JP5407934B2 - 回転角検出システムの異常判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の出力軸の回転量および回転方向に応じた信号を出力する回転角検出システムについての異常の発生を判定する異常判定装置に関するものである。
近年、燃料消費量の低減やエミッションの低減を図るために、車両駆動源として内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車両や交差点等での車両停止時において内燃機関の運転を一時的に停止させる車両などのように、車両の運転に際して内燃機関の運転を間欠的に停止させる制御(間欠停止制御)を実行することが提案され、実用されている。
こうした車両では、間欠停止制御における内燃機関の自動停止に際してその出力軸の回転角を正確に把握しておくことにより、その後の内燃機関の再始動に際して機関制御(燃料噴射制御など)を適切に実行することが可能になり、その再始動を適正に実行して速やかに完了させることが可能になる。
ところで、内燃機関の出力軸は常に一方向に回転するとは限らず、その停止過程や停止中において一時的に通常運転時における方向(正方向)と反対の方向(逆方向)に回転することがある。そのため、仮に内燃機関の出力軸の回転量を検出するためのセンサのみが設けられて同センサの出力信号に応じた信号を出力するものを回転角検出システムとして採用すると、内燃機関の出力軸が逆方向に回転した際にこれを同システムの出力信号から把握することができない。したがって、その分だけ回転角検出システムの出力信号によって求められる内燃機関の出力軸の回転角と実際の回転角との間にずれが生じてしまい、内燃機関の再始動を適正に行うことができなくなる。
そこで従来、内燃機関の出力軸の回転量を把握することに併せて回転方向を把握し、それら検出した回転量および回転方向に応じた信号を出力する回転角検出システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。こうした回転角検出システムの出力信号に基づいて内燃機関の出力軸の回転角を求めることにより、逆方向への回転を考慮したうえで内燃機関の同出力軸の回転角を精度良く求めることが可能になる。
このシステムは、内燃機関の出力軸に取り付けられた円板形状のシグナルロータと同シグナルロータの近傍に設けられた二つのセンサ(第1センサおよび第2センサ)とを備えている。シグナルロータの外周には所定角度毎に多数の突起が形成され、二つのセンサは共にシグナルロータの突起が近傍を通過する度にパルス状の信号を出力し、それらセンサは互いに位相のずれたパルス状の信号を出力するようになっている。そして、各センサから出力されるパルス信号の数に基づいて内燃機関の出力軸の回転量が把握されるとともに、第1センサの出力信号の変化態様(ロー信号からハイ信号への変化[立ち上がり]、あるいはハイ信号からロー信号への変化[立ち下がり])と第2センサの出力値(ハイ信号あるいはロー信号)との関係に基づいて機関出力軸の回転方向が把握される。
特開2005−233622号公報(第5−6頁、図2−3)
ところで、上記回転角検出システムでは、異常が生じて第2センサの出力信号が一定値(ハイ信号またはロー信号)から変化しなくなると、内燃機関の出力軸が一方向に回転している場合において、回転方向として正方向と逆方向とが交互に検出されるようになってしまう。そのため、このとき内燃機関の出力軸の実回転角と上記システムの出力信号に基づき求められる回転角との間にずれが生じてしまい、同内燃機関の再始動を速やかに完了させることができなくなるおそれがある。
こうした異常の発生に適切に対処するためにはその発生を精度良く判定することが望ましい。しかしながら、上記異常の発生を精度良く判定することは以下のような理由により困難である。
内燃機関の出力軸の回転が停止する際には、同内燃機関の燃焼室内に充填された吸気の圧縮と膨張とが交互に繰り返されることによって出力軸が正方向と逆方向とに交互に揺れ動く現象(いわゆるチャタリング現象)が生じることがある。こうしたチャタリング現象の発生時には、第2センサから正常に信号が出力されている場合であっても、内燃機関の出力軸が実際に正方向と逆方向に交互に回転するために、場合によっては第1センサからパルス信号が出力された状態で第2センサから一定の値(ハイ信号あるいはロー信号)が連続して出力されるといった状況になってしまう。そのため、同じように第2センサの出力信号が一定値から変化しない状況であっても、これが上記異常の発生によるものかあるいはチャタリング現象の発生によるものかを精度良く判別することが難しく、上記異常の発生を精度良く判定することが困難であると云える。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転角検出システムの異常を精度良く判定することのできる異常検出装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、車載内燃機関の出力軸が変速機を介して駆動輪に接続されるとともに、前記内燃機関の運転を間欠的に停止させる間欠停止制御が実行される車両に設けられてなり、共に前記出力軸の回転角の変化に応じてパルス状の信号を出力するセンサであって互いに位相のずれた信号を出力する第1センサおよび第2センサを有し、それら前記第1センサおよび前記第2センサの出力信号の少なくとも一方に基づいて前記出力軸の回転量を検出し、前記第1センサの出力信号の変化時における同出力信号の変化態様と前記第2センサの出力信号との関係に基づいて前記出力軸の回転方向を検出し、前記第1センサの出力信号の変化時における前記第2センサの出力信号が所定回数にわたり連続して同一の状態になったときに特定状態であると判定し、前記検出した回転量および回転方向についての情報と前記特定状態についての情報とを含む信号を出力する回転角検出システムに適用され、前記回転角検出システムの出力信号が前記特定状態であることを示す値である状況のもとで前記出力軸が回転したことを示す値になったとの判定条件が成立したときに、前記回転角検出システムに異常が発生したと判定する異常判定手段と、前記間欠停止制御を通じて前記内燃機関の運転が間欠的に停止されており且つ前記変速機が前記車両の走行に際して選択される作動状態であるときに、前記判定条件が成立する状況であっても、前記異常が発生したとの判定をなすことを禁止する判定禁止手段とを備えることをその要旨とする。
上記構成では、内燃機関の運転中に第2センサの出力信号が一定値から変化しなくなる異常が発生すると、第1センサの出力信号の変化時における第2センサの出力信号が所定回数にわたり連続して同一の状態になり、その状態で回転角検出システムの出力信号が内燃機関の出力軸が回転したことを示す値になる。そのため、この場合には回転角検出システムに異常が発生したことを適正に判定することができる。
また、内燃機関の間欠停止に際して前述したチャタリング現象が発生すると、第1センサの出力信号の変化時における第2センサの出力信号が所定回数にわたり連続して同一の状態になることがあるものの、直後において内燃機関の出力軸の回転が停止するため、回転角検出システムの出力信号が内燃機関の出力軸が回転したことを示す値にならない。そのため、この場合には回転角検出システムに異常が発生していると誤って判定されることが回避される。
さらに、内燃機関の運転が停止されている場合であっても変速機が車両の走行に際して選択される作動状態になっている場合には、坂道において車両がずり下がることによって内燃機関の出力軸が回転することがある。そのため、内燃機関の間欠停止時においても回転角検出システムの出力信号が内燃機関の出力軸が回転したことを示す値になることがあると云え、これに伴って回転角検出システムに異常が発生したと誤って判定されてしまうおそれがある。この点、上記構成では、そのようにして回転角検出システムの出力信号が内燃機関の出力軸が回転したことを示す値になったとしても、同システムに異常が発生したとの判定がなされない。そのため、この場合にも回転角検出システムに異常が発生していると誤って判定されることが回避されるようになる。
このように上記構成によれば、第2センサの出力信号が一定値から変化しない状況になった場合に、これが上記異常の発生によるものであることを的確に判別して、回転角検出システムの異常を精度良く判定することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転角検出システムの異常判定装置において、前記回転角検出システムは、前記特定状態であると判定された後に前記同一の状態がさらに連続するときには、該判定された直後の所定期間にわたり前記特定状態についての情報のみを出力するものであることをその要旨とする。
