JP5047877B2 - 変性ポリカーボネート/脂肪酸ポリエステル系樹脂組成物 - Google Patents
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一方、ポリカーボネートは、耐衝撃性等の機械的特性に優れ、耐熱性及び透明性に優れているため、電気、電子、OA機器、機械、自動車等の様々な分野で用いられているが、原料が石油由来であり、また、生産の際に二酸化炭素を多く排出するため、環境への負荷が大きな課題となっている。
そこで、これまで、環境負荷の低減をしながら、機械的特性、耐熱性及び透明性にも優れた製品を製造するために、ポリ乳酸等の脂肪酸ポリエステルを芳香族ポリカーボネートとアロイ化する試みがなされてきた(例えば特許文献1〜3参照)。
[1](A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を含む変性ポリカーボネート99〜1質量%、(B)脂肪酸ポリエステル1〜99質量%及び(C)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を含まないポリカーボネート0〜98質量%を含有する樹脂組成物、
[2](B)脂肪酸ポリエステルの配合量が20〜70質量%である、上記[1]に記載の樹脂組成物、
[3]さらに、成分(A)〜(C)の合計量100質量部に対して、(D)カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物及びオキサゾリン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を0.01〜10質量部含有する、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物、
[4]上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体、
を提供するものである。
(A)上記一般式(I)で表される繰り返し単位を含む変性ポリカーボネート[以下、成分(A)と略記することがある。]99〜1質量%、
(B)脂肪酸ポリエステル[以下、成分(B)と略記することがある。]1〜99質量%、及び
(C)上記一般式(I)で表される繰り返し単位を含まないポリカーボネート[以下、成分(C)と略記することがある。]0〜98質量%、
を含有する樹脂組成物である。
成分(A)は、下記一般式(I)
で表される繰り返し単位を含む変性ポリカーボネートである。
R1及びR2が示す環形成炭素数6〜14のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。
また、R1及びR2が示すハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。これらの中でもフッ素原子が好ましい。
m及びm'は、上記の通り、それぞれ独立して0〜4の整数を示し、いずれも0〜2の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。
n及びn'は、上記の通り、それぞれ独立して1〜3の整数を示し、耐衝撃性等の機械特性及び成形体の外観の観点からは、いずれも3であることが好ましい。
樹脂組成物に後述の成分(C)を含有させる場合、成分(A)中の上記一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量は100モル%ではないことが好ましい。その場合、該繰り返し単位とその他の繰り返し単位の結合関係は、ブロックであってもランダムであってもよいが、ブロックであることが好ましい。一方、樹脂組成物に後述の成分(C)を含有させない場合は、成分(A)中の上記一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中の100モル%であるか、そうでなければ、繰り返し単位の結合関係はランダムとなっていることが好ましい。ここで、その他の繰り返し単位としては、後述する成分(C)が有する繰り返し単位と同じであることが好ましく、下記式(a)
なお、成分(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
[η]=1.23×10-4Mv0.83
で示される化合物が必須であり、その他に、例えば4,4'−ジヒドロキシビフェニル;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(ヒドロキシアリール)エーテル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等のビス(ヒドロキシアリール)スルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のビス(ヒドロキシアリール)スルホン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等のビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等のビス(ヒドロキシアリール)ケトン類;ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等を併用することができる。
本発明においては、上記一般式(I')で示される化合物とビス(ヒドロキシアリール)アルカン類を併用することが好ましく、上記一般式(I')で示される化合物と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、BPAと称する。)を併用することがより好ましい。また、上記一般式(I')で表される化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(以下、BPAFと称する。)が好ましい。
ホスゲンまたはホスゲン誘導体としては、ホスゲンをはじめ、トリホスゲン、ブロモホスゲン、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2−シアノフェニル)カーボネート、クロロギ酸トリクロロメチル等が挙げられる。
また、反応の際に分岐剤を一緒に使用してもよく、かかる分岐剤としては、例えば1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α',α''−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等を用いることができる。
