JP5047027B2 - イメージエンハンストミキサ回路 - Google Patents

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Description

本発明は、ミキサ回路に関する発明であり、特に、イメージエンハンストミキサ回路に関する。なお、ミキサ回路は周波数混合回路、又は周波数変換回路とも称される。
ミキサ回路では、ラジオ周波数(RF)と局部発振器(LO)周波数との差周波の信号成分と和周波の信号成分が同時に発生するが、一般的な利用形態ではどちらか一方の信号成分のみが中間周波数(IF)信号として使用され、他の信号成分は終端抵抗で終端され、使用されない。
さらにまた、ミキサ回路では、LO周波数の2倍の周波数とRFとの差周波数成分を持つイメージ信号も発生する(イメージ信号の定義として上述の使用されない和周波数成分又は差周波数成分を含める場合もあるが、本明細書ではLO周波数の2倍の周波数とRFとの差周波数成分をイメージ信号と定義する)。多くのミキサ回路では、このイメージ信号も終端抵抗で終端される。しかしながら、イメージ信号をフィルタ等で反射させてバラン(Balun)側に戻すことによりミキサ性能を向上させようとするミキサ回路があり、イメージエンハンスト方式のミキサ回路と呼ばれている(例えば、非特許文献1参照)。
Trace Phase States To Check Mixer Designs, Ben R. Hallford, Microwaves, June 1980, pp. 52-60. 図8は、従来のイメージエンハンスト方式ミキサ回路(以下、イメージエンハンストミキサ回路と記す)の概略図である。
このイメージエンハンストミキサ回路は、アンプ(5)と、第1のフィルタ(1)と、バラン・ミキシング素子部(6)と、第2のフィルタ(4)とから構成されている。
アンプ5は、LO信号を増幅する。
第1のフィルタ1は入力されたRF信号の所望のRF周波数成分のみを通過させ、他の周波数成分を遮断する。
バラン・ミキシング素子部6は、LO信号、RF信号、及びIF信号の平衡/不平衡変換を行うとともに、LO信号とRF信号を混合してIF信号を生成する。このバラン・ミキシング素子部6は、第1のフィルタを通過したRF信号が入力されるRF入力と、アンプ5により増幅されたLO信号が入力されるLO入力と、イメージ信号を伴ったIF信号が出力されるIF出力と、LO入力から入力されるLO信号の平衡/不平衡変換を行う第1のバラン(6a)と、RF入力とIF出力から入出力される各信号の平衡/不平衡変換を行う第2のバラン(6b)と、LO信号とRF信号を混合してIF信号を出力するミキシング素子(6c)とから構成されている。
第2のフィルタ4は、イメージ信号を伴ったIF信号の所望のIF成分のみを通過させ、他の周波数成分を遮断する。
このイメージエンハンストミキサにおいてはRF入力に第1のフィルタ1が、IF出力に第2のフィルタ4が配置されているため、ミキシング素子6cにより生成されたイメージ信号はフィルタ1及び4に反射され、ミキサ回路に再び戻される。従ってイメージ信号は最終的にIF信号に変換されることになるので、先の終端方式のミキサよりも低損失のミキサ性能を得ることが可能になっている。
一般的に、イメージエンハンスト方式ミキサ回路は他の方式のミキサ回路と比較して、低損失特性を示し、広いダイナミックレンジに亘って動作可能である。その反面、イメージエンハンスト方式ミキサ回路はその長所が発揮される周波数帯域が比較的狭い範囲に限られていた。