JPH06114230A - ガス分離体の製造方法 - Google Patents

ガス分離体の製造方法

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JPH06114230A
JPH06114230A JP26889292A JP26889292A JPH06114230A JP H06114230 A JPH06114230 A JP H06114230A JP 26889292 A JP26889292 A JP 26889292A JP 26889292 A JP26889292 A JP 26889292A JP H06114230 A JPH06114230 A JP H06114230A
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gas
gas separation
separation membrane
reaction
porous substrate
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JP26889292A
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English (en)
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Tomonori Takahashi
知典 高橋
Osamu Sakai
修 酒井
Toshikatsu Kashiwaya
俊克 柏屋
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NGK Insulators Ltd
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 多孔質基体と、この多孔質基体の表面に被覆
しているガス分離膜とを有するガス分離体を設置し、こ
のガス分離体で隔てた片側にある反応ガスと、このガス
分離体で隔てたもう一方の片側にある他の反応ガスとを
ガス分離膜の貫通孔内で化学反応させ、この貫通孔内に
固体生成物を蒸着せしめるガス分離体の製造方法。 【効果】 多孔質基体及びこの多孔質基体の表面に被覆
しているガス分離膜を有するガス分離体を本発明に係る
方法で処理すると、ガス分離膜内に存在する貫通孔を減
縮、封鎖することができる。従って、処理後のガス分離
体を用いてガス分離をするとき、原料ガスがそのまま貫
通孔を通って精製ガス中へ入り込むことを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多成分混合ガスから特
定成分のガスのみを拡散分離するガス分離体の製造方法
に関し、更に詳しくは、多孔質基体及びこの多孔質基体
の表面に被覆しているガス分離膜を有するガス分離体に
おいて、ガス分離膜にある貫通孔を封じる方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、多成分混合ガスから特定のガス成
分のみを得る方法として、有機又は無機のガス分離膜に
よって分離する方法が知られている。膜分離法に用いら
れる分離膜は水素分離膜としては、ポリイミドやポリス
ルホンなどの有機高分子膜及びパラジウム又はパラジウ
ム合金膜などの無機化合物膜があり、酸素分離膜として
は銀又は銀合金膜がある。パラジウム又はパラジウム合
金膜においては耐熱性もあり、また極めて高純度の水素
を得ることができる。
【0003】パラジウム又はパラジウム合金の機械的強
度を高めた水素分離膜として、特開昭62−27303
0号公報、特開昭63−171617号公報には、多孔
質ガラス、多孔質セラミックス、又は多孔質酸化アルミ
ニウムなどの無機多孔質支持体の表面に、パラジウム又
はパラジウム合金を被着した膜が開示されている。ま
た、文献Membrane Reactor Technology, No.268. vo18
5, 18-25には酸化珪素膜による水素分離が記載されてい
る。米国特許第3,359,705号には、酸素を分離
する銀薄膜が開示されており、特開昭57ー19060
