JP5041606B2 - リチウムイオン二次電池における改質微粉状正極物質の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明はリチウムイオン二次電池における改質微粉状正極物質の製造方法(以下において「改質微粉状正極物質の製造方法」と称することがある。)に関し、更に詳しくは、正極物質原料中の不純物を除去して高純度にすることができ、微粉状にされてなり、しかも導電性が高められた改質微粉状正極物質を製造する方法に関する。
近年、携帯電子機器やハイブリッド自動車に用いるための二次電池の研究が進められている。代表的な二次電池としては鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、リチウムイオン電池などが知られている。種々の二次電池の中でもリチウムイオン電池を用いたリチウム二次電池は高出力、高エネルギー密度等の利点を有している。
リチウムイオン電池はリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な活物質を有する正極と負極と非水電解質からなる。
このリチウムイオン電池の正極材料としては、金属酸化物、金属硫化物、あるいはポリマーなどが用いられ、例えばTiS、MoS、NbSe、V等のリチウム非含有化合物や、LiMO(M=Co、Ni、Mn、Fe等)、LiMn等のようなリチウム複合酸化物等が知られている。
上記金属酸化物、金属硫化物、リチウム非含有化合物、リチウム複合酸化物等の金属含有化合物は天然鉱物から工業的に生産される。
例えば、チタンは天然には二酸化チタンの形として様々の形態、例えば金紅石(ルチル)、鋭錐石(アナターゼ)、ブルカイト、チタン鉄鉱(イルメナイト)、ペロースカイト、チタナイトとして産出する。これらの鉱物からいくつかの合成段階を経て二硫化チタンが製造される。
モリブデンは輝水鉛鉱(モリブデナイト)、水鉛鉛鉱(ウルフェナイト)、水鉛シャ(モリブダイト)等として産出する。二硫化モリブデンは、前記輝水鉛鉱を精錬して製造され、また他の鉱物を出発原料にして製造される。
マンガンは鉄に次いで地球上に最も広く存在している重金属であり、軟マンガン鉱、硬マンガン鉱、褐マンガン鉱等の鉱物として産出する。マンガン酸リチウムは、マンガン鉱物から製造した二酸化マンガンとアルカリ金属酸化物とを共融することにより製造されることができる。
鉄、コバルト、ニッケルも鉱物から産生し、精錬して金属鉄、金属コバルト、金属ニッケルを生成し、これらを原料にして各種の鉄化合物、コバルト化合物及びニッケル化合物が合成される。
ところで、リチウムイオン電池における正極を形成する物質は、長期間に亙る放電を実現するために、高純度でなければならず、しかも、リチウムイオン電池における正極の実装密度を高めるには可及的に微細でなければならず、リチウムイオン電池の電荷移動反応を向上させるためには導電性が大きいことが要求される。
しかしながら、工業的に入手することのできるリチウムイオン電池の正極材料は、鉱物由来の不純物、最終的な正極材料を合成するために使用された様々な化学薬品に由来する不純物等が含有されている。
各種の正極材料は正極に加工される以前に、純水及び化学薬品を使用して洗浄し、あるいは様々の精製操作を加えてその純度が高められるのであるが、長時間の放電を可能にするリチウムイオン電池の実現に向けて、現状の正極材料の純度を更に高めることにより導電性の大きな正極材料の開発が進められている。
例えば特許文献1に記載の発明は、リチウムイオン電池用正極材料の製造方法およびリチウムイオン電池に関する。