JP2022147768A - 内燃機関用潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 LSPI抑制能と省燃費性能とを共に優れたものとすることが可能な内燃機関用潤滑油組成物を提供すること。【解決手段】 (A)潤滑油基油および(B)金属系清浄剤を含有してなり;前記(B)成分が、(B1)組成物の全質量を基準としたカルシウムの含有量が特定の範囲にあるカルシウム系清浄剤と、(B2)組成物の全質量を基準としたマグネシウムの含有量が特定の範囲にあるマグネシウム系清浄剤とを含有し;前記(B1)成分が(B1-1)ホウ素とカルシウムとを含有するカルシウム系清浄剤を含有し;組成物の全質量を基準としたホウ素の含有量が1000質量ppm以下であり;組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量をB(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のカルシウムの含有量をCa(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B2)成分中のマグネシウムの含有量をMg(B2)と表した場合に、Ca(B1)に対するB(B1)の比率(B(B1)/Ca(B1))が0.15以上0.35以下であり、かつ、Ca(B1)とMg(B2)の合計量(Ca(B1)+Mg(B2))に対するB(B1)の比率(B(B1)/[Ca(B1)+Mg(B2)])が0.13以上0.29以下であること;を特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。【選択図】 なし
Description
本発明は、内燃機関用潤滑油組成物に関する。
近年、自動車のエンジン等の内燃機関の高性能化や高出力化等に伴い、内燃機関用の潤滑油(エンジン油)に対して高度な性能が要求されており、潤滑油基油に種々の添加剤を配合させた様々な潤滑油組成物が研究されている。
例えば、国際公開第2019/221295号(特許文献1)には、潤滑油基油と、(A)ホウ酸カルシウムを含有する金属系清浄剤と、(B)マグネシウムを含有する金属系清浄剤とを含み、前記(A)成分が、ホウ酸カルシウムで過塩基化された1種以上のカルシウム系清浄剤であるか、または、ホウ酸カルシウムで過塩基化された1種以上のカルシウム系清浄剤とホウ酸カルシウムで過塩基化されていない1種以上のカルシウム系清浄剤との組み合わせであり、潤滑油組成物中の金属系清浄剤に由来する総ホウ素分B(単位:mol)と、潤滑油組成物中の金属系清浄剤に由来する総カルシウム分Ca(単位:mol)とのモル比B/Caが0.52以上である内燃機関用潤滑油組成物が開示されている。
また、国際公開第2018/212340号(特許文献2)には、潤滑油基油と、(A)ホウ酸カルシウムを含有する金属系清浄剤と、(B)マグネシウムを含有する金属系清浄剤とを含む内燃機関用潤滑油組成物が開示されており、同文献の段落[0064]には、潤滑油組成物中の金属系清浄剤に由来する総ホウ素分B(単位:mol)と、潤滑油組成物中の金属系清浄剤に由来する総カルシウム分Ca(単位:mol)とのモル比B/Caは、好ましくは0.52以上であることが開示されている。
さらに、特開2017-226793号公報(特許文献3)には、(A)潤滑油基油と、(B)(B1)カルシウムを含有する金属系清浄剤と(B2)マグネシウムを含有する金属系清浄剤とを含む金属系清浄剤を、組成物全量基準でカルシウム量として500~2500質量ppmかつマグネシウム量として100~1000質量ppmとを含む内燃機関用潤滑油組成物が開示されている。
しかしながら、前記特許文献1~3に記載されているような従来の内燃機関用潤滑油組成物であっても、LSPI[低速プレイグニッション(Low Speed Pre-Ignition)、低速早期着火]を抑制する性能(LSPI抑制能)を優れたものとするとともに、摩擦性能を向上させて省燃費性能も同時に優れたものとするといった点においては、改良の余地があった。
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、LSPI抑制能と省燃費性能とを共に優れたものとすることが可能な内燃機関用潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、内燃機関用潤滑油組成物を(A)潤滑油基油および(B)金属系清浄剤を含有するものとし;前記(B)成分を(B1)組成物の全質量を基準としたカルシウムの含有量が1650質量ppm以上2500質量ppm以下の範囲にあるカルシウム系清浄剤と、(B2)組成物の全質量を基準としたマグネシウムの含有量が20質量ppm以上400質量ppm以下の範囲にあるマグネシウム系清浄剤とを含有するものとし;前記(B1)成分を(B1-1)ホウ素とカルシウムとを含有するカルシウム系清浄剤を含むものとし;組成物の全質量を基準としたホウ素の含有量を1000質量ppm以下とし;さらに、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量(質量比)をB(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のカルシウムの含有量(質量比)をCa(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B2)成分中のマグネシウムの含有量(質量比)をMg(B2)と表した場合において、Ca(B1)に対するB(B1)の比率(B(B1)/Ca(B1))が0.15以上0.35以下となるようにするとともに、Ca(B1)とMg(B2)の合計量(Ca(B1)+Mg(B2))に対するB(B1)の比率(B(B1)/[Ca(B1)+Mg(B2)])が0.13以上0.29以下となるようにすることにより、その内燃機関用潤滑油組成物のLSPI抑制能を優れたものとすることができるとともに、摩擦性能を向上させて省燃費性能も同時に優れたものとすることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、
(A)潤滑油基油、および、(B)金属系清浄剤を含有してなり、
前記(B)成分が、
(B1)組成物の全質量を基準としたカルシウムの含有量が1650質量ppm以上2500質量ppm以下の範囲にあるカルシウム系清浄剤と、
(B2)組成物の全質量を基準としたマグネシウムの含有量が20質量ppm以上400質量ppm以下の範囲にあるマグネシウム系清浄剤と、
を含有し、
前記(B1)成分が、(B1-1)ホウ素とカルシウムとを含有するカルシウム系清浄剤を含有し、
組成物の全質量を基準としたホウ素の含有量が1000質量ppm以下であり、
組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量をB(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のカルシウムの含有量をCa(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B2)成分中のマグネシウムの含有量をMg(B2)と表した場合に、Ca(B1)に対するB(B1)の比率(B(B1)/Ca(B1))が0.15以上0.35以下であり、かつ、Ca(B1)とMg(B2)の合計量(Ca(B1)+Mg(B2))に対するB(B1)の比率(B(B1)/[Ca(B1)+Mg(B2)])が0.13以上0.29以下であること、
を特徴とするものである。本明細書中の「組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量」、「組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のカルシウムの含有量」および「組成物の全質量を基準とした(B2)成分中のマグネシウムの含有量」という記載において、「含有量」という記載はいずれも組成物の全質量(組成物の全量)を基準とした質量の割合(質量比:質量基準の含有比率)を意味する。
(A)潤滑油基油、および、(B)金属系清浄剤を含有してなり、
前記(B)成分が、
(B1)組成物の全質量を基準としたカルシウムの含有量が1650質量ppm以上2500質量ppm以下の範囲にあるカルシウム系清浄剤と、
(B2)組成物の全質量を基準としたマグネシウムの含有量が20質量ppm以上400質量ppm以下の範囲にあるマグネシウム系清浄剤と、
を含有し、
前記(B1)成分が、(B1-1)ホウ素とカルシウムとを含有するカルシウム系清浄剤を含有し、
組成物の全質量を基準としたホウ素の含有量が1000質量ppm以下であり、
組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量をB(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のカルシウムの含有量をCa(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B2)成分中のマグネシウムの含有量をMg(B2)と表した場合に、Ca(B1)に対するB(B1)の比率(B(B1)/Ca(B1))が0.15以上0.35以下であり、かつ、Ca(B1)とMg(B2)の合計量(Ca(B1)+Mg(B2))に対するB(B1)の比率(B(B1)/[Ca(B1)+Mg(B2)])が0.13以上0.29以下であること、
を特徴とするものである。本明細書中の「組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量」、「組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のカルシウムの含有量」および「組成物の全質量を基準とした(B2)成分中のマグネシウムの含有量」という記載において、「含有量」という記載はいずれも組成物の全質量(組成物の全量)を基準とした質量の割合(質量比:質量基準の含有比率)を意味する。
前記本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、前記(B1)成分が、前記(B1-1)成分としてホウ酸カルシウムサリシレートを含むことが好ましい。
また、前記本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、(C)ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤をさらに含有するものであることが好ましい。また、前記(C)成分は、櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーを含むものであることが好ましい。
本発明によれば、LSPI抑制能と省燃費性能とを共に優れたものとすることが可能な内燃機関用潤滑油組成物を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお、本明細書においては、特に断らない限り、数値XおよびYについて「X~Y」という表記は「X以上Y以下」を意味するものとする。かかる表記において数値Yのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Xにも適用されるものとする。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、
(A)潤滑油基油、および、(B)金属系清浄剤を含有してなり、
前記(B)成分が、
(B1)組成物の全質量を基準としたカルシウムの含有量が1650質量ppm以上2500質量ppm以下の範囲にあるカルシウム系清浄剤と、
(B2)組成物の全質量を基準としたマグネシウムの含有量が20質量ppm以上400質量ppm以下の範囲にあるマグネシウム系清浄剤と、
を含有し、
前記(B1)成分が、(B1-1)ホウ素とカルシウムとを含有するカルシウム系清浄剤を含有し、
組成物の全質量を基準としたホウ素の含有量が1000質量ppm以下であり、
組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量(質量比)をB(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のカルシウムの含有量(質量比)をCa(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B2)成分中のマグネシウムの含有量(質量比)をMg(B2)と表した場合に、Ca(B1)に対するB(B1)の比率(B(B1)/Ca(B1))が0.15以上0.35以下であり、かつ、Ca(B1)とMg(B2)の合計量(Ca(B1)+Mg(B2))に対するB(B1)の比率(B(B1)/[Ca(B1)+Mg(B2)])が0.13以上0.29以下であること、
を特徴とするものである。以下、先ず、本発明の内燃機関用潤滑油組成物が含有し得る各成分について説明する。
(A)潤滑油基油、および、(B)金属系清浄剤を含有してなり、
前記(B)成分が、
(B1)組成物の全質量を基準としたカルシウムの含有量が1650質量ppm以上2500質量ppm以下の範囲にあるカルシウム系清浄剤と、
(B2)組成物の全質量を基準としたマグネシウムの含有量が20質量ppm以上400質量ppm以下の範囲にあるマグネシウム系清浄剤と、
を含有し、
前記(B1)成分が、(B1-1)ホウ素とカルシウムとを含有するカルシウム系清浄剤を含有し、
組成物の全質量を基準としたホウ素の含有量が1000質量ppm以下であり、
組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量(質量比)をB(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のカルシウムの含有量(質量比)をCa(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B2)成分中のマグネシウムの含有量(質量比)をMg(B2)と表した場合に、Ca(B1)に対するB(B1)の比率(B(B1)/Ca(B1))が0.15以上0.35以下であり、かつ、Ca(B1)とMg(B2)の合計量(Ca(B1)+Mg(B2))に対するB(B1)の比率(B(B1)/[Ca(B1)+Mg(B2)])が0.13以上0.29以下であること、
を特徴とするものである。以下、先ず、本発明の内燃機関用潤滑油組成物が含有し得る各成分について説明する。
<(A)成分:潤滑油基油>
本発明において(A)成分として利用する潤滑油基油は、特に制限されず、潤滑油の分野において利用可能な公知の基油を適宜利用でき、例えば、1種以上の鉱油系基油、もしくは1種以上の合成系基油、またはそれらの混合基油を用いることができる。
