JP5049498B2 - ガス分離用のセラミック膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス成分、特には、水素を精製するために用いられるガス分離用のセラミック膜を製造する方法に関する。
従来から、化学産業の分野において薬品を精製または合成する等の場合、あるいは、エネルギーに関連する分野において燃料電池を使用する場合等に、簡易な方法で高純度の水素を得ることが求められており、このような目的のために、ガス分離用の膜を用いる水素の分離方法が知られている。
水素を分離するための膜としては、現在、金属膜、合金膜またはセラミック膜が用いられているが、燃料電池での使用等においてメタン等を含む混合気から水素を精製する場合に、金属膜あるいは合金膜では水素脆化や酸化・変性が引き起こされるという問題があるため、この点では、そのような問題が生じない、セラミック膜のほうが優れている。
セラミック膜は、主として、酸化ケイ素薄膜から構成されるものであり、例えば、多孔質の酸化アルミニウム等を基材とし、この基材の表面上にガス分離膜として3Å以下の細孔を有する酸化ケイ素薄膜を形成することにより製造される。
このような目的に用いられるガス分離膜は、3Å以下の細孔を有しており、水素やヘリウム程度の小さい分子のみをこのような微細な細孔を通過させることにより、3Åより小さい水素等を3Åより大きい分子から分離することができる分子ふるいとして機能する。
酸化アルミニウム等からなる基材上にガス分離膜としての酸化ケイ素薄膜を形成する方法としては、ゾルゲル法または化学気相蒸着法(CVD)法が最も広範に利用されている。
ゾルゲル法は、所定のアルコキシドを加水分解および重縮合反応させたポリマーゾルまたはコロイドゾルを基材上に塗布した後、これを乾燥させることによりゲル膜とし、さらにこれを焼成して所望の薄膜を得る方法である(非特許文献1)。
CVD法は、高温の基材上に反応性のガスを流し、基材表面上に固体層を析出させる方法である。この方法では、埃などの影響を受けないため、透過係数比α(H/N)が3310の酸化ケイ素薄膜を形成することができることが知られている(非特許文献2)
アサエダ・マサシおよびキシモト・ミチナリ著,「ゾル−ゲル・デライブド・シリカ・メンブレン・フォー・セパレーション・オフ・ハイドロジェン・アット・ハイ・テンペラチャー−セパレーション・パフォーマンス・アンド・スタビリティ・アゲンスト・ステム−(SOL-GEL DERIVED SIRICA MEMBRANES FOR SEPARATION OF HYDROGEN AT HIGH TEMPERATURE-SEPARATION PERFORMANCE AND STABILITY AGAINST STEM-),第5回 国際無機化学膜会議会報,1998年,p172−175 ケミカル エンジニアリング サイエンス(Chemical Engineering Science),第44巻,第9号,1989年,p1829−1835
セラミック膜の基材は、多層構造、すなわち、支持層と、ゾルゲル法またはCVD法によってガス分離膜を成膜した際にガス分離膜と支持層との中間に位置することになる中間層とを少なくとも有している。支持層は最表面に設けられるガス分離膜に比較して大径の0.1〜10μmの細孔を有しており、支持層上に直接的にガス分離膜を成膜しようとすると、同分離膜を構成する酸化ケイ素が支持層の内部にまで至り、支持層の細孔が閉塞され、このため、得られるセラミック膜のガス透過速度が低下することになる。中間層はこのような弊害を防止するために設けられるものであり、支持層よりも小さい20〜1nmの細孔を有している。しかしながら、この中間層は厚みにはむらがあり、さらには微小な欠陥(穴)を有している。