上記構成によれば、前記特定状態になったとき、言い換えれば回転角検出システムの信頼性が低下しているときに、同システムからの回転量についての情報や回転方向についての情報の出力を停止させることができ、不適切な信号に基づく機関制御の実行を抑えることができる。しかも上記構成では、特定状態が所定期間にわたり継続されると、内燃機関の出力軸の回転量についての情報や回転方向についての情報の出力が再開されて回転角検出システムの出力信号が内燃機関の出力軸が回転したことを示す値になり、同システムに異常が発生していると判定されるようになる。このように上記構成によれば、前記特定状態が所定期間にわたって継続されたことをもって回転角検出システムの異常発生を判定することができるようになる。そのため、各出力信号へのノイズの重畳などに起因する出力信号の不要な変化による誤判定を回避することができ、異常の発生を精度良く判定することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の回転角検出システムの異常判定装置において、前記回転角検出システムは、前記特定状態であると判定された後において前記同一の状態がさらに連続するときに、前記同一の状態が連続する回数が所定回数に達するまでの期間においては前記特定状態についての情報のみを出力し、前記期間の経過後においては前記出力軸が正方向に回転しているとの情報と前記検出した回転量についての情報と前記特定状態についての情報とを出力することをその要旨とする。
上記構成によれば、前記特定状態になったとき、言い換えれば回転角検出システムの信頼性が低下しているときに、同システムからの回転量についての情報や回転方向についての情報の出力を停止させることができ、不適切な信号に基づく機関制御の実行を抑えることができる。
また、特定状態が所定期間にわたり継続されると、内燃機関の出力軸が正方向に回転しているとの情報に併せて第1センサや第2センサによって検出した回転量についての情報が出力されるために、それら情報をもとに機関運転を実行することができるようになり、車両の走行機能を維持することができるようになる。
しかも上記構成では、そのようにして回転方向についての情報や回転量についての情報が出力されたときに、回転角検出システムの出力信号が内燃機関の出力軸が回転したことを示す値になったとして、同システムに異常が発生していると判定されるようになる。このように上記構成によれば、前記特定状態が所定期間にわたって継続されたことをもって回転角検出システムの異常発生を判定することができるようになる。そのため、各出力信号へのノイズの重畳などに起因する出力信号の不要な変化による誤判定を回避することができ、異常の発生を精度良く判定することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の回転角検出システムの異常判定装置において、前記回転角検出システムは、前記第1センサの出力信号の変化時における前記第2センサの出力信号が第1の所定回数にわたり連続して同一の状態になったときに前記出力軸の回転量についての情報と前記回転方向についての情報の出力を禁止するものであり、前記第1センサの出力信号の変化時における前記第2センサの出力信号が前記第1の所定回数より多い第2の所定回数にわたり連続して同一の状態になったときに前記特定状態であると判定するものであることをその要旨とする。
上記構成によれば、第1センサの出力信号の変化時における第2センサの出力信号が第1の所定回数にわたり連続して同一の状態になったとき、すなわち回転角検出システムの信頼性が低下している可能性のあるときに、回転角検出システムからの機関出力軸の回転量についての情報と回転方向についての情報との出力を停止することができる。これにより、不適切な信号に基づく機関制御の実行を抑えることができる。
前述したようにチャタリング現象が発生した場合においても第1センサの出力信号の変化時における第2センサの出力信号が第1の所定回数にわたり連続して同一の状態になるといった状況になることがある。とはいえ、この場合には上記状況は長くは続かない。この点、上記構成によれば、上記状況が継続されたことを条件に特定状態になったと判定されるため、チャタリング現象の発生に起因して特定状態になったと誤って判定されることを抑えることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転角検出システムの異常判定装置において、前記出力軸が正方向にのみ回転する機関運転状態であることを条件に所定周期毎に前記回転角検出システムの出力信号に基づいて前記特定状態であるか否かを判断し、前記特定状態であると判断した回数が判定値以上になったときに前記回転角検出システムに異常が発生したと判定する異常発生判定手段を更に備えることをその要旨とする。
上記構成によれば、内燃機関の出力軸が正方向にのみ回転する運転状態であるとき、すなわちチャタリング現象が発生することのない機関運転状態であるときにおいて前記特定状態であると判断された回数をカウントし、その回数に基づいて回転角検出システムの異常発生を判定することができる。そのため、チャタリング現象の発生によって回転角検出システムに異常が発生していると誤って判定されることを抑えることができる。しかも、前述した異常判定手段による異常判定に加えて異常発生判定手段による異常判定が実行されるために、それらの一方による異常判定によって機関制御についてのフェイルセーフ制御の実行を開始するとともに、その後の他方による異常判定によって異常である旨の報知を行うといったように、高い自由度をもって回転角検出システムの異常発生に対処することができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の回転角検出システムの異常判定装置において、前記所定周期より長い実行周期で前記判断した回数のリセットを実行することをその要旨とする。
上記構成によれば、異常発生判定手段による異常判定を前記特定状態であると判断した頻度が高いときに限って行うことができ、チャタリング現象の発生による影響や各出力信号へのノイズの重畳による影響を抑えつつ、回転角検出システムの異常発生を精度良く判定することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の回転角検出システムの異常判定装置において、前記回転角検出システムは、その出力信号として、前記検出した回転量に基づき形成されて前記出力軸の回転に伴って発生するパルス状の信号であって、且つ前記出力軸の回転方向に応じてパルス幅が変更される信号であり、且つ前記特定状態であると判定されたときと判定されないときとでハイ信号になったときの電圧が異なる信号を出力するものであることをその要旨とする。
上記構成によれば、回転角検出システムの出力信号について、パルス信号の出力数をカウントすることによって内燃機関の出力軸の回転量を把握することができ、パルス幅によって同出力軸の回転方向を把握することができ、ハイ信号になったときの電圧によって特定状態になっているか否かを判断することができる。したがって、回転角検出システムから出力される一つの信号に基づいて、内燃機関の出力軸の回転量および回転方向を把握することができるようになり、さらには前記特定状態になっているか否かを判断することができるようになる。
本発明を具体化した一実施の形態にかかる回転角検出システムの異常判定装置が適用される車両の概略構成を示す略図。 自動停止処理の実行手順を示すフローチャート。 再始動処理の実行手順を示すフローチャート。 メインセンサの出力信号の変化態様とサブセンサの出力信号と出力機器により出力されるクランクシャフトの回転方向についての情報との関係を示す表。 クランクシャフトの正方向回転時における各出力信号の推移を示すタイミングチャート。 クランクシャフトの逆方向回転時における各出力信号の推移を示すタイミングチャート。 サブセンサの出力信号がハイ信号から変化しなくなったときにおける各出力信号の推移を示すタイミングチャート。 システム側処理の実行手順を示すフローチャート。 装置側処理の実行手順を示すフローチャート。 異常発生時における各パラメータの推移を示すタイミングチャート。 チャタリング現象の発生時における各パラメータの推移を示すタイミングチャート。 報知処理の実行手順を示すフローチャート。
以下、本発明にかかる回転角検出システムの異常判定装置を具体化した一実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態にかかる回転角検出システムの異常判定装置が適用される車両の概略構成を示す。