この特許文献1に記載の発明は、「一般式LiPO(0.8<x<2、0<y<1.5、ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)で表されるリチウムイオン電池用正極材料の製造方法であって、Li(リチウム)成分およびP(リン)成分およびA成分(ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)を、亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の流体中で反応させ、前記LiPOを合成することを特徴とするリチウムイオン電池用正極材料の製造方法」(特許文献1の請求項1参照)であり、「一般式LiPO(BおよびCはMg,Ca,Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれた互いに異なる1種であり、0.8<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5、0≦w<1.5、zとwは同時には0ではない)で表されるリチウムイオン電池用正極材料の製造方法であって、Li(リチウム)成分およびP(リン)成分およびA成分(ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)に加えて、Mg,Ca,Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれた1種または2種の成分を、亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の流体中で反応させ、前記LiPOを合成することを特徴とするリチウムイオン電池用正極材料の製造方法」(特許文献1の請求項2参照)である。
しかしながら、この特許文献1の段落番号0021を参照すると、「その後、合成された生成物を吸引ろ過等によりろ別回収し、水洗後、乾燥を行なうことにより、一般式LiPO(AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種、BおよびCはMg,Ca,Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれた互いに異なる1種であり、0.8<x<2、0<Y<1.5、0≦z<1.5、0≦w<1.5)で表されるリチウムイオン電池用正極材料が得られる」とあり、得られるリチウムイオン電池用正極材料の純度が記載されていない。特許文献1の実施例を参照すると、実施例1では、「・・・反応を行なった後、反応管を取り出し、冷却水により急冷し、反応を停止させた。その後、反応生成物を吸引ろ過によりろ別して回収した後、乾燥した。図3に反応生成物のエックス線回折パターンを示す。これにより、反応生成物はLiFePOと同定された。」との記載があるが、反応生成物の純度についての記載がない。特許文献1に開示されている他の実施例を参照しても、同様に、反応生成物の純度についての記載がない。
特許文献2は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なリチウム系複合金属酸化物であって、その結晶構造の少なくとも一部が単結晶構造を有することを特徴とするリチウム系複合金属酸化物を、開示する(特許文献2の請求項1参照)。このリチウム系複合金属酸化物は、「リチウムイオンを吸蔵・放出可能なリチウム系複合金属酸化物の製造方法であって、少なくともリチウムイオンと他の金属イオンとを超臨界または亜臨界状態の水中にて水熱反応させ、少なくとも一部が単結晶構造を有するリチウム系複合金属酸化物を製造することを特徴とするリチウム系複合金属酸化物の製造方法」により製造されることができる(特許文献2の請求項4参照)。
この特許文献2の記載によると、「・・・・。また、200〜300℃程度での水熱反応で合成された酸化物は、結晶内部や結晶表面に結晶水や水酸基を含むことが一般的であるが、臨界点近傍の亜臨界状態や超臨界状態の水中での水熱反応により合成または処理することで、結晶水や水酸基を含まない結晶化度の高いリチウム系複合金属酸化物を得ることができる。」との記載があるが、合成されたリチウム系複合金属酸化物の純度についての記載がない。また、得られるリチウム系複合金属酸化物の導電性を更に向上させる技術の開示がない。
特許文献3に記載された発明は、「Mnに対するLiのモル比(Li/Mn)が1から10の間になるようにリチウム塩水溶液とマンガン塩水溶液とアルカリ濃度調整液を混合した原料水溶液を水の超臨界状態又は亜臨界状態で反応させた後、前記反応生成物を乾燥して粉末を得る二次電池の正極用粉末材料の製造方法であって、前記原料水溶液を前記アルカリ濃度調整液により水素イオン濃度を1.5×10-13以下に調整することを特徴とする二次電池の正極用粉末材料の製造方法」である(特許文献3の請求項1参照)。
