JP5046545B2 - 鍛造用潤滑皮膜形成剤、鍛造用金属材料及びその検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塑性加工(特に鍛造)時の加工度や加工条件、金型の状態、更には潤滑皮膜の付着状態等を、加工現場で簡便に調査できる技術に関する。より詳細には、塑性加工をする際に金属表面に固体潤滑皮膜を形成させるための金属塑性加工用塗布型水性潤滑皮膜形成剤、当該皮膜形成剤を用いて前記固体潤滑皮膜が形成された金属塑性加工用金属材料、並びに、当該皮膜形成剤を利用しての、塑性加工に付される金属材料表面の潤滑状態を検査する方法に関する。
リン酸塩皮膜に代表される塑性加工用潤滑皮膜は、緻密な皮膜により金属表面を覆うことで塑性加工時の金属接触により発生する焼付き現象を回避している。潤滑皮膜に求められる性能としては、潤滑性や耐熱性、耐圧性等多岐に亘っているが、特に重要とされる性能は素材との密着性である。金属の塑性加工における素材表面は、金型表面との大きな摩擦や高温高圧に曝されながら様々な方向へのせん断力を受ける。その環境下において潤滑皮膜は素材と金型との間に介在し続けなくてはならないことから、非常に強固な密着性が必要となる。このことから、強加工用途に用いられる潤滑皮膜としては素材との反応により形成される為に、強固な密着性を呈するリン酸塩皮膜のような化成処理法が広範囲で使用されてきた。しかし、最近の鉄鋼材料の高強度化や対象金属が広がってくるなかでは、それらの金属表面との反応性が大きく異なることにより化成処理を適用し難くなってきている。
一方で、これらの化成処理法に代わって、広範囲の金属表面に適用可能な塗布型潤滑皮膜が最近では実用化されつつある。これらは、対象金属表面との反応を伴わずに金属表面との強固な密着性を確保しようとするものであり、次世代の潤滑皮膜として、その適用範囲の広さと簡便性等が注目されている。しかし、これらの塗布型潤滑皮膜でも、対象素材の金属種、化学状態、前処理、汚染状態等が密着性に大きく影響を及ぼすことから、これらを工業的に適用していくためには、塗布型潤滑皮膜の密着性が対象の冷間塑性加工用金属材料上でどれだけ確保され、どの程度の加工に適用できるのかを十分に調査しなくてはならない。また、対象金属表面の汚染等による潤滑皮膜の密着不良は金型の破壊につながりかねないため、加工現場での連続加工中などは加工品の表面状態を頻繁に調査しなくてはならない。
しかし、これらの調査は容易ではなく、一般には加工品表面における潤滑皮膜の残存状態(下地金属の露出状態)を蛍光エックス線分析装置やエックス線光電子分光装置等を用いて分析することを通じ、加工条件や加工度への適合性、又は潤滑皮膜の密着不良状態の解析等を行っているのが現実である。このため、高価な設備と多くの時間や労力が必要とされており、加工現場でも簡便に調査できる新たな方法の出現が待たれていた。
ここで、本発明者は、他分野に係る特許文献1〜4に倣い、蛍光材料を塗布型潤滑皮膜形成剤中に添加することを検討したが、当該適用に関して各種問題に直面した。まず、潤滑皮膜形成剤中に蛍光材料(特に、油性や顔料の形態である蛍光材料/水系溶媒の組み合わせ)が均一に分散している必要があるところ、当該分散剤として界面活性剤を添加した場合、塗布した後の乾燥工程で、界面活性剤が塩析してしまう結果、金属表面に形成した皮膜中で蛍光材料が均一に分散した状態を保てなくなることが判明した(以下、「第一の問題」という)。更に、均一に蛍光材料が分散した固体潤滑皮膜が金属材料表面に形成されていた場合であっても、当該金属を塑性加工に付した後、蛍光材料の固体潤滑皮膜中での分散状態が均一で無くなる事態に陥ることがあることも判明した(以下、「第二の問題」という)。そこで、本発明は、塗布型水性潤滑皮膜形成剤を利用した金属塑性加工技術において、加工条件や加工度への適合性又は潤滑皮膜の密着不良状態の解析を、蛍光材料を用いて簡便かつ安価に達成するに際し、塗布前後において蛍光材料の均一分散性を担保すると共に、塑性加工前後においても皮膜中の蛍光材料の均一分散性を担保することができる手段を提供することを目的とする。
