JP5047089B2 - 多層微多孔膜の製造方法および非水電解液二次電池用セパレータ - Google Patents

多層微多孔膜の製造方法および非水電解液二次電池用セパレータ Download PDF

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Description

本発明は、多層微多孔膜の製造方法、及びそれを用いた非水電解液二次電池用セパレータに関する。
ポリオレフィン系微多孔膜は、精密濾過膜、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料などに使用されており、特にリチウムイオン2次電池用セパレータとして使用されている。近年、リチウムイオン2次電池は、携帯電話、ノート型パソコンなどの小型電子機器、さらには電気自動車、小型電動バイクなどへの応用も図られている。特に今後も全世界的に急速に市場が拡大していくノート型パソコンや携帯電話用途の機器は、様々な国々で生産、使用されることから、ポリオレフィン系微多孔膜には様々な要求特性に応えることが求められる。このような事情のもと、機能を複合化する目的から、多層構造のセパレータが提案されている。
例えば、特許文献1には、少なくとも2層を有する積層セパレータであって、そのうち1層のポリマー組成物が80℃〜150℃の温度範囲で流動温度(変性温度)を有する一方、もう1層のポリマー組成物は、上記変成温度より少なくとも約10℃高い温度において形状を保つセパレータ、及びその製法について記載されている。特許文献2,3にも同様の技術が記載されている。
また、特許文献4には、ポリオレフィンワックスと高分子量ポリオレフィンの混合物からなる熱閉塞性多孔質体を用いた多層セパレータについて記載されている。
更に、特許文献5には、電池の高容量化時における安全確保の観点から、実質的に融点を持たない無機粒子等をポリオレフィン等に含有するセパレータが記載されている。
特許第3483846号公報 特許第3235669号公報 特許第3422496号公報 特許第4052495号公報 特開2004−288614号公報
しかしながら、上記特許文献1〜5に記載されたセパレータはいずれも、安全性(耐電圧性)やサイクル性(透気度)の観点から、なお改良の余地を有するものであった。
本発明は、セパレータとして用いた場合に良好な安全性と良好なサイクル性とを備えた二次電池を実現し得る多層微多孔膜、等を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ね、特定のセパレータが上記問題を解決できる事を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
以下の(A)〜(B)の各工程、
(A)樹脂組成物(I)と、当該樹脂組成物(I)と同一又は異なる樹脂組成物(II)とを共に溶融状態で押出し、前記樹脂組成物(I)にて形成される第一の層と、前記樹脂組成物(II)にて形成される第二の層とを積層して多層膜を形成する多層膜形成工程、(B)前記多層膜形成工程の後、前記第一の層、及び前記第二の層を共に微多孔化する多層微多孔膜形成工程、
を含み、前記樹脂組成物(I)において、その樹脂成分の有する融点をmp(I)、粘度平均分子量をMv(I)とし、
前記樹脂組成物(II)において、その樹脂成分の有する融点をmp(II)、粘度平均分子量をMv(II)とした場合に、下記条件1〜3、
条件1:mp(I)とmp(II)とのmp差が10℃未満、
条件2:Mv(I)とMv(II)とのMv差が50万以下、
条件3:Mv(I)とMv(II)とのMv比が5未満、
を満たし、
前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分濃度と、前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分濃度との比が、1/2〜1/1であり、
前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分濃度が38〜42%であり、
前記(A)工程において、前記樹脂組成物(I)、及び前記樹脂組成物(II)が共に溶融状態で押出される際の、前記樹脂組成物(I)の押出し温度での溶融粘度と、前記樹脂組成物(II)の押出し温度での溶融粘度との比が0.7〜1.2であり、
前記第一の層を表面層とし、前記第二の層を中間層とする第一の層/第二の層/第一の層の層構成を有すると共に、前記第一の層の厚みが前記第二の層の厚みよりも薄く、
全体の厚みが18〜23μmであることを特徴とするポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
[2]
前記樹脂組成物(I)、及び前記樹脂組成物(II)がそれぞれ可塑剤を含むと共に、前記(B)工程が、前記第一の層、及び前記第二の層から前記可塑剤を抽出することにより多層微多孔膜を形成する工程である[1]に記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。

前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分及び/又は前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分が、80質量%以上のポリエチレンと、20質量%以下のポリプロピレンとを含む[1]又は[2]に記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。

