JP5047089B2 - 多層微多孔膜の製造方法および非水電解液二次電池用セパレータ - Google Patents
多層微多孔膜の製造方法および非水電解液二次電池用セパレータ Download PDFInfo
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Description
また、特許文献4には、ポリオレフィンワックスと高分子量ポリオレフィンの混合物からなる熱閉塞性多孔質体を用いた多層セパレータについて記載されている。
更に、特許文献5には、電池の高容量化時における安全確保の観点から、実質的に融点を持たない無機粒子等をポリオレフィン等に含有するセパレータが記載されている。
本発明は、セパレータとして用いた場合に良好な安全性と良好なサイクル性とを備えた二次電池を実現し得る多層微多孔膜、等を提供することを目的とする。
[1]
以下の(A)〜(B)の各工程、
(A)樹脂組成物(I)と、当該樹脂組成物(I)と同一又は異なる樹脂組成物(II)とを共に溶融状態で押出し、前記樹脂組成物(I)にて形成される第一の層と、前記樹脂組成物(II)にて形成される第二の層とを積層して多層膜を形成する多層膜形成工程、(B)前記多層膜形成工程の後、前記第一の層、及び前記第二の層を共に微多孔化する多層微多孔膜形成工程、
を含み、前記樹脂組成物(I)において、その樹脂成分の有する融点をmp(I)、粘度平均分子量をMv(I)とし、
前記樹脂組成物(II)において、その樹脂成分の有する融点をmp(II)、粘度平均分子量をMv(II)とした場合に、下記条件1〜3、
条件1:mp(I)とmp(II)とのmp差が10℃未満、
条件2:Mv(I)とMv(II)とのMv差が50万以下、
条件3:Mv(I)とMv(II)とのMv比が5未満、
を満たし、
前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分濃度と、前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分濃度との比が、1/2〜1/1であり、
前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分濃度が38〜42%であり、
前記(A)工程において、前記樹脂組成物(I)、及び前記樹脂組成物(II)が共に溶融状態で押出される際の、前記樹脂組成物(I)の押出し温度での溶融粘度と、前記樹脂組成物(II)の押出し温度での溶融粘度との比が0.7〜1.2であり、
前記第一の層を表面層とし、前記第二の層を中間層とする第一の層/第二の層/第一の層の層構成を有すると共に、前記第一の層の厚みが前記第二の層の厚みよりも薄く、
全体の厚みが18〜23μmであることを特徴とするポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
[2]
前記樹脂組成物(I)、及び前記樹脂組成物(II)がそれぞれ可塑剤を含むと共に、前記(B)工程が、前記第一の層、及び前記第二の層から前記可塑剤を抽出することにより多層微多孔膜を形成する工程である[1]に記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
[3]
前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分及び/又は前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分が、80質量%以上のポリエチレンと、20質量%以下のポリプロピレンとを含む[1]又は[2]に記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
[4]
前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分、及び前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分がそれぞれポリエチレンを有すると共に、前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分におけるポリエチレンの含有率と、前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分におけるポリエチレンの含有率との比が、4/5〜5/4である[1]〜[3]のいずれかに記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
[5]
前記樹脂組成物(I)及び/又は前記樹脂組成物(II)が無機フィラーを10〜90質量%の割合で含む[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法により得られたポリオレフィン系多層微多孔膜。
[7]