特開平4−153298号公報 特許第2956961号公報 特開平6−174431号公報 特公平8−20366号公報
本発明者は、前記問題の解決について鋭意研究の結果、まず、「第一の問題」に関しては、界面活性剤の存在に関らず、多々ある蛍光材料から、当該液中で安定的に溶解又は分散するような蛍光材料を選択した。具体的には、潤滑皮膜形成剤の液体媒体は水系であるので、例えば、クマリン誘導体、ビスオキサゾール、ピラゾリン誘導体といった「油性」の蛍光材料でなく、「水性」のものを採用したと共に、同じく界面活性剤が必要な「顔料」の蛍光材料でなく、「染料」のものを採用した。更に、「第二の問題」に関しては、当該問題が加工の際に溶融したワックスに原因があることを突き止めた。即ち、通常油性であるワックスが当該加工の際に溶融した場合、もし蛍光材料が水性でない場合には、溶融したワックスに蛍光材料が取り込まれてしまう。この場合、一旦溶融したワックスが再度固化する際、ベース材料が存在する部位上でだけ固化する訳でないので、仮にベース材料が存在しない部位でワックスが固化した場合には、皮膜が存在しないにもかかわらず「存在している」という検出結果となってしまう。このような原因を踏まえ、ワックスに蛍光材料が取り込まれなければ、即ち、ワックスと相溶性の低い蛍光材料を用いれば、当該蛍光材料はベース層に均一分散状で存在する形になるので、正確な検出結果が得られることを見出し、本発明(1)〜(6)を完成させたものである。
即ち、本発明(1)は、
水性ベース成分として水性無機塩、水性有機酸塩及び水性樹脂の一種以上と、
固形分基準として0.5〜10質量%の水性蛍光染料
含有する鍛造用の塗布型水性潤滑皮膜形成剤であって、油性潤滑成分が存在する状況下で鍛造する方法にて使用する剤である。
本発明(2)は、前記水性蛍光染料が、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体及びビススチリルビフェニル誘導体から選ばれる少なくとも一種である、前記発明(1)の潤滑皮膜形成剤である。
本発明(3)は、固体潤滑皮膜が、油性潤滑成分を更に含有する請求項1又は2記載の潤滑皮膜形成剤により形成された皮膜であるか、或いは、請求項1又は2記載の潤滑皮膜形成剤により形成された皮膜表面に油性潤滑成分が更に形成されたものである、固体潤滑皮膜が表面に形成された鍛造用金属材料である。
本発明(4)は、前記発明(3)の鍛造用金属材料を鍛造することで得られる金属材料である。
本発明(5)は、前記発明(3)又は(4)の金属材料の表面に、300〜400nmの紫外線を照射することによって発せられる蛍光から固体潤滑皮膜の存在状態を確認する金属材料の検査方法である。
本発明によれば、塗布前後において蛍光材料の均一分散性が担保されると共に、塑性加工前後においても皮膜中の蛍光材料の均一分散性が担保される。したがって、蛍光エックス線のような高価な設備や多くの労力を用いなくても、単に紫外線を照射し発光を測定するだけで、金属表面に固体潤滑皮膜を有する冷間塑性加工用金属材料を加工する上での、加工度や加工条件への適合性又は潤滑皮膜の密着性等を加工現場で簡便に調査できるという効果を奏する。
以下、本発明に係る塗布型水性潤滑皮膜形成剤をまず説明し、次に本皮膜形成剤の使用方法{即ち、固体潤滑皮膜が形成された塑性加工用金属材料の製造方法、本皮膜形成剤を使用することによる固体潤滑皮膜の存在状態の確認方法(塑性加工用金属材料の検査方法)}を説明することとする。尚、本特許請求の範囲及び本明細書にいう「固体潤滑皮膜の存在状態」とは、塑性加工前の金属材料表面における固体潤滑皮膜の適用状態、及び/又は、塑性加工後の金属材料表面における固体潤滑皮膜の残存状態を指す。尚、本発明の主たる効果に鑑みた場合には、当該「固体潤滑皮膜の存在状態」の用語は、「塑性加工後の金属材料表面における固体潤滑皮膜の残存状態」を必須的に包含するともいい得る。