本発明において(A)成分として利用する潤滑油基油は、特に制限されず、潤滑油の分野において利用可能な公知の基油を適宜利用でき、例えば、1種以上の鉱油系基油、もしくは1種以上の合成系基油、またはそれらの混合基油を用いることができる。
前記潤滑油基油として利用可能な鉱油系基油としては、API(アメリカ石油協会:American Petroleum Institute)による基油の分類において、グループIIの基油、グループIIIの基油、グループIVの基油、グループVの基油、または、これらの基油のうちの2種以上の混合物(混合基油)を好適に用いることができる(以下、APIによる基油分類のグループを単に「APIグループ」と称する)。ここで、APIグループIIの基油は、硫黄分が0.03質量%以下、飽和分が90質量%以上、且つ粘度指数が80以上120未満の鉱油系基油である。APIグループIIIの基油は、硫黄分が0.03質量%以下、飽和分が90質量%以上、且つ粘度指数が120以上の鉱油系基油である。また、APIグループIVの基油は、ポリα-オレフィン基油である。さらに、APIグループVの基油は、APIグループI~IV以外の基油であって、その好ましい例としてはエステル系基油を挙げることができる。
また、鉱油系基油としては、例えば、原油を常圧蒸留および/または減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理から選ばれる1種または2種以上の組み合わせにより精製したパラフィン系鉱油、およびノルマルパラフィン系基油、イソパラフィン系基油、ならびにこれらの混合物を利用できる。
鉱油系基油の好ましい例としては、以下に示す基油(1)~(8)を原料とし、この原料油および/またはこの原料油から回収された潤滑油留分を、所定の精製方法によって精製し、潤滑油留分を回収することによって得られる基油を挙げることができる。
(1)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留による留出油
(2)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(WVGO)
(3)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)および/またはガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)
(4)基油(1)~(3)から選ばれる1種または2種以上の混合油および/または当該混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油
(5)基油(1)~(4)から選ばれる2種以上の混合油
(6)基油(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の脱れき油(DAO)
(7)基油(6)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(8)基油(1)~(7)から選ばれる2種以上の混合油。
(1)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留による留出油
(2)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(WVGO)
(3)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)および/またはガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)
(4)基油(1)~(3)から選ばれる1種または2種以上の混合油および/または当該混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油
(5)基油(1)~(4)から選ばれる2種以上の混合油
(6)基油(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の脱れき油(DAO)
(7)基油(6)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(8)基油(1)~(7)から選ばれる2種以上の混合油。
なお、前記所定の精製方法としては、水素化分解、水素化仕上げなどの水素化精製;フルフラール溶剤抽出などの溶剤精製;溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう;酸性白土や活性白土などによる白土精製;硫酸洗浄、苛性ソーダ洗浄などの薬品(酸またはアルカリ)洗浄などが好ましい。これらの精製方法のうちの1種を単独で行ってもよく、2種以上を組み合わせて行ってもよい。また、2種以上の精製方法を組み合わせる場合、その順序は特に制限されず、適宜選定することができる。
また、鉱油系基油としては、前記基油(1)~(8)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分について所定の処理を行うことにより得られる下記基油(9)または(10)が特に好ましい。
(9)前記基油(1)~(8)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分を水素化分解し、その生成物またはその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または当該脱ろう処理をした後に蒸留することによって得られる水素化分解基油
(10)前記基油(1)~(8)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分を水素化異性化し、その生成物またはその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または、当該脱ろう処理をしたあとに蒸留することによって得られる水素化異性化基油
なお、前記(9)および(10)の潤滑油基油としては、それぞれ、脱ろう処理として、接触脱ろう処理(工程)を経て製造されたものがより好ましい。また、前記(9)または(10)の潤滑油基油を得る際に、必要に応じて溶剤精製処理および/または水素化仕上げ処理工程を、適当な段階でさらに行ってもよい。
(9)前記基油(1)~(8)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分を水素化分解し、その生成物またはその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または当該脱ろう処理をした後に蒸留することによって得られる水素化分解基油
(10)前記基油(1)~(8)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分を水素化異性化し、その生成物またはその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または、当該脱ろう処理をしたあとに蒸留することによって得られる水素化異性化基油
なお、前記(9)および(10)の潤滑油基油としては、それぞれ、脱ろう処理として、接触脱ろう処理(工程)を経て製造されたものがより好ましい。また、前記(9)または(10)の潤滑油基油を得る際に、必要に応じて溶剤精製処理および/または水素化仕上げ処理工程を、適当な段階でさらに行ってもよい。
鉱油系基油の%CPは、好ましくは70~99、より好ましくは70~95、さらに好ましくは75~95、特に好ましくは75~94である。基油の%CPが前記下限値以上であることにより、粘度-温度特性を高めることが可能になるとともに、省燃費性能をさらに高めることが可能になる。また、基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目を十分に発揮させることが可能になる。また、基油の%CPが前記上限値以下であることにより、添加剤の溶解性を高めることが可能になる。
鉱油系基油の%CAは、2以下であることが好ましく、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.5以下である。基油の%CAが前記上限値以下であることにより、粘度-温度特性を高めることが可能になるほか、省燃費性能をさらに高めることが可能になる。
鉱油系基油の%CNは、好ましくは1~30、より好ましくは4~25である。基油の%CNが前記上限値以下であることにより、粘度-温度特性を高めることが可能になるとともに、省燃費性能をさらに高めることが可能になる。また、%CNが前記下限値以上であることにより、添加剤の溶解性を高めることが可能になる。
本明細書において%CP、%CNおよび%CAとは、それぞれASTM D 3238-85に準拠した方法(n-d-M環分析)により求められる、パラフィン炭素数の全炭素数に対する百分率、ナフテン炭素数の全炭素数に対する百分率、および芳香族炭素数の全炭素数に対する百分率を意味する。つまり、上述した%CP、%CNおよび%CAの好ましい範囲は前記方法により求められる値に基づくものであり、例えば、ナフテン分を含まない潤滑油基油であっても、前記方法により求められる%CNは0を超える値を示し得る。
鉱油系基油における飽和分の含有量は、基油全量を基準として、好ましくは90質量%以上であり、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上である。飽和分の含有量が前記下限値以上であることにより、粘度-温度特性を向上させることができる。なお、本明細書において飽和分とは、ASTM D 2007-93に準拠して測定された値を意味する。
また、飽和分の分離方法には、同様の結果が得られる類似の方法を使用することができる。例えば、前記ASTM D 2007-93に記載された方法の他、ASTM D 2425-93に記載の方法、ASTM D 2549-91に記載の方法、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)による方法、あるいはこれらの方法を改良した方法等を挙げることができる。
鉱油系基油における芳香族分は、基油全量を基準として、好ましくは0~10質量%、より好ましくは0~5質量%、特に好ましくは0~1質量%であり、一の実施形態において0.1質量%以上であり得る。芳香族分の含有量が前記上限値以下であることにより、粘度-温度特性および低温粘度特性を高めることが可能になるほか、省燃費性能をさらに高めることが可能になるとともに、潤滑油の蒸発損失を低減して潤滑油の消費量を低減することが可能になる。また、潤滑油に配合される添加剤の効き目を効果的に発揮させることが可能になる。また、潤滑油基油は芳香族分を含有しないものであってもよいが、芳香族分の含有量が前記下限値以上であることにより、添加剤の溶解性を高めることができる。なお、本明細書において芳香族分とは、ASTM D 2007-93に準拠して測定された値を意味する。芳香族分には、通常、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレンおよびこれらのアルキル化物、さらにはベンゼン環が四環以上縮環した化合物、ピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ原子を有する芳香族化合物などが含まれる。
前記潤滑油基油として利用可能な合成系基油としては特に制限されず、公知の合成系基油を適宜利用できる。このような合成系基油としては、例えば、ポリα-オレフィンおよびその水素化物、イソブテンオリゴマーおよびその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ビス-2-エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ビス-2-エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル、並びにこれらの混合物等の合成系基油を用いることができ、これらの中でも、ポリα-オレフィン系基油が好ましい。ポリα-オレフィン系基油の典型的な例としては、炭素数2~32、好ましくは炭素数6~16のα-オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー(1-オクテンオリゴマー、デセンオリゴマー、エチレン-プロピレンコオリゴマー等)およびそれらの水素化生成物が挙げられる。
前記潤滑油基油としては、100℃における動粘度が2.0~5.0mm2/s(より好ましくは3.0~5.0mm2/s、さらに好ましくは4.0~4.8mm2/s、特に好ましくは4.1~4.7mm2/s)のものが好ましい。潤滑油基油の100℃における動粘度が前記下限値以上である場合には、前記下限値未満の場合と比較して、潤滑箇所で効率よく油膜を形成することが可能になるとともに、潤滑油組成物の蒸発損失を低減させて潤滑油の消費量を低減させることが可能となる。また、潤滑油基油の100℃における動粘度が前記上限以下である場合には、前記上限を超えた場合と比較して、省燃費性能をさらに優れたものとすることが可能となる。なお、本明細書において、「100℃における動粘度」とは、JIS K 2283-2000に準拠して測定された100℃での動粘度を意味する。
前記潤滑油基油としては、40℃における動粘度が9.0~36.0mm2/s(より好ましくは12.6~33.2mm2/s、さらに好ましくは15.8~25.2mm2/s、特に好ましくは17.7~21.6mm2/s、最も好ましくは17.5~22.1mm2/s)のものが好ましい。潤滑油基油の40℃における動粘度が前記上限値以下である場合には、前記上限を超えた場合と比較して、潤滑油組成物の低温粘度特性と省燃費性能をさらに優れたものとすることが可能となる。また潤滑油基油の40℃における動粘度が前記下限値以上である場合には、前記下限値未満の場合と比較して、潤滑箇所での油膜形成性を向上させて潤滑性を優れたものとすることが可能となるとともに、潤滑油組成物の蒸発損失が低減され、潤滑油の消費量を低減させることが可能となる。なお、本明細書において「40℃における動粘度」とは、JIS K 2283-2000に準拠して測定された40℃での動粘度を意味する。
前記潤滑油基油としては、粘度指数が100以上(より好ましくは105以上、さらに好ましくは110以上、特に好ましくは115以上、最も好ましくは120以上)のものが好ましい。粘度指数が前記下限値以上である場合、前記下限値未満の場合と比較して、潤滑油組成物の粘度-温度特性、および、摩耗防止性を向上させることが可能となるとともに、省燃費性能をさらに向上させることが可能となり、さらには、潤滑油の蒸発損失を低減させることが可能となって、潤滑油の消費量を低減させることが可能となる。なお、本明細書において「粘度指数」とは、JIS K 2283-1993に準拠して測定された粘度指数を意味する。
