JP5044613B2 - 回転センサの異常検出装置 - Google Patents
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Description
請求項1に記載の発明は、内燃機関の出力軸が所定角度回転する毎にその回転方向に応じて異なる出力態様をもってパルス信号を出力する回転センサの異常検出装置において、前記出力軸が正回転しかしない判定期間内に、前記出力軸の正回転時に対応する出力態様とは異なる出力態様のパルス信号を検出した異常検出回数を計数し、該異常検出回数が閾値を超えたときに、前記回転センサが異常であると判定する判定手段を備え、前記判定手段は前記出力軸の回転速度が該出力軸の逆回転が生じない下限回転速度以上である所定回転速度期間、及び内燃機関の始動時に前記出力軸を正回転させるスタータモータが駆動状態である始動期間をそれぞれ前記判定期間とし、前記閾値は、前記所定回転速度期間での値の方が前記始動期間での値よりも大きく設定されることを要旨とする。
また、上記構成によれば、異常検出回数が閾値を超えた場合に、回転センサが異常であると判定されるため、例えばノイズ等の影響によりパルス信号の出力態様が偶発的に逆回転時に対応した出力態様になった場合等に、判定手段が誤って回転センサの異常であると判定することを防止できる。
また、閾値の値を大きくするほど、回転センサが異常であるか否かの判定精度を向上させることができるが、異常であると判定するまでの時間が長くなるため、回転センサが異常であるとして速やかにフェールセーフ処理の実行することができず、始動時においては始動時間の長期化を招く虞がある。この点、上記構成によれば、始動期間での閾値が所定回転速度期間での閾値よりも小さく設定されるため、所定回転速度期間ではセンサの異常を精度良く判定できるとともに、始動期間では速やかに異常判定をしてフェールセーフ処理を実行することが可能になり、始動時間の長期化を防止できる。
この点、上記構成では、回転センサの異常が検出された場合には、出力軸の回転位置の算出値をクリアした後、逆転対応期間を終了させてパルス信号の出力態様とは無関係に出力軸が正回転しているものとして、出力軸の回転位置を算出するようにしている。そのため、上記重複期間内において、パルス信号の出力タイミングは正常であるが実際の回転方向を示す出力態様とは異なる出力態様のパルス信号が出力されるといった回転センサの異常が検出された場合にも、内燃機関を確実に再始動させることができる。
また、スタータモータが駆動している期間においては、通常、出力軸は正回転していると考えられるため、請求項3のように、内燃機関の始動時に出力軸を正回転させるスタータモータが駆動状態である始動期間を判定期間とすることができる。
また、始動期間と逆転対応期間との重複期間内においては、出力軸は通常正回転しているが、回転センサの異常により同期間内に出力軸の逆回転時に対応する出力態様のパルス信号を検出した場合、出力軸の回転位置(回転角)を誤って遅角側に戻してしまい、同回転位置が不正確なものとなる。ここで、出力軸の回転位置の算出値をクリアするのみでは、再び出力軸の回転位置を誤って遅角側に戻してしまうため、その回転位置が不正確なものになる。
この点、上記構成では、回転センサの異常が検出された場合には、出力軸の回転位置の算出値をクリアした後、逆転対応期間を終了させてパルス信号の出力態様とは無関係に出力軸が正回転しているものとして、出力軸の回転位置を算出するようにしている。そのため、上記重複期間内において、パルス信号の出力タイミングは正常であるが実際の回転方向を示す出力態様とは異なる出力態様のパルス信号が出力されるといった回転センサの異常が検出された場合にも、内燃機関を確実に再始動させることができる。
本実施形態にかかる内燃機関11は複数の気筒12を有する多気筒内燃機関であり、図1には、複数の気筒12のうちの1つを模式的に示している。同図に示すように、内燃機関11の各気筒12内にはピストン13が往復動可能に設けられている。各気筒12には、このピストン13の頂面と気筒12の内周面とによって燃焼室14が区画形成されている。
クランクシャフト31の端部には、図2に示すシグナルロータ51が同クランクシャフト31と一体回転可能に設けられている。このシグナルロータ51の外周には、複数の歯52が所定角度(10°CA)毎に設けられるとともに、その一部には、基準角度を検知するべく2枚の歯52を欠損させた欠歯部53が形成されている。そして、クランクポジションセンサ42は、このシグナルロータ51の上記歯52と対向する位置に配置されて、クランクシャフト31の回転位置(クランク角CA)及び回転速度(機関回転速度NE)を検出する。
ECU41は、算出値としてのクランクカウンタCcをパルス信号Spに応じて増減させており、このクランクカウンタCcの値に基づいてクランク角CAを検出するようにしている。具体的には、ECU41は、図3(a),(b)に示すように、パルス信号Spの立ち下がりを検出すると、クランク角CAに対応するクランクカウンタCcを1つインクリメント(Cc←Cc+1)し、一旦クランク角CAを所定角度進角側に進める。そして、パルス信号Spのパルス幅が所定幅αである場合には、クランクカウンタCcの値を維持する一方、パルス信号Spのパルス幅が所定幅βである場合には、クランクカウンタCcを2つデクリメント(Cc←Cc−2)し、クランク角CAを所定角度遅角側に戻すようにしている。