まず、本発明に係る塗布型水性潤滑皮膜形成剤は、溶媒として水系溶媒を用いており、水性蛍光染料、水性ベース成分及び場合により潤滑成分を含有する。ここで、そのままで使用可能なタイプに加え、使用時に溶媒で希釈する濃縮タイプや溶媒を添加する乾燥タイプも本潤滑皮膜形成剤の概念に包含される。以下では、そのままで使用可能な塗布型潤滑皮膜形成剤(処理液)を例にとって説明する。以下、各成分について詳述する。
まず、水系溶媒としては、例えば、水、水に水混和性の有機溶媒(例えば、メタノール、イソプロパノール、アセトン等)を添加したものを挙げることができる。
次に、水性蛍光染料としては、水溶性の蛍光染料であれば特に限定されず、例えば、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、ビススチリルビフェニル誘導体等が挙げられる。このような水性蛍光染料を使用することにより、加工前後における水性潤滑皮膜中での均一分布が担保される。ここで、塗布型潤滑皮膜形成剤中の水性蛍光染料の含有量(又は「固体潤滑皮膜中に含有させる水性蛍光染料の含有量」ともいい得る)は、全固形分を基準として0.5〜10質量%であることが好ましい。含有量が0.5質量%に満たないと、蛍光強度が低すぎて加工後の皮膜残存状態が十分に観察できず実用的ではない。また、含有量が10質量%を超えると、蛍光強度が飽和し経済的に無駄となるだけでなく、潤滑皮膜の性能にも悪影響を及ぼす。尚、本特許請求の範囲及び本明細書にいう「水性」乃至は「水溶性」とは、例えば、水100mlに対し、室温で0.5g以上溶解することを意味し、好適には1g〜50g溶解することを意味する。
次に、水性ベース成分は、金属表面に強固な連続皮膜を形成することで、被加工材と工具との金属直接接触を避ける機能や、水性蛍光染料等を皮膜中に保持する機能等を発現する。このような水性ベース成分としては、工業的に使い易い観点から塗布型の潤滑皮膜を形成し得るものが好適であり、例えば、水性無機塩、水性有機酸塩、水性樹脂等が挙げられる。特に、水性無機塩は、溶融点が塑性加工(冷間塑性加工、温間塑性加工)時の材料到達温度に比べて一般に高いため、これらをベースとした潤滑皮膜層は加工熱の影響を受け難く、上記の機能を安定的に示すことができる。ここで、前記水性無機塩としては、ホウ酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ジルコン酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩等を挙げることができ{具体的には、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、ケイ酸カリウム、ホウ酸ナトリウム(四ホウ酸ナトリウム)、ホウ酸カリウム(四ホウ酸カリウム等)、ホウ酸アンモニウム(四ホウ酸アンモニウム等)、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム等}、前記水性有機酸塩としては、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩等を挙げることができ、前記水性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、これらは単独でも2種以上組み合わせてもよい。尚、強加工用途への適用性に優れたものとしては、耐熱性が高い水性無機塩をベース成分とすることが好適である。ここで、塗布型潤滑皮膜形成剤中のベース成分の含有量(又は「固体潤滑皮膜中に含有させるベース成分の含有量」ともいい得る)は、全固形分を基準として5〜99.5質量%であることが好ましい。
