JP5048959B2 - 消泡剤および潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、消泡剤および潤滑油組成物に関し、詳しくは潤滑油用に好適な消泡剤及びこれを含有する潤滑油組成物に関するものである。
現在主流となっているオルガノポリシロキサン等の有機シリコーン系消泡剤は熱に対して安定であるため、高温条件で使用される潤滑油に好適に用いられている(例えば、特許文献1〜6)。しかし、これら有機シリコーン系消泡剤は、酸に対して不安定であるため、潤滑油の劣化に伴い生成する酸性成分によりその効果が小さくなるという問題があり、潤滑油の消泡性能を長期間維持するには未だ改善の余地がある。
特開昭62−124193号公報 特開平1−153792号公報 特開平1−95193号公報 特開平8−127787号公報 特開平8−24512号公報 特開平11−209778号公報
本発明の課題は、以上のような事情に鑑み、熱及び酸に対し安定であり、消泡性能を長期間維持可能な消泡剤及びこれを含有する潤滑油組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の平均粒径を有する金属酸化物が熱及び酸に対し安定であり、消泡性能を長期間維持可能な消泡剤として有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、平均粒径が1〜1000nmの、金属酸化物を含有することを特徴とする消泡剤にある。
また、本発明は前記金属酸化物を含有させてなることを特徴とする潤滑油組成物にある。
また、本発明は潤滑油に前記金属酸化物を含有させることを特徴とする潤滑油の消泡方法にある。
ここで本発明において「金属酸化物」とは、「典型金属酸化物」、及び「遷移金属酸化物」のみならず、例えばケイ素酸化物のような、「半金属酸化物」をも含む概念である。
本発明の消泡剤、潤滑油組成物及び消泡方法によれば、消泡性に優れるとともに、熱及び酸に対する安定性が高い平均粒径1〜1000nmの金属酸化物を利用することで、高温条件及び劣化過程で酸性成分を生成しやすい潤滑油やその他流体に対し、消泡性及びその持続性を発揮できるため、潤滑油又はその他流体の初期の諸性能を長期に渡り維持させることが可能となる。
以下、本発明について詳述する。
本発明における金属酸化物は、その平均粒径が1〜1000nmであり、好ましくは5〜500nm、より好ましくは10〜100nm、特に好ましくは20〜50nmである。金属酸化物の平均粒径が1000nmを超える場合、消泡効果が小さいだけでなく、貯蔵安定性が悪化する恐れがある。一方、金属酸化物の平均粒径が1nm未満の場合、消泡効果が期待されず、また、製造も困難である。
本発明における金属酸化物は、金属元素の酸化物である限り特に制限はなく、公知の金属酸化物が挙げられる。
ここで、金属元素としては、半金属、典型金属、及び遷移金属等が挙げられる。より具体的には、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、ポロニウム等の半金属;アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム等の典型金属;鉄、鉛、金、白金、銀、銅、クロム、カドミウム、水銀、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、ホルミウム、モリブデン、タングステン、錫、トリウム、セリウム、ビスマス、スカンジウム、チタン、バナジウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等の遷移金属等が挙げられる。
本発明における金属酸化物の好ましい例としては、具体的には、例えば、SiO、TiO、CoO、Fe(α、γ)、Ho、Mn、Al、BeO、CaO、MgO、ThO、Y、ZrO、SnO、ZnO、Bi、CeO、CuO、及びこれらから選ばれる1種又は2種以上の混合物等が挙げられる。これらの中では、SiO、TiO、SnO、ZnO、Al、Y、CoO、ZrOが好ましく、貯蔵安定性に優れる点で、TiO、Al、Y、CoOが好ましく、消泡性及びその維持性に優れる点でTiO、Al、CoOから選ばれる少なくとも1種が好ましく、泡抜け性に優れる点でCoO、Al及びこれらの混合物が特に好ましい。
ここで、上記金属酸化物の製造法としては、公知の一般的な方法を挙げることができるが、例えば、PSV(Physical Vapor Synthesis)法や電気炉法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等が挙げられる。
本発明の消泡剤は、通常粉末状の金属酸化物を必要に応じて溶剤や分散助剤等に溶解又はコロイド状に分散させた状態とすることが好ましい。ここで溶剤としては、トルエン、キシレン、MIBK、ジメチルアセトアミド等、各種金属酸化物に好適なものを使用することができる。分散助剤としては、金属酸化物を均一に分散できるものであれば特に制限はなく、例えば後述する無灰分散剤等が挙げられる。
本発明の消泡剤は、上記溶剤や分散助剤等を含有する場合、その金属酸化物の含有量は通常、消泡剤全量基準で1〜90質量%、好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。
本発明の消泡剤は、潤滑油用に好適であり、潤滑油に含有又は分散させることで潤滑油の消泡性能を発揮できる。また、本発明の消泡剤は、潤滑油以外の各種の粘性流体にも使用することができる。ここでいう潤滑油又は粘性流体の動粘度としては、特に制限はないが、通常40℃における動粘度が0.5〜50000mm/s、好ましくは1〜1000mm/s、より好ましくは2〜100mm/s、さらに好ましくは5〜50mm/s、特に好ましくは10〜35mm/sの潤滑油又は粘性流体である。粘性流体としては、石油精製工程において製造される石油系粘性流体、あるいは合成炭化水素系粘性流体が好ましい。
