JP3353584B2 - 膜形成方法及び装置 - Google Patents

膜形成方法及び装置

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JP3353584B2 JP00098196A JP98196A JP3353584B2 JP 3353584 B2 JP3353584 B2 JP 3353584B2 JP 00098196 A JP00098196 A JP 00098196A JP 98196 A JP98196 A JP 98196A JP 3353584 B2 JP3353584 B2 JP 3353584B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば機械の部品
のような金属等の耐熱性材料からなる物品上に、プラズ
マを用いて膜を形成する膜形成方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、物品の耐摩耗性、潤滑性、耐熱性
その他の特性を改善するために、目的とする特性に優れ
た膜を該物品上に形成することが行われている。このよ
うな成膜方法としては、減圧下で行う熱CVD法、プラ
ズマCVD法、真空蒸着法、スパッタ蒸着法等が採用さ
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに減圧下で成膜を行う場合、成膜容器内を所定真空状
態にするために排気能力の大きい排気装置が必要であ
り、排気装置及びそのランニングコストが高くつく。特
に、大型の物品上に成膜を行うためには大容量の成膜容
器内を真空引きしなければならず、さらにコスト高につ
く。また、減圧プラズマCVDにおいては、生成したプ
ラズマは比較的低温であるため、良質の膜を得るために
は被成膜物品を加熱しなければならず、このことからも
コスト高につく。
【0004】そこで本発明は、高価な排気装置を必要と
せず、またこのことから大型の被成膜物品上にもそれだ
け低コストで成膜を行うことができ、さらに、従来の減
圧プラズマCVDのような被成膜物品の加熱を行うこと
なく良質の膜を得ることができる膜形成方法及び装置を
提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明者は研究を重ね、以下の知見を得た。すなわ
ち、大気圧又は略大気圧以上の成膜用ガスに電力を印加
して該ガスをプラズマ化させる場合、高電圧電力を印加
すればプラズマを発生させることができ、減圧下でプラ
ズマを発生させるより効率よく、高温且つ高密度のプラ
ズマを得ることができる。さらに、高電圧電力をパルス
状に印加すれば容易にかかるプラズマを発生させること
ができる。これらにより成膜コスト高騰の要因となる排
気装置や被成膜物品の加熱手段を省略して良質の成膜を
行える。
【0006】前記知見に基づき本発明は、成膜容器内に
被成膜物品を設置し、該容器内に圧力1kg/cm2
10kg/cm2 の成膜用ガスを導入するとともに、該
容器内圧力を1kg/cm2 〜10kg/cm2 の所定
圧に調整しつつ、該ガスに高電圧電力を印加してこれを
プラズマ化し、該プラズマのもとで前記被成膜物品上に
成膜する膜形成方法を提供する。
【0007】また、前記知見に基づき本発明は、成膜容
器と、該容器内に備えられた被成膜物品支持手段と、該
容器内へ圧力1kg/cm2 〜10kg/cm2 の成膜
用ガスを供給する手段と、該容器内の圧力を1kg/c
2 〜10kg/cm2 の所定圧に調整するための手段
と、該成膜用ガス供給手段により該容器内に導入される
成膜用ガスに高電圧電力を印加して該ガスをプラズマ化
させるための高電圧電力印加手段とを有する膜形成装置
を提供する。
【0008】本発明方法及び装置によると、高電圧電力
を印加することで大気圧又は略大気圧(約1kg/cm
2 )以上の成膜用ガスをプラズマ化できる。従って、従
来の減圧プラズマCVDのような減圧下での成膜に必要
であった成膜を行う容器内を真空状態にするための排気
装置が不要になるとともに、かかる排気装置運転に伴う
ランニングコストが不要になり、それだけ低コストで成
膜を行うことができ、特に、大型の成膜容器を必要とす
る大型の被成膜物品への成膜も低コストで行うことがで