6には有機材料薄膜の製造方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの分離膜では、
薄膜製造時に生ずる分離膜を貫通している欠陥(貫通欠
陥)を通じて原料ガスが精製ガス内に流入してしまうと
いった欠点がある。例えば、パラジウム又はパラジウム
合金を用いた水素分離膜の製造方法において、特開昭6
2−273030号公報の方法では、無機多孔質体の表
面を化学的に活性化処理したのち、化学メッキ法でパラ
ジウム主体膜を被着する方法が開示されている。しか
し、化学メッキを行った際に生じるパラジウム主体膜を
貫通する欠陥を通じて原料ガスが精製ガス内に流入して
しまうといった欠点がある。
【0005】さらに、特開昭63−171617号公報
の方法では、例えば金属アルミニウムを陽極として酸化
処理したのち、エッチング法で金属アルミニウムを溶解
除去して厚さ50μm程度の多孔質酸化アルミニウム膜
を製造し、該膜にスパッタリング法でパラジウム又はパ
ラジウム合金を蒸着したのち、さらにパラジウム塩水溶
液でパラジウムを担持する方法が開示されているが、同
様にパラジウム膜に生じている貫通欠陥により原料ガス
が精製ガス内に流入してしまうといった欠点がある。ま
た、Membrane Reactor Technology, No.268.vol85, 18-
25に示されている酸化珪素薄膜、米国特許第3,35
9,705号に示されている銀薄膜、特開昭57ー19
0606に示されている有機材料薄膜についても同様の
問題がある。
【0006】また、これらの欠陥除去の方法として、膜
厚を厚くする方法はあるが、ガス透過性が低下してしま
うといった問題がある。本発明は、前記従来技術の課題
を背景になされたもので、ガス分離膜の貫通欠陥を閉じ
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、多孔質
基体と、この多孔質基体の表面に被覆しているガス分離
膜とを有するガス分離体を設置し、このガス分離体で隔
てた片側にある反応ガスと、このガス分離体で隔てたも
う一方の片側にある他の反応ガスとをガス分離膜の貫通
孔内で化学反応させ、この貫通孔内に固体生成物を蒸着
せしめることを特徴とするガス分離体の製造方法が提供
される。
【0008】また、本発明によれば、面形状の多孔質基
体と、この多孔質基体の片方の面の表面に被覆している
ガス分離膜とを有するガス分離体を設置し、このガス分
離体で隔てたガス分離膜に接する方の片側にある反応ガ
スと、このガス分離体で隔てた多孔質基体に接する方の
もう一方の片側にある他の反応ガスとをガス分離膜の貫
通孔内で化学反応させ、この貫通孔内に固体生成物を蒸
着せしめ、この化学反応において、ガス分離膜に接する
方の片側における反応ガスを含めた全ての気体の圧力
は、多孔質基体に接する方のもう一方の片側における他
の反応ガスを含めた全ての気体の圧力以上であって、こ
れら両圧力の差が30トル以下であることを特徴とする
ガス分離体の製造方法が提供される。
【0009】本発明において、貫通孔内に固体生成物を
蒸着せしめることにより、貫通孔を封孔することは、好
ましい。また、本発明において、多孔質基体の厚さが
0.1〜5mmであり、かつ、ガス分離膜の厚さが1〜
50μmであることは、好ましい。更に、本発明におい
て、ガス分離膜がパラジウム又はパラジウム合金からな
ることは、好ましい。
【0010】
【作用】本発明に係る製造方法は、多孔質基体と、この
多孔質基体の表面に被覆しているガス分離膜とを有する
ガス分離体に、2以上の反応ガスを用いる場合の化学蒸
着法(Chemical Vapor Deposition)を応用したものであ
り、通常の基板上ではなく、ガス分離膜の貫通孔内に生
成物を蒸着することを特徴とする。即ち、2以上の反応
ガスをガス分離体で隔て、次いで、ガス分離膜に生じて
いる貫通孔内を反応ガスが互いに逆方向に拡散し、貫通
孔内で反応ガスを反応させ、そこに固体生成物を蒸着す
る。このとき、固体生成物が貫通孔を封孔することは、
好ましい。
【0011】たとえ、貫通孔に蒸着した固体生成物が貫
通孔を封孔しきらず、ピンホールを残した場合でも、化
学蒸着法を使用しなかったときと比べ、貫通孔の大きさ
が小さくなる。従って、本発明の方法の処理を施したガ