上記のように、ゾルゲル法あるいはCVD法によりガス分離膜を成膜する場合、中間層に欠陥が存在することによって、中間層の欠陥によりガス分離膜にピンホールが発生して、その結果、ガスの透過係数比が低下するという問題があった。このようなピンホールの問題は、大型化(バンドル形状化)することで、さらに顕著になる傾向があり、これに伴って、透過係数比の低下の問題もさらに深刻になる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、中間層に存在する欠陥に起因するピンホールの発生を抑制し、これにより、大型化しても透過係数比が高い優れた品質のガス分離用のセラミック膜を製造する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のガス分離用セラミック膜の製造方法は、気化有機ケイ素化合物含有ガスである材料ガスを、0.1〜10μmの細孔の支持層および該支持層の外表面上に形成された1〜20nmの細孔の中間層を有する多層構造からなる基材のガス分離膜を形成する表面上に供給し、基材の材料ガスを供給する側の反対側に対向ガスを供給して、該基材の材料ガスが供給された表面上にて基材上に酸化ケイ素からなるガス分離膜を形成させるガス分離用セラミック膜の製造方法であって、該材料ガスを400〜700℃で加熱し、および加圧しながら該基材表面上に供給し、該対向ガスの圧力が、大気圧以上であるが前記材料ガスの圧力よりも低く、該材料ガスと対向ガスの圧力差が0.01〜0.5MPaであり、該対向ガスは、酸素ガスまたは酸素を純水中にバブリングさせて該純水を気化させることにより得られる水蒸気含有酸素ガスであることを特徴とするものである。
対向ガスの酸素は、有機ケイ素化合物のCVD反応を補助して、酸化ケイ素が支持層内部まで至るのを防ぐ働きをする。
材料ガスが400℃未満であると反応速度が遅いため、ガス分離膜の成膜ができなくなり、700℃超であるとガス分離膜であるケイ素化合物の細孔が3Åを維持できなくなる。したがって、材料ガスの加熱条件は、400〜700℃、さらに好ましくは450〜600である。また、材料ガスと対向ガスの圧力差は0.01〜0.5MPaとされる。圧力差が0.01MPa未満であると、圧力差が小さすぎるために、酸化ケイ素が基材表面上の欠陥部分を埋めることができず、ピンホールの発生を抑制する効果を得ることができない。圧力差が0.5MPa超であると、支持層の耐用強度を超えるため、破損のおそれがある。材料ガスの圧力値は、好ましくは大気圧を超え、かつ1MPa以下、さらに好ましくは0.11〜0.6MPaである。
このように、材料ガスを加熱および加圧しながら基材表面上に供給することにより、基材表面上に欠陥が生じていても、上記反応により生じた酸化ケイ素がその欠陥部分を集中的に埋めるため、ピンホールの発生を抑制することができる。
上記本発明の方法において、前記対向ガスの圧力は、大気圧以上であるが前記材料ガスの圧力よりも低くする必要がある。
対向ガス供給側の圧力が大気圧未満であると、対向ガスの圧力に比較して材料ガスの圧力が高くなり過ぎるために、対向ガスと材料ガスとの反応が中間層の内奥にまで至り、ガス分離膜の膜厚が増加することになる。ガス分離膜が増加し過ぎると、その結果として透過速度が低下するので好ましくない。
上記本発明の方法において、前記材料ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンおよび水素からなる群より選択される少なくとも1種のガスを、液体の有機ケイ素化合物にバブリングさせて、液体有機ケイ素化合物を気化させることにより得られる、気化有機ケイ素化合物含有ガスであることが好ましい。
上記本発明の方法において、前記液体有機ケイ素化合物は、ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザンおよびテトラメチルシランからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記本発明の方法において、前記基材は多孔質セラミックスから構成されることが好ましい。