きる。さらに、大気圧程度以上のガスのプラズマは非常
に高温の熱プラズマであるため、被成膜物品を加熱する
ことなく該物品上に良質な膜を形成することができる。
被成膜物品を加熱するときでも、その加熱に要する電力
を従来より大幅に節約できる。
【0009】本発明方法における前記成膜用ガスへの高
電圧電力の印加は、前記成膜容器内に配置した放電用主
電極対と該主電極対間の放電開始を介助する、放電用電
極対を含む予備電離ピンとを高電圧電源に対し並列に接
続して該主電極対及び予備電離ピンのそれぞれに該電源
から高電圧を印加することで行うまた、本発明装置に
おける前記高電圧電力印加手段は、高電圧電源と、該高
電圧電源に並列に接続され、前記成膜容器内に配置され
た放電用主電極対及び予備電離ピンとを含んでおり、該
予備電離ピンは該主電極対間の放電開始を介助する放電
用電極対を含んでおり、該電源から主電極対及び予備電
離ピンのそれぞれに高電圧が印加される。また、前記容
器内の圧力を1kg/cm2 〜10kg/cm2 の所定
圧に調整する手段は、例えば容器内圧力を検出するため
の圧力計、容器内圧力を所定圧力に維持するために必要
に応じ容器内ガスを放出するための圧力調整弁等を含む
ものが考えられる。
【0010】本発明方法及び装置における前記被成膜物
品の材質には、金属やセラミック等、熱プラズマによる
高熱に耐え得るものを採用することができる。本発明方
法及び装置において、前記高電圧電力は5kV〜50k
V程度、より好ましくは10kV〜30kV程度の直流
電力とすることが考えられる。これは、5kVより小さ
いと成膜速度が低くなるからであり、50kVより大き
いと成膜用ガスの分解が進みすぎるとともに電源コスト
が高くつくからである。
【0011】さらに本発明方法及び装置において、前記
高電圧電力はパルス状の高電圧電力とすることが考えら
れ、このとき大気圧又は略大気圧(約1kg/cm2
以上の成膜用ガスのプラズマ化を容易に行うことができ
る。例えば電源として直流電源を用いるとき、パルス状
高電圧電力の印加繰り返し周波数は10Hz〜1000
Hz程度とすることが考えられる。これは、10Hzよ
り小さいと成膜速度が低くなるからであり、1000H
zより大きいと電源コストが高くつくからである。
【0012】本発明方法及び装置において、成膜用ガス
に直流高電圧電力をパルス状に印加するにあたっては、
通常のスイッチを用いて高電圧電源からの電力印加のオ
ンオフを行うとスイッチ端子部に損傷を与えるため、例
えば高電圧電源からの電力を一旦コンデンサに充電した
後放電することを繰り返して前記ガスへの電力印加をパ
ルス状にする回路を採用できる。その充放電の繰り返し
は、例えば該コンデンサと並列に高電圧直流電源に接続
されたサイラトロンにより行うことが考えられる。
【0013】本発明方法及び装置における前記被成膜物
品の材質としては、金属、セラミック等の比較的耐熱性
のあるものを挙げることができる。大気圧程度以上のガ
スのプラズマは非常に高温の熱プラズマであるため、比
較的耐熱性が劣る材質からなる物品への成膜を行うとき
には、例えば、プラズマ発生領域と被成膜物品とを隔て
る、一部にプラズマ通過孔を有する仕切り壁を成膜容器
に設け、該物品が高温の熱プラズマ発生領域に直接曝さ
れないようにして処理を行うことが考えられる。
【0014】本発明方法及び装置において、用いること
ができる成膜用ガス及びそれにより形成される膜の種類
並びに後述する成膜後の成膜容器内クリーニングのため
のプラズマの原料ガスであるクリーニング用ガスの種類
としては、表1に示す組み合わせを例示できる。
【0015】
【表1】
【0016】特に、成膜用ガスとして炭化水素化合物
(CX Y )ガス、並びに水素(H2)ガス及びフ素
(F)含有ガスの1以上を用いることが考えられ、この
とき熱プラズマにより良質の炭素膜が得られる。この場
合、炭化水素化合物ガスとしては、炭素膜形成に一般に
用いられるメタン(CH4 )ガス、エタン(C2 6
ガス、プロパン(C3 8 )ガス、ブタン(C4 10
ガス、アセチレン(C2 2 )ガス、ベンゼン(C6
6 )ガス等を挙げることができる。
【0017】またこの場合、フッ素含有ガスとしては、
フッ素(F2 )ガス、3フッ化窒素(NF3 )ガス、6
フッ化硫黄(SF6 )ガス、4フッ化炭素(CF4 )ガ
