JP6605966B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐衝撃性、耐薬品性および難燃性に優れるポリカーボネート樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、ポリカーボネートとポリアリーレンスルフィドを主成分とし、衝撃改質剤および金属塩系化合物を含有し、耐衝撃性、耐薬品性および難燃性に優れるポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は優れた耐衝撃性を有しているため、エンジニアリングプラスチックとしてOA機器分野、自動車分野など様々な分野において幅広く使用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は非晶樹脂であることから、特に耐薬品性に難点をもつ。一方、ポリアリーレンスルフィド樹脂は耐薬品性、難燃性などに優れた性質を有しており、電子部品や自動車分野など様々な分野において幅広く使用されている。しかしながら、ポリアリーレンスルフィド樹脂は脆く、特に耐衝撃性に難点をもつ。
ポリカーボネート樹脂の耐薬品性およびポリアリーレンスルフィド樹脂の耐衝撃性をそれぞれ改良するために、ポリカーボネート樹脂とポリアリーレンスルフィド樹脂とを溶融ブレンドした樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、ポリカーボネート樹脂とポリアリーレンスルフィド樹脂を単純に配合するのみでは互いの相溶性が悪く、特に耐衝撃性が大幅に低下し、実用化に乏しい状態にある。そこで、ポリカーボネート樹脂とポリアリーレンスルフィド樹脂の相溶性を高めるために、末端カルボキシル化ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いる方法(特許文献2参照)や、相溶化剤としてエポキシ基やグリシジル基などを含有する熱可塑性エラストマーを添加する方法(特許文献3〜5参照)が提案されている。しかしながら、いずれの樹脂組成物も、ポリカーボネート樹脂とポリアリーレンスルフィド樹脂との相溶性が未だ不十分であるため耐衝撃性が低下することや、相溶化剤を多く添加することでポリアリーレンスルフィドの特徴である難燃性が悪化するなどの問題があり、これまで耐衝撃性、耐薬品性、難燃性を高い次元で満足するポリカーボネート樹脂組成物は得られていないのが現状である。
特開昭51−59952号公報 特許第2707714号公報 特開昭59−155461号公報 特開平4−18447号公報 特開平7−316313号公報
本発明は、耐衝撃性、耐薬品性および難燃性に優れたポリカーボネート樹脂組成物およびそれから得られる樹脂成形品を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂、反応性官能基を含有するポリアリーレンスルフィド樹脂および反応性官能基を含有する衝撃改質剤よりなる樹脂組成物に、金属塩系化合物を添加することにより、耐衝撃性、耐薬品性および難燃性を高い次元で満足するポリカーボネート樹脂組成物を得られることを見出し、本発明に至った。
具体的には、上記課題は、(1)(A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A1成分)0〜100重量部およびポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(A2成分)0〜100重量部からなるポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)グリシジル基およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と反応する官能基を末端に有するポリアリーレンスルフィド樹脂(B成分)10〜80重量部、(C)グリシジル基およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含有する衝撃改質剤(C成分)1〜15重量部および(D)金属塩系化合物(D成分)0.005〜1重量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物により達成される。
本発明の好適な態様の1つは、(2)B成分が、FT−IR分光法のFT−IRスペクトルにて1600cm−1〜1800cm−1の間にカルボキシル基由来の吸収ピークを有するポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする上記構成1に記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明の好適な態様の1つは、(3)A成分が、A1成分0〜90重量およびA2成分10〜100重量部からなることを特徴とする上記構成1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
以下、本発明の詳細について説明する。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1成分)0〜100重量部およびポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(A2成分)0〜100重量部からなるポリカーボネート樹脂であり、A1成分が0〜90重量部、A2成分が10〜100重量部であることが好ましい。
(A1成分:芳香族ポリカーボネート樹脂)
本発明において使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでも耐衝撃性の点からビスフェノールAが特に好ましく、汎用されている。
本発明では、汎用のポリカーボネートであるビスフェノールA系のポリカーボネート以外にも、他の2価フェノール類を用いて製造した特殊なポリカーボネ−トをA成分として使用することが可能である。
例えば、2価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
殊に、高剛性かつより良好な耐加水分解性が要求される場合には、樹脂組成物を構成するA1成分が次の(1)〜(3)の共重合ポリカーボネートであるのが特に好適である。
(1)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊なポリカーボネートは、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型のポリカーボネートと混合して使用することもできる。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
なお、上述した各種のポリカーボネートの中でも、共重合組成等を調整して、吸水率及びTg(ガラス転移温度)を下記の範囲内にしたものは、ポリマー自体の耐加水分解性が良好で、かつ成形後の低反り性においても格段に優れているため、形態安定性が要求される分野では特に好適である。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃であるポリカーボネート、あるいは
(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%であるポリカーボネート。
ここで、ポリカーボネートの吸水率は、直径45mm、厚み3.0mmの円板状試験片を用い、ISO62−1980に準拠して23℃の水中に24時間浸漬した後の水分率を測定した値である。また、Tg(ガラス転移温度)は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる値である。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
前記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によって芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環式を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環式を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。また、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
