JP5050975B2 - 画像処理装置、画像読取装置、画像形成装置および画像処理システム - Google Patents

画像処理装置、画像読取装置、画像形成装置および画像処理システム Download PDF

Info

Publication number
JP5050975B2
JP5050975B2 JP2008103408A JP2008103408A JP5050975B2 JP 5050975 B2 JP5050975 B2 JP 5050975B2 JP 2008103408 A JP2008103408 A JP 2008103408A JP 2008103408 A JP2008103408 A JP 2008103408A JP 5050975 B2 JP5050975 B2 JP 5050975B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coefficient
color
spectral reflectance
calculating
calculated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008103408A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008289137A (ja
Inventor
文雄 仲谷
裕一 市川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2008103408A priority Critical patent/JP5050975B2/ja
Publication of JP2008289137A publication Critical patent/JP2008289137A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5050975B2 publication Critical patent/JP5050975B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Color, Gradation (AREA)
  • Image Processing (AREA)
  • Facsimile Image Signal Circuits (AREA)
  • Color Image Communication Systems (AREA)

Description

本発明は、被撮像物を光学的に読み取る技術に関する。
スキャナ装置を備えたカラー複写機等の画像形成装置によって被撮像物を読み取る際には、まず、ラインセンサ等の受光素子により、レッド、グリーンおよびブルーの3色の波長域において原稿からの反射光を検知する。そして、各波長域における分光反射率を求めるなどの所定の画像処理を経て、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色の色成分からなる、多値の画像データを生成する。受光素子によって検知可能な波長域が多くなるほど、各波長域における分光反射率の組み合わせによって表現される色数が増加するため、被撮像物の色をより忠実に再現した画像を形成することができる。そこで、被撮像物からの反射光をより多くの波長域で検知する、つまり被撮像物をより多色で読み取るための技術が従来から望まれている。例えば特許文献1,2には、複数のカラーフィルタを切り替えながら被撮像物を4色以上で読み取る技術が提案されている。非特許文献1には、LABPQRと呼ばれ、真の分光反射率と一般化逆行列で求めた分光反射率との差異を、物理的意味を持たない値を用いて各々の分光反射率の差異を推定し、真の分光反射率を算出するという技術が提案されている。
特開昭61−84150号公報 特開平5−110767号公報 M.W.Derhak, M.R.Rosen, "Journal of Imaging Science and Technology", pp50, pp53-63, 2006
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被撮像物からの反射光を検知し得る波長域の数が増大したとしても、その反射光から求められた分光反射率のデータ量の増加を抑制する技術を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明に係る表示制御装置は、照射光を被撮像物に照射したときの前記被撮像物からの反射光の強度と、前記照射光の照射強度とに基づいて、複数の波長域における分光反射率をそれぞれ算出する分光反射率算出手段と、前記分光反射率算出手段によって算出された分光反射率に基づいて表色値を算出する第1の表色値算出手段と、前記分光反射率算出手段によって算出された各々の前記波長域における分光反射率を、1又は複数の所定の色に対応する波長の光の分光感度に基づいてそれぞれ定義された1又は複数の第1の固有ベクトル、及び、当該第1の固有ベクトルとは異なる1又は複数の第2の固有ベクトルの線形結合によって表したときの、それぞれの固有ベクトルに対する係数を算出する第1の係数算出手段と、前記第1の表色値算出手段によって算出された表色値と、前記第1の係数算出手段によって算出された複数の前記係数のうち前記第1の固有ベクトルに対する係数とを出力する第1の出力手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る画像処理装置は、上述の画像処理装置によって出力された係数を係数として、前記第1の固有ベクトルを線形結合させて表色値を算出する第2の表色値算出手段と、上述の画像処理装置によって出力された前記表色値と前記第2の表色値算出手段によって算出された表色値との差分を、前記第2の固有ベクトルの線形結合によって表したときの、当該第2の固有ベクトルに対する係数を算出する第2の係数算出手段と、前記第2の係数算出手段によって算出された係数と、請求項1記載の画像処理装置によって出力された前記係数とに応じたデータを出力する第2の出力手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る画像処理装置において、前記所定の色は、赤、緑および青のうち少なくともいずれか1の色であることが好ましい。また、前記第1および第2の固有ベクトルは、三角関数を用いて定義された固有ベクトルであることが好ましい。また、前記表色値は、明度に関連する成分と色相または彩度に関連する成分とで定義された色空間における表色値であることが好ましい。
また、本発明に係る画像処理装置において、前記第2の係数算出手段によって算出された係数、及び、請求項1記載の画像処理装置によって出力された前記係数を係数とする、前第1及び第2の固有ベクトルの線形結合によって表される色を表現するための複数の色材の量をそれぞれ算出する色材算出手段を備え、前記第2の出力手段は、前記色材算出手段によって算出された色材の量を出力するようにしてもよい。
また、本発明に係る画像処理装置において、前記第1の係数算出手段は、前記第1及び第2の固有ベクトルの各々について、複数の前記波長域における分光反射率と各々の当該波長域に対応する固有ベクトルの値との積をすべての前記波長域で加算した値から各々の前記係数を求める演算式を記憶しており、前記分光反射率算出手段によって算出された分光反射率と、記憶している前記演算式とを用いて、各々の前記係数を算出するようにしてもよい。
また、本発明に係る画像読取装置は、或る分光エネルギー分布の照射光を光源から被撮像物に対して照射する照射手段と、前記照射手段によって照射光が照射された被撮像物からの反射光の強度と、前記照射光の照射強度とに基づいて、複数の波長域における分光反射率をそれぞれ算出する分光反射率算出手段と、前記分光反射率算出手段によって算出された分光反射率に基づいて表色値を算出する第1の表色値算出手段と、前記分光反射率算出手段によって算出された各々の前記波長域における分光反射率を、1又は複数の所定の色に対応する波長の光の分光感度に基づいてそれぞれ定義された1又は複数の第1の固有ベクトル、及び、当該第1の固有ベクトルとは異なる1又は複数の第2の固有ベクトルの線形結合によって表したときの、それぞれの固有ベクトルに対する係数を算出する第1の係数算出手段と、前記第1の表色値算出手段によって算出された表色値と、前記第1の係数算出手段によって算出された複数の前記係数のうち前記第1の固有ベクトルに対する係数とを出力する第1の出力手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る画像形成装置は、上述の画像処理装置によって出力された前記係数を係数として、前記第1の固有ベクトルを線形結合させて表色値を算出する第2の表色値算出手段と、上述の画像処理装置によって出力された表色値と前記第2の表色値算出手段によって算出された表色値との差分を、前記第2の固有ベクトルの線形結合によって表したときの、当該第2の固有ベクトルに対する係数を算出する第2の係数算出手段と、前記第2の係数算出手段によって算出された係数と前記第1の固有ベクトルに対する係数を用いて表される色を表現するための複数の色材の量をそれぞれ算出する色材算出手段と、前記色材算出手段によって求められた量の前記色材を用いて記録材に画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る画像処理システムは、照射光を被撮像物に照射したときの前記被撮像物からの反射光の強度と、前記照射光の照射強度とに基づいて、複数の波長域における分光反射率をそれぞれ算出する分光反射率算出手段と、前記分光反射率算出手段によって算出された分光反射率に基づいて表色値を算出する第1の表色値算出手段と、前記分光反射率算出手段によって算出された各々の前記波長域における分光反射率を、1又は複数の所定の色に対応する波長の光の分光感度に基づいてそれぞれ定義された1又は複数の第1の固有ベクトル、及び、当該第1の固有ベクトルとは異なる1又は複数の第2の固有ベクトルの線形結合によって表したときの、それぞれの固有ベクトルに対する係数を算出する第1の係数算出手段と、前記第1の表色値算出手段によって算出された表色値と、前記第1の係数算出手段によって算出された複数の前記係数のうち前記第1の固有ベクトルに対する係数とを出力する第1の出力手段とを有する第1の装置と、前記第1の出力手段によって出力された係数を係数として、前記第1の固有ベクトルを線形結合させた表色値を算出する第2の表色値算出手段と、前記第1の出力手段によって出力された表色値と前記第2の表色値算出手段によって算出された表色値との差分を、前記第2の固有ベクトルの線形結合によって表したときの、当該第2の固有ベクトルに対する係数を算出する第2の係数算出手段と、前記第2の係数算出手段によって算出された係数と、前記第1の出力手段によって出力された前記係数とに応じたデータを出力する第2の出力手段とを有する第2の装置とを備えることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、被撮像物の色をさらに正確に表す分光反射率のデータを得ると共に、被撮像物からの反射光を検知し得る波長域の数が増大したとしても、その反射光から求められた分光反射率のデータ量の増加を抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、データ量が抑制された分光反射率と表色値とに基づいて、被撮像物の色を表す分光反射率を正確に表すことができる。
