JP2021025007A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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正浩 新居
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Abstract

【課題】低粘度化しても、摩耗防止性を確保しつつ摩擦低減可能な潤滑油組成物、好適には内燃機関用、さらには過給ガソリンエンジン用の潤滑油組成物の提供。【解決手段】(A)潤滑油基油、(B)金属清浄剤、(C)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、(D)無灰分散剤、(E)下記(E1)成分に由来する単位と、下記(E2)成分に由来する単位とを有し、重量平均分子量5,000〜200,000であって、下記(E1)成分に由来する繰り返し単位及び下記(E2)成分に由来する繰り返し単位を、(E1):(E2)=95:5〜60:40の質量比で有する共重合体(E1)炭素数1〜30のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレート(E2)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、及び(F)モリブデンを有する摩擦調整剤を含み、100℃における動粘度が4.0〜8.2mm2/s未満であることを特徴とする、潤滑油組成物。【選択図】なし

Description

本発明は潤滑油組成物に関し、詳細には、内燃機関用の潤滑油組成物、特にガソリンエンジン用の潤滑油組成物に関する。
潤滑油組成物は、内燃機関用、自動変速機用、ギヤ油用など自動車分野で幅広く使用されている。近年、燃費を向上させるために低粘度化が求められているが、低粘度化により油膜が薄くなり、摩擦を十分に低減することができない。そこで、境界潤滑条件で二硫化モリブデンを生成することにより摩擦を低減することができるモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)が従来用いられている。この際、カルシウム系清浄剤を組み合わせて用いるのが通常である(例えば、特許文献1)。しかし、この組み合わせでは、摩擦の低減に限界があり、特に初期の摩擦の低減が不十分となることがあり、燃費を十分に向上させることができない。
清浄剤としてマグネシウム系清浄剤を使用することも知られている(例えば、特許文献2および3)。マグネシウム系清浄剤の使用は、カルシウム系清浄剤よりも摩擦をより低減することができるが、摩耗が発生しやすいという問題がある。
特開2013−199594号公報 特開2011−184566号公報 特開2006−328265号公報
本発明の目的は、低粘度化しても、摩耗防止性を確保しつつ初期から長期に至るまで摩擦を低減することができる潤滑油組成物、好適な態様としては内燃機関用の潤滑油組成物、さらに好適には過給ガソリンエンジン用の潤滑油組成物を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、潤滑油基油に、金属清浄剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、及び無灰分散剤と、特定の分子構造を有するアルキル(メタ)アクリレート系共重合体と、モリブデンを有する摩擦調整剤とを添加することによって、上記目的が達成されることを見出した。
すなわち、本発明は、
(A)潤滑油基油、
(B)金属清浄剤、
(C)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、
(D)無灰分散剤、
(E)下記(E1)成分に由来する単位と、下記(E2)成分に由来する単位とを有し、重量平均分子量5,000〜200,000であって、下記(E1)成分に由来する繰り返し単位及び下記(E2)成分に由来する繰り返し単位を、(E1):(E2)=95:5〜60:40の質量比で有する共重合体
(E1)炭素数1〜30のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレート
(E2)下記式(1)又は(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
CH=C(A)−COOR−OH (1)
CH=C(A)−COOR−O−[C(=O)−RO]−H (2)
(式中、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜8のアルキレン基であり、A及びAは各々メチル基又は水素原子であり、nは1〜25の整数である)、及び
(F)モリブデンを有する摩擦調整剤
を含み、100℃における動粘度が4.0〜8.2mm/s未満であることを特徴とする、潤滑油組成物である。
本発明の好ましい実施態様は、以下の(1)〜(5)のうち少なくとも一の要件を満たす。
(1)前記共重合体(E)が、(E3)下記式(3)又は(4)で表されるアミノ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位をさらに有する。
CH=C(A)−COOR−N(B)(B) (3)
CH=C(A)−COOR−O−[C(=O)−RNH]−H (4)
(式中、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜10のアルキレン基であり、A及びAは各々メチル基又は水素原子であり、B及びBは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、nは1〜25の整数である)。
(2)前記共重合体(E)が、(E1)成分由来の繰り返し単位、(E2)成分由来の繰り返し単位、及び(E3)成分由来の繰り返し単位を、(E1):(E2):(E3)=90〜55:5〜40:5〜20の質量比で有する。
(3)前記(E1)成分が、下記(E1−1)成分及び下記(E1−2)成分の組合せである。
(E1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレート
(E1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレート。
(4)前記(B)金属清浄剤が、マグネシウムを有する金属清浄剤である。
(5)前記潤滑油組成物が内燃機関用である。
さらに、好ましい第1の態様は、下記(6)に示す通り、第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を必ず含む潤滑油組成物である。さらには下記(7)〜(11)の少なくとも1の特徴を有する。該第1の特定の態様は、主としてSAE規定の0W−8の条件を満たすためのものである。
(6)前記(C)ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、(C1)第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を含み、かつ(C)成分の全質量に対する(C)成分の割合が30質量%以上である。
(7)該潤滑油組成物全体の質量に対する(D)無灰分散剤由来のホウ素含有量が250質量ppm未満である、無灰分散剤である。
(8)前記(F)成分の量が該潤滑油組成物全体の質量に対するモリブデンの質量ppm[Mo]として200〜1400質量ppmの範囲である。
(9)−35℃でのCCS粘度が6.2Pa・s以下である。
(10)150℃での高温高せん断粘度(HTHS粘度)が1.3mPa・s〜2.9mPa・s未満である。
(11)100℃における動粘度が4.0mm/s以上6.1mm/s未満である。
さらに、好ましい第2の態様は、下記(12)に示す通り、第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を必ず含む潤滑油組成物である。さらには下記(12)〜(17)の少なくとも1の特徴を有する。この第2の特定の態様は、主としてSAE規定の0W−16の条件を満たすためのものである。
(12)前記(C)ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、(C2)第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を含み、かつ(C)成分の全質量に対する(C2)成分の割合が30質量%以上である。
(13)潤滑油組成物全体の質量に対する(D)無灰分散剤由来のホウ素含有量が100質量ppm以上400質量ppm以下である。
(14)前記(F)成分の量が該潤滑油組成物全体の質量に対するモリブデンの質量ppm[Mo]として200〜1400質量ppmの範囲である。
(15)−35℃でのCCS粘度が6.2Pa・s以下である。
(16)150℃での高温高せん断粘度(HTHS粘度)が2.3mPa・s以上である。
(17)100℃における動粘度が6.1mm/s以上8.2mm/s未満である。
本発明の潤滑油組成物は、低粘度化しても、摩耗防止性を確保しつつ初期から長期に渡り摩擦を低減することができ、特に内燃機関用の潤滑油組成物、さらに過給ガソリンエンジン用の潤滑油組成物として好適に使用できる。
(A) 潤滑油基油
本発明における潤滑油基油は特に制限されない。鉱油及び合成油のいずれであってもよく、これらを単独で、または混合して使用することができる。
鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、および水素化精製等の処理の1つ以上に付して精製したもの、或いは、ワックス異性化鉱油、GTL(Gas to Liquid)基油、ATL(Asphalt to Liquid)基油、植物油系基油またはこれらの混合基油を挙げることができる。
合成油としては、例えば、ポリブテン又はその水素化物;1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はその水素化物;ラウリン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−エチルヘキシル等のモノエステル;ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のジエステル;ネオペンチルグリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ネオペンチルグリコールジ−n−オクタノエート、ネオペンチルグリコールジ−n−デカノエート、トリメチロールプロパントリ−n−オクタノエート、トリメチロールプロパントリ−n−デカノエート、ペンタエリスリトールテトラ−n−ペンタノエート、ペンタエリスリトールテトラ−n−ヘキサノエート、ペンタエリスリトールテトラ−2−エチルヘキサノエート等のポリオールエステル;アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、芳香族エステル等の芳香族系合成油又はこれらの混合物等が例示できる。