この特許文献3に開示された実施例によると、「回収したスラリー状の反応生成物は図示しないガラスフィルターにてろ過後、固形分を無水燐酸を入れたデシケータ中で24時間乾燥して正極用粉末材料を得た。」との記載(特許文献3の段落番号0024、実施例1)、「以下、実施例1と同様にして正極用粉末材料を得た。」との記載(特許文献3の段落番号0025、0026、0027,0028、実施例2〜4)があり、正極用粉末をどのようにして精製して純度を高めたかの記載がない。また、得られる正極用粉末材料をそのまま用いて正電極が作製されているが、リチウムイオン電極の放電特性のさらなる向上が望まれている現状においては、この特許文献3はリチウムイオン電極の放電特性の向上について有用な情報を開示していない。
特許文献4に記載の発明は、二酸化炭素と特定の化学構造を有するシクロペンタジエニル化合物とを有してなる超臨界流体組成物に関する(特許文献4の特許請求の範囲)。この特許文献4は、開示した超臨界流体組成物は、「水系洗浄液では除去が難しい貴金属を、錯体化し超臨界流体中に溶出させることができるものであり、また、強力な酸化剤や酸を多量に使用しないため、基板や装置にダメージを与えない。」との技術的効果を奏するものと、主張している(特許文献4の段落番号0008)。さらに、特許文献4の記載によると、「貴金属をさらに効率良く除去するため、及び、基板表面上に含まれる貴金属以外のNa、K、Fe等の汚染金属を除去するため、水、アンモニア、KOH、アミン類の塩基性物質、又は、蟻酸、酢酸、HCl、HF、HI等の酸性物質、フッ素系または硫酸系の界面活性剤、ピリジン、2,2'−ビピリジン、エチレンジアミン、エチレンジアミン4酢酸等のピリジン又はアミン系のキレート剤を添加してもよい。これらの化合物は、単体で混合させてもよいし、2種類以上組み合わせて混合してもよい。その混合割合としては、特に限定はないが、各単体で超臨界組成物中10モル%未満が好ましい。本発明の超臨界流体での洗浄に好適な貴金属としてはAu,Ag,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Ptが挙げられる。特にRuに好適に用いられる。」と主張している。
しかしながら、特許文献4では、「・・・洗浄槽内に、Ru汚染された2インチサイズのシリコン基板を入れた。そして、流体1容器に、エチレンシクロペンタジエニルを充填し、・・・・槽内を完全に二酸化炭素雰囲気にして、常圧状態に戻し、洗浄槽内のシリコン基板を取り出し、・・・表面分析を行った。その結果、洗浄前 Ru汚染量 1E+14atom/cmであったのが、洗浄後、Ru汚染量 1E+08atom/cmまで減少した」との唯一の実証的データを示すことにより、シリコン基板の汚染された基板表面からRuの除去されたことのみを具体的技術的効果として報告している(特許文献4の段落番号0018参照)。
特許文献5に記載された発明は、「リチウムイオンと、他の金属の金属イオンと、を超臨界または亜臨界条件下の水を溶媒として水熱反応させ、リチウム系金属複合酸化物を得ることを特徴とするリチウム系金属複合酸化物の製造方法」に関する(特許文献5の請求項1)。
特許文献5に記載の発明は、「このように、各種の方法によって、LiCoO2の微粒子を得ることができる。しかし、これらの方法には、次のような欠点がある。
まず、固相法は、生成物中に未反応残留物であるLiCO3が含まれ、これを取り除くことは困難である。また、反応時間が長時間であり、かつ反応温度が高いという問題もある。また、噴霧熱分解法では、LiCoO2の結晶性は、温度が高い程良い。従って、良質のLiCoO2を得るためには、かなりの高温での処理が必要になる。また、粒径を上述の0.56μm以下にするのは、困難と考えられる。さらに、ゾルゲル法は、非常に長時間の処理が必要であり、工業化を考えたとき、コストが大きくなるという問題がある。」と指摘して(特許文献5の段落番号0009及び0010参照)、
「・・・比較的低温、かつ短時間で、良質のLiCoO2などのリチウム酸化金属化合物を得ることができるリチウム系金属複合酸化物の製造方法を得ること」を発明の課題としている(特許文献5の段落番号0011)。