また、分子量調節剤として、フェノールやp−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール等を併せて使用することもできる。
なお、テレフタル酸等の二官能性カルボン酸やそのエステル形成誘導体等のエステル前駆体の共存下に反応を行なってもよい。
(i)まず、予め、上記一般式(I')で表される化合物又はそれ以外の二価フェノールと、ホスゲン又はホスゲン誘導体とを反応させることにより、一般式(I)の繰り返し単位からなる変性ポリカーボネートオリゴマー又はその他の繰り返し単位からなるポリカーボネートオリゴマーのいずれかを製造しておく。これらのオリゴマーを塩化メチレン等の不活性有機溶剤に溶解した溶液と、上記一般式(I')で表される化合物又はそれ以外の二価フェノールを1:99〜99:1の割合で含有するアルカリ水溶液と混合することによって反応させる方法、及び
(ii)上記一般式(I')で表される化合物又はそれ以外の二価フェノールを1:99〜99:1の割合で含有するアルカリ水溶液と、塩化メチレン等の不活性有機溶剤との混合液に、ホスゲンまたはホスゲン誘導体を導入することにより反応させる方法等が挙げられる。
これらの中では、(i)の方法が好ましい。
前記ホスゲンまたはホスゲン誘導体としては、ホスゲンをはじめトリホスゲン,ブロモホスゲン,ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カーボネート,ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート,ビス(2−シアノフェニル)カーボネート,クロロギ酸トリクロロメチル等が挙げられる。
脂肪酸ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共重合体等を挙げることができる。これらの中でもポリ乳酸が最も好ましい。該ポリ乳酸としては、合成乳酸から得られたものも用いることができる。
該ポリ乳酸の原料である乳酸としては、L型、D型、ラセミ型のいずれを用いてもよく、化学合成法及び発酵合成法のいずれの方法で得られた物を用いることができるが、バイオリサイクルの観点から、環境負荷因子の少ないトウモロコシ等の澱粉を乳酸発酵させて得られたものが好ましく用いられる。
本発明で用いられる(B)成分のポリ乳酸の製造方法に特に制限はなく、例えば、前記乳酸を原料とし、(1)環化反応によって得られたラクチドを開環重合させてポリマーを得る二段階プロセス、及び(2)乳酸を直接重合させてポリマーを得る一段階プロセス、等が挙げられる。
上記(1)の二段階プロセスでは、以下に示す化学反応式に従って、高分子量のポリ乳酸を得ることができる。
まず、乳酸(II)を自己縮合重合反応させて、低分子量のポリ乳酸(III)を得た後、この低分子量のポリ乳酸(III)を解重合して、環状ジエステルであるラクチド(IV)を得る。次いで、該ラクチド(IV)を開環重合させることにより、高分子量のポリ乳酸(V)が得られる。
ポリ乳酸の重量平均分子量は、通常、10万〜25万、好ましくは13万〜20万の範囲である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー製 HLC8120GPC)、検出器:示差屈折率計(RI)]により単分散ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を基準として、各重合体のPMMA換算で出した値である。また、融点は、通常、130〜160℃が好ましく、ガラス転移温度は、通常、50〜60℃が好ましい。
成分(B)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物には、前記成分(A)及び(B)以外に、必要に応じてポリカーボネートを成分(C)として配合してもよい。
成分(C)のポリカーボネートとしては、成分(A)以外のポリカーボネートであれば特に制限は無く、種々の構造単位を有するポリカーボネートが挙げられる。二価フェノールとカーボネート前駆体との、通常の界面重縮合法又は溶融法(好ましくは界面重縮合法)により製造できるポリカーボネートを使用することができる。
また、カーボネート前駆体としては、成分(A)の説明で記載したカーボネート前駆体が挙げられる。
また、成分(C)のポリカーボネートは、その重合体鎖の分子構造が直鎖構造であるもののほか、分岐構造を有していてもよい。このような分岐構造を導入するための分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α',α''−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等を用いて得たポリカーボネートであってもよい。
また、分子量調節剤として、フェノールやp−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール等を用いて得たポリカーボネートでもよい。
また、テレフタル酸等の二官能性カルボン酸やそのエステル形成誘導体等のエステル前駆体の存在下にポリカーボネートの重合反応を行うことによって得られる、ポリエステル−ポリカーボネートであってもよい。
更に、種々の構造単位を有するポリカーボネートを溶融混練して得られる樹脂組成物を用いることもできる。
本発明の樹脂組成物には、脂肪酸ポリエステルの安定化剤として、さらに前記成分(A)〜(C)の合計量100質量部に対して、成分(D)として、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物及びオキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも一種を0.01〜10質量部(好ましくは0.1〜10質量部)配合することができる。成分(D)としては、カルボジイミド化合物、あるいはカルボジイミド化合物及びエポキシ化合物が好ましい。
成分(D)の配合量を、上記範囲とすることにより、各成分の相溶化を促進しつつ、成分(B)を安定化することが可能である。