ス分離体を用いて、ガス分離をするとき、原料ガスが貫
通孔を通過し難くなるという効果を奏する。
【0012】以上説明したように、本発明に係る製造方
法を施したガス分離体では、ガス分離体の貫通孔に生成
物が生じることにより、本発明に係る方法を使用した効
果を奏するのであるが、必ずしも、ガス分離体の貫通孔
のみに生成物が生じなければいかないということはな
く、不随的に、多孔質基体の孔内にも生成物を生じても
よい。
【0013】以下、本発明に係る製造方法で作製される
ガス分離体の一例を図面を参照しつつ説明する。図2は
本発明に係る製造方法で処理したガス分離体の概略図で
ある。図2において、管状の多孔質基体2にガス分離膜
3を被覆して、ガス分離膜3に内在した貫通欠陥を固体
生成物4により封鎖したものである。また、分離膜の内
部を分離膜の両側に貫くようにセラミックス等である固
体生成物が分散している。
【0014】なお、ガス分離体の形状又は多孔質基体2
の形状は、面であることは好ましく、面とは、平面及び
曲面を包含し、また、曲面が閉じている形状に相当する
上記のような管形状も当然に含む。管形状の場合、管断
面の形状は任意であるが、円形のものは入手が容易であ
る。また、ガス分離体の形状又は多孔質基体2の形状は
板状でもよく、その使用目的により任意の形状にでき
る。
【0015】多孔質基体2としては、アルミナ、シリ
カ、シリカ−アルミナ、ムライト、コージェライト、ジ
ルコニアといったものの他、カーボンや多孔質ガラスな
どが用いられる。この多孔質基体は3次元状に連続した
多数の微細な貫通孔を有するものである。この孔径は、
0.003〜20μmが好ましく、更に0.005〜5
μmが好ましく、更に、0.01〜1μmが好ましい。
孔径が0.003μm未満ではガスが通過するときの抵
抗が大きくなり、また、化学蒸着法により生じる固体生
成物により、孔が塞がれる可能性が大きくなるからであ
る。孔径が20μmを超えると被覆膜、即ち、ガス分離
膜にピンホールが生じやすくなるからである。
【0016】また、多孔質基体2の厚さは、0.1〜5
mmが好ましく、更に好ましくは0.1〜3mmである
が、管径及び圧力により異なる。多孔質基体2の厚さが
100μm未満では、支持体としての機械的強度が弱く
実用性が限られるからである。多孔質基体2の厚さが5
mm以上では、本発明に係る化学蒸着のときの化学反応
及びガス分離体によるガス分離の際に、ガス拡散の時間
がかかるので、いずれの場合も処理時間が長時間となる
からである。
【0017】ガス分離膜3は、使用目的によって適宜、
選択される。例えば、パラジウム又はパラジウムを主体
とする合金の薄膜、酸化珪素薄膜、銀又は銀を主体とす
る合金の薄膜、有機材料薄膜等が用いられる。図2にお
いて、ガス分離膜は、管形状を有する多孔質基体の外側
に被覆しているが、内側に被覆していてもよい。ガス分
離膜が内側に被覆している場合、ガス分離膜が外側に被
覆している場合と比べて、ガス分離膜に傷がつきずら
く、好ましい。なお、多孔質基体表面に被覆するガス分
離膜の被覆態様は、このようにして構成するガス分離体
により、ガス分離ができるような態様であればよい。
【0018】ガス分離膜3の総厚は1〜50μmが好ま
しく、更に好ましくは5〜20μmである。ガス分離膜
3の総厚が1μm未満では、ガス分離膜3に大きなピン
ホールが生じやすくなるため、本発明に係る方法による
処理時間が長くなり、処理効率が低下するので好ましく
ない。そのうえ、固体生成物4がガス分離膜3上に広く
付着し、ガスを透過する有効面積が減少することによる
ガス透過性の低下が起き、好ましくない。一方、厚さが
50μmを超えるとガス分離膜に貫通欠陥は少なくなる
が、本発明に係る化学蒸着法における化学反応のとき及
びガス分離体によるガス分離のとき、いずれの場合もガ
ス拡散の時間がかかるので、処理時間が長時間となり、
好ましくない。
【0019】また、ガス分離膜3がパラジウム合金膜で
ある場合には、Japanese MembraneScience,56(1991)315
-325:"Hydrogen Permeable Palladium - Silver Alloy
Membrane Supported on Porous Ceramics" や特開昭6
