JP5047579B2 - 繊維処理剤 - Google Patents
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Description
R1 pSi(OR2)4-p (1)
〔式中、R1は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、フェニル基又は炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基を示し、R2は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示し、p個のR1及び(4-p)個のR2は同一でも異なってもよい。pは1〜3の整数を示す。〕
で表されるアルコキシシラン(以下アルコキシシラン(1)という)であり、(c)成分の量が(a)成分の量の3倍モル以上である繊維処理剤、アルコキシシラン(a)、有機酸(b)、及び水(c)を混合して得られ、(a)成分中の50重量%以上がアルコキシシラン(1)であり、(c)成分の量が(a)成分の量の3倍モル以上である、20℃におけるpHが2〜5の繊維処理剤、その製造法、この繊維処理剤を繊維に接触させて、アルコキシシラン(1)の加水分解で生成する一般式(4)
で表されるシラノール化合物(以下シラノール化合物(4)という)を単繊維に浸透させる工程(i)、及びシラノール化合物(4)を重合させる工程(ii)を含む、繊維の処理方法、並びにこの方法により処理された繊維を提供する。
本発明の(a)成分であるアルコキシシランは、その50重量%以上がアルコキシシラン(1)であり、60重量%以上がアルコキシシラン(1)であることが好ましく、80重量%以上がアルコキシシラン(1)であることが更に好ましく、100重量%がアルコキシシラン(1)であることが最も好ましい。
R1 2Si(OR2)2 (3)
〔式中、R1及びR2は前記の意味を示す。〕
トリアルコキシシラン(a1)としては、アルキル(炭素数1〜6)トリメトキシシラン、アルキル(炭素数1〜6)トリエトキシシランが好ましく、特にメチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシランがより好ましい。ジアルコキシシラン(a2)としては、ジアルキル(炭素数1〜6)ジメトキシシラン、ジアルキル(炭素数1〜6)ジエトキシシラン等が好ましく、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランがより好ましい。
本発明の(b)成分である有機酸としては、シュウ酸(pKa=1.04、3.82)、マレイン酸(pKa=1.75、5.83)、酒石酸(pKa=2.82、3.96)、フマル酸(pKa=2.85、4.10)、クエン酸(pKa=2.90、4.34)、リンゴ酸(pKa=3.24、4.71)、コハク酸(pKa=4.00、5.24)、ギ酸(pKa=3.55)、乳酸(pKa=3.66)、アジピン酸(pKa=4.26、5.03)、酢酸(pKa=4.56)、プロピオン酸(pKa=4.67)等を例示することができるが、pH調整が容易な点から、第1解離(pKa1)が2.9〜5.0の範囲にある有機酸が好ましく、3.5〜5.0の範囲にある有機酸が更に好ましい。これらの中ではアルコキシシラン(1)の加水分解反応と重合反応の制御が容易であるアジピン酸、リンゴ酸、酢酸及びプロピオン酸が好ましく、更には、臭気が少ないアジピン酸が特に好ましい。
本発明の繊維処理剤は、アルコキシシラン(a)、有機酸(b)、及び水(c)を混合して得られる。また、本発明の繊維処理剤は、加水分解前には、アルコキシシラン(a)、有機酸(b)、及び水(c)から構成され、加水分解後には、アルコキシシラン(1)の加水分解で生成するシラノール化合物(4)、有機酸(b)、及び水(c)を含有する。また、本発明の繊維処理剤が二剤式の場合、アルコキシシラン(a)を含有する第1剤と、有機酸(b)及び水(c)を含有する第2剤から構成される。