上記本発明の方法において、前記基材は、0.1〜10μmの細孔の支持層および1〜20nmの細孔の中間層を有する多層構造からなる。ここで、中間層は、径が大きい支持層(0.1〜10μm)のみでは、ガス分離膜の成膜時に、生成された酸化ケイ素粒子が支持層の内部にまで至り、結果として、支持層の細孔を閉塞してセラミック膜の透過速度が低下することになるので、これを防止するために設けられる膜であり、1〜20nmの細孔を有する。支持層の細孔径は、10μmを超えると、径が大きすぎて、中間層を構成する粒子が支持層の内部に入り込み、結果として、中間層をうまく形成できないという問題がある。また、支持層の細孔径が0.1μm未満であると、分離ガスの透過を妨げることになり、上記同様にガスの透過速度が低下することになる。このため、支持層の細孔径は、0.1〜10μmである。一方、中間層の細孔径が20nmを超えると、反応により生成した酸化ケイ素粒子が中間層の内部まで浸透し易くなり、このため、中間層の細孔が閉塞されるために、ガス透過速度が低下することになる。中間層の細孔は、ガス分離膜(酸化ケイ素薄膜)のガス透過速度を維持できる大きさであり、1〜20nmの細孔を有するものが用いられる。
本発明のガス分離用のセラミック膜の製造方法では、材料ガスを、加熱および加圧しながら基材表面上に供給するので、基材表面上に欠陥が存在していても、有機ケイ素化合物から生成する酸化ケイ素が集中的に欠陥部内まで入ってこれを埋め、ピンホールの発生を抑制する。この結果、得られる膜は、透過ガスの選択性に優れたものになる。
以下、本発明のガス分離用セラミック膜の製造方法について詳細に説明する。
本実施の形態では、筒状の基材上にガス分離膜である酸化ケイ素薄膜を形成する場合について説明する。ここで、筒状の基材は、筒状の多孔質アルミナの支持層の外表面上に中間層を形成したものである。
図1は、本発明のガス分離用セラミック膜を製造する方法を実施するための装置を示す構成図である。
本装置は、大略的には、ガス分離膜を成膜するための成膜チャンバー(1)と、対向ガスおよび材料ガスを供給するためのガス導入系とから構成されている。
成膜チャンバー(1)は、1000℃までの耐熱性を有する材料、例えばステンレスにより構成される。成膜チャンバー(1)には、円筒状の基材(A)が配され、基材(A)の両端に連設された基材保持筒体(2)が成膜チャンバー(1)の両端壁を貫通している。基材(A)は、内側に支持層が来て外側に中間層が来るように設けられている。基材保持筒体(2)はステンレスもしくは緻密性セラミックチューブにより構成されており、その少なくとも基材(A)外装部はガス透過性である。基材保持筒体(2)と成膜チャンバー(1)との接触部分はOリングやテフロン(登録商標)製のパッキンにより固定・密封され得る。
成膜チャンバー(1)の周囲には成膜チャンバー(1)内部を加熱するためのヒーター(3)が設けられている。ヒーター(3)は、ヒーター(3)に取り付けられた熱電対(5)で制御し、成膜チャンバー(1)内に取り付けられた熱電対(4)でモニタリングしている。
ガス導入系は、材料ガス生成に使用されるガスを充填するボンベ(6)と、対向ガス生成に使用されるガスを充填するボンベ(7)と、生成された材料ガスまたは対向ガスの濃度および圧力を調整するためのボンベ(8)とを備えている。
ボンベ(6)には、酸素、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンおよび水素からなる群より選択される少なくとも1種のガスが充填されている。ボンベ(6)を出たガスは、まず、ガス流量を把握するためのガス流量計(9)を通過する。ガス流量計(9)から出たガスは、材料となる有機ケイ素化合物が装入された液体有機ケイ素化合物槽(10)を経る経路と該槽を経ない経路とのいずれかを通過する。液体有機ケイ素化合物槽(10)を経る経路では、経路上液体有機ケイ素化合物槽(10)の前後にガス導入の開閉およびその導入量を調整するバルブ(11)および(12)がそれぞれ設けられている。