前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分、及び前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分がそれぞれポリエチレンを有すると共に、前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分におけるポリエチレンの含有率と、前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分におけるポリエチレンの含有率との比が、4/5〜5/4である[1]〜[]のいずれかに記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。

前記樹脂組成物(I)及び/又は前記樹脂組成物(II)が無機フィラーを10〜90質量%の割合で含む[1]〜[]のいずれかに記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。

[1]〜[]のいずれかに記載の製造方法により得られたポリオレフィン系多層微多孔膜。

]のポリオレフィン系多層微多孔膜を用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
本発明によれば、セパレータとして用いた場合に良好な安全性(耐電圧性)と良好なサイクル性(透気度)とを備えた二次電池を実現し得る多層微多孔膜が提供される。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の、多層微多孔膜の製造方法は、以下の(A)〜(B)の各工程、
(A)樹脂組成物(I)と、当該樹脂組成物(I)と同一又は異なる樹脂組成物(II)とを共に溶融状態で押出し、前記樹脂組成物(I)にて形成される第一の層と、前記樹脂組成物(II)にて形成される第二の層とが積層された多層膜を形成する多層膜形成工程、
(B)前記多層膜形成工程の後、前記第一の層、及び前記第二の層を共に微多孔化する多層微多孔膜形成工程、
を含み、前記樹脂組成物(I)において、その樹脂成分の有する融点をmp(I)、粘度平均分子量をMv(I)とし、
前記樹脂組成物(II)において、その樹脂成分の有する融点をmp(II)、粘度平均分子量をMv(II)とした場合に、下記条件1〜3、
条件1:mp(I)とmp(II)との差、つまりmp差(△mp)が10℃未満、
条件2:Mv(I)とMv(II)との差、つまりMv差(△Mv)が50万以下、
条件3:Mv(I)とMv(II)との比、つまりMv比が5未満、
を満たすことを特徴とする。
従来、多層セパレータの開発においては、低温でのシャットダウン性能と高温での耐熱性とを両立することが指向されており、その具体的な手段としては、例えば、融点が10℃以上異なる樹脂同士を組み合わせて用いる方法(より具体的には、シャットダウン層としてポリエチレンを主体とした樹脂組成物からなる層と、耐熱層としてポリエチレンよりも高融点のポリプロピレン等を主体とした樹脂組成物からなる層とを積層して用いる方法)や、実質的に融点を持たない無機フィラー等を混合した無機フィラー層を併用する方法が用いられていた。即ち、多層セパレータを構成する各層については、各層の機能をそれぞれに発揮させるべく、各層の特性差をより大きくする方向で開発が行なわれてきた(上記特許文献1〜5参照)。
ここで、これら多層セパレータを効率よく製造する観点からは、各層に対応する膜をそれぞれに製膜して積層する方法よりも、各層の原料を共に溶融状態で押出し(共押出し)成形する方法が好ましい。そして、発明者等の研究によると、これら従来の開発アプローチ(各層の特性差をより大きくするアプローチ)とは逆行する形で、各層の特性差(mp差、Mv差)をより小さく設定し、Mv比についても一定範囲に設定することにより、多層微多孔膜を電池セパレータとして用いた場合の安全性(耐電圧性)、サイクル性(透気度)を向上させ得ることを見出した。
このような作用効果の詳細については詳らかではないが、次のように考えられる。例えば、融点の10℃以上異なるような樹脂を共押出することにより多層膜を形成する場合、共押出ダイス内の合流時点で、合流面の界面が乱れ(以下「層間乱れ」と記すことがある)、孔構造が局所的に一部破壊、乃至変形される場合が生じ得る。その部分で孔が広がる部分は耐電圧不良を生じる傾向になるものと考えられる。また一方で、その部分で孔がつぶれると、その部分でサイクル不良の原因となる。
一方、本実施の形態においては多層膜を形成するに際し、各層に用いる素材間の融点差や分子量差、分子量比を特定の関係とすることにより、上記層間乱れを抑制し得、孔構造を好適に保全し得て、セパレータとして用いた場合の耐電圧特性を向上させ得るものと考えられる。
前記樹脂組成物(I)、樹脂組成物(II)は、樹脂成分を含有し、上記(B)工程においていかなる開孔法を採用するかにより適宜可塑剤を含有することができ、更に、必要に応じて各種添加剤を含有することができる。ここで、(B)工程において、可塑剤により開孔させる方法を用いる場合は、樹脂組成物は樹脂成分と可塑剤成分を必須とし、樹脂組成物中の樹脂成分の占める割合が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。また(B)工程において、可塑剤を用いずに開孔させる方法を用いることもできる。なお、樹脂成分には無機フィラーを含んでもよく、その含有量は好ましくは10質量%以上90質量%以下、より好ましくは20質量%以上55質量%以下である。
樹脂成分としては、成型加工性と電解液に対する耐溶剤性の観点から、ポリオレフィンを主成分とすることが好ましい。ポリオレフィンの例としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン、等が挙げられる。