分岐ポリカーボネート樹脂は、本発明の樹脂組成物に、ドリップ防止性能などを付与できる。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
分岐ポリカーボネートにおける多官能性芳香族化合物から誘導される構成単位は、2価フェノールから誘導される構成単位とかかる多官能性芳香族化合物から誘導される構成単位との合計100モル%中、好ましくは0.01〜1モル%、より好ましくは0.05〜0.9モル%、さらに好ましくは0.05〜0.8モル%である。
また、特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造単位が生ずる場合があるが、かかる分岐構造単位量についても、2価フェノールから誘導される構成単位との合計100モル%中、好ましくは0.001〜1モル%、より好ましくは0.005〜0.9モル%、さらに好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。なお、かかる分岐構造の割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸などの直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。二官能性アルコールとしては脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、およびトリシクロデカンジメタノールなどが例示される。
本発明のポリカーボネート系樹脂の製造方法である界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマー固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などの反応形式は、各種の文献および特許公報などで良く知られている方法である。
本発明の樹脂組成物を製造するにあたり、ポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量(M)は、特に限定されないが、好ましくは1×10〜5×10であり、より好ましくは1.4×10〜3×10、さらに好ましくは1.4×10〜2.4×10である。
粘度平均分子量が1×10未満のポリカーボネート系樹脂では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が5×10を超える芳香族ポリカーボネート樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
なお、前記ポリカーボネート系樹脂は、その粘度平均分子量が前記範囲外のものを混合して得られたものであってもよい。殊に、前記範囲(5×10)を超える粘度平均分子量を有するポリカーボネート系樹脂は、樹脂のエントロピー弾性が向上する。その結果、樹脂材料を構造部材に成形する際に使用されることのあるガスアシスト成形、および発泡成形において、良好な成形加工性を発現する。かかる成形加工性の改善は前記分岐ポリカーボネートよりもさらに良好である。より好適な態様としては、A1成分が粘度平均分子量7×10〜3×10のポリカーボネート系樹脂A1−1−1−1成分)、および粘度平均分子量1×10〜3×10の芳香族ポリカーボネート樹脂(A1−1−1−2成分)からなり、その粘度平均分子量が1.6×10〜3.5×10であるポリカーボネート系樹脂(A1−1−1成分)(以下、“高分子量成分含有ポリカーボネート系樹脂”と称することがある)も使用できる。
かかる高分子量成分含有ポリカーボネート系樹脂(A1−1−1成分)において、A1−1−1−1成分の分子量は7×10〜2×10が好ましく、より好ましくは8×10〜2×10、さらに好ましくは1×10〜2×10、特に好ましくは1×10〜1.6×10である。またA−1−1−2成分の分子量は1×10〜2.5×10が好ましく、より好ましくは1.1×10〜2.4×10、さらに好ましくは1.2×10〜2.4×10、特に好ましくは1.2×10〜2.3×10である。
高分子量成分含有ポリカーボネート系樹脂(A1−1−1成分)は前記A1−1−1−1成分とA1−1−1−2成分を種々の割合で混合し、所定の分子量範囲を満足するよう調整して得ることができる。好ましくは、A1−1−1成分100重量%中、A1−1−1−1成分が2〜40重量%の場合であり、より好ましくはA1−1−1−1成分が3〜30重量%であり、さらに好ましくはA1−1−1−1成分が4〜20重量%であり、特に好ましくはA1−1−1−1成分が5〜20重量%である。
また、A1−1−1成分の調製方法としては、(1)A1−1−1−1成分とA1−1−1−2成分とを、それぞれ独立に重合しこれらを混合する方法、(2)特開平5−306336号公報に示される方法に代表される、GPC法による分子量分布チャートにおいて複数のポリマーピークを示す芳香族ポリカーボネート樹脂を同一系内において製造する方法を用い、かかる芳香族ポリカーボネート樹脂を本発明のA1−1−1成分の条件を満足するよう製造する方法、および(3)かかる製造方法((2)の製造法)により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂と、別途製造されたA1−1−1−1成分および/またはA1−1−1−2成分とを混合する方法などを挙げることができる。
本発明でいう粘度平均分子量は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
尚、本発明の透明難燃性樹脂組成物におけるポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量の算出は次の要領で行なわれる。すなわち、該組成物を、その20〜30倍重量の塩化メチレンと混合し、組成物中の可溶分を溶解させる。かかる可溶分をセライト濾過により採取する。その後得られた溶液中の溶媒を除去する。溶媒除去後の固体を十分に乾燥し、塩化メチレンに溶解する成分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、上記と同様にして20℃における比粘度を求め、該比粘度から上記と同様にして粘度平均分子量Mを算出する。
(A2成分:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂)
本発明のA2成分として使用されるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂は、下記一般式(1)で表される二価フェノールおよび下記一般式(3)で表されるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンを共重合させることにより調製される共重合樹脂であることが好ましい。
Figure 0006605966
[上記一般式(1)において、R及びRは夫々独立してハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜14のアリール基、炭素原子数3〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、e及びfは夫々1〜4の整数であり、Wは単結合もしくは下記一般式(2)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。]
Figure 0006605966
[上記一般式(2)においてR11,R12,R13,R14,R15,R16,R17及びR18は夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数3〜14のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表し、R19及びR20は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜14のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、gは1〜10の整数、hは4〜7の整数である。]
Figure 0006605966