前記潤滑油基油としては、250℃におけるNOACK蒸発量が30質量%以下(より好ましくは15質量%以下)のものが好ましい。潤滑油基油の250℃におけるNOACK蒸発量の下限は特に制限されるものではないが、通常、3質量%以上である。なお、本明細書において「250℃におけるNOACK蒸発量」とは、ASTM D 5800に準拠して測定される250℃における潤滑油基油または潤滑油組成物の蒸発量である。
前記潤滑油基油としては、流動点が-10℃以下(より好ましくは-12.5℃以下、さらに好ましくは-15℃以下)のものが好ましい。流動点が前記上限値以下である場合には、その上限値を超えた場合と比較して潤滑油組成物全体の低温流動性を向上させることが可能になる。なお、本明細書において「流動点」とは、JIS K 2269-1987に準拠して測定された流動点を意味する。
前記潤滑油基油の硫黄分の含有量は、その原料の硫黄分の含有量に依存する。例えば、フィッシャートロプシュ反応等により得られる合成ワックス成分のように実質的に硫黄を含まない原料を用いる場合には、実質的に硫黄を含まない潤滑油基油を得ることができる。なお、本明細書中において「硫黄分」とは、JPI-5S-38に準拠して測定された硫黄分を意味する。また、潤滑油基油の精製過程で得られるスラックワックスや精ろう過程で得られるマイクロワックス等の硫黄を含む原料を用いる場合には、得られる潤滑油基油中の硫黄分は通常100質量ppm以上となる。潤滑油組成物の低硫黄化の観点から、潤滑油基油の硫黄分の含有量が100質量ppm以下であることが好ましく、50質量ppm以下であることがより好ましく、10質量ppm以下であることがさらに好ましく、5質量ppm以下であることが特に好ましい。
前記潤滑油基油における窒素分の含有量は、10質量ppm以下(より好ましくは5質量ppm以下、さらに好ましくは3質量ppm以下)であることが好ましい。本明細書において窒素分とは、JIS K 2609-1990に準拠して測定される窒素分を意味する。
潤滑油組成物中の潤滑油基油(全基油)の含有量は、組成物の全質量を基準として70~95質量%(より好ましくは75~85質量%)であることが好ましい。
<(B)成分:金属系清浄剤>
本発明において(B)成分として利用する金属系清浄剤は、
(B1)組成物の全質量を基準としたカルシウムの含有量(組成物の全質量を基準とした(B1)成分に由来するカルシウムの含有量)が1650質量ppm以上2500質量ppm以下の範囲にあるカルシウム系清浄剤と、
(B2)組成物の全質量を基準としたマグネシウムの含有量(組成物の全質量を基準とした(B2)成分に由来するマグネシウムの含有量)が20質量ppm以上400質量ppm以下の範囲にあるマグネシウム系清浄剤と、
を含有してなるものである。
本発明において(B)成分として利用する金属系清浄剤は、
(B1)組成物の全質量を基準としたカルシウムの含有量(組成物の全質量を基準とした(B1)成分に由来するカルシウムの含有量)が1650質量ppm以上2500質量ppm以下の範囲にあるカルシウム系清浄剤と、
(B2)組成物の全質量を基準としたマグネシウムの含有量(組成物の全質量を基準とした(B2)成分に由来するマグネシウムの含有量)が20質量ppm以上400質量ppm以下の範囲にあるマグネシウム系清浄剤と、
を含有してなるものである。
ここにおいて「カルシウム系清浄剤」とは、金属としてカルシウムを含む金属系清浄剤であり、また、「マグネシウム系清浄剤」とは、金属としてマグネシウムを含む金属系清浄剤である。このような金属系清浄剤としては、公知の金属系清浄剤(例えば、金属としてカルシウムまたはマグネシウムを含むスルホネート清浄剤、フェネート清浄剤、サリシレート清浄剤等)の中から、カルシウム、マグネシウム、ホウ素の量がそれぞれ所望の含有比率となるように適宜選択して利用すればよい。ここで、公知の金属系清浄剤として例示した「スルホネート清浄剤」、「フェネート清浄剤」および「サリシレート清浄剤」としては、例えば、特開2020-76004号公報の段落[0038]~[0054]で説明されているものや、国際公開第2018/212340号の段落[0043]~[0054]で説明されているもの等を適宜利用できる。
〈(B1)成分について〉
(B1)成分として利用される「カルシウム系清浄剤」は、金属としてカルシウムを含む金属系清浄剤であって、その成分中に少なくとも、ホウ素とカルシウムとを含有するカルシウム系清浄剤((B1-1)成分)を含有する。(B1)成分中に(B1-1)成分を含有させることで、含有させない場合と比較して、摩擦を効果的に低減すると同時に、LSPI抑制能を向上させることが可能となる。
(B1)成分として利用される「カルシウム系清浄剤」は、金属としてカルシウムを含む金属系清浄剤であって、その成分中に少なくとも、ホウ素とカルシウムとを含有するカルシウム系清浄剤((B1-1)成分)を含有する。(B1)成分中に(B1-1)成分を含有させることで、含有させない場合と比較して、摩擦を効果的に低減すると同時に、LSPI抑制能を向上させることが可能となる。
前記(B1)成分として利用する「カルシウム系清浄剤」としては、ホウ素とカルシウムとを含有する前記(B1-1)成分を含有する必要があるが、(B1-1)成分以外の他のカルシウム系清浄剤を含んでいてもよい。このような(B1-1)成分以外の他のカルシウム系清浄剤としては、ホウ素を含有していない公知のカルシウム系清浄剤(ホウ素を含まずかつ金属としてカルシウムを含有する公知の金属系清浄剤)を適宜利用できる。このように、前記(B1)成分としては、その目的に応じて、(B1-1)成分のみからなるもの;または、(B1-1)成分と、ホウ素を含有していないカルシウム系清浄剤との混合物;を適宜利用できる。
前記(B1)成分として利用するカルシウム系清浄剤の種類としては、特に制限されず、例えば、金属としてカルシウムを含む、スルホネート清浄剤、フェネート清浄剤、サリシレート清浄剤等を挙げることができる。このようなカルシウム系清浄剤の中でも、摩擦低減性能の観点から、金属としてカルシウムを含むサリシレート清浄剤が好ましい。
このような金属としてカルシウムを含むスルホネート清浄剤(カルシウムスルホネート清浄剤)としては、特に制限されず、公知のものを適宜利用することができる。このようなカルシウムスルホネート清浄剤としては、例えば、分子量300~1500(より好ましくは400~1300)のアルキル芳香族化合物をスルホン化することによって得られるアルキル芳香族スルホン酸のカルシウム塩を好適なものとして挙げることができる。前記アルキル芳香族スルホン酸としては、例えば、石油スルホン酸や合成スルホン酸等が挙げられる。さらに、前記石油スルホン酸や合成スルホン酸としては公知のものを適宜利用できる。また、カルシウムスルホネート清浄剤としては、潤滑油組成物に利用可能な公知のものを適宜利用できる。
金属としてカルシウムを含むサリシレート清浄剤(カルシウムサリシレート清浄剤)としては、特に制限されず、公知のものを適宜利用することができる。このようなサリシレート清浄剤としては、例えば、置換基として炭素数4~36(より好ましくは14~30)のアルキル基またはアルケニル基を1~2個有するアルキルサリチル酸のカルシウム塩およびこれらの混合物等を挙げることができる。また、カルシウムサリシレート清浄剤としては、潤滑油組成物に利用可能な公知のものを適宜利用できる。
また、(B1)成分に含有される(B1-1)成分(ホウ素とカルシウムとを含有するカルシウム系清浄剤)としては、特に条件の厳しい摺動条件における摩擦低減性能の観点から、ホウ酸カルシウムを含有するカルシウム系清浄剤であることが好ましく、ホウ酸カルシウムで過塩基化されたカルシウム系清浄剤であることがより好ましく、ホウ酸カルシウムで過塩基化されたカルシウムサリシレート清浄剤(ホウ酸カルシウムサリシレート)であることが特に好ましい。
また、(B1)成分としては、適用条件に応じた省燃費性能の改善の観点から、(B1-1)成分と、(B1-2)炭酸カルシウムを含有するカルシウム系清浄剤との混合物を好適に利用できる。(B1-2)成分(炭酸カルシウムを含有するカルシウム系清浄剤)としては、特に制限されず、炭酸カルシウムで過塩基化されたカルシウム系清浄剤であることがより好ましく、炭酸カルシウムで過塩基化されたカルシウムサリシレート清浄剤であることが特に好ましい。
(B1)成分が、(B1-1)成分と、(B1-1)成分以外のカルシウム系清浄剤(好ましくは(B1-2)成分)との混合物である場合において、(B1)成分中の(B1-1)成分の含有量は特に制限されるものではないが、(B1)成分の総量に対して(B1-1)成分の量が30~100質量%(より好ましくは45~100質量%、さらに好ましくは67~100質量%)であることが好ましい。(B1-1)成分の含有量が、前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して特に条件の厳しい摺動条件における摩擦低減性能をさらに向上させることが可能となる。
(B1)成分として利用される(B1-1)成分に関して、その(B1-1)成分中のホウ素の含有量は、(B1-1)成分の総量に対して1.0~5.0質量%(より好ましくは1.3~4.5質量%、さらに好ましくは2.0~3.0質量%)であることが好ましい。(B1-1)成分中のBの含有量が、前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して摩擦低減性能およびLSPI抑制能をさらに向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して潤滑油組成物の安定性を向上させることが可能となる。
(B1)成分として利用されるカルシウム系清浄剤は、(B1)成分中に含まれる各カルシウム系清浄剤ごとにそれぞれ((B1)成分が1種のものからなる場合にはその1種が)、カルシウム(Ca)の含有量が2.0~11.5質量%(より好ましくは4.0~10.0質量%、さらに好ましくは5.7~7.2質量%)のものであることが好ましい。各カルシウム系清浄剤のそれぞれのカルシウム(Ca)の含有量が前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して低温条件における摩擦損失の低減を向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して潤滑油組成物の安定性を向上させることが可能となる。
(B1)成分として利用される各カルシウム系清浄剤の塩基価(TBN)は特に制限されるものではないが、各カルシウム系清浄剤ごとにそれぞれ、50~500mgKOH/gであり、より好ましくは100~500mgKOH/g、特に好ましくは150~500mgKOH/gである。(B1)成分として利用される各カルシウム系清浄剤の塩基価が前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して酸中和性能を向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して潤滑油組成物中の各添加剤の溶解性を向上させることが可能となる。なお、本明細書において「塩基価(TBN)」とは、JIS K2501に準拠して過塩素酸法により測定される塩基価を意味する。
(B1)成分は、組成物の全質量を基準とした(B1)成分に由来するカルシウムの含有量(Ca(B1))が1650質量ppm以上2500質量ppm以下(より好ましくは1650質量ppm以上2200質量ppm以下、さらに好ましくは1700質量ppm以上1900質量ppm以下、特に好ましくは1750質量ppm以上1900質量ppm以下)の範囲となるようにして利用する必要がある。カルシウムの含有量(Ca(B1))が、前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して清浄性を向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較してLSPI抑制能および省燃費性能を共に向上させることが可能となる。
また、(B1)成分に由来するホウ素の含有量(B(B1))は、組成物の全質量を基準として(潤滑油組成物全量基準で)、50質量ppm以上1000質量ppm以下(より好ましくは200質量ppm以上700質量ppm以下、さらに好ましくは400質量ppm以上700質量ppm以下、特に好ましくは400質量ppm以上650質量ppm以下)であることが好ましい。ホウ素の含有量(B(B1))が、前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して摩擦低減性能およびLSPI抑制能をさらに向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して摩擦低減性能をさらに向上させることが可能となる。
また、(B1)成分の含有量は、潤滑油組成物全量基準で1.5~3.5質量%(より好ましくは2.0~3.2質量%、さらに好ましくは2.4~2.9質量%)であることが好ましい。(B1)成分の含有量が、前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して清浄性を向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して摩擦低減性能をさらに向上させることが可能となる。
さらに、(B1)成分に由来するホウ素の含有量(B(B1))が、組成物中に含まれるホウ素の総量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%~100質量%であることがより好ましく、70質量%~100質量%であることが特に好ましい。組成物中のホウ素の合計量に対するB(B1)の割合が前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較してLSPI抑制能をさらに向上させることが可能となる。
また、(B1)成分に由来するカルシウムの含有量(Ca(B1))が、組成物中に含まれるカルシウムの総量に対して、50質量%以上であることが好ましく、75質量%~100質量%であることがより好ましく、90質量%~100質量%であることが特に好ましい。組成物中のカルシウムの合計量に対するCa(B1)の割合が前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較してLSPI抑制能をさらに向上させることが可能となる。