図1に示されるように、車両10には、その駆動源としての内燃機関11が搭載されている。内燃機関11の出力軸であるクランクシャフト12には自動変速機13を介して駆動輪14が接続されている。そして、内燃機関11が発生する動力は、自動変速機13を介して駆動輪14に伝達される。また車両10には乗員に異常発生を報知するための警告灯16が設けられている。
上記クランクシャフト12にはモータ17が接続されている。このモータ17は、乗員による運転スイッチ(図示略)の操作によって内燃機関11を始動する際や後述のように内燃機関11を自動始動する際に電動機として機能する。詳しくは、モータ17の駆動によって内燃機関11のクランクシャフト12が強制的に回転駆動(クランキング)されて、同クランクシャフト12に内燃機関11の始動のための補助トルクが付与される。
上記内燃機関11の燃焼室18には吸気通路19を通じて空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁20から噴射された燃料が供給される。そして、そうした吸入空気と噴射燃料とからなる混合気に対して点火プラグ21による点火が行われると、その混合気が燃焼してピストン22が往復移動し、内燃機関11のクランクシャフト12が回転する。燃焼後の混合気は排気として内燃機関11の燃焼室18から排気通路23に送り出される。
本実施の形態にかかる異常判定装置は、車両10の運転のための各種制御を実行する電子制御装置30を備えている。この電子制御装置30は、各種制御に関係する各種の演算処理を実行する中央処理装置(CPU)、その演算に必要なプログラムやデータが記憶された不揮発性メモリ(ROM)、CPUの演算結果が一時的に記憶される揮発性メモリ(RAM)、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えている。
電子制御装置30の入力ポートには各種のセンサ類が接続されている。そうしたセンサ類としては、例えば車両10の走行速度SPDを検出するための速度センサ31や、アクセルペダル(図示略)の踏み込み量(アクセル踏み込み量AC)を検出するためのアクセルセンサ32、同アクセルペダルの踏み込みの有無を検出するためのアイドルスイッチ33が設けられている。また、ブレーキペダル(図示略)の踏み込みの有無を検出するためのブレーキスイッチ34や、吸気通路19に設けられたスロットルバルブ24の開度(スロットル開度TA)を検出するためのスロットルセンサ36、吸気通路19を通過する空気の量(通路空気量GA)を検出するための空気量センサ37が設けられている。その他、内燃機関11の冷却水の温度THWを検出するための水温センサ38や、クランクシャフト12の回転速度(機関回転速度)および回転角(クランク角「°CA」)を検出するための回転角検出システム40等も設けられている。
電子制御装置30は、各種センサ類の出力信号に基づき、機関回転速度や機関負荷KLなどといった内燃機関11の運転状態を把握する。なお機関負荷KLは、アクセル踏み込み量AC、スロットル開度TAおよび通路空気量GAに基づいて求められる内燃機関11の吸入空気量と機関回転速度とに基づき算出される。電子制御装置30は、そのようにして把握した内燃機関11の運転状態に応じて、出力ポートに接続された各種の駆動回路に指令信号を出力する。このようにして電子制御装置30により、自動変速機13の作動制御や、モータ17の駆動制御、燃料噴射弁20の作動制御(燃料噴射制御)や点火プラグ21の作動制御(点火時期制御)、スロットルバルブ24の作動制御(スロットル制御)などといった各種制御が実行される。
本実施の形態にかかる車両10は、その燃費改善やエミッション低減を図るべく交差点等で車両10が停止したときに内燃機関11を自動停止させるとともに同自動停止中における任意のタイミングで内燃機関11を自動始動して車両10を発進可能とさせる自動停止始動機能を備えている。
以下、そのようにして内燃機関11を自動停止させる処理(自動停止処理)および同内燃機関11を自動始動させる処理(再始動処理)について、図2および図3を参照して説明する。なお、図2は自動停止処理の処理手順を示すフローチャートであり、図3は再始動処理の処理手順を示すフローチャートである。また、これらフローチャートに示される一連の処理は、それぞれ所定周期毎の割り込み処理として、電子制御装置30により実行される。
ここでは先ず、図2を参照して、自動停止処理の処理手順を説明する。
同図2に示されるように、この処理では先ず、上記各種のセンサ類の出力信号を通じて車両10や内燃機関11の運転状態が読み込まれるとともに(ステップS101)、それらの運転状態から自動停止条件が成立したか否かが判断される(ステップS102)。具体的には、例えば以下の各条件[条件1]〜[条件5]が全て満たされたことをもって、自動停止条件が成立したと判断される。
[条件1]内燃機関11の暖機が終了していること(冷却水温度THWが水温下限値より高いこと)。
[条件2]アクセルペダルが踏まれていないこと(アイドルスイッチが「オン」されていること)。
[条件3]ブレーキペダルが踏み込まれていること(ブレーキスイッチが「オン」されていること)。
[条件4]車両10が停止していること。
[条件5]上記[条件1]〜[条件4]の全てが満たされた後において、内燃機関11の自動停止が実行された履歴がないこと。
そして、上記[条件1]〜[条件5]のいずれか一つでも満足されていない場合には(ステップS102:NO)、自動停止条件が成立しておらず、内燃機関11の自動停止を実行する条件下にないとして、本処理は一旦終了される。その後、交差点にて車両10が停止する等して、上記自動停止条件が成立したと判断されるようになると(ステップ102:YES)、例えば内燃機関11への燃料供給が停止される等して、内燃機関11の運転が停止される(ステップS103)。そしてその後、本処理は一旦終了される。
次に、図3を参照して、再始動処理の処理手順を説明する。
同図3に示されるように、この処理では先ず、上記各種のセンサ類の出力信号を通じて車両10や内燃機関11の運転状態が読み込まれるとともに(ステップS201)、それらの運転状態から再始動条件が成立したか否かが判断される(ステップS202)。具体的には、上述した自動停止処理を通じて内燃機関11が停止状態にあるとの条件下において、上記[条件1]〜[条件4]のうちの1つでも満足されなくなった場合に再始動条件が成立したと判断される。
そして、内燃機関11が自動停止されていない場合、あるいは内燃機関11が自動停止されている場合であっても上記[条件1]〜[条件4]の全てが満足されている場合には(ステップS202:NO)、再始動条件が成立しておらず、内燃機関11の再始動を実行する条件下にないとして、本処理は一旦終了される。その後、内燃機関11の自動停止状態において上記[条件1]〜[条件4]の一つでも満足されなくなると(ステップS202:YES)、再始動条件が成立したとして、内燃機関11を再始動させる処理が実行される(ステップS203)。具体的には、前記モータ17が駆動されて前記クランキング動作の実行が開始される。また、これに併せて周知の燃料噴射制御や点火時期制御が実行されて、内燃機関11が再始動される。そしてその後、本処理は一旦終了される。
ここで上記車両10(図1)では、自動停止処理を通じた内燃機関11の自動停止に際してクランク角を正確に把握しておくことにより、その後の再始動処理を通じた内燃機関11の再始動に際して機関制御(燃料噴射制御や点火時期制御など)を適切に実行することができ、その再始動を適正に実行して速やかに完了させることができる。
クランクシャフト12は常に一方向に回転するとは限らず、その回転が停止する過程や停止中において一時的に内燃機関11の通常運転時における方向(正方向)と反対の方向(逆方向)に回転することがある。そのため、仮にクランクシャフト12の回転量に応じた信号のみを出力するものを回転角検出システムとして採用すると、クランクシャフト12が逆方向に回転した際にこれを同システムの出力信号から把握することができず、その分だけ回転角検出システムの出力信号によって求められるクランク角と実際のクランク角との間にずれが生じてしまう。
本実施の形態では、回転角検出システム40として、クランクシャフト12の回転量を検出することに併せて回転方向を検出し、それら検出した回転量および回転方向に応じた信号(クランク角NE)を出力するものが採用されている。このクランク信号NEに基づいて電子制御装置30によってクランク角を求めることにより、クランクシャフト12の逆方向への回転を考慮しつつクランク角が精度良く求められる。