[上記一般式(3)において、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、R及びR10は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であり、pは自然数であり、qは0又は自然数であり、p+qは10〜60の自然数である。Xは炭素原子数2〜8の二価脂肪族基である。]
一般式(1)で表される二価フェノール(I)としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、および1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等が挙げられる。
なかでも、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、および1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼンが好ましく、殊に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ)、4,4’−スルホニルジフェノール、および9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(3)で表されるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)としては、例えば下記に示すような化合物が好適に用いられる。
Figure 0006605966
ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)は、オレフィン性の不飽和炭素−炭素結合を有するフェノール類、好適にはビニルフェノール、2−アリルフェノール、イソプロペニルフェノール、2−メトキシ−4−アリルフェノールを所定の重合度を有するポリシロキサン鎖の末端に、ハイドロシリレーション反応させることにより容易に製造される。なかでも、(2−アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサン、(2−メトキシ−4−アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサンが好ましく、殊に(2−アリルフェノール)末端ポリジメチルシロキサン、および(2−メトキシ−4−アリルフェノール)末端ポリジメチルシロキサンが好ましい。
また、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)のジオルガノシロキサン重合度(p+q)は10〜60の自然数である。60を超えると、ポリジオルガノシロキサン単位のポリカーボネート中への組み込みが不均等になるとともに、ポリマー分子中のポリジオルガノシロキサン単位の割合が増加するため、該単位を含むポリカーボネートと、含まないポリカーボネートとが生じやすく、かつ相互の相溶性が低下しやすくなる。その結果としてポリジオルガノシロキサンドメインの分散が不均一になり、透明性を失い、外観不良が発生しやすくなるだけでなく、十分な難燃性が得られない。かかるジオルガノシロキサン重合度(p+q)は好ましくは12〜58、より好ましくは15〜55、さらに好ましくは20〜50である。かかる範囲の下限以下では、十分な難燃性が得られず、また、ポリジオルガノシロキサンドメイン径が小さく、十分な耐衝撃性が発現しない。なお、本発明においてポリジオルガノシロキサンドメインとは、ポリカーボネートのマトリックス中に分散したポリジオルガノシロキサンを主成分とするドメインをいい、他の成分を含んでもよい。上述の如く、ポリジオルガノシロキサンドメインは、マトリックスたるポリカーボネートとの相分離により構造が形成されることから、必ずしも単一の成分から構成されない。
共重合樹脂全重量に占めるポリジオルガノシロキサン含有量は0.5〜30重量%が好ましい。かかるポリジオルガノシロキサン成分含有量はより好ましくは0.7〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。かかる好適な範囲の下限以上では、耐衝撃性や難燃性に優れ、かかる好適な範囲の上限以下では、成形条件の影響を受けにくい安定した外観が得られやすい。かかるポリジオルガノシロキサン重合度、ポリジオルガノシロキサン含有量は、H−NMR測定により算出することが可能である。
本発明において、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、本発明の製造方法の妨げにならない範囲で、上記二価フェノール(I)、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)以外の他のコモノマーを共重合体の全重量に対して10重量%以下の範囲で併用することもできる。
本発明においては、あらかじめ水に不溶性の有機溶媒とアルカリ水溶液との混合液中において、二価フェノール(I)と、ホスゲンや二価フェノール(I)のクロロホルメート等のクロロホルメート形成性化合物との反応により、二価フェノール(I)のクロロホルメートおよび/または末端クロロホルメート基を有する二価フェノール(I)のカーボネートオリゴマーを含むクロロホルメート化合物の混合溶液を調製する。クロロホルメート形成性化合物としてはホスゲンが好適である。
二価フェノール(I)からのクロロホルメート化合物を生成するにあたり、本発明の製造方法に用いられる二価フェノール(I)の全量を一度にクロロホルメート化合物としてもよく、又は、その一部を後添加モノマーとして後段の界面重縮合反応に反応原料として添加してもよい。後添加モノマーとは、後段の重縮合反応を速やかに進行させるために加えるものであり、必要のない場合には敢えて加える必要はない。
このクロロホルメート化合物生成反応の方法は特に限定はされないが、通常、酸結合剤の存在下、溶媒中で行う方式が好適である。更に、所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、およびハイドロサルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよく、添加することが好ましい。
クロロホルメート形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。また、好適なクロロホルメート形成性化合物であるホスゲンを使用する場合、ガス化したホスゲンを反応系に吹き込む方法が好適に採用できる。
前記酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、および炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、並びにピリジンの如き有機塩基、あるいはこれらの混合物などが用いられる。
酸結合剤の使用割合も、上記同様に、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。具体的には、二価フェノール(I)のクロロホルメート化合物の形成に使用する二価フェノール(I)1モルあたり(通常1モルは2当量に相当)、2当量若しくはこれより若干過剰量の酸結合剤を用いることが好ましい。
前記溶媒としては、公知のポリカーボネートの製造に使用されるものなど各種の反応に不活性な溶媒を1種単独であるいは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例としては、例えば、キシレンの如き炭化水素溶媒、並びに、塩化メチレンおよびクロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。特に塩化メチレンの如きハロゲン化炭化水素溶媒が好適に用いられる。
水に不溶性の有機溶媒のモル比は二価フェノール(I)1モルあたり、好ましくは8モル以上、より好ましくは10モル以上、さらに好ましくは12モル以上、特に好ましくは14モル以上である。上限は特に制限されないが、装置の大きさやコストの面から50モル以下で充分である。二価フェノール(I)に対する有機溶媒のモル比をかかる範囲内とすることにより、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズおよび規格化分散を、より適正値に制御しやすくなる。
