成が異なる。本実施形態のハウジング側移動手段150Aは、ハウジング本体に組み付けられたブロック体153として構成され、このブロック体153は当該ハウジング本体よりも熱膨張の大きな材料で形成されている。ブロック体153の自由端(つまり固定端とは逆側の端で、熱膨張により移動する端)は、インペラ11のバケット形成面11cと対向する対向面12aとなっている。
以上の構成により本実施形態の水素ポンプ10Lによれば、ハウジング側移動手段150Aを設けたことにより、低温時にはブロック体153が収縮してクリアランスδを大きくなり、高温時にはブロック体153が膨張してクリアランスδが小さくなる。従って、電動モータ13の発熱等により高温となる運転時には小さなクリアランスδでポンプ効率を向上できるとともに、低温環境下での停止時には大きなクリアランスδでインペラ11とハウジング12とが氷着してしまうのを効果的に抑制できる。
なお、ハウジング本体は通常金属で形成されるため、この金属製のハウジング本体よりも熱膨張率が大きい合成樹脂などによってブロック体153を形成することができる。ブロック体153が樹脂製である場合は例えば撥水性に優れたフッ素樹脂で形成するのが好ましい。
(第10実施形態)
図15は本発明の第10実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。図15は水素ポンプの断面図である。
本実施形態の水素ポンプ10Fは、クリアランス調整手段がインペラ移動手段である点で、第1および第6〜8実施形態と同様であれるが、そのインペラ移動手段の構成が異なっている。本実施形態のインペラ移動手段100Cは、内部に導入される流体の量または圧が調整されることで、インペラ11の軸方向端部に作用してインペラ11を軸方向に移動させる圧力室22である。
以下、より具体的に説明する。ハウジング12内にインペラ組立体14が軸方向(上下方向)へ移動可能に収納されている。回転軸13cの上端は、ハウジング12に軸受15を介して回転自在に軸支されており、この回転軸13cの上端とハウジング12との間に予圧ばね111が縮設されてインペラ組立体14が下方に付勢されている。一方、回転軸13cの下端は、ポンプ室34と連通する軸受収容室R2に摺動自在に嵌合するピストン21に、軸受15aを介して回転自在に軸支されている。軸受収容室R2のピストン21の下方には、ピストン21により画成されたインペラ移動手段100Cとしての圧力室22が形成されており、この圧力室22の圧力変動に応じてピストン21が移動して、インペラ11が軸方向に移動する。
このような構成により、圧力室22と、インペラ11のバケット部11aで発生した水素ガス圧(ガイド流路12b内の水素ガス圧)と、の圧力差に応じてピストン21の位置が決定される。より具体的には、ピストン21に作用する圧力差がインペラ組立体14の自重と予圧ばね111の下向きの合成力よりも大きくなると、インペラ組立体14が上方に移動して、クリアランスδが小さくなる。
本実施形態においては、圧力室22に、水素タンク4から燃料電池2に至る水素供給流路7aの減圧弁5と圧力調整弁6との間から分岐する圧力導入流路20が連通接続されており、圧力室22には減圧弁5と圧力調整弁6との間の水素ガスの圧力が常時導入されている。この減圧弁5と圧力調整弁6との間の水素ガス圧力は、下記表1に示すように燃料電池システム1の運転に連動しており、システム1が停止しているときは大気圧となる。そのため、運転停止時には、差圧が無くなり、予圧ばね111とインペラ組立体14の自重によりインペラ11が下降して、クリアランスδが大きくなる。一方、運転時には、差圧が大きくなり、予圧ばね111とインペラ組立体14の自重に抗してインペラ11が上昇して、クリアランスδが小さくなる。
Figure 2007247421
従って、本実施形態によれば、運転時には小さなクリアランスδでポンプ効率を向上できるとともに、停止時には大きなクリアランスδでインペラ11とハウジング12とが凍結してしまうのを効果的に抑制できる。
以下、本実施形態の効果を列挙する。
本実施形態によれば、クリアランス調整手段100Cが、内部に流通または導入される流体の量または圧によって、インペラ組立体14の軸方向端部(この例では回転軸13cの下端部)に作用してインペラ組立体14を軸方向に移動させる圧力室22として構成されているため、圧力室22の圧力を調整することで、クリアランスδを調整することができる。
また本実施形形態によれば、圧力室22に導入される流体は、水素供給流路7aの減圧弁5と圧力調整弁6との間から導入される水素ガスである。この減圧弁5と圧力調整弁6との間の水素ガス圧は、運転時においてガイド流路12bとインペラ11のバケット部11aとの間に発生する水素ガス圧に比べて大きな圧力であるため、運転時に確実にクリアランスδを小さくすることができる。
また、本実施形態では、燃料電池システム1の運転および水素ポンプ10Fの運転に連動してクリアランスδを変化させることができ、付加的な駆動機構が不要となる。
(第11実施形態)
図16は本発明の第11実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。図16は第11実施形態の水素ポンプの断面図である。
この実施形態では、圧力室22への水素ガスの導入構造が第10実施形態と異なっており、その他の構造は第10実施形態と略同様である。この第11実施形態の水素ポンプ10Gにあっては、水素供給流路7aの減圧弁5と圧力調整弁6との間から分岐する圧力導入流路20が、圧力室22に接続されており、この圧力導入流路20に、当該圧力導入流路20を開閉する水素供給弁23が設けられている。この圧力導入流路20の水素供給弁23よりも下流側には、水素ポンプ10Gの吐出圧を導入すべく、水素循環流路8の水素ポンプ10Gより下流側から分岐されたバイパス流路24が接続されており、当該バイパス流路24にはそれを開閉制御するバイパス弁25が設けられている。