[6]のポリオレフィン系多層微多孔膜を用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
本実施の形態の、多層微多孔膜の製造方法は、以下の(A)〜(B)の各工程、
(A)樹脂組成物(I)と、当該樹脂組成物(I)と同一又は異なる樹脂組成物(II)とを共に溶融状態で押出し、前記樹脂組成物(I)にて形成される第一の層と、前記樹脂組成物(II)にて形成される第二の層とが積層された多層膜を形成する多層膜形成工程、
(B)前記多層膜形成工程の後、前記第一の層、及び前記第二の層を共に微多孔化する多層微多孔膜形成工程、
を含み、前記樹脂組成物(I)において、その樹脂成分の有する融点をmp(I)、粘度平均分子量をMv(I)とし、
前記樹脂組成物(II)において、その樹脂成分の有する融点をmp(II)、粘度平均分子量をMv(II)とした場合に、下記条件1〜3、
条件1:mp(I)とmp(II)との差、つまりmp差(△mp)が10℃未満、
条件2:Mv(I)とMv(II)との差、つまりMv差(△Mv)が50万以下、
条件3:Mv(I)とMv(II)との比、つまりMv比が5未満、
を満たすことを特徴とする。
ここで、これら多層セパレータを効率よく製造する観点からは、各層に対応する膜をそれぞれに製膜して積層する方法よりも、各層の原料を共に溶融状態で押出し(共押出し)成形する方法が好ましい。そして、発明者等の研究によると、これら従来の開発アプローチ(各層の特性差をより大きくするアプローチ)とは逆行する形で、各層の特性差(mp差、Mv差)をより小さく設定し、Mv比についても一定範囲に設定することにより、多層微多孔膜を電池セパレータとして用いた場合の安全性(耐電圧性)、サイクル性(透気度)を向上させ得ることを見出した。
一方、本実施の形態においては多層膜を形成するに際し、各層に用いる素材間の融点差や分子量差、分子量比を特定の関係とすることにより、上記層間乱れを抑制し得、孔構造を好適に保全し得て、セパレータとして用いた場合の耐電圧特性を向上させ得るものと考えられる。
ポリプロピレンとしては、例えば、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン等の、プロピレンのホモ重合体や、プロピレンと、エチレンやブテン、炭素数5以上のα−オレフィンといったコモノマーとを共重合させて得られるランダム共重合体やブロック共重合体、ターポリマー、等が挙げられる。好ましくはアイソタクティックポリプロピレンである。
ポリプロピレンの粘度平均分子量(Mv)は、溶融混練が容易となり、その結果、膜としたときにフィッシュアイ状の欠陥が改善される点から、好ましくは100万以下であり、好ましくは70万以下、更に好ましくは60万以下である。
ポリエチレンの粘度平均分子量Mv(複数種のポリエチレンを用いる場合には、その全体の粘度平均分子量)としては、微多孔膜の強度を向上させる観点から、好ましくは20万以上であり、更に好ましくは30万以上である。
なお、ここでいうmpとは、樹脂成分のうち、成形時の溶融に最も影響を及ぼす成分、即ち、融解エネルギーの最も大きい成分のmpを指す。例えば、mp=131℃のポリエチレン95質量%と、mp=165℃のポリプロピレン5質量%からなる層のmpは、131℃となる。
また、前記Mv比としても、安全性、サイクル性を向上させる観点から、5未満であることが必要であり、好ましくは3未満、より好ましくは2未満である。また、Mv比がこの範囲であると層間乱れが起きにくく、偏肉も低減される傾向となり好ましい。
なお、ここでいうMvとは、各層を構成する樹脂成分全体としての粘度平均分子量である。
無機フィラーが、前記樹脂組成物(I)、又は/及び樹脂組成物(II)中に占める割合としては、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜55質量%である。
酸化防止剤としては、「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、「BHT」(いずれも商標、チバスペシャリティーケミカルズ社製)等のフェノール系酸化防止剤や、リン系、イオウ系の二次酸化防止剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等を、単独または目的に応じて複数用いることができる。特にフェノール系酸化防止剤と、リン系酸化防止剤の組合せが好適に用いられる。具体的にはペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4‘−ビフェニレンフォスファイト等が好ましい。また、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキシフォスフェピン等も好適である。