ちなみに本実施の形態の装置では、クランクシャフト12が逆方向に回転する現象はその回転が停止する過程や停止中においてのみ発生する現象であるため、同現象が発生する可能性のある期間(詳しくは、逆回転検出期間)においてのみ電子制御装置30による逆方向への回転の検出が行われる。具体的には、逆回転検出期間においては回転角検出システム40の出力信号における逆方向の回転を示す信号を有効とし、逆回転検出期間以外の期間においては同逆方向の回転を示す信号を無効とする。なお逆回転検出期間としては、以下の[開始条件]が成立してから[終了条件]が成立するまでの期間が設定される。
[開始条件]内燃機関11を自動停止させるべく燃料噴射弁20からの燃料噴射が停止されており、且つ機関回転速度が所定速度(例えば、400回転/分)以下になっていること。
[終了条件]内燃機関11を再始動させるべくモータ17の作動が開始された後にクランクシャフト12が正方向に所定数(例えば1回転)以上回転したこと。
次に、回転角検出システム40の具体構成について説明する。
回転角検出システム40は、クランクシャフト12に取り付けられて同クランクシャフト12と一体回転する円板形状のシグナルロータ41と、同シグナルロータ41の近傍に設けられた二つのセンサ(メインセンサ42およびサブセンサ43)と、クランク角の変化に応じた信号(クランク信号NE)を出力する出力機器44とを備えている。本実施の形態では、メインセンサ42が第1センサとして機能し、サブセンサ43が第2センサとして機能する。
シグナルロータ41の外周には所定角度(10°CA)毎に突起が形成されている。また、このシグナルロータ41は突起が形成されていない部分、いわゆる欠け歯部分を備えている。メインセンサ42およびサブセンサ43は、共にクランクシャフト12の回転に伴ってシグナルロータ41の突起が近傍を通過する度にパルス状の信号(パルス信号)を出力するものであり、互いに所定角度(5°CA)だけ位相のずれたパルス信号を出力する位置に取り付けられている。出力機器44は、メインセンサ42およびサブセンサ43の出力信号を取り込むとともに、それら出力信号をもとにクランク角の変化に伴って変化するクランク信号NEを形成して出力する。
クランク信号NEは以下のような考えのもとに形成される。
図4に、メインセンサ42の出力信号の変化時における同出力信号の変化態様と、サブセンサ43の出力信号と、出力機器44により出力されるクランクシャフト12の回転方向についての情報との関係を示す。
図4の[条件A]に示すように、メインセンサ42の出力信号のハイ信号からロー信号への変化(立ち下がり)時においてサブセンサ43の出力信号がハイ信号であるときには、クランクシャフト12が正方向に回転して所定角度毎のクランク角になったことが検出される。また図4の[条件B]に示すように、メインセンサ42の出力信号のロー信号からハイ信号への変化(立ち上がり)時においてサブセンサ43の出力信号がハイ信号であるときに、クランクシャフト12が逆方向に回転して所定角度毎のクランク角になったことが検出される。このように本実施の形態では、メインセンサ42の出力信号の変化時における同出力信号の変化態様とサブセンサ43の出力信号との関係に基づいてクランクシャフト12が回転したこととその回転方向とが検出される。
そして、それら情報をもとにクランク信号NEが以下のように作成されて出力される。
図5に、クランクシャフト12が正方向に回転しているときにおけるメインセンサ42の出力信号とサブセンサ43の出力信号とクランク信号NEとの関係を示す。
同図5に示すように、ハイ信号になっているクランク信号NEが上記[条件A](図4参照)の成立したタイミングから予め定められた所定期間T1が経過するまでの間(時刻t11〜t12,t13〜t14,t15〜t16)においてロー信号に変更される。
電子制御装置30は、このクランク信号NEのパルス信号の数をカウントしてクランク角に相当する値(詳しくは、図5に併せ示すクランクカウンタのカウント値)を求めることにより同クランク角を検出する。この場合には、クランク信号NEがハイ信号からロー信号に変化する度にクランクカウンタのカウント値がインクリメントされる(時刻t11,t13,t15)。なおクランクカウンタのカウント値は、大きい値になるほどクランク角が大きいことを示す値であり、720°CAに相当する値になると[0°CA]に相当する値になる。またクランク信号NEをもとに電子制御装置30によって上記欠け歯部分を通過したことが検出されることにより、クランク角が基準角(例えば0°CA)になったと判断されて、クランクカウンタのカウント値が同基準角に対応する値に変更される。
図6に、クランクシャフト12が逆方向に回転しているときにおけるメインセンサ42の出力信号とサブセンサ43の出力信号とクランク信号NEとの関係を示す。
同図6に示すように、この場合にはハイ信号になっているクランク信号NEが上記[条件B](図4参照)の成立したタイミングから予め定められた所定期間T2が経過するまでの間(時刻t21〜t23,t24〜t26,t27〜t29)においてロー信号に変更される。この所定期間T2としては、クランクシャフト12が正方向に回転しているときの所定期間T1(図5参照)より長い期間が設定される。
また、この場合には電子制御装置30により次のようにしてクランクカウンタのカウント値)が求められる。すなわち先ず、クランク信号NEがハイ信号からロー信号に変化したときに一旦クランクカウンタのカウント値がインクリメントされる(時刻t21,t24,t27)。その後においてクランク信号NEがロー信号になっている期間が判定値(ただし、所定期間T1<判定値<所定期間T2)以上になると(時刻t22,t25,t28)、同クランク信号NEのパルス幅がクランクシャフト12の逆方向への回転を示す値になっているとして、クランクカウンタのカウント値から「2」が減算される。これら一連の操作を通じてクランクカウンタのカウント値がデクリメントされる。
ところで図7に示すように、回転角検出システム40に異常が生じてサブセンサ43の出力信号がハイ信号から変化しなくなると、クランクシャフト12が正方向に回転している場合に、クランク信号NEとして正方向への回転したことを示す信号と逆方向に回転したことを示す信号とが交互に出力されるようになってしまう。このとき、クランクカウンタのカウント値のインクリメント(時刻t31,t33,t35,t37)とデクリメント(時刻t32,t34,t36)とが交互に繰り返されるために、クランクシャフト12が正方向に回転しているにもかかわらず、同カウント値が大きくならず、電子制御装置30により検出されるクランク角と実際のクランク角との間にずれが生じてしまう。そして、これにより内燃機関11の再始動を速やかに完了させることができなくなるおそれがある。
クランクシャフト12の回転が停止する際には、内燃機関11の燃焼室18内に充填された吸気の圧縮と膨張とが交互に繰り返されることによってクランクシャフト12が正方向と逆方向とに交互に揺れ動く現象、いわゆるチャタリング現象が生じることがある。こうしたチャタリング現象の発生時には、サブセンサ43から正常に信号が出力されている場合であっても、クランクシャフト12が実際に正方向と逆方向に交互に回転するために、場合によってはメインセンサ42からパルス信号が出力されている状態でサブセンサ43からハイ信号が連続して出力される状況になってしまう。
本実施の形態では、回転角検出システム40の異常を判定するための処理が実行される。この処理を通じて、サブセンサ43の出力信号がハイ信号から変化しない状況になったときに、これが上記異常の発生によるものかあるいはチャタリング現象の発生によるものかが精度良く判別されて、同異常の発生が精度良く判定される。そして、そうした判定をもとに、上記異常の発生に適切に対処することができるようになる。
以下、回転角検出システム40の異常を判定するための処理の実行手順について説明する。
ここでは先ず、異常発生の判定のために回転角検出システム40によって実行される処理(システム側処理)について説明する。
図8に、システム側処理の実行手順を示す。同図のフローチャートに示される一連の処理は、システム側処理の実行手順を概念的に示したものであり、実際の処理は出力機器44によって実行される。
図8に示すように、この処理では、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が連続すると(ステップS301:NO、ステップS302:NO、ステップS303:YES)、クランク信号NEとしてハイ信号が出力される(ステップS304)。すなわち、このときサブセンサ43の出力信号がハイ信号から変化しなくなる異常が発生している可能性があり、回転角検出システム40の信頼性が低下しているとして、クランクシャフト12の回転量についての情報と回転方向についての情報との回転角検出システム40からの出力が禁止される。これにより、クランク信号NEに基づき電子制御装置30により検出されるクランク角が変化しなくなり、燃料噴射弁20による燃料噴射や点火プラグ21による点火動作が停止されるため、信頼性の低い不適切なクランク信号NEに基づいて機関制御が実行されることが抑えられるようになる。