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、広い周波数帯域に亘って低挿入損失特性を維持することができるイメージエンハンストミキサ回路を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための第1の解決手段は、無線周波数(RF)信号を受けて、所望のRF成分のみを通過させ、イメージ信号を含む他の周波数成分を反射する第1のフィルタ(1)と、局部発振器(LO)からのLO信号が入力されるLO入力、前記RF成分が入力されるRF入力、及び、このRF成分と前記LO信号とに対応する中間周波数(IF)信号及び前記イメージ信号が出力されるIF出力を備えたバラン・ミキシング素子部(6)と、前記IF出力から出力された前記IF信号及び前記イメージ信号から所望のIF成分のみを通過させ、前記イメージ信号を含む他の周波数成分を反射する第2のフィルタ(4)とを具備するイメージエンハンストミキサ回路において、前記IF出力と前記第2のフィルタとの間、又は、前記第1のフィルタと前記RF入力との間に接続され、前記IF信号及び前記イメージ信号の位相を調整するための位相変化手段(3)を備えたことを特徴とするものである。
また、第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、前記位相変化手段は、前記イメージエンハンストミキサ回路の損失が最小となるように、通過する信号の位相が調整されているイメージエンハンストミキサ回路である。
また、第3の解決手段は、上記第1の解決手段において、前記位相変化手段は、前記IF信号の歪が最小となるように、通過する信号の位相が調整されているイメージエンハンストミキサ回路である。
また、第4の解決手段は、前記第1乃至第3のいずれかの解決手段において、前記位相変化手段はフェーズシフタ(3)である、イメージエンハンストミキサ回路である。
また、第5の解決手段は、前記第1乃至第3のいずれかの解決手段において、前記位相変化手段は導体片(6f,6i)及び/又は電波吸収体(6g,6h)である、イメージエンハンストミキサ回路である。
また、第6の解決手段は、前記第1乃至第5のいずれかの解決手段において、前記バラン・ミキシング素子部は、前記LO信号を不平衡状態から平衡状態に変換する第1のバラン回路(6a)をさらに備えたシングルバランス型である、イメージエンハンストミキサ回路である。
また、第7の解決手段は、前記第6の解決手段において、前記バラン・ミキシング素子部は、前記RF信号を不平衡状態から平衡状態に変換するとともに前記IF信号を平衡状態から不平衡状態に変換する第2のバラン回路(6b)をさらに備えたダブルバランス型である、イメージエンハンストミキサ回路である。
また、第8の解決手段は、前記第1乃至第7のいずれかの解決手段において、前記第1のフィルタは低域通過フィルタ(1a)と帯域阻止フィルタ(1b)から構成されるフィルタである、イメージエンハンストミキサ回路である。
また、第9の解決手段は、前記第1乃至第8のいずれかの解決手段において、前記第2のフィルタは帯域通過フィルタである、イメージエンハンストミキサ回路である。
イメージエンハンスト方式ミキサ回路では、バラン及びミキシング素子から各入出力に配置したフィルタまで実装上ある伝送距離が存在する。それらの伝送距離を広帯域の信号が伝送される場合各周波数における波長が異なるために位相の回り方も周波数毎で異なってしまう(以下、このことを位相の変動と呼ぶ)。この位相の変動により周波数毎のミキサ性能も変動してしまい性能が劣化する周波数ポイントが出てくる。そこで請求項1のイメージエンハンストミキサ回路によれば、位相変化手段によって位相の変動が補償されるので、広い周波数帯域に亘って低損失特性のイメージエンハンストミキサ回路が実現される。
さらにまた、ミキサ回路を構成する各部品はばらつきの少ないものを使用することは当然のこととしても、高い周波数帯においてはこれらのばらつきを皆無にすることは現実的には不可能である。請求項1のイメージエンハンストミキサ回路によれば、これらばらつきを含む部品で組立てられたミキサ回路の特性を調整することができる。
請求項2のイメージエンハンストミキサ回路によれば、ミキサ回路の損失が最小となるようにフェーズシフタが調整されるので、広い周波数帯域に亘って低損失(低挿入ロス)のイメージエンハンストミキサ回路が実現される。