この特許文献5の記載によると、「生成粒子の径は400nm〜1μmであり、かなりの微粒子であった。」との評価がある(特許文献5の段落番号0057)。
一方、リチウムイオン電池の技術分野においては、リチウムイオン電池特性の向上をめざして更に微細な粒径を有す、電子移動特性の向上した高性能の正極材料が求められている。
特開2004−95386号公報 特開2001−163700号公報 特開2001−202947号公報 特開2004−59837号公報 特開2000−72445号公報
この発明は従来のリチウムイオン電池が有する問題点のいくつかを解消することを目的とし、詳しくは、平均粒径が1μm以下と評価可能なほどに微細化した粒子状に形成することができ、不純物の含有量を検出限界以下にまで低減することができ、しかも、電子移動能を更に向上させて高電子伝導性という性能を有するリチウムイオン電池に好適なリチウムイオン電池の電極とすることのできる改質微粉状正極物質の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は、
(1) 正極物質とこの正極物質以外の物質とを含有する正極物質原料と、極性溶媒と、超臨界流体とを、耐圧容器内で、前記超臨界流体が超臨界状態又は亜臨界状態になるように、加熱加圧し、次いで前記耐圧容器内の圧力を降下して超臨界流体をガス化し、微粉となった正極物質を分離し、
前記微粉となった正極物質と導電性ポリマーと超臨界流体とを、耐圧容器内で、前記超臨界流体が超臨界状態又は亜臨界状態になるように、加熱加圧し、次いで前記耐圧容器内の圧力を降下して超臨界流体をガス化することを特徴とするリチウムイオン二次電池における改質微粉状正極物質の製造方法であり、
(2) 前記(1)に記載のリチウムイオン二次電池における改質微粉状正極物質の製造方法において、前記極性溶媒が水及び/又は水溶性極性有機溶媒であり、前記超臨界流体が二酸化炭素であり、
(3) 前記(1)又は(2)に記載のリチウムイオン二次電池における改質微粉状正極物質の製造方法において、前記正極物質が、LiMn、LiFeO、LiCoO、LiNiO、一般式LiPO(ただし、0.8<x<2、0<y<1.5、AはCo、Ni、Mn、Fe、Cu、及びCrから選ばれた一種)で示されるリン酸塩、及び一般式LiPO(ただし、B及びCはMg、Ca、Zn、Ge、Ti、Sr、Ba、Sc、Y、Al、Ga、In、Si、B、及び希土類元素から選ばれた互いに異なる一種であり、0.8<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5、0≦w<1.5、zとwは同時には0ではない)で示されるリン酸塩よりなる群から選択される少なくとも一種であり、
(4) 前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池における改質微粉状正極物質の製造方法において、前記正極物質原料が前記正極物質以外の物質である不純物を多くとも0.5質量%含有し、
(5) 前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池における改質微粉状正極物質の製造方法において、前記導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリエチレンスルホン酸とポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)との組み合わせ、ポリピロール、及びポリアニリンより成る群から選択される少なくとも一種のポリマーである。
この発明によると、平均粒径が1μm以下である粒度の揃った微粒子であり、不純物の含有量が検出限界以下である程に純度が高く、しかも電子移動量の向上を図ることができるほどに電気伝導率が向上したところの、リチウムイオン電池の正極材料に好適な改質微粉状正極物質を、簡単な操作で容易に製造することができる。