次に、潤滑成分としては、石けん、金属石けん、油脂、鉱油、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレン、二硫化モリブデン、グラファイト、チッ化ホウ素等が使用可能である。特に、潤滑成分としては、塑性加工時の熱により溶融した際に水性蛍光染料を取り込まないよう、水性蛍光染料と相溶性の低い油性のものを使用することが好適であり、この点からワックスが好適である。特に、融点が70〜150℃であるワックスが好適であり、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバロウ、ミツロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリテトラフルオロエチレン(例えば重合度が100万〜1000万程度)等を挙げることができる。これらの中では、ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレン等の高分子ワックス)が特に好適である。尚、当該潤滑成分は、形成される皮膜の表面又は皮膜内部に存在することになる。ここで、塗布型潤滑皮膜形成剤中の潤滑成分の含有量(又は「固体潤滑皮膜中に含有させる潤滑成分の含有量」ともいい得る)は、全固形分を基準として0〜95質量%であることが好ましい。尚、塑性加工用皮膜を形成させる際には、水性ベース成分単独の皮膜を形成することで耐焼付き性のみを付与し、油や石けん等と接触させながら塑性加工を行うこともある。このような場合は、当該表面処理剤はこの潤滑成分を含有する必要は無い。
更に、本皮膜形成剤は、必要に応じて他の成分を含有していてもよい。例えば、ワックス等を分散又は乳化させるために界面活性剤が必要な場合には、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤等から選択される分散剤を含有していてもよい。また、加工が更に厳しい塑性加工の際には、極圧添加剤を含有していてもよい。一般には、重量平均分子量1000〜30000のポリカルボン酸系分散剤、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が用いられ、通常は、ワックスとの固形分比率として0〜20wt%の範囲で配合される。
次に、本皮膜形成剤の使用方法、具体的には、本皮膜形成剤の金属材料表面への適用方法(換言すれば、本皮膜形成剤を用いての塑性加工用金属材料の皮膜形成方法、固形潤滑皮膜が形成された塑性加工用金属材料の製造方法)を説明する。
まず、本皮膜形成剤を使用可能な塑性加工用金属材料は、特に限定されず、例えば、鉄、鉄鋼、ステンレススチール、アルミニウム、銅、チタン等、冷間又は温間塑性加工の対象となるすべての金属が包含される。また、当該材料は、棒材、管材、平材、焼結材のいずれであってもよい。尚、これらの金属表面には、各種めっきや、表面処理、化成処理等が施されていてもよい。これらの金属材料の中でも、鉄、鉄鋼、ステンレススチールが使用される場合が多い。
次に、金属材料に本皮膜形成剤を適用するに際しては、従来の方法がそのまま適用でき、例えば、ロールコート、シャワーリンガーロール絞り、スプレー処理、浸漬処理、カーテンコート、フローコート、スピンコート等が可能である。この中では、浸漬処理が好適である。そして、当該処理を実施する際には、接触時間を0.5秒〜10分間とし、接触温度を常温〜80℃とすることが好適である。また、塗布量に関しては、皮膜性能及び密着性を担保するために、金属材料表面に乾燥付着重量1〜20g/m(より好適には5〜20g/m)の皮膜を形成させるような条件で塗布することが好適である。
次に、乾燥工程について説明する。まず、乾燥方法としては、従来の方法がそのまま適用でき、加熱乾燥や風乾を挙げることができる。例えば、50℃〜150℃の温風を0.5分〜10分間あてて乾燥させることにより、溶媒が除去され皮膜が形成され得る。