なお、組成物の全質量を基準とした(B1)成分に由来するホウ素の含有量(B(B1))や、組成物の全質量を基準とした(B1)成分に由来するカルシウムの含有量(Ca(B1))は、JPI-5S-38に規定される測定法により測定することができる。
〈(B2)成分について〉
(B2)成分として利用される「マグネシウム系清浄剤」としては、特に制限されず、金属としてマグネシウムを含む公知の金属系清浄剤を適宜利用できる。このようなマグネシウム系清浄剤としては、例えば、金属としてマグネシウムを含む、スルホネート清浄剤、フェネート清浄剤、サリシレート清浄剤等を挙げることができる。このようなマグネシウム系清浄剤の中でも、摩擦低減性能の観点から、金属としてマグネシウムを含むスルホネート清浄剤、金属としてマグネシウムを含むサリシレート清浄剤が好ましい。
(B2)成分として利用される「マグネシウム系清浄剤」としては、特に制限されず、金属としてマグネシウムを含む公知の金属系清浄剤を適宜利用できる。このようなマグネシウム系清浄剤としては、例えば、金属としてマグネシウムを含む、スルホネート清浄剤、フェネート清浄剤、サリシレート清浄剤等を挙げることができる。このようなマグネシウム系清浄剤の中でも、摩擦低減性能の観点から、金属としてマグネシウムを含むスルホネート清浄剤、金属としてマグネシウムを含むサリシレート清浄剤が好ましい。
このような金属としてマグネシウムを含むスルホネート清浄剤(マグネシウムスルホネート清浄剤)としては、特に制限されず、公知のものを適宜利用することができる。このようなマグネシウムスルホネート清浄剤としては、例えば、分子量300~1500(より好ましくは400~1300)のアルキル芳香族化合物をスルホン化することによって得られるアルキル芳香族スルホン酸のマグネシウム塩を好適なものとして挙げることができる。前記アルキル芳香族スルホン酸としては、例えば、石油スルホン酸や合成スルホン酸等が挙げられる。さらに、前記石油スルホン酸や合成スルホン酸としては公知のものを適宜利用できる。また、マグネシウムスルホネート清浄剤としては、潤滑油組成物に利用可能な公知のものを適宜利用できる。
金属としてマグネシウムを含むサリシレート清浄剤(マグネシウムサリシレート清浄剤)としては、特に制限されず、公知のものを適宜利用することができる。このようなサリシレート清浄剤としては、例えば、置換基として炭素数4~36(より好ましくは14~30)のアルキル基またはアルケニル基を1~2個有するアルキルサリチル酸のマグネシウム塩およびこれらの混合物等を挙げることができる。また、マグネシウムサリシレート清浄剤としては、潤滑油組成物に利用可能な公知のものを適宜利用できる。
また、マグネシウム系清浄剤としては、炭酸マグネシウムを含有するマグネシウム系清浄剤であることが好ましい。炭酸マグネシウムを含有するマグネシウム系清浄剤としては、特に制限されず、炭酸マグネシウムで過塩基化されたマグネシウム系清浄剤であることがより好ましく、中でも、水分混入時の塩基価の消失(加水条件におけるマグネシウム系清浄剤の粗粒化、沈降や沈殿に伴う塩基価の消失)を抑制する観点から、炭酸マグネシウムで過塩基化されたマグネシウムスルホネート清浄剤であることが特に好ましい。
(B2)成分中のマグネシウム(Mg)の含有量は、(B2)成分の総量に対して6.0~10.0質量%(より好ましくは7.5~9.5質量%、さらに好ましくは7.5~9.1質量%)であることが好ましい。(B2)成分中のマグネシウムの含有量が、前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して粘性抵抗を低減させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して潤滑油組成物の安定性を向上させることが可能となる。
(B2)成分として利用される各マグネシウム系清浄剤の塩基価(TBN)は特に制限されるものではないが、好ましくは50~500mgKOH/gであり、より好ましくは100~500mgKOH/g、特に好ましくは150~500mgKOH/gである。(B2)成分の塩基価が前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して粘性抵抗の低減をさらに向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して潤滑油組成物の安定性を向上させることが可能となる。
(B2)成分は、組成物の全質量を基準とした(B2)成分に由来するマグネシウムの含有量(Mg(B2))が20質量ppm以上400質量ppm以下(より好ましくは20質量ppm以上300質量ppm以下、さらに好ましくは100質量ppm以上300質量ppm以下、特に好ましくは100質量ppm以上200質量ppm以下)の範囲となるようにして利用する必要がある。マグネシウムの含有量(Mg(B2))が、前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較してLSPI抑制能を向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して省燃費性能を向上させることが可能となる。なお、組成物の全質量を基準とした(B2)成分に由来するマグネシウムの含有量(Mg(B2))は、JPI-5S-38に記載される測定方法により測定することができる。
また、(B2)成分の含有量は、潤滑油組成物全量基準で0.01~0.60質量%(より好ましくは0.01~0.40質量%、さらに好ましくは0.10~0.27質量%)であることが好ましい。(B2)成分の含有量が、前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して酸中和性能を向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して摩擦低減性能をさらに向上させることが可能となる。
また、(B2)成分に由来するマグネシウムの含有量(Mg(B2))が、組成物中に含まれるマグネシウムの総量に対して、50質量%以上であることが好ましく、75質量%~100質量%であることがより好ましく、90質量%~100質量%であることが特に好ましい。組成物中のマグネシウムの合計量に対するMg(B2)の割合が前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して省燃費性能をさらに向上させることが可能となる。
(B)成分は、必要に応じて、(B1)成分および(B2)成分以外の他の金属系清浄剤を含有させてもよい。なお、(B)成分の全量に対する(B1)成分および(B2)成分の合計量の比率は、50~100質量%(より好ましくは75~100質量%、特に好ましくは90~100質量%)であることが好ましい。(B1)成分および(B2)成分の合計量の比率が前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較してLSPI抑制能および摩擦低減性能をさらに向上させることが可能となる。(B1)成分および(B2)成分以外の他の金属系清浄剤としては、特に制限されず、公知の金属系清浄剤を適宜利用できる。なお、(B)成分は、LSPI抑制能および摩擦低減性能を両立させる観点からは、(B1)成分および(B2)成分の混合物を利用することがより好ましい。
また、(B)成分の含有量は、潤滑油組成物全量基準で1.0~4.0質量%(より好ましくは2.2~3.0質量%、さらに好ましくは2.6~3.0質量%)であることが好ましい。(B)成分の含有量が、前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して酸中和性能を向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して摩擦低減性能をさらに向上させることが可能となる。
また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量(質量比)をB(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のカルシウムの含有量(質量比)をCa(B1)と表した場合に、Ca(B1)に対するB(B1)の比率(B(B1)/Ca(B1))が0.15以上0.35以下(より好ましくは0.21以上0.30以下、特に好ましくは0.26以上0.29以下)である。B(B1)/Ca(B1)が前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較してLSPI抑制能を優れたものとすることができ、これにより、優れたLSPI抑制能と優れた省燃費性能とを両立させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して、摩擦係数を低い値とすることが可能となるため、優れたLSPI抑制能と優れた省燃費性能とを両立させることが可能となる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量(質量比)をB(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のカルシウムの含有量(質量比)をCa(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B2)成分中のマグネシウムの含有量(質量比)をMg(B2)と表した場合に、Ca(B1)とMg(B2)の合計量(Ca(B1)+Mg(B2))に対するB(B1)の比率(B(B1)/[Ca(B1)+Mg(B2)])が0.13以上0.29以下(より好ましくは0.23以上0.29以下、特に好ましくは0.25以上0.29以下)である。B(B1)/[Ca(B1)+Mg(B2)]が前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較してLSPI抑制能を向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して省燃費性能を向上させることが可能となる。
また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量(質量比)をB(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした組成物中のカルシウムの全量(全カルシウムの含有量:質量比)をCaと表した場合に、Caに対するB(B1)の比率(B(B1)/Ca)が0.15以上0.35以下(より好ましくは0.21以上0.31以下、特に好ましくは0.26以上0.30以下)であることが好ましい。B(B1)/Caが前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較してLSPI抑制能をさらに向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して省燃費性能をさらに向上させることが可能となる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量(質量比)をB(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした組成物中のカルシウムの全量(全カルシウムの含有量:質量比)をCaと表し、組成物の全質量を基準とした組成物中のマグネシウムの全量(全マグネシウムの含有量:質量比)をMgと表した場合に、CaとMgの合計量(Ca+Mg)に対するB(B1)の比率(B(B1)/[Ca+Mg])が0.13以上0.29以下(より好ましくは0.23以上0.29以下、特に好ましくは0.25以上0.29以下)であることが好ましい。B(B1)/[Ca+Mg]が前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較してLSPI抑制能をさらに向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して省燃費性能をさらに向上させることが可能となる。
なお、(B)成分として用いる金属系清浄剤の調製方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、(A)成分、(B)成分((B1)成分および(B2)成分からなる成分)以外にも、その性能をさらに向上させるために、目的に応じて、内燃機関用の潤滑油組成物に一般的に使用されている公知の添加剤を適宜含有させてもよい。以下、このような添加剤として好適に利用可能な成分について説明する。
<(C)成分:ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤>
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、省燃費性能をさらに向上することが可能となるため、(C)ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤を含有することが好ましい。ここで、「ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤」としては、粘度指数向上剤として利用されている公知のポリ(メタ)アクリレート系化合物(例えば、国際公開第2019/221295号に記載されている「粘度指数向上剤」、特開2018-177986号公報に記載されている「ポリ(メタ)アクリレート化合物、特開2017-101211号公報に記載されている「櫛型ポリマー」、国際公開第2016/159006号に記載されている「粘度指数向上剤」、国際公開第2017/099052号に記載されている「粘度指数向上剤」、特開2017-110196号に記載されている「粘度指数向上剤」、特開2017-110196号に記載されている「(共)重合体(A)」等)を適宜利用することができる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、省燃費性能をさらに向上することが可能となるため、(C)ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤を含有することが好ましい。ここで、「ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤」としては、粘度指数向上剤として利用されている公知のポリ(メタ)アクリレート系化合物(例えば、国際公開第2019/221295号に記載されている「粘度指数向上剤」、特開2018-177986号公報に記載されている「ポリ(メタ)アクリレート化合物、特開2017-101211号公報に記載されている「櫛型ポリマー」、国際公開第2016/159006号に記載されている「粘度指数向上剤」、国際公開第2017/099052号に記載されている「粘度指数向上剤」、特開2017-110196号に記載されている「粘度指数向上剤」、特開2017-110196号に記載されている「(共)重合体(A)」等)を適宜利用することができる。