クロロホルメート化合物の生成反応における圧力は特に制限はなく、常圧、加圧、もしくは減圧のいずれでもよいが、通常常圧下で反応を行うことが有利である。反応温度は−20〜50℃の範囲から選ばれ、多くの場合、反応に伴い発熱するので、水冷又は氷冷することが望ましい。反応時間は他の条件に左右され一概に規定できないが、通常、0.2〜10時間で行われる。
クロロホルメート化合物の生成反応におけるpH範囲は、公知の界面反応条件が利用でき、pHは通常10以上に調製される。
本発明においては、このようにして二価フェノール(I)のクロロホルメートおよび末端クロロホルメート基を有する二価フェノール(I)のカーボネートオリゴマーを含むクロロホルメート化合物の混合溶液を調整した後、該混合溶液を攪拌しながら式(4)で表わされるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)を、該混合溶液の調整にあたり仕込まれた二価フェノール(I)の量1モルあたり、0.01モル/min以下の速度で加え、該ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)と該クロロホーメート化合物とを界面重縮合させることにより、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を得る。
Figure 0006605966
[上記一般式(4)において、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、R及びR10は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であり、pは自然数であり、qは0又は自然数であり、p+qは10〜60の自然数である。Xは炭素原子数2〜8の二価脂肪族基である。]
本発明のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂は、分岐化剤を上記の二価フェノール系化合物と併用して分岐ポリカーボネート共重合体とすることができる。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
かかる分岐ポリカーボネート共重合体の製造方法は、クロロホルメート化合物の生成反応時にその混合溶液中に分岐化剤が含まれる方法であっても、該生成反応終了後の界面重縮合反応時に分岐化剤が添加される方法であってもよい。分岐化剤由来のカーボネート構成単位の割合は、該共重合体を構成するカーボネート構成単位全量中、好ましくは0.005〜1.5モル%、より好ましくは0.01〜1.2モル%、特に好ましくは0.05〜1.0モル%である。なお、かかる分岐構造量についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
重縮合反応における系内の圧力は、減圧、常圧、もしくは加圧のいずれでも可能であるが、通常は、常圧若しくは反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応温度は−20〜50℃の範囲から選ばれ、多くの場合、重合に伴い発熱するので、水冷又は氷冷することが望ましい。反応時間は反応温度等の他の条件によって異なるので一概に規定はできないが、通常、0.5〜10時間で行われる。
場合により、得られたポリカーボネート共重合体に適宜物理的処理(混合、分画など)及び/又は化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所望の還元粘度[ηSP/c]のポリカーボネート共重合体として取得することもできる。
得られた反応生成物(粗生成物)は公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂として回収することができる。
ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の粘度平均分子量は5.0×10〜5.0×10の範囲が好ましい。かかる粘度平均分子量はより好ましくは1.0×10〜4.0×10、更に好ましくは1.5×10〜3.5×10、特に好ましくは1.7×10〜2.5×10である。ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の粘度平均分子量が5.0×10未満では、多くの分野において実用上の機械的強度が得られにくく、5.0×10を超えると、溶融粘度が高く、概して高い成形加工温度を必要とするため、樹脂の熱劣化などの不具合を生じやすい。
ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂成形品中のポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズは、1〜40nmの範囲が好ましい。かかる平均サイズはより好ましくは2〜30nm、更に好ましくは5〜25nmである。かかる好適な範囲の下限未満では、耐衝撃性や難燃性が十分に発揮されず、かかる好適な範囲の上限を超えると耐衝撃性が安定して発揮されない場合がある。これにより耐衝撃性ならびに難燃性の両立に優れたポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
さらに、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズが好適な範囲であっても、その規格化分散が40%を超えると良好かつ安定した透明性が発揮されない場合がある。かかるポリジオルガノシロキサンドメインサイズの規格化分散は好ましくは40%以下であり、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下、最も好ましくは20%以下である。かかる規格化分散の下限は実用上7%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。かかる適切なドメインの平均サイズと、その規格化分散を有することにより、透明性と耐衝撃性、ならびに難燃性の両立に優れたポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合体含有樹脂およびその成形品が提供される。
本発明におけるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂成形品のポリジオルガノシロキサンドメインの平均ドメインサイズ、規格化分散は、小角エックス線散乱法(Small Angle X-ray Scattering:SAXS)により評価した。小角エックス線散乱法とは、散乱角(2θ)<10°以内の小角領域で生じる散漫な散乱・回折を測定する方法である。この小角エックス線散乱法では、物質中に1〜100nm程度の大きさの電子密度の異なる領域があると、その電子密度差によりエックス線の散漫散乱が計測される。この散乱角と散乱強度に基づいて測定対象物の粒子径を求める。ポリカーボネートポリマーのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造となるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の場合、ポリカーボネートマトリックスとポリジオルガノシロキサンドメインの電子密度差により、エックス線の散漫散乱が生じる。散乱角(2θ)が10°未満の範囲の各散乱角(2θ)における散乱強度Iを測定して、小角エックス線散乱プロファイルを測定し、ポリジオルガノシロキサンドメインが球状ドメインであり、粒径分布のばらつきが存在すると仮定して、仮の粒径と仮の粒径分布モデルから、市販の解析ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズと粒径分布(規格化分散)を求める。小角エックス線散乱法によれば、透過型電子顕微鏡による観察では正確に測定できない、ポリカーボネートポリマーのマトリックス中に分散したポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズと粒径分布を、精度よく、簡便に、再現性良く測定することができる。平均ドメインサイズとは個々のドメインサイズの数平均を意味する。規格化分散とは、粒径分布の広がりを平均サイズで規格化したパラメータを意味する。具体的には、ポリジオルガノシロキサンドメインサイズの分散を平均ドメインサイズで規格化した値であり、下記式(1)で表される。