液体有機ケイ素化合物槽(10)には、液体の酸化ケイ素源が装入されている。液体の酸化ケイ素源としては、例えばケイ酸メチル[Si(OCH]、ケイ酸エチル[Si(OC]、ケイ酸ブチル[Si(OC]、ヘキサメチルジシラン[(CHSiSi(CH]、ヘキサメチルジシロキサン[(CHSiOSi(CH]、ヘキサメチルジシラザン[(CHSiNHSi(CH]、テトラメチルシラン等が挙げられる。あるいは、これらから選択される複数のものを液体ケイ素化合物槽(10)に装入してもよい。これらの液体の酸化ケイ素源としては、ケイ酸メチル、ケイ酸エチルが好ましい。
バルブ(11)および(12)の開によりボンベ(6)からのガスが液体有機ケイ素化合物槽(10)に導入されると、バブリングにより、ガス中に気化した有機ケイ素化合物を伴った気化有機ケイ素化合物含有ガスが生じる。このようにして生じた気化有機ケイ素化合物含有ガスは、バルブ(12)を経て、液体有機ケイ素化合物槽(10)を経ない経路から来るガスと合流する。液体有機ケイ素化合物槽(10)を経ることにより得られた気化有機ケイ素を含有するガスとこの槽(10)を経ないガスとの割合は、バルブ(11)および(12)の開度によって調整される。このようにして得られた気化有機ケイ素を含有するガスは、バルブ(13)を経て、このバルブ(13)の開度の調整により流量が調整される。ガス流量は、ガス流量計(9)により0.01〜10L/分の流量になるように調整される。
対向ガスが水蒸気含有ガスである場合には、次の通りである。
ボンベ(7)には、酸素、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトンおよびキセノンからなる群より選択される少なくとも1種のガスが充填されている。ボンベ(7)から出たガスは、まず、ガス流量を把握するための流量計(16)を通過する。ガス流量計(16)から出たガスは、純水を装入した純粋槽(17)を経る経路と、該槽(17)を経ない経路とのいずれかを通過する。純水槽(17)を経る経路では、経路上純水槽(17)の前後にガス導入の開閉およびその導入量を調整するバルブ(18)および(19)がそれぞれ設けられている。
対向ガスとして水蒸気を含まないガスを用いる場合は、バルブ(18)および(19)が閉じられ、ボンベ(7)からのガスは、そのまま対向ガスとして供給される。
バルブ(18)および(19)が開であると、ボンベ(7)からのガスが純水槽(17)に導入され、バブリングにより、ガス中に水蒸気を伴った水蒸気含有ガスが生じる。なお、純水槽(17)は、ヒーター(図示省略)により装入された純水を室温から100℃まで加熱するようにしてもよく、このようにすることにより高濃度の水蒸気が含有されるようにすることができる。このようにして生じた水蒸気含有ガスは、バルブ(19)の開により、純水槽(17)を経ない経路から来るガスと合流する。純水槽(17)を経ることにより得られた水蒸気を含有するガスと、この槽(17)を経ないガスとの割合は、バルブ(18)および(19)の開度によって調整される。
バルブ(18)および(19)が閉であることによりボンベ(7)から直接的に送られるガスまたは純水槽(17)を経ることにより得られた水蒸気含有ガスは、バルブ(20)を経て、このバルブ(20)の開度の調整によりその流量が調整される。
生成された材料ガスまたは対向ガスを調整するためのボンベ(8)には、材料ガス用のボンベに充填されるガスおよび対向ガス用のボンベに充填されるガスに共通するガス、例えば、酸素、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトンおよびキセノンからなる群より選択される少なくとも1種のガスが充填されている。ボンベ(8)に充填されたガスは、流量計(23)およびバルブ(24)を経て材料ガスに合流され、流量計(25)およびバルブ(26)を経て対向ガスに合流される。このようにボンベ(8)からガスを材料ガスおよび対向ガスに添加することにより、それぞれのガスに含まれる気化有機ケイ素化合物または水蒸気の濃度を薄めることができ、または、各ガスの圧力を調整することができる。