一般式(5)において、R3及びR4は、その一方が炭素数16〜24、更には22のアルキル基、特に直鎖アルキル基であるのが好ましく、また他方は炭素数1〜3の低級アルキル基、特にメチル基であるのが好ましい。アニオンAn-としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン;メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、炭酸メチルイオン、サッカリネートイオン等の有機アニオン等が挙げられ、ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンが好ましい。
本発明の繊維処理剤を、使用直前にアルコキシシラン(a)、有機酸(b)、及び水(c)、必要により界面活性剤(d)、若しくはその他任意成分を混合することによって調製する場合、混合する順序は、特に限定されないが、アルコキシシラン(1)の加水分解によって生成したシラノール化合物(4)の重合を遅延させ、単繊維内部への浸透を十分に進行させるために、有機酸(b)、水(c)、必要により界面活性剤(d)を混合した後にアルコキシシラン(a)を混合することが好ましい。
本発明の繊維の処理方法は、本発明に係わる繊維処理剤を繊維に接触させて、アルコキシシラン(1)の加水分解で生成するシラノール化合物(4)を単繊維に浸透させる工程(i)、及びシラノール化合物(4)を重合させる工程(ii)を含む。
アジピン酸、水、さらに必要によりポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製 エマルゲン108)を混合して、表1に示す組成の触媒溶液B1〜B4(第2剤)を調製した。
(1)処理液C1の合成
メチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製 LS−1890、以下同じ)1.37gを、触媒溶液B1 4.11gに加え、白濁した懸濁液が透明になるまで10分間攪拌して処理液C1を得た。得られた処理液の組成(加水分解前の組成をいう;以下同じ)を表2に示す。
以下の繊維処理においては、調製直後の処理液を使用した。
処理液C1 5.48gを、下記方法で前処理した木綿ブロード布5.48gに塗布した後、室温で60分間静置し、さらに80℃で2時間乾燥した。布に対するアルコキシシラン量は25重量%であった。乾燥させた布を衣料用洗剤(液体アタック、花王(株)製)を用いて洗濯し(洗濯条件;洗剤30g、水道水45L使用、洗濯5分−注水すすぎ1回−脱水3分)、屋内にて自然乾燥して処理布を得た。処理後の布の重量増加率は5.5%であった。
木綿ブロード布(谷頭商店製)を二槽式洗濯機(東芝製 型式:VH−360S1)を用いて市販洗剤(花王(株)製 アタック)で10回洗濯し(洗剤濃度0.0667質量%、水道水40L、水温20℃、10分洗濯後、15分間流水すすぎ、5分間脱水)、自然乾燥させた。この布を15cm×25cmに裁断し、前処理布とした。
処理布をエポキシ樹脂に包埋し、硬化させた後、ミクロトーム(ULTRACUT UTR LEICA製)にて断面を切り出し、Pt−Pd蒸着により導電処理を施した。この繊維断面を電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM:S4800形 日立製作所製、加速電圧15kV、ブローブ電流 High、焦点モードHR、コンデンサーレンズ 5、絞り 1)にて観察した。その結果を図2に示す。また、ケイ素の面分析をエネルギー分散型X線分析装置(EDS)(EMAX ENERGY EX-350 堀場製作所製、マッピング 測定時間1500s、プロセスタイム 5)にて行った。その結果を図3に示し、その拡大図を図4に示す。
(1)処理液C2の合成
メチルトリエトキシシラン1.00gを、触媒溶液B3 4.28gに加え、白濁した懸濁液が無色透明になるまで20分間攪拌した。さらにジメチルジエトキシシラン(信越化学工業(株)製 LS−1370、以下同じ)0.43gを加え、再度懸濁液が透明になるまで3分間攪拌して処理液C2を得た。得られた処理液の組成を表2に示す。
処理液C2 5.71gを実施例1と同様に前処理した木綿ブロード布5.71gに浸漬した後、室温で60分間静置し、さらに80℃で2時間乾燥した。布に対するアルコキシシラン量は25重量%であった。乾燥させた布を衣料用洗剤(液体アタック、花王(株)製)を用いて洗濯し、屋内にて自然乾燥して処理布を得た。処理後の布の重量増加率は2.1%であった。
