JP5043777B2 - 非水電解質二次電池の充電方法 - Google Patents
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Description
パルス充電時間を設定する工程は、(i)非水電解質二次電池の交流インピーダンスを測定するステップと、(ii)交流インピーダンスの測定結果から、虚数成分が第1の極大値を示す高周波側の周波数Fxまたはその近傍周波数の逆数時間Txおよび虚数成分が第2の極大値を示す低周波側の周波数Fyまたはその近傍周波数の逆数時間Tyを求めるステップとを含む。
本発明の方法によれば、充電初期からパルス充電を行えるため、短時間で非水電解質二次電池を充電でき、かつ電極内の充電ムラが低減されるため、定電流−定電圧充電方法よりもサイクル寿命特性を良好にすることができる。
まず、非水電解質二次電池の交流インピーダンスを測定する。例えばFRA法の場合、電池に対して微小な交流電圧を印加して、その周波数を高周波領域から低周波領域まで掃引する。その際の電池のインピーダンスは、例えばFRA装置(Frequency response analyzer)により出力される。所定の周波数間隔でFRA装置により出力されるインピーダンスの実数成分および虚数成分を、それぞれ横軸を実数軸および縦軸を虚数軸とする複素平面上にプロットすると、半円もしくは楕円の軌跡が出力される。
図1は、一般的な非水電解質二次電池の交流インピーダンスをFRA法によって測定し、実数成分および虚数成分を複素平面上にプロットした結果を示す。軌跡は半円を描くか、二つ以上の半円が重なることにより形成される楕円の形状を描く。実数成分のインピーダンスは、低周波数側ほど大きくなる。図1中、地点1は、高周波側の虚数成分の極大を、地点2は、低周波側の虚数成分の極大を示す。
ただし、周波数FxおよびFyの代わりに、周波数FxおよびFyの近傍周波数を用いてもよい。例えば、近傍周波数として、0.9Fx〜1.1Fxの範囲内の周波数を用いたとしても、十分に有効な逆数時間Txを得ることができ、0.9Fy〜1.1Fyの範囲内の周波数を用いたとしても、十分に有効な逆数時間Tyを得ることができる。
電池に交流電圧を印加すると、極めて高い周波数領域では、電気化学的な反応(ファラデー反応)は起こらず、正極および負極それぞれの界面における電気二重層での充放電を介した交流電流が流れる。電池に印加される交流電流の周波数を低周波数に掃引していくと、ある周波数でファラデー反応が起こり始める。その周波数が、図1中の地点1における周波数Fxである。
(1)地点1より大きい周波数領域では、ファラデー反応は起こらず、電気二重層を介した電流だけが流れる。
(2)地点1から地点2の周波数領域では、ファラデー反応による交流電流と、電気二重層を介した交流電流の両方が流れる。
(3)地点2より小さい周波数領域では、ファラデー反応と、電極内でのイオンの拡散に由来する電流が流れる。
一方、休止時間は、特に限定されないが、パルス充電時間Tの50%〜200%とすることが望ましい。休止時間が短すぎると、部分的に拡散が律即する影響によってサイクル寿命特性が短くなり、長すぎると、充電に長時間を要するため、実用的でない。
図2は、充電器の一実施形態を示すブロック図である。
充電器20は、非水電解質二次電池21の交流インピーダンスを測定するインピーダンス測定部(ポテンシオスタット)22と、インピーダンス測定部の結果を出力するインピーダンスアナライザ23と、インピーダンス測定部の結果から、周波数Fx、逆数時間Tx、周波数Fyおよび逆数時間Tyを求める逆数時間算出部(演算処理装置)24とを具備する。逆数時間Txおよび逆数時間Tyは、パルス充電時間設定部(ファンクションジェネレータ)25に送られ、パルス充電時間が設定される。ファンクションジェネレータ25には、設定されたパルス充電時間のパルス充電と休止とを繰り返すように非水電解質二次電池の充電を制御する制御回路が含まれている。制御回路は、電源26による電池21のパルス充電を制御する。
リチウム二次電池を以下の要領で作製した。
<正極の作製>