ス、4フッ化ケイ素(SiF4 )ガス、6フッ化2ケイ
素(Si2 6 )ガス、3フッ化塩素(ClF3 )ガ
ス、フッ化水素(HF)ガス等を挙げることができる。
炭素膜形成にあたり炭化水素化合物ガスに加えて水素ガ
スを用いるときは、膜中に不要なグラファイトが生成し
ようとするのを炭化水素の形で気相中に除去することが
でき、炭化水素化合物ガスに加えてフッ素含有ガスを用
いるときには、炭素−フッ素結合が安定であることから
フッ素原子が炭素原子間をつなぐ役割をして炭素膜形成
を促進し、いずれの場合も良質の炭素膜を効率良く形成
することができる。
【0018】また、本発明方法及び装置において、1又
は2回以上の成膜後、次の成膜前に、その前の成膜にお
ける成膜用ガスの種類及び(又は)それにより形成され
る膜の材質に応じたクリーニング用ガスのプラズマによ
り前記成膜容器内各部をクリーニングすることが考えら
れる。この場合、本発明装置においてこれらのガスを供
給するクリーニング用ガス供給手段が前記成膜容器に付
設される。成膜用ガスとしてその後のクリーニングにも
用いることができるガスを用いる場合は、成膜用ガス供
給手段の少なくとも一部にクリーニング用ガス供給手段
の少なくとも一部を兼ねさせることができる。
【0019】成膜容器内に大気圧又は略大気圧(約1k
g/cm2 )以上のガスのプラズマを発生させる場合、
前記容器内各部、例えば放電電極等にも膜付着し、その
結果、成膜用ガスに印加される電圧の大きさが安定しな
い等の不都合が生じ易いが、このように、1回の成膜を
行う度に又は複数回の成膜を行う度に成膜容器内を前記
クリーニング用ガスのプラズマによりクリーニングすれ
ば、安定して成膜を繰り返すことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明に係る膜形成装置
の1例の概略構成を示す図である。この装置は耐圧性の
成膜容器1を有し、容器1内には熱交換器2、ガス循環
用ファン3、高電圧電力を印加するための1対の半円柱
状の主電極41a、41b、2組の予備電離ピン44
a、44b及び被成膜物品支持ホルダ5が設けられてい
る。高圧ガスプラズマは寿命が短いため、主電極41
a、41bと被成膜物品支持ホルダ5とは通常接近して
配置される。
【0021】容器1外には高圧直流電源42、コンデン
サC、磁気スイッチSW、コイル(インダクタンス)L
及びサイラトロン43が設置されている。コンデンサ
C、磁気スイッチSW及びコイルLは直列に電源42に
接続されており、これら直列回路に並列してサイラトロ
ン43が電源42に接続されている。また、主電極41
a、41b及び2組の予備電離ピン44a、44bはそ
れぞれコイルLに並列に接続されている。
【0022】予備電離ピン44a、44bはそれぞれ先
端が尖った1対の電極及びコンデンサからなるものであ
り、容器1内の主電極41a、41b付近に配置されて
いる。面積が比較的広い電極間に直流電圧を印加する場
合、放電及びそれに伴うプラズマの発生が起こり難い
が、このように比較的広面積の主電極41a、41b付
近に予備電離ピン44a、44bを配置することで、予
備電離ピン44a、44bは主電極41a、41b間の
放電開始を介助する役割をする。
【0023】磁気スイッチSWはコイル(インダクタン
ス)Lとともに作用して、サイラトロン43への急激な
電流の流れを抑制して、サイラトロン43の損傷を防止
する役割をする。すなわち、磁気スイッチSWは、サイ
ラトロン43が接続されると同時的にはインピーダンス
が大きく、そのあと小さく変化させ得るもので、これに
よりサイラトロン43を保護できる。高電圧直流電源4
2、コンデンサC、磁気スイッチSW、コイルL、サイ
ラトロン43、主電極41a、41b及び2組の予備電
離ピン44a、44bは高電圧電力印加手段を構成す
る。
【0024】また、容器1には成膜用ガス供給部6が接
続されており、ガス供給部6にはレギュレータ611、
612・・・及び弁621、622を介して接続された
1又は2以上の成膜用ガスのガス源631、632・・
・が含まれる。また、容器1にはクリーニング用ガス供
給部7が接続されており、ガス供給部7にはレギュレー
タ71及び弁72を介して接続されたクリーニング用ガ
ス源73が含まれる。但し、例えば炭素膜を形成する場