請求項3のイメージエンハンストミキサ回路によれば、ミキサ回路の歪が最小となるようにフェーズシフタが調整されるので、広い周波数帯域に亘って歪の少ないイメージエンハンストミキサ回路が実現される。
請求項4のイメージエンハンストミキサ回路によれば、このミキサ回路を他の回路と結合した後でも容易に位相の変動を補償できる、広い周波数帯域に亘って低損失特性を維持しているイメージエンハンストミキサ回路が実現される。
請求項5のイメージエンハンストミキサ回路によれば、広い周波数帯域に亘って位相の変動が補償されるので、より広い周波数帯域に亘って低損失特性を維持しているイメージエンハンストミキサ回路が実現される。
請求項6のシングルバランス型イメージエンハンストミキサ回路によれば、広い周波数帯域に亘ってより低損失特性及び低歪特性を維持しているイメージエンハンストミキサ回路が実現される。
請求項7のダブルバランス型イメージエンハンストミキサ回路によれば、広い周波数帯域に亘ってさらに低損失特性及び低歪特性を維持しているイメージエンハンストミキサ回路が実現される。
請求項8のイメージエンハンストミキサ回路によれば、広い周波数帯域に亘って低損失特性を維持しているイメージエンハンストミキサ回路が実現される。
請求項9のイメージエンハンストミキサ回路によれば、広い周波数帯域に亘って低損失特性を維持しているイメージエンハンストミキサ回路が実現される。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明する。
(第1の実施例)
図1は、本発明に係るイメージエンハンストミキサ回路の第1の実施例の概略ブロック図である。このイメージエンハンストミキサ回路は、アンプ5と、第1のフィルタ1と、バラン・ミキシング素子部6と、フェーズシフタ3と、第2のフィルタ4とから構成されている。
アンプ5は、LO信号を増幅する。本実施例では、RF入力が7.5GHz、LO信号は周波数が16.5GHz、IF出力が9GHzのものを使用し、アンプ5としてゲインが24dB、最大出力+34.5dBmのものを使用している。
第1のフィルタ1は入力されたRF信号のRF周波数成分のみを通過させ、他の周波数成分を遮断する。図1に示す実施の形態では、第1のフィルタ1は低域通過フィルタ1a及び帯域阻止フィルタ1bを組み合わせて構成されている。しかしながら、本発明はそのような2つのフィルタの、しかもこの順番の組み合わせに限定されず、順番を入れ替えても良いし、1つの帯域通過フィルタのみを使うことによって実施することも可能である。本実施例では、低域通過フィルタ1aとしてカットオフ周波数が9GHzのものを、帯域阻止フィルタ1bとして阻止帯域の中心周波数が11GHzのものを使用している。
バラン・ミキシング素子部6は、LO信号、RF信号、及びIF信号の平衡/不平衡変換を行うとともに、LO信号とRF信号を混合してIF信号を生成する。このバラン・ミキシング素子部6は、第1のフィルタを通過したRF信号が入力されるRF入力と、アンプにより増幅されたLO信号が入力されるLO入力と、イメージ信号を含んだIF信号が出力されるIF出力と、LO入力から入力されるLO信号の平衡/不平衡変換を行う第1のバラン6aと、RF入力とIF出力から入出力される各信号の平衡/不平衡変換を行う第2のバラン6bと、LO信号とRF信号を混合してIF信号を出力するミキシング素子6cとから構成されている。
第1のバラン6a及び第2のバラン6bは、ミキシング素子6cにダブルバランスミキシング動作をさせるもので、このバランの周波数特性、RF信号とLO信号との間のアイソレーション(隔離)特性、変換された平衡信号の平衡度などはミキサ性能に大きな影響を与える。
本実施例では、第1のバラン6aと、第2のバラン6bとしてスロット線路を利用した平面型のMagic−T回路が用いられている。また、ミキシング素子6cは、図1に示すように同一種類の4個のダイオードをリング状に接続したものが用いられている。
フェーズシフタ3は、本願発明の位相変化手段を構成し、イメージ信号を含んだIF信号の位相を調節するものであるが、その詳細は後述される。