請求項3に係る発明によれば、分光反射率のデータに応じて分光反射率の特性や色成分の強度を推測することができる。
請求項4に係る発明によれば、三角関数を用いて固有ベクトルを一義的に定義することができる。
請求項5に係る発明によれば、ユーザにとって直観的に色を認識しやすくすることができる。
請求項6に係る発明によれば、被撮像物の色を再現した画像を形成するための色材を出力することができる。
請求項7に係る発明によれば、回帰分析による演算を行う場合と比較して、係数を求めるための演算時間を短縮することができる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、被撮像物の色に応じて必要な固有ベクトルの数を決定するので、被撮像物の色を忠実に表すデータを得ると共に、被撮像物からの反射光を検知し得る波長域の数が増大したとしても、その反射光から求められた分光反射率のデータ量の増加を抑制することができる。
請求項9に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、被撮像物の色をさらに正確に表す分光反射率のデータを得ると共に、被撮像物からの反射光を検知し得る波長域の数が増大したとしても、その反射光から求められた分光反射率のデータ量の増加を抑制することができ、さらに、被撮像物の色を再現した画像を形成することができる。
請求項10に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、被撮像物の色をさらに正確に表す分光反射率のデータを得ると共に、被撮像物からの反射光を検知し得る波長域の数が増大したとしても、その反射光から求められた分光反射率のデータ量の増加を抑制することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、以下に説明する被撮像物Oは、紙やOHPシートのようなシート状の形状に限らず、その形状はどのようなものであってもよい。また、可視光領域をおおよそ波長が400〜700nmの範囲とする。
まず、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能的な構成を示したブロック図である。画像形成装置1は、印刷物などから画像を読み取る画像読取部10と、画像データに基づいて記録シート(媒体)に画像を形成する画像形成部20と、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備えた演算装置である制御部30と、各種データや制御部30が行う動作手順が記述されたプログラムを記憶するHD(Hard Disk)のような記憶部40と、画像データに対して画像処理を施す画像処理部50と、ユーザにより操作入力が行われるとともにユーザに対する表示を含む報知が可能なタッチパネル等のユーザインタフェースである操作表示部60と、ネットワークを介して通信を行うためのインターフェース装置である通信部70とを備えている。より具体的には、画像処理部50は複数のASIC(Application Specific Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)等の画像処理回路や、画像データを一時的に記憶するイメージメモリ等を備えており、それぞれの画像処理回路によって各種の画像処理が実行される。
次に、図2は、画像形成装置1の装置構成を示した図である。
画像読取部10はいわゆるイメージスキャナの機能を有し、画像形成部20はいわゆるプリンタの機能を有する。このうち、画像読取部10は、プラテンガラス11と、プラテンカバー12と、フルレートキャリッジ13と、ハーフレートキャリッジ14と、結像レンズ15と、ラインセンサ16とを備える。
プラテンガラス11は、読み取り対象となる被撮像物Oが置かれる透明なガラス板である。プラテンガラス11は、その表面が水平となるように設置されている。また、プラテンガラス11の表面には、多層誘電体膜等の反射抑制層が形成されており、プラテンガラス11表面での反射が軽減されるようになっている。これは、本来読み取るべき成分である被撮像物Oの表面からの反射光成分と不要な成分であるプラテンガラス11表面からの反射光成分が合成した状態で読み取られるのを防止するためである。なお、被撮像物Oからの反射光成分とプラテンガラス11表面からの反射光成分を分離することを目的に、例えばスペーサを設けるなどして被撮像物O表面とプラテンガラス11表面を所定の間隔だけ離間させるようにしてもよい。
プラテンカバー12はプラテンガラス11を覆うように設けられており、外光を遮断してプラテンガラス11上に置かれた被撮像物Oの読み取りを容易にする。フルレートキャリッジ13は光源とミラーとを備える。光源は、標準の光D65を照射する光源である。
図3は、各種の光源の分光エネルギー分布を示した図である。
光D65は、JIS規格である光源の状態が色温度6500K(ケルビン)に近似しており、合成昼光又は直射日光を避けた自然光に類似する光である。図示のように、光D65の分光エネルギー分布は、約400〜700nmの範囲にわたっておおよそ均一である。このため、光D65は、一般的な色評価に用いられる光として知られている。本実施形態では、この光D65に近似する光源としてキセノンランプを用いている。また、光源は、被撮像物Oに対して所定の入射角(例えば45°)と強度で光を照射する。ミラーは被撮像物Oからの反射光をさらに反射し、この光をハーフレートキャリッジ14へと導く光路(図中の一点鎖線)を形成する。フルレートキャリッジ13は走査時において図2中の矢印AまたはBの方向に移動し、被撮像物Oに光を照射しながら全面を走査する。
ハーフレートキャリッジ14はミラー141、142を備え、フルレートキャリッジ13からの光を結像レンズ15へと導く光路を形成する。また、ハーフレートキャリッジ14は図示せぬ駆動機構によって駆動され、走査時においてフルレートキャリッジ13の半分程度の速度でフルレートキャリッジ13と同じ方向へと移動される。
結像レンズ15及びプリズム17は、ミラー142とラインセンサ16とを結ぶ光路上に設けられており、被撮像物Oからの光をラインセンサ16の位置で結像する。ここで、図4は、プリズム17とラインセンサ16の構成をより詳細に示す図である。ラインセンサ16は、例えば31列の受光素子列16−1,16−2,16−3,・・・,16−30,16−31を有している。被撮像物Oの或る領域からの反射光がプリズム17の位置に到達すると、その反射光がプリズム17によって分光される。ここでは可視光領域(400nm〜700nm)に属する光が波長10nm間隔で分光されるものとする。これにより、被撮像物からの反射光は、図中矢印で示したように、400〜410nm,410nm〜420nm,420nm〜430nm,・・・,680〜690nm,690nm〜700nmというように、計31個の波長域に分光されることになる。一方、ラインセンサ16も、これらの波長域の数に対応して、各々の波長域に応じて検知感度が調整された31列の受光素子列16−1,16−2,16−3,・・・,16−30,16−31を有している。このようにプリズム17によって分光された各波長域の光が、ラインセンサ16のそれぞれの受光素子列16−1,16−2,16−3,・・・,16−30,16−31に入射されると、各受光素子列によって各々の光の強度が検知され、その強度に応じた画像信号が生成される。これらの画像信号は、画像処理部50に供給される。
続いて、画像形成部20の構成を説明する。画像形成部20は、複数の給紙トレイ21と、複数の搬送ロール22と、一次転写ユニット23a、23bおよび23cと、中間転写ベルト24と、二次転写ロール25と、バックアップロール26と、一次定着機構27と、切替機構28と、二次定着機構29とを備える。
給紙トレイ21はそれぞれ所定のサイズのシートを収容し、このシートを画像形成に合わせて供給する。ここでシートとは、いわゆるPPC(Plain Paper Copier)用紙等の画像形成において通常用いられる用紙であるが、必要に応じて、表面に樹脂等のコーティングがなされた用紙や紙以外の材質のシートを用いることもできる。搬送ロール22は給紙トレイ21により供給されたシートを二次転写ロール25とバックアップロール26が対向する位置に搬送する搬送経路を形成する。シートの搬送経路とは、図2において破線で示した経路のことである。一次転写ユニット23a、23bおよび23cは供給される画像データに応じたトナー像を形成し、形成したトナー像を中間転写ベルト24に転写する。
ここで図5を参照し、一次転写ユニット23aおよび23bの構成をより詳細に説明する。なお、一次転写ユニット23aおよび23bは、用いるトナーが異なるのみであって、それぞれの構成は同様である。そこで、ここでは各構成要素に付したa、bの符号を省略して説明する。一次転写ユニット23は、感光体ドラム231と、帯電器232と、露光器233と、現像ユニット234、235、236および237と、一次転写ロール238とを備える感光体ドラム231は表面に電荷受容体として有機光導電体からなる光導電層が形成された像保持体であり、図中の矢印Cの方向に回転される。帯電器232は帯電ローラを備えており、感光体ドラム231表面を一様に帯電させる。露光器233はレーザダイオードにより感光体ドラム231に光を照射し、その表面に所定の電位の静電潜像を形成する。現像ユニット234、235、236および237は、それぞれ異なる色のトナーを収容するとともに感光体ドラム231表面との間に所定の電位差(現像バイアス)を生じさせ、この電位差により感光体ドラム231表面に形成された静電潜像にトナーを付着させることによってトナー像を形成する。現像ユニット234〜237は、いわゆるロータリー方式の現像装置を構成している。一次転写ロール238は、中間転写ベルト24が感光体ドラム231と対向する位置において所定の電位差(一次転写バイアス)を生じさせ、この電位差により中間転写ベルト24表面にトナー像を転写させる。また、一次転写ユニット23cは単色の現像器で、一次転写ユニット23aおよび23bとは収容されるトナー数が異なるのみで、その他の動作はほぼ同じであるから、その説明を省略する。