上記のように生成された材料ガスは成膜チャンバー(1)内に導入され、対向ガスは基材保持筒体(2)内に導入される。
成膜チャンバー(1)内に導入される材料ガスの流量は、成膜面積に応じて適宜変更され得るが、例えば、成膜面積が20cmである場合、100〜400ml/分であることが好ましい。流量があまりに多すぎると、基材上で良好に成膜されず、流量が遅すぎると、成膜時間が長くなるからである。
成膜チャンバー(1)内に導入された材料ガスは、ガス排出口(27)から排出される。ガス排出側には、成膜チャンバー(1)内の圧力を測定する圧力計(28)と、圧力計(28)により計測された圧力値に基づいて排出ガスの圧力を調整する調整バルブ(29)とが設けられている。
また、基材保持筒体(2)内に導入された対向ガスは、基材保持筒体(2)のガス導入端の反対側の端部から排出される。このガス排出端には、基材保持筒体(2)内の圧力を測定する圧力計(30)と、圧力計(30)により計測された圧力値に基づいて排出ガスの圧力を調整する調整バルブ(31)とが設けられている。
上記構成の装置を用いてガス分離用セラミック膜のガス分離膜を成膜する場合、材料ガス導入系により気化有機ケイ素化合物含有ガスを生じさせ、また、対向ガス導入系により水蒸気含有ガスを生じさせ、前者は成膜チャンバー(1)に、後者は基材保持筒体(2)にそれぞれ導入する。
基材保持筒体(2)に保持される基材は、0.1〜10μm、最も好ましくは0.2〜0.1μmの細孔径を有する支持層と、1〜20nm、最も好ましくは6〜2nmの細孔径を有する中間層とを含む多層構造のものが好ましい。このような基材上の表面もしくは細孔内にケイ素化合物を成膜することにより3Å以下の分子のみを透過させることができるガス分離膜を得ることができる。
ガス導入は、成膜チャンバー(1)内の圧力を測定する圧力計(28)をモニタリングしながら、かつ、基材保持筒体(2)内の圧力を測定する圧力計(30)をモニタリングしながら、ガスの圧力を調整しつつ導入する。
材料ガス側の圧力はガスの流量によって異なり得るが、0.11〜0.6MPaの範囲とされる。
導入された材料ガスは、ヒーター(3)によって加熱される。ガス分離膜の成膜温度は、好ましくは400〜700℃であり、より好ましくは450〜650℃である。成膜温度があまりに低すぎると反応速度が遅くなり、あまりに高すぎると基材上以外でも反応が起こり、結果として効率が悪くなり反応時間が遅くなってしまう。
対向ガスの圧力は、大気圧以上(但し、材料ガスの加圧値を超えないものとする)とする。対向ガスの圧力が大気圧未満であると、材料ガスの圧力に比べて対向ガスの圧力が低すぎるために、材料ガスが中間層の表面上に留まらず、内部まで達して、これにより、材料ガスと対向ガスとの反応が中間層の内部で起こるため、結果としてガス分離膜の膜厚が著しく増加することとなり、このために、ガス分離膜のガス透過速度が著しく低下することになり、好ましくない。
以上のように、本発明のガス分離用のセラミック膜の製造方法は、成膜チャンバー(1)内の基材保持筒体(2)に基材を設置し、成膜チャンバー(1)内に気化有機ケイ素化合物含有ガスすなわち材料ガスを加圧しながら導入し、成膜チャンバー(1)内の成膜部分をヒーター(3)により加熱し、基材保持筒体(2)内に水蒸気含有ガスすなわち対向ガスを導入することにより中間層上に、ケイ素化合物からなる3Å以下の分子のみを通過させることができる分子ふるいの機能を有する分離膜を成膜することができる。
次に、下記実施例により上記構成の装置を用いたCVD法により、実際に、基材表面側に材料ガス、基材の内部側に対向ガスを供給し、酸化ケイ素薄膜を形成した。
(実施例1)
図1に示す構成のガス分離用セラミック膜製造装置において、CVD法による温度500℃で、材料ガスの供給側を加圧した場合(0.2MPa)と、加圧しない場合(すなわち大気圧の場合)とで(いずれの場合も対向ガスの圧力:大気圧)、ガス分離膜を成膜した。次いで、得られたガス分離膜について、温度を変化させて水素および窒素の透過速度を測定した。材料ガスは、アルゴンをケイ酸メチル中にバブリングしてなるものであり、対向ガスは、酸素である。図2にその結果をグラフにて示す。