ポリプロピレンとしては、例えば、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン等の、プロピレンのホモ重合体や、プロピレンと、エチレンやブテン、炭素数5以上のα−オレフィンといったコモノマーとを共重合させて得られるランダム共重合体やブロック共重合体、ターポリマー、等が挙げられる。好ましくはアイソタクティックポリプロピレンである。
ポリプロピレンの粘度平均分子量(Mv)は、溶融混練が容易となり、その結果、膜としたときにフィッシュアイ状の欠陥が改善される点から、好ましくは100万以下であり、好ましくは70万以下、更に好ましくは60万以下である。
また、ポリエチレンとしては、例えば高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、及びこれらの混合物等が挙げられる。セパレータとした際の熱収縮を低減できる点から、セパレータ用としては、イオン重合による線状の高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、あるいはこれらの混合物の使用が好ましい。ここでいう超高分子量ポリエチレンとは、粘度平均分子量が50万以上のものを指す。超高分子量ポリエチレンが全ポリエチレン中に占める割合としては、好ましくは5〜50質量%、分散性の観点からより好ましくは9〜40質量%である。
ポリエチレンの粘度平均分子量Mv(複数種のポリエチレンを用いる場合には、その全体の粘度平均分子量)としては、微多孔膜の強度を向上させる観点から、好ましくは20万以上であり、更に好ましくは30万以上である。
ポリエチレンの分子量分布(Mw/Mn)は、無機粒子等を混合して混練する場合に、その混練性を向上させ、無機粒子が二次凝集した粒状の欠点が発生することを抑制する観点から、6以上であることが好ましい。より好ましくは8以上であり、更に好ましくは11以上、最も好ましくは20以上である。ここで、Mnは数平均分子量、Mwは重量平均分子量である。特に、無機粒子を併用する場合には、複数の重合機を用いた、例えば2段重合法ポリエチレンが好適に用いられる。2段重合法ポリエチレンは、従来公知の技術で製造されるもので、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法で分析すれば、分子量に対するその成分量のチャートにおいて2つのピークが観測されるので、容易に単段重合のポリエチレンと判別できる。2段重合法ポリエチレンは、ペレットやパウダーの形で供給されるが、複数の単段重合品の混合物とは違い、高分子量部分と低分子量部分が、実際的には分離できない事を特徴とする。即ち、2段重合法ポリエチレンは、樹脂の寸法的な最小単位であるパウダー原料の時点で、そのGPCのチャートが多段構造を有する。
ポリエチレンが前記樹脂成分中に占める割合としては、好ましくは80質量%以上、より好ましくは91質量%以上である。また、ポリプロピレンが前記樹脂成分中に占める割合としては、好ましくは20質量%以下、より好ましくは9質量%以下である。ポリエチレン、及びポリプロピレンの含量を上記範囲に設定することは、シャットダウン特性と共に、多層微多孔膜の強度を良好に発現させる観点から好適である。
前記Δmpとしては、耐電圧特性を向上させる観点から10℃未満であることが必要であり、好ましくは5℃以下、更に好ましくは3℃以下である。Δmpが10℃未満の時に、安全性やサイクル性が改善される理由は明らかにはなっていない。例えば、本実施の形態において可塑剤を用いて微多孔化を行う場合には、各層の樹脂が合流し、ダイスより押出され冷却される際に相分離が起こり、その後可塑剤を抽出することにより微多孔が形成されるが、Δmpが近い(小さい)と、相分離が近しい温度で同時に起こるため、互いの層の相分離に干渉しないため、孔構造に乱れが生じないためと推定される。
なお、ここでいうmpとは、樹脂成分のうち、成形時の溶融に最も影響を及ぼす成分、即ち、融解エネルギーの最も大きい成分のmpを指す。例えば、mp=131℃のポリエチレン95質量%と、mp=165℃のポリプロピレン5質量%からなる層のmpは、131℃となる。
前記ΔMvとしては、多層膜の界面において孔形状が変形せず均一となり、セパレータとして利用した際の耐電圧がセパレータのどの部分でも均一となり、安全性を向上させる観点から、50万以下であることが必要であり、好ましくは30万以下、より好ましくは20万以下である。
また、前記Mv比としても、安全性、サイクル性を向上させる観点から、5未満であることが必要であり、好ましくは3未満、より好ましくは2未満である。また、Mv比がこの範囲であると層間乱れが起きにくく、偏肉も低減される傾向となり好ましい。
なお、ここでいうMvとは、各層を構成する樹脂成分全体としての粘度平均分子量である。
本実施の形態において、前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分、及び前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分がそれぞれポリエチレンを含む場合、前記樹脂組成物(I)の樹脂成分におけるポリエチレンの含有率と、前記樹脂組成物(II)の樹脂成分におけるポリエチレンの含有率との比としては、好ましくは4/5〜5/4であり、より好ましくは9/10〜10/9である。当該比を上記範囲に設定することは、共押出における合流部の界面乱れを抑制し、安全性やサイクル性を向上させる観点から好適である。