画像形成部20によって現像に用いられるトナーは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色に加え、レッド、オレンジ、グリーン、ブルーの4色(以上の8色を「カラートナー」という。)と、さらに透明色のトナー(以下「透明トナー」という。)があり、合わせて9色である。透明トナーとは、色材を含まないトナーのことであり、例えば低分子量のポリエステル樹脂にSiO(二酸化シリコン)やTiO(二酸化チタン)を外添したものである。透明トナーによるトナー像を画像の全体に形成することによって、画像の各位置におけるトナー量の差に起因する段差が低減され、画像表面の凹凸が目立ちにくくなるという効果がある。なお、これらのトナーは、使用される頻度等に応じて、一次転写ユニット23a、23bおよび23cの適当な位置に収容されるが、透明トナーについては、カラートナーよりも先に転写されるのが望ましい。これは、シート表面において透明トナーがカラートナーを覆うように転写されるようにするためである。
ここで、参照する図面を図2に戻し、画像形成部20のその他の構成要素について説明する。中間転写ベルト24は、図示せぬ駆動機構によって図中の矢印Dの方向に移動される無端のベルト部材である。中間転写ベルト24は、感光体ドラム231a、231bおよび231cと対向する位置においてトナー像を転写(一次転写)され、これを移動させてシートに転写(二次転写)させる。二次転写ロール25およびバックアップロール26は、中間転写ベルト24がシートと対向する位置において所定の電位差(二次転写バイアス)を生じさせ、シートにトナー像を転写させる。一次定着機構27はシートを加熱および加圧するためのロール部材を備えており、シートの表面に転写されたトナー像を定着させる。切替機構28は、シートの表面に形成されているトナー像の種類に応じてシートの搬送経路を異ならせる。具体的には、切替機構28は、トナー像が透明トナーを含んでいるシートを図中の矢印Rの方向へと搬送させ、その他のシートを図中の矢印Lの方向へと搬送して排出させる。
二次定着機構29は、定着ベルト291と、ヒータ292と、ヒートシンク293とを備えている。二次定着機構29は、一次定着機構27においていったん加熱・加圧定着されたシートにヒータ292でさらに熱を加え、トナーを再度溶融状態にする。そして、二次定着機構29はシートを表面の平滑な定着ベルト291に密着させたままヒートシンク293で冷却し、トナーを固着させる。このような定着処理を行うことで、表面が平滑で光沢度の高いトナー像を形成することができる。
次に、画像形成処理の概要について説明する。
画像読取部10のフルレートキャリッジ13は、光源の光を照射して被撮像物Oを読み取って(以下、「スキャン動作」という)、画像信号を生成する。そして、画像処理部50は、スキャン動作で得られた各々の画像信号から画像データを生成して、分光反射率を算出する。
ところで、画像形成装置においては、分光反射率は離散値で算出される。すなわち、実際に画像形成等の処理に用いられる波長域(例えば、可視光領域)の分光反射率が所定の数だけ算出(抽出)される。以下、或る波長域から抽出された「分光反射率」(離散値)に対して、これらの分光反射率を回帰分析等によって推定値を得られるようにしたもの(連続量)を「分光反射率推定関数」と呼ぶこととする。
分光反射率を連続量として捉えることができれば、波長の変化に対してその値が滑らかに変化する曲線を描く。したがって、分光反射率が離散値として算出される際には、より波長間隔δをなるべく小さくし、より多くの数の分光反射率が算出されるほうが、被撮像物の色をより忠実に再現した分光反射率が得られる。多くの場合には波長間隔δ=10nmとすれば、十分な精度で分光反射率推定関数が求められる。波長間隔δ=10nmとした場合、分光反射率が抽出される波長域を可視光領域である400〜700nmとすれば、1画素につき31個の分光反射率が抽出される。ところが、一般的な構成の画像形成装置を用いた場合には、R,G,Bの3つの波長域で被撮像物を読み取るだけだから1画素につき3個の値を信号線やバス上で伝送すればよい。よって、画像形成装置が1画素につき31個の分光反射率を抽出した場合には、画像データ全体では、(1画素あたりの分光反射率の抽出数)×(画素数)の数となってしまい、従来の約10倍もの膨大な数の値(データ)を信号線や、バス、ネットワーク上で伝送しなければならない。これでは、分光反射率をデータとして伝送するだけで相当な時間を要する。
そこで、伝送するべき分光反射率を表すデータを低減させるために、画像形成装置1は算出したm個の分光反射率のデータ量を小さくする処理を実行する。より具体的には、m個の分光反射率を、それよりも少数のn個の固有ベクトルを用いて表す。つまり、予め決められたn個の固有ベクトルに対する係数が決まれば、分光反射率推定関数が一意的に決定されるから、データ量が低減されるのである。データ量の低減の効果を得るためには、当然、固有ベクトルの数は少数である方が好ましい。その一方で、分光反射率推定関数と、被撮像物から算出された分光反射率との差異を小さくするためには、様々な特性を有する分光反射率が、寄与率が比較的大きな固有ベクトルによって構成されている必要がある。
ここで、分光反射率が、寄与率が比較的大きな固有ベクトルによって表されることについて説明する。上述したように、分光反射率は、本来は連続量で、波長の変化に対して滑らかに変化する曲線を描くことができる波長域が多い。換言すれば、波長域が近接する分光反射率は近い値を示すことが多いということになる。これは、波長域が近接する2種類の光の特性が類似することに起因するものであり、これらの光がある被撮像物に照射された場合の、反射光の強度においても類似した特性を示す。したがって、或る波長域の分光反射率と、別の或る波長域の分光反射率には相関関係があるといえ、分光反射率には寄与率が比較的大きな固有ベクトルが存在するということができる。よって、固有ベクトルを用いて分光反射率推定関数を表すことが、データ量を低減させる効果的な手段となりうるのである。
次に、n個の固有ベクトルを用いて分光反射率推定関数を表した場合の、固有ベクトルe(λ)(i=1,・・・,n)と分光反射率推定関数ρ(λ)との関係式を、次式(1)に示す。固有ベクトルe(λ)に対する係数をwとする。
Figure 0005050975
式(1)において、係数wの算出手順は、まず、ρ(λ)に1画素につきm個ずつ抽出された分光反射率の値を代入する。そして、固有ベクトルe(λ)〜e(λ)はすでに定義されているから、最小二乗法等の回帰分析によって最適な係数wが算出される。つまり、係数wは、画像処理部50によって算出された分光反射率と分光反射率推定関数ρ(λ)との差異が可能な限り小さくなるように、適切な値が算出される。
ここで、上記の固有ベクトルe(λ)について具体的に説明する。本実施形態では、固有ベクトルの数nを6とし、6個の固有ベクトルe(λ)〜e(λ)と、それぞれの固有ベクトルに対する係数w〜wとの線形結合によって、分光反射率推定関数ρ(λ)が表される。固有ベクトルe(λ)〜e(λ)は、下記式(2)〜(7)に示したように定義される。なお、λmaxは、分光反射率推定関数ρ(λ)を表す波長域のうち最も高い波長を表し、ここでは700nmとする。λminは、分光反射率推定関数ρ(λ)を表す波長域のうち最も低い波長を表し、ここでは400nmとする。
Figure 0005050975
ここで、固有ベクトルe(λ)〜e(λ)のそれぞれの定義の仕方について説明する。
まず、固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)は、それぞれ赤(R),青(B),緑(G)に対応する波長の光の分光感度に近い特性となるように、三角関数を用いて定義されている。図6は、固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)を図示したものである。同図において、横軸は波長λを表し、縦軸を波長λに対する固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)の値を表している。図6および式(2)〜(4)に示したように、固有ベクトルe(λ)は、可視光領域において1/4波長分のサインカーブを描くように定義されている。具体的には、固有ベクトルe(λ)は、e(400nm)=0、e(700nm)=1として、波長が長くなるほど固有ベクトルの値が大きくなるサイン関数である。これにより、図6に示すように、固有ベクトルe(λ)は、赤(R)に対応する波長の光の分光感度に近似した曲線となる。固有ベクトルe(λ)は、可視光領域において1/4波長分のコサインカーブを描くように定義されている。具体的には、固有ベクトルe(λ)は、e(400nm)=1、e(700nm)=0として、波長が長くなるほど固有ベクトルの値が小さくなるコサイン関数である。これにより、図6に示すように、固有ベクトルe(λ)は、青(B)に対応する波長の光の分光感度に近似した曲線となる。固有ベクトルe(λ)は、可視光領域において1/2波長分のサインカーブを描くように定義されている。より具体的には、固有ベクトルe(λ)は、e(400nm)=e(700nm)=0とし、400nmと700nmとの中間の波長であるλ=550nmにおいて、極大値e(550nm)=1としたサイン関数である。これにより、図6に示すように、固有ベクトルe(λ)は、緑(G)に対応する波長の光の分光感度に近似した曲線となる。
以上のように、6個の固有ベクトルのうち固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)は、それぞれR,B,Gの分光感度に基づいた三角関数を用いて定義されている。これらの固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)を、以下では「第1の固有ベクトル」と呼ぶ。所定の色に対応する波長の光の分光感度に基づいて第1の固有ベクトルを定義することにより、これらに対する係数に応じて、被撮像物を表す色に含まれる各色成分の強度を推測することができる。