正極活物質として、日本化学工業(株)製のコバルト酸リチウム(セルシードC)を用いた。正極活物質100重量部、導電材である電化ブラック工業(株)製のアセチレンブラック4重量部、増粘剤である第一工業製薬(株)製のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩水溶液(セロゲン4H、固形分2重量%)を20重量部(固形分0.4重量部)を水とともに双腕式練合機にて攪拌し、固形分含有量が80重量%の一次混練物を得た。
次に、一次混練物に、結着材であるポリテトラフルオロエチレン4重量部を懸濁液(ダイキン工業(株)製、固形分10重量%)の状態で加え、正極合剤ペーストを調製した。
正極合剤ペーストを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥し、両面の合計厚さ約240μmの塗膜をプレスし、その後、56mm幅にスリットし、総厚160μmの正極を得た。
負極活物質として人造黒鉛を用いた。負極活物質100重量部、結着材である日本合成ゴム(株)製のスチレンブタジエンゴム懸濁液(固形分40重量%)2.5重量部(固形分1重量部)、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩1重量部を、水とともに双腕式練合機にて攪拌し、固形分含有量が50重量%の負極合剤ペーストを調製した。
負極合剤ペーストを厚さ10μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥し、両面の合計厚さ約250μmの塗膜をプレスし、その後、59mm幅にスリットし、総厚180μmの負極を得た。
エチレンカーボネートと、ジメチルカーボネートと、エチルメチルカーボネートとの混合溶媒(体積比3:3:2)100重量部に、ビニレンカーボネートを3重量部添加し、さらに六フッ化リン酸リチウムを1Mの濃度となるように溶解させ、非水電解液を得た。
セルガード(株)製の厚さ20μmのポリエチレン製微多孔フィルム(製#2320)をセパレータとして用い、円筒型電池用の電極群を作製した。すなわち、正極と負極とを、これらの間にセパレータを介在させて、捲回した。得られた電極群を、NiメッキしたFe製電池缶内に挿入し、非水電解液を5.5g添加して、電池缶の開口を封口し、公称容量2000mAhの円筒型18650リチウムイオン二次電池を完成させた。
完成電池を400mAの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電したのち、400mAで電池電圧が2.5Vになるまで放電を行い、2000mAhの電池容量を確認した。
再度電池を電池電圧4.2Vまで充電した後、充電状態の電池の交流インピーダンスををFRA法で測定した。インピーダンス測定部には、ポテンショスタットとして、東陽テクニカ(株)製のソーラートロン1287を用い、FRA(図2のインピーダンスアナライザに相当)には、ソーラートロン1255Bを用いた。測定結果は、解析ソフト(Zplot for Windows(登録商標) Ver.2.9b)を用いて解析した。
虚数成分が第1の極大値を示す高周波側の周波数Fx(地点3の周波数)は、630Hzであり、その逆数時間は約0.0016秒であった。
虚数成分が第2の極大値を示す低周波側の周波数Fy(地点4の周波数)は、1Hzであり、その逆数時間は1秒であった。
以上より、パルス充電時間の下限値および上限値は、それぞれ0.0016秒および1秒となった。
2000mAの電流で1秒間(設定されたパルス充電時間)の充電を行い、1秒間休止するパターンで、電池電圧が4.2Vになるまで電池を充電した。充電終了後の電池を400mAで電池電圧が2.5Vになるまで放電し、電池容量を確認した。
このパルス充電−放電のサイクルを500回繰り返したところ、500サイクル後の容量は1620mAhであった。
実施例1と全く同じ方法で作製した電池に対し、パルス充電時間を0.5秒、休止時間を0.5秒に設定したこと以外、実施例1と同様のパルス充電−放電のサイクルを500回繰り返した。500サイクル後の容量は1650mAhであった。
実施例1と全く同じ方法で作製した電池に対し、パルス充電時間を1秒、休止時間を0.1秒に設定したこと以外、実施例1と同様のパルス充電−放電のサイクルを500回繰り返した。500サイクル後の容量は1600mAhであった。
実施例1と全く同じ方法で作製した電池に対し、パルス充電時間を0.1秒、休止時間を1秒に設定したこと以外、実施例1と同様のパルス充電−放電のサイクルを500回繰り返した。500サイクル後の容量は1700mAhであった。