3─295402に示されているように、パラジウム以
外の金属の含量は10〜30重量%であることが好まし
い。パラジウムを合金化する主目的は、パラジウムの水
素脆化防止と高温時の分離効率向上のためである。
【0020】固体生成物4としては、SiO2又はSiCのシ
リコン化合物、並びに金属等の酸化物、窒化物、酸化物
若しくは炭化物であるセラミックス等の化合物又はこれ
らの混合物又は金属が用いられ、例えば、酸化珪素、酸
化アルミニウム、酸化チタン等があげられる。この固体
生成物4は膜の両側に導入した反応ガスが貫通欠陥内に
おいて接触することにより生成するため、固体生成物4
が蒸着し、封孔が完了すればそれ以上は反応ガスどうし
が接触せず、固体生成物4も生成しなくなってしまうた
め、貫通孔内に過剰に固体生成物4が生成することはな
い。また、気相化学反応を起こす反応ガスは比較的分子
が大きいが、分離膜中の細孔を気体分子が拡散すること
によりガス分離を行うような膜、例えば有機材料薄膜で
は、この分離用細孔が小さいため反応ガスは入り込めな
いため、固体生成物が分離用細孔を封孔することはな
い。更に、分離されるガスが溶解し、拡散する無機化合
物膜では、反応ガスは膜内にそもそも溶解しないので、
このような問題はない。
【0021】次に、本発明に係るガス分離体の製造方法
について、詳しく説明する。まず前記多孔質基体2の表
面にガス分離膜3を適当な公知方法によって被覆する。
このガス分離膜の被覆方法としては、パラジウム又はパ
ラジウム合金薄膜の場合には、日本化学会誌、6(19
90)669−675に示されているように、塩化パラ
ジウムと塩化錫の塩酸水溶液に交互に浸漬することを1
0回行ったのち、ヒドラジンを還元剤とするメッキ液を
用いて無電解メッキを行いパラジウム薄膜を被覆する。
【0022】また、酸化珪素薄膜の場合には、Membrane
Reactor Technology No.268 vol.85 18-25に示されて
いるように、SiH4とCO2とからSiO2が生成する反応を用
いる化学蒸着法により、酸化珪素を多孔質基体表面に被
覆できる。また、銀薄膜については、米国特許第3,359,
705号に示されているように、真空蒸着法、スパッタリ
ング法又はメッキ法により、銀薄膜を多孔質基体表面に
被覆できる。また、有機材料薄膜については特開昭57
−190606に示されているように、多孔質支持膜を
ガス分離膜の原料である有機溶液中に通すことによって
ガス分離膜を被覆する。
【0023】次に、多孔質表面に被覆するこれらガス分
離膜内に存在する貫通欠陥を化学蒸着法により処理す
る。ガス分離体の管内5に反応ガスを保持し又は流し、
同時に管外1に他の反応ガスを保持し又は流すことによ
り、ガス分離膜内の貫通欠陥内でれらの反応ガスが接触
して反応し、固体生成物4を生成する。
【0024】多孔質基体表面にガス分離膜が被覆してい
るガス分離体において、ガス分離膜に接する方の片側に
おける反応ガスの圧力とキャリヤーガスの圧力との総和
が、多孔質基体に接する方のもう一方の片側における反
応ガスの圧力とキャリヤーガスの圧力との総和より小さ
いとき、多孔質基体に接する方のもう一方の片側にある
反応ガスが未だ封孔されていない貫通孔を通過して、ガ
ス分離膜に接する方の片側のチャンバーに入り込み、ガ
ス分離膜6表面に生成物が蒸着し、ガス分離膜の有効表
面積を減少することがある。
【0025】例えば、図1にある場合を例として説明す
ると、ガス分離膜6が多孔質基体16の外側表面に被覆
しているガス分離体であり、管の外側における反応ガス
11の圧力とキャリヤーガスの圧力との総和が、管の内
側における反応ガス9の圧力とキャリヤーガスの圧力と
の総和より小さいとき、反応ガス9がガス分離膜6にあ
る貫通孔を通過して反応ガス11のチャンバーに入り込
み、ガス分離膜6表面に生成物が蒸着し、ガス分離膜の
有効表面積を減少することがある。
【0026】このように、ガス分離膜の有効表面積が減
少することは好ましくはないので、多孔質基体表面にガ
ス分離膜が被覆しているガス分離体において、ガス分離
膜に接する方の片側の反応ガスとキャリヤーガスとの圧
力の総和は、多孔質基体に接する方のもう一方の片側の
反応ガスとキャリヤーガスとの圧力の総和以上であり、