処理布をエポキシ樹脂に包埋し、実施例1と同様に繊維断面を走査型電子顕微鏡にて観察した。図5のSEM像と図6のSiマッピング像より、ケイ素は木綿の単繊維の内部に主に分布しており、繊維と繊維の間隙には殆ど存在していないことが観察された。
(1)処理液C3の合成
メチルトリエトキシシラン3.11gを、触媒溶液B1 9.33gに加え、白濁した懸濁液が透明になるまで10分間攪拌して処理液C3を得た。得られた処理液の組成を表2に示す。
処理液C3 12.44gをウールジャージ(ウールジャージニット布(谷頭商店製)を2.0cm×2.0cmに切断したもの)12.44gに塗布した後、室温で60分間乾燥させ、さらに80℃で2時間乾燥した。布に対するアルコキシシラン量は25重量%であった。乾燥させた布を衣料用洗剤(液体アタック、花王(株)製)を用いて洗濯し、屋内にて自然乾燥して処理布を得た。処理後の布の重量増加率は8.4%であった。
処理布をエポキシ樹脂に包埋し、実施例1と同様に繊維断面を走査型電子顕微鏡にて観察した。図7のSEM像と図8のSiマッピング像より、ケイ素はウールの単繊維の内部に主に分布しており、繊維と繊維の間隙には殆ど存在していないことが観察された。
(1)処理液C4の合成
メチルトリエトキシシラン1.89gを、触媒溶液B3 8.09gに加え、白濁した懸濁液が無色透明になるまで20分間攪拌した。さらにジメチルジエトキシシラン0.81gを加え、再度懸濁液が透明になるまで3分間攪拌して処理液C4を得た。得られた処理液の組成を表2に示す。
処理液C4 10.79gを実施例3と同様のウールジャージ10.79gに塗布した後、室温で60分間乾燥させ、さらに80℃で2時間乾燥した。布に対するアルコキシシラン量は25重量%であった。乾燥させた布を衣料用洗剤(液体アタック、花王(株)製)を用いて洗濯し、屋内にて自然乾燥して処理布を得た。処理後の布の重量増加率は11.7%であった。
処理布をエポキシ樹脂に包埋し、実施例1と同様に繊維断面を走査型電子顕微鏡にて観察した。図9のSEM像と図10のSiマッピング像より、ケイ素はウールの単繊維の内部に主に分布しており、繊維と繊維の間隙には殆ど存在していないことが観察された。
(1)コート液CC1の合成
メチルトリメトキシシラン181g、メタノール50g、及び水18gを加え、攪拌した。さらに61%硝酸2gを加えながら80℃で3時間攪拌を続けた。その後、容器内を減圧にしてメタノールを除去し、メチルトリメトキシシランオリゴマーを製造した。縮合度は3〜4量体と推定される。
得られたメチルトリメトキシシランオリゴマー19gにジブチルスズアセテート0.8g及びイソプロピルアルコール20gを加え、十分に混合し、コート液CC1を調製した。
コート液CC1 3.0gを実施例1と同様に前処理した木綿ブロード布5.7gに塗布した後、室温で10分間静置し、さらに130℃で2時間乾燥した。乾燥させた布を衣料用洗剤(液体アタック、花王(株)製)を用いて洗濯し、屋内にて自然乾燥して処理布を得た。処理後の布の重量増加率は11.3%であった。
処理布をエポキシ樹脂に包埋し、実施例1と同様に繊維断面を走査型電子顕微鏡にて観察した。図11のSEM像より、木綿単繊維の断面が観察される。単繊維と単繊維の間隙にポリシロキサンと見られる充填物が観察され、図12のSiマッピング像より、ケイ素が単繊維の間隙に存在し、バインダー状に繊維を結合していることがわかる。一方、木綿単繊維の内部にはケイ素が観察されず、ポリシロキサンが木綿単繊維に浸透していないことが示される。図13のSiマッピング拡大図においてケイ素濃度のプロファイルを示すが、ケイ素濃度は単繊維内部には殆ど存在せず、繊維と繊維の間隙により高い濃度で存在することが観察される。
なお、拡大図の繊維中央部に見られる部分はルーメンと呼ばれる空隙部分であり、この部分は単繊維内部とは考えない。
(1)処理液C5の合成
メチルトリエトキシシラン10gを、触媒溶液B1 20gに加え、白濁した懸濁液が透明になるまで10分間攪拌して処理液C5を得た。得られた処理液の組成を表2に示す。
処理液C5 30gに下記方法で得られた紙5.3gを浸漬した後、30秒後に引き上げ、室温で10分間風乾し、さらに80℃で2時間乾燥させた。処理後の紙の重量増加率は38.7%であった。