本発明の消泡剤は、上記潤滑油又は上記粘性流体全量を基準として、金属酸化物の含有量として通常、0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、さらに好ましくは0.0005質量%以上含有又は分散させることが望ましい。金属酸化物の含有量が0.00001質量%未満の場合、消泡効果が期待できない。また、金属酸化物の含有量が10質量%を超える場合、潤滑油に使用する場合に潤滑面の摩耗が著しく、貯蔵安定性にも劣るため好ましくない。金属酸化物の含有量は、潤滑面の摩耗量を低減するためには、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、特に好ましくは0.01質量%以下とすることが望ましい。これらの金属酸化物は、公知の方法で潤滑油又は粘性流体に分散させることができる。
本発明における潤滑油組成物は、潤滑油に上記金属酸化物を含有させてなる。
潤滑油は、通常、以下の潤滑油基油を含む。潤滑油基油としては、特に制限はなく、通常の潤滑油に使用される鉱油系基油及び/又は合成系基油が使用できる。
鉱油系基油としては、具体的には、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいはワックス異性化鉱油、フィッシャートロプシュプロセス等により製造されるGTL WAX(ガストゥリキッドワックス)を異性化する手法で製造される潤滑油基油等が例示できる。
鉱油系基油の全芳香族分は、特に制限はないが、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。全芳香族分は0質量%でも良いが、添加剤の溶解性の点で1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。基油の全芳香族分が40質量%を超える場合は、酸化安定性が劣るため好ましくない。なお、上記全芳香族分とは、ASTM D2549に準拠して測定した芳香族留分(aromatic fraction)含有量を意味する。通常この芳香族留分には、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレン、これらのアルキル化物、ベンゼン環が四環以上縮合した化合物、及びピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ芳香族を有する化合物等が含まれる。また、鉱油系基油中の硫黄分は、特に制限はないが、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
合成系基油としては、具体的には、ポリブテン又はその水素化物;1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリα−オレフィン又はその水素化物;ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のジエステル;トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル;マレイン酸ジブチル等のジカルボン酸類と炭素数2〜30のα−オレフィンとの共重合体;アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、芳香族エステル等の芳香族系合成油又はこれらの混合物等が例示できる。
本発明では、潤滑油基油として、鉱油系基油、合成系基油、油脂又はこれらの中から選ばれる2種以上の潤滑油の任意混合物等が使用できる。例えば、1種以上の鉱油系基油、1種以上の合成系基油、1種以上の鉱油系基油と1種以上の合成系基油との混合油等を挙げることができる。
潤滑油基油の動粘度は特に制限はないが、その100℃での動粘度は、2〜50mm/sであることが好ましく、より好ましくは、3〜40mm/s、特に好ましくは4〜35mm/sである。潤滑油基油の100℃での動粘度が50mm/sを超える場合は、低温粘度特性が悪化し、一方、その動粘度が2mm/s未満の場合は、潤滑箇所での油膜形成が不十分であるため潤滑性に劣り、また潤滑油基油の蒸発損失が大きくなるため、それぞれ好ましくない。
潤滑油基油の粘度指数は特に制限はないが、低温から高温まで優れた粘度特性が得られるようにその値は好ましくは80以上であり、より好ましくは90以上であり、更に好ましくは100以上である。粘度指数の上限については特に制限はなく、通常200以下、好ましくは160以下のものを使用することができる。
潤滑油基油のNOACK蒸発量に特に制限はないが、通常50質量%以下、好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは16質量%以下であり、好ましくは5質量以上、さらに好ましくは10質量%以上である。上記範囲の潤滑油基油を用いることで好適な潤滑特性を有する潤滑油組成物を得ることができる。なお、ここでいうNOACK蒸発量とは、ASTM D5800に準拠して測定されたものである。
本発明の潤滑油組成物は、上記潤滑油基油に、前記金属酸化物を含有させることで、消泡性能及びその維持性能を発揮することができるが、前記金属酸化物の溶解性、分散性を高め、消泡性能及びその維持性能を高めるだけでなく、潤滑油に必要な性能をさらに付与するために、潤滑油に一般的に使用されている任意の添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、例えば、無灰分散剤、金属系清浄剤、酸化防止剤、摩耗防止剤(又は極圧剤)、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤及び着色剤等の添加剤等を挙げることができる。