本実施の形態において用いることが可能な無機フィラーとしては、例えば、アルミナ(例えば、α−アルミナなど)、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄などの酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス、ガラス繊維などが挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
無機フィラーが、前記樹脂組成物(I)、又は/及び樹脂組成物(II)中に占める割合としては、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜55質量%である。
本実施の形態において用いることが可能な可塑剤としては、ポリオレフィンと混合した際に、その融点以上において相溶することのできる有機化合物が望ましい。このような可塑剤として、例えば流動パラフィンやパラフィンワックスなどの炭化水素類、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレートなどのフタル酸エステル類、その他、セバシン酸エステル類、ステアリン酸エステル類、アジピン酸エステル類、リン酸エステル類が挙げられる。これらの可塑剤は単独で使用しても、2種以上混合して使用してもかまわない。
本実施の形態において、必要に応じて配合される各種添加剤としては、例えば、酸化防止剤、核剤、分散助剤、帯電防止剤等の添加剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、「BHT」(いずれも商標、チバスペシャリティーケミカルズ社製)等のフェノール系酸化防止剤や、リン系、イオウ系の二次酸化防止剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等を、単独または目的に応じて複数用いることができる。特にフェノール系酸化防止剤と、リン系酸化防止剤の組合せが好適に用いられる。具体的にはペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4‘−ビフェニレンフォスファイト等が好ましい。また、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキシフォスフェピン等も好適である。
本実施の形態においてポリプロピレンを用いる場合、その結晶性を制御し微多孔の形成を制御するため、結晶核剤を使用することが好ましい。特に押出成形により本実施の形態の微多孔膜を製造する場合には結晶核剤を使用することが好ましい。核剤の種類は特に問わないが、一般のベンジルソルビトール系、リン酸金属塩、t−ブチル安息香酸アルミニウム等のカルボン酸金属塩などが用いられる、その具体例はビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール,ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビスベンジリデンソルビトール等である。添加量は、所望の結晶化条件にもよるが、結晶化が迅速に進み、成型性が容易となる点から、プロピレンの量に対して100ppm以上であることが好ましく、過剰の核剤によるブリード過多を防止する点から10,000ppm以下であることが好ましい。さらに好ましい核剤の量は100〜2,000ppmである。通常の可塑剤を用いた微多孔膜の製造法では、流動パラフィンや、フタル酸エステル系の可塑剤を用いた場合、ポリエチレンは透過性が発揮されやすいが、ポリプロピレンはポリエチレンに比べ孔が小さくなり、透過性が劣る傾向となる。このポリプロピレンの透過性を解消する手段として、孔を適当な大きさに調整する方法が効果的であり、核剤の利用により、相分離速度が調整され、適当な孔構造の形成が容易となる。
その他、ポリプロピレンとポリエチレンの分散助剤として、例えば水添したスチレン−ブタジエン系エラストマーや、エチレンとプロピレンを共重合したエラストマー等も必要に応じて用いられる。これらの助剤の混合量は、特には規定されないがポリプロピレンとポリエチレンの合計量100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部が使用される。
前記(A)工程においては、まず、樹脂組成物(I)、樹脂組成物(II)がそれぞれ混練される。樹脂組成物(I)又は(II)を混練する方法としては、あらかじめ原料樹脂と場合により可塑剤をヘンシェルミキサーやタンブラーミキサー等で事前混練する工程を経て、該混練物を押出機に投入し、押出機中で加熱溶融させながら、必要に応じて任意の比率で所定量になるまで可塑剤を導入し、さらに混練する方法が挙げられる。このような方法は、樹脂組成の分散性がより良好なシートを得ることができ、各層が、高倍率でも破膜することなく延伸することができる点で好ましい。前記(B)工程が、前記樹脂組成物(I)、前記樹脂組成物(II)にそれぞれ可塑剤や無機フィラーを配合し、製膜後に可塑剤や無機フィラーを抽出して多層微多孔膜を形成する工程(湿式法)である場合には、樹脂組成物(I)、樹脂組成物(II)に可塑剤や無機フィラーを配合すれば良い。前記(B)工程が、前記樹脂組成物(I)、前記樹脂組成物(II)の結晶界面や無機フィラーと樹脂組成物との界面を利用して開孔する工程(乾式法)である場合には、樹脂組成物(I)、樹脂組成物(II)に可塑剤を配合せずとも開孔を実施し得る。
前記樹脂組成物(I)、前記樹脂組成物(II)が可塑剤を含有する場合、前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分濃度と、前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分濃度との比としては、好ましくは1/2〜2/1である。当該比を上記範囲に設定することは、吸液性と耐電圧性を改善する観点から好ましい。なお、樹脂成分濃度を「PC」(ポリマー濃度)と略記することがある。