広葉樹晒しパルプ(Laubholz Bleached Kraft Pulp、以下LBKPと略称)を室温下、叩解機にて離解、叩解して2.2%のLBKPスラリーとした。該スラリーのカナディアンスタンダードフリーネスは420mlであった。この2.2%のLBKPスラリーを抄紙後のシートの坪量が絶乾で85g/m2になるようにはかりとった。その後パルプ濃度が0.5%になるように水で希釈し、攪拌後角型タッピ抄紙機にて150メッシュワイヤーで抄紙し、コーチングを行って湿紙を得た。抄紙後の湿紙は、3.5kg/cm2で5分間プレス機にてプレスし、ドラムドライヤーを用い、105℃で2分間乾燥した。乾燥された紙を23℃、湿度50%の条件で1日間調湿した。
処理した紙をエポキシ樹脂に包埋し、実施例1と同様に繊維断面を走査型電子顕微鏡にて観察した。図14のSEM像と図15のSiマッピング像より、ケイ素はパルプ単繊維の内部に主に分布しており、繊維と繊維の間隙には殆ど存在していないことが観察された。図16のSiマッピング拡大図においてケイ素濃度のプロファイルを示すが、ケイ素濃度は単繊維内部において高く、繊維と繊維の間隙には殆ど存在していないことが観察された。
(1)コート液CC2の合成
比較例1で得られたメチルトリメトキシシランオリゴマー9.5gをジブチルスズアセテート0.4gとイソプロピルアルコール10gの混合液に加え、十分に混合し、コート液CC2を調製した。
コート液CC2 9.9gに実施例5と同様の紙5.3gを浸漬した後、30秒後に引き上げ、室温で10分間風乾し、さらに130℃で60分間乾燥させた。処理後の紙の重量増加率は60.4%であった。
処理した紙をエポキシ樹脂に包埋し、実施例1と同様に繊維断面を走査型電子顕微鏡にて観察した。図17のSEM像と図18のSiマッピング像より、ケイ素がパルプ単繊維の間隙に存在し、バインダー状に繊維を結合していることがわかる。一方、パルプ単繊維の内部にはケイ素が観察されず、ポリシロキサンがパルプ単繊維に浸透していないことが示される。図19のSiマッピング拡大図においてケイ素濃度のプロファイルを示すが、ケイ素濃度は単繊維内部には殆ど存在せず、繊維と繊維の間隙により高い濃度で存在することが観察された。
表3記載の組成の処理液C6〜C11を調製した。メチルトリエトキシシラン/ジメチルジエトキシシラン比が10/0の処理液は実施例1の調製法と同様にし、メチルトリエトキシシラン/ジメチルジエトキシシラン比が7/3の処理液は実施例2の調製法と同様にして調製した。
木綿タオル(武井タオル(株)製 T.W220、白色)を市販の衣料用洗剤(花王(株)液体アタック)を用いて全自動洗濯機(日立全自動洗濯機KW-5026 静御前)で10回繰り返し洗濯した(洗剤37g、水道水57L使用、洗濯5分−注水すすぎ1回−脱水3分)。最後の処理回の脱水が終了した後、屋内にて吊り干しで自然乾燥することにより前処理を行った。この前処理済のタオル1枚の重量は、70gである。
評価用タオルを全自動洗濯機(日立全自動洗濯機KW-5026 静御前)で洗濯し(洗剤30g、水道水45L使用、洗濯5分−注水すすぎ1回−脱水3分)、脱水終了後、20℃−65%RHの恒温恒湿にて吊り干しで恒量になるまで風乾した。下記計算式(I)により経時の含水率(%)を求めた。乾燥開始から含水率が10%になるまでの時間をもって速乾性の指標とした。
タオルの平織り部分を2cm×25cmの帯状に裁断し、帯状布の上端を固定して鉛直方向に吊るし、下端1cmの部分を20℃の水に浸してからの時間(1分、3分、5分、10分後)に対する、吸水高さを目視で観察し、mm単位で記録した。測定は20℃−65%RHの恒温恒湿室で行った。
実施例10、11と同じ処理液C10又はC11に、実施例6と同様に前処理した木綿タオルを60分間浸漬し、その後80℃で12時間乾燥した。さらに上記速乾性評価法と同じ洗濯条件にて洗濯、脱水、及び乾燥した。この浸漬・洗濯・乾燥処理を10回繰り返し、累積処理を施した評価用タオルを製造した。タオルに対するアルコキシシランの処理量は1回の処理につき2.5重量%であった。得られたタオルについて実施例6と同様の方法で速乾性及び吸水性の評価を行った。結果を表3に示す。