このような構造により、上述の第10実施形態では燃料電池システム1の運転時に常に一定だった圧力室22の水素ガス圧力を、この第11実施形態では水素供給弁23およびバイパス弁25の開閉制御により変化させることができる。例えば、圧力室22内の圧力は、バイパス弁25を閉じて且つ水素供給弁23を開けると、減圧弁5の下流の圧力(減圧弁5と圧力調整弁6との間の圧力)となる。一方、圧力室22内の圧力は、バイパス弁25を開けて且つ水素供給弁23を閉じると、水素ポンプ10Gの吐出圧力(<減圧弁5の下流の圧力)となる。
表2は、水素供給弁23およびバイパス弁25を開閉制御の一例である。
Figure 2007247421
表2のように、運転中にバイパス弁25を開けて且つ水素供給弁23を閉じると、圧力室22は水素ポンプ10Gの吐出圧力となるため、圧力室22内の圧力とガイド流路12bの圧力との差圧が小さくなり、インペラ組立体14は予圧ばね111と自重とによって下方に移動し、クリアランスδは大きくなる。一方、運転中にバイパス弁25を閉じて且つ水素供給弁23を開けると、圧力室22は減圧弁5の下流の圧力となるため、圧力室22内の圧力とガイド流路12bの圧力との差圧が大きくなり、予圧ばね111とインペラ組立体14の自重に抗してインペラ組立体14が上方に移動して、クリアランスδが小さくなる。なお、燃料電池システム1の運転停止時には、システム内は大気圧で平衡するため、差圧が生じずに、クリアランスδが大きくなる。
このように運転中においても弁25、23の開閉制御によりクリアランスδを自由に制御できる。そのため、本実施形態では、図15の第10実施形態の効果に加え、運転中にポンプの運転負荷が所定値(例えば通常運転の負荷より大きい過度な値)以上になった場合にクリアランスδを大きくして、適正な運転状態に維持できる利点がある。
なお、本実施形態では、運転電流(電動モータ13の運転電流)を検出して、運転電流の検出値が所定値よりも上昇した(例えば通常運転時の運転電流の適正範囲を超えた)ことを検知した場合に、バイパス弁25を開けるとともに水素供給弁23を閉じることにより、クリアランスδを大きくしているが、本発明においてはその他の運転状態(第6実施形態に列挙したように圧力差、水分量、クリアランスδなど)を検出して制御してもよい。
(第12実施形態)
図17は本発明の第12実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。図17は水素ポンプの断面図である。
本実施形態の水素ポンプ10Hは、図16の第11実施形態と略同様の構成であるが、圧力室22に連通接続される圧力導入流路20が、減圧弁5よりも上流側の水素供給流路7aから分岐されている点で、第11実施形態と異なっている。
以上の構成により本実施形態の水素ポンプ10Hによれば、第11実施形態と略同様の作用効果が得られるが、特に本実施形態では圧力室22に導入される圧力は減圧弁5よりも上流側の最も高圧となる供給用水素ガスであるため、下記表3に示すように水素供給弁23とバイパス弁25と開閉制御することにより、燃料電池システム1を停止した状態にあってもクリアランスδを変化させることができる。
Figure 2007247421
(第13実施形態)
図18は本発明の第13実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。図18は水素ポンプの断面図である。
本実施形態の水素ポンプ10Iは、第10〜12実施形態と略同様の構成であるが、インペラ組立体14の軸方向両端側にそれぞれ圧力室22、28が設けられている点で、インペラ組立体14の軸方向一端側にのみ圧力室22を備える第10〜12実施形態と異なっている。より具体的には、インペラ11の回転軸13cの上端は、ロータ室32に連通する軸受収容室R1に摺動自在に嵌合するピストン27に、軸受15を介して回転自在に支持されている。一方、回転軸13cの下端は、ポンプ室34に連通する軸受収容室R2に摺動自在に嵌合されたピストン21に、軸受15aを介して回転自在に軸支されている。上方の軸受収容室R1のうちピストン27より上方には、ピストン27により画成された圧力室28が形成されており、一方、軸受収容室R2のうちピストン21より下方には、ピストン21により画成された圧力室22が形成されている。これら上下の圧力室22、28の圧力変動に応じてピストン21、27が回転軸13cの軸方向に沿って移動することで、インペラ11が軸方向に移動するようになっている。なお、回転軸13cの下端とピストン21との間に予圧ばね111が縮設されてインペラ組立体14が上方に付勢されている。
本実施形態では、下方の圧力室22に、水素循環流路8の水素ポンプ10Iよりも上流側の圧力つまり水素ポンプ10Iの吸入圧が吸入圧導入流路30を介して導入され、一方、上方の圧力室28に、水素循環流路8の水素ポンプ10Iよりも下流側の圧力つまり水素ポンプ10Iの吐出圧が吐出圧導入流路31を介して導入されている。
このようにインペラ組立体14の下端部の圧力室22に吸入圧が導入されるとともに、インペラ組立体14の上端部の圧力室28に吐出圧が導入されることにより、水素ポンプ10Iが発生させる揚程圧力差がインペラ組立体14に印加されることとなる。そのため、吸入圧と吐出圧との圧力差が過渡的に大きくなる際、つまり水素ポンプ10Iの運転負荷が過度的に増加する際には、クリアランスδが大きくなり、水素ポンプ10Iの運転負荷が低減する。
以下、本実施形態の効果を列挙する。
本実施形態の水素ポンプ10Iでは、クリアランス調整手段100Eが、内部の圧力上昇に伴ってインペラ組立体14をクリアランスδを減少する側へ移動させる第1の圧力室22と、内部の圧力上昇に伴ってインペラ組立体14のクリアランスδを増大する側へ移動させる第2の圧力室28と、を備えてなり、第1の圧力室22に水素ポンプ10Iの吸入圧が常時導入され、第2の圧力室28に水素ポンプ10Iの吐出圧が常時導入されるものである。言い換えると、クリアランス調整手段100Eはインペラ組立体14のクリアランスδを減少する側の軸方向一端部となる下端部に導入する水素ポンプ10Iの吸入圧と、インペラ組立体14のクリアランスδを増大する側の軸方向他端部となる上端部に導入する水素ポンプ10Iの吐出圧と、からなっている。