(ア)内燃機関11の自動停止が実行され、燃料噴射が停止されていること。
なお、本実施形態では、下限回転速度NElとはクランクシャフト31が逆回転しない最小の回転速度(例えば、400rpm)である。
(ウ)内燃機関11の自動停止の実行中でないこと。
(オ)クランクポジションセンサ42により欠歯部53が検出されたこと。
(カ)スタータモータ33の駆動が所定時間(例えば、1秒)以上継続したこと。
具体的には、ECU41は、自動停止再始動制御の実行を禁止するようにしている。また、始動期間と上記逆転対応期間の重複期間内に、クランクポジションセンサ42の異常を検出した場合には、クランク角CA(クランクカウンタCc)をクリアした後、逆転対応期間を終了させてパルス信号Spのパルス幅とは無関係にクランクシャフト31が正回転しているものとして、パルス信号Spの出力に基づきクランク角CAを算出するようにしている。さらに、ECU41は、上記重複期間内に、クランクシャフト31の正回転時に対応する所定幅αと異なるパルス幅のパルス信号Spを検出したときに、内燃機関11への燃料噴射及び点火を停止するようにしている。このように、ECU41は自動停止再始動制御の実行を禁止する禁止手段、クランク角CAを算出する回転角算出手段及び燃料噴射及び点火を停止する停止手段として機能する。
先ず、本処理が開始されると、上記各センサ類の検出信号を通じて各種状態量が読み込まれ(ステップS301)、機関回転速度NEが上限回転速度NEu以下であり、且つ下限回転速度NEl以上である否かが判定される(ステップS302)。機関回転速度NEが上限回転速度NEu以下であり、且つ下限回転速度NEl以上である場合には(ステップS302:YES)、パルス信号Spのパルス幅がクランクシャフト31の正回転時に対応する所定幅αであるか否かが判定され(ステップS303)、パルス幅が所定幅αである場合には(ステップS303:YES)、ステップS301に移行する。
先ず、本処理が開始されると、上記各センサ類の検出信号を通じて各種状態量が読み込まれ(ステップS601)、スタータモータ33が駆動状態にあるか否が判定される(ステップS602)。スタータモータ33が駆動状態にある場合には(ステップS602:YES)、変速機32がニュートラル状態であるか否かが判定され(ステップS603)、変速機32がニュートラル状態である場合には(ステップS603:YES)、パルス信号Spのパルス幅が所定幅αであるか否かが判定される(ステップS604)。そして、パルス幅が所定幅αである場合には(ステップS604:YES)、ステップS601に移行する。
(1)ECU41は、クランクシャフト31が正回転しかしない判定期間内に、クランクシャフト31の正回転時に対応する所定幅αとは異なるパルス幅のパルス信号Spを検出したときに、クランクポジションセンサ42が異常であると判定するようにした。そのため、例えばクランクシャフト31が正回転しているにもかかわらず逆回転時に対応する所定幅βのパルス信号Spが出力されたとき等、クランクシャフト31の実際の回転方向に対応するパルス幅とは異なるパルス幅のパルス信号Spが出力されるといった異常を検出できるようになる。
ここで、例えば登坂路において再始動する際に運転者がブレーキペダルを踏んでいないと、車両がその自重によって後進する虞がある。このように車両がその自重によって後進するときに変速機32がニュートラル状態でないと、クランクシャフト31が逆回転することになる。この点、本実施形態では、スタータモータ33が駆動しており、且つ変速機32がニュートラル状態である期間を始動期間とするため、クランクシャフト31が確実に正回転しかしない期間を始動期間、すなわち判定期間とすることができ、ECU41が誤ってクランクポジションセンサ42の異常であると判定することを防止できる。
ここで、閾値K1,K2の値を大きくするほど、クランクポジションセンサ42が異常であるか否かの判定精度を向上させることができるが、異常であると判定するまでの時間が長くなるため、クランクポジションセンサ42が異常であるとして速やかにフェールセーフ処理を実行することができず、始動時においては始動時間の長期化を招く虞がある。この点、本実施形態によれば、所定回転速度期間での閾値K1が始動期間での閾値K2がよりも大きく設定されるため、所定回転速度期間ではクランクポジションセンサ42の異常を精度良く判定できるとともに、始動期間では速やかに異常判定をしてフェールセーフ処理を実行することが可能になり、始動時間の長期化を防止できる。
ここで、クランクポジションセンサ42の異常により、クランクシャフト31が正回転しているときに所定幅αと異なるパルス幅のパルス信号Spが出力される状態では、同パルス信号Spに基づいて算出された内燃機関停止時のクランク角CAが不正確なものである虞がある。そのため、車両を再始動させる際において、間違ったクランク角CAに基づいて燃料噴射や点火等が行われることで、始動不良等の不具合が生じる可能性がある。