図1は、この発明の方法を実施する一例としての改質微粉状正極物質製造装置を示す概略説明図である。 図2は、「LiMn4」と称される市販品のSEM画像である。 図3は、第2工程を経て得られた高純度のLiMn4粉末のSEM画像である。 図4は、第2工程を経て得られた高純度のLiMn4粉末をEDS分析して得られた画像である。 図5は、第2工程を経て得られた高純度のLiMn4粉末をEDS分析して得られた画像である。 図6は、第2工程を経て得られた高純度のLiMn4粉末をEDS分析して得られた画像である。 図7は、第2工程を経て得られた高純度のLiMn4粉末をEDS分析して得られた画像である。 図8は、第2工程を経て得られた高純度のLiMn4粉末をEDS分析して得られた画像である。
この発明の方法は、(1)正極物質原料と、極性溶媒と、超臨界流体とを、耐圧容器内で、前記超臨界流体が超臨界状態になるように、加熱加圧し、次いで前記耐圧容器内を常圧に戻して、微粉となった正極形成物質を分離する第1工程と、(2)前記微粉となった正極形成物質と導電性ポリマーと超臨界流体とを、耐圧容器内で、前記超臨界流体が超臨界状態になるように、加熱加圧し、次いで前記耐圧容器内を常圧に戻す第2工程とを有する。
前記第1工程における正極物質原料は、正極物質とこの正極物質以外の物質とを含有する。正極物質は、正極活物質とも称される。正極物質として用いられる物質をこの発明における正極物質として用いることができる。
正極物質として、一般式Li1−x1+x(ただし、MはFe、Co、Ni、Cr、V、Mn、Ti、Sc、及びYから選択される少なくとも一種の元素である。xは、0.1以上0.9以下である。)で示される正極活物質、一般式LiMn2−x(ただし、MはFe、Co、Ni、Mg、及びNbから選択される一種の元素であり、xは0以上1.5以下である。)で示される正極活物質、オリビン構造を有するFe、Mn、Co、Ni等の遷移金属等のリン酸化合物を挙げることができる。
前記一般式LiMn2−xで示される正極活物質の好適例としては、例えば、LiMnを挙げることができる。前記オリビン構造を有する遷移金属等のリン酸化合物の好適例としては、例えば、一般式LiPO(ただし、0.8<x<2、0<y<1.5、AはCo、Ni、Mn、Fe、Cu、及びCrから選ばれた一種)で示されるリン酸塩、及び一般式LiPO(ただし、B及びCはMg、Ca、Zn、Ge、Ti、Sr、Ba、Sc、Y、Al、Ga、In、Si、B、及び希土類元素から選ばれた互いに異なる一種であり、0.8<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5、0≦w<1.5、zとwは同時には0ではない)で示されるリン酸塩よりなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
正極物質として、LiFeO、LiCoO、LiNiO等も好適に採用することができる。
この発明の方法に用いられる正極物質原料は、前記正極物質とこの正極物質を形成しない物質とを含有する。正極物質を形成しない物質は、通常、不純物と称される。また、正極物質は、その製造原料に応じて様々の物質を不純物として含有する。不純物がどのような物質であれ、この発明の方法によると、その不純物を除去することができる。
正極活物質と称する市販品には不純物が含有されていることが多い。例えば「LiMn」と称する市販品には、正極物質であるLiMnと不純物としてCaを0.07%、Feを0.01%、Kを0.04%、Naを0.18%、Niを0.001%、Mgを0.04%含有する例がある。全ての市販品を調査したわけではないが、正極物質又は正極活物質であるとされる市販品には、正極物質を製造する原料である鉱物、その鉱物から得られた原料に様々の化学薬品を反応させて正極物質を製造する際に混入する物質が不純物として含まれていることがある。
この発明の方法では前記不純物が市販品の重量に対して多くとも0.1〜0.5質量%の割合で含有する市販品を正極物質原料として使用することができ、またアルカリ土類金属化合物例えばアルカリ土類金属酸化物を不純物として含有する市販品を正極物質原料として使用することができる。
この発明の方法における極性溶媒としては水及び水溶性極性有機溶媒を挙げることができる。
前記水としては、イオン交換水及び超純水などを使用することができる。