一方、固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)は、上記のe(λ),e(λ),e(λ)よりも周期の短い三角関数を用いて定義されている。図7は、固有ベクトルe(λ),e(λ)およびe(λ)を図示したものである。図7において、横軸は波長λを表し、縦軸を波長λに対する固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)の値を表している。図7および式(5)〜(7)に示したように、可視光領域において固有ベクトルe(λ)は3/4波長分のコサインカーブ、e(λ)は1波長分のサインカーブ、e(λ)は5/4波長分のコサインカーブを描くように定義されている。これらは、6個の固有ベクトルe(λ)〜e(λ)を用いて分光反射率推定関数ρ(λ)を算出するときに、被撮像物の様々な色を表す分光反射率を精度良く表すことができることを考慮して定義されている。すなわち、周期の短い三角関数を用いることによって、波長の変化に対して値が大きく変化する分光反射率であっても、精度良く分光反射率推定関数ρ(λ)を算出することができる。以上のように、第1の固有ベクトルとは異なる固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)を、以下では第2の固有ベクトルと呼ぶ。
以上説明した第1および第2の固有ベクトルは、いずれも三角関数を用いて一義的に定義されているから、例えば、母集団を構成する分光反射率に主成分分析を施して固有ベクトルを定める手法のように、固有ベクトルが母集団に依存するということがない。
次に、操作者の指示に応じて、画像形成装置1が画像を形成する処理を実行するまでの動作について説明する。
まず、画像形成装置1が分光反射率推定関数ρ(λ)を表すべく、各々の固有ベクトルに対する係数を算出して出力する「符号化処理」について説明する。図8は、画像形成装置1が実行する符号化処理の手順を示したフローチャートである。以下、図面を適宜参照しつつ、符号化処理の流れについて説明する。
まず、制御部30は、プラテンガラス11に被撮像物Oが置かれ、操作者が画像形成処理の開始を指示すると、画像読取部10に、被撮像物Oに光源の光を照射して画像信号を生成させる。そして、画像処理部50は、画像読取部10から画像信号が供給されると、画像信号に基づいた画像データを生成する(ステップS1)。次に、画像処理部50は、画像データの各画素について、照射光を被撮像物Oに照射したときの被撮像物Oからの反射光の強度とその照射光の照射強度とに基づいて分光反射率を算出する(ステップS2)。ここでは、可視光領域(400nm≦λ≦700nm)において、波長間隔δ=10nmとして、1画素につき31個の分光反射率が算出されるものとする。
続いて、画像処理部50は、ステップS2で算出した分光反射率に基づいて、画像データの各画素について、第1の表色系であるCIELAB色空間における表色値を算出する(ステップS3)。ここでは、画像処理部50は、分光反射率に基づいて、種々の周知技術を用いて明度に関連する成分L*と、色相と彩度に関連する成分とで定義された色座標a*,b*とを算出する。CIELAB色空間や、後述するCIEXYZ表色系での表色値の算出方法については、例えば「”Colorimetry, Third Edition”, CIE 15, 2004」に説明されている。CIELAB色空間を用いる理由は、表色値が心理量で表されるため、例えば、操作者が操作表示部60に表示された表色値L*、a*,b*を視認することにより、直観的におおよその色を認識することができるようにするためである。
また、画像処理部50は、同じくステップS2で算出した分光反射率に基づいて、上記の固有ベクトルe(λ)〜e(λ)に対する係数w〜wを、最小二乗法等の回帰分析を用いて算出する(ステップS4)。画像処理部50が係数w〜wを算出したら、固有ベクトルe(λ)〜e(λ)と係数w〜wとに基づいて、分光反射率推定関数ρ(λ)を表すことができる。
次に、画像処理部50は、ステップS4で算出した係数のうち第1の固有ベクトルに対する係数w〜wを、ステップS3で算出した表色値L*,a*,b*とともに、制御部30に出力する(ステップS5)。以下では、画像処理部50が制御部30に出力する係数を「符号化係数」と呼ぶ。画像処理部50は、制御部30に対して、画像データの画素毎に符号化係数w,w,wと、表色値L*,a*,b*との計6個の信号を出力することになる。制御部30は、この符号化係数w,w,wと表色値L*,a*,b*とを、例えば操作表示部60に表示することができる。操作者は表示された表色値L*、a*,b*を視認することにより、直観的におおよその色を認識することが可能である。
以上が、符号化処理に関する説明である。
図9は、ある被撮像物について、画像処理部50によって算出され、31個のデータで表される分光反射率と、6個の係数w〜wによって特定される分光反射率推定関数ρ(λ)とを表したグラフである。図において、分光反射率推定関数ρ(λ)を実線で表し、画像処理部50によって算出された分光反射率を破線で表す。図9を見て判るように、分光反射率を表すデータを31個から固有ベクトルの数である6個という具合におよそ2割に減らしても、可視光領域において各々は概ね一致する。図10は、被撮像物を表す擬似物体色1000色について表した分光反射率推定関数ρ(λ)と、画像処理部50によって算出された分光反射率との差分の標準偏差を表した図である。図10を見て判るように、標準偏差は可視光領域でおよそ0.04を下回っており、各々は可視光領域において概ね一致しているといえる。
なお、図示した標準偏差は0.01が1%の誤差に相当する。また、擬似物体色の生成方法については「N. Ohta, ”A Simplified Method for Formulating Pseudo-Object Colors”, Color Research and Application, Vol.7, pp78-81 1982」に説明されている。
次に、画像形成装置1の制御部30が、符号化係数と表色値とを用いて分光反射率推定関数を表すための「復号処理」および画像を形成する処理を実行する手順について説明する。なお、以下では、上記の符号化処理において表される分光反射率推定関数ρ(λ)と区別するため、復号処理によって表される分光反射率推定関数をρ*(λ)と表す。図11は、画像形成装置1が実行する復号処理の手順を示したフローチャートである。以下、図11を参照しつつ、復号処理の流れについて説明する。
制御部30は、符号化係数w,w,wおよび表色値L*,a*,b*を受け取ると(ステップS11)、まず、表色値L*,a*,b*に注目する。制御部30は、CIELAB色空間における表色値L*,a*,b*を、CIEXYZ表色系での表色値(三刺激値X,Y,Z)に変換する(ステップS12)。すなわち、表色値が心理量から物理量に変換される。復号処理において、XYZ表色系での表色値に基づいて、以降の処理が行われる。
次に、制御部30は、符号化係数w1,w2,w3に注目する。制御部30は、3つの符号化係数w1,w2,w3 を係数とした固有ベクトルを線形結合させた三刺激値を算出する(ステップS13)。具体的には、制御部30は、次式(8)〜(10)に示した三元一次方程式の演算を行う。このように、符号化係数に基づいて算出された表色値を「表色値(三刺激値)の推定値」と呼び、以下では三刺激値の推定値をX’,Y’,Z’と表す。式(8)〜(10)は、分光反射率と三刺激値との関係を表す式として知られており、ここでは符号化係数w1,w2,w3と固有ベクトルとの線形結合によって表される関数を用いる。
Figure 0005050975
式(8)〜(10)および後述する式において、「vis」は可視光領域である400nm〜700nmを表す。さらに、E(λ)はフルレートキャリッジ13の光源(標準の光D65)の分光エネルギー分布を表す式である。また、x(λ),y(λ),z(λ)のx、y、zの上部にバーを付して表される関数は、それぞれXYZ表色系でのx軸、y軸およびz軸の等色関数である。
制御部30による式(8)〜(10)の演算によって算出される三刺激値の推定値X’,Y’,Z’は、色に応じて定義された固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)のみに基づいて算出されるため、三刺激値X,Y,Zに対する差異が生じる。
続いて、制御部30は、三刺激値X,Y,Zと、三刺激値の推定値X’,Y’,Z’との差分を可能な限り小さくするように、第2の固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)のそれぞれに対する係数を算出する(ステップS14)。以下では、上記符号化処理において算出された係数と区別するために、復号処理において算出される係数を「復号係数」と呼び、以下ではw’と表す。制御部30は、次式(11)〜(13)に示した三元一次方程式の演算を行うことにより、復号係数w’,w’,w’を算出する。
Figure 0005050975
この演算を行ったら、制御部30は、係数w1,w2,w3,w’4,w’5,w’6 係数とした固有ベクトルe1(λ)〜e6(λ)の線形結合によって分光反射率推定関数ρ*(λ)を表すことができる。
以上が、復号処理に関する説明である。
次に、制御部30は分光反射率推定関数ρ*(λ)に基づいて、画像データの色空間処理、およびスクリーン処理を実行させ、画像データの各画素に相当する領域に対して付与するトナーの色とその量とを決定する(ステップS15)。
トナー量の決定に際しては、制御部30は、分光反射率推定関数ρ*(λ)が表す色によって、画素毎にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド、オレンジ、グリーン、ブルーの各色のトナー(色材)の配合比や、面積率、及び網点の形状などを特定する。さらに、制御部30は、画像データが示す画像に応じて透明トナーを用いるか否かを判断してもよい。例えば、画像データがモノクロの文書データである場合など、用いられるトナーの色数が少ない場合には、制御部30はこの画像データについては透明トナーのトナー量をゼロとする。また、画像データが多色であり、用いられるトナーの色数も多くなる場合には、制御部30はこの画像データの全面に所定量の透明トナーを付与するという具合である。
制御部30は、各画素における各色のトナーの配合比、面積率及び網点などの情報を含む画像データを画像形成部20に供給する(ステップS16)。画像形成部20はこの画像データに基づいて、複数のトナーを用いて画像を記録シートPに形成する(ステップS17)。
このとき画像形成部20は、各色の画像データに応じた一次転写ユニット23を選択し、ここに画像データに応じた静電潜像を形成する。その後、画像形成部20は、この画像データが示すトナー色の現像ユニット(234〜237のいずれか)を選択し、静電潜像にトナーを付与し、トナー像を形成する。このようにして各色のトナー像を形成し、それぞれを中間転写ベルト24に一次転写したら、画像形成部20はトナー像をシートに二次転写し、これを一次定着機構27および二次定着機構29により定着して排出する。これにより被撮像物Oを表す画像である複写物が形成され、ここで画像形成処理が終了する。