カルボジイミド化合物の製造方法としては、例えば、触媒として、O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)ホスホロチオエート、O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル)ホスホロチオエート、O,O−ジエチル−O−2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イルホスホロチオエート等の有機リン系化合物、又は、例えばロジウム錯体、チタン錯体、タングステン錯体、パラジウム錯体等の有機金属化合物等を用い、各種ポリイソシアネート化合物を約70℃以上の温度で、無溶媒又は不活性溶媒(例えば、ヘキサン、ベンゼン、ジオキサン、クロロホルム等)中で脱炭酸重縮合させることにより製造する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、前述の必須成分及び任意成分と共に、熱可塑性樹脂に常用されている添加剤成分を必要により添加含有させることができる。添加剤成分としては、例えば、可塑剤、安定剤、無機充填剤、難燃剤、シリコーン系化合物、フッ素樹脂等が挙げられる。
添加剤成分の配合量は、本発明の樹脂組成物の特性が維持される範囲であれば特に制限はない。
本発明の樹脂組成物は、前述の各配合割合で、さらにはその他の成分や添加剤を任意の割合で配合し、溶融混練することにより得られる。この際の配合および混練は、例えば、通常用いられている機器(例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラー等)で予備混合してから、ヘンシェルミキサー(商品名)、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等を用いて混練する方法が挙げられる。混練の際の加熱温度は、通常、200〜320℃であり、好ましくは220〜280℃の範囲で適宜選択される。
以上のようにして得られる本発明の樹脂組成物は、一般に以下に示す物性を有している。
当該樹脂組成物の成形体(厚さ3.2mm)について、ASTM D256に準拠して測定される、23℃におけるノッチ付Izod衝撃強度は、8kJ/m2以上、より詳細には8〜14kJ/m2であり、高い耐衝撃強度を有している。
当該樹脂組成物の成形体について、JIS K 7207に準拠して測定される、荷重1.8MPa及び昇温速度120℃/時の条件での荷重撓み温度は、65℃以上、より詳細には65〜105℃であり、実用に耐える耐熱性を有している。
また、当該樹脂組成物の成形体は、肉眼での確認によると、真珠光沢等が無く、外観に優れている。
[η]=1.23×10-4Mv0.83
(1)ノッチ付Izod衝撃強度(耐衝撃性)
厚さ3.2mmの樹脂組成物の成形体について、ASTM D256に準拠して、23℃におけるノッチ付Izod衝撃強度を測定した。
(2)荷重撓み温度(耐熱性)
樹脂組成物のペレットを用いて、JIS K 7207に準拠して、荷重1.8MPa及び昇温速度120℃/時の条件での荷重撓み温度を測定した。
(3)外観
樹脂組成物の成形体を目視により確認した。
○・・・フローマーク・真珠光沢等の外観不良が見られない。
×・・・成形体に全体的に外観不良が見られる。
(i)ポリカーボネートオリゴマーの合成工程
濃度5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に、後で使用する下記式(1)の化合物[以下、BPAFと称する。]合計量に対して0.2質量%の亜二チオン酸ナトリウムを加え、ここにBPAF濃度が13.5質量%になるように溶解し、モノマーの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。内径6mm、管径30mの管型反応器に、上記モノマーの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr及び塩化メチレンを35L/hrの流量で連続的に通すと共に、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器から送出された反応液を静置した後、水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマー溶液は、オリゴマー濃度200g/L、クロロホーメート基濃度0.73mol/Lだった。
(ii)ポリカーボネートの重合工程
邪魔板及びパドル型撹拌翼を備えた内容積1Lの槽型反応器に、上記オリゴマー溶液174ml、塩化メチレン51ml、BPAFのクロロホルム溶液(BPAF8.61gをクロロホルム62mlに溶かしたもの)を仕込み、トリエチルアミン35.4μl、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH3.36gを水49.2mlに溶解した水溶液)を加え、20分間ポリカーボネートオリゴマーとBPAFの反応を行った。
この重合液に、PTBPの塩化メチレン溶液(塩化メチレン40mlにPTBP1.36g溶解させたもの)と、BPAFの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH5.76gと後に溶解するBPAに対して2000ppmの亜二チオン酸ナトリウムを水84.2mlに溶解した水溶液にBPAF 10.33gを溶解させたもの)を添加し40分間重合反応を実施した。
希釈のために塩化メチレン200mlを加えた後、ポリカーボネートを含む有機相と過剰のBPAF及びNaOHを含む水相に分離し、有機相を単離した。得られたポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を、その溶液に対して15容量%の0.03mol/L・NaOH水溶液と0.2mol/L塩酸で順次洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.05μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。洗浄により得られたポリカーボネート共重合体の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下、100℃で乾燥し、変性ポリカーボネートを得た。粘度平均分子量は18,500であった。
製造例1のポリカーボネートオリゴマーの合成工程と同様にしてポリカーボネートオリゴマー溶液を調製した。また、製造例1のポリカーボネートオリゴマーの合成工程において、BPAFの代わりに下記式(2)の化合物[以下、BPAと称する。]を用いてポリカーボネートオリゴマー溶液を調製した。その後、両者のポリカーボネートオリゴマー溶液を混合することにより、変性ポリカーボネート共重合体を製造した。NMRよりBPAFとBPAの単位のモル分率は30:70、粘度平均分子量は17,500であった。
(i)ポリカーボネートオリゴマーの合成工程
