JP5045589B2 - Iii族窒化物結晶の成長方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発光素子、電子素子、半導体センサなどの各種半導体デバイスの基板として好ましく用いられる転位密度が低いIII族窒化物結晶の成長方法に関する。
AlxGayIn1-x-yN結晶(0≦x、0≦y、x+y≦1、以下同じ)などのIII族窒化物結晶は、発光素子、電子素子、半導体センサなどの各種半導体デバイスの基板を形成するための材料として非常に有用なものである。ここで、各種半導体デバイスの特性を向上させるために、転位密度が低く結晶性のよいIII族窒化物結晶基板が必要とされている。
ここで、III族元素を含む融液を用いる液相法は、HVPE(ハイドライド気相成長)法、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法などの気相法に比べて、転位密度の低いIII族窒化物結晶の成長が可能であると期待されている。
たとえば、特開2004−244307号公報(以下、特許文献1という)は、基板と、その基板上に形成された半導体層と、その半導体層の上方に形成されたIII族窒化物結晶とを備えるIII族窒化物基板であって、上記半導体層が、組成式AluGavIn1-u-vN(0≦u≦1、0≦v≦1)で表される半導体からなり、その半導体層の表面が{0001}面のステップが階段状に配置された一方向に傾斜した面であり、その傾斜した面と上記{0001}面とのなす角が、0.05°以上であり、さらに、上記半導体層上に形成されたIII族窒化物結晶のキャリア濃度の面内分布が、キャリア濃度の平均値の1/5以上5倍以下であるIII族窒化物基板を開示する。
また、上記特許文献1は、かかるIII族窒化物結晶基板の製造方法として、基板上に、組成式AluGavIn1-u-vN(0≦u≦1、0≦v≦1)で表される半導体であって、その表面に{0001}面が存在する半導体層を形成する工程と、その半導体層の{0001}面に対して傾斜した面となるように半導体層の表面を処理する工程と、窒素を含む雰囲気下において、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族金属元素と溶剤とを含む融液に、その半導体層の表面を接触させることによって、少なくとも1つのIII族元素と窒素とを反応させて上記半導体層上にIII族窒化物結晶を成長させる工程とを含む。
上記特許文献1の方法においては、半導体層の表面が、{0001}面が露出した階段状に加工されている。そのため、結晶育成時の異常成長を防止できる。また通常の種結晶基板を用いた場合と比較して、表面平坦性が高い結晶を得ることができる。特に、液相成長において、傾斜した基板を用いることにより、傾斜した基板を用いない場合に比べて、成長速度の向上と結晶中に取り込まれる不純物濃度の均一性が向上することが可能となる。
特開2004−244307号公報
しかし、上記特許文献1のように、液相法、特に溶剤(フラックス)法により半導体層の表面が傾斜した下地基板上にIII族窒化物結晶を成長させると、結晶成長速度が面内で不均一となり、結晶成長速度が大きい領域で結晶性が低下する問題があった。
これは、溶剤法、すなわち、III族金属および溶剤とを含む融液に窒素ガスを供給してIII族窒化物結晶を成長させる方法においては、窒素ガスは気液界面から融液に溶け込み、主に拡散により下地基板の主面に到達し、その主面上にIII族窒化物結晶が成長する。このため、融液の表面(気液界面)に対して、主面が平行になるように下地基板を配置すると、下地基板に成長したIII族窒化物結晶の結晶成長表面は融液の表面に対して平行でなくなる。したがって、結晶成長表面のうち、融液の表面に近い領域は結晶成長速度が大きく、融液の表面に遠い領域は結晶成長速度が小さい。このため、結晶成長とともに結晶成長速度の差は拡大する。こうして、大きな結晶成長速度で成長した領域では、結晶成長表面における成長種(結晶に取り込まれてIII族窒化物結晶となる前の融液内での構造体をいう、以下同じ。)の表面拡散が不十分となり、転位などの結晶欠陥が生じ、結晶性が低下する。