第2のフィルタ4は、イメージ信号を含んだIF信号のIF成分のみを通過させ、他の周波数成分を遮断する。第1のフィルタ1及び第2のフィルタ4は、ミキシング素子6cによって生成されたイメージ信号を反射して再びミキシング素子6cに戻すはたらきをする。本実施例では第2のフィルタ4として帯域通過フィルタが用いられており、その中心周波数は9GHz、周波数帯域幅は100MHzである。なお、第2のフィルタ4として、帯域通過フィルタに替えて低域通過フィルタを用いてもよい。
以下に本実施例のミキサ回路の動作を詳細に説明する。ミキシング素子6cで生成されたIF信号は、イメージ信号を伴ってIF出力から出力される。IF出力から出力された信号はフェーズシフタ3を通過した後、第2のフィルタ4に入力されるが、イメージ信号は第2のフィルタ4の阻止域の周波数にあたるため、そこで反射される。なお、イメージ信号以外にも、LO信号そのものや、LO信号の高調波成分なども同様に反射されるが、これらの信号の振る舞いはイメージ信号の振る舞いと同様なので、以下ではイメージ信号の振る舞いについてのみ説明する。反射されたイメージ信号は第2のバラン6bに戻り、位相がそろっている場合はミキシング素子6cによりIF信号に変換される。反射されたイメージ信号のうち位相がうまく合わない成分はRF入力に向かう成分と、LO入力に向かう成分がある。RF入力に向かった成分は、第1のフィルタ1の阻止域にあたるため再び反射され、ミキシング素子6cに戻ってくる。LO入力に向かった成分は、アンプ5の出力インピーダンスにマッチングしていないためやはり反射され、再びミキシング素子6cに戻ってくる。これらの結果として、イメージ信号はイメージエンハンストミキサ回路のどの入出力からも出力されず、バラン・ミキシング素子部6に戻ってくることになる。
ここでフェーズシフタ3は、これらイメージ信号の位相を調節する役割を果たす。図2に本実施例で使用したフェーズシフタの構成図を示す。入力線路31に入力された信号は、ブランチライン33で2方向に分岐し、異なる遅延を与えられた後に合波されて出力線路32に出力される。ここでブランチライン33の4本の線路の線路長は全て所望の周波数に対応する波長の1/4となるように設定されている。電源34によってブランチライン33に印加する電圧Vを変化させると、可変容量ダイオード35及び36の容量が変化することにより、入出力間で位相が変化する。なお、本実施例のフェーズシフタ3は、図2のようなブランチライン33を用いたものであるが、他の方式(ハイブリッド等)であってもよい。
次に、フェーズシフタ3の調整方法を説明する。図3に、ミキサの損失を周波数毎に測る測定系を示す。図3において制御装置79はGP−IB(General Purpose Interface Bus)ボードを搭載したパソコンによって構成され、信号発生器71及び72に対して測定用信号を出力させる。信号発生器71はRF信号に相当する信号を出力し、信号発生器72はLO信号に相当する信号を出力する。これら2つの信号は減衰器74及び75によって適切な信号レベルに調整された後に、測定対象物80としてのミキサ回路に入力される。スペクトラムアナライザ78もまた制御装置79によって制御されて、測定対象物80としてのミキサ回路の出力信号の信号強度を測定する。
次に、上述された測定系において、測定対象物79として接続された図1のミキサ回路のフェーズシフタ3に印加する電圧Vを段階的に変化させながら、広い周波数帯域に亘ってミキサ損失が低く抑えるような電圧Vxを探索する。このようにして電圧Vxが探索されれば、測定されたミキサ回路に常に電圧Vxが印加されるようにミキサ回路を設定する。以上の手順により、本実施例のミキサ回路が構成された。
なお、以上の実施例では広い周波数帯域に亘ってミキサ損失が低く抑えられるVxを1つに固定しているが、本発明の実施の形態はこれに限定されない。周波数帯域を複数の区間に分割し、分割した周波数帯域区間ごとにミキサ損失が低く抑えられるような電圧をそれぞれ探索し、実際にミキサ回路を使用する状況に応じてフェーズシフタに印加する電圧を可変とするようにミキサ回路を構成してもよい。