前記(A)工程において用いられる溶融押出機としては、2軸押出機を用いる事が好適で、これにより、強度のせん断が付与出来るため、分散性が一層向上する。より好ましくは、2軸押出機のスクリューのL/Dが20〜70程度であり、さらに好ましくは30〜60である。そのスクリューにはフルフライトの部分と、一般にニーディングディスクやローター等の混練部分を配している事が好ましい。
押出機先端に装着されるダイスは、特に問わないが、サーキュラーダイス、Tダイス等が用いられる。本実施の形態では無機粒子を用いる場合や劣化し易い樹脂組成物を用いる場合は、それによる摩耗や付着を抑制する対策を講じたもの、例えば流路やリップに、テフロン(登録商標)加工、セラミック加工、ニッケル加工、モリブデン加工、ハードクロムコートしたものが好適に用いられる。
多層膜を得る場合、共押出ダイを用いる事が好適で、Tダイの場合は好ましくは、ダイスの内部で溶融樹脂を膜状に広げてから各層を合流せしめるコートハンガー式のマルチマニホールドダイスを用いるのが、厚み制御の面で特に好ましい。ただし、フィードブロックダイや、クロスヘッド式のダイスも用いることは可能である。サーキュラーダイスの場合はスパイラル式ダイや、多層フィルムでも5層以上の場合はスタック式のダイスが熱劣化防止の面で好ましい。各層間の接着強度を上げたい際には特に好ましい。
前記(A)工程において、樹脂組成物(I)と、樹脂組成物(II)とが共に溶融状態で押出されるが、両者を積合し多層化するのはダイス内であっても良いし、ダイス外であってもよい。
ここで、前記(A)工程において、前記樹脂組成物(I)、及び前記樹脂組成物(II)が共に溶融状態で押出される際の、前記樹脂組成物(I)の押出し温度での溶融粘度と、前記樹脂組成物(II)の押出し温度での溶融粘度との比としては、好ましくは1/3〜3/1、より好ましくは1/2〜2/1である。当該比を上記範囲に設定することは、樹脂合流時の界面乱れ等を抑制し、偏肉を抑制する観点から好ましい。
ダイスより押し出された溶融樹脂は、例えばキャスト装置に導入され、延伸前の原反とすることができる。その後、高機械強度、縦横の物性バランス付与の為、延伸されるが、2軸延伸が好ましい。好ましくは同時二軸延伸、逐次二軸延伸である。延伸温度は、好ましくは100℃〜155℃以下、さらに好ましくは110℃〜140℃の範囲内である。延伸倍率は、膜強度の観点で好ましくは面積倍率で3倍以上から200倍以下である。
前記(B)工程において、可塑剤や無機フィラーの抽出は膜を抽出溶媒に浸漬することにより行い、その後膜を十分乾燥させればよい。可塑剤のみを抽出する場合の抽出溶媒としては、ポリオレフィン、無機フィラーに対して貧溶媒であり、かつ可塑剤に対しては良溶媒であり、沸点がポリオレフィンの融点よりも低いことが望ましい。このような抽出溶媒として、例えば塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタンなどの塩素系溶剤、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、環状ヒドロフルオロカーボン、ペルオロカーボン、ペルフルオロエーテルなどのハロゲン系有機溶剤、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテル類、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、メタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類が挙げられる。またこれらの抽出溶媒を二種類以上使用してもよい。この中では特に塩化メチレンが好ましい。抽出工程は延伸工程の前でもよいし、後でもよい。複数の抽出槽による多段抽出でもよい。無機フィラーの抽出溶媒としては、例えば、アルカリ水等が挙げられる。
可塑剤や無機フィラーの抽出後には、膜厚、透気度などの膜物性の調整、或いはフィルムの熱収縮防止のため必要に応じて加熱延伸による熱固定を加えてもよい。該抽出後の延伸は一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸が挙げられ、好ましくは同時二軸延伸、逐次二軸延伸である。延伸温度は、好ましくは100℃以上から155℃以下である。延伸倍率は、好ましくは面積倍率で1倍を越えて10倍以下である。
引続き、さらに寸法安定化のため熱処理をする場合は、高温雰囲気下での膜収縮を低減するために、例えば二軸延伸機、一軸延伸機、あるいは両方を用いて、100℃以上150℃以下で熱処理を行うことができる。好ましくは、mp(A)以下かつmp(B)以下の温度範囲で、幅方向、長さ方向、あるいは両方向にその倍率または/及び応力を緩和することにより行う。
本実施の形態における多層微多孔膜は、熱収縮特性をより向上させる観点から、その表面に、更に無機フィラー層を備えても良い。このような無機フィラー層は、例えば、無機フィラー100質量部に対しバインダー1〜30質量部とを含む混合液(必要に応じ、溶媒を含有する)を塗布し、必要に応じて乾燥することにより形成することができる。