水溶性極性有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール及びプロピルアルコール等の水に溶解し、または水に混和する低級アルコール特に炭素数が1〜3の低級アルコール、フォルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びエチルアルデヒド等の水溶性アルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン及びジエチルケトン等の水溶性ケトン、ジメチルエーテル及びメチルエチルエーテル等の水溶性エーテル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、並びにジメチルスルホキシド等を挙げることができる。
これらの中でもこの発明の方法に好適な水溶性極性有機溶媒は前記低級アルコール例えば炭素数が1〜3の低級アルコール、前記水溶性エーテル、水溶性アルデヒド、水溶性ケトンが好ましい。
この発明の方法では、極性溶媒は正極物質原料中に含まれる不純物を抽出する作用を有する。極性溶媒の使用量は前記抽出作用を発揮することができる限りこの発明の方法を実施する態様に応じて適宜に決定することができ、具体的には前記正極物質原料に対して10〜1000質量%、好ましくは100〜200質量%が好ましい。極性溶媒の使用量が前記下限値よりも小さいと正極物質原料が不純物を除去する効果が小さくなることがあり、前記上限値よりも大きいと極性溶媒の量を多くしたことに見合うほどの不純物除去効果が見られないことがある。
前記超臨界流体としては、常温及び常圧下で気体であり、加熱温度が40〜500℃で、圧力が7〜50MPaの条件で超臨界状態又は亜臨界状態となる物質を挙げることができる。このような超臨界流体として、例えば二酸化炭素、並びに、メタン、エタン、プロパン、エチレン、及びプロピレン等の飽和又は不飽和の低級炭化水素を好適例として挙げることができる。この発明の方法において特に好適な超臨界流体は二酸化炭素である。
この発明の方法では、第1工程として、正極物質原料と、極性溶媒と、超臨界流体とを耐圧容器内に収容し、耐圧容器内で超臨界流体が亜臨界状態又は超臨界状態となるように、耐圧容器内を加圧及び加熱する。耐圧容器内で実現する圧力及び温度は超臨界流体の種類に応じて適宜に決定することができる。前記耐圧容器内で超臨界流体を亜臨界状態又は超臨界状態に維持する時間は、正極物質原料の種類に応じて適宜に決定され、通常の場合、30分〜20時間で十分である。もっとも、正極物質原料の種類によっては更に長時間を要する場合もある。
二酸化炭素を超臨界流体として採用する場合、耐圧容器内の圧力を7〜25MPa、好ましくは9〜15MPaにし、耐圧容器内の温度が85〜110℃、好ましくは95〜105℃に維持し、このような圧力及び温度に維持する時間としては、0.5〜3時間、好ましくは1〜2時間を挙げることができる。
耐圧容器内で前記超臨界流体が亜臨界状態又は超臨界状態に維持されているときに、耐圧容器内を適宜の撹拌手段により撹拌するのが好ましい。
前記耐圧容器内を亜臨界状態又は超臨界状態に所定時間維持した後に、その耐圧容器内の超臨界流体をガス化する程度に圧力を降下させる。
超臨界流体として二酸化炭素を採用すると、耐圧容器内を常圧にするだけで超臨界状態又は亜臨界状態となっていた二酸化炭素はガス化する。
超臨界流体をガス化することにより耐圧容器内にはガス状の超臨界流体と液状の極性溶媒と微粉末とが存在するので、ガス状の超臨界流体を耐圧容器外に放出し、一方、極性溶媒と微粉末とを分離する。分離操作は、例えば耐圧容器内の極性溶媒を、濾過手段を通じて耐圧容器外に排出する操作として行うことができる。
この発明の方法では、前記第1工程により、粉末状となった正極物質が製造される。第1工程により得られる正極物質は、そのまま正極物質としてリチウムイオン二次電池に使用することができるが、この発明は更に導電率の向上した正極物質を製造することを目的とするので、第1工程で得られた正極物質を第2工程に供する。