図12は、ある被撮像物について画像処理部50によって算出された分光反射率と、分光反射率推定関数ρ*(λ)とを表したグラフである。図において、分光反射率推定関数ρ*(λ)を実線で表し、画像処理部50によって算出された分光反射率を破線で表す。図12を見て判るように、可視光領域において、画像処理部50によって算出された分光反射率と、分光反射率推定関数ρ*(λ)とは概ね一致している。図13は、マクベス色票で定義された24色について算出された分光反射率推定関数ρ*(λ)と、画像処理部50によって算出された分光反射率との差分の標準偏差を表した図である。なお、図示した標準偏差は0.01が1%の誤差に相当する。図13を見て判るように、標準偏差は可視光領域でおよそ0.05前後を示しており、各々は可視光領域において概ね一致しているといえる。
図14は、マクベス色票で定義された24色と、被撮像物を表す擬似物体色1000色と、JIS規格である色再現評価用標準物体色分光データベース(SOCS)で定義された49776色について、画像処理部50によって算出された分光反射率と分光反射率推定関数ρ(λ),ρ*(λ)との差分の標準偏差の関係を示した図である。色再現評価用標準物体色分光データベースについては「“Standard Object Colour Spectra Database for Colour Reproduction Evaluation (SOCS)”, TR X 0012:2004, JISC, 2004」に説明されている。図14に示したように、係数w〜wを用いて表される分光反射率推定関数ρ(λ)と、符号化係数w,w,wおよび復号係数w’,w’,w’を用いて表される分光反射率推定関数ρ*(λ)とにおいては、マクベス色票やSOCSで定義された色における標準偏差は0.02程度という小さな値を示している。つまり、図14を見れば、各分光反射率推定関数が良好な精度で表されていることが判る。また、符号化処理および復号処理による分光反射率推定関数劣化がほとんど起こらないことが判る。
以上説明した実施形態によれば、画像処理部50は、符号化処理を実行し、31個のデータで表される分光反射率を、その2割程度の6個の係数w〜wのデータを用いて、精度良く分光反射率推定関数ρ(λ)を表すことができる。また、画像処理部50は、3個の符号化係数を表すデータと3個の表色値を表すデータとを、制御部30に出力する。制御部30は復号処理を実行し、符号化係数に基づいて表色値の推定値X’,Y’,Z’を求め、さらに、表色値X,Y,Zとの差分に応じて復号係数を算出して分光反射率推定関数ρ*(λ)を表す。すなわち、制御部30は、復号係数w’4,w’,w’に相当する係数w,w,wを受け取らなくても、分光反射率推定関数ρ*(λ)を、ρ(λ)に対してほとんど劣化させずに表すことができる。また、所定の色の分光感度に基づいて定義された第1の固有ベクトルに対する係数を視認することで、操作者はおおよその色を推測することもできる。
なお、上述した実施形態を次のように変形してもよい。なお、以下に述べる変形は各々を組み合わせることも可能である。
上述した実施形態においては、画像形成装置1に内蔵されている画像処理部50の例で説明したが、この画像処理部は、画像形成装置に内蔵されているものに限らず、例えば、画像読み取りを行うスキャナ装置に内蔵されていてもよいし、画像処理を行うコンピュータに内蔵されていてもよい。この場合、画像処理装置は算出した係数のうち符号化係数および表色値を、USB(Universal Serial Bus)ケーブルやLAN(Local Area Network)等の通信手段を介して接続された画像形成装置や、情報処理装置の記録媒体などに出力する。一方、その符号化係数および表色値を受け取った画像形成装置や情報処理装置は、予め記憶している固有ベクトルを用いて、復号係数を算出することにより分光反射率推定関数ρ*(λ)を表し、それに応じたデータを出力する。例えば、画像形成装置は、その分光反射率推定関数ρ*(λ)が表す色を表現するための複数の色材の量をそれぞれ算出し、算出した量の色材を用いて記録材に画像を形成するようにしてもよい。このような構成としても、符号化処理及び復号処理を実行して、分光反射率のデータ量を低減させることができる。
画像処理装置が、画像形成装置に係数を出力する場合には、画像処理装置は分光反射率推定関数ρ*(λ)が表す色を表現するための複数の色材の量をそれぞれ算出し、上記のように係数を出力することに代えて、色材の量を出力するようにしてもよい。
このような構成によれば、符号化処理を実行する第1の装置と、復号処理を実行する第2の装置とが、予め定義された固有ベクトルe(λ)〜e(λ)を記憶しておけば、分光反射率推定関数を表すためのデータの遣り取りを正常に行うことができる。また、固有ベクトルは、三角関数を用いて一義的に定義されているから、互換性の問題を解決しやすい。つまり、第2の装置は、符号化係数と表色値とのそれぞれに基づいて、被撮像物の色をある程度は推測することができる。したがって、それぞれが表す色が著しく異なる場合には、第2の装置は異常を検知して処理を停止することができる。また、第2の装置がR,G,Bの3原色を扱う装置である場合にも、符号化係数を解釈できずに、誤って異常な画像を再現してしまうという事態を回避することもできる。つまり、第2の装置の機種や特性に依存せず、分光反射率を表すデータの遣り取りを行い、意図する画像を再現することができる。
上述した実施形態では、第1の固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)は、それぞれR,B,Gに対応する光の分光感度に基づいて、三角関数を用いて定義されていたが、CMYK色空間のような別の色成分に基づいて定義されてもよい。なお、CMYK色空間は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の色成分からなる。また、画像形成部20による現像に用いられるトナーの色に対応付けてもよく、この場合、各色成分は記録シートに画像が形成される際の各色のトナーの濃度に対応する。要は、色成分の分光感度に近似した曲線を描くように定義された固有ベクトルを用いて分光反射率推定関数を表せば、固有ベクトルに対する係数に応じて各色成分の強度を推測することができる。また、固有ベクトルの定義の仕方は、上述した式(2)〜(7)に限らず、その他の三角関数を用いてもよいし、第2の固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)が更に短い周期の三角関数であってもよい。
上述した実施形態では、画像処理部50は、算出した係数w1〜w6のうち、符号化係数としてw1〜w3の3個の係数を出力していたが、符号化係数の数はこれに限らない。例えば、画像処理部50は、w1およびw2の2個の係数を符号化係数として出力してもよい。この場合、制御部30には、符号化係数w1およびw2と三刺激値X,Y,Zとが供給される。この場合、制御部30は、まず、符号化係数w1およびw2 を係数とした固有ベクトルの線形結合によって三刺激値の推定値X’,Y’,Z’を算出する。このとき、2個の固有ベクトルe1(λ),e2(λ)によって三刺激値の推定値X’,Y’,Z’が表される。続いて、制御部30は、三刺激値X,Y,Zと、三刺激値の推定値X’,Y’,Z’との差分が小さくなるように復号係数w’3,w’4,w’5,w’6を算出する。この手法によれば、青の光に対応する固有ベクトルが含まれていないから、三刺激値の推定値X’,Y’,Z’の三刺激値X,Y,Zに対する差分は、上述した実施形態よりも大きくなりやすい。しかし、復号処理において、制御部30はその差分を小さくするように復号係数を算出するから、実施形態と同様に、分光反射率推定関数ρ*(λ)を表すことができる。このような構成によれば、画像処理部50が出力する符号化係数はさらに少数になるから、伝送すべきデータ量が低減される。また、画像処理部50は、例えば符号化係数を1個にしてもよいし、3個より多くしてもよい。
また、所定の色に対応する波長の光の分光感度に基づいて定義された固有ベクトル(実施形態のe1(λ),e2(λ),e3(λ))は三角関数を用いて定義されていなくてもよく、色に対応する波長の光の分光感度により近似した関数であるほど、それに対する係数を参照して色成分の強度をより正確に推測することができる。また、第1および第2の固有ベクトルの数は、それぞれいくつであってもよい。
上述した実施形態では、画像処理部50が分光反射率を算出する波長域や、分光反射率推定関数が表される波長域を可視光領域(400nm〜700nm)としていたが、この波長域はどのようなものであってもよい。例えば、画像形成処理において使用される色に応じて、可視光領域全体の分光反射率を算出する必要はなければ、波長域をさらに限定してデータ量を低減させてもよい。また、被撮像物に蛍光色が含まれている場合には、可視光領域外(紫外光領域)の分光反射率に特徴が現れることがあるから、この波長領域に基づいても、同様にして処理を行うことができる。もちろん、赤外光領域においても同様である。
上述した実施形態では、画像処理部50は、符号化処理においてCIELAB色空間における表色値を制御部30に出力し、制御部30は、復号処理においてこの表色値をXYZ表色系の三刺激値に変換してから、以降の処理を実行していた。しかし、画像処理部50は、三刺激値を制御部30に出力するようにしてもよい。この場合、制御部30は、図11のステップS12の「表色値L*,a*,b*をX,Y,Zに変換」する処理を行わなくてよい。
上述した実施形態では、画像形成装置1は、スキャン動作において、光D65の光源として、近似的にキセノンランプ用いていたが、光源の種類はこれに限らない。例えば、標準の光Aや補助標準の光D50を照射する光源でも良い。これらの光源の分光エネルギー分布は図3に示されているが、光Aは、色温度2856Kの光源であり、可視光領域において波長が長くなるに従って、分光エネルギーが線形的に増加するような光である。この光Aの光源としてはタングステンランプがある。また、補助標準の光D50は、色温度5000Kの光源であり、図3に示したように、分光エネルギー分布は可視光領域の約400〜700nmの範囲にわたっておおよそ均一である。
上述した実施形態では、画像形成装置1は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド、オレンジ、グリーン、ブルーの8色のトナー、及び透明トナーを用いてトナー像を形成するようにしていたが、本発明において用いる色はこのような例に限定されない。これらのトナーから任意の数のトナーを画像形成装置に収容して、現像させてもよい。