(C)成分として利用されるポリ(メタ)アクリレート系ポリマーに関し、その構造等は特に制限されるものではなく、いわゆる直鎖型のポリ(メタ)アクリレート系ポリマーであっても、いわゆる櫛型のポリ(メタ)アクリレート系ポリマーであってもよい。これらの中でも、(C)成分としては、粘度-温度特性および油膜形成性の改善に伴う省燃費性能の向上の観点からは、櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーを含むものがより好ましい。また、ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤は、櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーであることが特に好ましい。このような櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーとしては、いわゆる櫛型構造を有する公知のポリ(メタ)アクリレート系ポリマー(例えば、特開2017-101211号公報に記載されている「櫛型ポリマー」、特開2018-177986号公報に記載されている「櫛形ポリ(メタ)アクリレート」、国際公開第2016/159006号に記載されている「櫛形ポリ(メタ)アクリレート」、特開2017-110196号に記載されている「粘度指数向上剤」、特開2017-110196号に記載されている「(共)重合体(A)」等)を適宜利用できる。
このような櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーとしては、(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリレート系のマクロモノマーとの共重合体である、櫛型の構造を有するポリ(メタ)アクリレート系のポリマーを適宜利用できる。また、このような櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーとしては、(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリレート系のマクロモノマーと、その他のモノマー(例えばエチレン、スチレンや1-ブテン等)との共重合体であってもよい。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
また、櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーとしては、中でも、下記式(1):
[式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数2以上10以下の直鎖状または分枝状の炭化水素基を表す。]
で表される(メタ)アクリレート(以下、場合により、単に「モノマー(M-1)」と称する)と、下記式(2):
で表される(メタ)アクリレート(以下、場合により、単に「モノマー(M-1)」と称する)と、下記式(2):
[式(2)中、R3は水素原子またはメチル基を表し、R4は炭素数が12以上24以下の炭化水素基を表す。]
で表される(メタ)アクリレート系のマクロモノマー(以下、場合により単に「マクロモノマー(M-2)」と称する)の共重合体を好適なものとして挙げることができる。
で表される(メタ)アクリレート系のマクロモノマー(以下、場合により単に「マクロモノマー(M-2)」と称する)の共重合体を好適なものとして挙げることができる。
式(1)中のR2は炭素数2以上10以下の直鎖状または分枝状の炭化水素基(より好ましくはアルキル基)である。このようなR2として選択される炭化水素基の炭素数は4以上10以下(より好ましくは4以上8以下、特に好ましくは4以上6以下)であることが好ましい。
また、式(2)中のR4として選択される炭化水素基の炭素数は12以上24以下(より好ましくは12以上20以下、特に好ましくは12以上18以下)である。このような炭素数が前記下限以上となる場合には高粘度指数化が可能となり、前記上限以下では低温条件における良好な流動が可能となる。なお、かかる炭化水素基は、直鎖状のものであっても、あるいは、分枝状のものであってもよい。さらに、マクロモノマー(M-2)としては、例えば、ブタジエンおよびイソプレンを共重合させることにより得られるポリオレフィンの水素化物から誘導されるマクロモノマーを利用してもよい。また、このようなマクロモノマー(M-2)としては、例えば、公知のマクロモノマー(例えば、特開2018-177986号公報に記載されているマクロモノマーや、特開2017-110196号に記載されている「単量体(a)単量体(a)」等)を適宜利用してもよい。
また、モノマー(M-1)とマクロモノマー(M-2)との共重合体において、これらのモノマーの共重合モル比は特に制限されるものではないが、モノマー(M-1):モノマー(M-2)が20:80~90:10程度(より好ましくは30:70~80:20、さらに好ましくは40:60~70:30)であることが好ましい。
また、ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤中に含有させるポリ(メタ)アクリレート系ポリマー(好ましくは櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマー)の重量平均分子量(Mw)は10万~100万(より好ましくは30万~100万、さらに好ましくは60万~80万)であることが好ましい。重量平均分子量が前記下限値以上の場合には、前記下限値未満の場合と比較して、潤滑油基油に溶解させた場合の粘度指数を向上させて、省燃費性能や低温粘度特性がさらに優れたものとすることが可能となり、他方、前記上限値以下の場合には、前記上限値を超えた場合と比較して、省燃費性能や低温粘度特性をさらに優れたものとすることが可能となるとともに、せん断安定性や潤滑油基油への溶解性、貯蔵安定性を向上させることが可能となる。
また、(C)ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤が櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーを含有する場合、(C)成分の全量に対する櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーの含有量は30質量%以上(より好ましくは50~100質量%、さらに好ましくは95~100質量%、特に好ましくは98~100質量%)であることが好ましい。(C)成分中の櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーの含有量が前記下限以上である場合には、前記下限未満となる場合と比較して粘度-温度特性および油膜形成性の改善により省燃費性能をさらに向上させることが可能となる。なお、(C)成分としては、粘度-温度特性および油膜形成性の改善の観点から、櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーのみからなるものを利用することがより好ましい。
また、(C)成分の含有量は、潤滑油組成物全量基準で5~15質量%(より好ましくは7~11質量%、さらに好ましくは9~11質量%)であることが好ましい。(C)成分の含有量が、前記下限以上である場合には前記下限未満である場合と比較して粘度-温度特性を改善するとともに油膜形成により、摩耗防止性を向上させることが可能となり、他方、前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して過剰な増粘を抑えることにより省燃費性能をさらに向上させることが可能となる。
(C)成分に用いるポリ(メタ)アクリレート系ポリマーの調製方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。このような調製方法としては、例えば、重合開始剤(例えばベンゾイルパーオキシド等)の存在下で、モノマー(M-1)と、マクロモノマー(M-2)と、必要に応じて、他のモノマーとをラジカル溶液重合させることによりポリ(メタ)アクリレート系ポリマーを得る方法を採用してもよい。
<(D)成分:無灰分散剤>
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、使用時に摩耗により生じた金属粉を高度に分散させることができ、摩耗防止性を向上させることが可能となるとともに、酸化安定性を向上させることが可能となることから、(D)無灰分散剤をさらに含有することが好ましい。(D)成分としては、潤滑油組成物の分野において無灰分散剤として用いられている公知の化合物(例えば、国際公開第2019/221295号に記載されている「窒素含有無灰分散剤」の他、特開2003-155492号公報、特開2020-76004号公報、国際公開2013/147162号等に記載されている無灰分散剤等)を好適に使用できる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、使用時に摩耗により生じた金属粉を高度に分散させることができ、摩耗防止性を向上させることが可能となるとともに、酸化安定性を向上させることが可能となることから、(D)無灰分散剤をさらに含有することが好ましい。(D)成分としては、潤滑油組成物の分野において無灰分散剤として用いられている公知の化合物(例えば、国際公開第2019/221295号に記載されている「窒素含有無灰分散剤」の他、特開2003-155492号公報、特開2020-76004号公報、国際公開2013/147162号等に記載されている無灰分散剤等)を好適に使用できる。
前記無灰分散剤としては、例えば、直鎖または分枝状のアルキル基またはアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するモノまたはビスコハク酸イミド、アルキル基またはアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、あるいはアルキル基またはアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、あるいはこれらのホウ素化合物、カルボン酸、リン酸等による変成品等が挙げられる。なお、前記(D)成分において、前記直鎖または分枝状のアルキル基またはアルケニル基は、炭素数40~400(より好ましくは60~350)の直鎖または分枝状のアルキル基またはアルケニル基であることが好ましい。
また、(D)成分としては、金属粉などに対するより優れた分散性の付与の観点から、(D1)ホウ素化コハク酸イミド(前述のモノまたはビスコハク酸イミドのホウ素変性化合物等)、(D2)非ホウ素化コハク酸イミド(前述のモノまたはビスコハク酸イミド等)、および、これらの混合物を好適に利用できる。
また、(D1)成分および(D2)成分としては、それぞれ、無灰分散剤として用いられている公知のホウ素化コハク酸イミド化合物、非ホウ素化コハク酸イミド化合物を適宜利用できる。また、(D1)成分および(D2)成分としては、それぞれ、窒素原子の含有量が、その成分((D1)成分または(D2)成分)の全量基準で0.5~3.0質量%のものが好ましい。また、(D1)成分としては、(D1)成分全量基準でホウ素の含有量が0.1~5.0質量%(より好ましくは0.1~3.0質量%)のものが好ましい。さらに、(D1)成分および(D2)成分は、それぞれ重量平均分子量が1000~20000(より好ましくは2000~20000、さらに好ましくは4000~15000)のものが好ましい。なお、(D)成分は1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて利用してもよい。
本発明の潤滑油組成物に(D)成分を含有させる場合、(D)成分の含有量は特に制限されないが、前記潤滑油組成物の全量を基準として0.1~5.0質量%(より好ましくは1.0~2.5質量%)であることが好ましい。(D)成分の含有量を前記範囲内とすることにより、不溶分生成時の分散性能を向上させることが可能となる。
また、(D)成分が(D1)成分を含む場合、(D1)成分に由来するホウ素の含有量(B(D1))は、組成物中に含まれるホウ素の総量に対して90質量%以下(より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは27質量%以下)であることが好ましい。組成物中のホウ素の合計量に対するB(D1)の割合が前記上限以下である場合には前記上限を超えた場合と比較して灰分の過剰な生成を抑制することが可能となる。
<(E)成分:酸化防止剤>
本発明の潤滑油組成物としては、酸化安定性を向上させることが可能となることから、(E)酸化防止剤をさらに含有することが好ましい。(E)成分としては特に制限されず、潤滑油組成物の分野において酸化防止剤として利用されている公知のものを適宜利用でき、例えば、(E1)フェノール系酸化防止剤、(E2)アミン系酸化防止剤、(E3)金属系酸化防止剤(銅系酸化防止剤、モリブデン系酸化防止剤等)、等を挙げることができる。
本発明の潤滑油組成物としては、酸化安定性を向上させることが可能となることから、(E)酸化防止剤をさらに含有することが好ましい。(E)成分としては特に制限されず、潤滑油組成物の分野において酸化防止剤として利用されている公知のものを適宜利用でき、例えば、(E1)フェノール系酸化防止剤、(E2)アミン系酸化防止剤、(E3)金属系酸化防止剤(銅系酸化防止剤、モリブデン系酸化防止剤等)、等を挙げることができる。
(E1)成分としては、公知のものを適宜利用でき、例えば、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル類;メチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパノアート等のヒンダードフェノール化合物およびビスフェノール化合物を挙げることができる。
(E2)成分としては、例えば、芳香族アミン系酸化防止剤、および、ヒンダードアミン系酸化防止剤等のアミン系酸化防止剤として公知の化合物(例えば、国際公開第2020/095970号に例示されている化合物等)を適宜利用できる。前記芳香族アミン系酸化防止剤としては、中でも、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化フェニル-α-ナフチルアミンを好適に利用できる。また、前記ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン骨格を有する化合物(2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン誘導体)等を好適に利用できる。前記アミン系酸化防止剤としては、中でも、芳香族アミン系酸化防止剤をより好適に用いることができる。
(E3)成分としては、例えば、硫化オキシモリブデンまたはオキシモリブデンのアルキルアミン錯体、硫化オキシモリブデンまたはオキシモリブデンのアルケニルコハク酸イミド錯体、硫化オキシモリブデンジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジチオホスフェート等の有機モリブデン系酸化防止剤等が挙げられる。このようなモリブデン系酸化防止剤の中でも、粘度増加を抑制して長期に渡り省燃費性能を維持しやすい点および高温清浄性にもより優れる点で、硫化オキシモリブデンまたはオキシモリブデン-ジトリデシルアミン錯体、硫化オキシモリブデンまたはオキシモリブデン-アルケニルコハク酸イミド錯体がより好ましい。
また、(E)成分は1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、(E)成分としては、(E1)成分、(E2)成分、(E3)成分を適宜組み合わせて利用してもよく、中でも、潤滑油組成物の酸化劣化を長期に亘って抑制することが可能となることから、(E2)成分と(E3)成分とを組み合わせて利用することが好ましい。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物に(E)成分を含有させる場合、(E)成分の含有量は、潤滑油組成物全量基準で1.5質量%以上2.5質量%以下(より好ましくは1.7質量%以上2.0質量%以下)であることが好ましい。(E)成分の含有量を前記範囲内とすることにより、(E)成分の溶解性を維持しながら潤滑油組成物の劣化抑制性を向上させることが可能になる。
また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物に(E1)成分を含有させる場合、(E1)成分の含有量は、潤滑油組成物全量基準で2.0質量%以下(より好ましくは0.5質量%以下)であることが好ましい。(E1)成分の含有量を前記範囲内とすることにより、成分の溶解性を維持しながら潤滑油組成物の劣化抑制性を向上させることが可能になる。
また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物に(E2)成分を含有させる場合、(E2)成分の含有量は、潤滑油組成物全量基準で1.3質量%以上2.3質量%以下(より好ましくは1.5質量%以上1.9質量%以下)であることが好ましい。(E2)成分の含有量を前記範囲内とすることにより、成分の溶解性を維持しながら潤滑油組成物の劣化抑制性を向上させることが可能になる。
さらに、本発明の内燃機関用潤滑油組成物に(E3)成分を含有させる場合、(E3)成分の含有量は、潤滑油組成物全量基準で0.3質量%以下(より好ましくは0.1質量%以上0.2質量%以下)であることが好ましい。(E3)成分の含有量を前記範囲内とすることにより、成分の溶解性を維持しながら潤滑油組成物の劣化抑制性を向上させることが可能になる。
<(F)モリブデン系摩擦調整剤>
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、(F)モリブデン系摩擦調整剤(油溶性有機モリブデン化合物)を含有することが好ましい。このようなモリブデン系摩擦調整剤としては、潤滑油組成物の分野においてモリブデン系摩擦調整剤として利用されている公知のものを適宜利用できる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、(F)モリブデン系摩擦調整剤(油溶性有機モリブデン化合物)を含有することが好ましい。このようなモリブデン系摩擦調整剤としては、潤滑油組成物の分野においてモリブデン系摩擦調整剤として利用されている公知のものを適宜利用できる。
また、(F)成分としては、境界潤滑条件における摩擦低減の観点から、モリブデンジチオカーバメート(硫化モリブデンジチオカーバメートまたは硫化オキシモリブデンジチオカーバメート)がより好ましい。前記モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)としては、例えば、下記一般式(3):
[式(3)中、R10~R13は、それぞれ独立に、炭素数2~24のアルキル基または炭素数6~24の(アルキル)アリール基を示し、
Y1~Y4は、それぞれ独立に硫黄原子または酸素原子を示し、Y1~Y4のうち少なくとも1つは硫黄原子を示す。]
で表される化合物を好適に用いることができる。
Y1~Y4は、それぞれ独立に硫黄原子または酸素原子を示し、Y1~Y4のうち少なくとも1つは硫黄原子を示す。]
で表される化合物を好適に用いることができる。
前記一般式(3)中のR10~R13は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数2~24のアルキル基または炭素数6~24の(アルキル)アリール基(好ましくは炭素数4~13のアルキル基または炭素数10~15の(アルキル)アリール基)を示す。このようなR10~R13として選択され得るアルキル基は、第1級アルキル基、第2級アルキル基、第3級アルキル基のいずれでもよく、また直鎖でも分岐鎖でもよい。なお、ここにいう「(アルキル)アリール基」は「アリール基若しくはアルキルアリール基」を意味する。アルキルアリール基において、芳香環におけるアルキル基の置換位置は任意である。また、前記一般式(3)中のY1~Y4はそれぞれ独立に硫黄原子または酸素原子であり、Y1~Y4のうち少なくとも1つは硫黄原子である。
前記モリブデンジチオカーバメート以外の前記油溶性有機モリブデン化合物としては、例えば、モリブデンジチオホスフェート;モリブデン化合物(例えば、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン等の酸化モリブデン、オルトモリブデン酸、パラモリブデン酸、(ポリ)硫化モリブデン酸等のモリブデン酸、これらモリブデン酸の金属塩、アンモニウム塩等のモリブデン酸塩、二硫化モリブデン、三硫化モリブデン、五硫化モリブデン、ポリ硫化モリブデン等の硫化モリブデン、硫化モリブデン酸、硫化モリブデン酸の金属塩またはアミン塩、塩化モリブデン等のハロゲン化モリブデン等。)と、硫黄含有有機化合物(例えば、アルキル(チオ)キサンテート、チアジアゾール、メルカプトチアジアゾール、チオカーボネート、テトラハイドロカルビルチウラムジスルフィド、ビス(ジ(チオ)ハイドロカルビルジチオホスホネート)ジスルフィド、有機(ポリ)サルファイド、硫化エステル等。)またはその他の有機化合物との錯体等;および、前記硫化モリブデン、硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体等の、硫黄を含有する有機モリブデン化合物を挙げることができる。なお、有機モリブデン化合物は、単核モリブデン化合物であってもよく、二核モリブデン化合物や三核モリブデン化合物等の多核モリブデン化合物であってもよい。
また、前記モリブデンジチオカーバメート以外の油溶性有機モリブデン化合物としては、硫黄を含まない有機モリブデン化合物を用いることも可能である。硫黄を含まない有機モリブデン化合物の例としては、モリブデン-アミン錯体、モリブデン-コハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、アルコールのモリブデン塩などが挙げられ、中でも、モリブデン-アミン錯体、有機酸のモリブデン塩およびアルコールのモリブデン塩が好ましい。
潤滑油組成物中の(F)成分の含有量は、潤滑油組成物全量基準でモリブデンの含有量が、100~2000質量ppm(より好ましくは300~1500質量ppm、さらに好ましくは500~1200質量ppm、特に好ましくは700~1000質量ppm)となる量であることが好ましい。(F)成分の含有量が前記下限値以上であることにより、省燃費性能、およびLSPI抑制能をさらに高めることが可能になる。また(F)成分の含有量が前記上限値以下であることにより、潤滑油組成物の貯蔵安定性を高めることができる。
<(G)摩耗防止剤>
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、(G)摩耗防止剤を含有することが好ましい。摩耗防止剤としては、特に限定されず、潤滑油組成物に、摩耗防止剤として用いられている公知の化合物を用いることができる。摩耗防止剤としては、例えば、硫黄系、リン系、硫黄-リン系の摩耗防止剤等が使用できる。具体的には、摩耗防止剤としては、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、(G)摩耗防止剤を含有することが好ましい。摩耗防止剤としては、特に限定されず、潤滑油組成物に、摩耗防止剤として用いられている公知の化合物を用いることができる。摩耗防止剤としては、例えば、硫黄系、リン系、硫黄-リン系の摩耗防止剤等が使用できる。具体的には、摩耗防止剤としては、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。
これらの摩耗防止剤の中でも、リン系摩耗防止剤が好ましく、亜鉛を含有するリン系摩耗防止剤がより好ましく、中でも、下記式(4):
[式(4)中、R14~R17は、それぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状または分枝状のアルキル基を示す。]
で表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)が特に好ましい。
で表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)が特に好ましい。
前記一般式(4)中のR14~R17は、それぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖状または分枝状のアルキル基を表し、異なる基の組み合わせであってもよい。また、R14~R17の炭素数は好ましくは3以上であり、また好ましくは12以下であり、より好ましくは8以下である。また、R14~R17は、第1級アルキル基、第2級アルキル基、および第3級アルキル基のいずれであってもよいが、第1級アルキル基もしくは第2級アルキル基またはそれらの組み合わせであることが好ましく、さらに第1級アルキル基と第2級アルキル基とのモル比(第1級アルキル基:第2級アルキル基)が、0:100~30:70であることが好ましい。この比は分子内のアルキル鎖の組み合わせ比であってもよく、第1級アルキル基のみを有するZnDTPと第2級アルキル基のみを有するZnDTPとの混合比であってもよい。第2級アルキル基が主であることにより、省燃費性能をより向上させることが可能となる。また、ZnDTPの製造方法は特に限定されず、公知の方法を適宜利用でき、例えば、R14~R17に対応するアルキル基を有するアルコールを五硫化二リンと反応させてジチオリン酸を合成し、これを酸化亜鉛で中和することにより合成する方法を採用してもよい。
摩耗防止剤の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、0.1~5.0質量%以下(より好ましくは0.5~3.0質量%以下)であることが好ましい。摩耗防止剤の含有量が前記数値範囲内であれば、十分な摩耗防止効果を得ることができる。
<(H)流動点降下剤>
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、(H)流動点降下剤を含有することが好ましい。このような流動点降下剤としては特に制限されず、潤滑油組成物に用いられる公知の流動点降下剤を適宜利用することができる。このような流動点降下剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート、エチレン-酢酸ビニルコポリマー等が挙げられ、中でも、ポリメタクリレートが好ましい。また、流動点降下剤として利用されるポリ(メタ)アクリレート(より好ましくはポリメタクリレート)としては、流動点降下作用およびせん断安定性の観点から、重量平均分子量が20,000~100,000(より好ましくは20,000~80,000)のものが好ましい。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、(H)流動点降下剤を含有することが好ましい。このような流動点降下剤としては特に制限されず、潤滑油組成物に用いられる公知の流動点降下剤を適宜利用することができる。このような流動点降下剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート、エチレン-酢酸ビニルコポリマー等が挙げられ、中でも、ポリメタクリレートが好ましい。また、流動点降下剤として利用されるポリ(メタ)アクリレート(より好ましくはポリメタクリレート)としては、流動点降下作用およびせん断安定性の観点から、重量平均分子量が20,000~100,000(より好ましくは20,000~80,000)のものが好ましい。
流動点降下剤は1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて利用してもよい。流動点降下剤を利用する場合、その含有量は潤滑油組成物全量基準で、0.01~1.0質量%(より好ましくは0.03~0.6質量%)であることが好ましい。
<(I)その他の成分>
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、前記各成分以外にも、潤滑油組成物に利用することが可能な他の添加剤をさらに含んでいてもよい。このような他の成分としては特に制限されるものではないが、例えば、消泡剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤等が挙げられる。このような他の成分はそれぞれ公知のものを適宜利用でき、例えば、消泡剤としては、25℃における動粘度が1,000~100,000mm2/sのシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸とのエステル、メチルサリチレート、および、o-ヒドロキシベンジルアルコール等を挙げることができる。また、このような他の成分の含有量は、用途に応じて最適な量となるように各成分ごとに適宜設計すればよく、特に制限されないが、各成分の含有量をそれぞれ潤滑油組成物全量基準で0.001~5質量%程度とすることが好ましい。また、(I)成分として利用される各成分の含有量は、その成分以外の潤滑油組成物中の成分の合計質量を100質量部とした場合に0.001~0.05質量部であることが好ましい。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、前記各成分以外にも、潤滑油組成物に利用することが可能な他の添加剤をさらに含んでいてもよい。このような他の成分としては特に制限されるものではないが、例えば、消泡剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤等が挙げられる。このような他の成分はそれぞれ公知のものを適宜利用でき、例えば、消泡剤としては、25℃における動粘度が1,000~100,000mm2/sのシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸とのエステル、メチルサリチレート、および、o-ヒドロキシベンジルアルコール等を挙げることができる。また、このような他の成分の含有量は、用途に応じて最適な量となるように各成分ごとに適宜設計すればよく、特に制限されないが、各成分の含有量をそれぞれ潤滑油組成物全量基準で0.001~5質量%程度とすることが好ましい。また、(I)成分として利用される各成分の含有量は、その成分以外の潤滑油組成物中の成分の合計質量を100質量部とした場合に0.001~0.05質量部であることが好ましい。
[潤滑油組成物について]
本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、組成物の全質量を基準としたホウ素の含有量(潤滑油組成物全量基準のホウ素の含有量)が1000質量ppm以下(より好ましくは200質量ppm以上700質量ppm以下、さらに好ましくは400質量ppm以上650質量ppm以下)である。このような組成物全量基準のホウ素の含有量を前記上限以下とすることで、前記上限を超えた場合と比較して摩擦低減性能を向上することが可能となり、他方、前記下限以上である場合には、前記下限未満となる場合と比較してLSPI抑制能を向上させることが可能となる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、組成物の全質量を基準としたホウ素の含有量(潤滑油組成物全量基準のホウ素の含有量)が1000質量ppm以下(より好ましくは200質量ppm以上700質量ppm以下、さらに好ましくは400質量ppm以上650質量ppm以下)である。このような組成物全量基準のホウ素の含有量を前記上限以下とすることで、前記上限を超えた場合と比較して摩擦低減性能を向上することが可能となり、他方、前記下限以上である場合には、前記下限未満となる場合と比較してLSPI抑制能を向上させることが可能となる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、潤滑油組成物全量基準のカルシウムの含有量が1650質量ppm以上2500質量ppm以下(より好ましくは1700質量ppm以上1900質量ppm以下、さらに好ましくは1750質量ppm以上1900質量ppm以下)であることが好ましい。このような組成物全量基準のカルシウムの含有量を前記上限以下とすることで、前記上限を超えた場合と比較してLSPI抑制能と摩擦低減性能を両立することが可能となり、他方、前記下限以上である場合には、前記下限未満となる場合と比較して酸中和性の向上により清浄性を向上させることが可能となる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、潤滑油組成物全量基準のマグネシウムの含有量が20質量ppm以上400質量ppm以下(より好ましくは20質量ppm以上300質量ppm以下、さらに好ましくは100質量ppm以上200質量ppm以下)であることが好ましい。このような組成物全量基準のマグネシウムの含有量を前記上限以下とすることで、前記上限を超えた場合と比較して摩擦低減性能を向上することが可能となり、他方、前記下限以上である場合には、前記下限未満となる場合と比較して酸中和性能を向上させることが可能となる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、組成物中にモリブデンが含まれる場合、潤滑油組成物全量基準のモリブデンの含有量が100質量ppm以上1200質量ppm以下(より好ましくは700質量ppm以上1000質量ppm以下)であることが好ましい。このような組成物全量基準のモリブデンの含有量を前記範囲内とすることにより、組成物中の添加剤の溶解性を維持しながら摩擦低減性能をさらに向上させることが可能となる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、組成物中にリンが含まれる場合、潤滑油組成物全量基準のリンの含有量が600質量ppm以上800質量ppm以下(より好ましくは700質量ppm以上800質量ppm以下)であることが好ましい。このような組成物全量基準のリンの含有量を前記範囲内とすることにより、過度な触媒被毒を回避すると同時に摩擦低減性能と摩耗防止性能の両立が可能となる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、組成物中に硫黄が含まれる場合、潤滑油組成物全量基準の硫黄の含有量が500質量ppm以上3000質量ppm以下(より好ましくは1000質量ppm以上2700質量ppm以下)であることが好ましい。このような組成物全量基準の硫黄の含有量を前記範囲内とすることにより、耐焼き付き性を向上させることが可能となる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、組成物中に亜鉛が含まれる場合、潤滑油組成物全量基準の亜鉛の含有量が500質量ppm以上1300質量ppm以下(より好ましくは700質量ppm以上900質量ppm以下)であることが好ましい。このような組成物全量基準の亜鉛の含有量を前記範囲内とすることにより、摩耗防止性を向上させることが可能となる。
なお、潤滑油組成物中のホウ素、カルシウム、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、硫黄およびリンの含有量は、それぞれ、JPI-5S-62に準拠して測定することができる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、潤滑油組成物全量基準のホウ素の含有量と、潤滑油組成物全量基準のカルシウムの含有量との比(質量比:[ホウ素]/[カルシウム])が、0.15~0.35(より好ましくは0.25~0.35、さらに好ましくは0.26~0.30)であることが好ましい。このような質量比を前記範囲内とすることで、摩擦低減性能を維持しながらLSPI抑制能を向上させることが可能となる。
また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物においては、潤滑油組成物全量基準のカルシウムと潤滑油組成物全量基準のマグネシウムの総量(合計量)に対する、潤滑油組成物全量基準のホウ素の含有量の比[質量比:[ホウ素]/([カルシウム]+[マグネシウム])]が0.13~0.29(より好ましくは0.20~0.29、さらに好ましくは0.25~0.28)であることが好ましい。このような質量比を前記範囲内とすることで、摩擦低減性能を維持しながらLSPI抑制能を向上させることが可能となる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物としては、100℃における動粘度が4.0~9.3mm2/s(さらに好ましくは6.5~8.0mm2/s)であるものがより好ましい。また、本発明の潤滑油組成物は、40℃における動粘度が23.0~40.0mm2/s(さらに好ましくは26.0~30.0mm2/s)であるものがより好ましい。これらの動粘度が前記上限値以下である場合にはいずれも、前記上限値を超えた場合と比較して省燃費性能をさらに向上させることが可能になる。他方、これらの動粘度が前記下限値以上である場合にはいずれも、前記下限値未満である場合と比較して、油膜保持による摩耗防止性を向上させることが可能になる。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物としては、粘度指数が180以上(より好ましくは200以上、さらに好ましくは220以上、特に好ましくは225以上)のものが好ましい。粘度指数が前記下限値以上である場合、前記下限値未満の場合と比較して、潤滑油組成物の粘度-温度特性、および、摩耗防止性を向上させることが可能となるとともに、省燃費性能をさらに向上させることが可能となる。また、粘度指数が前記下限値以上である場合には、潤滑油の蒸発損失を低減させることが可能となって、潤滑油の消費量を低減させることが可能となる。
また、本発明の内燃機関用潤滑油組成物の150℃におけるHTHS粘度は1.7mPa・s以上2.9mPa・s以下(より好ましくは2.3mPa・s以上2.8mPa・s以下、さらに好ましくは2.6mPa・s以上2.8mPa・s以下、特に好ましくは2.6mPa・s)であることが好ましい。150℃におけるHTHS粘度が、前記下限値以上である場合、前記下限値未満の場合と比較して高せん断条件における耐摩耗性の向上が可能となり、他方、前記上限値以下である場合、前記上限値を超えた場合と比較して粘性抵抗の削減による省燃費性能のさらなる向上が可能となる。なお、本明細書において「150℃におけるHTHS粘度」とは、ASTM D-4683に準拠して測定された150℃での高温高せん断粘度を意味する。
本発明の内燃機関用潤滑油組成物を製造するための方法としては特に制限されず、前記本発明の潤滑油組成物を得ることが可能となるように(前記条件を満たすように)、含有させる各成分を適宜選択して混合することにより調製すればよい。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(各実施例等で利用した成分について)
先ず、各実施例等において利用した潤滑油基油および添加剤を以下に示す。
先ず、各実施例等において利用した潤滑油基油および添加剤を以下に示す。
<(A)成分:潤滑油基油>
(A-1)
APIグループIIの基油(水素化分解鉱油系基油、SKルブリカンツ社製Yubase(登録商標)3)、動粘度(100℃):3.05mm2/s、動粘度(40℃):12.3mm2/s、粘度指数:105、NOACK蒸発量(250℃、1h):40質量%、%CP:72.6、%CN:27.4、%CA:0、飽和分:99.6質量%、芳香族分:0.3質量%
(A-2)
APIグループIIIの基油(水素化分解鉱油系基油、SKルブリカンツ社製Yubase(登録商標)4+)、動粘度(100℃):4.2mm2/s、動粘度(40℃):17.9mm2/s、粘度指数:134、NOACK蒸発量(250℃、1h):13.5質量%、%CP:87.2、%CN:12.8、%CA:0、飽和分:99.8質量%、芳香族分:0.1質量%
(A-3)
APIグループIIIの基油(水素化分解鉱油系基油、SKルブリカンツ社製Yubase(登録商標)6+)、動粘度(100℃):6.4mm2/s、動粘度(40℃):33.8mm2/s、粘度指数:145、NOACK蒸発量(250℃、1h):8質量%、%CP:85%、CN:15%、CA:0%、飽和分:99.5質量%、芳香族分:0.2質量%
(A-1)
APIグループIIの基油(水素化分解鉱油系基油、SKルブリカンツ社製Yubase(登録商標)3)、動粘度(100℃):3.05mm2/s、動粘度(40℃):12.3mm2/s、粘度指数:105、NOACK蒸発量(250℃、1h):40質量%、%CP:72.6、%CN:27.4、%CA:0、飽和分:99.6質量%、芳香族分:0.3質量%
(A-2)
APIグループIIIの基油(水素化分解鉱油系基油、SKルブリカンツ社製Yubase(登録商標)4+)、動粘度(100℃):4.2mm2/s、動粘度(40℃):17.9mm2/s、粘度指数:134、NOACK蒸発量(250℃、1h):13.5質量%、%CP:87.2、%CN:12.8、%CA:0、飽和分:99.8質量%、芳香族分:0.1質量%
(A-3)
APIグループIIIの基油(水素化分解鉱油系基油、SKルブリカンツ社製Yubase(登録商標)6+)、動粘度(100℃):6.4mm2/s、動粘度(40℃):33.8mm2/s、粘度指数:145、NOACK蒸発量(250℃、1h):8質量%、%CP:85%、CN:15%、CA:0%、飽和分:99.5質量%、芳香族分:0.2質量%
<(B)成分:金属系清浄剤>
〈(B1)成分:カルシウム系清浄剤〉
(B1-i)
ホウ酸カルシウム過塩基化カルシウムサリシレート、カルシウムの含有量:6.8質量%、ホウ素の含有量:2.7質量%、塩基価(過塩素酸法):190mgKOH/g
(B1-ii)
炭酸カルシウム過塩基化カルシウムサリシレート、カルシウムの含有量:8.0質量%、塩基価(過塩素酸法):210mgKOH/g
〈(B2)成分:マグネシウム系清浄剤〉
(B2-i)
炭酸マグネシウム過塩基化マグネシウムサリシレート、マグネシウムの含有量:7.5質量%、塩基価(過塩素酸法):350mgKOH/g
(B2-ii)
炭酸マグネシウム過塩基化マグネシウムスルホネート、マグネシウムの含有量:9.1質量%、塩基価(過塩素酸法):400mgKOH/g。
〈(B1)成分:カルシウム系清浄剤〉
(B1-i)
ホウ酸カルシウム過塩基化カルシウムサリシレート、カルシウムの含有量:6.8質量%、ホウ素の含有量:2.7質量%、塩基価(過塩素酸法):190mgKOH/g
(B1-ii)
炭酸カルシウム過塩基化カルシウムサリシレート、カルシウムの含有量:8.0質量%、塩基価(過塩素酸法):210mgKOH/g
〈(B2)成分:マグネシウム系清浄剤〉
(B2-i)
炭酸マグネシウム過塩基化マグネシウムサリシレート、マグネシウムの含有量:7.5質量%、塩基価(過塩素酸法):350mgKOH/g
(B2-ii)
炭酸マグネシウム過塩基化マグネシウムスルホネート、マグネシウムの含有量:9.1質量%、塩基価(過塩素酸法):400mgKOH/g。
<(C)成分:粘度指数向上剤(ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤)>
(C-1)
櫛型ポリメタクリレート系ポリマー(三洋化成工業株式会社製、商品名:アクルーブ V-7030、Mw:52万、Mn:22万、Mw/Mn:2.4)
(C-2)
直鎖ポリメタクリレート系ポリマー(三洋化成工業株式会社製、商品名:アクルーブ V-5090、Mw:48万、Mn:17万、Mw/Mn:2.8)。
(C-1)
櫛型ポリメタクリレート系ポリマー(三洋化成工業株式会社製、商品名:アクルーブ V-7030、Mw:52万、Mn:22万、Mw/Mn:2.4)
(C-2)
直鎖ポリメタクリレート系ポリマー(三洋化成工業株式会社製、商品名:アクルーブ V-5090、Mw:48万、Mn:17万、Mw/Mn:2.8)。
<(D)成分:無灰分散剤>
(D-1)
非ホウ素化コハクイミド(窒素の含有量:1.6質量%、Mw:6000)
(D-2)
ホウ素化コハク酸イミド(窒素の含有量:1.2質量%、ホウ素の含有量:0.5質量%、Mw:7000)。
(D-1)
非ホウ素化コハクイミド(窒素の含有量:1.6質量%、Mw:6000)
(D-2)
ホウ素化コハク酸イミド(窒素の含有量:1.2質量%、ホウ素の含有量:0.5質量%、Mw:7000)。
<(E)成分:酸化防止剤>
(E-1)
アミン系酸化防止剤(BASF社製、商品名:IRGANOX(登録商標) L67、ビス(ノニルフェニル)アミン、窒素の含有量:3.6質量%)
(E-2)
モリブデン系酸化防止剤(モリブデン酸ジアルキルアミン塩、モリブデンの含有量:10質量%、窒素の含有量:3.6質量%)。
(E-1)
アミン系酸化防止剤(BASF社製、商品名:IRGANOX(登録商標) L67、ビス(ノニルフェニル)アミン、窒素の含有量:3.6質量%)
(E-2)
モリブデン系酸化防止剤(モリブデン酸ジアルキルアミン塩、モリブデンの含有量:10質量%、窒素の含有量:3.6質量%)。
<(F)成分:摩擦調整剤(モリブデン系摩擦調整剤)>
(F-1)
モリブデンジチオカーバメート(MoDTC、株式会社ADEKA製、商品名:アデカサクラルーブ525、モリブデン含有量(理論値):10.0質量%)。
(F-1)
モリブデンジチオカーバメート(MoDTC、株式会社ADEKA製、商品名:アデカサクラルーブ525、モリブデン含有量(理論値):10.0質量%)。
<(G)摩耗防止剤>
(G-1)
ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP、第2級アルキル基タイプ、前記式(4)で表されかつ式(4)中のR14~R17がそれぞれ炭素数4または6の第2級アルキル基のうちのいずれかである化合物、亜鉛の含有量:8.0質量%、リンの含有量:7.0質量%、硫黄の含有量:14質量%)
(G-2)
ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP、第1級アルキル基タイプ、前記式(4)で表されかつ式(4)中のR14~R17がいずれも炭素数8の第1級アルキル基である化合物、亜鉛の含有量:8.0質量%、リンの含有量:7.0質量%、硫黄の含有量:15質量%)
(G-3)
ジアルキルリン酸亜鉛(ZnP、炭素数8の第1級アルキル基タイプ、亜鉛の含有量:5.3質量%、リンの含有量:5.2質量%)。
(G-1)
ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP、第2級アルキル基タイプ、前記式(4)で表されかつ式(4)中のR14~R17がそれぞれ炭素数4または6の第2級アルキル基のうちのいずれかである化合物、亜鉛の含有量:8.0質量%、リンの含有量:7.0質量%、硫黄の含有量:14質量%)
(G-2)
ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP、第1級アルキル基タイプ、前記式(4)で表されかつ式(4)中のR14~R17がいずれも炭素数8の第1級アルキル基である化合物、亜鉛の含有量:8.0質量%、リンの含有量:7.0質量%、硫黄の含有量:15質量%)
(G-3)
ジアルキルリン酸亜鉛(ZnP、炭素数8の第1級アルキル基タイプ、亜鉛の含有量:5.3質量%、リンの含有量:5.2質量%)。
<(H)成分:流動点降下剤>
(H-1)
ポリメタクリレート(Evonik INDUSTRIES社製、商品名:Viscoplex1-300、Mw:6万、Mn:3.2万、Mw/Mn:1.9)。
(H-1)
ポリメタクリレート(Evonik INDUSTRIES社製、商品名:Viscoplex1-300、Mw:6万、Mn:3.2万、Mw/Mn:1.9)。
<(I)成分:その他の添加剤>
(I-1)
消泡剤(信越化学社製、商品名「KF-96H」)。
(I-1)
消泡剤(信越化学社製、商品名「KF-96H」)。
(実施例1~5および比較例1~10)
表1~3に示す組成となるように、前述の各成分を利用して、実施例1~5および比較例1~10の潤滑油組成物をそれぞれ調製した。なお、表1~3中の「組成」の項目に関して「-」はその成分を利用していないことを示す。また、表1~3中の「組成」の項目において、(A)成分の含有量の単位の「mass%」は潤滑油基油の全量に対する各基油成分の含有量(質量%)を表し、(B)~(H)成分の含有量の単位の「inmass%」は潤滑油組成物全量に対する各添加剤の含有量(質量%)を表し、「質量部」は(I-1)成分を除いた潤滑油組成物中の成分の合計質量を100質量部とした場合の(I-1)成分の割合(parts by mass)を表す。また、表1~3中、[B(B1)]の単位の「massppm」は潤滑油組成物全量を基準とする(B1)成分に由来するホウ素の質量百万分率(質量ppm)を表し、[Ca(B1)]の単位の「massppm」は潤滑油組成物全量を基準とする(B1)成分に由来するカルシウムの質量百万分率(質量ppm)を表し、[Mg(B2)]単位の「massppm」は潤滑油組成物全量を基準とする(B2)成分に由来するマグネシウムの質量百万分率(質量ppm)を表す。さらに、表1~3中の「組成物中の各元素の含有量」の項目において、B、Ca、Mg、Mo、P、S、Znの含有量に関する単位の「massppm」は、潤滑油組成物全量を基準とする各元素(B、Ca、Mg、Mo、P、S、Zn)の質量百万分率(質量ppm)を表す。なお、表1~3中の「組成物中の各元素の含有量」の項目におけるB、Ca、Mg、Mo、P、SおよびZnの含有量の数値はそれぞれJPI-5S-62に準拠して測定した値である。
表1~3に示す組成となるように、前述の各成分を利用して、実施例1~5および比較例1~10の潤滑油組成物をそれぞれ調製した。なお、表1~3中の「組成」の項目に関して「-」はその成分を利用していないことを示す。また、表1~3中の「組成」の項目において、(A)成分の含有量の単位の「mass%」は潤滑油基油の全量に対する各基油成分の含有量(質量%)を表し、(B)~(H)成分の含有量の単位の「inmass%」は潤滑油組成物全量に対する各添加剤の含有量(質量%)を表し、「質量部」は(I-1)成分を除いた潤滑油組成物中の成分の合計質量を100質量部とした場合の(I-1)成分の割合(parts by mass)を表す。また、表1~3中、[B(B1)]の単位の「massppm」は潤滑油組成物全量を基準とする(B1)成分に由来するホウ素の質量百万分率(質量ppm)を表し、[Ca(B1)]の単位の「massppm」は潤滑油組成物全量を基準とする(B1)成分に由来するカルシウムの質量百万分率(質量ppm)を表し、[Mg(B2)]単位の「massppm」は潤滑油組成物全量を基準とする(B2)成分に由来するマグネシウムの質量百万分率(質量ppm)を表す。さらに、表1~3中の「組成物中の各元素の含有量」の項目において、B、Ca、Mg、Mo、P、S、Znの含有量に関する単位の「massppm」は、潤滑油組成物全量を基準とする各元素(B、Ca、Mg、Mo、P、S、Zn)の質量百万分率(質量ppm)を表す。なお、表1~3中の「組成物中の各元素の含有量」の項目におけるB、Ca、Mg、Mo、P、SおよびZnの含有量の数値はそれぞれJPI-5S-62に準拠して測定した値である。
[各実施例等で得られた潤滑油組成物の特性の評価]
<LSPI性能評価試験(LSPI試験)>
各潤滑油組成物に対して、ASTM D8291に準拠したLSPI抑制能の評価試験[試験方法:シークエンス・ナイン テスト(Seq.IX ASTM D8291)、使用エンジン:Ford社の2012年製のエンジン(2000CC、4気筒、GDTIエンジン)]を行った。このような測定により求められた各潤滑油組成物のLSPI発生回数の平均値を、LSPI試験結果として表1~3にそれぞれ示す。また、LSPI試験結果(LSPI発生回数の平均値)が、エンジンオイル規格の「API SP/ILSAC GF-6」の基準値の「5」以下という条件を満たすか否かをそれぞれ評価して、表1~3に、基準値以下である場合(基準を満たす場合)には「S」と示し、基準値を超える場合(基準を満たさない場合)には「F」と示す。なお、LSPI試験結果がAPI SP/ILSAC GF-6」の基準値である5以下という条件を満たす場合には、その潤滑油組成物がLSPI抑制能に優れたものであると評価できる。
<LSPI性能評価試験(LSPI試験)>
各潤滑油組成物に対して、ASTM D8291に準拠したLSPI抑制能の評価試験[試験方法:シークエンス・ナイン テスト(Seq.IX ASTM D8291)、使用エンジン:Ford社の2012年製のエンジン(2000CC、4気筒、GDTIエンジン)]を行った。このような測定により求められた各潤滑油組成物のLSPI発生回数の平均値を、LSPI試験結果として表1~3にそれぞれ示す。また、LSPI試験結果(LSPI発生回数の平均値)が、エンジンオイル規格の「API SP/ILSAC GF-6」の基準値の「5」以下という条件を満たすか否かをそれぞれ評価して、表1~3に、基準値以下である場合(基準を満たす場合)には「S」と示し、基準値を超える場合(基準を満たさない場合)には「F」と示す。なお、LSPI試験結果がAPI SP/ILSAC GF-6」の基準値である5以下という条件を満たす場合には、その潤滑油組成物がLSPI抑制能に優れたものであると評価できる。
<SRV試験(省燃費性能の評価試験)>
各潤滑油組成物をそれぞれ用い、シリンダオンディスク式往復動摩擦試験機(Optimol社製SRV)を用いて、荷重:100N、ディスク温度:100℃、振動数:50Hz、振幅1mm、試験時間:15分間の試験条件で、SRV試験を行い、金属間の摩擦係数を測定した。得られた結果を表1~3に示す。なお、摩擦係数の値が0.060以下の場合には、摩擦特性に優れることが明らかであるため、その潤滑油組成物が省燃費性能に優れたものであると評価できる。
各潤滑油組成物をそれぞれ用い、シリンダオンディスク式往復動摩擦試験機(Optimol社製SRV)を用いて、荷重:100N、ディスク温度:100℃、振動数:50Hz、振幅1mm、試験時間:15分間の試験条件で、SRV試験を行い、金属間の摩擦係数を測定した。得られた結果を表1~3に示す。なお、摩擦係数の値が0.060以下の場合には、摩擦特性に優れることが明らかであるため、その潤滑油組成物が省燃費性能に優れたものであると評価できる。
表1に示す結果からも明らかなように、(A)潤滑油基油、および、(B)金属系清浄剤を含み、(B)成分がカルシウム系清浄剤((B1)成分)とマグネシウム系清浄剤((B2)成分)とを含み、(B1)成分に由来したカルシウムの含有量が組成物の全質量を基準として1650質量ppm以上2500質量ppm以下の範囲にあり、(B2)成分に由来したマグネシウムの含有量が組成物の全質量を基準として20質量ppm以上400質量ppm以下の範囲にあり、(B1)成分中に(B1-i)成分(ホウ素とカルシウムとを含有する成分)が含まれ、組成物中のBの総量が1000質量ppm以下であり、B(B1)/Ca(B1)が0.15以上0.35以下であり、かつ、B(B1)/[Ca(B1)+Mg(B2)]が0.13以上0.29以下である実施例1~5で得られた潤滑油組成物は、LSPI抑制能と、省燃費性能(摩擦特性)とが共に優れたものとなることが確認された。なお、B(B1)/[Ca(B1)+Mg(B2)]が0.29であっても、B(B1)/Ca(B1)が0.15以上0.35以下の範囲外となっている比較例2および比較例9で得られた潤滑油組成物は、実施例1~5で得られた潤滑油組成物と比較すると、特に、摩擦係数がより大きな値となっていた。
以上説明したように、本発明によれば、LSPI抑制能と省燃費性能とを共に優れたものとすることが可能な内燃機関用潤滑油組成物を提供することが可能となる。したがって、本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等のエンジン用の潤滑油組成物等として特に有用である。
Claims (4)
- (A)潤滑油基油、および、(B)金属系清浄剤を含有してなり、
前記(B)成分が、
(B1)組成物の全質量を基準としたカルシウムの含有量が1650質量ppm以上2500質量ppm以下の範囲にあるカルシウム系清浄剤と、
(B2)組成物の全質量を基準としたマグネシウムの含有量が20質量ppm以上400質量ppm以下の範囲にあるマグネシウム系清浄剤と、
を含有し、
前記(B1)成分が、(B1-1)ホウ素とカルシウムとを含有するカルシウム系清浄剤を含有し、
組成物の全質量を基準としたホウ素の含有量が1000質量ppm以下であり、
組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のホウ素の含有量をB(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B1)成分中のカルシウムの含有量をCa(B1)と表し、組成物の全質量を基準とした(B2)成分中のマグネシウムの含有量をMg(B2)と表した場合に、Ca(B1)に対するB(B1)の比率(B(B1)/Ca(B1))が0.15以上0.35以下であり、かつ、Ca(B1)とMg(B2)の合計量(Ca(B1)+Mg(B2))に対するB(B1)の比率(B(B1)/[Ca(B1)+Mg(B2)])が0.13以上0.29以下であること、
を特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。 - 前記(B1)成分が、前記(B1-1)成分としてホウ酸カルシウムサリシレートを含むことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
- (C)ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤をさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
- 前記(C)成分が、櫛型ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーを含むことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
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