このような無機フィラーとしては、上述した無機フィラーと同様のものを用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンなどの含フッ素樹脂、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体やエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などの含フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体およびその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体およびその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体およびその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなどのゴム類、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステルなどの融点および/またはガラス転移温度が180℃以上の樹脂が挙げられる。
無機フィラーとバインダーとを含む混合液を多孔膜に塗布する方法については、必要とする層厚や塗布面積を実現できる方法であれば特に限定しない。例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコータ−法、ナイフコータ−法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等が挙げられる。また、用途に応じて無機フィラー含有樹脂溶液をポリオレフィン樹脂多孔膜の片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。
本実施の形態における多層微多孔膜は、樹脂組成物(I)を用いて形成された微多孔層(I)と、樹脂組成物(II)を用いて形成された微多孔層(II)とが積層された形態を有する。
前記微多孔層(I)の気孔率と前記微多孔層(II)の気孔率との比としては、好ましくは2/1〜1/2である。
また、前記微多孔層(I)の気孔率と前記微多孔層(II)の気孔率との差としては、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは9%以下である。
更に、前記微多孔層(I)の透気度と前記微多孔層(II)の透気度との比としては、好ましくは1/5〜5/1である。
このような範囲とすることは、セパレータとして使用した際の、電解液の吸液性を向上させ、サイクル特性や電池生産時の液入れの時間を短縮する観点から好ましい。
なお、気孔率の調整方法としては、例えば、可塑剤と樹脂組成物の量比の調整や、延伸倍率の選択により調整する。また、透気度は、気孔率と厚みの調整により制御する方法、等が挙げられる。
本実施の形態における多層微多孔膜は様々な層構成をとり得るが、前記微多孔層(I)を表面層とし、前記微多孔層(II)を中間層とする微多孔層(I)/微多孔層(II)/微多孔層(I)の層構成を有すると共に、前記微多孔層(I)の厚みが前記微多孔層(II)の厚みよりも薄いこと、好ましくは1μm以上薄いことが好ましい。このような層構成とすることは、共押出における合流部の界面乱れをより低減し、耐電圧特性を向上させる観点から好ましい。
なお、微多孔層(I)の厚みは、好ましくは0.5〜10μmの範囲内、更に好ましくは1〜8μm、微多孔層(II)の厚みは、好ましくは2〜50μm、更に好ましくは4〜20μmである。この範囲内であると、界面乱れが更に改善される。また多層微多孔膜全体の厚みは機械的強度とイオン透過性の観点から、好ましくは4〜50μm、更に好ましくは5〜25μm、最も好ましくは5〜19μmである。
本実施の形態における多層微多孔膜は、孔が三次元的に入り組んでいる三次元網目構造をとっていることが好ましい。三次元網目構造とは、表面が葉脈状であり、任意の三次元座標軸方向からの断面の膜構造がスポンジ状である構造である。葉脈状とはフィブリルが網状構造を形成している状態である。これらは走査型電子顕微鏡で表面および断面を観察することにより確認できる。三次元網目構造のフィブリル径は0.01μm以上0.3μm以下であることが好ましく、走査型電子顕微鏡で観察できる。
本実施の形態における多層微多孔膜は、リチウムイオン二次電池といった非水電解液二次電池用のセパレータとして用いることが可能である。本実施の形態における多層微多孔膜をセパレータとして使用する際、そのセパレータは、好ましくは以下の膜物性(積層フィルムの一部に用いる場合は、セパレータ全体の物性)を示すのが良い。
透気度は、機械強度、自己放電の点から好ましくは50秒/100cc以上、電池のサイクル特性、レート特性の点から好ましくは1000秒/100cc以下である。好ましくは70秒/100cc以上800秒/100cc以下、より好ましくは100秒/100cc以上600秒/100cc以下である。
突刺強度は、電池の組立の点から好ましくは300g以上である。さらに好ましくは400g以上である。
破断強度は、電池の組立の点からMD方向、TD方向ともに好ましくは500kg/cm以上、MD方向とTD方向の破断強度の比は0.1以上8.0以下が好ましい。より好ましくは0.1以上5.0以下、さらに好ましくは0.5以上2.0以下である。
なお、上述した各種パラメータの値は、特に断りの無い限り、以下の実施例における測定法に準じて測定される。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の物性は以下の方法により測定した。判定は必用項目において行い、◎、○を合格とし×を不合格とした。
(1)粘度平均分子量(Mv)
ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η]を求める。ポリエチレンのMvは次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
ポリプロピレンについては、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