Figure 0006605966
上記式(1)において、δはポリジオルガノシロキサンドメインサイズの標準偏差、Davは平均ドメインサイズである。
本発明に関連して用いる用語「平均ドメインサイズ」、「規格化分散」は、かかる小角エックス線散乱法により、実施例記載の方法で作製した3段型プレートの厚み1.0mm部を測定することにより得られる測定値を示す。また、粒子間相互作用(粒子間干渉)を考慮しない孤立粒子モデルにて解析を行った。
本発明の樹脂組成物中のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂由来のポリジオルガノシロキサン含有量は0.5〜8.4重量%であることが好ましい。より好ましくは0.8〜7.0重量%、さらに好ましくは1.0〜6.0重量%、最も好ましくは1.2〜5.5重量%である。0.5重量%未満では十分な耐衝撃性と難燃性が発現せず、8.4重量%を超えた場合では難燃性が発現しない場合がある。なお、組成物中のポリジオルガノシロキサン含有量はポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(PC−PDMS共重合樹脂)に含まれるPDMS量より下記式により算出した。
組成物中のPDMS量(重量%)={(PC−PDMS共重合樹脂中のPDMS量)/(組成物全体の重量)}×100
(B成分:ポリアリーレンスルフィド樹脂)
本発明のB成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂は、グリシジル基およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と反応する官能基を末端に有するポリアリーレンスルフィド樹脂であり、特にカルボキシル基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂が好ましい。該ポリアリーレンスルフィド樹脂は、他の高分子材料(特に反応性官能基を有するオレフィン系共重合体)や充填剤などと優れた相溶性を示すため、使用することにより耐衝撃性に優れた樹脂組成物を得ることができる。なお、カルボキシル基の含有の有無は、FT−IR分光法のFT−IRスペクトルにて1600cm−1〜1800cm−1の間にカルボキシル基由来の吸収ピークを有することにより確認できる。
ポリアリーレンスルフィド樹脂としては、その構成単位として、例えばp−フェニレンスルフィド単位、m−フェニレンスルフィド単位、o−フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、分岐構造含有フェニレンスルフィド単位、等よりなるものを挙げることができ、その中でも、p−フェニレンスルフィド単位を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましく、さらに、ポリ(p−フェニレンスルフィド)がより好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂に前記反応性官能基を導入する方法としては特に限定されるものではなく、既知の方法で重合されるが、共役芳香環骨格上に一つまたは複数の基を有する重合停止剤を使用する方法が挙げられる。前記重合停止剤で用いられる共役芳香環骨格としては、例えば、ジフェニルジスルフィド、モノヨードベンゼン、チオフェノール、2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2−(モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、N,N’−ジシクロヘキシル−1,3−ベンゾチアゾール−2−スルフェンアミドなどが挙げられる。
カルボキシル基の末端基構造を有するポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法の好適な重合方法としては、ジヨード芳香族化合物と硫黄元素を含む反応物を重合反応させる段階、前記重合反応段階を進行しながら、カルボキシル基を有する化合物を添加してポリアリーレンスルフィド主鎖の末端基中をカルボキシル基で置換する製造方法が挙げられる。前記カルボキシル基を有する化合物で用いられる代表的な例は、2−ヨード安息香酸、3−ヨード安息香酸、4−ヨード安息香酸、および2,2’−ジチオ安息香酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。前記カルボキシル基を有する化合物は、ジヨード芳香族化合物100重量部を基準に約0.0001乃至5重量部添加され得る。
B成分の含有量は、A成分100重量部に対し、10〜80重量部であり、好ましくは10〜70重量部、より好ましくは20〜60重量部である。B成分が10重量部未満では難燃性および耐薬品性が低下し、80重量部を超えると耐衝撃性が低下する。
(C成分:衝撃改質剤)
本発明でC成分として使用される衝撃改質剤はグリシジル基およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含有している衝撃改質剤である。衝撃改質剤が上記の基を含有することにより、耐衝撃性がより向上する。衝撃改質剤としてはオレフィン系共重合体が好ましく使用され、具体的にはα−オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸のアルキルエステルを主成分とするオレフィン系共重合体が好ましく使用され、中でもα−オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとの共重合体が好適である。α−オレフィンとしては例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられるが、中でもエチレンが好適に用いられる。また、これらα−オレフィンは2種以上を用いることもできる。次にα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとしては例えば、アクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、エタクリル酸グリシジルエステルなどが挙げられる。また、これら共重合体にはさらに、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどのα、β−不飽和酸カルボン酸およびそのアルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン等を共重合しても良い。このようなオレフィン系共重合体の市販品としては、例えば住友化学(株)社製のボンドファーストE、ボンドファースト7M等が挙げられる。
C成分の含有量は、A成分100重量部に対し、1〜15重量部であり、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部である。C成分の含有量が1重量部未満では耐衝撃性および耐薬品性が低下し、15重量部を超えると難燃性が低下する。
(D成分:金属塩系化合物)
本発明のD成分として使用される有機金属塩系難燃剤としては、従来ポリカーボネート樹脂を難燃化するのに使用されている各種の有機金属塩が使用可能であるが、特に有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、芳香族系イミドのアルカリ(土類)金属塩、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩、およびリン酸部分エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。(ここで、アルカリ(土類)金属塩の表記は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれも含む意味で使用する)これらは単独の使用だけでなく、2種以上を混合して使用することも可能である。なお、有機アルカリ(土類)金属塩を構成する金属は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属であり、より好適にはアルカリ金属である。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、特に好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムである。