つまり、本実施実施形態のクリアランス調整手段100Eは、吸入圧と吐出圧との圧力差(=2つの圧力室22、28の圧力差)が大きくなる場合に、つまり、水素ポンプ10Iの運転負荷が過度的に増加する場合に、クリアランスδを大きくするものである。
そのため、例えば水素ポンプ10I内に流れ込む水素が含有する水分量が多くなることなどによって吸入圧と吐出圧との圧力差が過渡的に大きくなる場合や、運転時の発熱に伴う熱膨張によりクリアランスδが小さくなることで吸入圧と吐出圧との圧力差が過渡的に大きくなる場合に、クリアランスδが大きくなるため、運転負荷の過剰な増大を回避できる。
また本実施形態の水素ポンプ10Iでは、第11、12実施形態のような開閉弁を制御することなく、クリアランスδを変化させることができる利点もある。
(第14実施形態)
図19〜図22は本発明の第14実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。図19は本実施形態の水素ポンプの断面図、図20(a)は同水素ポンプのインペラ組立体が上方移動した状態を示す図、図20(b)はインペラ組立体が下方移動した状態を示す図、図21はインペラ組立体を下方移動した状態にあるシール構造体の拡大断面図、図22はインペラ組立体を上方移動した状態にあるシール構造体の拡大断面図である。
本実施形態の水素ポンプ10Mは、図15の第10実施形態と略同様の構造であるが、図19に示すように減圧弁5と圧力調整弁6との間から3つの水素導入流路33、36、37が分岐しており、第1水素導入流路33はロータ13bを収納したロータ室32に連通接続され、第2水素導入流路36はポンプ室34に連通し且つピストン21を摺動自在に嵌合する軸受収容室R2に連通接続され、第3水素導入流路37は圧力室22に連通接続されている点で第10実施形態と異なっている。なお、これら第1、第2、第3水素導入流路33、36、37にはそれぞれ第1、第2、第3開閉弁38、39、40が設けられる。
このような構成により、第3開閉弁40を開閉すると、インペラ組立体14が軸方向に移動して、クリアランスδが変化する。例えば、第3開閉弁40をポンプ停止状態で閉じ且つポンプ運転時に開くように制御すれば、第10実施形態と同様に、ポンプ運転時に小さなクリアランスδでポンプ効率を向上できるとともに、ポンプ停止時に大きなクリアランスδでインペラ11の氷着を効果的に抑制できる。
また必要に応じて第1開閉弁38および第2開閉弁39を開くことで、ポンプ室34と連通するとともにインペラ11の回転軸13cの両端側を収容する室32、R2にドライガスを供給して、これら室32、R2の内部の水分をポンプ室34およびまたはガイド流路12bへ排出することができる。これにより、軸受15、15a内に水分が留まって、軸受15、15aが氷着してしまうことを抑制できる。なお、本実施形態の開閉弁38、39、40の具体的な制御の一例は、後に詳説する。
また本実施形態では、ロータ室32とポンプ室34との間、およびポンプ室34と軸受収容室R2との間に、それぞれを隔離するシール構造体としての第1・第2シール板41、42が設けられている。第1シール板41は、インペラ11の上側においてインペラ11の回転軸13cに固定され、且つシール部分の形状つまりポンプ室34とロータ室32とを連通する開口端32aの形状に沿った円板状の板状弾性体で形成されている。一方、第2シール板42は、インペラ11の下側においてインペラ11の回転軸13cに固定され、且つシール部分の形状つまりポンプ室34と軸受収容室R2とを連通する開口端部55aの形状に沿った円板状の板状弾性体で形成されている。なお、ロータ室32の開口端32aには、内周側に向けて突出する環状段部57が形成されており、これによりロータ室32の開口端32aはロータ室32の一般部分の内周径よりも小径に形成されている。
第1シール板41は、ロータ室32の開口端32aを開放する際には、図20(a)に示すようにロータ室32内においてロータ室32の開口端32aによりも上側に位置し、ロータ室32の開口端32aを閉塞する際には、図20(b)に示すようにロータ室32の開口端32aを形成する環状段部57の上面に当接してシールする。一方、第2シール板42は、軸受収容室R2の開口端部55aを開放する際には、図20(a)に示すようにポンプ室34内において軸受収容室R2の開口端55aにより上側に位置し、軸受収容室R2の開口端部55aを閉塞する際には、図20(b)に示すように開口端部55aの周縁部上面に当接してシールする。
ここで、図20(b)および図21では、説明上、第1シール板41とハウジング12のシール面(開口端部57aの周縁部上面つまり環状段部57の上面)との接触角θ1および第2シール板42とハウジング12のシール面(開口端部55aの周縁部上面)との接触角θ2を大きくデフォルメして図示しているが、実際には、これら接触角θ1、θ2が極力小さくなるように、第1シール板41は開口端部57aの周縁部上面に略水平に接触するように設定され、第2シール板42は開口端部55aの周縁部上面に略水平に接触するように設定されている。このようにシール時にシール板41、42とハウジング12側のシール面との間に生じる鋭角θ1、θ2の隙間が小さいと、この隙間に溜まる水滴を最小限に抑えることができるため、シール板41、42のハウジング12に対する氷着力を小さくでき、シール板41、42がハウジング12のシール面に氷着した場合であっても容易に剥がすことができる。
一方、第1・第2シール板41、42がハウジング12のシール面から離間するポンプの運転状態においては、図22に示すようにそれらシール板41、42が最大に変形した場合にも、そのシール面との非接触状態が維持されるようになっている。つまり、シール板41、42の外径、弾性変形係数や、ポンプの運転時におけるシール板41、42の軸方向位置などが予め設定されている。
次に、本実施形態の制御の一例をより具体的に説明する。