この発明の方法では、第2工程において、前記第1工程で得られた微粉末状の正極物質と導電性ポリマーと超臨界流体とを、耐圧容器内で、前記超臨界流体が超臨界状態又は亜臨界状態になるように、加熱加圧し、次いで前記耐圧容器内の圧力を降下して超臨界流体をガス化する。
第2工程で使用される耐圧容器は、第1工程で使用された耐圧容器をそのまま再度使用することもでき、また、第1工程で使用される耐圧容器とは別体となり、第1工程で使用される耐圧容器と同じ、又は異なる形状及び構造を有する耐圧容器を採用することもできる。
この第2工程で使用される超臨界流体としては、前記第1工程で使用されるのと同じ種類の超臨界流体を挙げることができる。また、前記第1工程で使用された超臨界流体を第1工程の終了後に回収することにより得られる超臨界流体を、第2工程で使用することもできる。
耐圧容器内における超臨界流体例えば二酸化炭素の使用量は、通常の場合、微粉化された正極物質に対して二酸化炭素80〜1000g、好ましくは95〜800gである。
前記導電性ポリマーとしては導電性を有する高分子化合物であればよく、例えば、ポリスチレンスルホン酸とポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンとの複合重合体を挙げることができる。この複合重合体は、ポリスチレンスルホン酸とポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンとの単なるポリマーブレンドではなく、ポリスチレンスルホン酸における−SO がポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンに配位してなる構造を有する。
この導電性ポリマーである複合重合体は、「Baytron」の商品名で市販されている。この発明の方法に使用可能な導電性ポリマーとして、「Baytron(登録商標)P」、「Baytron(登録商標)PAG」、「Baytron(登録商標)PH」、「Baytron(登録商標)PTP」、「Baytron(登録商標)PLS」、「Baytron(登録商標)PHS」、「Baytron(登録商標)PHCV4」などを挙げることができる。これらの導電性ポリマーのほかに、一般的な導電性ポリマーとして、例えば、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリフルオレン、ポリアセンなどがこの発明における導電性ポリマーとして例示することができる。好ましい導電性ポリマーとして、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリエチレンスルホン酸とポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)との組み合わせ、ポリピロール、及びポリアニリンより成る群から選択される少なくとも一種のポリマーを挙げることができる。
第2工程における導電性ポリマーの使用量は、第1工程で得られた微粉末状の正極物質に対して通常、0.1〜10質量%であり、特に3〜7質量%である。導電性ポリマーの使用量が前記範囲を下回ると第2工程を経て得られる正極物質の導電性が余り向上しないことがあり、前記範囲を上回ると正極物質粒子間の距離が離れてしまって正極の実装密度が低下するといったことがある。
第2工程においては、導電性ポリマーとともに水を耐圧容器内に仕込むことが好ましい。
第2工程で水を使用する場合、水と導電性ポリマーとの耐圧容器内における混合割合は、通常の場合、前記導電性ポリマー1質量部に対して水50〜10000質量部、好ましくは水20〜2000質量部である。前記導電性ポリマーに対する水の量が前記範囲を外れて多すぎると容器上部に導電性ポリマーが浮かんで反応しなかったり、少なすぎると十分反応しなかったりすることがあって好ましくないことがある。また、前記水の混合割合が前記範囲を下回ると、分散・微粒子化操作時に水分が失われて乾燥するので、導電性ポリマーが萎縮してしまうといった不都合を生じることがあり、前記配合割合を上回ると、処理物の水分散濃度が薄くなってそのまま利用することができず、利用するのに濃度調整を行わなければならないといった不都合を生じることもある。