これらの圧力の差は30トル以下であることは、好まし
い。この圧力差が30トルより大きい場合、これとは逆
の方向の反応ガスの透過が問題となり得るからである。
即ち、この圧力差が大きい場合、多孔質基体16の孔内
において、ガス分離膜6より離れた深い部分にまで固体
生成物が生成し得る。このようなガス分離膜6より離れ
た多孔質基体16の孔内での固体生成物の生成を抑制す
るために、この圧力差は10トル以下であることは更に
好ましく、5トル以下であることは更に好ましい。な
お、圧力調節器により、化学反応が進行する間に5トル
以下の圧力差を維持することは、工業上、十分に可能で
あるが、それより小さい圧力差を定常的に維持すること
は、工業上の困難が増すことになる。
【0027】従って、図1のように、ガス分離膜6が多
孔質基体16の外側表面に被覆しているとき、管の外側
の圧力が管の内側の圧力より大きいことは、好ましい。
これとは逆に、ガス分離膜6が多孔質基体16の内側表
面に被覆しているとき、管の内側の圧力が管の外側の圧
力より大きいことは、好ましい。
【0028】なお、ガス分離体の片側における反応ガス
とキャリヤーガスとの総圧は、化学蒸着法における反応
速度、真空チャンバーの圧力制御等の理由で、760ト
ル以下であることは好ましい。
【0029】この化学蒸着に用いる反応としては、膜が
耐えられる温度での気相反応により固体生成物が生成す
るものであれば制限がなく、化学蒸着法に使われる反応
を応用することができる。例えば、SiCl4とH2OによるSi
O2の生成反応、TiCl4とH2OによるTiO2の生成反応、AlCl
3とH2OによるAl2O3の生成反応、SiH4とCO2による若しく
はSiH4とO2によるSiO2生成反応等が利用できる。
【0030】これらの化学反応の反応物を反応ガスに用
いる。しかし、反応ガスのみをガス分離体に導く必要は
なく、反応ガスの他、反応に関与しない窒素、アルゴン
等のガスをキャリヤーガスとして、反応ガスと同時にガ
ス分離体に導くこともできる。
【0031】これらの化学蒸着法における反応温度は公
知であり、その反応が進行する温度に設定する。しか
し、ガス分離膜が安定である温度でなければならない。
従って、パラジウム薄膜のような耐熱性膜はその反応温
度を高温まで上げることができるので、種々の反応が選
択できる。望ましくはガス分離膜を使用する温度で本発
明に係る方法で処理を行う方が安定したガス分離体が得
られる。例えば、パラジウム薄膜を本発明に係る方法で
処理する場合は、200℃以上でも処理が可能である。
【0032】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。 (実施例1)まず、基質上にガス分離膜を被覆した。外
径10mm、肉厚1.5mm、長さ300mmの円筒形
状を有し、微細孔径が0.1μmの多孔質α−アルミナ
管を用いて、特開昭62−273029に開示されてい
るように、その外表面を活性化処理した。即ち、1g/
lのSnCl2の0.1%塩酸水溶液及び0.1g/lのPdC
l2の0.1%塩酸水溶液による1分間の浸漬処理をその
アルミナ管の外表面に交互に10回繰り返した。次い
で、イオンを除去した水1l中に、[Pd(NH3)4]Cl2・H2O
(5.4g)、2Na・EDTA(67.2g)、アンモ
ニア濃度28%のアンモニア水(350g)、H2NNH2
H2O(0.46ml)を加えた水溶液を準備し、上記活
性化処理を行った多孔質アルミナ管を30℃に温度制御
したこの水溶液に15時間浸漬することにより、膜厚1
3μmのパラジウム膜を多孔質アルミナ管の外表面に被
覆した。
【0033】その後、本発明に係る方法でその基質上の
パラジウム膜を処理した。図1に示すような真空チャン
バー7内にガス分離膜6であるパラジウム膜を被覆した
多孔質アルミナ管を取付けた。次いで、真空チャンバー
7を5×10ー5トルにまで真空引きした後、温度を40
0℃に昇温した。ガス導入管8から流量0.25l/min
のアルゴンをキャリヤーガスに用いて、流量0.2l/mi
nのH2Oを反応ガス9として導入し、同時に、もう一方の
ガス導入管10からは、流量0.25l/minのアルゴン
をキャリヤーガスに用いて、流量0.1l/minのSiCl4