まずポンプの運転開始時(始動時)には、第3開閉弁40を開いて第3水素導入流路37を通じて高圧水素ガスを圧力室22に導入する。これにより、インペラ11が上方へ移動してクリアランスδを小さくなり、ポンプ効率が高い状態に維持される。
次に、第3開閉弁40を開いた直後に第1開閉弁38および第2開閉弁39を第3開閉弁40よりも小さい開度で開いて、少量の高圧水素ガスをロータ室32および軸受収容室R2に導入する。これにより、これらロータ室32および軸受収容室R2に水分が侵入してくることが防止される。なお、ポンプ運転中は、開閉弁38、39、40の開度をそのまま保つ。
ポンプ運転停止時には、まず第1開閉弁38および第2開閉弁39を閉じ、その直後に第3開閉弁40を閉じて、圧力室22への高圧水素ガスの導入を停止する。すると、予圧バネ111によりインペラ11がもとの下方へ移動してクリアランスδが大きくなり、氷点下において長時間がポンプ停止されていたとしても、インペラ11とハウジング12との間の凍結が防止される。このとき同時に、シール板41、42もインペラ11とともに下方に移動するため、シール板41、42がロータ室32の開口端部57aおよび軸受収容室R2の開口端部55aを閉塞し、これらの室32、R2がポンプ室34から隔離される。そのため、停止時において、ポンプ室34からロータ室32および軸受収容室R1、R2に水蒸気などの水分が侵入してくることが防止され、軸受機構などの凍結によるロックが確実に防止される。
次に、本実施形態の効果を列挙する。
本実施形態では、クリアランス調整手段は、内部に導入される流体の量または圧が調整されることで、インペラ11の軸方向端部に作用してインペラ11を軸方向に移動させる圧力室22である。そのため、圧力室22の圧力を調整することで、クリアランスδを調整でき、その他の付加的な駆動機構が不要となる。
また本実施形態では、インペラ11を収容するポンプ室34と、ポンプ室34と連通するとともにインペラ11の回転軸13cの少なくとも一端側(この例では上端側)に固定された電動モータのロータ13bを収容するロータ室32と、を、ポンプ停止時に隔離するシール構造体41を備える。また、インペラ11を収容したポンプ室34と、ポンプ室34と連通するとともにインペラ11の回転軸13cの少なくとも一端側(この例では下端側)を軸支する軸受15aを収容する軸受収容室R2と、をポンプ停止時に隔離するシール構造体42を備える。そのため、ポンプ室34と、このポンプ室34に連通するロータ室32および軸受収容室R2と、を隔離でき、水分がポンプ室34からロータ室32および軸受収容室R1、R2へ侵入していくことを防止できる。このようにロータ室32および軸受収容室R1、R2への水分侵入を防止しることにより、軸受15、15aならびにロータ室32および軸受収容室R1、R2の内部に存在するあらゆる小さな隙間への水分侵入を防いで、インペラ11の凍結ロックを回避できる。また、電動モータ13のコイルへの水分浸透を防止できる。
また本実施形態では、シール構造体41、42がシール部分(つまりポンプ室と連通する軸受収容室の開口端、ポンプ室と連通するロータ室の開口端)を覆うようにこのシール部分の形状に沿った円板状の板状弾性体で構成されている。そのため、シール板41、42を変形させつつ組み付けることができるので、組付性を向上しつつハウジング12の構造を簡素化できる。
また本実施形態では、シール板41、42がゴム製である。そのため、通常金属製のハウジング12に対して凍結固着力を低下させることができる。
また本実施形態では、シール板41、42は、ハウジング12のシール面(つまり開口端部57aの周縁部上面、および開口端部55aの周縁部上面)に接触するポンプの運転停止時において、当該シール面と略水平に接触する。そのため、シール板41、42とハウジング12のシール面と、の間に生じる鋭角θ1、θ2の隙間に溜まる水分量が少なくなり、シール板41、42とハウジング12のシール面との凍結固着力が弱くなる。
また本実施形態では、第1・第2シール板41、42は、ハウジング12のシール面から離脱する水素ポンプ10Mの運転状態で、当該シール板41、42が最大に変形した場合にもハウジング12のシール面との非接触状態が維持されている。そのため、ポンプ運転状態では、確実にシール板41、42がハウジング12のシール面から離間するため、シール板41、42がハウジング12のシール面と氷着した状態から運転開始された場合に、起動トルク不足により水素ポンプ10Mがフェールするのを回避できる。
また本実施形態では、インペラ11を収容するポンプ室34に連通するとともにインペラ11の回転軸13cの両端側を収容する室32、R2に接続される水素導入流路33、36を備えるため、必要に応じてまたは常に上述の室32、R2の内部の水分をポンプ室34に吐き出すことができる。これにより、さらにロータ室32および軸受収容室R1、R2内のあるゆる凍結の可能性のある小さな隙間の凍結をさらに確実に防止でき、インペラ11のロックをさらに確実に防止できる。
なお、本実施形態では水素導入流路33、36は減圧弁5と圧力調整弁6との間から分岐しているが、本発明にあっては、これら水素導入流路33、36が、水素供給流路7aのうち水素循環流路8との合流点よりも水素タンク4側のドライガス流通領域から分岐するいわゆるドライガス供給流路であればよい。
また、水素導入流路33、36の開閉弁38、39の開閉タイミングは、本実施形態に限定されるものではなく、例えばポンプ停止時にのみに開くことで、室32、R2およびポンプ室34の水分をガイド流路12bを通じて排出してもよい。
また、本実施形態において、予圧バネ111を圧電素子等の変位制御手段に代えると、運転開始時には軸方向に強制的に移動させることでシール板41、42の氷着を確実に剥離できる。また、運転中においてはクリアランスδを微調整できるため、ポンプ効率を高く維持したり、過負荷状態を回避したりして、適正な運転状態に維持できる利点がある。
(第15実施形態)