なお、複数種の樹脂が用いられた場合の、樹脂成分全体としての粘度平均分子量は、用いられる各樹脂についてMvを算出し、それらの相加平均値として算出することができる。例えば、60質量%のポリエチレン(Mv30万)と、35質量%のポリエチレン(Mv100万)と、5質量%のポリプロピレン(Mv80万)との組成物としてのMvは、
Mv(組成物)=10^{0.6×LOG(30)+0.35×LOG(100)+0.05×LOG(80)}
として算出することができる。
(2)mp(℃)
DSC法にて測定した。昇温速度10℃/minで常温から200℃まで加熱し、5分間待機後、降温速度 10℃/minで50℃まで降温し、更に昇温速度10℃/minで常温から200℃まで2回目の加熱を実施し、2回目の加熱時に観測される吸熱ピークのうち、融解エネルギーが最大となるピークが示す温度を融点(mp、℃)とした。
(3)各層の厚み(μm)
一般の走査型電子顕微鏡による断面観察により、積層体を構成する各層の厚みを測定した。
(4)気孔率(%)
全層の気孔率:100mm四方の微多孔膜のサンプルの質量から目付けをW(g/cm2)算出する。次に微多孔膜を構成する成分(樹脂及び添加剤)の平均密度を算出しρ(g/cm)とし、微多孔膜の厚みをd(cm)とした際、気孔率は下記式にて計算した。
全層気孔率=(W/(d*ρ))*100(%)
各層の気孔率:断面のSEM写真をとり、各層における空孔部分と樹脂部分の面積比により、各層の気孔率(気孔率A)とした。なお、計算された各層の気孔率と当該層の厚みを掛け合わせたものの総和を気孔率Bとし、気孔率B上述の全層気孔率が異なる場合は各層の気功率を下記の用に補正した。
各層の気孔率=気孔率A*全層気孔率/気孔率B。
(5)透気度 (sec/100cc)
JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計「G−B2」(東洋精機製作所(株)製、商標)で測定した。
(6)突刺し強度(g)
ハンディー圧縮試験器「KES−G5」(カトーテック製、商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secの条件で突刺試験を行うことにより、求めた。
(7)偏肉
製膜した多層微多孔膜の全周方向を、接触式連続厚み測定装置(ANRITSU K310D 安立電気株式会社製)にて厚みを測定し、チャート上でベースラインに対するピークの高さを1μ単位で読みとり、この値を持って評価した。
(8)耐電圧性
表面を清浄にしたΦ35mmの電極に、50mm*50mmのフィルムサンプルを挟み、電極に電圧を掛け上昇させていき、0.5mAの電流が流れてスパークする際の電圧値を測定する。この測定を、サンプルフィルムの面内で少なくとも15回測定し、その平均値を記録する。この際1.8KV以上を◎、1.0KV以上を○、1.0KV未満を×とした。
[実施例1]
微多孔層(I)/微多孔層(II)/微多孔層(I)の3層構成を有する多層微多孔膜の製造例について示す。なお実施例で使用される原料樹脂を表1に示した。また、多層膜の各層をそれぞれ、(I)層、或いは(II)層というように略記することがある。
表2に示す配合割合にて原料樹脂(樹脂成分)を配合した。また、当該原料樹脂100質量部に対し、核剤としてビス(P−エチルベンジリデン)ソルビトールを0.5質量部、酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.3質量部、可塑剤として流動パラフィン(37.8℃における動粘度75.90cSt、密度868kg/m)を10質量部配合した。これらの原料をヘンシェルミキサーで攪拌し原料を調整した。
次に、(I)層の原料、(II)層の原料をそれぞれ別個の二軸押出機(口径44mm、L/D=49)に投入した。両押出機のシリンダーの途中部分において、流動パラフィンを、(I)層、(II)層それぞれにおいて表2に記載された樹脂濃度(PC(I))(PC(II))となるように注入した。両表層((I)層)、中間層((II)層)の押出量を調製し、ダイス出口で(I)層と(II)層の厚み比が表2に記載の厚み比となるように設定した。
なお、押出機とダイスとの間には、400メッシュのスクリーンを配したスクリーンチェンジャー、およびギヤポンプを配した。ダイスはマルチマニホールド式の共押出が可能なTダイを用いた。ダイス内では、表層がほぼ均等に等分され、中間層の両側に積合される。ダイスから出た溶融フィルム原反は、キャストロールで冷却固化させ、合計厚さ1.5mmのシートを成形した。
このシートを同時二軸延伸機で120℃の条件で面積倍率45倍に延伸した後、塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後に乾燥し、さらにテンター延伸機により125〜130℃の条件で横方向に1.5倍延伸し、この延伸シートを130℃で7%幅方向に緩和して熱処理を行った。これにより、表層の二層が同一の組成で、中間層が異なる二種三層構造を有する全層で18μm(表層/中間層/表層=4μm/10μm/4μm)の微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表2に示す。この微多孔膜は耐電圧性に特に優れていた。
[実施例2、実施例7、10、14、参考実施例3〜6、8〜9、11〜13、比較例1〜7]
表2に記載した条件以外は実施例1と同様にして、表層の二層が同一の組成で、中間層が異なる二種三層構造を有する微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表2に示す。