合においてガス供給部6のガス源631、632・・・
に水素ガス源又はフッ素含有ガス源が含まれる場合は、
これにクリーニング用ガスのガス源を兼ねさせることが
できる。さらに、容器1には圧力計81が接続されると
ともに圧力調整弁82が接続され、これらは容器1内圧
力を調整するための圧力調整部80を構成している。
【0025】この装置を用いて本発明方法を実施するに
あたっては、容器1内に、図示しない搬送手段にて被成
膜物品Sを搬入し、被成膜物品支持ホルダ5に物品Sを
支持させる。次いで、ガス供給部6より成膜用ガスを容
器1内に導入するとともに主電極41a、41b間に5
kV〜50kVの高電圧電力を印加する。主電極41
a、41b間への電圧印加は、高電圧電源42から供給
された電力を一旦コンデンサCに充電し、これを放電さ
せることで行う。放電開始にあたっては、まず予備電離
ピン44a、44bにて放電開始し、その助けのもとに
引き続き主電極41a、41b間で放電が始まる。コン
デンサCへの充放電はサイラトロン43により行い、高
電圧電力のパルス状の印加を10Hz〜1000Hzの
周期で繰り返す。
【0026】この場合、サイラトロン43は過電流に非
常に弱いため、磁気スイッチSWによりサイラトロン4
3に電流が流れ始めると同時に磁気スイッチSWのイン
ピーダンスを大きくしておき、初期にサイラトロン43
に急激な電流が流れるのを抑制し、数100nsec後
に磁気スイッチSWのインピーダンスを小さくして徐々
にサイラトロン43に電流が流れるようにする。
【0027】これにより前記導入した成膜用ガスをプラ
ズマ化し、このプラズマの下で被成膜物品S上に成膜を
行う。この間、ガス循環用ファン3の回転により容器内
のガスを均一化する。また、容器内雰囲気を主電極41
a、41b間へ送り込む。なお、ファン3の回転方向
は、主電極41a、41b間を通り被成膜物品支持ホル
ダ5に支持された被成膜物品Sの方へ成膜用ガスを送り
込むような方向としてある。また、圧力調整部80にお
ける圧力調整弁82の操作にて容器内気体を容器外へ、
又は予め準備された適当な大気圧下の空間へ放出するこ
とで容器1内のガス圧を1kg/cm2 〜10kg/c
2 の範囲内の所定の圧に保つ。また、この間、高温プ
ラズマに起因して容器1内が高温になるため、熱交換器
2の運転により容器1内を冷却する。
【0028】以上説明した方法及び装置によると、大気
圧又は略大気圧以上のガス圧の成膜用ガスに高電圧電力
をパルス状に印加することで、該ガスをプラズマ化させ
ることができ、これにより減圧プラズマCVDに比べて
高密度のプラズマを効率よく得ることができる。また、
容器1内を真空状態にする必要がないため、排気装置が
不要であるとともに、その排気装置による排気のための
ランニングコストが不要となる。さらに、大気圧程度以
上のガスのプラズマは非常に高温であるため、被成膜物
品Sを加熱することなく、物品S上に良質な膜を形成す
ることができる。
【0029】また、図2は本発明に係る膜形成装置の他
の例の概略構成を示す図である。この装置は、図1に示
す装置において、成膜容器1として大容量のものを用
い、容器1内が仕切り壁11により二つの部分に分けら
れているものである。仕切り壁11は、中央部にプラズ
マを通過させるための孔11aを有する。また、被成膜
物品支持手段5に代えて、後述するように、長尺又は大
型の被成膜物品Sを支持するリール又は駆動テーブルが
仕切り壁11に対してプラズマ発生領域とは反対側に設
置される。その他の構成は図1の装置と同様であり、成
膜動作も同様である。図1の装置におけると同構成、作
用の部品には図1と同じ参照符号を付してある。
【0030】この装置を用いて本発明方法を実施する場
合、容器1内の容積が大きいため、長尺又は大型の被成
膜物品上にも成膜を行うことができる。反面、立体構造
物に対する成膜は行い難いため、このような物品への成
膜には図1の装置を用いればよい。図示の例では、長尺
被成膜物品Sを巻いたリールR1及び巻き取りリールR
2を仕切り壁11に対して主電極41a、41bとは反
対側の所定位置に配置している。長尺物品Sへの成膜は
リールR1から巻き取りリールR2に物品を順に巻き取
りつつ物品Sの上面を成膜用ガスのプラズマに曝すこと
で行う。リールR1、R2は仕切り壁11によりプラズ