その他、ポリプロピレンとポリエチレンの分散助剤として、例えば水添したスチレン−ブタジエン系エラストマーや、エチレンとプロピレンを共重合したエラストマー等も必要に応じて用いられる。これらの助剤の混合量は、特には規定されないがポリプロピレンとポリエチレンの合計量100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部が使用される。
押出機先端に装着されるダイスは、特に問わないが、サーキュラーダイス、Tダイス等が用いられる。本実施の形態では無機粒子を用いる場合や劣化し易い樹脂組成物を用いる場合は、それによる摩耗や付着を抑制する対策を講じたもの、例えば流路やリップに、テフロン(登録商標)加工、セラミック加工、ニッケル加工、モリブデン加工、ハードクロムコートしたものが好適に用いられる。
多層膜を得る場合、共押出ダイを用いる事が好適で、Tダイの場合は好ましくは、ダイスの内部で溶融樹脂を膜状に広げてから各層を合流せしめるコートハンガー式のマルチマニホールドダイスを用いるのが、厚み制御の面で特に好ましい。ただし、フィードブロックダイや、クロスヘッド式のダイスも用いることは可能である。サーキュラーダイスの場合はスパイラル式ダイや、多層フィルムでも5層以上の場合はスタック式のダイスが熱劣化防止の面で好ましい。各層間の接着強度を上げたい際には特に好ましい。
ここで、前記(A)工程において、前記樹脂組成物(I)、及び前記樹脂組成物(II)が共に溶融状態で押出される際の、前記樹脂組成物(I)の押出し温度での溶融粘度と、前記樹脂組成物(II)の押出し温度での溶融粘度との比としては、好ましくは1/3〜3/1、より好ましくは1/2〜2/1である。当該比を上記範囲に設定することは、樹脂合流時の界面乱れ等を抑制し、偏肉を抑制する観点から好ましい。
前記微多孔層(I)の気孔率と前記微多孔層(II)の気孔率との比としては、好ましくは2/1〜1/2である。
また、前記微多孔層(I)の気孔率と前記微多孔層(II)の気孔率との差としては、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは9%以下である。
更に、前記微多孔層(I)の透気度と前記微多孔層(II)の透気度との比としては、好ましくは1/5〜5/1である。
このような範囲とすることは、セパレータとして使用した際の、電解液の吸液性を向上させ、サイクル特性や電池生産時の液入れの時間を短縮する観点から好ましい。
なお、気孔率の調整方法としては、例えば、可塑剤と樹脂組成物の量比の調整や、延伸倍率の選択により調整する。また、透気度は、気孔率と厚みの調整により制御する方法、等が挙げられる。
なお、微多孔層(I)の厚みは、好ましくは0.5〜10μmの範囲内、更に好ましくは1〜8μm、微多孔層(II)の厚みは、好ましくは2〜50μm、更に好ましくは4〜20μmである。この範囲内であると、界面乱れが更に改善される。また多層微多孔膜全体の厚みは機械的強度とイオン透過性の観点から、好ましくは4〜50μm、更に好ましくは5〜25μm、最も好ましくは5〜19μmである。
透気度は、機械強度、自己放電の点から好ましくは50秒/100cc以上、電池のサイクル特性、レート特性の点から好ましくは1000秒/100cc以下である。好ましくは70秒/100cc以上800秒/100cc以下、より好ましくは100秒/100cc以上600秒/100cc以下である。
突刺強度は、電池の組立の点から好ましくは300g以上である。さらに好ましくは400g以上である。
破断強度は、電池の組立の点からMD方向、TD方向ともに好ましくは500kg/cm2以上、MD方向とTD方向の破断強度の比は0.1以上8.0以下が好ましい。より好ましくは0.1以上5.0以下、さらに好ましくは0.5以上2.0以下である。
なお、上述した各種パラメータの値は、特に断りの無い限り、以下の実施例における測定法に準じて測定される。
ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η]を求める。ポリエチレンのMvは次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
ポリプロピレンについては、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
なお、複数種の樹脂が用いられた場合の、樹脂成分全体としての粘度平均分子量は、用いられる各樹脂についてMvを算出し、それらの相加平均値として算出することができる。例えば、60質量%のポリエチレン(Mv30万)と、35質量%のポリエチレン(Mv100万)と、5質量%のポリプロピレン(Mv80万)との組成物としてのMvは、
Mv(組成物)=10^{0.6×LOG(30)+0.35×LOG(100)+0.05×LOG(80)}
として算出することができる。
DSC法にて測定した。昇温速度10℃/minで常温から200℃まで加熱し、5分間待機後、降温速度 10℃/minで50℃まで降温し、更に昇温速度10℃/minで常温から200℃まで2回目の加熱を実施し、2回目の加熱時に観測される吸熱ピークのうち、融解エネルギーが最大となるピークが示す温度を融点(mp、℃)とした。
一般の走査型電子顕微鏡による断面観察により、積層体を構成する各層の厚みを測定した。
全層の気孔率:100mm四方の微多孔膜のサンプルの質量から目付けをW(g/cm2)算出する。次に微多孔膜を構成する成分(樹脂及び添加剤)の平均密度を算出しρ(g/cm3)とし、微多孔膜の厚みをd(cm)とした際、気孔率は下記式にて計算した。
全層気孔率=(W/(d*ρ))*100(%)
各層の気孔率:断面のSEM写真をとり、各層における空孔部分と樹脂部分の面積比により、各層の気孔率(気孔率A)とした。なお、計算された各層の気孔率と当該層の厚みを掛け合わせたものの総和を気孔率Bとし、気孔率B上述の全層気孔率が異なる場合は各層の気功率を下記の用に補正した。
各層の気孔率=気孔率A*全層気孔率/気孔率B。
JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計「G−B2」(東洋精機製作所(株)製、商標)で測定した。
ハンディー圧縮試験器「KES−G5」(カトーテック製、商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secの条件で突刺試験を行うことにより、求めた。
製膜した多層微多孔膜の全周方向を、接触式連続厚み測定装置(ANRITSU K310D 安立電気株式会社製)にて厚みを測定し、チャート上でベースラインに対するピークの高さを1μ単位で読みとり、この値を持って評価した。
表面を清浄にしたΦ35mmの電極に、50mm*50mmのフィルムサンプルを挟み、電極に電圧を掛け上昇させていき、0.5mAの電流が流れてスパークする際の電圧値を測定する。この測定を、サンプルフィルムの面内で少なくとも15回測定し、その平均値を記録する。この際1.8KV以上を◎、1.0KV以上を○、1.0KV未満を×とした。
微多孔層(I)/微多孔層(II)/微多孔層(I)の3層構成を有する多層微多孔膜の製造例について示す。なお実施例で使用される原料樹脂を表1に示した。また、多層膜の各層をそれぞれ、(I)層、或いは(II)層というように略記することがある。
表2に示す配合割合にて原料樹脂(樹脂成分)を配合した。また、当該原料樹脂100質量部に対し、核剤としてビス(P−エチルベンジリデン)ソルビトールを0.5質量部、酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.3質量部、可塑剤として流動パラフィン(37.8℃における動粘度75.90cSt、密度868kg/m3)を10質量部配合した。これらの原料をヘンシェルミキサーで攪拌し原料を調整した。
次に、(I)層の原料、(II)層の原料をそれぞれ別個の二軸押出機(口径44mm、L/D=49)に投入した。両押出機のシリンダーの途中部分において、流動パラフィンを、(I)層、(II)層それぞれにおいて表2に記載された樹脂濃度(PC(I))(PC(II))となるように注入した。両表層((I)層)、中間層((II)層)の押出量を調製し、ダイス出口で(I)層と(II)層の厚み比が表2に記載の厚み比となるように設定した。
なお、押出機とダイスとの間には、400メッシュのスクリーンを配したスクリーンチェンジャー、およびギヤポンプを配した。ダイスはマルチマニホールド式の共押出が可能なTダイを用いた。ダイス内では、表層がほぼ均等に等分され、中間層の両側に積合される。ダイスから出た溶融フィルム原反は、キャストロールで冷却固化させ、合計厚さ1.5mmのシートを成形した。
このシートを同時二軸延伸機で120℃の条件で面積倍率45倍に延伸した後、塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後に乾燥し、さらにテンター延伸機により125〜130℃の条件で横方向に1.5倍延伸し、この延伸シートを130℃で7%幅方向に緩和して熱処理を行った。これにより、表層の二層が同一の組成で、中間層が異なる二種三層構造を有する全層で18μm(表層/中間層/表層=4μm/10μm/4μm)の微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表2に示す。この微多孔膜は耐電圧性に特に優れていた。
表2に記載した条件以外は実施例1と同様にして、表層の二層が同一の組成で、中間層が異なる二種三層構造を有する微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表2に示す。
実施例2、実施例7、10、14、参考実施例3〜6、8〜9、11〜13では、多層微多孔膜は十分な性能を示すものの、下記のような特徴がある。実施例2、参考実施例3〜5では、ΔMv又は/及び△mpが実施例1に比べ大きいため、耐電圧性が下がり、透気度も低下する(測定値としては増大する)傾向となっている。参考実施例6は中間層が薄いため、偏肉がやや大きくなっている。参考実施例9では可塑剤比(PC(I)/PCII)が0.5に近く、耐電圧性が下がり、透気度も低下する傾向となっている。実施例10は、中間層と表層のポリエチレン含有比が比較的大きい実施例であり、実施例1に比べると耐電圧性がやや劣ってきている。
比較例1、4、5はΔmpが過大であるため、偏肉特性、耐電圧性が不十分である。比較例2、3、6はΔMvやMv比が過大であるため耐電圧が悪化している。比較例7は耐電圧が不十分であった。この理由は、実施例1〜2、実施例7、10、14、参考実施例3〜6、8〜9、11〜13は多層フィルムであるため、一つの層に耐電圧性に重大な影響を与えるような欠陥があっても、他の層がバックアップできるが、単層フィルムの場合はそれが無いためと推定される。
Claims (7)
- 以下の(A)〜(B)の各工程、
(A)樹脂組成物(I)と、当該樹脂組成物(I)と同一又は異なる樹脂組成物(II)とを共に溶融状態で押出し、前記樹脂組成物(I)にて形成される第一の層と、前記樹脂組成物(II)にて形成される第二の層とを積層して多層膜を形成する多層膜形成工程、(B)前記多層膜形成工程の後、前記第一の層、及び前記第二の層を共に微多孔化する多層微多孔膜形成工程、
を含み、前記樹脂組成物(I)において、その樹脂成分の有する融点をmp(I)、粘度平均分子量をMv(I)とし、
前記樹脂組成物(II)において、その樹脂成分の有する融点をmp(II)、粘度平均分子量をMv(II)とした場合に、下記条件1〜3、
条件1:mp(I)とmp(II)とのmp差が10℃未満、
条件2:Mv(I)とMv(II)とのMv差が50万以下、
条件3:Mv(I)とMv(II)とのMv比が5未満、
を満たし、
前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分濃度と、前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分濃度との比が、1/2〜1/1であり、
前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分濃度が38〜42%であり、
前記(A)工程において、前記樹脂組成物(I)、及び前記樹脂組成物(II)が共に溶融状態で押出される際の、前記樹脂組成物(I)の押出し温度での溶融粘度と、前記樹脂組成物(II)の押出し温度での溶融粘度との比が0.7〜1.2であり、
前記第一の層を表面層とし、前記第二の層を中間層とする第一の層/第二の層/第一の層の層構成を有すると共に、前記第一の層の厚みが前記第二の層の厚みよりも薄く、
全体の厚みが18〜23μmであることを特徴とするポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。 - 前記樹脂組成物(I)、及び前記樹脂組成物(II)がそれぞれ可塑剤を含むと共に、前記(B)工程が、前記第一の層、及び前記第二の層から前記可塑剤を抽出することにより多層微多孔膜を形成する工程である請求項1に記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
- 前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分及び/又は前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分が
、80質量%以上のポリエチレンと、20質量%以下のポリプロピレンとを含む請求項1又は2に記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。 - 前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分、及び前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分がそれぞれポリエチレンを有すると共に、前記樹脂組成物(I)中の樹脂成分におけるポリエチレンの含有率と、前記樹脂組成物(II)中の樹脂成分におけるポリエチレンの含有率との比が、4/5〜5/4である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
- 前記樹脂組成物(I)及び/又は前記樹脂組成物(II)が無機フィラーを10〜90質量%の割合で含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系多層微多孔膜の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られたポリオレフィン系多層微多孔膜。
- 請求項6のポリオレフィン系多層微多孔膜を用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
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