実施例1と全く同じ方法で作製した電池に対し、パルス充電時間を0.5秒、休止時間を1秒に設定したこと以外、実施例1と同様のパルス充電−放電のサイクルを500回繰り返した。500サイクル後の容量は1685mAhであった。
実施例1と全く同じ方法で作製した電池に対し、パルス充電時間を0.0016秒、休止時間を0.5秒に設定したこと以外、実施例1と同様のパルス充電−放電のサイクルを500回繰り返した。500サイクル後の容量は1620mAhであった。
実施例1と全く同じ方法で作製した電池に対し、パルス充電時間を1.5秒、休止時間を1秒に設定したこと以外、実施例1と同様のパルス充電−放電のサイクルを500回繰り返した。500サイクル後の容量は1380mAhであった。
実施例1と全く同じ方法で作製した電池に対し、パルス充電時間を1.5秒、休止時間を1.5秒に設定したこと以外、実施例1と同様のパルス充電−放電のサイクルを500回繰り返した。500サイクル後の容量は1300mAhであった。
実施例1と全く同じ方法で作製した電池に対し、パルス充電時間を3秒、休止時間を1.5秒に設定したこと以外、実施例1と同様のパルス充電−放電のサイクルを500回繰り返した。500サイクル後の容量は1000mAhであった。
2、4 低周波数側で虚数成分が極大となる地点
20 充電器
21 電池
22 ポテンショスタット
23 インピーダンスアナライザ
24 演算処理装置
25 ファンクションジェネレータ
26 電源
Claims (5)
- パルス充電と充電休止とを繰り返して非水電解質二次電池を充電する方法であって、
パルス充電時間は、下限値と上限値との間で任意に設定されるものであり、
前記下限値は、前記非水電解質二次電池の交流インピーダンスの虚数成分が第1の極大値を示す高周波側の周波数Fxまたはその近傍周波数の逆数時間Txであり、
前記上限値は、前記非水電解質二次電池の交流インピーダンスの虚数成分が第2の極大値を示す低周波側の周波数Fyまたはその近傍周波数の逆数時間Tyである、非水電解質二次電池の充電方法。 - 前記周波数Fxの近傍周波数が0.9Fx〜1.1Fxの範囲内であり、前記周波数Fyの近傍周波数が0.9Fy〜1.1Fyの範囲内である、請求項1記載の非水電解質二次電池の充電方法。
- パルス充電と充電休止とを繰り返して非水電解質二次電池を充電する方法であって、
定期的または不定期的に、前記非水電解質二次電池の交流インピーダンスを測定するステップと、
前記交流インピーダンスの測定結果から、虚数成分が第1の極大値を示す高周波側の周波数Fxnまたはその近傍周波数の逆数時間Txnおよび虚数成分が第2の極大値を示す低周波側の周波数Fynまたはその近傍周波数の逆数時間Tynを求めるステップと、
前記逆数時間Txnおよび前記逆数時間Tynを、それぞれ下限値および上限値として、前記下限値と前記上限値との間でパルス充電時間を設定するステップと、
前記設定されたパルス充電時間のパルス充電と休止とを繰り返すステップと、を含む、非水電解質二次電池の充電方法。 - 非水電解質二次電池の交流インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
前記インピーダンス測定部の結果から、虚数成分が第1の極大値を示す高周波側の周波数Fxまたはその近傍周波数の逆数時間Txおよび虚数成分が第2の極大値を示す低周波側の周波数Fyまたはその近傍周波数の逆数時間Tyを求める逆数時間算出部と、
前記逆数時間Txおよび前記逆数時間Tyを、それぞれ下限値および上限値として、前記下限値と前記上限値との間でパルス充電時間を設定するパルス充電時間設定部と、
前記設定されたパルス充電時間のパルス充電と休止とを繰り返すように非水電解質二次電池の充電を制御する制御回路と、を具備する充電器。 - 前記制御回路が、定期的または不定期的に、前記インピーダンス測定部に、前記非水電解質二次電池の交流インピーダンスを測定するように指令し、更に、前記逆数時間算出部および前記パルス充電時間設定部に、前記インピーダンス測定部の結果に基づいてパルス充電時間を設定するように指令する、請求項4記載の充電器。
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