その後、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が所定回数C1(本実施の形態では、8回)にわたり連続すると(ステップS301:NO、ステップS302:YES)、上記異常が発生している可能性がごく高い状態(特定状態)になったとして、クランク信号NEとしてハイ信号が出力される(ステップS305)。
この場合にも、クランクシャフト12の回転量についての情報と回転方向についての情報とが回転角検出システム40から出力されることが禁止される。なお本実施の形態では、クランク信号NEとしてハイ信号が出力されるときであっても、特定状態であると判定されたときの出力電圧(具体的には5.0V)が、そうでないときの出力電圧(具体的には4.0V)と比較して高い電圧に設定される。これにより、回転角検出システム40から特定状態についての情報が出力されるようになる。以下では特定状態であるときのハイ信号をそうでないときのハイ信号と区別するために「ダイアグハイ信号」と称する。本実施の形態では、上記所定回数C1が第2の所定回数として機能する。
このように本実施の形態では、クランク信号NEとして、クランクシャフト12の回転に伴って発生するパルス状の信号であって、且つ同クランクシャフト12の回転方向に応じてパルス幅が変更される信号であり、且つ前記特定状態であると判定されたときと判定されないときとでハイ信号になったときの電圧が異なる信号が出力される。そのため、クランク信号NEを監視し、そのパルス信号の出力数をカウントすることによってクランクシャフト12の回転量を把握することができ、パルス幅によって同クランクシャフト12の回転方向を把握することができ、ハイ信号になったときの電圧によって特定状態になっているか否かを判断することができる。したがって、回転角検出システム40から出力される一つの信号に基づいて、クランクシャフト12の回転量および回転方向を把握することができ、さらには特定状態になっているか否かを判断することができる。
ここで、前述したようにチャタリング現象が発生した場合においてもメインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号が所定回数C1にわたり連続してハイ信号になるといった状況になることがある。とはいえ、この場合には通常は上記状況が長く続かない。本実施の形態では、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が所定回数C1にわたり連続したこと、すなわち上記状況が継続されたことを条件に特定状態になったと判定されるために、チャタリング現象の発生に起因して特定状態になったと誤って判定されることが的確に抑えられる。
その後、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が所定回数C2(本実施の形態では、120回)にわたり連続すると(ステップS301:YES)、クランク信号NEとして、ダイアグハイ信号が出力される状態が維持されたまま、クランクシャフト12が正方向に回転しているとの仮定のもとで同クランクシャフト12が回転していることを示すパルス信号の出力の禁止が解除される(ステップS306)。すなわち、クランクシャフト12の正方向への回転を示すパルス信号の出力のみが許容される。これにより、クランク信号NEとして、クランクシャフト12が正方向に回転しているとの情報に併せてメインセンサ42の出力信号やサブセンサ43の出力信号に基づき検出したクランクシャフト12の回転量についての情報(パルス信号)が出力されるようになる。そのため、クランク信号NEをもとにクランク角を求めて機関運転を実行することができるようになり、車両10の走行機能を維持することができるようになる。
なお、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が連続しない場合には(ステップS301〜S303の全てで「NO」)、クランク信号NEとして、通常の信号が出力される(ステップS307)。すなわち、この場合にはメインセンサ42出力信号とサブセンサ43の出力信号とに基づき検出されるクランクシャフト12の回転量についての情報と回転方向についての情報とが出力される。
次に、前記異常発生の判定のために電子制御装置30によって実行される処理(装置側処理)について説明する。
図9は装置側処理の実行手順を示すフローチャートであり、このフローチャートに示される一連の処理は、所定周期(例えば、数ミリ秒)毎の割り込み処理として、電子制御装置30により実行される処理である。
同図9に示すように、この処理では先ず、以下の[禁止条件1]および[禁止条件2]が共に満たされているか否かが判断される(ステップS401)。
[禁止条件1]自動停止処理を通じて内燃機関11が自動停止されていること。
[禁止条件2]自動変速機13が車両10の前進走行に際して選択される作動状態であること。
そして、[禁止条件1]および[禁止条件2]が共に満たされる場合には(ステップS401:YES)、以下の[判定条件]が成立しているか否かが判断される(ステップS402)。
[判定条件]クランク信号NEがクランクシャフト12が回転したことを示す値になったこと。具体的には、クランク信号NEがダイアグハイ信号からロー信号に変化したこと。
ここで、[判定条件]が成立したと判断されると(ステップS402:YES)、フェイルセーフフラグがオン操作された後(ステップS403)、本処理は一旦終了される。本実施の形態では、フェイルセーフフラグがオン操作されると、サブセンサ43の出力信号がハイ信号から変化しなくなる異常が発生しているとして、その後において車両10の運転制御についてのフェイルセーフ制御が実行されるようになる。本実施の形態では、ステップS402の処理が異常判定手段として機能する。
このフェイルセーフ制御では、例えば自動停止処理を通じた内燃機関11の自動停止が禁止される。また内燃機関11が自動停止されている場合には、同内燃機関11の再始動に適した始動方法(クランク角が予め判明している状況に適した始動方法)を通じて機関始動を行うことが禁止されて、内燃機関11の通常始動(運転スイッチの操作による始動)に適した始動方法(クランク角が不明である状況に適した始動方法)を通じて機関始動が行われる。これは、電子制御装置30により求められて記憶されているクランク角、すなわち回転角検出システム40の異常によって信頼性が低下しているクランク角に基づいて内燃機関11の再始動を実行すると、かえって機関始動に時間がかかってしまったり、機関始動を完了させることができなくなってしまったりするおそれがあるためである。
また上記フェイルセーフ制御では、クランク信号NEがクランクシャフト12の逆方向への回転を示す値になっているときのクランクカウンタのカウント値の操作が禁止される。すなわち、クランク信号NEをもとにクランクシャフト12の逆方向の回転を適正に検出することができない状態になっている可能性が高いために、その検出が禁止される。なお、サブセンサ43の出力信号がハイ信号から変化しなくなる異常が発生した場合であっても、クランク信号NEにおける正方向への回転を示すパルス信号に基づいてクランクシャフト12の正方向への回転についてはこれを検出することが可能であるため、その検出については許容される。
さらに上記フェイルセーフ制御では、電子制御装置30により求められているクランク角が予め定められた初期値にリセットされる。本実施の形態では、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号が連続してハイ信号になってから回転角検出システム40に異常が発生していると判定されるまでの間においてクランク信号NEがハイ信号で保持される。そのため、このクランク信号NEに基づき電子制御装置30により求められたクランク角と実際のクランク角とがずれた状態になってしまう。そうした状態を解消するためにクランク角が一旦リセットされる。
一方、[判定条件]が成立していない場合には(ステップS402:NO)、フェイルセーフフラグをオン操作することなく(ステップS403の処理をジャンプして)、本処理は一旦終了される。
他方、[禁止条件1]および[禁止条件2]の一方でも満たされない場合にも(ステップS401:YES)、フェイルセーフフラグをオン操作することなく(ステップS402の処理とステップS403の処理とをジャンプして)、本処理は一旦終了される。本実施の形態では、ステップS401の処理が判定禁止手段として機能する。