マ発生領域から隔てられている。また、この他、駆動テ
ーブルに大型の被成膜物品を支持させ、駆動手段にて該
駆動テーブルを平行に移動させることで該物品上面全体
に成膜を行うこともできる。
【0031】この装置を用いる場合、仕切り壁11によ
りプラズマ発生領域と被成膜物品とが隔てられているた
め、比較的耐熱性の低い物品に対しても成膜を行うこと
ができる。その他の作用効果は、図1に示す装置と同様
である。また、図1の装置、図2の装置のいずれを用い
て成膜を行う場合も、容器1から成膜後の物品Sを搬出
し、次の被成膜物品Sを搬入する前に、クリーニング用
ガス供給部7から容器1内にクリーニング用ガスを導入
し、該ガスをプラズマ化し、該プラズマにより容器1内
各部を清浄化する。この清浄化は、1回又は複数回の成
膜ごとに行う。
【0032】次に図1の装置を用いてタングステンカー
バイトからなる被成膜物品S上に炭素膜を形成した本発
明方法実施の具体例について説明する。各実施例に共通
の装置条件は次の通りである。 主電極サイズ及び形状 半径50mm×長さ500mmの半円柱形状 主電極41a、41b間の間隔 28mm ガス循環用ファン3回転速度 500rpm 実施例1 被成膜物品S材質 タングステンカーバイト サイズ 100mm×300mm 印加電圧 25kV 繰り返し周波数 200Hz 容器内圧力 3kg/cm2 成膜用ガス メタン(CH4 ) 95% 水素(H2 ) 5% 成膜時間 5min 実施例2 被成膜物品S材質 タングステンカーバイト サイズ 100mm×300mm 印加電圧 25kV 繰り返し周波数 200Hz 容器内圧力 3kg/cm2 成膜用ガス メタン(CH4 ) 95% 6フッ化硫黄(SF6 ) 5% 成膜時間 5min 次に、前記実施例1、2による炭素膜被覆物品、及び従
来の減圧プラズマCVD法により原料ガスとしてメタン
のみを用いて物品S上に膜形成した比較例による炭素膜
被覆物品のそれぞれについて、ビッカース硬度(Hv)
及び膜表面の水による濡れ性を評価した。水による濡れ
性は水の接触角を測定することで評価した。接触角は、
空気中にある固体面上に液体があるときの、固体、液
体、気体の3相の接触点で液体に引いた切線と固体面の
なす角のうち、液体を含むほうの角であり、図3におい
て角θで表した角である。
【0033】結果を次表に示す。 ビッカース硬度(Hv) 接触角(度) 実施例1 2000 80 実施例2 2000 30 比較例 1000 90 このように、実施例1、2により、比較例によるより高
硬度の炭素膜が得られた。また、フッ素含有ガスを併用
した実施例2の炭素膜は実施例1の膜より濡れ性が向上
した。
【0034】また、実施例1及び2において、1回の成
膜ごとに、次の条件でクリーニング用ガスのプラズマを
用いて容器1内各部をクリーニングしたところ、いずれ
のガスを用いた場合も、これを行わない場合に比べて1
0回の成膜後のコンデンサCからの放電電圧の安定度
(均一性)が±10%から±5%に低下し、安定した成
膜を行えるようになった。 クリーニング条件 印加電圧 25kV 繰り返し周波数 200Hz 容器内圧力 3kg/cm2 クリーニング用ガス 6フッ化硫黄(SF6 )又は水素(H2 ) クリーニング時間 5min
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明によると、高価な排
気装置を必要とせず、またこのことから大型の被成膜物
品上にもそれだけ低コストで成膜を行うことができ、さ
らに、従来の減圧プラズマCVDのような被成膜物品の
加熱を行うことなく良質の膜を得ることができ、加熱す
るときでも、電力を従来より大幅に節約できる膜形成方
法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る膜形成装置の1例の概略構成を示
す図である。
【図2】本発明に係る膜形成装置の他の例の概略構成を
示す図である。
【図3】水による濡れ性の程度を表す接触角θを説明す
る図である。
【符号の説明】
1 高圧容器 2 熱交換器 3 ガス循環用ファン 41a、41b 主電極 42 高電圧電力 43 サイラトロン 44a、44b 予備電離ピン C コンデンサ SW 磁気スイッチ L コイル 5 被成膜物品支持ホルダ 6 成膜用ガス供給部 7 クリーニング用ガス供給部 80 圧力調整部 81 圧力計 82 圧力調整弁 R1、R2 リール