上述した実施形態では、画像形成装置1は、ラインセンサ16の受光素子列を31列としたが、これよりも少なくても多くてもよい。ただし、従来のようにR,G,Bの3色よりも多い色で読み取ることが目的であるから、受光素子列は少なくとも4列以上であることが必要である。また、受光素子列は1つで、複数のカラーフィルタを切り替えながら、被撮像物を複数回にわたって読み取るような方式でもよい。
上述した実施形態では、符号化処理のステップS4において、画像処理部50は固有ベクトルe(λ)〜e(λ)のそれぞれに対する係数w〜wを、最小二乗法等の回帰分析を用いて算出していた。これに代えて、画像処理部50は、以下のようにして係数w〜wを算出してもよい。
まず、本構成での固有ベクトルe(λ)〜e(λ)を、それぞれ下記式(14)〜(19)で示した通りに定義する。
Figure 0005050975
式(14)〜(16)に示した第1の固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)は、実施形態と同じで、それぞれ赤(R),青(B),緑(G)に対応する光の分光感度に基づいて定義されている。式(17)〜(19)に示した第2の固有ベクトルe(λ),e(λ),e(λ)は、実施形態の定義内容とはやや異なっているが、三角関数により定義されている点は同じである。なお、これらの固有ベクトルの定義は一例に過ぎず、これとは異なる定義がなされても良い。
ところで、画像処理部50が可視光領域において算出したm個(実施形態では31個)の分光反射率を、n個(実施形態では6個)の固有ベクトルを用いた分光反射率推定関数ρ(λ)によって表す場合、両者の差異がなるべく小さくなるようにそれぞれの固有ベクトルに対する係数が求められることが好ましい。ここで、両者の残差を下記式(20)に示す残差Dによって定義する。なお、下記式(20)に示すρre(λ)は、画像処理部50が算出した分光反射率を表す関数(以下、分光反射率関数という)である。
Figure 0005050975
式(20)に示した残差Dはなるべくゼロに近い値である方がよく、分光反射率関数ρre(λ)と分光反射率推定関数ρ(λ)とが一致する場合に残差D=0となる。この残差D=0とするための条件を、下記式(21)によって表すことができる。
Figure 0005050975
つまり、式(21)に示すように、残差Dを係数wで偏微分した値がゼロであればよい。式(20)に示した残差Dを用いて、式(21)に示した演算を行うと、次式(22)に示す関係式を得ることができる。
Figure 0005050975
さらに、この式を整理すると、下記式(23)が得られる。
Figure 0005050975
式(23)に示した値bは、画像処理部50によって算出された複数の波長域における分光反射率と各々のこれら複数の波長域に対応する固有ベクトルの値e(λ)との積をすべての波長域(つまり、可視光領域)で加算した値である。
ここで、図15は、値bの算出手順を説明する図である。同図において、上段は、分光反射率関数ρre(λ)の一例を示したグラフで、下段は固有ベクトルの一例としてe(λ)の値を示したグラフである。値b〜bの算出手順はすべて同じであるため、ここでは値bを例に挙げて説明する。同図上段に示すように、画像処理部50は、400nm〜700nmの範囲での10nm毎の波長域で分光反射率を算出し、それぞれの波長域における分光反射率の値と、同図下段に示すその各々の波長域に対応する固有ベクトルe(λ)の値との積を求める。ここでは、分光反射率を算出した波長域のうちの、最小の波長どうしの値の積を求めているが、同じ波長どうしの値の積を求めさえすればよい。この演算により、合計m個(31個)の積が算出される。そして、これらすべての積を加算した値が、値bとなる。上記と同様の手順に従って、画像処理部50は固有ベクトルe(λ)〜e(λ)のそれぞれについて演算を行って、値b〜bを算出する。
ここで、式(23)を行列式によって表すと、下記式(24)を得ることができる。
Figure 0005050975
式(14)〜(19)に示したように、固有ベクトルe(λ)〜e(λ)の値は予め定義されているので、E*Eにおいてもその値は定数で表される。ここで、行列式(24)の左辺を計算して、値b〜bのそれぞれについて整理すると、下記に示す連立方程式(25)を得ることができる。
Figure 0005050975
・・・(25)
さらに、この連立方程式(25)を係数w〜wについて整理すると、下記式(26)に示すようになる。
=48954.7b1-48064.2b2-679.282b3+60450.8b4-12490.5b5-12940.1b6
=-48064.16b1+48594.67b2-679.28b3+60450.83b4-12940.08b5+12490.50b6
=-679.28b1-679.28b2+1743.27b3-1.51-6b4-578.06b5+578.06b6
=60450.83b1-60450.83b2+4.76-9b3+75646.70b4-15926.02b5-15926.02b6
=-12490.5b1+12940.1b2-578.06b3-15926.0b4+3552.37b5+3166.64b6
=-12940.08b1+12490.50b2+578.06b3-15926.02b4+3166.63b5+3552.36b6
・・・(26)
式(26)に示すように、係数w〜wは、値b〜bを変数とした6元1次方程式によって表される。つまり、値b〜bが決まると係数w〜wが一意に決まる。そこで、本構成では、画像処理部50は、式(26)によって表される演算式を解いて係数w〜wを算出する。このために、画像処理部50は、自身のメモリ(又は記憶部40)に演算式(23)及び(26)を記憶しておく。
そして、ステップS4において係数w〜wを算出するに際しては、まず、画像処理部50は、ステップS2で算出した分光反射率を演算式(23)に代入して、値b〜bをそれぞれ算出する。そして、画像処理部50は、算出した値b〜bを、演算式(26)に代入して係数w〜wを算出する。それ以降の動作は、実施形態で述べた通りである。
なお、式(26)に示すように最大で有効桁数が7桁の項が存在しているが、有効桁数は3桁程度まであれば、画像処理部50は十分な精度で分光反射率推定関数ρ(λ)を求めることができる。ただし、有効桁数が多いほど、計算量は多くなるものの分光反射率推定関数ρ(λ)の精度がよくなるというメリットがある。よって、高精細な色再現が要求される場合や、処理速度の高速化が要求される場合等においては、画像処理部50は、画像の用途(動作モード等)に応じて、有効桁数を適宜使い分けて演算を行うようにしてもよい。
以上説明したように、回帰分析を用いて係数w〜wを算出することに代えて、画像処理部50は、予め記憶しておいた演算式(23)及び(26)に示した演算式を用いて、固有ベクトルに対する係数w〜wを算出するようにしてもよい。この構成によれば、画像処理部50は、実施形態のようにして回帰分析による演算を行う場合よりも、演算時間を短縮して演算することができるため、演算アルゴリズムを装置へ実装するという観点からも好適である。
また、これと同様の演算の手法を、復号処理において用いることもできる。
上述した実施形態では、ステップS14において、制御部30は、式(11)〜(13)に示した3元一次方程式の演算を行って、回帰分析により復号係数w’4,w’5,w’6を算出していた。このとき、制御部30は、三刺激値X,Y,Zと、三刺激値の推定値X’,Y’,Z’との差分(残差)をできる限り小さくするように、復号係数w’4,w’5,w’6を算出していた。このことから、復号処理の場合と同様で、回帰分析を行わずに、制御部30が復号係数w’4,w’5,w’6を算出する構成とすることができる。
式(1)、及び(8)〜(10)に示すように、分光反射率推定関数、及び三刺激値(及び三刺激値の推定関数)はどちらも、複数の固有ベクトルの線形結合により求められる値である。そこで、式(20)における分光反射率推定関数ρ(λ)を三刺激値の推定値X’,Y’,Z’に置き換え、分光反射率関数ρre(λ)を三刺激値X,Y,Zに置き換える。そして、復号処理と同様の原理に基づいて、上記演算式(26)に相当する復号係数w’4,w’5,w’6を算出するための演算式を導き出すことができる。この構成でも、導き出された演算式を制御部30のROM又は記憶部40に記憶させておく。そして、復号係数の算出に際して、制御部30は画像処理部50から三刺激値を受け取ると、回帰分析を行うことなく、この三刺激値の値と、記憶しておいた演算式とを用いて、復号係数w’4,w’5,w’6を算出する。
なお、上記で述べた残差Dの定義は一例に過ぎず、画像処理部50によって算出される分光反射率(分光反射率関数ρre(λ))と、分光反射率推定関数ρ(λ)との差異の大きさを表すものであれば良い。
本実施形態に係る画像形成装置の機能的な構成を示したブロック図である。 画像形成装置の装置構成を示した図である。 各種の光源の分光エネルギー分布を示した図である。 プリズムとラインセンサの構成をより詳細に示す図である。 一次転写ユニットの構成を示す図である。 固有ベクトルe(λ),e(λ)およびe(λ)を図示したものである。 固有ベクトルe(λ),e(λ)およびe(λ)を図示したものである。 画像形成装置が実行する符号化処理の手順を示したフローチャートである。 ある被撮像物について表した分光反射率推定関数ρ*(λ)と画像処理部によって算出された分光反射率とを表したグラフである。 被撮像物を表す擬似物体色1000色について、分光反射率推定関数ρ(λ)と、画像処理部によって算出された分光反射率との差分の標準偏差を表した図である。 画像形成装置が実行する復号処理の手順を示したフローチャートである。 ある被撮像物について表した分光反射率推定関数ρ*(λ)と画像処理部50によって算出された分光反射率とを表したグラフである。 マクベス色票で定義された24色について、分光反射率推定関数ρ*(λ)と、画像処理部によって算出された分光反射率との差分の標準偏差を表した図である。 分光反射率推定関数ρ(λ)およびρ*(λ)と、画像処理部によって算出された分光反射率との差分の標準偏差を表した図である。 値bの算出手順を説明する図である。
符号の説明
1…画像形成装置、10…画像読取部、11…プラテンガラス、12…プラテンカバー、13…フルレートキャリッジ、14…ハーフレートキャリッジ、15…結像レンズ、16…ラインセンサ、17…プリズム、20…画像形成部、21…給紙トレイ、22…搬送ロール、23、23a、23b、23c…一次転写ユニット、24…中間転写ベルト、25…二次転写ロール、26…バックアップロール、27…一次定着機構、28…切替機構、29…二次定着機構、30…制御部、40…記憶部、50…画像処理部、60…操作表示部、70…通信部。