次に、本皮膜形成剤を用いて固体潤滑皮膜が形成された塑性加工用金属材料を使用しての、固体潤滑皮膜の存在状態を確認する塑性加工用金属材料の検査方法を説明する。まず、本皮膜形成剤を用いて固体潤滑皮膜が形成された塑性加工用金属材料を塑性加工に付する。ここで、塑性加工としては、水性蛍光染料の分解温度以下である必要があり、例えば、450℃以下の塑性加工(冷間塑性加工、温間塑性加工)であることが好適である。そして、塑性加工後、加工表面に残存する潤滑皮膜の状態を検査するために、300〜400nmの紫外線を照射する。ここで、使用する照射装置として、簡便なものとしては、市販のブラックライトが挙げられる。そして、紫外線を照射することで残存皮膜に含まれる蛍光染料から発せられる蛍光の測定法としては、目視観察によって潤滑皮膜の残存状態を評価するのが簡便な検査法であるが、写真、デジタル写真等により画像保存し、画像処理により蛍光強度の数値化し残存皮膜量を定量化することも可能である。更には、CCDやCMOSなどの光学センサーを用いて受光した蛍光をプリアンプなどにより電圧に変換し、これを皮膜量に換算することで、加工現場においてリアルタイムに残存皮膜量を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1〜4並びに比較例1及び2
実施例1〜4並びに比較例1及び2を結果と共に表1に示す。以下、これらの試験方法と評価方法の詳細について述べる。
<固体潤滑皮膜および蛍光染料の配合>
各水性無機塩の5質量%水溶液100重量部に対して、各潤滑成分の20質量%の水分散液を25重量部配合し皮膜処理液とした。蛍光染料を配合するものについては、この皮膜処理液に対して設定量の各蛍光染料を攪拌混合した。
<塑性加工試験片>
アセトンで表面を脱脂した試験片を、前述した皮膜処理液に1分間浸漬することで皮膜処理液を塗布し、次いで100℃の熱風乾燥炉にて5分間乾燥することで塑性加工試験片を作成した。(試験片素材)S45C球状化焼鈍材(25mmφ×30mm)
<均一混和性>
前述した、水性無機塩と潤滑成分からなる皮膜処理液に対して蛍光染料を攪拌混合した後の均一混和性を評価した。評価方法としては、200mLのトールビーカーに150mLの皮膜処理液を入れ、暗所にて静置5分後に市販のブラックライトで紫外線を照射し、発する蛍光の分布状態から皮膜処理液中への均一混和性を評価した。
評価基準: ○:均一に混合した。
×:蛍光の分布に濃度勾配、もしくは分離状態が見られる。
<塑性加工性>
上述した方法で作成した塑性加工試験片について、特許第3227721号の発明に準じたスパイク試験加工を行い、加工後試験片の突起部までの皮膜追従程度と焼付き部の有無とを目視評価した。追従性が良いものは冷間塑性加工時の表面積拡大に対して十分な耐焼付き性を有し、皮膜が追従しないものでは焼付きが発生し易くなる。
評価基準: ○:突起部まで皮膜が追従していて、焼付き部無し
△:突起部まで皮膜が追従していないが、焼付き部無し
×:突起部に皮膜が追従しておらず、焼付き部有り
<残存皮膜評価>
上述した、塑性加工性の評価時に冷間塑性加工を施した試験片の加工部(突起部壁面)について、暗所にて、市販のブラックライトで紫外線を照射し、発する蛍光の目視観察から皮膜残存状態の確認可否について評価した。
評価基準: ○:厚膜部から薄膜部に亘って残存皮膜の状態が確認された。
△:蛍光が弱く厚膜部については残存皮膜の状態が確認された。
×:蛍光を発さないか、弱すぎるために目視では残存皮膜の状態が確認で
きなかった。
表1の結果から明らかなように、本発明の冷間塑性加工用金属材料である実施例1〜4は、均一混和性、塑性加工性、残存皮膜評価等の実用的に必要な諸性能を全て満足していた。一方、本発明の冷間塑性加工用金属材料表面の固体潤滑皮膜に蛍光染料が含まれていない比較例1では、加工後の残存皮膜の評価が不可能であり、本発明外の油性蛍光染料を配合した比較例2では、固体潤滑皮膜中に均一な混和ができなかった。