以下、前述したシステム側処理と装置側処理とを実行することによる作用について説明する。
ここでは先ず、サブセンサ43の出力信号がハイ信号から変化しなくなる異常が発生した場合における作用について説明する。
図10に、上記異常の発生時における各パラメータの推移を示す。
時刻t41において異常が発生してメインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が連続すると(時刻t42)、その後においてクランク信号NEがハイ信号で維持される。これにより、電子制御装置30におけるクランクカウンタのカウント値の操作が停止されて、同電子制御装置30によって求められるクランク角が変化しなくなる。そのため、信頼性の低い不適切なクランク信号NEに基づいて機関制御が実行されることが抑えられるようになる。
その後、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が所定回数C1にわたり連続すると(時刻t43)、上記異常が発生している可能性がごく高い特定状態になったとして、クランク信号NEとしてダイアグハイ信号が出力される。
さらに、その後においてメインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が所定回数C2にわたり連続すると(時刻t44)、クランクシャフト12が正方向に回転しているとの仮定のもとで同クランクシャフト12が回転していることを示すパルス信号の出力の禁止が解除される。
本例では、このときクランクシャフト12が回転しているために、クランクシャフト12が正方向に回転しているとの情報とメインセンサ42の出力信号やサブセンサ43の出力信号に基づき検出したクランクシャフト12の回転量についての情報(パルス信号)とを含むクランク信号NEが出力されるようになる。そのため、このクランク信号NEをもとにクランクカウンタのカウント値が変化して、電子制御装置30により求められるクランク角が変化し、機関運転が実行されるようになって車両10の走行機能が維持されるようになる。
また、このときクランク信号NEがダイアグハイ信号である状況のもとでクランクシャフト12が回転したことを示す値になったとの[判定条件]が成立するために、回転角検出システム40に異常が発生したとして、フェイルセーフフラグがオン操作されてフェイルセーフ制御が実行される。このように本実施の形態では、特定状態が所定期間(時刻t43〜t44)にわたって継続されたことをもって回転角検出システム40の異常発生を判定することができる。これによりノイズの重畳などに起因する各出力信号(具体的には、メインセンサ42の出力信号や、サブセンサ43の出力信号、クランク信号NE)の不要な変化による誤判定を回避することができ、異常の発生を精度良く判定することができる。
次に、チャタリング現象の発生によってサブセンサ43の出力信号がハイ信号から変化しなくなった場合における作用について説明する。
図11に、チャタリング現象の発生時における各パラメータの推移を示す。
内燃機関11の自動停止に際してチャタリング現象が発生して(時刻t51)、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が連続すると(時刻t52)、その後においてクランク信号NEがハイ信号で維持される。これにより、信頼性の低い不適切なクランク信号NEに基づいて機関制御が実行されることが抑えられるようになる。
その後においてチャタリング現象が続いて、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が所定回数C1にわたり連続すると(時刻t53)、クランク信号NEとしてダイアグハイ信号が出力される。
このチャタリング現象は長くは続かないために、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が所定回数C2になる前にクランクシャフト12の回転が停止して、メインセンサ42の出力信号の変化とサブセンサ43の出力信号の変化とが共に停止する。そのため、この場合にはクランク信号NEがクランクシャフト12が回転したことを示す値にならず、回転角検出システム40に異常が発生していると誤って判定されることが回避される。
ただし、内燃機関11の運転が停止されている場合であっても自動変速機13が車両10の走行に際して選択される作動状態になっている場合には、坂道において車両10がずり下がることによってクランクシャフト12が回転することがある(時刻t54以降)。この場合、クランク信号NEが上記クランクシャフト12が回転したことを示す値になってしまうために、これに伴って回転角検出システム40に異常が発生したと誤って判定されてしまうおそれがある。本実施の形態では、そうした場合(前記[禁止条件1]および[禁止条件1]が共に満たされるとき)には、前記[判定条件]が成立する状況であっても、回転角検出システム40に異常が発生していると判定されず、フェイルセーフフラグがオン操作されない。そのため、この場合にも回転角検出システム40に異常が発生していると誤って判定されることが回避されるようになる。
そして、その後においてクランク信号NEとして通常の信号が出力されるようになり、同クランク信号NEがロー信号になる度にクランクカウンタのカウント値が操作されるようになる(時刻t54,t55)。
本実施の形態では、回転角検出システム40の異常発生時においてフェイルセーフ制御を実行する処理の他、前記警告灯16を点灯するための処理(報知処理)を実行する。本実施の形態では、この報知処理が異常発生判定手段として機能する。
以下、上記報知処理について詳細に説明する。
図12は報知処理の具体的な実行手順を示すフローチャートであり、同フローチャートに示される一連の処理は、所定周期(例えば数ミリ秒)毎の処理として、電子制御装置30により実行される。
同図12に示すように、この処理では先ず、内燃機関11が通常運転中であるか否かが判断される(ステップS501)。内燃機関11が通常運転中であることは以下の各条件が共に満たされることをもって判断される。
・自動停止処理を通じた内燃機関11の自動停止が実行されていないこと。
・再始動処理を通じた内燃機関11の再始動が完了していること。
そして、内燃機関11が通常運転中である場合には(ステップS501:YES)、異常カウンタのカウント値を操作する処理が実行される。具体的には、クランク信号NEがダイアグハイ信号であるときには(ステップS502:YES)異常カウンタのカウント値がインクリメントされる一方(ステップS503)、クランク信号NEがダイアグハイ信号でないときには(ステップS502:NO)同カウント値がインクリメントされない(ステップS503の処理がジャンプされる)。
その後、異常カウンタのカウント値に基づいて回転角検出システム40の異常発生が判定される。すなわち先ず、異常カウンタのカウント値が判定値(例えば、数十)以上である場合には(ステップS504:YES)、回転角検出システム40に異常が発生したと判定されて、上記警告灯16が点灯される(ステップS505)。一方、異常カウンタのカウント値が判定値未満である場合には(ステップS504:NO)、上記警告灯16が点灯されない(ステップS505の処理をジャンプされる)。
ここで、内燃機関11の通常運転時においてはクランクシャフト12が正方向にしか回転しないためにチャタリング現象が発生しない。本実施の形態では、チャタリング現象が発生することのない機関運転状態であるときにおいてクランク信号NEがダイアグハイ信号であると判断された回数がカウントされ、そのカウントした回数(具体的には、異常カウンタのカウント値)に基づいて回転角検出システム40の異常発生が判定される。そのため、チャタリング現象の発生によって回転角検出システム40に異常が発生していると誤って判定されることを抑えることができる。
そして、そのようにして回転角検出システム40の異常発生が判定されたときに警告灯16を点灯することによって同異常を乗員に報知することができ、車両10の整備工場への持ち込みを促すなど、乗員に異常発生への対処を促すことができる。
しかも本実施の形態では、前述したシステム側処理や装置側処理による異常判定に加えて、上記報知処理による異常判定が実行される。そのため、システム側処理や装置側処理による異常判定によって車両10の運転についてのフェイルセーフ制御の実行を開始するとともに、上記報知処理による異常判定によって異常である旨の報知を行うといったように、高い自由度をもって回転角検出システム40の異常発生に対処することができるようになる。
また、この処理では内燃機関11が通常運転中であるか否かにかかわらず、クランクシャフト12が所定回数(例えば、数十回転)だけ回転する毎のタイミング(リセットタイミング)において(ステップS506:YES)、異常カウンタのカウント値を「0」にリセットする(ステップS507)とのリセット処理が実行される。そして、こうしたリセット処理の後、本処理は一旦終了される。
こうしたリセット処理を実行することにより、報知処理による回転角検出システム40の異常発生の判定が、クランク信号NEがダイアグハイ信号であると判断された頻度が高いときに限って行われるようになる。そのため、チャタリング現象の発生による影響や各出力信号へのノイズの重畳による影響を抑えつつ、回転角検出システム40の異常発生を精度良く判定することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)内燃機関11の運転中にサブセンサ43の出力信号がハイ信号から変化しなくなる異常が発生すると、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号が所定回数C1にわたり連続してハイ信号になり、その状態でクランク信号NEがクランクシャフト12が回転したことを示す値になる。これにより、回転角検出システム40に異常が発生したことを適正に判定することができる。また、内燃機関11の自動停止に際してチャタリング現象が発生すると、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号が所定回数C1にわたり連続してハイ信号になることがあるものの、直後においてクランクシャフト12の回転が停止するため、クランク信号NEがクランクシャフト12が回転したことを示す値にならない。そのため、この場合には回転角検出システム40に異常が発生していると誤って判定されることが回避される。さらに、内燃機関11の自動停止時において車両10がずり下がることによってクランク信号NEがクランクシャフト12が回転したことを示す値になったとしても、回転角検出システム40に異常が発生したとの判定がなされない。そのため、この場合にも回転角検出システム40に異常が発生していると誤って判定されることが回避されるようになる。このように本実施の形態によれば、サブセンサ43の出力信号がハイ信号から変化しない状況になった場合に、これが回転角検出システム40の異常によるものであることを的確に判別して、同回転角検出システム40の異常を精度良く判定することができるようになる。
(2)特定状態であると判定された後においてメインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態がさらに連続するときに、その状態が連続する回数が所定回数C2に達するまでの期間においてはクランク信号NEとして、上記特定状態についての情報のみを出力するようにした。また、上記期間の経過後においてはクランク信号NEとして、クランクシャフト12が正方向に回転しているとの情報と、メインセンサ42およびサブセンサ43により検出したクランクシャフト12の回転量についての情報と、上記特定状態についての情報とを出力するようにした。そのため、特定状態になったとき、言い換えれば回転角検出システム40の信頼性が低下しているときに、同回転角検出システム40からの回転量についての情報や回転方向についての情報の出力を停止させることができ、不適切なクランク信号NEに基づく機関制御の実行を抑えることができる。また、特定状態が所定期間にわたり継続されると、クランクシャフト12が正方向に回転しているとの情報に併せてメインセンサ42やサブセンサ43によって検出した回転量についての情報が出力されるために、それら情報をもとに機関運転を実行することができるようになり、車両10の走行機能を維持することができるようになる。しかも、そのようにして回転方向についての情報や回転量についての情報が出力されたときに、クランク信号NEがクランクシャフト12が回転したことを示す値になったとして、回転角検出システム40に異常が発生していると判定されるようになる。このように本実施の形態によれば、特定状態が所定期間にわたって継続されたことをもって回転角検出システム40の異常発生を判定することができ、各出力信号へのノイズの重畳などに起因する出力信号の不要な変化による誤判定を回避することができ、回転角検出システム40の異常の発生を精度良く判定することができる。
(3)メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が連続したときにクランクシャフト12の回転量についての情報と回転方向についての情報の出力を禁止するようにした。また、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号が所定回数C1にわたり連続してハイ信号になったときに特定状態であると判定するようにした。そのため、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号が連続してハイ信号になったとき、すなわち回転角検出システム40の信頼性が低下している可能性のあるときに、同回転角検出システム40からのクランクシャフト12の回転量についての情報と回転方向についての情報との出力を停止することができる。これにより、不適切な信号に基づく機関制御の実行を抑えることができる。しかも、メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号になるとの状況が継続されたことを条件に特定状態になったと判定されるため、チャタリング現象の発生に起因して特定状態になったと誤って判定されることを抑えることができる。
(4)内燃機関11の通常運転時、言い換えればチャタリング現象が発生することのない機関運転状態であるときにおいてクランク信号NEがダイアグハイ信号であると判断された回数がカウントされ、そのカウントした回数に基づいて回転角検出システム40の異常発生が判定される。そのため、チャタリング現象の発生によって回転角検出システム40に異常が発生していると誤って判定されることを抑えることができる。しかも、システム側処理や装置側処理による異常判定に加えて、報知処理による異常判定が実行される。そのため、システム側処理や装置側処理による異常判定によって車両10の運転についてのフェイルセーフ制御の実行を開始するとともに、報知処理による異常判定によって異常である旨の報知を行うといったように、高い自由度をもって回転角検出システム40の異常発生に対処することができるようになる。
(5)内燃機関11が通常運転中であるか否かにかかわらず、クランクシャフト12が所定回転だけ回転する毎のタイミングにおいて、異常カウンタのカウント値を「0」にリセットするとのリセット処理を実行するようにした。そのため、報知処理による回転角検出システム40の異常発生の判定をクランク信号NEがダイアグハイ信号であると判断された頻度が高いときに限って行うことができ、チャタリング現象の発生による影響や各出力信号へのノイズの重畳による影響を抑えつつ、回転角検出システム40の異常発生を精度良く判定することができる。
(6)クランク信号NEとして、クランクシャフト12の回転に伴って発生するパルス状の信号であって、且つ同クランクシャフト12の回転方向に応じてパルス幅が変更される信号であり、且つ前記特定状態であると判定されたときと判定されないときとでハイ信号になったときの電圧が異なる信号を出力するようにした。そのため、回転角検出システム40から出力される一つの信号に基づいて、クランクシャフト12の回転量および回転方向を把握することができるようになり、さらには特定状態になっているか否かを判断することができる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・特定状態であると判定された後においてクランク信号NEとして特定状態についての情報(ダイアグハイ信号)のみを出力する期間は、例えば予め定められた所定時間を設定するなど、適宜変更可能である。そうした期間を設定することにより、特定状態になったとき、言い換えれば回転角検出システム40の信頼性が低下しているときに、不適切なクランク信号NEに基づく機関制御の実行を抑えることができる。しかも、特定状態が所定期間にわたり継続された場合に、クランクシャフト12の回転量についての情報や回転方向についての情報の出力が再開されてクランク信号NEがクランクシャフト12が回転したことを示す値になって、同回転角検出システム40に異常が発生していると判定されるようになる。
・メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が所定回数C3(ただし、C3≧3回)にわたり連続したときに、クランクシャフト12の回転量についての情報と回転方向についての情報の出力を禁止するようにしてもよい。要は、サブセンサ43の出力信号がハイ信号から変化しなくなる異常の発生の可能性があることを早期に精度良く判定することのできる回数を予め求めて、同回数を所定回数C3として設定すればよい。なお、上記構成では所定回数C3が第1の所定回数として機能し、上記実施の形態では2回が第1の所定回数として機能する。
・メインセンサ42の出力信号の変化時におけるサブセンサ43の出力信号がハイ信号である状態が所定回数C1(上記実施の形態では、8回)にわたり連続したときに特定状態であると判定するようにしたが、この所定回数C1は任意に変更可能である。要は、チャタリング現象の発生に起因して特定状態であると誤って判定されることを回避しつつ同特定状態であることを適正に判定することのできる回数を予め求めて、同回数を所定回数C1として設定すればよい。
・クランクシャフト12の回転量についての情報、回転方向についての情報、および特定状態についての情報を各別の信号で出力したり、それら情報を2つの信号に分けて出力したりするなど、各情報の全てを必ずしも同一の信号(クランク信号NE)により出力しなくてもよい。
・報知処理において回転角検出システム40に異常ありと判定されたときに、警告灯16を点灯することに代えて、あるいは併せてブザーを吹聴するなどしてもよい。要は、乗員に異常が発生している旨を報知することができればよい。
・報知処理においてダイアグハイ信号であると判断した回数をリセットするタイミングは、クランクシャフト12が所定回数だけ回転する毎のタイミングに限らず、任意に変更可能である。要は、報知処理の実行周期より長い周期で上記判断した回数のリセットを実行することができればよい。
・回転角検出システム40の異常発生についての判定精度の低下が好適に抑えられるのであれば、報知処理におけるリセット処理を省略してもよい。
・報知処理において、クランク信号NEがダイアグハイ信号であると判断された回数をカウントする期間としては、内燃機関11が通常運転される期間に限らず、クランクシャフト12が正方向にのみ回転する機関運転状態であることを適正に判断することのできる期間であれば、任意に変更可能である。そうした期間としては、例えば以下の[条件イ]〜[条件ハ]のいずれかが満たされる期間を設定することができる。
[条件イ]モータ17が作動していること。
[条件ロ]モータ17が作動しており、且つ自動変速機13の作動状態がクランクシャフト12と駆動輪14との連結を解除する状態になっていること。
[条件ハ]モータ17が作動しており、且つ自動変速機13の作動状態が車両10の走行に際して選択される状態になっており、且つ車両10が走行していること(走行速度SPD>0km毎時以上であること)。
・報知処理を省略してもよい。
・本発明は、メインセンサの出力信号の立ち上がり時におけるサブセンサの出力信号がロー信号であるときにクランクシャフトが正方向に回転していると判断する一方、メインセンサの出力信号の立ち下がり時におけるサブセンサの出力信号がロー信号であるときにクランクシャフトが逆方向に回転していると判断する回転角検出システムにおいて、サブセンサの出力信号がロー信号から変化しなくなる異常の発生を判定する異常判定装置にも適用することができる。
・本発明は、車両駆動源としての内燃機関の運転を間欠的に停止させる間欠停止制御が実行される車両であれば、自動停止始動機能を備える車両に限らず、車両駆動源として内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車両などにも適用することができる。
10…車両、11…内燃機関、12…クランクシャフト、13…自動変速機、14…駆動輪、16…警告灯、17…モータ、18…燃焼室、19…吸気通路、20…燃料噴射弁、21…点火プラグ、22…ピストン、23…排気通路、24…スロットルバルブ、30…電子制御装置、31…速度センサ、32…アクセルセンサ、33…アイドルスイッチ、34…ブレーキスイッチ、36…スロットルセンサ、37…空気量センサ、38…水温センサ、40…回転角検出システム、41…シグナルロータ、42…メインセンサ、43…サブセンサ、44…出力機器。

Claims (7)

  1. 車載内燃機関の出力軸が変速機を介して駆動輪に接続されるとともに、前記内燃機関の運転を間欠的に停止させる間欠停止制御が実行される車両に設けられており、
    共に前記出力軸の回転角の変化に応じてパルス状の信号を出力するセンサであって互いに位相のずれた信号を出力する第1センサおよび第2センサを有し、それら前記第1センサおよび前記第2センサの出力信号の少なくとも一方に基づいて前記出力軸の回転量を検出し、前記第1センサの出力信号の変化時における同出力信号の変化態様と前記第2センサの出力信号との関係に基づいて前記出力軸の回転方向を検出し、前記第1センサの出力信号の変化時における前記第2センサの出力信号が所定回数にわたり連続して同一の状態になったときに特定状態であると判定し、前記検出した回転量および回転方向についての情報と前記特定状態についての情報とを含む信号を出力する回転角検出システムに適用され、
    前記回転角検出システムの出力信号が前記特定状態であることを示す値である状況のもとで前記出力軸が回転したことを示す値になったとの判定条件が成立したときに、前記回転角検出システムに異常が発生したと判定する異常判定手段と、
    前記間欠停止制御を通じて前記内燃機関の運転が間欠的に停止されており且つ前記変速機が前記車両の走行に際して選択される作動状態であるときに、前記判定条件が成立する状況であっても、前記異常が発生したとの判定をなすことを禁止する判定禁止手段と
    を備える回転角検出システムの異常判定装置。
  2. 請求項1に記載の回転角検出システムの異常判定装置において、
    前記回転角検出システムは、前記特定状態であると判定された後に前記同一の状態がさらに連続するときには、該判定された直後の所定期間にわたり前記特定状態についての情報のみを出力するものである
    ことを特徴とする回転角検出システムの異常判定装置。
  3. 請求項1に記載の回転角検出システムの異常判定装置において、
    前記回転角検出システムは、前記特定状態であると判定された後において前記同一の状態がさらに連続するときに、前記同一の状態が連続する回数が所定回数に達するまでの期間においては前記特定状態についての情報のみを出力し、前記期間の経過後においては前記出力軸が正方向に回転しているとの情報と前記検出した回転量についての情報と前記特定状態についての情報とを出力する
    ことを特徴とする回転角検出システムの異常判定装置。
  4. 請求項2または3に記載の回転角検出システムの異常判定装置において、
    前記回転角検出システムは、前記第1センサの出力信号の変化時における前記第2センサの出力信号が第1の所定回数にわたり連続して同一の状態になったときに前記出力軸の回転量についての情報と前記回転方向についての情報の出力を禁止するものであり、前記第1センサの出力信号の変化時における前記第2センサの出力信号が前記第1の所定回数より多い第2の所定回数にわたり連続して同一の状態になったときに前記特定状態であると判定するものである
    ことを特徴とする回転角検出システムの異常判定装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転角検出システムの異常判定装置において、
    前記出力軸が正方向にのみ回転する機関運転状態であることを条件に所定周期毎に前記回転角検出システムの出力信号に基づいて前記特定状態であるか否かを判断し、前記特定状態であると判断した回数が判定値以上になったときに前記回転角検出システムに異常が発生したと判定する異常発生判定手段を更に備える
    ことを特徴とする回転角検出システムの異常判定装置。
  6. 請求項5に記載の回転角検出システムの異常判定装置において、
    前記所定周期より長い実行周期で前記判断した回数のリセットを実行する
    ことを特徴とする回転角検出システムの異常判定装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の回転角検出システムの異常判定装置において、
    前記回転角検出システムは、その出力信号として、前記検出した回転量に基づき形成されて前記出力軸の回転に伴って発生するパルス状の信号であって、且つ前記出力軸の回転方向に応じてパルス幅が変更される信号であり、且つ前記特定状態であると判定されたときと判定されないときとでハイ信号になったときの電圧が異なる信号を出力するものである
    ことを特徴とする回転角検出システムの異常判定装置。
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