図23〜25は本発明の第15実施形態を示し、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。図23は水素ポンプの断面図、図24はインペラの平面図、図25はポンプ内の流路圧力分布を示すグラフである。
本実施形態の水素ポンプ10Nは、図19〜22の第14実施形態と略同様の構成であるが、シール板41、42を備えず、インペラ11のバケット部11aが形成されるバケット形成面11cと、これに対向するハウジングの対向面12aとの間において、バケット部11aを径方向から挟みこむ内・外シールリング43、44を備える点で第14実施形態と異なっている。なお、この内・外シールリング43、44は、幅狭に形成されることでハウジング対向面12aに対する接触面積が小さく設定されたリング状のゴムで構成されており、インペラ11の上面11cに固定されている。
本実施形態の水素ポンプ10Nでは、インペラ11の上下移動させる挙動が第10実施形態では逆であり、運転時にインペラ11を下方に移動させ、停止時にインペラ11を上方に移動させるものである。つまり、運転停止時にクリアランスδを小さくし、運転時にクリアランスδを大きくするものである。
このように第10実施形態と逆の挙動とするために、本実施形態では、第10実施形態とは逆に、内部の圧力上昇に伴ってクリアランスδが増大する側にインペラ11を移動させる圧力室46を備えている。つまり、本実施形態では、圧力室46がインペラ11の回転軸13cの上端側に設けられており、圧力室22がインペラ11の回転軸13cの下端側に設けられた第10実施形態とは逆になっている。
より具体的には、インペラ11の回転軸13cの上端部が、圧力室46を画成するピストン47に軸支され、圧力室46に水素供給流路7aの圧力調整弁6よりも上流側から分岐した第3水素導入流路37が、開閉弁40を介して連通接続されている。また、回転軸13cの下方に設けられる収納室R2に、圧電素子49とこの圧電素子49上に固定されたピストン47とが収容され、このピストン47にインペラ11の回転軸13cの下端部が軸支されている。
次に本実施形態の水素ポンプ10Nの制御の一例を説明する。
水素ポンプ10Nの運転開始時に、開閉弁40を開く。これによりインペラ11を大きなスラスト力が加わり、氷点下の長時間停止後の運転開始時においてシールリング43、44とハウジング対向面12aとが氷着している場合であっても、氷着を確実に破壊して運転を開始できる。
なお、運転中は、開閉弁40を開いたままで維持し、また、開閉弁38、39も開いたままで維持する。これにより、ロータ室32および軸受収容室R2へ供給されるドライな水素ガスがポンプ室34を通じてガイド流路12bへ流れていくこととなるため、水分が、ポンプ室34からこのポンプ室34に連通するロータ室32および軸受収容室R1、R2へ侵入してくることが防止される。
また、運転中には、圧電素子49への電圧を制御して、最適なポンプ圧となるようにクリアランスδを調整する。なお、ポンプ運転時におけるクリアランスδは、ポンプ性能の維持できる程度に設定される。
水素ポンプ10Nの停止時には、開閉弁38、39および40を閉じる。これにより、圧力室46内の圧力が下がりインペラ11が上方に戻ってクリアランスδが小さくなり、シールリング43、44がハウジング対向面12aに密着することで、ハウジング対向面12aから露出するガイド流路12bが、ポンプ室34から完全に隔離される。そのため、ガイド流路12bに残留する水分が、ポンプ室34を通じてロータ室32および軸受収容室R1、R2へ流れこむことが防止され、これら室32、R1、R2の内部に存在するあるあらゆる小さな隙間への水分侵入が防止されて、インペラ11の凍結ロックが回避される。また、電動モータ13のコイルへの水分浸透が防止される。
以下、本実施形態の水素ポンプ10Nの効果を列挙する。
本実施形態の水素ポンプ10Nによれば、インペラ11のバケット部が形成されるバケット形成面11cと、これに対向するハウジングの対向面12aと、の間に、バケット部11aの内周部と外周部とを挟むようにして内・外シールリング43、44を備える。
そのため、水素ポンプ10Nの停止時にクリアランスδを小さくすることで、ハウジング対向面12aから露出するガイド流路12bを、ポンプ室34から完全に隔離できる。そのため、ガイド流路12bに残留する水分が、ポンプ室34に流れ出て凍結の原因になることを防止できる。これにより、ポンプ室34およびポンプ室34に連通しているロータ室32および軸受収容室R1、R2の内部に存在する凍結の可能があるあらゆる小さな隙間への、水分侵入を防いで凍結ロックを回避できる。また、電動モータ13のコイルへの水分浸透を防止できる。
また、水素ポンプ10Nの運転開始時にクリアランスδを大きくすることで、氷点下の停止後にシールリング43、44とハウジング対向面12aとが氷着している場合であっても、この氷着を破壊して運転を開始することができる。
また本実施形態の水素ポンプ10Nによれば、シールリング43、44を幅狭したため、シールリング43、44とハウジング対向面12aとの接触面積が小さくなり、凍結による固着力を極力小さく抑えることができる効果もある。
また本実施形態では、インペラ組立体14のクリアランスδを増大する側の軸方向他端部に、水素供給流路7aの圧力調整弁6よりも上流側の圧力を開閉弁40を介して導入する構造である。そのため、水素ポンプ10Nの運転開始時には、開閉弁40を開いてインペラ11に強制的に大きなスラスト力に加えることで、シールリング43、44とハウジング対向面12aとが氷着している場合であっても、インペラ11を確実に下方に移動させて、氷着を確実に破壊(剥離)して運転を開始することができる。
また本実施形態の水素ポンプ10Nは、圧電素子49でクリアランスδを微調整できるため、ポンプ性能を高い状態に維持できる。
ここで、水素導入流路33、36の接続位置が、インペラ11を収容するポンプ室34に連通するとともにインペラ11の回転軸13cの両端側を収容する室32、R2の奥側(つまり軸受15、15aの近傍)に設定されていると、室32、R2内の水分を全体的にパージできるとともに軸受15、15a内の水分もパージしやすいため、好ましい。