実施例5
市販の塗布型潤滑皮膜剤に、固形分比で5質量%になるようにビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体を配合した。これを10g/mの皮膜量になるように試験片表面に皮膜形成することで本発明の固体潤滑皮膜と、それを表面に有する冷間塑性加工用金属材料を作成し、図1に示すボール通し試験を下記の二種類の加工度で実施した。
市販の塗布型潤滑皮膜剤:ファインリューベE875
(日本パーカライジング(株)製)
(主成分:水性無機複合塩+ポリオレフィン系潤滑成分)
試験片材料:筒状のS10C酸洗材、外径30mmφ×高さ50mm、
内径14.5mmφと15.0mmφの二種類。
ボールは、17.46mmφのSUJ−2材。
加工度:断面積減少率12%(内径15.0mmφを使用)
断面積減少率14%(内径14.5mmφを使用)
図2に暗所でブラックライトによる紫外線を照射しながらデジタルカメラで撮影した、ボール通し試験後の内壁部の蛍光イメージ写真を示した。加工度が高い断面積減少率14%の方が皮膜の残存状態が悪いことが目視観察でき、本冷間塑性加工用金属材料が断面積減少率12%までの加工度で安定であることが分かる。
上記蛍光イメージ写真上の加工部位を画像処理により、暗さの程度(蛍光強度が低い程度)K値を測定し、加工摺動方向に対する皮膜残存状態の推移を調査した。その結果を図3に示す。次いで、エックス線光電子分光装置を用いて同一品表面の鉄の露出程度を測定し、同様に皮膜残存状態の推移を比較した。その結果を図4に示す。なお、エックス線光電子分光装置での測定には多大な時間と手間がかかるため、測定点数は大幅に絞った。
図3および図4の結果は、前述の目視観察結果と一致しており、加工度が高い断面積減少率14%の方が12%との比較で皮膜の残存状態が明らかに劣っていることが示されている。これらの結果から、本発明の検査方法によれば高価な表面分析装置などを使わなくても、加工現場で簡便に加工後の残存皮膜状態などを調査でき、かつその状態の数値化も可能であることが証明された。
図1は、実施例における、ボール通し試験の概要図である。 図2は、実施例における、ボール通し試験後の内壁部の蛍光イメージ写真である。 図3は、本発明に基づく、加工摺動方向に対する皮膜残存状態の推移結果を示したものである。 図4は、従来法に基づく、加工摺動方向に対する皮膜残存状態の推移結果を示したものである。

Claims (5)

  1. 水性ベース成分として水性無機塩、水性有機酸塩及び水性樹脂の一種以上と、
    固形分基準として0.5〜10質量%の水性蛍光染料
    含有する鍛造用の塗布型水性潤滑皮膜形成剤であって、油性潤滑成分が存在する状況下で鍛造する方法にて使用する剤
  2. 前記水性蛍光染料が、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体及びビススチリルビフェニル誘導体から選ばれる少なくとも一種である、請求項1記載の潤滑皮膜形成剤。
  3. 固体潤滑皮膜が、油性潤滑成分を更に含有する請求項1又は2記載の潤滑皮膜形成剤により形成された皮膜であるか、或いは、請求項1又は2記載の潤滑皮膜形成剤により形成された皮膜表面に油性潤滑成分が更に形成されたものである、固体潤滑皮膜が表面に形成された鍛造用金属材料。
  4. 請求項3記載の鍛造用金属材料を鍛造することで得られる金属材料。
  5. 請求項3又は4記載の金属材料の表面に、300〜400nmの紫外線を照射することによって発せられる蛍光から固体潤滑皮膜の存在状態を確認する金属材料の検査方法。
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