・上記実施形態では、所定回転速度期間及び始動期間をそれぞれ判定期間としたが、これに限らず、判定期間は所定回転速度期間又は始動期間のいずれか一方のみでもよい。なお、所定回転速度期間のみを判定期間として同判定期間に異常が検出された場合は、自動停止再始動制御を禁止するフェールセーフ処理のみを実行し、始動期間のみを判定期間として同判定期間に異常が検出された場合は、自動停止再始動制御を禁止するとともに、逆転対応期間を終了させてクランクカウンタCcをクリアするフェールセーフ処理を実行することになる。
・上記実施形態では、異常検出回数を示す異常カウンタCeの値と閾値K1,K2を比較することでクランクポジションセンサ42の異常判定を行ったが、これに限らず、パルス信号Spの異常を検出したら、即座にクランクポジションセンサ42を異常であると判定するようにしてもよい。
Claims (9)
- 内燃機関の出力軸が所定角度回転する毎にその回転方向に応じて異なる出力態様をもってパルス信号を出力する回転センサの異常検出装置において、
前記出力軸が正回転しかしない判定期間内に、前記出力軸の正回転時に対応する出力態様とは異なる出力態様のパルス信号を検出した異常検出回数を計数し、該異常検出回数が閾値を超えたときに、前記回転センサが異常であると判定する判定手段を備え、
前記判定手段は前記出力軸の回転速度が該出力軸の逆回転が生じない下限回転速度以上である所定回転速度期間、及び内燃機関の始動時に前記出力軸を正回転させるスタータモータが駆動状態である始動期間をそれぞれ前記判定期間とし、
前記閾値は、前記所定回転速度期間での値の方が前記始動期間での値よりも大きく設定される
ことを特徴とする回転センサの異常検出装置。 - 前記始動期間と、前記出力軸の逆回転時に対応する出力態様のパルス信号を検出したときに前記出力軸の回転位置を遅角側に戻す逆転対応期間とが重複するものであり、
前記始動期間と前記逆転対応期間との重複期間内に、前記回転センサの異常を検出した場合には、前記出力軸の回転位置の算出値をクリアした後、前記逆転対応期間を終了させてパルス信号の出力態様とは無関係に前記出力軸が正回転しているものとして、前記パルス信号の出力に基づき前記出力軸の回転位置を算出する回転角算出手段
を備えた請求項1に記載の回転センサの異常検出装置。 - 内燃機関の出力軸が所定角度回転する毎にその回転方向に応じて異なる出力態様をもってパルス信号を出力する回転センサの異常検出装置において、
前記内燃機関の始動時に前記出力軸を正回転させるスタータモータが駆動状態である始動期間を前記出力軸が正回転しかしない判定期間とし、該判定期間内に、前記出力軸の正回転時に対応する出力態様とは異なる出力態様のパルス信号を検出したときに、前記回転センサが異常であると判定する判定手段と、
前記始動期間と、前記出力軸の逆回転時に対応する出力態様のパルス信号を検出したときに前記出力軸の回転位置を遅角側に戻す逆転対応期間とが重複するものであり、
前記始動期間と前記逆転対応期間との重複期間内に、前記回転センサの異常を検出した場合には、前記出力軸の回転位置の算出値をクリアした後、前記逆転対応期間を終了させてパルス信号の出力態様とは無関係に前記出力軸が正回転しているものとして、前記パルス信号の出力に基づき前記出力軸の回転位置を算出する回転角算出手段とを備える
ことを特徴とする回転センサの異常検出装置。 - 請求項3に記載の回転センサの異常検出装置において、
前記判定手段は前記判定期間内に前記出力軸の正回転時に対応する出力態様とは異なる出力態様のパルス信号を検出した異常検出回数を計数し、該異常検出回数が閾値を超えたときに、前記回転センサが異常であると判定する
ことを特徴とする回転センサの異常検出装置。 - 請求項3又は4に記載の回転センサの異常検出装置において、
前記判定手段は前記出力軸の回転速度が該出力軸の逆回転が生じない下限回転速度以上である所定回転速度期間を前記判定期間とする
ことを特徴とする回転センサの異常検出装置。 - 前記重複期間内に、前記出力軸の正回転時に対応する出力態様と異なる出力態様のパルス信号を検出したときに、前記内燃機関への燃料噴射及び点火を停止する停止手段
を備えた請求項2〜5のいずれか一項に記載の回転センサの異常検出装置。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の回転センサの異常検出装置において、
前記スタータモータが駆動状態であることに加え、前記内燃機関に接続される変速機が動力伝達を遮断するニュートラル状態である期間を前記始動期間とする
ことを特徴とする回転センサの異常検出装置。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の回転センサの異常検出装置において、
前記スタータモータが駆動状態であることに加え、前記内燃機関が搭載された車両が停止状態である期間を前記始動期間とする
ことを特徴とする回転センサの異常検出装置。 - 所定の停止条件が成立した場合に前記内燃機関を自動停止する一方、所定の再始動条件が成立した場合に前記内燃機関を自動始動する自動停止再始動制御を行う制御手段と、
前記判定期間内に前記回転センサの異常を検出した場合に、前記自動停止再始動制御の実行を禁止する禁止手段と
を備えた請求項1〜8のいずれか一項に記載の回転センサの異常検出装置。
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