Claims (10)

  1. 照射光を被撮像物に照射したときの前記被撮像物からの反射光の強度と、前記照射光の照射強度とに基づいて、複数の波長域における分光反射率をそれぞれ算出する分光反射率算出手段と、
    前記分光反射率算出手段によって算出された分光反射率に基づいて表色値を算出する第1の表色値算出手段と、
    前記分光反射率算出手段によって算出された各々の前記波長域における分光反射率を、1又は複数の所定の色に対応する波長の光の分光感度に基づいてそれぞれ定義された1又は複数の第1の固有ベクトル、及び、当該第1の固有ベクトルとは異なる1又は複数の第2の固有ベクトルの線形結合によって表したときの、それぞれの固有ベクトルに対する係数を算出する第1の係数算出手段と、
    前記第1の表色値算出手段によって算出された表色値と、前記第1の係数算出手段によって算出された複数の前記係数のうち前記第1の固有ベクトルに対する係数とを出力する第1の出力手段と
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 請求項1記載の画像処理装置によって出力された係数を係数として、前記第1の固有ベクトルを線形結合させて表色値を算出する第2の表色値算出手段と、
    請求項1記載の画像処理装置によって出力された前記表色値と前記第2の表色値算出手段によって算出された表色値との差分を、前記第2の固有ベクトルの線形結合によって表したときの、当該第2の固有ベクトルに対する係数を算出する第2の係数算出手段と、
    前記第2の係数算出手段によって算出された係数と、請求項1記載の画像処理装置によって出力された前記係数とに応じたデータを出力する第2の出力手段と
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  3. 前記所定の色は、赤、緑および青のうち少なくともいずれか1の色であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 前記第1および第2の固有ベクトルは、三角関数を用いて定義された固有ベクトルである
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  5. 前記表色値は、明度に関連する成分と色相または彩度に関連する成分とで定義された色空間における表色値である
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  6. 前記第2の係数算出手段によって算出された係数、及び、請求項1記載の画像処理装置によって出力された前記係数を係数とする、前第1及び第2の固有ベクトルの線形結合によって表される色を表現するための複数の色材の量をそれぞれ算出する色材算出手段
    を備え、
    前記第2の出力手段は、前記色材算出手段によって算出された色材の量を出力する
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  7. 前記第1の係数算出手段は、
    前記第1及び第2の固有ベクトルの各々について、複数の前記波長域における分光反射率と各々の当該波長域に対応する固有ベクトルの値との積をすべての前記波長域で加算した値から各々の前記係数を求める演算式を記憶しており、
    前記分光反射率算出手段によって算出された分光反射率と、記憶している前記演算式とを用いて、各々の前記係数を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  8. 或る分光エネルギー分布の照射光を光源から被撮像物に対して照射する照射手段と、
    前記照射手段によって照射光が照射された被撮像物からの反射光の強度と、前記照射光の照射強度とに基づいて、複数の波長域における分光反射率をそれぞれ算出する分光反射率算出手段と、
    前記分光反射率算出手段によって算出された分光反射率に基づいて表色値を算出する第1の表色値算出手段と、
    前記分光反射率算出手段によって算出された各々の前記波長域における分光反射率を、1又は複数の所定の色に対応する波長の光の分光感度に基づいてそれぞれ定義された1又は複数の第1の固有ベクトル、及び、当該第1の固有ベクトルとは異なる1又は複数の第2の固有ベクトルの線形結合によって表したときの、それぞれの固有ベクトルに対する係数を算出する第1の係数算出手段と、
    前記第1の表色値算出手段によって算出された表色値と、前記第1の係数算出手段によって算出された複数の前記係数のうち前記第1の固有ベクトルに対する係数とを出力する第1の出力手段と
    を備えることを特徴とする画像読取装置。
  9. 請求項1記載の画像処理装置によって出力された前記係数を係数として、前記第1の固有ベクトルを線形結合させて表色値を算出する第2の表色値算出手段と、
    請求項1記載の画像処理装置によって出力された表色値と前記第2の表色値算出手段によって算出された表色値との差分を、前記第2の固有ベクトルの線形結合によって表したときの、当該第2の固有ベクトルに対する係数を算出する第2の係数算出手段と、
    前記第2の係数算出手段によって算出された係数と前記第1の固有ベクトルに対する係数を用いて表される色を表現するための複数の色材の量をそれぞれ算出する色材算出手段と、
    前記色材算出手段によって求められた量の前記色材を用いて記録材に画像を形成する画像形成手段と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  10. 照射光を被撮像物に照射したときの前記被撮像物からの反射光の強度と、前記照射光の照射強度とに基づいて、複数の波長域における分光反射率をそれぞれ算出する分光反射率算出手段と、
    前記分光反射率算出手段によって算出された分光反射率に基づいて表色値を算出する第1の表色値算出手段と、
    前記分光反射率算出手段によって算出された各々の前記波長域における分光反射率を、1又は複数の所定の色に対応する波長の光の分光感度に基づいてそれぞれ定義された1又は複数の第1の固有ベクトル、及び、当該第1の固有ベクトルとは異なる1又は複数の第2の固有ベクトルの線形結合によって表したときの、それぞれの固有ベクトルに対する係数を算出する第1の係数算出手段と、
    前記第1の表色値算出手段によって算出された表色値と、前記第1の係数算出手段によって算出された複数の前記係数のうち前記第1の固有ベクトルに対する係数とを出力する第1の出力手段と
    を有する第1の装置と、
    前記第1の出力手段によって出力された係数を係数として、前記第1の固有ベクトルを線形結合させた表色値を算出する第2の表色値算出手段と、
    前記第1の出力手段によって出力された表色値と前記第2の表色値算出手段によって算出された表色値との差分を、前記第2の固有ベクトルの線形結合によって表したときの、当該第2の固有ベクトルに対する係数を算出する第2の係数算出手段と、
    前記第2の係数算出手段によって算出された係数と、前記第1の出力手段によって出力された前記係数とに応じたデータを出力する第2の出力手段と
    を有する第2の装置と
    を備えることを特徴とする画像処理システム。
JP2008103408A 2007-04-16 2008-04-11 画像処理装置、画像読取装置、画像形成装置および画像処理システム Expired - Fee Related JP5050975B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008103408A JP5050975B2 (ja) 2007-04-16 2008-04-11 画像処理装置、画像読取装置、画像形成装置および画像処理システム