非イオン界面活性剤を含まない触媒溶液B2又はB4を用いて、表3記載の組成の処理液C12及びC13を調製した。この処理液に、実施例6と同様に前処理した木綿タオルを60分間浸漬し、その後80℃で12時間乾燥して、タオルに対するアルコキシシランの処理量が25重量%の評価用タオルを製造した。得られたタオルについて実施例6と同様の方法で速乾性及び吸水性の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例6と同様に前処理し、本発明の処理液による処理を行わないタオルを評価用タオルとして、実施例6と同様の方法で速乾性及び吸水性の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例7、15、11と同じ処理液C7、C13、及びC11を調製し、実施例6と同様に前処理した木綿タオルを60分間浸漬し、その後80℃で12時間乾燥し処理された評価用タオルを製造した。タオルに対するアルコキシシランの処理量は、実施例16及び17は25重量%、実施例18は2.5重量%であった。
タオルを、市販の衣料用洗剤(花王(株)製 液体アタック)を用いて全自動洗濯機(日立全自動洗濯機KW-5026 静御前)で1回洗濯した(洗剤37g、水道水57L使用、洗濯5分−注水すすぎ1回−脱水3分)。洗濯したタオルを屋内で自然乾燥させた後、20℃/65%RHの恒温恒湿室に一日間静置した。その後、手触りの柔らかさについて、5人のパネラーが以下の基準に従って官能評価をそれぞれ3回行い、それらの平均値をもって柔軟性とした。尚、未処理タオルとは下記比較例4の評価用タオルである。
−2点:処理タオルの方が未処理タオルより少し固くなる場合
−1点:処理タオルの方が未処理タオルよりわずかに固くなる場合
0点:処理タオルと未処理タオルに差がない場合
1点:処理タオルの方が未処理タオルよりわずかに柔らかくなる場合
2点:処理タオルの方が未処理タオルより少し柔らかくなる場合
3点:処理タオルの方が未処理タオルより明らかに柔らかくなる場合。
実施例6と同様に前処理し、本発明の処理液による処理を行わないタオルを評価用タオルとして、実施例16と同様の方法で柔軟性及び吸水性の評価を行った。結果を表4に示す。
実施例2の処理液調製法に従って、表5記載の組成の処理液C7、及びC14〜16を調製した。木綿タオルのかわりに、ウールセーター(ラムクルーネックセーター、灰色、UNIQLO製))、絹、レイヨントウ、麻、アセテートトウ(いずれも市販品)を用い、繊維に対するアルコキシシランの処理量が25重量%になるようにして、繊維を60分間浸漬し、その後80℃で12時間乾燥し、処理された繊維を製造した。得られた繊維について、実施例16と同様の方法で柔軟性の評価を行った。結果を表5に示す。
実施例6〜9と同じ処理液C6〜9を用い、実施例6と同様に前処理した木綿タオルを60分間浸漬し、その後80℃で12時間乾燥し処理された評価用タオルを製造した。タオルに対するアルコキシシランの処理量は25重量%又は6重量%であった。得られた処理タオルについて、下記方法で毛羽抜け防止性の評価を行った。結果を表6に示す。
タオルそれぞれ5枚をタンブラー式乾燥機(除湿タイプ電気衣類乾燥機NH-D502、松下電気(株)製)にて3時間乾燥させ、それを10回繰り返した。乾燥機のフィルターに残った毛羽量から下記式により毛羽抜け率を求めた。
乾燥機のフィルターに残った毛羽量/乾燥前のタオル重量×100
実施例6と同様に前処理し、本発明の処理液による処理を行わないタオルを評価用タオルとして、実施例24と同様の方法で毛羽抜け防止性の評価を行った。結果を表6に示す。
実施例3、4と同じ処理液C3、C4に、実施例3と同様のウールジャージを60分間浸漬し、その後80℃で12時間乾燥し処理された評価用ウールジャージを製造した。ウールジャージに対するアルコキシシランの処理量は25重量%であった。処理ウールジャージについて、下記方法で耐摩耗性の評価を行った。結果を表7に示す。
幅1.3cm、長さ19.5cmに切断したウールジャージをアクロン摩耗試験機(JISタイヤゴム用)の回転部分に巻き付け、加重4.5kg、斜角5度、摩耗輪A36−P5−V、3000回転、速度75rpmで摩耗試験を行い、砥石に接触した部分の布地の傷みを目視により以下の基準で評価した。
◎:ほつれ(繊維の切断)が10%未満である
○:ほつれ(繊維の切断)が10%以上50%未満である