なお、本実施形態では、圧力室46に圧力調整弁6よりも上流側の水素ガスを第3水素導入流路37を介して導入する構造であるが、本発明にあっては、勿論、圧力室46に圧力調整弁6の下流側の水素ガスを導入してもよく、この場合には、導入される水素ガスは水素ポンプの吐出圧と略同等であるため、図25に示すようにポンプ室の内圧「=(ポンプ吸入圧+ポンプ吐出圧)÷2」よりも大きいため、インペラ組立体14の移動は可能であり、本実施形態と同様に氷着を破壊して運転を開始することができる。
また、本実施形態では、インペラ11を収容するポンプ室34に連通するとともにインペラ11の回転軸13cの両端側を収容する室32、R2に接続される水素導入流路33、36は、第14実施形態と同様に減圧弁5と圧力調整弁6との間から分岐しているが、本発明にあっては、これら水素導入流路33、36が、水素供給流路7aのうち水素循環流路8との合流点よりも水素タンク4側のドライガス流通領域から分岐するいわゆるドライガス供給流路であればよい。
また、これら水素導入流路33、36の開閉弁38、39の開閉タイミングは、本実施形態に限定されるものではなく、例えばポンプ停止時にのみに開くことで、室32、R2およびポンプ室34の水分をガイド流路12bを通じて排出してもよい。
また、本実施形態では、内シールリング43および外シールリング44はいずれもインペラ11に固定されているが、本発明では、内シールリングおよび外シールリングがハウジングに固定されていてもよいし、内シールリングおよび外シールリングの一方がインペラに固定され且つ他方がハウジングに固定されていてもよい。
(変形例)
図26、図27は上述の第1〜15実施形態に追加し得る変形例を示すものであって、上述の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。図26は水素ポンプの断面図、図27はインペラの平面図であり、図26および図27においてはクリアランス調整手段を省略して図示している。
この変形例の水素ポンプ10Pでは、インペラ11のバケット部11a側の上面11cおよびバケット部11aとは反対側の下面11dに、放射状にブレード50、51が設けられている。ブレード50、51は、回転軸13cの周囲に放射状に配置され、第1ブレード50が、インペラ11の上面11cに固定され且つロータ室32の下方に位置するとともに、第2ブレード51が、インペラ11の下面11dに固定され且つ軸受収容室R2の上方に位置する。
以上のように、この変形例は、インペラ11を回転自在に収容するポンプ室34と、ポンプ室34に通じる開口端を有してインペラ11の回転軸13cの一端側(上端側)を収容する室(ロータ室32)と、ポンプ室34に通じる開口端を有してインペラ11の回転軸13cの他端側(下端側)を収容する室(軸受収容室R2)と、を備え、両開口端に近傍にインペラ11に放射状に固定されたブレード50、51を備えるものである。
そのため、インペラ11とともにブレード50、51が高速回転することにより、ポンプ室34内の水分が遠心力で外周方向に吹き飛ばされ、第1ブレード50によりロータ室32に水分が侵入することが防止され、第2ブレード51により軸受収容室R2に水分が侵入することが防止される。
なお、ブレード50、51は、インペラ11の上面11cまたは下面11dのいずれか一方に設けても、それに応じた効果を奏することができる。
以上、第1〜15実施形態を例に本発明にかかる水素ポンプを説明したが、本発明にかかる水素ポンプは、上述の実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまな形態を採用することができる。
本発明の第1実施形態の水素ポンプの断面図。 同水素ポンプが組み付けられた燃料電池システムの概略構成図。 本発明の第2実施形態の水素ポンプの断面図。 同水素ポンプのインペラの平面図。 本発明の第3実施形態の水素ポンプの断面図。 同水素ポンプのインペラの平面図。 本発明の第4実施形態の水素ポンプの断面図。 同水素ポンプのインペラの平面図。 本発明の第5実施形態の水素ポンプの断面図。 本発明の第6実施形態の水素ポンプの断面図。 本発明の第7実施形態の水素ポンプの断面図。 同水素ポンプのクリアランス制御を実行するためのフローチャートの説明図。 本発明の第8実施形態の水素ポンプの断面図。 本発明の第9実施形態の水素ポンプの断面図。 本発明の第10実施形態の水素ポンプの断面図。 本発明の第11実施形態の水素ポンプの断面図。 本発明の第12実施形態の水素ポンプの断面図。 本発明の第13実施形態の水素ポンプの断面図。 本発明の第14実施形態の水素ポンプの断面図。 同水素ポンプの断面図であって、(a)はインペラ組立体を上方移動した状態を示す図であり(b)はインペラ組立体を下方移動した状態を示す図。 図20(b)のA部の拡大断面図。 同水素ポンプのインペラ組立体が上方移動した状態にあるシール構造体の拡大断面図。 本発明の第15実施形態の水素ポンプの断面図。 同水素ポンプのインペラの平面図。 同水素ポンプ内の流路圧力分布を示すグラフ。 第1〜15実施形態の水素ポンプの変形例を示す断面図。 同水素ポンプのインペラの平面図。
符号の説明
1 燃料電池システム
2 燃料電池
4 水素タンク
5 減圧弁
6 圧力調整弁
7a 水素供給流路
7b 水素排出流路
8 水素循環流路
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,10J,10K,10L,10M,10N,10P,10Q 水素ポンプ
11 インペラ
11a バケット部
11c バケット形成面
12 ハウジング
12a 対向面
13 電動モータ
13a ステータ
13b ロータ
13c 回転軸
14 インペラ組立体
20 圧力導入流路
23 水素供給弁
24 バイパス流路
25 バイパス弁
32 ロータ室
34 ポンプ室
41 第1シール板(シール構造体)
42 第2シール板(シール構造体)
43,44 シールリング
50,51 ブレード
55a 開口部の周縁部上面(シール面)
57 環状段部
57a 開口部の周縁部上面(シール面)
100,100A,100B,100C,100D,100E,100F,100G,100H クリアランス調整手段
110,110D,110E,110F インペラ移動手段
111 予圧ばね(付勢手段)
112 ヒンジ部
113 弾性体(可撓部材)
114 バイメタル(感温変位部材)
115 ヒータ(加熱手段)
116 サーモエレメント(熱伸縮部材)
117 ヒータ(加熱手段)
122 ステッピングモータ
123 ねじ部
150 ハウジング移動手段
151 冷媒流路
152 弾性体
153 ブロック体
R1 軸受収容室
R2 軸受収容室
δ クリアランス

Claims (36)

  1. ハウジングと、前記ハウジング内に回転自在に配置されたインペラと、を備え、前記インペラの回転に伴って水素ガスを吸入して加圧しその加圧水素ガスを吐出する水素ポンプであって、
    前記インペラのバケット部が形成されるバケット形成面と、前記バケット形成面に対向するハウジングの対向面と、の間のクリアランスを可変とするクリアランス調整手段を備えることを特徴とする水素ポンプ。
  2. 請求項1に記載の水素ポンプであって、
    前記クリアランス調整手段は、ポンプの運転時に前記クリアランスを小さくし、ポンプの停止時に前記クリアランスを大きくすることを特徴とする水素ポンプ。
  3. 請求項1に記載の水素ポンプであって、
    前記クリアランス調整手段は、ポンプの運転負荷が所定値以上に増加する場合に前記クリアランスを大きくすることを特徴とする水素ポンプ。
  4. 請求項1に記載の水素ポンプであって、
    前記クリアランス調整手段は、ポンプの運転時に所定量以上の水分が流入した場合に前記クリアランスを大きくすることを特徴とする水素ポンプ。
  5. 請求項1に記載の水素ポンプであって、
    前記クリアランス調整手段は、ポンプの運転電流が所定値以上に増加した場合に前記クリアランスを大きくすることを特徴とする水素ポンプ。
  6. 請求項1に記載の水素ポンプであって、
    前記クリアランス調整手段は、前記水素ガスの吸入圧と前記水素ガスの吐出圧との差圧が所定圧以上で前記クリアランスを大きくすることを特徴とする水素ポンプ。
  7. 請求項1に記載の水素ポンプであって、
    前記クリアランス調整手段は、前記インペラをその軸方向に移動させるインペラ移動手段であることを特徴とする水素ポンプ。
  8. 請求項7に記載の水素ポンプであって、
    前記インペラ移動手段は、前記インペラとこのインペラの回転軸に固定された電動モータのロータとを結合したインペラ組立体を前記クリアランスが増大する方向に常時付勢する付勢手段と、前記電動モータへの通電時に前記インペラ組立体のロータを前記クリアランスが減少する方向に移動させる前記電動モータのステータと、によって構成されることを特徴とする水素ポンプ。
  9. 請求項1に記載の水素ポンプであって、
    前記クリアランス調整手段は、前記インペラの中心部と前記バケット部を有する外周部との間においてこれらを連結するヒンジ部として構成され、回転に伴う遠心力で前記インペラの外周部を前記ハウジングの対向面に近接させることを特徴とする水素ポンプ。
  10. 請求項1に記載の水素ポンプであって、
    前記クリアランス調整手段は、前記インペラの中心部と前記バケット部を有する外周部との間において両者を連結する可撓部材であることを特徴とする水素ポンプ。
  11. 請求項10に記載の水素ポンプであって、
    前記可撓部材は、前記インペラの回転に伴う遠心力で前記インペラの外周部を前記ハウジングの対向面に近接させることを特徴とする水素ポンプ。
  12. 請求項10または11に記載の水素ポンプであって、
    前記可撓部材は、温度上昇に伴って前記インペラの外周部を前記ハウジングの対向面に近接させる方向に変形させる感温変位部材で形成されていることを特徴とする水素ポンプ。
  13. 請求項12に記載の水素ポンプであって、
    前記感温変位部材の近傍に、加熱量を任意に調節可能な加熱手段が設けられていることを特徴とする水素ポンプ。
  14. 請求項7に記載の水素ポンプであって、
    前記インペラ移動手段は、前記インペラと前記ハウジングとの間に設けられ、伸縮により前記インペラを軸方向に移動させる伸縮手段であることを特徴とする水素ポンプ。
  15. 請求項14に記載の水素ポンプであって、
    前記伸縮手段は、温度に相関して伸縮して前記インペラを軸方向に移動させる熱伸縮部材であることを特徴とする水素ポンプ。
  16. 請求項15に記載の水素ポンプであって、
    前記熱伸縮部材の近傍に、加熱量を任意に調節可能な加熱手段が設けられていることを特徴とする水素ポンプ。
  17. 請求項14に記載の水素ポンプであって、
    前記伸長手段は、伸縮により前記インペラを軸方向に移動させる圧電素子であることを特徴とする水素ポンプ。
  18. 請求項7に記載の水素ポンプであって、
    前記インペラ移動手段は、回転角度制御が可能なステッピングモータと、このステッピングモータの回転量を前記インペラの軸方向移動に変換するねじ部と、を備えて構成されていることを特徴とする水素ポンプ。
  19. 請求項1に記載の水素ポンプであって、
    前記クリアランス調整手段は、前記インペラに対して前記ハウジングの対向面を変位させるハウジング側移動手段であることを特徴とする水素ポンプ。
  20. 請求項19に記載の水素ポンプであって、
    前記ハウジング側移動手段は、ハウジング本体に装着されて前記ハウジングの対向面を形成し且つ前記ハウジング本体との間に冷却液を流通させる冷却流路を画成する弾性体で構成されていることを特徴とする水素ポンプ。
  21. 請求項19に記載の水素ポンプであって、