本発明は、液相法において、上記問題点を解決して、III族窒化物結晶の結晶成長表面における結晶成長速度の分布を小さくすることにより、平均転位密度が低く結晶性が高いIII族窒化物結晶の成長方法を提供することを目的とする。
本発明は、液相法によるIII族窒化物結晶の成長方法であって、一主面を有するIII族窒化物種結晶を含み、III族窒化物種結晶の{0001}面に対する主面のオフ角θが0.5°≦θ≦10.0°の範囲にある下地基板を準備する工程と、下地基板の主面に、III族金属を含む溶媒に窒素含有ガスを溶解させた溶液を接触させて、主面上にIII族窒化物結晶を成長させる工程と、を備え、III族窒化物結晶を成長させる工程において、溶液の表面に対する下地基板の主面の傾斜角φがθ≦φ≦θ+26.5°の範囲となるように下地基板が配置されているIII族窒化物結晶の成長方法である。
本発明にかかるIII族窒化物結晶の成長方法において、下地基板を主面のオフ方向に対して主面の傾斜方向のずれ角χが90°以下になるように配置することができる。また、溶媒はアルカリ金属をさらに含むことができる。
本発明によれば、III族窒化物結晶の結晶成長面における結晶成長速度の分布を小さくして、平均転位密度が低く結晶性が高いIII族窒化物結晶の成長方法を提供することができる。
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態のIII族窒化物結晶の成長方法は、液相法によるIII族窒化物結晶の成長方法であって、一主面10mを有するIII族窒化物種結晶10aを含み、III族窒化物種結晶10aの{0001}面10cに対する主面10mのオフ角θが0.5°≦θ≦10.0°の範囲にある下地基板10を準備する工程と、下地基板10の主面10mに、III族金属を含む溶媒13に窒素含有ガス15を溶解させた溶液17を接触させて、主面10m上にIII族窒化物結晶20を成長させる工程と、を備え、III族窒化物結晶20を成長させる工程において、溶液17の表面17mに対する下地基板10の主面10mの傾斜角φがθ≦φ≦θ+26.5°の範囲となるように下地基板10が配置されている。
(下地基板の準備工程)
図1を参照して、本実施形態のIII族窒化物結晶III族窒化物結晶の成長方法は、一主面10mを有するIII族窒化物種結晶10aを含み、III族窒化物種結晶10aの{0001}面10cに対する主面10mのオフ角θが0.5°≦θ≦10.0°の範囲にある下地基板10を準備する工程を備える。図3を参照して、このような下地基板10を用いることにより、下地基板10の主面10m上に成長させるIII族窒化物結晶20の転位の少なくとも一部を{0001}面に実質的に平行な方向(転位伝搬線20dの伸長方向)に伝搬させて結晶の外周部に排出することにより、III族窒化物結晶20の平均転位密度を低減し結晶性を高くすることができる。ここで、{0001}面とは、(0001)面および(0001)面と結晶幾何学的に等価な面を含む総称である。
ここで、下地基板10は、一主面10mを有するIII族窒化物種結晶10aを含む。また、成長させるIII族窒化物結晶20と下地基板10との間の結晶格子および格子定数の整合性を高める観点から、III族窒化物結晶20とIII族窒化物種結晶10aとが同じ化学組成を有することが好ましい。なお、III族窒化物結晶と化学組成が同じとは、結晶を構成する原子の種類および比率が同じことをいう。
ここで、一主面10mを有するIII族窒化物種結晶10aを含む下地基板10とは、たとえば、基礎基板10b上にIII族窒化物種結晶10aが形成されているテンプレート基板、全体がIII族窒化物種結晶10aで形成されている自立基板などが挙げられる。また、III族窒化物結晶20としてAlxGayIn1-x-yN結晶(0≦x、0≦y、x+y≦1)をホモエピタキシャル成長させる場合には、下地基板10のIII族窒化物種結晶10aとしてAlxGayIn1-x-yN種結晶(0≦x、0≦y、x+y≦1)が用いられる。
また、下地基板10は、III族窒化物種結晶10aの{0001}面10cに対する主面10mのオフ角θが0.5°≦θ≦10.0°の範囲にある。かかる下地基板10の主面10m上にIII族窒化物結晶20を成長させることにより、III族窒化物結晶20に存在する転位の少なくとも一部を{0001}面に実質的に平行な方向(転位伝搬線20dの伸長方向)に伝搬させて結晶の外周部に排出することにより、III族窒化物結晶20の平均転位密度を低減し結晶性を高くすることができる。
図3を参照して、このような下地基板10の主面10mは、下地基板10の主面10mは、ミクロ的には、複数の{0001}面(c面)である複数のテラス面10mtと、テラス面に対して傾いた複数のステップ面10msとでそれぞれ構成される複数のステップ10mpを有する階段状の凹凸面である。
このような主面10m上にIII族窒化物結晶20を成長させると、III族窒化物結晶20は、主面10mのテラス面10mtからこのテラス面10mtに垂直な方向と、主面10mのステップ面10msからテラス面10mtに平行な方向に成長する。このため、III族窒化物結晶20の成長中の結晶成長面20a,20b,20cには、複数の{0001}面(c面)である複数のテラス面20at,20bt,20ctと、テラス面に対して傾いた複数のステップ面20as,20bs,20csとでそれぞれ構成される複数のステップ20ap,20bp,20cpが形成される。
このとき、テラス面20at,20bt,10ctに平行な方向の結晶成長(ステップフロー成長とも呼ぶ、以下同じ)は、テラス面20at,20bt,20ctに垂直な方向の結晶成長(c軸成長とも呼ぶ、以下同じ)に比べて優勢である。また、転位は結晶の成長方向に伝搬する。このため、下地基板10の主面から受け継がれ、または、結晶成長の際に発生して、結晶に存在する転位を{0001}面に実質的に平行に伝搬させて(図3の転位伝搬線20dを参照)、結晶の外周部に排出させることができるものと考えられる。ここで、転位伝搬線20dとは、転位の伝搬の軌跡を示す線をいう。
ここで、結晶に残留する転位が伝搬する方向である{0001}面に実質的に平行な方向とは、テラス面20at,20bt,20ctに平行な方向の結晶成長速度Vsは、テラス面20at,20bt,20ctに垂直な方向の結晶成長速度Vtに比べて2倍以上となることから、転位伝搬線20dとテラス面20at,20bt,20ctとのなす転位伝搬角ψが26.5°以下の方向を意味する。
III族窒化物結晶20の成長とともに、ステップ面20as,20bs,20csが転位とともに結晶の外周部へ移動(ステップ・フロー)して、ある結晶成長面20eにおいてステップ面が消滅する。このステップ面が消滅するまでの結晶成長段階を結晶成長前期段階とも呼び、このときの結晶成長面20eを結晶成長前期段階終了時の結晶成長面とも呼ぶ。さらに、結晶が{0001}面に垂直な方向に成長して結晶成長面20gを有する第1のIII族窒化物結晶20が得られる。このステップ面が消滅後の結晶成長段階を結晶成長後期段階とも呼ぶ。このようにして、結晶成長後の結晶成長面20gにおける転位密度が低減したIII族窒化物結晶が得られる。
下地基板10は、主面10mが{0001}面に対して0.5°以上26.5°以下のオフ角θを有する。下地基板10において、{0001}面10cに対する主面10mのオフ角θが0.5より小さいと下地基板10の主面10mに存在するステップ10mpの数が少なく、転位を{0001}面と実質的に平行な方向に効率的に伝搬させることができなくなり、オフ角θが10.0°より大きいと主面10mに存在するステップ10mpの数が多くなり、結晶成長中にステップ20ap,20bp,20cpが合体してマクロステップ化する(図示せず)。マクロステップが生じると、マクロステップに液化した溶媒3(融液)が巻き込まれてIII族窒化物結晶20中に液胞が生じやすくなる。かかる観点から、オフ角θは、0.5°以上10.0°以下であり、0.5°以上5.0°以下が好ましい。オフ角θを0.5°以上5.0°以下とすることにより、III族窒化物結晶20中の液胞の発生を皆無とすることができる。
また、下地基板10のオフ角θの方向(この方向をオフ方向10vという)は、特に、制限はないが、結晶幾何学的な対称性の観点から、<1−100>方向または<11−20>方向が好ましい。ここで、<1−100>方向とは、[1−100]方向および[1−100]方向と結晶幾何学的に等価な方向を含む総称であり、<11−20>方向とは、[11−20]方向および[11−20]方向と結晶幾何学的に等価な方向を含む総称である。
ここで、図1を参照して、下地基板10の主面10mが{0001}面10cからオフ方向10vにオフ角θを有するとは、下地基板の主面10mの法線10mnが<0001>方向(この方向は{0001}面の法線10cnの方向である)からオフ方向10vにオフ角θを有することと等価である。
(III族窒化物結晶の成長工程)
図2および図3を参照して、本実施形態のIII族窒化物結晶III族窒化物結晶の成長方法は、下地基板10の主面10mに、III族金属を含む溶媒13に窒素含有ガス15を溶解させた溶液17を接触させて、主面10m上にIII族窒化物結晶20を成長させる工程を備える。
図2を参照して、結晶成長容器19内に下地基板10とともにIII族金属を含む溶媒13を配置する。溶媒13は室温(たとえば25℃)では通常固体であるが、加熱により液化して融液となる。
次に、溶媒13に窒素含有ガス15を供給しながら加熱すると、液化した溶媒13(融液)に窒素含有ガス15が溶解する。このようにして、下地基板10の主面10mに、III族金属を含む溶媒13に窒素含有ガス15が溶解した溶液17を接触させて、主面10m上にIII族窒化物結晶20を成長させる。実用的な結晶成長速度を得る観点から、溶媒13にアルカリ金属を含む場合は、結晶成長温度は700℃〜950℃が好ましく、結晶成長圧力(窒素含有ガス圧力)は0.5MPa〜5.0MPaが好ましい。また、同様の観点から、溶媒13にアルカリ金属を含まない場合は、結晶成長温度は800℃〜1300℃が好ましく、結晶成長圧力(窒素含有ガス圧力)は3.0MPa〜300.0MPaが好ましい。
図2および図3を参照して、上記III族窒化物結晶の成長工程において、溶液17の表面17m(気液界面)に対する下地基板10の主面10mの傾斜角φがθ≦φ≦θ+26.5°の範囲となるように下地基板10が配置されている。ここで、図2および図3において、参考のため、溶液17の表面17m(気液界面)に平行な面17m’を下地基板10内に示した。
図3を参照して、上記のように、結晶成長前期段階においては、結晶成長は、テラス面20at,20bt,20ctに平行な方向の結晶成長(ステップフロー成長)と、テラス面20at,20bt,20ctに垂直な方向の結晶成長(c軸成長)とによって進行する。ここで、ステップフロー成長の結晶成長速度Vsは、c軸成長の結晶成長速度Vtに比べて2倍以上であることから、溶液17の表面17mに対する下地基板10の主面10mの傾斜角φがθ≦φ≦θ+26.5°の範囲となるように下地基板10を配置することにより、結晶成長前期段階終了後の結晶成長面20eを溶液17の表面17m(気液界面)と平行またはほぼ平行にすることができ、結晶成長面における結晶成長速度の分布を小さくして、平均転位密度が低く結晶性が高いIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
ここで、溶液17の表面17mに対する下地基板10の主面10mの傾斜角φがθ≦φ≦θ+26.5°の範囲となるように下地基板10を配置する方法としては、特に制限はないが、たとえば、水平面11hに対して上記の傾斜角φ(θ≦φ≦θ+26.5°)を有する傾斜面11mを有する基板ホルダ11の傾斜面11m上に下地基板10を配置する方法が挙げられる。なお、図2および図3において溶液17の表面17m(気液界面)およびそれに平行な面17m’と水平面11hとは平行である。
また、図4を参照して、下地基板10は、主面10mのオフ方向10vに対して主面10mの傾斜方向10wのずれ角χが90°以下になるように配置されていることが好ましい。このように下地基板10を配置することにより、結晶成長前期段階終了後の結晶成長面20eを溶液17の表面17mと平行またはより平行に近くすることができ、結晶成長面における結晶成長速度の分布をより小さくして、さらに平均転位密度が低く結晶性が高いIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
ここで、下地基板10は、主面10mのオフ方向10vに対して主面10mの傾斜方向10wのずれ角χが90°以下になるように配置する方法としては、特に制限はないが、たとえば、基板ホルダ11の傾斜面11mの傾斜方向11wに対して下地基板10の主面10mのオフ方向10vのずれ角χが90°以下になるように、基板ホルダ11の傾斜面11m上に下地基板10を配置する方法が挙げられる。なお、図4において、下地基板10の傾斜方向10wと基板ホルダ11の傾斜方向11wとは一致している。
ここで、溶媒13は、III族金属に加えて、アルカリ金属をさらに含むことが好ましい。III族金属に加えてアルカリ金属を含む溶媒13を用いると、III族金属を含み不純物濃度(たとえば溶媒全体に対して1モル%未満の濃度)以上にはアルカリ金属を含まない溶媒を用いる場合に比べて、III族窒化物結晶の結晶成長温度および/または結晶成長圧力を低減させることができる。これは、溶媒13に含まれているアルカリ金属が、溶媒13への窒素含有ガス15の溶解を促進させるためと考えられる。アルカリ金属は、特に制限はないが、III族窒化物結晶の成長温度、成長圧力を低減させる効果が大きい観点から、ナトリウムおよびリチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を含む金属であることが好ましい。
(実施例1)
1.下地基板の準備工程
図1を参照して、下地基板10として直径が2インチ(5.08cm)で厚さが350μmのウルツ鉱型GaN結晶基板を準備した。この下地基板10の主面10mは、(0001)面に対して[1−100]方向に2°のオフ角θを有していた。下地基板10の主面10mにおける平均転位密度は、カソードルミネセンス(CL)法により暗点として検出し測定したところ、5.0×106cm-2であった。
2.III族窒化物結晶の成長工程
図2を参照して、液相法のうち、Naフラックス法により下地基板10の主面10m上にGaN結晶を成長させた。このとき、結晶成長容器19である内径6.0cm×高さ10.0cmのアルミナ製坩堝の底に基板ホルダ11を配置した。この基板ホルダ11は、水平面11hに対して2°の傾斜角φを有する傾斜面11mを有する。この基板ホルダ11の傾斜面11m上に、傾斜面11mの傾斜方向11wと下地基板10のオフ方向10vとが一致するように、下地基板10を配置した。また、アルミナ製坩堝(結晶成長容器19)内に、溶媒13として200gの金属Gaと150gの金属Naを入れた。
次に、アルミナ製坩堝(結晶成長容器19)を800℃まで加熱して、Ga−Na融液(溶媒13)を形成した。このGa−Na融液(溶媒13)に5MPaの窒素ガス(窒素含有ガス15)を供給して、Ga−Na融液(溶媒13)に窒素ガス(窒素含有ガス15)が溶解した溶液17を形成した。このとき、溶液17の表面17mに対して下地基板10の主面10mの傾斜角φが2°となるように下地基板が配置されていた。この状態、すなわち800℃(結晶成長温度)および窒素ガス圧力が5MPa(結晶成長圧力)で400時間、GaN結晶(III族窒化物結晶20)を成長させた。
得られたGaN結晶の成長厚さは、最大が1050μmで、最小が950μmであり、結晶成長厚さの分布が小さかった。このGaN結晶の結晶成長後の結晶成長面20gの面方位は(0001)であった。
次いで、このGaN結晶の結晶成長面20gを研磨して鏡面化した。この鏡面化結晶成長面における平均転位密度は、下地基板と同様にCL法により測定したところ、6.0×105cm-2と低かった。
また、このGaN結晶の転位伝搬の様子は、光散乱トモグラフ法により観察したところ、下地基板に近い結晶成長前期段階において転位は(0001)面に対して実質的に平行な方向に伝搬し、結晶外側面に到達していることが確認された。しかし、結晶成長厚さが1000μm〜1050μmの領域では、結晶がc軸方向に成長した結晶成長後期段階であり、c軸方向に平行に走る転位が確認された。
(実施例2)
傾斜面11mの傾斜角φが10°である基板ホルダ11を用いて、溶液17の表面17mに対して下地基板10の主面10mの傾斜角φが10°となるように下地基板を配置したこと以外は、実施例1と同様にしてGaN結晶を成長させた。
得られたGaN結晶の成長厚さは、最大が1010μmで、最小が990μmであり、結晶成長厚さの分布が極めて小さかった。このGaN結晶の結晶成長後の結晶成長面20gは(0001)面である広い複数のテラス面から構成されていた。また、このGaN結晶のの鏡面化結晶成長面における平均転位密度は、1.0×105cm-2と極めて低かった。
また、このGaN結晶の転位伝搬の様子は、下地基板に近い結晶成長前期段階において転位は(0001)面に対して実質的に平行な方向に伝搬し、結晶外側面に到達していることが確認された。また、結晶成長厚さが、結晶成長面内の平均値で300μmを超える領域では、結晶がc軸方向に成長した結晶成長後期段階と考えられるが、c軸方向に平行に走る転位は観察されなかった。
(実施例3)
傾斜面11mの傾斜角φが20°である基板ホルダ11を用いて、溶液17の表面17mに対して下地基板10の主面10mの傾斜角φが20°となるように下地基板10を配置したこと以外は、実施例1と同様にしてGaN結晶を成長させた。
得られたGaN結晶の成長厚さは、最大が1020μmで、最小が970μmであり、結晶成長厚さの分布が極めて小さかった。このGaN結晶の結晶成長後の結晶成長面20gは(0001)面である広い複数のテラス面から構成され、各テラス面の広さは実施例2で得られたGaN結晶の各テラス面の広さに比べて大きかった。また、このGaN結晶の鏡面化結晶成長面における平均転位密度は、3.0×105cm-2と極めて低かった。
また、このGaN結晶の転位伝搬の様子は、下地基板に近い結晶成長前期段階において転位は(0001)面に対して実質的に平行な方向に伝搬し、結晶外側面に到達していることが確認された。また、結晶成長厚さが、結晶成長面内の平均値で300μmを超える領域では、結晶がc軸方向に成長した結晶成長後期段階と考えられるが、c軸方向に平行に走る転位は観察されなかった。
(比較例1)
傾斜面11mの傾斜角φが0°である基板ホルダ11を用いて、溶液17の表面17mに対して下地基板10の主面10mの傾斜角φが0°となるように下地基板10を配置したこと以外は、実施例1と同様にしてGaN結晶を成長させた。
得られたGaN結晶の成長厚さは、最大が1100μmで、最小が900μmであり、結晶成長厚さの分布が大きかった。このGaN結晶の結晶成長後の結晶成長面20gは、非常に大きな凹凸を有するラフな面であった。また、このGaN結晶のの鏡面化結晶成長面における平均転位密度は、4.0×106cm-2と高かった。
また、このGaN結晶の転位伝搬の様子は、下地基板に近い結晶成長前期段階において転位は(0001)面に対して実質的に平行な方向に伝搬し、結晶外側面に到達していることが確認された。しかし、結晶成長厚さが、結晶成長面内の平均値で300μmを超える領域では、結晶がc軸方向に成長した結晶成長後期段階であり、c軸方向に平行に走る転位が多数確認された。
(比較例2)
傾斜面11mの傾斜角φが30°である基板ホルダ11を用いて、溶液17の表面17mに対して下地基板10の主面10mの傾斜角φが30°となるように下地基板10を配置したこと以外は、実施例1と同様にしてGaN結晶を成長させた。
本比較例においては、下地基板10の主面10mの上に正常なステップフロー成長がおこらず、基板の外周部において、GaN結晶が成長しない領域またはGaN多結晶が発生する領域が認められた。
上記の実施例1〜3ならびに比較例1および2から明らかなように、一主面を有するIII族窒化物種結晶を含み、III族窒化物種結晶の{0001}面に対する主面のオフ角θが0.5°≦θ≦10.0°の範囲にある下地基板を準備して、その主面にIII族金属を含む溶媒に窒素含有ガスを溶解させた溶液を接触させて、その主面上にIII族窒化物結晶を成長させる方法において、溶液の表面に対する下地基板の主面の傾斜角φがθ≦φ≦θ+26.5°の範囲となるように下地基板を配置して、結晶成長表面における結晶成長速度の分布を小さくすることにより、結晶成長厚さの分布が小さく、平均転位密度が低く結晶性が高いIII族窒化物結晶が得られた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
本発明にかかるIII族窒化物結晶の成長方法における下地基板の準備工程を示す概略断面図である。 本発明にかかるIII族窒化物結晶の成長方法におけるIII族窒化物結晶の成長工程を示す概略断面図である。 図2においてIII部分の概略拡大断面図である。 下地基板のオフ方向と下地基板の傾斜方向および基板ホルダの傾斜方向とのずれ角を示す概略平面図である。
符号の説明
10 下地基板、10a III族窒化物種結晶、10b 基礎基板、10c {0001}面、10cn,10mn 法線、10m 主面、10mp,20ap,20bp,20cp ステップ、10ms,20as,20bs,20cs ステップ面、10mt,20at,20bt,20ct テラス面、10v オフ方向、10w,11w 傾斜方向、11 基板ホルダ、11h 水平面、11m 傾斜面、13 溶媒、15 窒素含有ガス、17 溶液、17m 表面、17m’ 溶液の表面に平行な面、19 結晶成長容器、20 III族窒化物結晶、20a,20b,20c,20e,20g 結晶成長面、20d 転位伝搬線、Vs,Vt 結晶成長速度、θ オフ角、φ 傾斜角、χ ずれ角、ψ 転位伝搬角。

Claims (3)

  1. 液相法によるIII族窒化物結晶の成長方法であって、
    一主面を有するIII族窒化物種結晶を含み、前記III族窒化物種結晶の{0001}面に対する前記主面のオフ角θが0.5°≦θ≦10.0°の範囲にある下地基板を準備する工程と、
    前記下地基板の前記主面に、III族金属を含む溶媒に窒素含有ガスを溶解させた溶液を接触させて、前記主面上に前記III族窒化物結晶を成長させる工程と、を備え、
    前記III族窒化物結晶を成長させる工程において、前記溶液の表面に対する前記下地基板の主面の傾斜角φがθ≦φ≦θ+26.5°の範囲となるように前記下地基板が配置されているIII族窒化物結晶の成長方法。
  2. 前記下地基板は、前記主面のオフ方向に対して前記主面の傾斜方向のずれ角χが90°以下になるように配置されている請求項1に記載のIII族窒化物結晶の成長方法。
  3. 前記溶媒は、アルカリ金属をさらに含む請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物結晶の成長方法。
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