前記有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩としては、脂肪族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩等が挙げられる。
かかる脂肪族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩の好ましい例としては、アルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、かかるアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩のアルキル基の一部がフッ素原子で置換したスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、およびパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
アルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩の好ましい例としては、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ブタンスルホン酸塩、メチルブタンスルホン酸塩、ヘキサンスルホン酸塩、へプタンスルホン酸塩、オクタンスルホン酸塩等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。またかかるアルキル基の一部がフッ素原子で置換した金属塩も挙げることができる。
一方、パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩の好ましい例としては、パーフルオロメタンスルホン酸塩、パーフルオロエタンスルホン酸塩、パーフルオロプロパンスルホン酸塩、パーフルオロブタンスルホン酸塩、パーフルオロメチルブタンスルホン酸塩、パーフルオロヘキサンスルホン酸塩、パーフルオロヘプタンスルホン酸塩、パーフルオロオクタンスルホン酸塩等が挙げられ、特に炭素数が1〜8のものが好ましい。これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
この中で最も好ましいのはパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩である。かかるアルカリ金属の中でも、難燃性の要求がより高い場合にはルビジウムおよびセシウムが好適である一方、これらは汎用的でなくまた精製もし難いことから、結果的にコストの点で不利となる場合がある。一方、コストの点で有利であるがリチウムおよびナトリウムは逆に難燃性の点で不利な場合がある。これらを勘案してパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩中のアルカリ金属を使い分けることができるが、いずれの点においても特性のバランスに優れたパーフルオロアルキルスルホン酸カリウム塩が最も好適である。かかるカリウム塩と他のアルカリ金属からなるパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩とを併用することもできる。
パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸ルビジウム、およびパーフルオロヘキサンスルホン酸ルビジウム等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。これらの中で特にパーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩に使用する芳香族スルホン酸としては、モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸、芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸、芳香族スルホネートのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸、芳香族ケトンのスルホン酸、複素環式スルホン酸、芳香族スルホキサイドのスルホン酸、芳香族スルホン酸のメチレン型結合による縮合体からなる群から選ばれた少なくとも1種の酸を挙げることができ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98539号公報に記載されており、例えば、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げることができる。
芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98540号公報に記載されており、例えば5−スルホイソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウムなどを挙げることができる。
モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98542号公報に記載されており、例えば1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウムなどを挙げることができる。
芳香族スルホネートのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98544号公報に記載されており、例えばベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウムなどを挙げることができる。
モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98546号公報に記載されており、例えばベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸カルシウムなどを挙げることができる。
モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭52−54746号公報に記載されており、例えばジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げることができる。
芳香族ケトンのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98547号公報に記載されており、例えばα,α,α−トリフルオロアセトフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げることができる。
複素環式スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−116542号公報に記載されており、例えばチオフェン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
芳香族スルホキサイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭52−54745号公報に記載されており、例えばジフェニルスルホキサイド−4−スルホン酸カリウムなどを挙げることができる。
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩のメチレン型結合による縮合体としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物などを挙げることができる。
前記、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩としては、特に一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、かかる一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルとしては、メチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライドの硫酸エステル、ステアリン酸モノグリセライドの硫酸エステルなどを挙げることができる。これらの硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩として好ましくはラウリル硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。