また、上述の電圧Vxに代えて、以下のように、IF信号の歪が最小となるような電圧Vyを探索してもよい。図4に、ミキサの歪を測定するための測定系を示す。信号発生器71及び73から出力された信号はハイブリッド81で合波された後、ミキサに入力される。図4のその他の装置は図3と同じである。このような測定系において、フェーズシフタに印加する電圧Vを段階的に変化させながら、広い周波数帯域に亘ってミキサの出力信号の歪が小さくなるような電圧Vyを探索する。このようにして電圧Vyが探索されれば、測定されたミキサ回路に常に電圧Vyが印加されるようにミキサ回路を設定する。以上の手順により、ミキサの歪を最小とするようなミキサ回路を構成することができる。
なお、本実施例ではフェーズシフタがIF出力と第2のフィルタ4との間に挿入されているが、変形例として、第1のフィルタ1とRF入力との間に挿入されてもよい。ただしこの場合、フェーズシフタはRF周波数を中心として調整される。
(第2の実施例)
第1の実施例(図1)では位相変化手段としてフェーズシフタ3が用いられているが、これに代えて、バラン回路のRF入力やIF出力に固定のスタブ等を貼り付けてもよい。以下、スタブ等が貼り付けられたバラン回路を、スタブ貼付バラン回路ということにする。スタブ貼付バラン回路では貼付されたスタブ等によって特定の波長において位相の変化が発生するので、貼付されたスタブ等はフェーズシフタと機能的には等価である。すなわち、貼付されたスタブ等は位相変化手段の1実施例である。
図5に、このスタブ貼付バラン回路6jを用いた、本発明に係るイメージエンハンストミキサ回路の第2の実施例の概略ブロック図を示す。この実施例におけるスタブ貼付バラン回路6jは、IF出力からIF信号を出力するためのIF出力部を実装したダイプレクサ基板6dと、RF入力及びIF出力を含むバラン回路を実装したバラン基板6eから構成されている。
ダイプレクサ基板6dのIF出力部には0.5mm幅の金リボンスタブ6fが貼付されている。一方、バラン基板6eのRF入力には金リボンスタブ6iが貼付されている。さらに、バラン基板6eには2個の磁性体電波吸収体6g及び6hが貼付されている。
金リボンスタブ6f及び6i、磁性体電波吸収体6g及び6h(以下では、スタブ等と記載する)の貼付は、第1の実施例と同様に、図3に示されたような測定系を用いて調整される。RF信号の周波数が低いときや、ミキサ回路に要求される周波数帯域が狭い場合には、図3のような測定系を用いて調整する必要なく、コンピュータシミュレーション等によりスタブ等の貼付位置を理論的に導出してもよい。しかし高周波のRF信号が入力される場合や、広帯域のミキサ回路が要求される場合には、回路の浮遊容量や浮遊インダクタンス等の影響により、理論的な導出は困難である。従って実際には、図3のような測定系を用いてミキサ回路を動作させながら、ミキサ回路の損失が低下する周波数を見つけ出し、その特性が向上するようにスタブ等を貼付していく。
これらスタブ等の位相変化手段の後段にはダイプレクサ(diplexer)6kが接続されている。このダイプレクサ6kは、所望のIF信号は後段に通過させる一方、IF信号以外の周波数成分(イメージ信号やその他高調波等)は50Ωの抵抗で終端させるように構成されている。これは一見イメージエンハンスト動作と相反するように見えるが、ミキシング素子部6からRF入力側に向かったイメージ信号は第1の実施例と同じように第1のフィルタ1で反射されて再びミキシング素子部6に戻ってくるので、回路全体としてはやはりイメージエンハンストミキサ回路であるといえる。
また、ダイプレクサの後段には第2のフィルタとして、IF信号周波数を通過させる帯域通過フィルタ41が接続されている。
第1の実施例では、特定の周波数に対して位相を合わせることはできるが、複数の周波数の位相を個別に調整することは困難である。これに対し、第2の実施例では、複数の周波数の位相を個別に調整することが可能である。