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007107572 2007-04-16
JP2007107572 2007-04-16
JP2008103408A JP5050975B2 (ja) 2007-04-16 2008-04-11 画像処理装置、画像読取装置、画像形成装置および画像処理システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008289137A JP2008289137A (ja) 2008-11-27
JP5050975B2 true JP5050975B2 (ja) 2012-10-17

Family

ID=40148389

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008103408A Expired - Fee Related JP5050975B2 (ja) 2007-04-16 2008-04-11 画像処理装置、画像読取装置、画像形成装置および画像処理システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5050975B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002185803A (ja) * 2000-12-08 2002-06-28 Fuji Photo Film Co Ltd カラー画像復元方法及び装置並びに該方法を実行するためのプログラムを記録した記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008289137A (ja) 2008-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4645581B2 (ja) 画像処理装置、画像読取装置及び画像形成装置
JP5537194B2 (ja) カラー画像形成装置
RU2529776C2 (ru) Устройство формирования изображения
JP4894489B2 (ja) 画像処理装置及び画像読取装置
US9036215B2 (en) Image forming apparatus and image forming method
JP5905018B2 (ja) 画像形成装置
JP5904755B2 (ja) 画像形成装置
JP5906853B2 (ja) 印刷システムおよび画像形成装置
JP2017039278A (ja) 画像形成装置
US20110032553A1 (en) Color material amount determination table forming method and color material amount measurement apparatus
JP4882339B2 (ja) 画像形成装置
JP2006229351A (ja) 画像形成装置及び画像処理方法
JP6776714B2 (ja) 画像形成システム、画像読取装置、及び画像形成装置
JP5220174B2 (ja) 画像形成装置
JP5050975B2 (ja) 画像処理装置、画像読取装置、画像形成装置および画像処理システム
JP4687644B2 (ja) 画像処理装置、画像読取装置及び画像形成装置
JP2006094103A (ja) 画像形成装置の色校正方法及び色校正装置
JP2007336280A (ja) 画像形成装置及び画像処理装置
JP2007324902A (ja) 画像形成装置及び画像処理装置
JP2007142953A (ja) 画像処理装置および画像形成装置
JP2007036331A (ja) 画像処理システム、画像処理方法及びプログラム
JP2007324901A (ja) 画像形成装置及び画像処理装置
JP2006093915A (ja) 画像処理装置、画像処理方法、画像形成装置及びプログラム
JP2017151174A (ja) 画像形成装置およびカラーセンサ
JP2014116694A (ja) 画像処理装置及び画像処理方法、画像処理方法を実行するためのプログラム。

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110324

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120327

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120528

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120626

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120709

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5050975

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150803

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees