JP5045292B2 - 窒化物半導体基板の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、異種基板上にエピタキシャル成長させて得られた湾曲した窒化物半導体結晶から、結晶面方向の面内ばらつきが少ない窒化物半導体基板を得るための方法に関する。
窒化ガリウム(GaN)をはじめとする窒化物半導体結晶は、青色発光素子と蛍光体との組み合わせにより白色を得る光源などの半導体装置に用いられる材料として盛んな研究が行われてきている。窒化物半導体結晶は主に、有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタキシ法(MBE法)あるいはハイドライド気相成長法(HVPE法)といったエピタキシャル成長の手法により、異種基板上に育成される。
ところで、異種基板上にエピタキシャル成長させて得られる窒化物半導体結晶は、下地基板との熱膨張率の違いや格子不整合により内部応力が生じて結晶成長中に反りを生じ易く、特に、厚膜に結晶成長させて得られた窒化物半導体結晶は下地基板を除去した単独膜の状態でも大きく反ったものとなる。
このような湾曲した窒化物半導体単独膜の反りを低減させる手法として、凹型に反った方の面にダイヤモンド砥石を用いた研削によって加工変質層を形成して平坦化するという手法が報告されている(特許文献1:特開2005−136167号公報)。そしてこの手法によれば、窒化物半導体結晶の基板としての幾何学的な反りは、例えば±40μm〜±100μm程度から+30μm〜−20μm程度へと低減されるとされる。
このような基板の幾何学的な反りの低減は、当該基板上に素子を形成する際のデバイスプロセス上の要求に応え得るものである。しかし、歩留まり良く半導体素子を作製するという観点からは、基板を幾何学的に平坦なものとするだけでは、十分とはいえない。その理由は、半導体素子としての特性を設計どおりのものとするためには、基板の面内で、結晶面方向のばらつきが少ないことが求められるところ、基板が幾何学的に平坦であることは必ずしも、基板の面内で結晶面方向のばらつきが少ないことを意味しないからである。
例えば、比較的大型の窒化物半導体結晶を育成しておいてその結晶から複数の基板を切り出す場合、結晶の中心部と周辺部とで結晶面方向が異なる場合には、当該結晶から切り出されて得られた基板の内での結晶面方向のばらつきが無視できないのみならず、基板間での結晶面方向ばらつきも大きくなり、半導体素子の製造歩留まりは下がることとなる。
また、半導体素子によっては、結晶成長面にではなく、これと特定の角度をなす特殊な結晶面に作製することとなるが、結晶部位によって結晶面方向が異なる場合には、そのような特殊な結晶面を主面とする基板を切り出すための高精度な方位合わせも困難である。
特開2005−136167号公報
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、異種基板上にエピタキシャル成長させて得られた湾曲した窒化物半導体結晶から、面内および基板間で結晶面方向(格子面方向)のばらつきが少ない複数の窒化物半導体基板を得る方法を提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明の窒化物半導体基板の製造方法は、異種基板上にエピタキシャル成長させて得られた窒化物半導体結晶の面内各点での格子面方向[hkil]若しくは[hkl]が互いに平行となるように前記窒化物半導体結晶の少なくとも一方主面に加工変質層を形成し、その後前記加工変質層を含む窒化物半導体結晶を切断して複数の窒化物半導体基板を同時に切り出すことを特徴とする。
好ましくは、前記切断はワイヤーソーを使用し、平行に一度に複数分割される。
前記切断される結晶面は、例えば、C面(極性面)、A面またはM面(非極性面)、若しくはC面に対して傾斜する半極性面である。
本発明において、好ましくは、前記格子面方向[hkil]若しくは[hkl]の結晶面内での平行度は1度以内である。
また、本発明において、前記窒化物半導体基板から前記加工変質層を取り除く工程を更に備えるようにしてもよい。
前記窒化物半導体結晶は、例えば、窒化ガリウム系結晶である。
本発明の窒化物半導体ウエーハは、上述した本発明に係る方法により得られた平板状でない窒化物半導体ウエーハであって、面内各点での格子面方向[hkil]若しくは[hkl]が使用面と直交することを特徴とする。
本発明の窒化物半導体ウエーハは、少なくとも端面の一部に加工変質層が形成されているものとすることができる。
本発明は、窒化物半導体結晶の湾曲を加工変質層の導入により制御し、面内各点での格子面方向[hkil]若しくは[hkl]を平行化した状態の窒化物半導体結晶から基板を切り出すこととしたので、基板表面と特定の結晶格子面とが成す角度が基板の面内で略同じとなる。このため、湾曲した窒化物半導体結晶から、結晶格子面が揃った複数の基板を切り出すことが可能となる。
また、窒化物半導体結晶の面内各点での格子面方向[hkil]若しくは[hkl]が平行だと、ワイヤーソーで一度に平行に複数切断すると、結晶格子面が揃った基板を同時に多数切り出せるので、生産効率を向上させることができる。
更に、加工変質層を形成した窒化物半導体結晶から同時に多数の基板を切り出した後は、必要に応じて加工変質層を除去してもよく、この場合、切り出された多数の基板は再び反る方向に変形してしまうが、切り出された各基板は略同じように変形するため、切り出された各基板の面内での結晶面方向のばらつきは、湾曲した窒化物半導体結晶をそのままの状態で一度に平行に複数スライスして多数の基板を切り出した場合に比べて、少なくできる。
通常窒化物半導体結晶は、ある程度大きい状態にエピタキシャル成長で作られ、次に薄いウエーハにスライスされ、その後この薄いウエーハを細かく分割して多数の半導体素子を製造するのに用いられることが多い。
上述の窒化物半導体結晶に加工変質層を形成して面内各点での格子面方向[hkil]若しくは[hkl]を平行化した後にワイヤーソーで一度に平行に複数切断する方法で、薄いウエーハ状に切り出し、研磨やエッチングなどの半導体ウエーハに対し通常行われる表面仕上げ方法により加工変質層を除去して窒化物半導体ウエーハを作ると、この窒化物半導体ウエーハは上記のように再び反る方向に変形してしまうが、窒化物半導体ウエーハの切断面と共に内部の結晶構造も変形するため、切断面の面内各点で格子面方向[hkil]若しくは[hkl]と切断面との交わる角度は同一となる。
このようにして作られた窒化物半導体ウエーハの切断面を研磨し、デバイスを形成するための使用面とし、へき開面を基準として細かく分割すると、分割された各窒化物半導体結晶の内部の結晶構造は略同一となるため、この分割された各窒化物半導体結晶を用いて多数の半導体素子を製造すると、半導体素子の性能のばらつきを少なくすることができる。
しかし、窒化物半導体ウエーハの使用目的によっては、無理に加工変質層を除去する必要はない。
特に、薄い窒化物半導体ウエーハにした時に加工変質層がウエーハの端面部分に来る場合には、半導体素子の製造にほとんど影響を及ぼさないので、除去する必要はない。
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、以下では、窒化ガリウム系などの窒化物半導体結晶の結晶型は六方晶型であるとして説明し、その格子面指数を(hkil)、格子面方向を[hkil]で示すが、窒化物半導体結晶は立方晶型をも取り得るから、その場合には格子面指数は(hkl)、格子面方向は[hkl]で表記されることとなる。
図1(A)乃至(E)は、異種基板11上に窒化物半導体結晶12をエピタキシャル成長させた場合に、結晶成長につれて、窒化物半導体結晶12が湾曲してゆく様子を説明するための図で、ここでは、異種基板11は(0001)面(C面)を主面とする六方晶型のサファイア基板である(図1(A))。
サファイア基板上には、基板と同じ六方晶型の窒化物半導体結晶12(ここでは、GaN結晶)がC軸方向にエピタキシャル成長するが、その膜厚が薄い場合には湾曲は生じないから、基板面内で同一の方向(図中に矢印で示した)に結晶成長が進行する(図1(B))。しかし、サファイアとGaNとは約14%の格子不整合があるから、GaNの結晶成長が進行して膜厚が増すにつれてGaN結晶内部に応力が発生し、徐々に湾曲が生じるとともに格子面方向[hkil](図中の矢印方向)が面内でばらつきはじめ(図1(C)−(D))、窒化物半導体結晶12が厚膜である場合には、サファイア基板とGaN結晶との界面に生じた応力によってサファイア基板が自然剥離する場合もある(図1(E))。
このようなエピタキシャル成長の結果として得られた窒化物半導体結晶12は、その面内において、格子面方向[hkil]が場所ごとに異なり、湾曲の程度が大きければ大きいほど、格子面方向[hkil]の面内ばらつき(すなわち、図中に示した矢印同士が成す角度)は大きくなる。
図2は、湾曲してエピタキシャル成長した窒化物半導体結晶12の一方の主面に加工変質層13を形成して湾曲の度合いを制御し、これによって窒化物半導体結晶12の面内における格子面方向のばらつきの程度を低減させる様子を説明するための図で、エピタキシャル成長後の湾曲した窒化物半導体結晶12(図2(A))の一方の主面(図1においてサファイア基板側であった面)に加工変質層13を形成している(図2(B)−(C))。
エピタキシャル成長で得られた湾曲した窒化物半導体結晶12の凹面側に加工変質層13を導入すると凹面は広がり、加工変質のレベルに応じて平坦化することが知られている(特許文献1参照)。本発明では、湾曲した窒化物半導体結晶12の面内各点での格子面方向[hkil](図中では矢印で結晶成長方向であるC軸方向、すなわち[0001]方向)が互いに平行となるように窒化物半導体結晶12の凹面側に加工変質層13を導入する(図2(C))。なお、このような加工変質層13を、凹面側だけではなく凸面側にも導入するようにしてもよい。
図3は、加工変質層13を導入して面内各点での格子面方向[hkil]を平行化した窒化物半導体結晶12から基板を切り出す様子を説明するための図で、図3(A)は窒化物半導体結晶12の側面図、図3(B)は加工変質層13導入後の窒化物半導体結晶12の表面12aから裏面12bに向かって垂直に(すなわち、格子面方向[0001]に平行に)スライスして複数の基板14を得た様子を示す図、そして、図3(C)は得られた基板14の斜視図である。
なお、窒化物半導体結晶12は直径は例えば60mm程度、厚さは5mm程度であり、この結晶から切り出される基板の厚さは例えば0.5mm程度である。このような場合、切り出された基板14は、長さLが60mm、幅Hが5mm、厚さtが0.5mmなどとなる。図3(B)の場合、加工変質層13は基板14の端面部分にあるので、加工変質層13は特には除去しないで、角部の研削、表面の研磨及びエッチングなどの工程により基板14を仕上げる。但し、必要がある場合には、加工変質層13は除去してもよい。
その後、デバイス機能を有する層を積層して、基板14を例えば基板14のへき開面を基準面として0.2mm角に分割して半導体素子の製造に用いる。分割する手段としては、スライス、劈開などの方法がある。
図3では、スライスされて得られる基板面はC面に垂直な格子面とされているが、窒化物半導体結晶12の結晶成長面がどの格子面であり、切り出して得られた基板14の表面15にどのような素子を形成するかにより、切断される結晶面として、極性面であるC面、非極性面であるA面(すなわち、(11−20)面)またはM面(すなわち、(1−100)面)、若しくはC面に対して傾斜する半極性面などが選択されることとなる。
窒化物半導体結晶12を切る方法としては、例えばX線回折法を用いて結晶の方位を調べて切る方向を決め、ワイヤーソーで一度に平行に複数スライスすると、製造効率が向上するので望ましい。勿論、必要に応じて他の方法でスライスしてもかまわない。また、図3(A)では一つの面にのみ加工変質層13を形成しているが、必要に応じて、対向する側の面にも加工変質層13を形成してもかまわない。
図4は、加工変質層13を導入して面内各点での格子面方向[hkil]を平行化した窒化物半導体結晶12からウエーハ状の基板を切り出す様子を説明するための図で、図4(A)は窒化物半導体結晶12の側面図、図4(B)は加工変質層13導入後の窒化物半導体結晶12の側面の一方端12cから他方端12dに沿って(すなわち、格子面方向[0001]に垂直に)同時に切断して4枚のウエーハ14を得た様子を示す図、そして、図4(C)は得られたウエーハ14の斜視図である。
ウエーハ14の厚さは例えば0.5mm程度であるから、切り出されたウエーハ14は、直径Dが60mm、厚さtが0.5mmなどであり、この後、角部の研削、表面の研磨及びエッチングなどの工程により、加工変質層13を除去されてウエーハ14は仕上げられる。そして、デバイス機能を有する層を積層して、ウエーハ14を例えばウエーハ14のへき開面を基準面として0.2mm角に分割して半導体素子の製造に用いられることとなる。図4(A)の場合も、一つの面にのみ加工変質層13を形成しているが、必要に応じて、対向する側の面にも加工変質層13を形成してもかまわない。
つまり、湾曲した窒化物半導体結晶12の面内各点での格子面方向(この図ではC軸方向、すなわち[0001]方向)が互いに平行となるように窒化物半導体結晶12の凹面側に加工変質層13を導入しておき、この状態で、複数のウエーハを同時に切り出すことで基板を得るのである。
ここで、窒化物半導体結晶12から複数のウエーハを同時に切り出すのは、結晶が湾曲しようとする効果は窒化物半導体結晶12の厚さに依存して変化するため、ウエーハを1枚ずつ切り出した場合には、加工変質層13による凹面を広げる効果と上記結晶が湾曲しようとする効果のバランスが崩れ、ウエーハを切り出す工程中に窒化物半導体結晶12の面内各点での格子面方向の平行性が低下してしまうためである。
本発明において、格子面方向[hkil](若しくは[hkl])の結晶面内での平行度は、1度以内であることが好ましい。この程度の平行度であれば、切り出されたウエーハ上にデバイス機能を有する複数層を例えばHVPE法やMOVPE法などで積層したときに、容易に各層の界面を平坦に形成することができる。しかし、上記平行度が1度を超えると、各層の界面を平坦に形成することが急激に困難となり、界面に凹凸ができやすく例えば発光素子とした場合、発光強度の低下の原因となる。また、切り出されたウエーハの上記平行度が1度を超えると、ウエーハ上に形成した層の結晶構造自体にも影響が及び、層形成時に層内部に混入されるドーパント物質の混入量にも偏りを生じ、同様に発光素子とした際に輝度むらを生じてしまう。
また、窒化物半導体基板を得た後に、当該基板に残存している加工変質層部分を取り除くこととしてもよい。基板を得た後に加工変質層部分を除去した場合には、当該基板(従って素子形成面も)が幾何学的に湾曲を生じる可能性はあるが、仮にそのような湾曲が生じたとしても格子面は基板表面と同じ湾曲状態にあるため、局所的にみた場合の基板表面と格子面との関係は、基板面内において概ね一定の関係に保たれることとなるからである。
以下に、実施例により本発明をより詳細に説明する。
C面を主面とする直径60mmのサファイア基板を用い、GaN結晶をC軸方向にエピタキシャル成長させて厚さ約5mmの結晶を得た。この基板はC面側が凹状に湾曲しており、X線回折法によって評価したところ、曲率半径は約3mであった。このGaN結晶の凹状に湾曲している側の面の全面に、粒径30〜40μmのダイアモンド砥粒により、深さ0.05mmの研削を行って加工変質層を導入した。研削加工した結晶表面には、深さ数μmから十数μmの無数の微細なクラックが形成されており、GaN結晶の湾曲度は緩和されて曲率半径は約5mとなった。つまり、格子面方向[0001]の結晶面内での平行度は、約0.7度となった。
この状態の結晶から、M面の表面をもつ基板を切り出した。具体的には、X線回折法によって結晶の方位を合わせ、結晶の表面と裏面を横切るように、ワイヤーソーで5枚の基板を一度でスライスし、その表面を研磨加工した。
図5は、得られた基板の面内での基板表面と特定の結晶格子面(本実施例ではM面)との成す角度のばらつきの程度をX線回折法で調べた結果を説明するための図で、図5(A)に示したように、基板の面内(研磨面)の中心点(a)と基板周辺の点(b,c,d,e)の計5点について、M面(図では(hkil)と表示)と研磨面(S)が成す角度(図5(B)中のθ)を微小部X線回折の手法で調べた。
本実施例で得られた基板の場合、M面と研磨面が成す角度の最大値は0.5°であった。これに対して、加工変質層を導入することなく切り出した基板の場合は、M面と研磨面が成す角度の最大値は1.0°であった。
実施例1とは成長条件を変えて、曲率半径約15mの、直径60mmで厚さ約5mmのC軸方向にエピタキシャル成長したGaN結晶を得た。なお、用いた基板は実施例1と同様に、C面を主面とする直径60mmのサファイア基板である。このGaN結晶の凹状に湾曲している側の面(C面)の全面に、粒径30〜40μmのダイアモンド砥粒により、深さ0.05mmの研削を行って加工変質層を導入した。
研削加工した結晶表面には、深さ数μmから十数μmの無数の微細なクラックが形成され、結晶はクラックが形成された側の面(C面)が広がる方向に変形し、凹状であったC面側が凸状となった。この湾曲をX線回折法によって測定したところ、約15mであった曲率半径が、反対側の向きに約25mとなった。
次に、上記結晶面と反対側の面(−C面)の全面に、粒径3〜5μmのダイアモンド砥粒により、深さ0.02mm研削を行って加工変質層を導入した。この処理により結晶は再び変形した、C面の湾曲を再度X線回折法で測定したところ、曲率半径は約45mであった。つまり、格子面方向[0001]の結晶面内での平行度は、約0.1度となった。
この状態の結晶からA面の表面をもつ基板を切り出した。具体的には、X線回折法によって結晶の方位を合わせ、結晶の表面と裏面を横切るように、ワイヤーソーで5枚の基板を一度でスライスし、その表面を研磨加工した。
そして、上述した手法により、基板表面とA面との成す角度のばらつきの程度をX線回折法で調べた結果、本実施例で得られた基板の場合、M面と研磨面が成す角度の最大値は0.1°であった。これに対して、加工変質層を導入することなく切り出した基板の場合は、M面と研磨面が成す角度の最大値は0.3°であった。
実施例1および2とは成長条件を変えて、曲率半径約10mの、直径60mmで厚さ約5mmのC軸方向にエピタキシャル成長したGaN結晶を得た。なお、用いた基板は実施例1および2と同様に、C面を主面とする直径60mmのサファイア基板である。このGaN結晶の凹状に湾曲している側の面(C面)の全面に、粒径30〜40μmのダイアモンド砥粒により、深さ0.05mmの研削を行って加工変質層を導入した。
研削加工した結晶表面には、深さ数μmから十数μmの無数の微細なクラックが形成され、結晶はクラックが形成された側の面(C面)が広がる方向に変形し、湾曲をX線回折法によって測定したところ、約10mであった曲率半径が約45mとなった。
この結晶の一方端から他方端にわたって、研削面(C面)に沿ってワイヤーソーで1度に5枚スライスして複数のウエーハを得た。これらのウエーハのうち、加工変質層が導入されたままのウエーハから加工変質層を取り除く研磨加工を施したところ、C面側の表面の湾曲状態は結晶成長直後の状態に戻った。このとき、C面側の表面の湾曲に伴って、GaN結晶内部の結晶格子面の湾曲状態も成長直後の状態に戻り、C面側の表面と特定の結晶格子面とが成す角度は、C面側の全面で略同じとなった。
なお、スライスにより加工変質層と切り離されて得られた他のウエーハのC面側の湾曲状態も成長直後の状態へと戻っており、C面側の表面と特定の結晶格子面とが成す角度はC面側の全面で略同じとなっていた。
このようにして得られたウエーハに半導体素子を形成し、劈開や結晶軸基準のスライスにより0.2mm角に分割してチップとした。得られたチップは、表面と特定の結晶格子面とが成す角度の関係は何れも略同じであり、作製された半導体素子の性能のばらつきも殆どなかった。
なお、上記実施例は何れも、C軸方向にエピタキシャル成長させたGaN結晶を用いたものであったが、M軸方向、A軸方向、或いは−C軸方向に成長させたGaN結晶にも、本発明は適用できる。また、GaN結晶以外にも、AlN結晶やInN結晶などの窒化物半導体結晶でも同様の効果を得ることができる。更に、オフ角を有する窒化物半導体基板の作製にも、本発明は適用可能である。
本発明により、異種基板上にエピタキシャル成長させて得られた湾曲した窒化物半導体結晶から、面内および基板間で結晶面方向(格子面方向)のばらつきが少ない複数の窒化物半導体基板を得る方法が提供される。
異種基板上に窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させた場合に、結晶成長につれて、窒化物半導体結晶が湾曲してゆく様子を説明するための図である。 湾曲してエピタキシャル成長した窒化物半導体結晶の一方の主面に導入した加工変質層によって窒化物半導体結晶の面内における格子面方向のばらつきの程度を低減させる様子を説明するための図である。 加工変質層を導入して面内各点での格子面方向[hkil]を平行化した窒化物半導体結晶から基板を切り出す様子を説明するための図である。 加工変質層を導入して面内各点での格子面方向[hkil]を平行化した窒化物半導体結晶からウエーハ状の基板を切り出す様子を説明するための図である。 基板の面内での基板表面と特定の結晶格子面との成す角度のばらつきの程度をX線回折法で調べた結果を説明するための図である。
符号の説明
11 異種基板
12 窒化物半導体結晶
13 加工変質層
14 窒化物半導体基板
15 基板表面

Claims (7)

  1. 異種基板上にエピタキシャル成長させて得られた窒化物半導体結晶の面内各点での格子面方向[hkil]若しくは[hkl]が互いに平行となるように前記窒化物半導体結晶の少なくとも一方主面に加工変質層を形成し、その後前記加工変質層を含む窒化物半導体結晶を切断して複数の窒化物半導体基板を同時に切り出すことを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
  2. 前記切断はワイヤーソーを使用し、平行に一度に複数分割することを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  3. 前記切断される結晶面は、C面(極性面)、A面またはM面(非極性面)、若しくはC面に対して傾斜する半極性面である請求項1又は2に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  4. 前記格子面方向[hkil]若しくは[hkl]の結晶面内での平行度が1度以内である請求項1乃至3の何れか1項に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  5. 前記窒化物半導体基板から前記加工変質層を取り除く工程を更に備えている請求項1乃至4の何れか1項に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  6. 前記窒化物半導体結晶は窒化ガリウム系結晶である請求項1乃至5に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法により得られた平板状でない窒化物半導体ウエーハであって、面内各点での格子面方向[hkil]若しくは[hkl]が使用面と直交し、かつ、少なくとも端面の一部に加工変質層が形成されていることを特徴とする窒化物半導体ウエーハ
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