図2に示すように、水素の透過速度については、大気圧の場合(白円)と加圧の場合(黒丸)とでほぼ同じ値が得られた。ただし、図中、低温域(鎖線で囲む部分)では、相違が見られた。これは、欠陥によるピンホール発生に起因するものであると考えられる。一方、窒素の透過速度については、大気圧の場合(白四角)と加圧の場合(黒四角)とで比較すると、各温度域にわたって、加圧して得られた膜の透過速度は、大気圧で得られた膜の透過速度の10分の1であった。
これらの結果は、図3(a)および(b)に概略的に示すように、(b)の加圧式の場合には、中間層に欠陥があっても、材料ガスと対向ガスとの反応により生じた酸化ケイ素が集中してこの欠陥部分を埋め、これによりピンホールの発生を抑制することができ、これに対して、(a)の大気圧式の場合には、このような効果がなく、これにより、加圧式で得られた膜では、中間層が穴埋めされたため、窒素の透過が低くなったものと考えられる。
このような圧力調整は、装置が大型化してもそのような大型化に応じて対応することが容易であることから、上記加圧式によるガス分離用セラミック膜の製造方法は、上記のような高い透過係数比を有するガス分離用セラミック膜を大掛かりに製造する場合に、非常に有効な方法である。
(実施例2)
図1に示す構成のガス分離用セラミック膜製造装置において、支持層としての円柱形α−アルミナ多孔質チューブと、その外側に形成された中間層としてのγ−アルミナとからなるものを基材とし、これを、成膜チャンバー(1)内の基材保持筒体(2)に保持させた。材料ガスとして、ケイ酸エチルを含有するアルゴンガスを用い、これを成膜チャンバー(1)内に導入し、対向ガスとして酸素を基材保持筒体(2)内に導入した。成膜温度を600℃とし、材料ガスの圧力を0.12MPaとして、10時間成膜処理を行い、水素分離用のセラミック膜を得た。
(実施例3)
図1に示す構成のガス分離用セラミック膜製造装置において、支持層としての円柱形α−アルミナ多孔質チューブと、その外側に形成された中間層としてのγ−アルミナとからなるものを基材とし、これを、成膜チャンバー(1)内の基材保持筒体(2)に保持させた。材料ガスとして、ケイ酸メチルを含有する窒素を用い、これを成膜チャンバー(1)内に導入し、対向ガスとして酸素(60℃に加熱した純水に酸素をバブリングすることにより得た)を基材保持筒体(2)内に導入した。成膜温度を600℃とし、材料ガスの圧力を0.30MPaとして、10時間成膜処理を行い、水素分離用のセラミック膜を得た。
(実施例4)
図1に示す構成のガス分離用セラミック膜製造装置において、支持層としての円柱形α−アルミナ多孔質チューブと、その外側に形成された中間層としてのγ−アルミナとからなるものを基材とし、これを、成膜チャンバー(1)内の基材保持筒体(2)に保持させた。材料ガスとして、ケイ酸メチルを含有する窒素を用い、これを成膜チャンバー(1)内に導入し、対向ガスとして水蒸気を含有する酸素(60℃に加熱した純水に酸素をバブリングすることにより得た)を基材保持筒体(2)内に導入した。成膜温度を600℃とし、材料ガスの圧力を0.15MPaとして、10時間成膜処理を行い、水素分離用のセラミック膜を得た。
(比較例1)
材料ガスを加圧しなかった点を除いて、実施例2と同じ操作を行い、水素分離用のセラミック膜を得た。
上記実施例2〜4および比較例1によりそれぞれ得られた膜について評価を行った。具体的には、図1に示す成膜チャンバー(1)内に各水素分離用セラミック膜をセットし、ヒーター(3)で500℃に加熱しながらガスの透過計数を測定した。水素透過についての測定は、0.2MPaの水素を成膜チャンバー(1)内に供給し、成膜チャンバー(1)内に設置された水素分離用セラミック膜を透過し、基材保持筒体(2)の排出口から出て来る水素を石鹸膜流量計(図示省略)により測定した。窒素透過についての測定は、窒素を成膜チャンバー(1)内に供給しながら、基材保持筒体(2)内を減圧し、ピラニー真空計(図示省略)を用いて得られた窒素による圧力増加速度から窒素の透過係数を算出した。