前記リン酸部分エステルのアルカリ(土類)金属塩としては、具体的にビス(2,6−ジブロモ−4−クミルフェニル)リン酸、ビス(4−クミルフェニル)リン酸、ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)リン酸ビス(2,4−ジブロモフェニル)リン酸、ビス(4−ブロモフェニル)リン酸、ジフェニルリン酸、ビス(4−tert−ブチルフェニル)リン酸等のアルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。
前記芳香族系イミドのアルカリ(土類)金属塩としては、例えばサッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホンアミド(言い換えるとジ(p−トルエンスルホン)イミド)、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、およびN−(フェニルカルボキシル)スルファニルイミド、ビス(ジフェニルリン酸)イミド等のアルカリ(土類)金属塩などが挙げられる。
これらの中で好ましい成分としてパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、および芳香族系イミドのアルカリ(土類)金属塩からなる群より選択される1種以上の化合物が挙げられ、その中でもパーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホンのスルホン酸塩、ジ(p−トルエンスルホン)イミドのカリウム塩、および、ジ(p−トルエンスルホン)イミドのナトリウム塩からなる群より選択される1種以上の化合物がより好ましい。さらに最も好ましくはパーフルオロブタンスルホン酸カリウムである。
D成分の含有量はA成分100重量部に対し、0.005〜1重量部であり、好ましくは0.01〜0.7重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部である。D成分の含有量が0.005重量部未満であると難燃効果が不十分であり、さらに耐衝撃性も向上しない。D成分の含有量が1重量部を超えると成形時に樹脂が分解して難燃性および耐薬品性が低下する。
(その他成分)
本発明における樹脂組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で、C成分以外のエラストマー成分を含むことができる。好適なエラストマー成分としては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)およびシリコーン・アクリル複合ゴム系グラフト共重合体などのコア−シェルグラフト共重合体樹脂、あるいはシリコーン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。
本発明における樹脂組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂を含むことができる。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂などに代表される汎用プラスチックス、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)等に代表されるエンジニアリングプラスチックス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、などのいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックスと呼ばれるものを挙げることができる。
本発明における樹脂組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、D成分以外の難燃剤(例えば、赤燐、リン酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
(樹脂組成物の製造)
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜D成分および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。各成分の一部を予備混合する方法としては例えば、A成分以外の成分を予め予備混合した後、A成分の熱可塑性樹脂に混合または押出機に直接供給する方法が挙げられる。
予備混合する方法としては例えば、A成分としてパウダーの形態を有するものを含む場合、かかるパウダーの一部と配合する添加剤とをブレンドしてパウダーで希釈した添加剤のマスターバッチを製造し、かかるマスターバッチを利用する方法が挙げられる。更に一成分を独立に溶融押出機の途中から供給する方法なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。更にかかるペレットの製造においては、光学ディスク用ポリカーボネート樹脂において既に提案されている様々な方法を用いて、ペレットの形状分布の狭小化、ミスカット物の低減、運送または輸送時に発生する微小粉の低減、並びにストランドやペレット内部に発生する気泡(真空気泡)の低減を適宜行うことができる。これらの処方により成形のハイサイクル化、およびシルバーの如き不良発生割合の低減を行うことができる。またペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。
(成形体の製造)
本発明の樹脂組成物は射出成形して製造することができる。かかる射出成形においては、フィルムインサート加飾成形、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、および超高速射出成形など他の成形技術を使用することができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
本発明の樹脂組成物は、耐衝撃性、耐薬品性および難燃性を高い次元で満足したポリカーボネート樹脂であり、電機・電子機器、OA機器、自動車分野等に幅広く適用でき、その奏する工業的効果は極めて大である。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下に実施例をあげて本発明を更に説明する。なお、特に説明が無い限り実施例中の部は重量部、%は重量%である。なお、評価は下記の方法によって実施した。
(熱可塑性樹脂組成物の評価)
(i)シャルピー衝撃強さ
下記の方法で作成したISO曲げ試験片を用いて、ISO 179に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度の測定(試験条件23℃)を実施した。
(ii)難燃性
UL94規格に準拠し、厚み2.0mmにて最大燃焼秒数およびUL94ランクを評価した。なお、試験片は、射出成形機(日精樹脂工業(株)製 NEX50)によりシリンダー温度280℃、金型温度60℃で成形した。
(iii)耐薬品性
下記の方法で得られたISO引張試験片を用いて、3点曲げ試験法にて、0.7%歪みをかけた後、マジックリン(花王(株)製)を含浸させた布をかけ、23℃で96時間放置した後に、外観変化の有無を確認した。なお、評価は下記の基準で実施した。
○:外観変化が見られないもの
△:微細なクラックの発生が見られるもの
×:破断にいたるような大きなクラックが見られるもの
上記耐薬品性試験の評価結果が○および△のものについては、歪量を1.0%に変更して、さらに耐薬品性試験を実施した。歪量0.7%において評価が○のものは優れた耐薬品性を有しており、さらに歪量1.0%において評価が○のものは非常に優れた耐薬品性を有している。
[実施例1〜11、比較例1〜10]