濃度5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に、後で使用する上記式(2)のBPA及び上記式(1)のBPAF合計量に対して0.2質量%の亜二チオン酸ナトリウムを加え、ここにBPA:BPAF=75:25(モル比)でBPA及びBPAF合計濃度が13.5質量%になるように溶解し、モノマーの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。内径6mm、管径30mの管型反応器に、上記モノマーの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr及び塩化メチレンを35L/hrの流量で連続的に通すと共に、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器から送出された反応液を静置した後、水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマー溶液は、オリゴマー濃度200g/L、クロロホーメート基濃度0.73mol/L、BPAF含有量は25mol%だった。
(ii)ポリカーボネートの重合工程
邪魔板及びパドル型撹拌翼を備えた内容積1Lの槽型反応器に、上記オリゴマー溶液174ml、塩化メチレン51ml、BPAFのクロロホルム溶液(BPAF8.61gをクロロホルム62mlに溶かしたもの)を仕込み、トリエチルアミン35.4μl、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH3.36gを水49.2mlに溶解した水溶液)を加え、20分間ポリカーボネートオリゴマーとBPAFの反応を行った。
この重合液に、PTBPの塩化メチレン溶液(塩化メチレン40mlにPTBP1.36g溶解させたもの)と、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH5.76gと後に溶解するBPAに対して2000ppmの亜二チオン酸ナトリウムを水84.2mlに溶解した水溶液にBPA 6.97gを溶解させたもの)を添加し40分間重合反応を実施した。
希釈のために塩化メチレン200mlを加えた後、ポリカーボネートを含む有機相と過剰のBPA及びNaOHを含む水相に分離し、有機相を単離した。得られたポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を、その溶液に対して15容量%の0.03mol/L・NaOH水溶液と0.2mol/L塩酸で順次洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.05μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。洗浄により得られたポリカーボネート共重合体の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下、100℃で乾燥し、変性ポリカーボネート共重合体を得た。13C−NMR、1H−NMRにより求めたBPAFに由来する繰返し単位とBPAに由来する繰返し単位のモル比は30:70であった。粘度平均分子量は18,500であった。
製造例3において、上記式(1)のBPAFの代わりに下記式(3)の化合物(以下、BPFと称する。)を用い、製造例3に準じてポリカーボネート共重合体を製造した。BPFに由来する繰返し単位とBPAに由来する繰返し単位のモル比は30:70であった。粘度平均分子量は15,200であった。
各配合成分を、表1及び2に示す配合割合[成分(A)〜(C)それぞれは、それら合計量に対する比率(質量%)で示しており、一方、成分(D)は、成分(A)〜(C)の合計100質量部に対する量(質量部)で示している。]にて、タンブラーを用いて均一にブレンドした後、二軸スクリュー混練機(260℃)で混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、射出成形機(260℃)で成形し、所定の試験片を得た。この試験片を用いて性能評価を行った。その結果を表1及び2に示す。
*2:製造例2により得られた変性ポリカーボネート共重合体
*3:製造例3により得られた変性ポリカーボネート共重合体
*4:ポリ乳酸、商品名:LACEA H−100、三井化学株式会社製
*5:芳香族ポリカーボネート(商品名:「タフロン(登録商標)A1900」、出光興産株式会社製、粘度平均分子量19,000)
*6:製造例4により得られたポリカーボネート共重合体
*7:ビスフェノールAエポキシ樹脂(商品名:エピクロンAM−040−P、DIC株式会社製)
*8:ジシクロヘキシルカルボジイミド(商品名:カルボジライトLA−1、日清紡績株式会社製)
*9:ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業株式会社製)
*10:オキサゾリン基含有反応性ポリスチレン(商品名:「エポクロス(登録商標)RPS−1005」、株式会社日本触媒製)
一方、比較例1〜3の結果より、本発明の変性ポリカーボネートを使用せず、それ以外のポリカーボネートを使用した場合、真珠光沢を有して外観が悪く、非常に耐衝撃性が低いことが判る。しかし、実施例7〜9のように、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を含む変性ポリカーボネート共重合体を含有させることで、耐衝撃性と外観が大幅に改善された。
比較例4より、ポリ乳酸のみでは、耐衝撃性及び耐熱性に乏しかった。比較例5のように、ポリ乳酸と前記一般式(I)で表される繰り返し単位を含まないポリカーボネート共重合体を混合したが、耐熱性が改善されるのみで、耐衝撃性及び外観は改善されなかった。
Claims (4)
- (B)脂肪酸ポリエステルの配合量が20〜70質量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- さらに、成分(A)〜(C)の合計量100質量部に対して、(D)カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物及びオキサゾリン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を0.01〜10質量部含有する、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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