透過計数は、
P=M/A/t/(P1−P2)
である。式中、Pは、透過係数(単位:mol・m−2・s−1・Pa−1)であり、Aは、膜面積(m)、tは時間(s)、(P1−P2)は、ガスの供給側と透過側の透過物質の分圧差(Pa)である。
水素および窒素の透過係数比は、同じ条件で測定した透過係数の比率、すなわちα=PH2/PN2から算出できる。
各実施例2〜4、比較例1について得られた結果を下記表に示す。
Figure 0005049498
表1から明らかなように、材料ガスを加圧した実施例2〜4では、比較例1と比べて、水素/窒素の透過係数比が格段に優れていることが示されている。特に、実施例2では、材料ガスの加圧が0.12MPa程度であるが、顕著な透過係数比の効果が得られることが分かる。
本発明のガス分離用セラミック膜を製造する方法を実施するための装置を示す構成図である。 加圧しながら材料ガスが供給されて成膜されたガス分離膜および加圧しないで材料ガスが供給されて成膜されたガス分離膜の水素および窒素の透過速度を測定した結果を示すグラフである。 材料ガスと対向ガスとの反応により生成した酸化ケイ素が中間層上に積層する場合を説明する概略図であり、(a)は材料ガスを加圧しない場合、(b)は材料ガスを加圧した場合を示している。
符号の説明
1 成膜チャンバー
2 基材保持筒体
3 ヒーター
4 熱電対
5 熱電対
6 ボンベ
7 ボンベ
8 ボンベ
9 ガス流量計
10 液体有機ケイ素化合物槽
11 バルブ
12 バルブ
13 バルブ
16 流量計
17 純水槽
18 バルブ
19 バルブ
20 バルブ
23 流量計
24 バルブ
25 流量計
26 バルブ
27 ガス排出口
28 圧力計
29 調整バルブ
30 圧力計
31 調整バルブ

Claims (4)

  1. 気化有機ケイ素化合物含有ガスである材料ガスを、0.1〜10μmの細孔の支持層および該支持層の外表面上に形成された1〜20nmの細孔の中間層を有する多層構造からなる基材のガス分離膜を形成する表面上に供給し、基材の材料ガスを供給する側の反対側に対向ガスを供給して、該基材の材料ガスが供給された表面上にて基材上に酸化ケイ素からなるガス分離膜を形成させるガス分離用セラミック膜の製造方法であって
    該材料ガスを400〜700℃で加熱し、および加圧しながら該基材表面上に供給し、
    該対向ガスの圧力が、大気圧以上であるが前記材料ガスの圧力よりも低く、
    該材料ガスと対向ガスの圧力差が0.01〜0.5MPaであり、
    該対向ガスは、酸素ガスまたは酸素を純水中にバブリングさせて該純水を気化させることにより得られる水蒸気含有酸素ガスであることを特徴とするガス分離用セラミック膜の製造方法。
  2. 前記材料ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンおよび水素からなる群より選択される少なくとも1種のガスを、液体有機ケイ素化合物中にバブリングさせて、液体有機ケイ素化合物を気化させることにより得られるものである、請求項1に記載のガス分離用セラミック膜の製造方法。
  3. 前記液体有機ケイ素化合物は、ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザンおよびテトラメチルシランからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜のいずれか1つに記載のガス分離用セラミック膜の製造方法。
  4. 前記基材は、多孔質セラミックスから構成される請求項1〜のいずれか1つに記載のガス分離用セラミック膜の製造方法。
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