JP5051940B2 - トランスの爆発を防止するためのデバイス - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、大量の可燃性流体で冷却されるトランスの爆発を防止する分野に関する。
【0002】
トランスは、巻線内およびコア内の両方で損失を発生する。そのため、発生した熱を発散してやらなければならない。それ故、高電力トランスは、通常、オイルのような流体により冷却される。使用するオイルは絶縁性で、約140℃以上の温度で発火する。トランスは非常に高価な素子であるので、トランスを保護するために特別の注意を払わなければならない。
【0003】
絶縁上の欠陥があると、最初に、強力なアークが発生し、電気的保護システムを作動させ、それによりトランスの供給リレー(サーキット・ブレーカ)が誤動作する。その結果、アークもエネルギーを放散させ、それにより、絶縁オイルが分解してガス、特に水素およびアセチレンの放出が起こる。
【0004】
ガス放出の後で、トランスのエンクロージャ内の圧力が急速に増大し、それにより、多くの場合、非常に激しい爆燃が起こる。爆燃のために、トランスのエンクロージャ内の機械的接続(ボルト、溶接)に大きな亀裂が生じ、上記ガスは周囲の空気内の酸素と接触する。酸素が存在すると、アセチレンは自然発火するので、直後に燃焼が始まり、同様に、大量の可燃物を含んでいる場合があるその場所の他の装置に火災が広がる。
【0005】
爆発は、過負荷、電圧サージ、絶縁体の進行性劣化、およびオイル・レベルの低下、水または湿気の進入または絶縁部材の故障により発生する。
【0006】
従来技術によるトランスに対する火災保護システムは周知であり、これらの火災保護システムは、燃焼または火災検出装置により作動する。しかし、これらのシステムは、かなり時間的に遅れてから動作するので、動作した時には、トランスのオイルはすでに燃焼している。それ故、燃焼を問題の装置に限定し、火災が隣接する工場に広がるのを防止する必要がある。
【0007】
アークによる絶縁流体の分解速度を遅くするために、従来の鉱物性オイルの代わりにシリコーン・オイルを使用することができる。しかし、内圧の増大によるトランスのエンクロージャの爆発が遅れるのは、数ミリ秒程度の短い時間である。これだけの時間では、爆発を防止する手段を作動させることはできない。
【0008】
参考文献、WO−A−97/12379は、圧力センサによりトランスの絶縁体の損傷を検出し、弁により、エンクロージャ内の冷却材の圧力を低下させ、上記冷却材を攪拌し、酸素がトランスのエンクロージャ内に進入するのを防止するために、エンクロージャの底部に加圧不活性ガスを注入することにより、可燃性冷却材で満たされているエンクロージャを備えるトランス内の爆発および火災を防止するための方法を開示している。この方法は十分効果のある方法であり、トランスのエンクロージャの爆発を防止することができる。
【0009】
本発明の目的は、トランス、オンロード・タップ・チェンジャ、およびフィードスルーの保全性の保障の確率をさらに改善するために、エンクロージャ内を非常に急速に減圧することができる改良形デバイスを提供することである。
【0010】
本発明の爆発防止デバイスは、可燃性冷却材で満たされているエンクロージャと、トランスのエンクロージャ内の圧力を減圧するための手段とを備えるトランス用のものである。減圧手段は、保持部材の残りの部分と比較した場合、厚さが薄く、上記素子が破裂した場合、ばらばらにならないで裂けることができる第1のゾーンと、保持部材の残りの部分と比較した場合、厚さが薄く、上記素子が破裂した場合、裂けないで折れ曲がることができる第2のゾーンを含む破裂素子を備える。上記破裂素子は、エンクロージャ内の圧力が所定の上限値を超えた場合に、破断することができる。
【0011】
好適には、破裂素子は、冷却材側に配置されていて、保持部材に形成されている直径の小さな孔部を塞ぐことができる密封素子を備えることが好ましい。上記孔部は、亀裂開始部分を形成し、厚さの薄い第1のゾーンに隣接している。
【0012】
本発明の一つの実施形態の場合には、密封部材は、保持部材上の内張りを形成していて、上記内張りは、好適には、ポリテトラフルオロエチレンをベースとするものであることが好ましい。
【0013】
好適には、保持部材は、冷却材に対向している側で、外側に凸状に突出しているドーム形をしていることが好ましい。
【0014】
本発明の一つの実施形態の場合には、保持部材は、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような金属製である。
【0015】
好適には、デバイスは、破裂素子と一体に形成されている破裂検出手段を備えることが好ましい。この破裂検出手段により、所定の上限値に対するエンクロージャ内の圧力を検出することができる。
【0016】
本発明の一つの実施形態の場合には、破裂検出素子は、破裂素子と同時に破断することができる電気ワイヤを備える。
【0017】
本発明の一つの実施形態の場合には、上記電気ワイヤは、破裂素子に接着剤により接着されている。
【0018】
都合のよいことに、電気ワイヤは、冷却材に対して、保持部材の対向側に配置されている。
【0019】
本発明の一つの実施形態の場合には、電気ワイヤは、保護フィルムでカバーされている。
【0020】
本発明は、また、可燃性冷却材で満たされているエンクロージャと、トランスのエンクロージャ内の圧力を減圧するための手段とを備えるトランスの爆発を防止するためのシステムに関する。上記システムは、上記複数のデバイスを備える、その中の一つ又はそれ以上は、巻線を含む主エンクロージャ上に位置し、その中の一つは各オンロード・タップ・チェンジャ上に位置する。
【0021】
上記システムは、一つの電気的フィードスルー上に上記少なくとも一つのデバイスを備えることができる。
【0022】
同時に、破裂素子が破裂し、それにより、エンクロージャ内は減圧し、ワイヤが切れて、その結果、過度で異常な圧力が検出される。
【0023】
もちろん、「流体側上」のような用語は、または「流体に対向する側上」のような用語は、破裂前の状況を意味する。
【0024】
爆発防止用デバイスは、トランスの主エンクロージャ、一つまたは複数のオンロード・タップ・チェンジャのエンクロージャ、および電気的フィードスルーのエンクロージャ用に設計される。後者のエンクロージャもオイル・ボックスと呼ばれる。電気的フィードスルーの目的は、トランスの主エンクロージャを、出力ロッドにより、トランスの巻線に接続している高圧線および低圧線から分離することである。各出力ロッドは、ある量の絶縁流体を含むオイル・ボックスにより囲まれている。フィードスルー及び/又はオイル・ボックスを絶縁するための流体は、トランスのオイルとは異なるオイルである。
【0025】
オイル・ボックスの上部に接続していて、故障が検出された場合にトリガすることができる窒素注入手段を設置することができる。窒素を注入すると、破裂素子の下流の流体の排出を促進することができる。窒素を注入すると、とりわけ、オイル・ボックスへの空気の進入を防止することができる。空気が進入すると、燃焼が促進されることになる。
【0026】
爆発防止デバイスは、トランスの供給リレーのトリガを検出するための手段、およびトランスからのセンサ手段が出力した信号を受信し、制御信号を出力することができる制御ユニットと一緒に設置することができる。
【0027】
爆発防止デバイスは、主エンクロージャの底部に不活性ガスを注入することにより、流体の高温部を冷却するための手段を備えることができる。上記手段は、制御ユニットからの制御信号により制御することができる。その理由というのは、冷却材のある部分が加熱され、その加熱により冷却材が発火する恐れがあるからである。エンクロージャの下部に不活性ガスを注入すると、冷却材が攪拌され、それにより、温度が平衡状態になり、ガスの放出が減少する。
【0028】
特定のいくつかの実施形態についての詳細な説明を読めば、本発明をよりよく理解することができるだろう。上記実施形態は、本発明を制限するものではなく、単に例示としてのものに過ぎない。
【0029】
図1の(a)、(b)及び図2を見れば分かるように、破裂素子1は、下流側で凸状になっている円形ドームの形をしていて、絶縁流体を含むエンクロージャの出口オリフィス(図示せず)に取り付けるためのものである。破裂素子1は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金からできている薄い金属シートの形をしている保持部材4を備える。保持部材4は、ディスクの形をしている二つのフランジ2、3の間にしっかりと保持されている。破裂素子1は、保持部材4の他に、上流側に配置されている、すなわち、保持部材の凹状側をカバーしている密封内張り9を備える。例えば、上記内張り9は、ポリテトラフルオロエチレンをベースとするものであってもよい。
【0030】
保持部材4は、それを6つの部分に分割している、半径方向に延びる線5を備える。半径方向に延びる線5は、保持部材4の厚さの一部に対して中空に形成され、そのため、破裂は、上記線5の中の一本に沿って、保持部材4を断絶することにより行われる。この場合、保持素子1の断片が切り離され、保持素子1を通って流れる流体により運ばれて、下流に位置するダクトを破損するのを防止するために、断片への分断は起こらない。
【0031】
保持部材4は、非常に小さい直径の貫通孔6を備え、そのうちの一つは、保持部材4の中心に位置していて、その他の貫通孔は、中心近くに線5一本に対して一つずつ分布している。すなわち、7つの孔部6が、その中の一つを中心にして、六角形の形に配置されている。貫通孔6は、線5よりもっと強度の低い亀裂発生部分を形成し、亀裂が確実に保持部材4の中心からスタートし、外側に向かって広がるようにしている。各線5毎に少なくとも一つの孔部6を形成することにより、複数の線5は、確実に同時に裂けて、可能な限りの最大の横断面を形成する。中央の孔部以外の貫通孔6は、中心から等距離のところに配置されている。他の実施形態の場合には、線5の数を6本以外の数にし、及び/又は一本の線5に複数の貫通孔6を設けることもできる。密封内張り9は、貫通孔6を閉じることができる。
【0032】
保持素子1の破裂圧力は、特に、貫通孔6の直径および位置、線5の深さ、および保持部材4を形成している材料の厚さおよび組成により決まる。
図2を見れば分かるように、保持部材4は溝7を備え、各溝7は線と保持部材4の円形縁部の交点を、前のものに隣接している線と保持部材4の円形縁部との交点に接続している線状セグメント上に形成される。しかし、図2は、平面図であり、保持部材4は、ドーム形をしている。それ故、溝7が、保持部材4の曲面に沿って延びていて、側面から見た場合、楕円の円弧になる。溝7および二つの隣接する線は三角形8を形成し、破けた場合、この三角形は、線のところで材料を切断することにより隣接する三角形から分離し、溝7に沿って折れ曲がることにより、下流で変形する。下流のダクトを損傷し、または下流のダクト内の流れを阻害して、圧力水頭効果を増大し、上流側の圧力を減圧させる恐れがある上記三角形8の破断を防止するために、溝7は、破断を起こさないように三角形8を折り曲げる。破断後の保持素子1による圧力水頭降下は、線5および溝7の数を増大すると少なくなる。線5および溝7の数は、また、保持素子1の直径により異なる。
【0033】
フランジ2の下流に配置されているフランジ3は、その内部に保護チューブ10が配置されている半径方向に延びる孔部により貫通されている。破裂検出装置は、下流側の保持部材4上に固定され、ループ状に配置されている電気ワイヤ11を備える。電気ワイヤ11は、保護チューブ10内を接続ユニット12のところまで延びる。電気ワイヤ11は、保持素子1のほぼ全直径上を延び、その中の一本のワイヤ部分11aは、上記線5に平行に、線5の一方の側面上に配置され、他のワイヤ部分11bは、上記線5に平行に、同じ線5の他方の側面上に半径方向に配置されている。二つのワイヤ部分11a、11bの間の距離は短い。この距離は、二つの貫通孔6の間の最大距離より短くすることができ、そのため、ワイヤ11は貫通孔6の間を通る。
【0034】
電気ワイヤ11は、上記ワイヤが腐食するのを防止し、また保持部材4の下流面上に、上記ワイヤを接着剤により接着するという両方の働きをする保護フィルム12によりカバーされる。このフィルム12の組成は、破裂素子1の破裂圧力の修正を避けるように選択される。フィルム12は、強度を下げたポリアミドから作ることができる。破裂素子が破裂しても、必ずしも、電気ワイヤ11は切断しない。電気ワイヤの切断は、ワイヤ11を流れる電流の流れの中断、または、別な方法としては、ワイヤ11の両端部の間の電位差により、簡単で信頼性の高い方法で検出することができる。
【0035】
図3に示すように、トランス13は、脚部15により地上に設置されている主エンクロージャ14を備え、絶縁体17でカバーされているワイヤ16により電気的エネルギーの供給を受ける。主エンクロージャ14は、例えば、絶縁オイルのような冷却材で満たされていて、通常、その目的は、1バールの内部ゲージ圧に耐えることである。
【0036】
主エンクロージャ14は、弾性補償装置スリーブ18を備え、その下流には破裂素子1が設置されている。破裂素子1が破裂すると、直ちに、トランスの電気的絶縁の破壊による爆燃のための圧力の変動を検出することができる。破裂素子1は、破裂素子1が破裂した後の主エンクロージャ14からのオイルを収集するためのタンク19により支持されている。タンク19は、オイルからのガスを大気中に放出するためのパイプ20を備える。トランスが狭い空間内に設置されている場合には、パイプライン20は、上記狭い空間の外に配置される。それ故、主エンクロージャ14は直ちに減圧され、特にタンク19内に排出される。破裂素子1は、例えば、0.2〜0.9バールのような1バール以下の特定の圧力で、好適には、0.9と0.8バールの間の圧力で破裂するように設計される。
【0037】
爆発性になる恐れがあるガスの燃焼、およびタンク19および主エンクロージャ14内でのオイルの燃焼を引き起こす恐れがある空気中の酸素の進入を防止するために、空気分離弁20aがパイプライン20内に設置される。
【0038】
トランス13は、供給リレー(図示せず)により供給を受ける。上記供給リレーは、トランス13を保護するためのものであり、トリップ動作センサを備えるサーキット・ブレーカのような供給遮断手段を備える。
【0039】
主エンクロージャ14は、窒素ガスのような不活性ガスを主エンクロージャの底部に注入することにより流体を冷却するための手段を備える。この冷却により、流体の分解による危険なガスの量を少なくし、上記量の危険なガス内の水素の割合を少なくすることができる。不活性ガスは、火工弁22、減圧装置23及び主エンクロージャ14の底部に不活性ガスを供給するためのパイプ24を備える少なくとも一つの加圧ビン21内に貯蔵される。弁22の開度は、トランス13の電気的保護装置の中の一つをトリガするための信号と一致させる破裂素子1と一体に形成されている破裂検出装置からの破裂信号により制御される。不活性ガスを注入すると、主エンクロージャ14内の絶縁流体のレベルが若干上昇し、タンク19内に流入する。
【0040】
このタイプの保護システムは経済的で、隣接プラントに関連して内蔵され、小型であり、保守を必要としない。
【0041】
図4のトランス13は、図3のトランスの電力レンジより高い電力レンジを持ち、一つまたはそれ以上のオンロード・タップ・チェンジャ、及び高電圧及び低電圧用の電気的フィードスルーを備える。
【0042】
主エンクロージャ14内の冷却材のレベルが必ず一定になるように、トランス13は、ダクト26を通して主エンクロージャ14と連絡しているトップアップ・タンク25を備える。
ダクト26は、流体の急速な運動を検出するや否や、ダクト26を閉鎖する自動弁27を備える。それ故、主エンクロージャ14が爆発した場合には、ダクト26内の圧力は急速に下がり、それにより液体が流れ始めるが、この流れは自動弁27が閉まるために急速に停止する。そのため、トップアップ・タンク25内の液体は、トランス13の火災を助長するのを防止する。
【0043】
主エンクロージャ14は、主エンクロージャの高い位置、通常は、ダクト26上に設置されているブッフホルツ・センサ28とも呼ばれる冷却材蒸気の存在を検出するためのセンサを備える。電気的絶縁の破壊による爆燃は、急速に主エンクロージャ14内の液体の蒸気を発生させる。それ故、蒸気センサ28は、電気的絶縁の破壊を検出するのに効果的である。
【0044】
トランス13は、そのエンクロージャ14と弾性補償装置スリーブ18との間に配置されている弁29を備える。上記弁29は、トランス13に電力が供給されている時には、何時でも開いていて、トランス13の動作を中止して、保守作業を行っている間は閉じることができる。破裂素子1の下流には、空気分離弁31を備える減圧ダクト30が設置されている。減圧ダクト30は、サンプ又は無害な流れに接続している。
【0045】
トランス13は、ネットワークに供給される電流が変動しても、必ず電圧が一定になるように、上記トランス13と、このトランスが接続される電気ネットワークとの間のインターフェースとして使用される一つまたはそれ以上のオンロード・タップ・チェンジャ32を備えることができる。オンロード・タップ・チェンジャ32は、減圧ダクト34を通して減圧ダクト30に接続しているエンクロージャ33を備える。ついでに説明すると、オンロード・タップ・チェンジャ32も可燃性冷却材で冷却される。この冷却材は量が少ないので、オンロード・タップ・チェンジャ32の爆発は、非常に激しく、燃焼中の冷却材の噴霧または噴射を伴う場合がある。減圧ダクト34は、ショートおよびそれによるオンロード・タップ・チェンジャ32内の過度の圧力が生じた場合に、裂けることができる破裂素子35を備える。上記破裂素子35は、参照番号1で示す破裂素子と類似のもので、適当な大きさのものである。それ故、上記オンロード・タップ・チェンジャ32のエンクロージャ33の爆発は防止される。
【0046】
トランス13は、高圧電気ネットワークへの接続を可能にする複数の電気的フィードスルー36を備える。図6は、電気的フィードスルーの例示としての実施形態を示す。電気的フィードスルー36は、その底部が主エンクロージャ14上に設置されていて、その上端部が固定されていない円筒形のエンクロージャ、すなわち、オイル・ボックス37を備える。主エンクロージャ14からの出力ロッド38は、一方の端部から他方の端部にオイル・ボックス37を貫通している。
【0047】
耐漏洩絶縁体39は、出力ロッド38と主エンクロージャ14の壁部との間に配置されている。同様に、絶縁体40は、出力ロッド38と通常の動作状態の場合には、ほぼ全体がオイルで満たされているオイル・ボックス37の固定されていない上端部との間に配置されている。
【0048】
ダクト41が、オイル・ボックス37の底部と、オンロード・タップ・チェンジャ32の減圧ダクト34とを接続している。破裂素子42は、ダクト41内に配置されていて、通常ダクトを閉鎖している。破裂素子42は、破裂素子1に類似していて、適当な寸法を持つ。
不活性ガスを注入するためのパイプライン43は、オイル・ボックス37の頂部に接続していて、また、一つまたはそれ以上のボトル21に接続している(図4)。
【0049】
電気的フィードスルーのショートの最大の原因は、老朽化した絶縁体39、または設置されている主エンクロージャ14の振動により割れた絶縁体である。ショートによりアークが発生すると、かなりの量のエネルギーが解放され、それによりオイルの温度が上昇し、ガスが発生し、オイル・ボックス37内の圧力が急激に増大する。圧力が増大すると、絶縁体39またはオイル・ボックス37を破裂させる。空気と接触すると、ガスが発火し、オイルがトランス13上に拡散する。その結果、広い範囲で火災が発生する。
【0050】
爆発中、絶縁体の損傷により、多くの場合、主エンクロージャ14からオイルの漏洩が起こり、火災が勢いを増し、トランス13、その付属品および隣接プラントのほうまで広がることになる。
逆に、本発明を使用した場合には、破裂素子42の破裂圧力は、オイル・ボックス37の保証圧力より低く設定される。圧力が増大すると、破裂素子42が破裂し、そのため、オイル・ボックス37は直ちに減圧し、オイルが流出する。内蔵ワイヤにより破裂を検出すると、周囲の空気からの酸素がオイル・ボックス37に流入し、オイルの流出を促進するのを防止するために、パイプライン43を通して不活性ガスを注入することができる。トランス13の電気的保護装置によりトランス13を遮断するために、トランス13をトリップすることができる。そのため、破損したフィードスルーだけを修理するだけで済むので、トランス13のコストが少なくて済み、故障が少なくなる。
【0051】
トランス13は、また、破裂素子1、35および42の各破裂検出装置に接続している制御モジュール(図示せず)を備える。破裂素子1、35または42の中のどれかの破裂が検出されると、同時にトランスの電気的保護装置がトリップして、主エンクロージャ14、オンロード・タップ・チェンジャ32および電気的フィードスルー36内に不活性ガスが注入される。何故なら、これらの素子の中のどれかがショートすると、多くの場合、他の素子も損傷を被るからである(図5)。その上、トランス13は、電気的保護装置自身だけでも遮断される。図5を見れば分かるように、トランスの電気的保護装置(ブッフホルツ、電流サージ検出装置、アース故障検出装置、差動保護装置)の中の一つ、および破裂素子の中の一つがトリップすると、可燃性流体を含むすべての素子内に不活性ガスが注入される。
【0052】
制御モジュールは、また、爆発防止が失敗した場合、消火をトリガするために、火災検出装置、蒸気センサ28(ブッフホルツ)および供給リレー・トリップ・セルのような補助センサに接続することができる。
それ故、本発明は、絶縁破壊による重大な結果を軽減するために、絶縁破壊を非常に迅速に検出し、同時に作動する、トランスの素子を少し修正するだけですむ、トランスの爆発を防止するためのデバイスを提供する。このデバイスは、オイル・コンテナの爆発、それによる火災を防止して、トランスおよびオンロード・タップ・チェンジャ、およびフィードスルー内のショートによる損傷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、本発明の爆発防止デバイスの断面図である。
(b)は、図1の(a)の部分拡大図である。
【図2】 図1に対応する平面図である。
【図3】 本発明の爆発防止デバイスを備えるトランスの全体図である。
【図4】 本発明のエンクロージャ、オンロード・タップ・チェンジャ、およびフィードスルーを保護するための複数の爆発防止デバイスを備えるトランスの全体図である。
【図5】 本発明による、図4のデバイスの動作ロジックを示す略図である。
【図6】 本発明の爆発防止デバイスを備えるフィードスルーの断面図である。

Claims (7)

  1. トランス(13)の爆発を防止するためのデバイスであって、可燃性冷却材で満たされているエンクロージャと、前記トランスの前記エンクロージャを減圧するための手段とを備えたものであって、前記減圧手段が、保持部材の残りの部分と比較した場合、厚さが薄く、破裂素子が破裂した場合、小さな破片にならないで裂けることができる複数の第1のゾーンと、前記保持部材の残りの部分と比較した場合、厚さが薄く、前記素子が破裂した場合、裂けないで折れ曲がることができる複数の第2のゾーンを持つ破裂部材を含む1つの保持部材(4)を備える前記破裂素子(1)を備え、前記破裂素子が、前記エンクロージャ(14)内の圧力が所定の上限値を超えた場合に、破断することができ、冷却材側に配置されて、前記保持部材内に形成されている直径の小さな孔部(6)を塞ぐことができる密封部材を備えているデバイスであって、前記保持部材(4)には非常に小さい直径の貫通孔(6)が前記保持部材(4)の中心及び/又は前記中心の近傍に設けられ、前記減圧手段は、前記保持部材(4)に設けられた電気ワイヤ(11)を含む破裂検出器を有している前記デバイスにおいて、
    前記電気ワイヤ(11)は前記貫通孔(6)の間を通過するよう前記第1のゾーンの幾つかに対応する線(5)に沿って前記保持部材(4)の全直径の殆どに亘って半径方向に伸長していることを特徴とするデバイス。
  2. 請求項1に記載のデバイスにおいて、前記密封部材が、前記保持部材上の内張り(9)を形成していて、前記内張りが、好適には、ポリテトラフルオロエチレンをベースとするものであることを特徴とするデバイス。
  3. 請求項1又は2に記載のデバイスにおいて、前記保持部材が、冷却材に対向している側で、外側に凸状に突出しているドーム形をしていることを特徴とするデバイス。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載のデバイスにおいて、前記保持部材が、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような金属製であることを特徴とするデバイス。
  5. 前記請求項のいずれか1つに記載のデバイスにおいて、前記電気ワイヤが、前記冷却材に対して、前記保持部材の対向側に配置されていて、前記電気ワイヤが保護フィルム(12)でカバーされていることを特徴とするデバイス。
  6. 可燃性冷却材で満たされているエンクロージャ(14)と、前記トランスの前記エンクロージャ内を減圧するための手段とを備える、トランス(13)の爆発を防止するためのシステムであって、該システムが、前記請求項のいずれか1つに記載の複数のデバイスを備える巻線を含み、主エンクロージャ(14)上にその中の一つが位置し、各オンロード・タップ・チェンジャ(32)上にその中の一つが位置することを特徴とするシステム。
  7. 請求項6に記載のシステムにおいて、前記システムが、少なくとも一つの電気的フィードスルー(36)上に請求項1から5のいずれか1つに記載の少なくとも一つのデバイスを備えることを特徴とするシステム。
JP2000607234A 1999-03-22 2000-03-17 トランスの爆発を防止するためのデバイス Expired - Lifetime JP5051940B2 (ja)

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