潤滑油基油の100℃における動粘度(mm/s)は特に制限されないが、好ましくは2〜15mm/sであり、より好ましくは3〜10mm/sであり、さらに好ましくは3〜8mm/sであり、最も好ましくは3〜6mm/sである。これにより、油膜形成が十分であり、潤滑性に優れ、かつ、蒸発損失がより小さい潤滑油組成物を得ることができる。
潤滑油基油の粘度指数(VI)は特に制限されないが、好ましくは100以上であり、より好ましくは120以上、最も好ましくは130以上である。これにより、高温での油膜を確保しつつ、低温での粘度を低減することができる。
(B)金属清浄剤
本発明の潤滑油組成物は、金属清浄剤を使用する。金属清浄剤としては、限定的ではないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を有する清浄剤であることが好ましい。
金属清浄剤としては、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート、カルシウムフェネート、マグネシウムサリシレート、マグネシウムスルホネート、マグネシウムフェネート等が挙げられる。
中でもマグネシウムを有する清浄剤(以下、マグネシウム系清浄剤という)を必須とすることが好ましく、上述のマグネシウムスルホネート、マグネシウムフェネートおよびマグネシウムサリシレート等を使用することができ、これらの中で、特にマグネシウムサリシレート若しくはマグネシウムスルホネートが好ましい。マグネシウム系清浄剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
マグネシウム系清浄剤を含有することにより、潤滑油として必要な高温清浄性および防錆性を確保することができる。また、摩擦を低減し、したがって、トルクを低減させることができる。これは、特に燃費特性の点で有利である。
マグネシウム系清浄剤は、該潤滑油組成物の質量に対するマグネシウムの質量ppmによる濃度[Mg]が200〜1200質量ppm、好ましくは300〜1100質量ppm、より好ましくは400〜1000質量ppmの範囲となるような量で添加される。マグネシウム系清浄剤の量が上記上限を超えると摩耗が大きくなり過ぎ、上記下限を下回ると摩擦の低減効果が低い。
マグネシウム系清浄剤は、特に、過塩基性であるのが好ましい。これにより、潤滑油に必要な酸中和性を確保できる。過塩基性のマグネシウム系清浄剤を使用した場合には、中性のマグネシウムまたはカルシウム系清浄剤を混合してもよい。
マグネシウム系清浄剤の全塩基価は、限定的ではないが、好ましくは20〜600mgKOH/g、より好ましくは50〜500mgKOH/g、最も好ましくは100〜450mgKOH/gである。これにより、潤滑油に必要な酸中和性、高温清浄性および防錆性を確保できる。なお、2種以上の金属清浄剤を混合して使用する場合は、混合して得られた塩基価が、前記の範囲となることが好ましい。
マグネシウム系清浄剤中のマグネシウム含有量は、好ましくは0.5〜20質量%であり、より好ましくは1〜16質量%、最も好ましくは2〜14質量%であるが、潤滑油組成物中に上記範囲の量のマグネシウムが含まれるように添加されれば良い。
本発明の潤滑油組成物は、上記マグネシウム系清浄剤に併せて、その他の金属系清浄剤を含むことができる。その他の添加剤として、好ましいものは、カルシウムを有する清浄剤(以下、カルシウム系清浄剤という)である。潤滑油組成物がカルシウム系清浄剤をさらに含むことにより、潤滑油として必要な高温清浄性、及び防錆性を更に確保することができる。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の金属系清浄剤として、ナトリウム系清浄剤を含んでいてもよい。ナトリウム系清浄剤とは、ナトリウムを有する化合物であり、例えば、ナトリウムスルホネート、ナトリウムフェネートおよびナトリウムサリシレートが好ましい。これらのナトリウム系清浄剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。ナトリウム系清浄剤を含むことにより、潤滑油として必要な高温清浄性および防錆性を確保することができる。ナトリウム系清浄剤は、上述したマグネシウム系清浄剤および任意的なカルシウム系清浄剤と併用することができる。
ただし、マグネシウム系清浄剤の量に応じて、カルシウム系清浄剤及びナトリウム系清浄剤の添加量は制限され得る。
カルシウム系清浄剤としては、上述のカルシウムスルホネート、カルシウムフェネートおよびカルシウムサリシレートが挙げられ、これらのカルシウム系清浄剤は、1種を使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
カルシウム系清浄剤の含有量には特に限定はないが、下記式(i)を満たす含有量とすることが好ましい。
{[Mg]/([Mg]+[Ca])}×100≧5 (i)
ここで、[Ca]は、潤滑油組成物の質量に対するカルシウムの質量ppmによる濃度を示す。
{[Mg]/([Mg]+[Ca])}×100の値は、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上である。当該値が上記下限未満だと、摩擦の低減効果が小さい。{[Mg]/([Mg]+[Ca])}×100の上限値は好ましくは100、より好ましくは80、更に好ましくは60、最も好ましくは50である。
カルシウム系清浄剤は、過塩基性であるのが好ましい。これにより、潤滑油に必要な酸中和性を確保できる。過塩基性のカルシウム含有清浄剤を使用する場合には、中性のカルシウム系清浄剤を併用してもよい。
カルシウム系清浄剤の全塩基価は、限定的ではないが、好ましくは20〜500mgKOH/g、より好ましくは50〜400mgKOH/g、最も好ましくは100〜350mgKOH/gである。これにより、潤滑油に必要な酸中和性、高温清浄性および防錆性を確保できる。なお、2種以上の金属清浄剤を混合して使用する場合は、混合して得られた塩基価が前記範囲内となることが好ましい。
カルシウム系清浄剤中のカルシウム含有量は、好ましくは0.5〜20質量%であり、より好ましくは1〜16質量%、最も好ましくは2〜14質量%である。
(C) ジアルキルジチオリン酸亜鉛
本発明の潤滑油組成物はジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP(ZDDPともいう))を含む。該化合物は摩耗防止剤として機能するものであり、下記式(ii)で表される。
Figure 2021025007
上記式(ii)において、R及びRは、各々、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜26の一価炭化水素基である。一価炭化水素基としては、炭素数1〜26の第1級(プライマリー)または第2級(セカンダリー)アルキル基;炭素数2〜26のアルケニル基;炭素数6〜26のシクロアルキル基;炭素数6〜26のアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基;またはエステル結合、エーテル結合、アルコール基またはカルボキシル基を含む炭化水素基である。ここで、1級アルキル基とは、置換基R及びRにおいて、ジアルキルジチオリン酸亜鉛中の酸素原子に直接結合する炭素原子が1級炭素原子であるという意味である。同様に2級アルキル基とは、置換基R、Rにおいて、ジアルキルジチオリン酸亜鉛中の酸素原子に直接結合する炭素原子が2級炭素原子であるという意味である。R及びRは、好ましくは、互いに独立に、炭素数3〜12の、第1級または第2級アルキル基、炭素数8〜18のシクロアルキル基、又は炭素数8〜18のアルキルアリール基である。ただし、本発明において、R及びRの少なくとも1は第1級または第2級アルキル基である。第1級アルキル基は、炭素数3〜12を有することが好ましく、より好ましくは炭素数4〜10を有する。例えば、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、2−エチル−ヘキシル基、及び2,5−ジメチルヘキシル基等が挙げられる。第2級アルキル基は、炭素数3〜12を有することが好ましく、より好ましくは炭素数3〜10を有する。例えば、イソプロピル基、セカンダリーブチル基、イソペンチル基、及びイソヘキシル基等が挙げられる。
潤滑油組成物中のジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量は、潤滑油組成物の全質量に対し、ジアルキルジチオリン酸亜鉛が有するリンの質量ppmによる濃度[P]として、300〜1000質量ppmとなる量であり、好ましくは400〜1,000質量ppmであり、より好ましくは500〜1,000質量ppmであり、特に好ましくは600〜900質量ppmである。
本発明の潤滑油組成物は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛以外の摩耗防止剤をさらに含んでもよい。例えば、上記式で表され、R及びRが、互いに独立に、水素原子、または炭素数1〜26の、アルキル基でない一価炭化水素基である化合物が挙げられる。該一価炭化水素基としては、炭素数2〜26のアルケニル基;炭素数6〜26のシクロアルキル基;炭素数6〜26のアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基;またはエステル結合、エーテル結合、アルコール基またはカルボキシル基を含む炭化水素基である。R及びRは、好ましくは炭素数8〜18のシクロアルキル基、炭素数8〜18のアルキルアリール基であり、各々、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、ジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)を組合せて使用してもよい。
また、下記式(iii)及び(iv)で示されるホスフェート、ホスファイト系のリン化合物、並びにそれらの金属塩及びアミン塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を併用することもできる。
Figure 2021025007
上記一般式(iii)中、Rは炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、R及びRは互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、kは0又は1である。
Figure 2021025007
上記一般式(iv)中、Rは炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、R及びRは互いに独立に水素原子又は炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、tは0又は1である。
上記一般式(iii)及び(iv)中、R〜Rで表される炭素数1〜30の一価炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキル置換シクロアルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基、及びアリールアルキル基を挙げることができる。特には、炭素数1〜30のアルキル基、又は炭素数6〜24のアリール基であることが好ましく、より好ましくは炭素数3〜18のアルキル基、最も好ましくは炭素数4〜15のアルキル基である。
上記一般式(iii)及び(iv)で表されるリン化合物としては、例えば、上記炭素数1〜30の炭化水素基を1つ有する亜リン酸モノエステル及び(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸、ホスホン酸モノエステル、酸性リン酸モノエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素基を2つ有する亜リン酸ジエステル、モノチオ亜リン酸ジエステル、ホスホン酸ジエステル、酸性リン酸ジエステル及び(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸モノエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素基を3つ有する亜リン酸トリエステル、及び(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸ジエステル;及びこれらの混合物等が挙げられる。
上記一般式(iii)及び(iv)で表されるリン化合物の金属塩又はアミン塩は、一般式(iii)又は(iv)で表されるリン化合物に、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属塩化物等の金属塩基、アンモニア、炭素数1〜30の炭化水素基又はヒドロキシル基含有炭化水素基のみを分子中に有するアミン化合物等の窒素化合物等を作用させて、残存する酸性水素の一部又は全部を中和することにより得ることができる。上記金属塩基における金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、銅、鉄、鉛、ニッケル、銀、マンガン等の重金属(但し、モリブデンは除く)等が挙げられる。これらの中でも、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属及び亜鉛が好ましく、亜鉛が特に好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、上述の通り、2つの好適な実施態様を有する。従って、夫々の態様に応じて、ジアルキルジチオリン酸亜鉛も2つの好適な態様を有する。
第1の好適な態様においては、本発明の潤滑油組成物は、第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を必ず含む。第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を含まないと、後述するSAE 0W−8の条件にまで低粘度化された潤滑油組成物(特には、KV100が、4.0mm/s以上6.1mm/s未満であり、より好ましくは4.0mm/s以上5.8mm/s未満)において良好な摩耗防止性を確保することが困難となる。従って本発明の潤滑油組成物は、第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量が、(C)成分の全体量に対して30質量%以上であることを特徴とする。好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは100質量%である。(C1)第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛と(C2)第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を併用する第1態様の場合、(C1):(C2)の比(質量)が99:1〜30:70の範囲を満たすように含有することが好ましい。より好ましくは95:5〜35:65、更に好ましくは90:10〜35:65、特に好ましくは85:15〜40:60、最も好ましくは80:20〜40:60の範囲である。(C2)第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有割合が上記上限値より多くなると、本発明で目的とする低粘度を有する潤滑油組成物においては摩擦低減が不十分となり好ましくない。この態様とすることにより、SAE 0W−8の条件を満たす潤滑油組成物となる。
第2の好適な態様においては、本発明の潤滑油組成物は、第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を必ず含む。第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を含まないと、後述するSAE 0W−16の条件にまで低粘度化された潤滑油組成物(特には、KV100が6.1mm/s以上8.2mm/s未満であり、より好ましくは6.1mm/s以上8.0mm/s未満)において、良好な摩耗防止性を確保することが困難となる。したがって、第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛と第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛とを併せて含むか、第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を含み第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を含まないかのいずれかの態様となり、(C1)第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛と(C2)第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛とを併用することが特に好ましい。本発明の潤滑油組成物は、(C1)第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛と(C2)第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛をこれらの比(C1):(C2)(質量)が70:30〜0:100の範囲を満たすように含有することを特徴とする。好ましくは65:35〜5:95、より好ましくは60:40〜10:90、特に好ましくは50:50〜20:80の範囲である。上記上限を超えて第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有割合が多くなると低粘度化された潤滑油組成物において耐摩耗性が悪化することがあり、好ましくない。この態様とすることにより、SAE 0W−16の条件を満たす潤滑油組成物となる。
(D)無灰分散剤
本発明の潤滑油組成物は、無灰分散剤を有する。無灰分散剤は、特に制限されるものでなく、従来公知のものを使用すればよい。例えば、炭素数40〜400の、直鎖構造又は分枝構造を有するアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドの変性品等が挙げられる。無灰分散剤は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、ホウ素化無灰分散剤を使用する場合は、上記したような無灰分散剤をホウ素化したものであればよい。ホウ素化は一般に、含窒素化合物にホウ酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和することにより行われる。
上記アルキル基又はアルケニル基の炭素数は、好ましくは40〜400であり、より好ましくは60〜350である。アルキル基及びアルケニル基の炭素数が前記下限値未満であると、化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下する傾向にある。また、アルキル基及びアルケニル基の炭素数が上記上限値を超えると、潤滑油組成物の低温流動性が悪化する傾向にある。上記アルキル基及びアルケニル基は、直鎖構造を有していても分枝構造を有していてもよい。好ましい態様としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマー、エチレンとプロピレンのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基又は分枝状アルケニル基等が挙げられる。
コハク酸イミドには、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した、いわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した、いわゆるビスタイプのコハク酸イミドとがある。本発明の潤滑油組成物は、モノタイプ及びビスタイプのうちいずれか一方を含有してもよいし、あるいは双方を含有してもよい。
モノタイプのコハク酸イミド誘導体は例えば下記式(a)で表すことができる。ビスタイプのコハク酸イミド誘導体は例えば下記式(b)で表すことができる。
Figure 2021025007
Figure 2021025007
上記式において、Rは互いに独立に炭素数40〜400のアルキル基またはアルケニル基であり、mは1〜20の整数であり、nは0〜20の整数である。特にはビスタイプのコハク酸イミド化合物が好ましい。コハク酸イミド誘導体は、モノタイプ及びビスタイプの併用、2種以上のモノタイプの併用、2種以上のビスタイプの併用であってもよい。
上記コハク酸イミド誘導体とホウ素化合物とを反応させることにより、ホウ素化されたコハク酸イミド誘導体が得られる。ホウ素化合物とは、ホウ酸、ホウ酸無水物、ホウ酸エステル、酸化ホウ素、及びハロゲン化ホウ素などである。ホウ素化コハク酸イミド誘導体は1種単独であっても、2種以上の組合せであってもよい。
例えば、ホウ素化コハク酸イミドの製造方法としては、特公昭42−8013号公報及び同42−8014号公報、特開昭51−52381号公報、及び特開昭51−130408号公報等に開示されている方法等が挙げられる。より詳細には、アルコール類やヘキサン、キシレン等の有機溶媒、軽質潤滑油基油等にポリアミンとポリアルケニルコハク酸(無水物)にホウ酸、ホウ酸エステル、又はホウ酸塩等のホウ素化合物を混合し、適当な条件で加熱処理することにより得ることができる。この様にして得られるホウ素化コハク酸イミドに含まれるホウ素含有量は通常0.1〜4質量%とすることができる。特に、アルケニルコハク酸イミド化合物のホウ素変性化合物(ホウ素化コハク酸イミド)は耐熱性、酸化防止性及び摩耗防止性に優れるため好ましい。
無灰分散剤の数平均分子量(Mn)は、限定的ではないが2000以上であることが好ましく、より好ましくは2500以上、より一層好ましくは3000以上、最も好ましくは5000以上であり、また、15000以下であることが好ましい。無灰分散剤の数平均分子量が上記下限値未満では、分散性が十分でない可能性がある。一方、無灰分散剤の数平均分子量が上記上限値を超えると、粘度が高すぎ、流動性が不十分となり、デポジット増加の原因となるおそれがある。
本発明の潤滑油組成物は、上述した通り、2つの好適な実施態様を有する。無灰分散剤の含有量についても、夫々の態様に応じて下記の通りの好適な態様を有する。
第1の好適な態様においては、潤滑油組成物全体の質量に対する無灰分散剤由来のホウ素含有量が250質量ppm未満であることが好ましく、220質量ppm未満であることがより好ましく、200質量ppm未満であることがさらに好ましい。無灰分散剤がホウ素を有する場合、ホウ素を1.0質量%以下有する無灰分散剤であることが好ましく、ホウ素を0.8質量%以下有する無灰分散剤であることがより好ましい。無灰分散剤はホウ素を含有する無灰分散剤とホウ素を含有しない無灰分散剤のいずれも使用することができ、併用することもできるが、第1の好適な態様においては、特にはホウ素を含有しない無灰分散剤のみを使用することが好ましい。ホウ素を含有する無灰分散剤の潤滑油組成物中の含有量は、ホウ素含有無灰分散剤中のホウ素含有量にもよるが、特にはホウ素含有無灰分散剤の配合量が、組成物全量基準で0〜1.5質量%、好ましくは0.001〜1.0質量%、より好ましくは0.01〜0.75質量%、特に好ましくは0.1〜0.5質量%であるのがよい。ホウ素を含まない無灰分散剤の配合量は、組成物全量基準で0.1〜8質量%、好ましくは0.5〜5.5質量%、特に好ましくは1.0〜5.0質量%、最も好ましくは2.5〜4.0質量%であるのがよい。
なお、この第1の好適な態様とすることにより、SAE 0W−8の条件を満たすことができる。
第2の好適な態様においては、該潤滑油組成物全体の質量に対する無灰分散剤由来のホウ素含有量が100質量ppm以上400質量ppm以下であることが好ましい。該ホウ素含有量は、120〜350質量ppmであることがより好ましく、150〜300質量ppmであることがさらに好ましい。ホウ素を含有する無灰分散剤は、ホウ素を0.3質量%以上有することが好ましく、ホウ素を0.5質量%以上有することがさらに好ましい。ホウ素を0.3質量%以上有する無灰分散剤である限り、上限は特に限定されることはないが、ホウ素を5質量%以下有することが好ましく、ホウ素を4質量%以下有することがより好ましく、ホウ素を3質量%以下有することがさらに好ましい。無灰分散剤はホウ素を含有する分散剤とホウ素を含有しない分散剤のいずれも使用することができ、併用することもできるが、第2の好適な態様においては、特にはホウ素を含有する無灰分散剤のみを使用することが好ましい。分散剤の配合量は、組成物全量基準で0.1〜8質量%、好ましくは0.5〜5.5質量%、特に好ましくは1.0〜5.0質量%、最も好ましくは2.5〜4.0質量%であるのがよい。
なお、この第2の好適な態様とすることにより、SAE 0W−16の条件を満たすことができる。
(E)共重合体
本発明の潤滑油組成物は特定構造の共重合体を含有することを特徴とする。この共重合体は、有機高分子摩擦調整剤としての役割を果たす。すなわち、(E)成分は、下記(E1)成分に由来する単位と、下記(E2)成分に由来する単位とを有し、重量平均分子量5,000〜200,000であって、下記(E1)成分に由来する繰り返し単位及び下記(E2)成分に由来する繰り返し単位を、(E1):(E2)=95:5〜60:40の質量比で有する共重合体である。
(E1) 炭素数1〜30のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレート
(E2) 下記式(1)又は(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
CH=C(A)−COOR−OH (1)
CH=C(A)−COOR−O−[C(=O)−RO]−H (2)
(式中、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜8のアルキレン基であり、A及びAは各々メチル基又は水素原子であり、nは1〜25の整数である)
該共重合体は摩擦調整剤として機能する。詳細には、上記(E1)アルキル(メタ)アクリレートに由来する単位(油溶性骨格)と、上記(E2)ヒドロキシル基含有アルキル(メタ)アクリレートに由来する単位(極性基を有する骨格)とを有する共重合体を含むことにより、摩擦を低減でき、且つ、油膜を維持して疲労寿命を向上することができる。極性基は吸着基として機能するため、ヒドロキシル基を有する骨格(E2)を、(E1):(E2)=95:5〜50:50の質量比で有することにより、摩擦を効果的に低減することができる。好ましくは(E1):(E2)=90:10〜50:50であり、より好ましくは(E1):(E2)=80:20〜50:50である。また、共重合体の重量平均分子量は5,000〜200,000であり、5,000〜150,000が好ましく、10,000〜150,000がより好ましい。重量平均分子量が大きいほど、摩擦低減効果が大きくなるため好ましいが、上記上限超えでは潤滑油組成物に溶解せずに沈殿してしまうため好ましくない。重量平均分子量の測定方法は後述する。
(E1)成分は、炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、へプチルデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アルキル(メタ)アクリレートは1種類単独でも2種類以上の併用であってもよい。(E1)成分として好ましくは、(E1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと(E1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとを、(E1−1)成分:(E1−2)成分(質量比)=20:80〜0:100で組合せるのがよい。上記(E1−1)成分及び(E1−2)成分を含むことにより、潤滑油基油と接触する金属部材との間の摩擦をより低減させることができる。特には長鎖アルキル基を有することにより、摩擦をより低減することができるため、(E1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを必須に含有することが好ましい。
(E1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、及びヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらも1種類単独でも2種類以上の併用であってもよい。
(E1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、好ましくは炭素数13〜28の、さらに好ましくは炭素数15〜28、最も好ましくは炭素数17〜26のアルキル(メタ)アクリレートであるのがよい。例えば、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキシルデシル(メタ)アクリレート、へプチルデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(E2)成分は、上述した通り、末端に水酸基を有し、及び、炭素数1〜30のアルキレン鎖を有する、下記(1)又は(2)で表される(メタ)アクリレートである。
CH=C(A)−COOR−OH (1)
CH=C(A)−COOR−O−[C(=O)−RO]−H (2)
(式中、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜8のアルキレン基であり、A及びAは各々メチル基又は水素原子であり、nは1〜25の整数である)
一般式(1)で表される(メタ)アクリレートとしては、好ましくは炭素数2〜20の、より好ましくは炭素数2〜10のアルキレン鎖を有する、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、及び3−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートは、上記一般式(1)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとラクトンを開環付加反応させて得られる。原料のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは上記の通りである。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにラクトン類を加熱反応させる。ラクトンは公知のものが使用でき、特に限定されない。例えば、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、及びε−カプロラクトンが挙げられる。開環付加反応は公知の条件に従い行えばよい。例えば、反応温度は80〜150℃が好ましく、さらには100℃〜140℃が好ましい。反応時間は2〜24時間が好ましく、さらには3〜10時間が好ましい。開環付加反応は、触媒下で行われることが好ましく、テトラプロピルチタネート、オクタン酸第一スズ等を使用することができる。反応生成物量に対して触媒を0.01〜5質量%添加することが好ましい。反応終了後、触媒は吸着剤を用いて吸着・ろ過し、除去する方法、中和して触媒を不活性化する方法等によって処理することができる。
一般式(2)の構造を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシポリアセトラクトンモノ(メタ)アクリレート(α−アセトラクトンを1〜25モル付加)、ヒドロキシポリプロピオラクトンモノ(メタ)アクリレート(β−プロピオラクトンを1〜25モル付加)、ヒドロキシポリブチロラクトンモノ(メタ)アクリレート(γ−ブチロラクトンを1〜25モル付加)、ヒドロキシポリバレロラクトンモノ(メタ)アクリレート(δ−バレロラクトンを1〜25モル付加)、ヒドロキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(ε−カプロラクトンを1〜25モル付加)である。このうち、ヒドロキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(ε−カプロラクトンを1〜25モル付加)が好ましく、ヒドロキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(ε−カプロラクトンを1〜20モル付加)がより好ましい。特には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートに上記ラクトンを1〜20モル付加して得られる(メタ)アクリレートが好ましい。
(E)成分は、上記(E1)成分及び(E2)成分由来の繰り返し単位に併せて、さらに(E3)下記(3)又は(4)で表されるアミノ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位をさらに有するのが好ましい。該アミノ基も吸着基として機能する。
CH=C(A)−COOR−N(B)(B) (3)
CH=C(A)−COOR−O−[C(=O)−RNH]−H (4)
(式中、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜10のアルキレン基であり、A及びAは各々メチル基又は水素原子であり、B及びBは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、nは1〜25の整数である)
一般式(3)で表される(メタ)アクリレートとしては、好ましくは炭素数1〜28の、より好ましくは炭素数1〜20の、さらに好ましくは炭素数1〜18のアルキレン鎖を有するアミノアルキル(メタ)アクリレートがよい。該アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート、アミノイソブチル(メタ)アクリレート、アミノペンチル(メタ)アクリレート、及びアミノヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
一般式(4)で表される(メタ)アクリレートは、上述した一般式(3)で表されるヒドロキシ(メタ)アクリレートに、ラクタムを開環反応させたものである。ラクタムは公知のものが使用でき、特に限定されない。たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを原料としてこれにラクタムを加熱反応させる。開環付加反応は公知の条件に従い行えばよい。例えば、反応温度は80〜150℃が好ましく、さらには100℃〜140℃が好ましい。反応時間は2〜24時間が好ましく、さらには3〜10時間が好ましい。開環付加反応は、触媒下で行われることが好ましく、テトラプロピルチタネート、オクタン酸第一スズ等を使用することができる。反応生成物量に対して触媒を0.01〜5質量%添加することが好ましい。反応終了後、触媒は吸着剤を用いて吸着・ろ過し、除去する方法、中和して触媒を不活性化する方法等によって処理することができる。
一般式(4)で表される(メタ)アクリレートとしては、例えば、アミノポリプロピオラクタムモノ(メタ)アクリレート(β−プロピオラクタムを1〜100モル付加)、アミノポリブチロラクタムモノ(メタ)アクリレート(γ−ブチロラクタムを1〜100モル付加)、アミノポリバレロラクタムモノ(メタ)アクリレート(δ−バレロラクタムを1〜100モル付加)、及びアミノポリカプロラクタムモノ(メタ)アクリレート(ε−カプロラクタムを1〜100モル付加)が挙げられる。特には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートに上記ラクタムを1〜100モル付加して得られる(メタ)アクリレートが好ましい。
上記(E3)成分由来の構成単位を有する場合の(E)前記共重合体における各構成単位の配合比率は特に制限されるものでないが、(E1)成分由来の繰り返し単位、(E2)成分由来の繰り返し単位、及び(E3)成分由来の繰り返し単位を、(E1):(E2):(E3)=90〜50:5〜45:5〜20の質量比(3つの比の合計は100である)であるのがよく、より好ましくは(E1):(E2):(E3)=85〜50:10〜40:5〜20の質量比(3つの比の合計は100である)で有するのがよい。
上記(E1)、(E2)及び(E3)成分の共重合は従来公知の方法に従えばよい。例えば、乳化重合、懸濁重合、溶液重合等が挙げられるが、溶液重合が好ましい。溶液重合の場合、重合が終了した系に更に溶媒を加えて製品化してもよく、溶媒の一部あるいは全部を除去して製品化してもよい。溶液重合の具体的な方法としては、例えば、溶媒にモノマー(E1)、モノマー(E2)及びモノマー(E3)を全体のモノマー分が5〜80質量%になるように反応器に仕込んだ後、80〜120℃程度に昇温し、モノマー全量に対して0.1〜10モル%の量の開始剤を一括あるいは分割して添加し、1〜20時間ほど攪拌して反応させればよい。
溶液重合に使用する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メトキシブタノール、エトキシブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油あるいはこれらを水素化精製、溶剤脱れき、溶剤抽出、溶剤脱ろう、水添脱ろう、接触脱ろう、水素化分解、アルカリ蒸留、硫酸洗浄、白土処理等の精製した精製鉱油等の鉱物油;ポリ−α−オレフィン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリフェニルエーテル、アルキル置換ジフェニルエーテル、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、ヒンダードエステル、モノエステル、GTL(Gas to Liquids)等の合成油及びこれらの混合物が挙げられる。
溶液重合に使用する開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス−(N,N−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、1,1’−アゾビス(シクロヘキシル−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化水素及び過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、過安息香酸等の有機過酸化物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素−Fe2+等のレドックス開始剤、その他既存のラジカル開始剤を使用してもよい。なお、本発明の潤滑油用極圧剤は特定の分子量でなければならないが、合成時における分子量の制御は公知の方法で制御すればよく、例えば、反応温度、開始剤の量、モノマーの仕込み方法、溶剤の種類、連鎖移動剤の使用等が挙げられる。
上述した通り、(E)共重合体の重量平均分子量は5,000〜100,000であり、5,000〜90,000が好ましく、10,000〜90,000がより好ましい。尚、本発明において共重合体の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、以下の条件で測定し、ポリスチレン換算により得られる。
装置:「HLC−802A」[東ソー(株)製]
カラム :「TSK gel GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.5重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:200μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
潤滑油組成物中における(E)成分の量は、潤滑油組成物の全質量に対し0.01〜30質量%であるのが好ましく、0.2〜25質量%であることがより好ましく、0.5〜15質量%であることがさらに好ましく、特には0.8〜5質量%であるのがよい。上記下限値よりも少ない場合には、初期の摩擦係数が高くなるおそれがある。上記上限値より多い場合には、動粘度が高くなりすぎて省燃費性を損なうおそれがある。
(F)モリブデンを有する摩擦調整剤
本発明の潤滑油組成物は、モリブデンを有する摩擦調整剤(以下、モリブデン系摩擦調整剤という)を含有する。モリブデン系摩擦調整剤は特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。モリブデン系摩擦調整剤とはモリブデンを有する化合物であり、例えば、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)およびモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等の硫黄を含有する有機モリブデン化合物、モリブデン化合物と硫黄含有有機化合物又はその他の有機化合物との錯体、ならびに硫化モリブデンおよび硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体等を挙げることができる。上記モリブデン化合物としては、例えば、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデン等の酸化モリブデン、オルトモリブデン酸、パラモリブデン酸および(ポリ)硫化モリブデン酸等のモリブデン酸、これらモリブデン酸の金属塩およびアンモニウム塩等のモリブデン酸塩、二硫化モリブデン、三硫化モリブデン、五硫化モリブデンおよびポリ硫化モリブデン等の硫化モリブデン、硫化モリブデン酸、硫化モリブデン酸の金属塩又はアミン塩、塩化モリブデン等のハロゲン化モリブデン等が挙げられる。上記硫黄含有有機化合物としては、例えば、アルキル(チオ)キサンテート、チアジアゾール、メルカプトチアジアゾール、チオカーボネート、テトラハイドロカルビルチウラムジスルフィド、ビス(ジ(チオ)ハイドロカルビルジチオホスホネート)ジスルフィド、有機(ポリ)サルファイドおよび硫化エステル等が挙げられる。特に、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)およびモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等の有機モリブデン化合物が好ましい。
モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)は下記式[I]で表される化合物であり、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)は下記[II]で表される化合物である。
Figure 2021025007
Figure 2021025007
上記一般式[I]および[II]において、R〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜30の一価炭化水素基である。炭化水素基は直鎖状でも分岐状でもよい。該一価炭化水素基としては、炭素数1〜30の直鎖状または分岐状アルキル基;炭素数2〜30のアルケニル基;炭素数4〜30のシクロアルキル基;炭素数6〜30のアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基等を挙げることができる。アリールアルキル基において、アルキル基の結合位置は任意である。より詳細には、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基およびオクタデシル基等、およびこれらの分岐状アルキル基を挙げることができ、特に炭素数3〜8のアルキル基が好ましい。また、XおよびXは酸素原子または硫黄原子であり、YおよびYは酸素原子または硫黄原子である。
摩擦調整剤として、硫黄を含まない有機モリブデン化合物も使用できる。このような化合物としては、例えば、モリブデン−アミン錯体、モリブデン−コハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、およびアルコールのモリブデン塩等が挙げられる。
さらに本発明における摩擦調整剤として、米国特許第5,906,968号に記載されている三核モリブデン化合物を用いることもできる。
摩擦調整剤は、潤滑油組成物の質量に対するモリブデンの質量ppmとしての濃度[Mo]が200〜1500質量ppm、好ましくは500〜1500質量ppm、より好ましくは600〜1200質量ppmの範囲となるような量で添加される。摩擦調整剤の量が上記上限を超えると、清浄性が悪化する場合があり、上記下限未満であると、摩擦を十分に低減することができなかったり、清浄性が悪化したりする場合がある。
なお、モリブデン含有量については、金属清浄剤としてマグネシウムを有する清浄剤を使用した場合に、下記のような一般式(9)を満たすことが好ましい。
[Mg]/[Mo]<2.5 (9)
ここで、[Mo]は潤滑油組成物の質量に対するモリブデンの質量ppmによる濃度である。
[Mg]/[Mo]の値は、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.8以下、さらにより好ましくは1.5以下である。[Mg]/[Mo]の下限値は好ましくは0.1、より好ましくは0.2、さらに好ましくは0.3である。
(G)粘度指数向上剤
本発明の潤滑油組成物においては、任意成分として粘度指数向上剤を使用することができる。
粘度指数向上剤として、例えば、ポリメタアクリレート、分散型ポリメタアクリレート、オレフィンコポリマー(ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重合体)、分散型オレフィンコポリマー、ポリアルキルスチレン、スチレン−ブタジエン水添共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、星状イソプレン等を含むものが挙げられる。さらに、少なくともポリオレフィンマクロマーに基づく繰返し単位と炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに基づく繰返し単位とを主鎖に含む櫛形ポリマーを用いることもできる。
粘度指数向上剤は通常、上記ポリマーと希釈油とから成る。
本発明の潤滑油組成物は、上述した通り、2つの好適な実施態様を有する。粘度指数向上剤の含有量についても、夫々の態様に応じて下記の通りの好適な態様を有する。
第1の好適な態様(SAE 0W−8)における粘度指数向上剤の量は、組成物全体の質量に対する該粘度指数向上剤に含まれるポリマー量として、好ましくは1.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下であるのがよい。下限値は制限されない。潤滑油組成物をより低粘度化するには粘度指数向上剤の含有量はできるだけ少ないことが好ましく、粘度指数向上剤を全く含まないこと(ポリマー量として0質量%)が最も好ましい。
第2の好適な態様(SAE 0W−16)における粘度指数向上剤の量は、組成物全体の質量に対する該粘度指数向上剤に含まれるポリマー量として、好ましくは0.01〜20質量%であり、より好ましくは0.02〜10質量%、最も好ましくは0.05〜5質量%である。粘度指数向上剤の含有量が上記下限値より少なくなると、粘度温度特性や低温粘度特性が悪化する恐れがある。一方、上記上限値よりも多くなると、粘度温度特性や低温粘度特性が悪化する恐れがあり、更には、製品コストが大幅に上昇する。
その他の添加剤
本発明の潤滑油組成物は、その性能を向上させるために、目的に応じてその他の添加剤をさらに含有することができる。その他の添加剤としては一般的に潤滑油組成物に使用されているものを使用できるが、例えば、酸化防止剤、上記以外の摩擦調整剤、腐食防止剤、防錆剤、流動点降下剤、抗乳化剤、金属不活性化剤および消泡剤等の添加剤等を挙げることができる。
上記酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。例えば、フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が、アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン等が挙げられる。酸化防止剤は、通常、潤滑油組成物中に0.1〜5質量%で配合される。
上記以外の摩擦調整剤としては、例えばエステル、アミン、アミドなどが挙げられる。上記摩擦調整剤は、通常、潤滑油組成物中に0.01〜3質量%で配合される。
上記腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系化合物等が挙げられる。上記防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。腐食防止剤及び防錆剤は、通常、潤滑油組成物中にそれぞれ0.01〜5質量%で配合される。
上記流動点降下剤としては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタクリレート系のポリマー等が使用できる。流動点降下剤は、通常、潤滑油組成物中に0.01〜3質量%で配される。
上記抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。抗乳化剤は、通常、潤滑油組成物中に0.01〜5質量%で配合される。
上記金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、β−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。金属不活性化剤は、通常、潤滑油組成物中に0.01〜3質量%で配合される。
上記消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000〜10万mm/sのシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。消泡剤は、通常、潤滑油組成物中に0.001〜1質量%で配合される。
潤滑油組成物
本発明の潤滑油組成物は、100℃での動粘度が4.0mm/s以上8.2mm/s未満の範囲であることを要する。これにより潤滑油組成物を低粘度化させることができる。
好ましい第1の態様としては、潤滑油組成物の100℃での動粘度は、4.0mm/s以上6.1mm/s未満であり、より好ましくは4.0mm/s以上5.8mm/s未満である。これにより、SAE0W-8の要件を満たす。
好ましい第2の態様としては、潤滑油組成物の100℃での動粘度は、6.1mm/s以上8.2mm/s未満であり、より好ましくは6.1mm/s以上8.0mm/s未満である。これにより、SAE0W-16の要件を満たす。
本発明の潤滑油組成物の−35℃でのCCS粘度は制限されないが、第1の態様及び第2の態様において、好ましくは6.2Pa・s以下、より好ましくは5.0Pa・s以下、更に好ましくは4.0Pa・s以下、最も好ましくは3.5Pa・s以下である。
本発明の潤滑油組成物の150℃での高温高せん断粘度(HTHS粘度)は制限されないが、1.3mPa・s以上であることが好ましく、1.3〜3.0mPa・sであることがさらに好ましい。
好ましい第1の態様においては、潤滑油組成物のHTHS粘度は、1.3〜2.9mPa・sであるのが好ましく、より好ましくは1.5〜2.8mPa・s、さらに好ましくは2.0〜2.6mPa・sである。特に、1.7mPa・s以上を満たした場合は、SAE 0W-8の要件を満たす。
好ましい第2の態様においては、潤滑油組成物のHTHS粘度は、2.3mPa・s以上であり、2.3〜3.0mPa・sであるのが好ましく、より好ましくは2.3〜2.9mPa・s、さらに好ましくは2.3〜2.8mPa・sである。これにより、SAE 0W-16の要件を満たす。
なお、本発明の潤滑油組成物は、モリブデンが含まれる場合は、潤滑油組成物中に含まれるモリブデン量と−35℃でのCCS粘度が、以下の式(10)を満たすことが好ましい。
[CCS粘度]/[Mo]≦0.01 (10)
([CCS粘度]は潤滑油組成物の−35℃におけるCCS粘度の値(Pa・s)を示し、[Mo]は潤滑油組成物の質量に対するモリブデンの質量ppmによる濃度を示す。)
[CCS粘度]/[Mo]の値は、より好ましくは0.008以下、さらに好ましくは0.005以下である。上記値が0.01を超えるとトルク低減率が小さくなったり、清浄性が悪化したりすることがある。[CCS粘度]/[Mo]の下限値は限定的でないが、好ましくは0.002、より好ましくは0.003である。
以下、本発明を、実施例及び比較例によってより詳細に示すが、本発明は下記実施例に限定されない。
実施例および比較例で使用した材料は以下の通りである。
(A)潤滑油基油
(A1)GTL由来基油(100℃での動粘度=3.9mm/s、VI=127)
(B)金属清浄剤
(B1)マグネシウムスルホネート(全塩基価400mgKOH/g、マグネシウム含有量9.4質量%)
(B2)カルシウムサリシレート(全塩基価146mgKOH/g、カルシウム含有量5.2質量%)
(C)ジアルキルチオリン酸亜鉛
(C1)ジアルキルジチオリン酸亜鉛1(下記式(4)で表されR及びRが共に炭素数8の第一級アルキル基である化合物)
Figure 2021025007
(C2)ジアルキルジチオリン酸亜鉛2(上記式(4)で表され、Rが炭素数4の第二級アルキル基であり、Rが炭素数6の第二級アルキル基である化合物)
(D)無灰分散剤
(D1)ホウ素化ポリイソブテニルコハク酸イミド
ホウ素化コハク酸イミド化合物(上記した式(b)で表され、Rがポリブテニルであり、 n=4〜12の混合物、ホウ素含有量0.7質量%、窒素含有量2質量%)
(D2)ポリイソブテニルコハク酸イミド
コハク酸イミド化合物(上記した式(b)で表され、Rがポリブテニルであり、n=4〜12の混合物、ホウ素含有量0.0質量%、窒素含有量1質量%)
(E)共重合体(有機高分子摩擦調整剤)
下記摩擦調整剤1〜6において、ヒドロキシル基含有アクリレートは、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)に、カプロラクトンを5モル付加したものである。ヒドロキシル基含有メタクリレートは、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)に、カプロラクトンを10モル付加したものである。アミノ基含有メタクリレートは、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートである。
摩擦調整剤1(E−1)
(E1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルメタクリレートに由来する単位、(E1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキルメタクリレートに由来する単位、及び(E2)ヒドロキシル基含有メタアクリレートに由来する単位に由来する単位を、質量比10:50:40で有する共重合体(重量平均分子量110,000)
なお、(E2)はヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)にε―カプロラクトンを5モル開環付加反応させて得られる化合物である。
摩擦調整剤2(E−2)
(E1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキルメタクリレートに由来する単位、及び(E2)ヒドロキシル基含有メタアクリレートに由来する単位、及び(E3)アミノ基含有メタアクリレートに由来する単位を、質量比52.5:40:7.5で有する共重合体(重量平均分子量20,000)
なお、(E2)はヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)にε―カプロラクトンを5モル開環付加反応させて得られる化合物であり、(E3)はN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートである。
摩擦調整剤3(E−3)
(E1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキルメタクリレートに由来する単位、及び(E2)ヒドロキシル基含有アクリレートに由来する単位、及び(E3)アミノ基含有メタアクリレートに由来する単位を、質量比52.5:40:7.5で有する共重合体(重量平均分子量110,000)
なお、(E2)はヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)にε―カプロラクトンを2モル開環付加反応させて得られる化合物であり、(E3)はN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートである。
摩擦調整剤4(E−4)
(E1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルメタクリレートに由来する単位、(E1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキルメタクリレートに由来する単位、(E2)ヒドロキシル基含有メタクリレートに由来する単位、及び(E3)アミノ基含有メタアクリレートに由来する単位を、質量比8:54.5:30:7.5で有する共重合体(重量平均分子量110,000)
なお、(E2)はヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)にε―カプロラクトンを2モル開環付加反応させて得られる化合物であり、(E3)はN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートである。
摩擦調整剤5(E−5)
(E1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルメタクリレートに由来する単位、(E1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキルメタクリレートに由来する単位、及び(E2)ヒドロキシル基含有メタクリレートに由来する単位を、質量比10:55:35で有する共重合体(重量平均分子量20,000)
なお、(E2)はヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)にε―カプロラクトンを5モル開環付加反応させて得られる化合物である。
摩擦調整剤6(E−6)
(E1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルメタクリレートに由来する単位、(E1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキルメタクリレートに由来する単位、(E2)ヒドロキシル基含有メタクリレートに由来する単位を、質量比10:50:40で有する共重合体(重量平均分子量110,000)
なお、(E2)はヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)にε―カプロラクトンを2モル開環付加反応させて得られる化合物である。
摩擦調整剤7(E−7)[比較用]
(E1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルメタクリレートに由来する単位、(E1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキルメタクリレートに由来する単位、及び(E2)ヒドロキシル基含有メタアクリレートに由来する単位に由来する単位を、質量比10:50:40で有する共重合体(重量平均分子量250,000)
なお、(E2)はヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)にε―カプロラクトンを5モル開環付加反応させて得られる化合物である。
(F)モリブデンを有する摩擦調整剤
(F1)モリブデンジチオフォスフェイト(MoDTP) (モリブデン含有量10質量%)
(F2)モリブデンジチオカーバメート(MoDTC) (モリブデン含有量10質量%)
(G)粘度指数向上剤
(G1)ポリメタクリレート(Mw=350,000)
その他の添加剤
酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)、消泡剤(ジメチルシリコーン)
[第一の好ましい態様]
実施例1〜14および比較例1〜3
表1又は2に示す量の各成分を混合して潤滑油組成物を調製した。表に記載の質量部は、潤滑油組成物の総量(100質量部)に対する質量部である。表に記載のマグネシウム系清浄剤、カルシウム系清浄剤、及びモリブデン系摩擦調整剤の量は、それぞれマグネシウム、カルシウム及びモリブデンの含有量に換算した潤滑油組成物の総量に対する質量ppm(順に[Mg]、[Ca]、及び[Mo])である。表に記載のB量とは、潤滑油組成物の総量に対するホウ素の質量ppmである。(C)摩耗防止剤は、潤滑油組成物の総量(100質量部)に対して合計1質量部を配合した。表に、該1質量部中の(C1)摩耗防止剤(第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛)と(C2)摩耗防止剤(第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛)の質量割合((C1)/(C2)(質量割合))を記載した。また、表に記載のP量とは潤滑油組成物の総量に対するリンの質量ppmである。
なお、マグネシウム系清浄剤とカルシウム系清浄剤の量は、これらの清浄剤に含まれるマグネシウムとカルシウムの合計モル量が全ての実施例および比較例においてなるべく同一であるようにした。
得られた組成物について、以下の試験を行った。結果を表3及び4に示す。
(1)−35℃でのCCS粘度(CCS粘度)
ASTM D5293に準拠して測定した。
(2)150℃での高温高せん断粘度(HTHS150)
ASTM D4683に準拠して測定した。
(3)100℃での動粘度(KV100)
ASTM D445に準拠し、100℃で測定した。
(4)摩擦係数
摩擦係数は以下の方法に従い測定された。
プレート試験片(材質:AISI 52100 steel)からなるPCS Instruments社製標準試験片と、相手となる直径0.75インチのボール試験片(材質:AISI 52100 steel)からなるPCS Instruments社製標準試験片を用いて、各潤滑油組成物についてボールオンディスク摩擦試験を行った。試験荷重37N、すべり率50%、油温60℃(一定)として、2時間のボールオンディスク摩擦試験を行い、試験開始直後の摩擦係数(初期)と、2時間経過時点の摩擦係数(後期)を測定し、本試験における摩擦係数とした。
(5)ホットチューブ試験(高温清浄性の評価)
内径2mmのガラス管中に、潤滑油組成物を0.3ミリリットル/時で、空気を10ミリリットル/秒で、ガラス管の温度を280℃に保ちながら16時間流し続けた。ガラス管中に付着したラッカーと色見本とを比較し、透明の場合は10点、黒の場合は0点として評点を付けた。評点が高いほど高温清浄性が良いことを示す。
Figure 2021025007
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Figure 2021025007
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[第2の好ましい態様]
実施例15〜27および比較例4〜6
表5ないし表7に示す量の各成分を混合して潤滑油組成物を調製した。表に記載の質量部は、潤滑油組成物の総量(100質量部)に対する質量部である。表に記載のマグネシウム系清浄剤、カルシウム系清浄剤、及びモリブデン系摩擦調整剤の量は、それぞれマグネシウム、カルシウム及びモリブデンの含有量に換算した潤滑油組成物の総量に対する質量ppm(順に[Mg]、[Ca]、及び[Mo])である。表に記載のB量とは、潤滑油組成物の総量に対するホウ素の質量ppmである。(C)摩耗防止剤は、潤滑油組成物の総量(100質量部)に対して合計1質量部を配合した。表に、該1質量部中の(C1)摩耗防止剤(第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛)と(C2)摩耗防止剤(第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛)の質量割合((C1)/(C2)(質量割合))を記載した。また、表に記載のP量とは潤滑油組成物の総量に対するリンの質量ppmである。
なお、マグネシウム系清浄剤とカルシウム系清浄剤の量は、これらの清浄剤に含まれるマグネシウムとカルシウムの合計モル量が全ての実施例および比較例においてなるべく同一であるようにした。
得られた組成物について、上記と同じ方法によりCCS粘度、HTHS、KV100、摩擦係数、及びHTTを行った。結果を表8及び9に示す。
Figure 2021025007
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上記表3及び4並びに表8及び9に示す通り、比較例の潤滑油組成物は初期または後期のいずれかにおいて摩擦係数が高くなっている。これに対し、本発明の潤滑油組成物は、第一の態様及び第二の態様のいずれにおいても、低粘度化しても、良好な摩耗防止性を確保しながら、初期から後期に至るまで摩擦を低減することができる。本発明の潤滑油組成物は、特に内燃機関用の潤滑油組成物、さらに過給ガソリンエンジン用の潤滑油組成物として好適に使用できる。

Claims (18)

  1. (A)潤滑油基油、
    (B)金属清浄剤、
    (C)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、
    (D)無灰分散剤、
    (E)下記(E1)成分に由来する単位と、下記(E2)成分に由来する単位とを有し、重量平均分子量5,000〜200,000であって、下記(E1)成分に由来する繰り返し単位及び下記(E2)成分に由来する繰り返し単位を、(E1):(E2)=95:5〜60:40の質量比で有する共重合体
    (E1)炭素数1〜30のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレート
    (E2)下記式(1)又は(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
    CH=C(A)−COOR−OH (1)
    CH=C(A)−COOR−O−[C(=O)−RO]−H (2)
    (式中、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜8のアルキレン基であり、A及びAは各々メチル基又は水素原子であり、nは1〜25の整数である)、及び
    (F)モリブデンを有する摩擦調整剤
    を含み、100℃における動粘度が4.0〜8.2mm/s未満であることを特徴とする、潤滑油組成物。
  2. 前記共重合体(E)が、(E3)下記式(3)又は(4)で表されるアミノ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位をさらに有する、請求項1記載の潤滑油組成物
    CH=C(A)−COOR−N(B)(B) (3)
    CH=C(A)−COOR−O−[C(=O)−RNH]−H (4)
    (式中、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜30のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜10のアルキレン基であり、A及びAは各々メチル基又は水素原子であり、B及びBは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、nは1〜25の整数である)。
  3. 前記共重合体(E)が、(E1)成分由来の繰り返し単位、(E2)成分由来の繰り返し単位、及び(E3)成分由来の繰り返し単位を、(E1):(E2):(E3)=90〜55:5〜40:5〜20の質量比で有する、請求項2記載の潤滑油組成物。
  4. 前記(E1)成分が、下記(E1−1)成分及び下記(E1−2)成分の組合せである、請求項1〜3のいずれか1項記載の潤滑油組成物
    (E1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレート
    (E1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレート。
  5. 前記(B)金属清浄剤が、マグネシウムを有する金属清浄剤であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  6. 前記(C)ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、(C1)第1級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を含み、かつ(C)成分の全質量に対する(C1)成分の割合が30質量%以上であることを特徴とする、請求項1〜5いずれか1項記載の潤滑油組成物。
  7. 潤滑油組成物全体の質量に対する前記(D)無灰分散剤由来のホウ素含有量が250質量ppm未満であることを特徴とする、請求項6記載の潤滑油組成物。
  8. 前記(F)モリブデンを有する摩擦調整剤の量が該潤滑油組成物全体の質量に対するモリブデンの質量ppm[Mo]として200〜1500質量ppmの範囲である、請求項6または7記載の潤滑油組成物。
  9. −35℃でのCCS粘度が6.2Pa・s以下である、請求項6〜8のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  10. 150℃での高温高せん断粘度(HTHS粘度)が1.3mPa・s〜2.9mPa・sである、請求項6〜9のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  11. 100℃における動粘度が4.0mm/s以上6.1mm/s未満である、請求項6〜10のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  12. 前記(C)ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、(C2)第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を含み、かつ(C)成分の全質量に対する(C2)成分の割合が30質量%以上であることを特徴とする、請求項1〜5いずれか1項記載の潤滑油組成物。
  13. 潤滑油組成物全体の質量に対する(D)無灰分散剤由来のホウ素含有量が100質量ppm以上400質量ppm以下であることを特徴とする、請求項12記載の潤滑油組成物。
  14. 前記(F)モリブデンを有する摩擦調整剤の量が該潤滑油組成物全体の質量に対するモリブデンの質量ppm[Mo]として200〜1500質量ppmの範囲である、請求項12又は13記載の潤滑油組成物。
  15. −35℃でのCCS粘度が6.2Pa・s以下である、請求項12〜14のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  16. 150℃での高温高せん断粘度(HTHS粘度)が2.3mPa・s以上である、請求項12〜15のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  17. 100℃における動粘度が6.1mm/s以上8.2mm/s未満である、請求項12〜16のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  18. 内燃機関用である、請求項1〜17のいずれか1項記載の潤滑油組成物。


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