×:ほつれ(繊維の切断)が50%以上である
本発明の処理液による処理を行わない、実施例3と同様のウールジャージを評価用ウールジャージとして、実施例28と同様の方法で耐摩耗性の評価を行った。結果を表7に示す。
Claims (17)
- アルコキシシラン(a)、有機酸(b)、及び水(c)から構成され、(a)成分中の50重量%以上が一般式(1)
R1 pSi(OR2)4-p (1)
〔式中、R1は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、フェニル基又は炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基を示し、R2は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示し、p個のR1及び(4-p)個のR2は同一でも異なってもよい。pは1〜3の整数を示す。〕
で表されるアルコキシシラン(以下アルコキシシラン(1)という)であり、(c)成分の量が(a)成分の量の3倍モル以上であり、繊維処理剤中の(c)成分の量が30〜99.9重量%である、繊維処理剤。 - アルコキシシラン(a)を含有し、(a)成分中の50重量%以上がアルコキシシラン(1)である第1剤と、有機酸(b)及び水(c)を含有し、20℃におけるpHが2〜5である第2剤から構成される請求項1記載の繊維処理剤。
- アルコキシシラン(a)、有機酸(b)、及び水(c)を混合して得られ、(a)成分中の50重量%以上が請求項1記載のアルコキシシラン(1)であり、(c)成分の量が(a)成分の量の3倍モル以上であり、繊維処理剤中の(c)成分の量が30〜99.9重量%である、20℃におけるpHが2〜5の繊維処理剤。
- アルコキシシラン(1)の加水分解で生成する一般式(4)
〔式中、Xは、R1、OR2又はOHで示される基、tは0〜2の整数を示し、(2t+4)個のXは同一でも異なってもよく、これらのうち少なくとも1つはOHである。R1及びR2は請求項1と同じ意味を示す。〕
で表されるシラノール化合物(以下シラノール化合物(4)という)、有機酸(b)、及び水(c)を含有する、請求項3記載の繊維処理剤。 - 繊維処理剤中の(a)成分の量が0.1〜58重量%である、請求項1〜4いずれかに記載の繊維処理剤。
- さらに、界面活性剤(d)を含有する、請求項1〜5いずれかに記載の繊維処理剤。
- (a)成分が、一般式(2)で表されるトリアルコシキシラン(a1)と、一般式(3)で表されるジアルコシキシラン(a2)を含む、請求項1〜6いずれかに記載の繊維処理剤。
R1Si(OR2)3 (2)
R1 2Si(OR2)2 (3)
〔式中、R1及びR2は請求項1と同じ意味を示す。〕 - トリアルコシキシラン(a1)とジアルコシキシラン(a2)の重量比が9/1〜1/9である、請求項7記載の繊維処理剤。
- 速乾性付与剤である請求項1〜8いずれかに記載の繊維処理剤。
- 柔軟性付与剤である請求項1〜8いずれかに記載の繊維処理剤。
- 強靱性付与剤である請求項1〜8いずれかに記載の繊維処理剤。
- トリアルコシキシラン(a1)、有機酸(b)及び水(c)を混合した後、ジアルコシキシラン(a2)を混合する、請求項7又は8記載の繊維処理剤の製造方法。
- 請求項3〜11いずれかに記載の繊維処理剤を繊維に接触させて、アルコキシシラン(1)の加水分解で生成するシラノール化合物(4)を単繊維に浸透させる工程(i)、及びシラノール化合物(4)を重合させる工程(ii)を含む、繊維の処理方法。
- 工程(ii)を、60℃以上に加温することで行う、請求項13記載の繊維の処理方法。
- 工程(i)と工程(ii)の間に、さらに繊維を水洗する工程(iii)を有する、請求項13又は14記載の繊維の処理方法。
- 請求項13〜15いずれかの方法により処理された繊維。
- 請求項4記載の一般式(4)で表されるシラノール化合物(4)の重合体を単繊維表層より単繊維内部に多く含有する繊維。
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JP2005295140 | 2005-10-07 | ||
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