さらにまた、個々のミキサ回路について図3のような測定系を用いて特性を調整することは、ミキサ回路を構成する各部品に存在するばらつきを吸収する効果がある。
以上のようにして構成された、第2の実施例によるミキサ回路が示す損失特性の例を図6に示す。特に周波数が2〜4GHz付近と5GHz付近でミキサ損失特性が改善されていることがわかる。
また、第2の実施例によるミキサ回路が示す歪特性の例を図7に示す。図7の縦軸は3次歪のインターセプトポイントであり、この数値が大きいほど回路の歪特性は良い。位相変化手段によって多くの周波数ポイントで歪特性の改善がみられるとともに、位相変化手段のない回路で歪特性の悪かった周波数ポイントにおける改善効果が大きいことがわかる。例えば、3次歪のインターセプトポイントが3dB向上すると歪特性は6dB改善する。
ダイプレクサ基板6dに貼付された金リボンスタブ6f及びバラン基板6eに貼付された金リボンスタブ6iは共に、特定の周波数における損失を改善する効果を有している。一方、バラン基板6eに貼付された2個の磁性体電波吸収体6g及び6hは、特定の周波数における歪性能を改善する効果を有している。これらスタブ等を貼付することにより特定の周波数で損失が改善するのは、スタブによりイメージ信号またはLO信号の高調波の位相が回りイメージエンハンスト効果が得られたためと考えられる。また、電波吸収体6g及び6hを貼付することにより歪特性が改善するのは、バラン上を伝達される各種信号の位相が変わり、特定の周波数での歪特性が改善されたためと考えられる。
なお、本実施例では位相変化手段として金リボンスタブと磁性体電波吸収体を使用したが、本発明の位相変化手段はこのような形態に限られず、スタブと電波吸収体のどちらか一方のみでもよい。また、スタブは金リボンに限られず導体片であればよく、電波吸収体も磁性体に限られず電波を吸収する性質のある材料であればよい。
また、第1の実施例と同じように、ダイプレクサ6kに替えて第2のフィルタ4を用いても発明は成立する。ただしこの場合、発明者による実験では、図6のような損失特性を測定したところ、特性が改善している周波数がある一方で特性が極端に劣化する周波数も現れ、スタブ等による調整が困難であった。これは、第2のフィルタを用いてイメージ信号や他の高調波成分も全てミキシング素子部6に反射させた場合、位相の変動が強すぎてスタブ等による位相の変動の補償を困難にしているためと考えられる。一方、図5に示される第2の実施例では、第1のフィルタ1で反射されて戻ってくるイメージ信号等やダイプレクサ6kで吸収しきれず第2のフィルタ41で反射して戻ってくるイメージ信号等の位相の変動を、スタブ等によって補償することが比較的容易であり、結果として使用周波数全般においてミキサとしての性能改善が示された。しかし発明者としては、何らかの方法で全ての周波数にわたって理想的に位相の変動を補償することができれば、ダイプレクサ6kに替えて第2のフィルタ4を用いたほうが、より特性の良い(すなわち、広い周波数に亘ってより低損失、あるいはより低歪の)イメージエンハンストミキサが実現できると考えている。
さらにまた、第1及び第2の実施例ではいずれも、第1のバラン回路6a及び第2のバラン回路6bを備えたダブルバランス型のイメージエンハンストミキサ回路であったが、本発明の実施例はダブルバランス型に限られず、第2のバラン回路6bを省略したシングルバランス型のイメージエンハンストミキサ回路や、さらに第1のバラン回路6aも省略した不平衡型のイメージエンハンストミキサ回路であってもよい。
以上に説明したように、本発明の実施形態のイメージエンハンストミキサ回路は、位相変化手段によって位相の変動が調整されるので、広い周波数帯域に亘って低損失特性を有するイメージエンハンストミキサ回路が実現される。
さらにまた、イメージエンハンストミキサ回路を構成する各部品がばらつきを含んでいたとしても、そのようなばらつきを吸収するようにミキサ回路の特性を調整することができる。