無灰分散剤としては、潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤を用いることができるが、例えば、炭素数40〜400の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体が挙げられる。ここでいう含窒素化合物としては、例えばコハク酸イミド、ベンジルアミン、ポリアミン、マンニッヒ塩基等が挙げられ、その誘導体としては、これら含窒素化合物にホウ酸、ホウ酸塩等のホウ素化合物、(チオ)リン酸、(チオ)リン酸塩等のリン化合物、有機酸、ヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート等を作用させた誘導体等が挙げられる。本発明においては、これらの中から任意に選ばれる1種類あるいは2種類以上を配合することができる。
このアルキル基又はアルケニル基の炭素数は40〜400、好ましくは60〜350である。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が40未満の場合は化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下し、一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が400を超える場合は、潤滑油組成物の低温流動性が悪化するため、それぞれ好ましくない。このアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分枝状でもよいが、好ましいものとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーやエチレンとプロピレンのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基や分枝状アルケニル基等が挙げられる。
本発明において、無灰分散剤を配合する場合の含有量は、特に制限はないが、通常組成物全量基準で0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜4質量%、さらに好ましくは1〜3質量%である。無灰分散剤の含有量が上記未満の場合、硫酸中和速度が十分でない傾向にあり、また、上記範囲を超える場合、含有量に見合う効果が得られないばかりか、ピストンリング溝の清浄性が悪化する傾向にある。
金属系清浄剤としては、特に制限はなく、公知のアルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート系清浄剤、アルカリ金属又はアルカリ土類金属フェネート系清浄剤、アルカリ金属又はアルカリ土類金属サリシレート系清浄剤、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ナフテネート系清浄剤、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ホスホネート系清浄剤及びこれらの2種以上の混合物(コンプレックスタイプも含む。)等が挙げられる。
ここでいうアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウム等が挙げられる。アルカリ金属よりも、アルカリ土類金属であることが好ましく、カルシウム又はマグネシウムであることが特に好ましい。これら金属系清浄剤の全塩基価及び添加量は要求される潤滑油の性能に応じて任意に選択することができる。
なお、上記金属系清浄剤には、中性の金属系清浄剤だけでなく、(過)塩基性金属系清浄剤も含まれるが、本発明においては、炭酸カルシウム及び/又はホウ酸カルシウムを有する(過)塩基性金属系清浄剤であることが好ましい。
金属系清浄剤の塩基価は、特に制限はないが、通常0〜500mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは150〜450mgKOH/g、特に好ましくは200〜400mgKOH/gである。なお、ここでいう塩基価とは、JIS K2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による塩基価を意味する。
本発明において、金属系清浄剤の含有量は特に制限はないが、組成物全量基準で、通常、金属換算量としての含有量は、好ましくは0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜0.5質量%、さらに好ましくは0.1〜0.3質量%である。
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤等あるいは金属系酸化防止剤が挙げられる。これらの含有量は、組成物全量基準で、通常0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜2質量%である。
摩耗防止剤(又は極圧剤)としては、潤滑油に用いられる任意の摩耗防止剤が使用できる。例えば、硫黄系、リン系、硫黄−リン系の極圧剤等が使用でき、具体的には、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。
本発明の潤滑油組成物において、これらの摩耗防止剤(又は極圧剤)を使用する場合、その含有量は、特に制限はないが、組成物全量基準で、通常0.01〜5質量%である。
摩擦調整剤としては、脂肪酸エステル系、脂肪族アミン系、脂肪族イミド系、脂肪酸アミド系、脂肪酸金属塩等の無灰摩擦調整剤、モリブデンジチオカーバメート、モリブデンジチオホスフェート等の金属系摩擦調整剤等が挙げられる。これらの含有量は、組成物全量基準で、通常0.01〜5質量%である。