反応ガス11として導入した。また、管状のガス分離体
の外側における反応ガス11とキャリヤーガスとの総圧
は、305トルであり、管状のガス分離体の内側におけ
る反応ガス9とキャリヤーガスとの総圧は、300トル
であった。真空ポンプ12、13で両反応ガス9、11
を引きながら、このような条件で両反応ガスを1時間流
し続け、基質上のパラジウム膜の貫通孔にSiO2を蒸着し
た。
【0034】また、処理後の基質上のパラジウム膜に付
いて、水素50容量%及び二酸化炭素50容量%からな
る混合ガス17から水素を分離する試験(水素分離試
験)を行い、ガス分離性能を調べた。試験装置の概略図
を図3に示す。まず、チャンバー7を400℃にまで加
熱した。次いで、アルミナ管の外側に、圧力が9kg重
/cm2である上記混合ガス17を一分あたり2Nリッ
トル(即ち、室温における体積が2リットルである。)
で導入した。また、アルミナ管の内側に、圧力が1kg
重/cm2のアルゴンをキャリヤーガス18として、一
分当たり0.1Nリットル導入した。ガスクロマトグラ
フィにより、こうして得られた精製ガス19に付いて定
量分析を行い、ガス透過速度及び透過ガス中の水素濃度
を調べた。その結果、ガス分離体上のパラジウム膜1c
2及び1分あたりのガス透過速度は9mlであり、精
製ガス19には純度99%の水素が含まれていた。
【0035】なお、同様な試験を処理前のガス分離体上
のパラジウム膜に付いて行ったところ、精製ガスには、
91%の水素が含まれていた。また、この場合のガス透
過速度は、ガス分離体上のパラジウム膜1cm2及び1
分あたりに付き、11mlであった。従って、処理前に
おいて、約2ml/cm2・minの混合ガスがガス分離体上のパ
ラジウム膜中の貫通欠陥から漏れだしていたことが分か
る。
【0036】処理前と処理後における、上記混合ガスが
ガス分離体を透過するガス透過速度(ml/cm2・min)及びこ
うして得られた精製ガスの水素純度を表1にまとめる。
【0037】
【表1】
【0038】(実施例2)実施例1と同様に、同一の多
孔質アルミナ管の外表面に無電解メッキ法によりパラジ
ウム膜を被覆・製造した。次いで、図1の装置により、
封孔処理を行った。反応ガス9としてH2Oを用い、ま
た、もう一方の反応ガス11としてTiCl4を用いた。実
施例1と同様に、反応ガス11の圧力は、反応ガス9の
圧力よりも0〜5トルの範囲内で高くなるように調節し
た。温度を350℃とし、反応ガス9、11を何れもア
ルゴンをキャリヤーガスに用いて、アルミナ管の内側と
外側に同時に1.5時間導入し続け、ガス分離体上のパ
ラジウム膜の貫通孔にTiO2を蒸着した。
【0039】(実施例3)実施例1と同様に、多孔質ア
ルミナ管の外表面に無電解メッキ法によりパラジウム膜
を被覆・製造した。次いで、図1の装置により、封孔処
理を行った。反応ガス9としてH2Oを用い、また、もう
一方の反応ガス11としてAlCl3を用いた。実施例1と
同様に、反応ガス11の圧力は、反応ガス9の圧力より
も0〜5トルの範囲内で高くなるように調節した。温度
を400℃とし、反応ガス9、11を何れもアルゴンを
キャリヤーガスに用いて、アルミナ管の内側と外側に同
時に1.5時間導入し続け、ガス分離体上のパラジウム
膜の貫通孔にAl2O3を蒸着した。
【0040】(実施例4)実施例1と同様に、多孔質ア
ルミナ管の外表面に無電解メッキ法によりパラジウム膜
を被覆・製造した。次いで、図1の装置により、封孔処
理を行った。反応ガス9としてH2Oを用い、また、もう
一方の反応ガス11としてSiCl4を用いた。実施例1と
同様に、反応ガス11の圧力は、反応ガス9の圧力より
も0〜5トルの範囲内で高くなるように調節した。温度
を30℃とし、反応ガス9、11を何れもアルゴンをキ
ャリヤーガスに用いて、アルミナ管の内側と外側に同時
に3時間導入し続け、ガス分離体上のパラジウム膜の貫
通孔にSiO2を蒸着した。このように室温近くでも本発明
に係る方法を使用することができる。
【0041】実施例2〜4においても実施例1と同様に
水素分離試験を行った。処理前と処理後におけるガス透
過速度(ml/cm2・min)及びこうして得られた精製ガスの水
素純度を表1にまとめる。従って、この表1から明きら