    前記ハウジング側移動手段は、ハウジング本体に装着されて前記ハウジングの対向面を形成し且つ前記ハウジング本体よりも熱膨張率の大きな材料で形成されたブロック体であることを特徴とする水素ポンプ。
  22. 請求項7に記載の水素ポンプであって、
    前記インペラ移動手段は、内部に導入される流体の量または圧が調整されることで、前記インペラを軸方向に移動させる圧力室あることを特徴とする水素ポンプ。
  23. 請求項22に記載の水素ポンプであって、
    前記水素ポンプは、水素タンクから燃料電池へ水素を供給する水素供給流路と前記燃料電池から排水素を排出する水素排出流路とを備える燃料電池システムのうち、前記水素供給流路と前記水素排出流路とを連結した水素循環流路の途中に配置されて前記水素排出流路を流れる排水素を再び前記水素供給流路に帰還させる水素ポンプとして利用されるものであり、
    前記圧力室に導入されるガスは、前記水素供給流路に上流から順番に設けられた減圧弁と圧力調整弁との間から分岐する圧力導入流路、を介して導入されることを特徴とする水素ポンプ。
  24. 請求項23に記載の水素ポンプであって、
    前記圧力導入流路には前記圧力導入流路を開閉制御する水素供給弁が設けられ、前記圧力導入流路の水素供給弁の下流側と前記水素ポンプの下流側とを連結してポンプの吐出圧を導入するバイパス流路が設けられ、前記バイパス流路には前記バイパス流路を開閉制御するバイパス弁が設けられていることを特徴とする水素ポンプ。
  25. 請求項22に記載の水素ポンプであって、
    前記水素ポンプは、水素タンクから燃料電池へ水素を供給する水素供給流路と前記燃料電池から排水素を排出する水素排出流路とを備える燃料電池システムのうち、前記水素供給流路と前記水素排出流路とを連結した水素循環流路の途中に配置されて前記水素排出流路を流れる排水素を再び前記水素供給通路に帰還させる水素ポンプとして利用されるものであり、
    前記圧力室に導入されるガスは、前記水素供給流路の減圧弁よりも上流側から分岐する圧力導入流路を介して導入される特徴とする水素ポンプ。
  26. 請求項1に記載の水素ポンプであって、
    前記クリアランス調整手段は、内部の圧力が上昇するのに伴って前記インペラの前記クリアランスを減少する側へ移動させる第1の圧力室と、内部の圧力が上昇するのに伴って前記インペラの前記クリアランスを増大する側に移動させる第2の圧力室と、を備えてなり、第1の圧力室にポンプの吐出圧が導入される一方、第2の圧力室にポンプの吸入圧が導入されていることを特徴とする水素ポンプ。
  27. 請求項7に記載の水素ポンプであって、
    前記インペラを収容するポンプ室と、前記ポンプ室と連通するとともに前記インペラの回転軸の少なくとも一端側に固定された電動モータのロータを収容するロータ室と、を、ポンプの停止時に隔離するシール構造体を備えることを特徴とする水素ポンプ。
  28. 請求項7に記載の水素ポンプであって、
    前記インペラを収容したポンプ室と、前記ポンプ室と連通するとともに前記インペラの回転軸の少なくとも一端側を軸支する軸受を収容する軸受収容室と、をポンプの停止時に隔離するシール構造体を備えることを特徴とする水素ポンプ。
  29. 請求項27に記載の水素ポンプであって、
    前記シール構造体は、前記インペラの回転軸に固定されるとともに、前記ポンプ室と連通するロータ室の開口端を覆うサイズで形成された板状弾性体であることを特徴とする水素ポンプ。
  30. 請求項28に記載の水素ポンプであって、
    前記シール構造体は、前記インペラの回転軸に固定されるとともに、前記ポンプ室と連通する軸受収容室の開口端を覆うサイズで形成された板状弾性体であることを特徴とする水素ポンプ。
  31. 請求項29または30に記載の水素ポンプであって、
    前記シール構造体は、前記インペラの軸方向の移動に伴って、ポンプの停止時には前記開口端の周縁のシール面に接触し、ポンプの運転時には前記開口端の周縁のシール面から離間することを特徴とする水素ポンプ。
  32. 請求項31に記載の水素ポンプであって、
    前記シール構造体は、前記シール面から離間するポンプの運転時において当該シール構造体が最大に変形した場合にも、前記シール面との非接触が維持されることを特徴とする水素ポンプ。
  33. 請求項27〜32のいずれか1つに記載の水素ポンプであって、
    ポンプ運転開始時に前記インペラを軸方向に移動させることで、前記シール構造体と前記ハウジングのシール面との間の凍結を剥離することを特徴とする水素ポンプ。
  34. 請求項1〜33のいずれか1つに記載の水素ポンプであって、
    前記バケット形成面と前記ハウジング対向面との間に、前記バケット部をその内周側と外周側から挟むようにして、内シールリングおよび外シールリングが設けられていることを特徴とする水素ポンプ。
  35. 請求項1〜34のいずれか1つに記載の水素ポンプであって、
    前記インペラを回転自在に収容するポンプ室と、前記ポンプ室に通じる開口端を有して前記インペラの回転軸の両端側を収容する室と、を備え、
    前記開口端に近傍において、前記インペラまたは当該インペラの回転軸に放射状に固定されたブレードを備えることを特徴とする水素ポンプ。
  36. 請求項1に記載の水素ポンプであって、
    前記水素ポンプは、水素タンクから燃料電池へ水素を供給する水素供給流路と前記燃料電池から排水素を排出する水素排出流路とを備える燃料電池システムのうち、前記水素供給流路と前記水素排出流路とを連結した水素循環流路の途中に配置されて前記水素排出流路を流れる排水素を再び前記水素供給流路に帰還させる水素ポンプとして利用されるものであり、
    前記インペラの回転軸の両端側を収容する室に、前記水素供給流路のうち前記水素循環流路との合流点よりも前記水素タンク側のドライガス流通領域から分岐するドライガス供給流路が、開閉弁を介して連通接続されていることを特徴とする水素ポンプ。

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