粘度指数向上剤としては、ポリメタクリレート系粘度指数向上剤、オレフィン共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−ジエン共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系粘度指数向上剤又はポリアルキルスチレン系粘度指数向上剤等が挙げられる。これら粘度指数向上剤の重量平均分子量は、通常800〜1,000,000、好ましくは10,000〜900,000である。また、粘度指数向上剤の含有量は、組成物全量基準で通常0.1〜20質量%である。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、又はイミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、又は多価アルコールエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、又はポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、又はβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリシレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール、アルミニウムステアレート、オレイン酸カリウム、N−ジアルキル−アリルアミンニトロアミノアルカノール、イソアミルオクチルホスフェートの芳香族アミン塩、アルキルアルキレンジホスフェート、チオエーテルの金属誘導体、ジスルフィドの金属誘導体、脂肪族炭化水素のフッ素化合物、トリエチルシラン、ジクロロシラン、アルキルフェニルポリエチレングリコールエーテルスルフィド、フルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
これらの添加剤を本発明の潤滑油組成物に含有させる場合には、その含有量は組成物全量基準で、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤ではそれぞれ通常0.005〜5質量%、金属不活性化剤では通常0.005〜1質量%、消泡剤では通常0.0001〜1質量%の範囲から選ばれる。
本発明の潤滑油組成物は、消泡性及びその持続性に優れるため、このような消泡性が要求さる用途、例えば、二輪車用、四輪車用、船舶用、発電用等のガソリンエンジン油、ディーゼルエンジン油、ガスエンジン油、自動変速機、手動変速機、終減速機、ギヤ等の駆動系用潤滑油、湿式ブレーキ油、油圧作動油、タービン油、圧縮機油、軸受け油、冷凍機油等の潤滑油としても好適に使用することができる。
本発明の潤滑油組成物の100℃における動粘度は、特に制限はなく、通常3〜50mm/sであるが、好ましくは5.6〜21.3mm/sであるが、より好ましくは5.6〜16.3mm/sである。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜3)
表1に示す金属酸化物A、B、Cを含有させた本発明の潤滑油組成物(実施例1〜3)及び市販消泡剤X、Y、Zを含有させた比較用の潤滑油組成物(比較例1〜3)をそれぞれ調製した。得られた組成物について、新油及び165℃、144時間の条件でISOT試験により劣化させた劣化油について、消泡性能をJIS K 2518に準拠して評価した。
ここで、金属酸化物としては、以下のものを用いた。
金属酸化物A:SiO、平均粒径35nm(溶剤なし)
金属酸化物B:TiO、平均粒径40nm(溶剤なし)
金属酸化物C:CoO及びAl混合物、平均粒径28nm(溶剤なし)
また、市販消泡剤としては以下のものを用いた。
市販消泡剤X:ジメチルポリシロキサン
市販消泡剤Y:アルキルポリシロキサン
市販消泡剤Z:フルオロシリコン
なお、基油として、以下の性状を有する水素化分解基油を使用した。
動粘度 :4.0mm/s @100℃
粘度指数:125
NOACK蒸発量:16質量%
イオウ分:0.005質量%以下
また、その他添加剤としては、粘度指数向上剤、酸化防止剤、無灰分散剤及び摩擦調整剤等が配合されたATFパッケージ添加剤を用い、組成物の40℃動粘度を30mm/sとなるように調整した。
Figure 0005048959
表1の結果からわかるように、本発明の消泡剤は有機シリコーン系消泡剤と同等以上の消泡性能を有するとともに、劣化油においてもその消泡性能を維持できることがわかる。また、実施例2及び3の組成物においては特に泡立ち性が低く、泡抜け性にも優れていることがわかる。
なお、実施例1〜3の組成物における金属酸化物含有量を5質量%まで増量し、ATFパッケージ添加剤をエンジン油パッケージ添加剤に変更し、200時間後の貯蔵安定性を調べた結果、貯蔵安定性にも問題ないことが判明した。

Claims (5)

  1. TiO、SnO、ZnO、Al、Y、CoO、及びZrOから選ばれる、平均粒径が1〜1000nmの金属酸化物の少なくとも一種を含有することを特徴とする消泡剤。
  2. 前記金属酸化物が、TiO、Al、Y、及びCoOから選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の消泡剤。
  3. 前記金属酸化物が、TiO、Al、及びCoOから選ばれる少なくとも一種である、請求項2に記載の消泡剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属酸化物を含有させてなることを特徴とする潤滑油組成物。
  5. 潤滑油に請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属酸化物を含有させることを特徴とする潤滑油の消泡方法。
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