本発明の第1の実施例に係るイメージエンハンストミキサ回路の概略ブロック図 本発明の第1の実施例に係るイメージエンハンストミキサ回路に用いられるフェーズシフタの構成図 ミキサ回路の損失を測定する測定系のブロック図 ミキサ回路の歪を測定する測定系のブロック図 本発明の第2の実施例に係るイメージエンハンストミキサ回路の概略ブロック図 本発明の第2の実施例に係るイメージエンハンストミキサ回路の損失特性 本発明の第2の実施例に係るイメージエンハンストミキサ回路の歪特性 イメージエンハンストミキサ回路の従来例
符号の説明
1 第1のフィルタ
1a 低域通過フィルタ
1b 帯域阻止フィルタ
3 フェーズシフタ
31 フェーズシフタの入力線路
32 フェーズシフタの出力線路
33 ブランチライン
34 電源
35、36 可変容量ダイオード
4 第2のフィルタ(帯域通過フィルタ)
5 アンプ
6 バラン・ミキシング素子部
6a 第1のバラン回路
6b 第2のバラン回路
6c ミキシング素子
6d ダイプレクサ基板
6e バラン基板
6f、6i 金リボンスタブ
6g、6h 電波吸収体
6j スタブ貼付バラン回路
6k ダイプレクサ
6l RF入力
6m LO入力
6n IF出力
71〜73 信号発生器
74〜77 減衰器
78 スペクトラムアナライザ
79 制御装置(GP−IBボード搭載パソコン)
80 測定対象物
81 ハイブリッド

Claims (9)

  1. 無線周波数(RF)信号を受けて、所望のRF成分のみを通過させ、イメージ信号を含む他の周波数成分を反射する第1のフィルタ(1)と、
    局部発振器(LO)からのLO信号が入力されるLO入力(6m)、前記RF成分が入力されるRF入力(6l)、及び、このRF成分と前記LO信号とに対応する中間周波数(IF)信号及び前記イメージ信号が出力される、IF出力(6n)を備えたバラン・ミキシング素子部(6)と、
    前記IF出力から出力された前記IF信号及び前記イメージ信号から所望のIF成分のみを通過させ、前記イメージ信号を含む他の周波数成分を反射する第2のフィルタ(4)と
    を具備するイメージエンハンストミキサ回路において、
    前記IF出力と前記第2のフィルタとの間、又は、前記第1のフィルタと前記RF入力との間に接続され、前記IF信号及び前記イメージ信号の位相を調整するための位相変化手段(3)を備えたことを特徴とするイメージエンハンストミキサ回路。
  2. 前記位相変化手段は、前記イメージエンハンストミキサ回路の損失が最小となるように、通過する信号の位相が調整されている、
    請求項1に記載のイメージエンハンストミキサ回路。
  3. 前記位相変化手段は、前記IF信号の歪が最小となるように、通過する信号の位相が調整されている、
    請求項1に記載のイメージエンハンストミキサ回路。
  4. 前記位相変化手段はフェーズシフタ(3)である、請求項1乃至3のいずれかに記載のイメージエンハンストミキサ回路。
  5. 前記位相変化手段は導体片(6f、6i)及び/又は電波吸収体(6g、6h)である、請求項1乃至3のいずれかに記載のイメージエンハンストミキサ回路。
  6. 前記バラン・ミキシング素子部は、前記LO信号を不平衡状態から平衡状態に変換する第1のバラン回路(6a)をさらに備えたシングルバランス型である、請求項1乃至5のいずれかに記載のイメージエンハンストミキサ回路。
  7. 前記バラン・ミキシング素子部は、前記RF信号を不平衡状態から平衡状態に変換するとともに前記IF信号を平衡状態から不平衡状態に変換する第2のバラン回路(6b)をさらに備えたダブルバランス型である、請求項6に記載のイメージエンハンストミキサ回路。
  8. 前記第1のフィルタは低域通過フィルタ(1a)と帯域阻止フィルタ(1b)から構成されるフィルタである、請求項1乃至7のいずれかに記載のイメージエンハンストミキサ回路。
  9. 前記第2のフィルタは帯域通過フィルタである、請求項1乃至8のいずれかに記載のイメージエンハンストミキサ回路。



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