実施例2、実施例7、10、14、参考実施例3〜6、8〜9、11〜13では、多層微多孔膜は十分な性能を示すものの、下記のような特徴がある。実施例2、参考実施例3〜5では、ΔMv又は/及び△mpが実施例1に比べ大きいため、耐電圧性が下がり、透気度も低下する(測定値としては増大する)傾向となっている。参考実施例6は中間層が薄いため、偏肉がやや大きくなっている。参考実施例9では可塑剤比(PC(I)/PCII)が0.5に近く、耐電圧性が下がり、透気度も低下する傾向となっている。実施例10は、中間層と表層のポリエチレン含有比が比較的大きい実施例であり、実施例1に比べると耐電圧性がやや劣ってきている。
比較例1、4、5はΔmpが過大であるため、偏肉特性、耐電圧性が不十分である。比較例2、3、6はΔMvやMv比が過大であるため耐電圧が悪化している。比較例7は耐電圧が不十分であった。この理由は、実施例1〜2、実施例7、10、14、参考実施例3〜6、8〜9、11〜13は多層フィルムであるため、一つの層に耐電圧性に重大な影響を与えるような欠陥があっても、他の層がバックアップできるが、単層フィルムの場合はそれが無いためと推定される。
Figure 0005047089
Figure 0005047089
本発明によれば、セパレータとして用いた場合に良好な安全性と良好なサイクル性とを備えた二次電池を実現し得る多層微多孔膜が提供される。

Claims (7)

  1. 以下の(A)〜(B)の各工程、
    (A)樹脂組成物(I)と、当該樹脂組成物(I)と同一又は異なる樹脂組成物(II)とを共に溶融状態で押出し、前記樹脂組成物(I)にて形成される第一の層と、前記樹脂組成物(II)にて形成される第二の層とを積層して多層膜を形成する多層膜形成工程、(B)前記多層膜形成工程の後、前記第一の層、及び前記第二の層を共に微多孔化する多層微多孔膜形成工程、
    を含み、前記樹脂組成物(I)において、その樹脂成分の有する融点をmp(I)、粘度平均分子量をMv(I)とし、
    前記樹脂組成物(II)において、その樹脂成分の有する融点をmp(II)、粘度平均分子量をMv(II)とした場合に、下記条件1〜3、
    条件1:mp(I)とmp(II)とのmp差が10℃未満、
    条件2:Mv(I)とMv(II)とのMv差が50万以下、
    条件3:Mv(I)とMv(II)とのMv比が5未満、
    を満たし、
    前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分濃度と、前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分濃度との比が、1/2〜1/1であり、
    前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分濃度が38〜42%であり、
    前記(A)工程において、前記樹脂組成物(I)、及び前記樹脂組成物(II)が共に溶融状態で押出される際の、前記樹脂組成物(I)の押出し温度での溶融粘度と、前記樹脂組成物(II)の押出し温度での溶融粘度との比が0.7〜1.2であり、
    前記第一の層を表面層とし、前記第二の層を中間層とする第一の層/第二の層/第一の層の層構成を有すると共に、前記第一の層の厚みが前記第二の層の厚みよりも薄く、
    全体の厚みが18〜23μmであることを特徴とするポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
  2. 前記樹脂組成物(I)、及び前記樹脂組成物(II)がそれぞれ可塑剤を含むと共に、前記(B)工程が、前記第一の層、及び前記第二の層から前記可塑剤を抽出することにより多層微多孔膜を形成する工程である請求項1に記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
  3. 前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分及び/又は前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分が
    、80質量%以上のポリエチレンと、20質量%以下のポリプロピレンとを含む請求項1又は2に記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
  4. 前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分、及び前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分がそれぞれポリエチレンを有すると共に、前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分におけるポリエチレンの含有率と、前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分におけるポリエチレンの含有率との比が、4/5〜5/4である請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
  5. 前記樹脂組成物(I)及び/又は前記樹脂組成物(II)が無機フィラーを10〜90質量%の割合で含む請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法により得られたポリオレフィン系多層微多孔膜。
  7. 請求項ポリオレフィン系多層微多孔膜を用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
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