かなように、本発明に係る方法により、本発明に係る方
法で処理したガス分離体では、処理前と比べて、精製ガ
ス中の水素ガスの純度が向上することを確認した。
【0042】
【発明の効果】本発明に係るガス分離体の製造方法で
は、多孔質基体及びこの多孔質基体の表面に被覆してい
るガス分離膜を有するガス分離体において、ガス分離膜
内に存在する貫通孔を封鎖又は減縮することができる。
従って、本発明に係る方法の処理を受けたガス分離体を
用いてガス分離をするとき、原料ガスがそのまま貫通孔
を通って精製ガス中へ入り込み、精製ガスの純度が低下
することを防止できるか又は減少できる。また、同時
に、本発明に係る方法の処理を受けたガス分離体では貫
通孔が減少するので、このガス分離体を用いたガス分離
のとき、原料ガスと精製ガスの圧力差が低下することが
防止でき、従って、ガス分離膜中の拡散速度にも大きな
悪影響を与えることなく、ガス分離における効率の低下
を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法の説明図である。
【図2】本発明に係る製造方法で処理したガス分離膜の
概略図である。
【図3】ガス分離膜を用いたガス分離方法の説明図であ
る。
【符号の説明】
1 管外 2 多孔質基体 3 ガス分離膜 4 固体生成物 5 管内 6 ガス分離膜 7 真空チャンバー 8 導入管 9 反応ガス 10 導入管 11 反応ガス 12 真空ポンプ 13 真空ポンプ 14 圧力調節器 15 oリング 16 多孔質基体 17 混合ガス 18 キャリヤーガス 19 精製ガス

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質基体と、該多孔質基体の表面に被
    覆しているガス分離膜とを有するガス分離体を設置し、 該ガス分離体で隔てた片側にある反応ガスと、該ガス分
    離体で隔てたもう一方の片側にある他の反応ガスとを該
    ガス分離膜の貫通孔内で化学反応させ、該貫通孔内に固
    体生成物を蒸着せしめることを特徴とするガス分離体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 面形状の多孔質基体と、該多孔質基体の
    片方の面の表面に被覆しているガス分離膜とを有するガ
    ス分離体を設置し、 該ガス分離体で隔てた該ガス分離膜に接する方の片側に
    ある反応ガスと、該ガス分離体で隔てた該多孔質基体に
    接する方のもう一方の片側にある他の反応ガスとを該ガ
    ス分離膜の貫通孔内で化学反応させ、該貫通孔内に固体
    生成物を蒸着せしめ、 該化学反応において、該ガス分離膜に接する方の片側に
    おける該反応ガスを含めた全ての気体の圧力は、該多孔
    質基体に接する方のもう一方の片側における該他の反応
    ガスを含めた全ての気体の圧力以上であって、これら両
    圧力の差が30トル以下であることを特徴とするガス分
    離体の製造方法。
  3. 【請求項3】 該貫通孔内に固体生成物を蒸着せしめる
    ことにより、該貫通孔を封孔することを特徴とする請求
    項1又は2に記載のガス分離体の製造方法。
  4. 【請求項4】 該多孔質基体の厚さが0.1〜5mmで
    あり、かつ、該ガス分離膜の厚さが1〜50μmである
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガス分
    離体の製造方法
  5. 【請求項5】 該ガス分離膜がパラジウム又はパラジウ
    ム合金からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載のガス分離体の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996000608A1 (fr) * 1993-03-31 1996-01-11 Ngk Insulators, Ltd. Separateur de gaz et son procede de production
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