表1および表2に示す組成で、B成分のポリアリーレンスルフィド樹脂を除く成分からなる混合物を押出機の第1供給口から供給した。かかる混合物はV型ブレンダーで混合して得た。B成分のポリアリーレンスルフィド樹脂は、第2供給口からサイドフィーダーを用いて供給した。押出は径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30α−38.5BW−3V)を使用し、スクリュー回転数200rpm、吐出量25kg/h、ベントの真空度3kPaで溶融混練しペレットを得た。なお、押出温度については、第1供給口からダイス部分まで300℃で実施した。得られたペレットの一部は、90〜100℃で6時間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度60℃にて評価用の試験片(ISO引張試験片(ISO527−1及びISO527−2準拠)、ISO曲げ試験片(ISO179準拠))およびUL試験片を成形した。
なお、表1および表2中の記号表記の各成分は下記の通りである。
<A1成分>
A1:粘度平均分子量22,400の直鎖状ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人(株)製;パンライトL−1225WP(商品名))
<A2成分>
A2:以下の製造方法で得られた粘度平均分子量19,800のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂
[製造方法]
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21591g、48.5%水酸化ナトリウム水溶液3674gを入れ、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)3880g、およびハイドロサルファイト7.6gを溶解した後、塩化メチレン14565g(ジヒドロキシ化合物(I)1モルに対して14モル)を加え、撹拌下22〜30℃でホスゲン1900gを60分要して吹き込んだ。次に、48.5%水酸化ナトリウム水溶液1131g、p−tert−ブチルフェノール105gを塩化メチレン800gに溶解した溶液を加え、攪拌しながら下記式(5)で表されるポリジオルガノシロキサン化合物(式中の平均繰り返し数 p=約37)を430gを塩化メチレン1600gに溶解した溶液を、ジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)が二価フェノール(I)の量1モルあたり0.0008モル/minとなる速度で加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が26℃の状態でトリエチルアミン4.3gを加えて温度26〜31℃において45分間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂のパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂パウダーを得た。
Figure 0006605966
<B成分>
B−1:以下の製造方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法]
パラジヨードベンゼン5130g及び硫黄450gに、反応開始剤としてメルカプトベンゾチアゾール4gを含む反応物を180℃に加熱して完全に溶融および混合した後、温度を220℃に昇温し、且つ、圧力を350Torrに降圧した。得られた混合物を、最終温度および圧力が各々300℃および1Torr以下となるように温度及び圧力を段階的に変化させつつ、重合反応を進行した。前記重合反応が80%進行した時(重合反応の進行程度は粘度による相対比率((現在粘度/目標粘度)×100%)の方法で確認した。)、重合停止剤としてメルカプトベンゾチアゾールを25g添加して反応を行った。1時間後、4−ヨード安息香酸51g添加して窒素雰囲気下で10分間反応を行い、0.5Torr以下に徐々に真空度を上げてさらに1時間反応を行った後反応を終了し、カルボキシル基を主鎖末端に含むポリアリーレンスルフィド樹脂を製造した。得られたポリアリーレンスルフィド樹脂はFT−IR分光法のFT−IRスペクトルにて1600cm−1〜1800cm−1の間にカルボキシル基由来のピークを示した。
B−2:以下の製造方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法]
パラジヨードベンゼン300.00gおよび硫黄27.00gに、重合停止剤としてジフェニルジスルフィド0.60gを投入して180℃に加熱して完全にそれらを溶融および混合した後、温度を220℃に昇温し、圧力を200Torrに降圧した。得られた混合物を、最終温度および圧力が夫々320℃および1Torrとなるように温度および圧力を段階的に変化させつつ、8時間重合反応させてポリフェニレンスルフィド樹脂を製造した。得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、グリシジル基およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と反応する官能基を末端に有さないポリアリーレンスルフィド樹脂である。
<C成分>
C−1:グリシジル基含有衝撃改質剤(住友化学株式会社製 ボンドファースト7M(商品名))
C−2:グリシジル基含有衝撃改質剤(住友化学株式会社製 ボンドファースト2B(商品名))
C−3:エポキシ基含有衝撃改質剤(三菱レイヨン株式会社 メタブレン S−2200(商品名))
C−4:グリシジル基およびエポキシ基を含有しない衝撃改質剤(株式会社カネカ製 KANE ACE M−701(商品名))
<D成分>
D−1:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(大日本インキ(株)製メガファックF−114P(商品名))
D−2:ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(Arichem社製 KSS(商品名))
Figure 0006605966
Figure 0006605966
上記表から本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂、グリシジル基およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と反応する官能基を末端に有するポリフェニレンスルフィド樹脂、グリシジル基およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する衝撃改質剤および金属塩系化合物からなる樹脂組成物は、耐衝撃性、耐薬品性および難燃性を高いレベルで満足することがわかる。

Claims (4)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A1成分)0〜100重量部およびポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(A2成分)0〜100重量部からなるポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)グリシジル基およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と反応する官能基を末端に有するポリアリーレンスルフィド樹脂(B成分)10〜80重量部、(C)グリシジル基およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する衝撃改質剤(C成分)1〜15重量部および(D)パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩または芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩(D成分)0.005〜1重量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. B成分が、FT−IR分光法のFT−IRスペクトルにて1600cm−1〜1800cm−1の間にカルボキシル基由来の吸収ピークを有するポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. A成分が、A1成分0〜90重量部およびA2成分10〜100重量部からなることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
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