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−61376(JP,A) 特開 平7−118857(JP,A) 特開 平2−50967(JP,A) 特開 平5−235520(JP,A) 特開 平2−91658(JP,A) 特開 昭60−116784(JP,A) 特開 昭63−166972(JP,A) 特開 平6−120144(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 16/00 - 16/56 H05H 1/46 C08J 7/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成膜容器内に被成膜物品を設置し、該容
    器内に圧力1kg/cm2 〜10kg/cm2 の成膜用
    ガスを導入するとともに、該容器内圧力を1kg/cm
    2 〜10kg/cm2 の所定圧に調整しつつ、該ガスに
    高電圧電力を印加してこれをプラズマ化し、該プラズマ
    のもとで前記被成膜物品上に成膜するようにし、前記高
    電圧電力の印加は、前記成膜容器内に配置した放電用主
    電極対と該主電極対間の放電開始を介助する、放電用電
    極対を含む予備電離ピンとを高電圧電源に対し並列に接
    続して該主電極対及び予備電離ピンのそれぞれに該電源
    から高電圧を印加することで行うことを特徴とする膜形
    成方法。
  2. 【請求項2】 前記高電圧電力をパルス状に印加する請
    求項1記載の膜形成方法。
  3. 【請求項3】 前記成膜容器内に設置したファンにて該
    容器内雰囲気を攪拌均一化しつつ前記成膜用ガスをプラ
    ズマ化する請求項1又は2記載の膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記成膜容器内温度を該容器に対し設置
    した熱交換手段にて制御しつつ成膜を行う請求項1、2
    又は3記載の膜形成方法。
  5. 【請求項5】 1又は2回以上の成膜後、次の成膜前
    に、前記成膜容器内にクリーニング用ガスを導入してプ
    ラズマ化し、該プラズマにより該容器内をクリーニング
    する請求項1、2、3又は4記載の膜形成方法。
  6. 【請求項6】 成膜容器と、該容器内に備えられた被成
    膜物品支持手段と、該容器内へ圧力1kg/cm2 〜1
    0kg/cm2 の成膜用ガスを供給する手段と、該容器
    内の圧力を1kg/cm2 〜10kg/cm2 の所定圧
    に調整するための手段と、該成膜用ガス供給手段により
    該容器内に導入される成膜用ガスに高電圧電力を印加し
    て該ガスをプラズマ化させるための高電圧電力印加手段
    とを有し、前記高電圧電力印加手段は高電圧電源と、該
    高電圧電源に並列に接続され、前記成膜容器内に配置さ
    れた放電用主電極対及び予備電離ピンとを含んでおり、
    該予備電離ピンは該主電極対間の放電開始を介助する放
    電用電極対を含んでおり、該電源から該主電極対及び予
    備電離ピンのそれぞれに高電圧が印加されることを特徴
    とする膜形成装置。
  7. 【請求項7】 前記高電圧電力印加手段が、前記高電圧
    電力をパルス状に印加するものである請求項6記載の膜
    形成装置。
  8. 【請求項8】 前記成膜容器内に該容器内雰囲気を攪拌
    均一化するためのファンを設けた請求項6又は7記載の
    膜形成装置。
  9. 【請求項9】 前記成膜容器内温度を制御する熱交換手
    段を該容器に対し設けた請求項6、7又は8記載の膜形
    成装置。
  10. 【請求項10】 1又は2回以上の成膜後、次の成膜前
    に、前記成膜容器内をクリーニングするためのプラズマ
    の原料ガスを供給するクリーニング用ガス供給手段が前
    記成膜容器に付設されている請求項6、7、8又は9記
    載の膜形成装置。
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