前記Baytronは導電性ポリマーを1〜1.3質量%の割合で含有する水ディスパーション、つまり水分散液である。導電性性ポリマーとしてBaytronを使用する場合には、水とBaytronとの配合量比は、Baytronの単位容積に対して水を0.5〜3容積比、好ましくは1〜2容積比を挙げることができる。
この第2工程においては、耐圧容器内に、超臨界流体と微粉末状の正極物質と前記導電性ポリマーとを投入する順序に制限がない。また、耐圧容器内に投入する以前に、前記導電性ポリマーと前記微粉末状の正極物質とを混合しておき、得られる混合物を耐圧容器に投入するようにしてもよい。
第2工程では、耐圧容器内を亜臨界状態又は超臨界状態に維持する時間としては、通常0.5〜3時間、好ましくは1〜2時間を挙げることができる。
耐圧容器内で前記超臨界流体が亜臨界状態又は超臨界状態に維持されているときに、耐圧容器内を適宜の撹拌手段により撹拌するのが好ましい。
前記耐圧容器内を亜臨界状態又は超臨界状態に所定時間維持した後に、その耐圧容器内の超臨界流体をガス化する程度に圧力を降下させる。
超臨界流体として二酸化炭素を採用すると、耐圧容器内を常圧にするだけで超臨界状態又は亜臨界状態となっていた二酸化炭素はガス化する。
耐圧容器内でガス化された二酸化炭素はそのまま耐圧容器外に放出してもよいし、また、二酸化炭素ガスを回収して再利用してもよい。
耐圧容器内からガス状の二酸化炭素を放出すると、微粉末を得ることができる。この微粉は、正極物質と導電性ポリマーとの複合体となっている。ここで複合体という意味は、微粉状の正極物質の粒子表面に導電性ポリマーの微粒子が付着している形態、正極物質と導電性ポリマーとが相互作用して一体となっている形態等を示すが、現状のところ、第2工程で得られた微粉末状の正極物質の粒子表面に導電性ポリマーが付着していることが確認されている。
この発明に係る方法を製造する装置の一例を、図1を参照しながら、説明する。
図1は、本発明を実施するのに好適な一例である改質微粉状正極物質製造装置の概略図を示している。図1に示されるように、改質微粉状正極物質製造装置1は、耐圧容器2と、二酸化炭素ボンベ3と、水貯留タンク4と、手動弁5と、導電性ポリマー供給装置6とを備えて成る。この図1に示される改質微粉状正極物質製造装置1は、1基の耐圧容器2を用いてこの発明における第1工程及び第2工程を実現することができる。
この耐圧容器2は、対象物である正極物質原料と極性溶媒と二酸化炭素とを収容し、耐圧容器2内を気密に維持したまま二酸化炭素を超臨界状態にすることが可能である限り様々な規模であってもよく、また様々な材質で様々な構造を有していてもよい。耐圧容器2は、耐圧容器2内を攪拌する攪拌器2Aを備えていることが好ましい。なお、耐圧容器2の後段には、手動弁5が接続されている。
二酸化炭素ボンベ3は、この発明における超臨界流体の一例である二酸化炭素を貯留し、前記耐圧容器2に二酸化炭素ガスを供給する。二酸化炭素ボンベ3は、耐圧容器2の前段に接続されている。二酸化炭素ボンベ3および耐圧容器2の間には、ポンプ3Aと、手動弁3Bとがこの順に接続されている。
水貯留タンク4は、極性溶媒の一好適例である純水を貯留し、前記耐圧容器に前記純水を供給する。水貯留タンク4は、耐圧容器2の前段に接続されている。水貯留タンク4および耐圧容器2の間には、ポンプ4Aと、手動弁4Bとがこの順に接続されている。
耐圧容器2は、配管を介して導電性ポリマー供給装置6から導電性ポリマーが耐圧容器2内に投入可能に形成されている。この配管には図示しない弁が介装されていて、耐圧容器2内の二酸化炭素を亜臨界状態又は超臨界状態に維持するときには前記弁が閉鎖される。
前記改質微粉状正極物質製造装置1の作用について説明すると、以下のようである。
まず、耐圧容器2内に正極物質原料が投入される。
次に、ポンプ3Aおよび手動弁3Bを作動させて、二酸化炭素ボンベ3から前記耐圧容器2に超臨界状態となる二酸化炭素を供給する。
さらに、ポンプ4Aおよび手動弁4Bを作動させて、水貯留タンク4から前記耐圧容器2に純水を供給する。なお、耐圧容器2内に供給する純水と二酸化炭素とについてはいずれを先にしても後にしても、或いは同時であってもよい。
次に、耐圧容器2内を昇圧および/または昇温することにより、耐圧容器2内に供給された二酸化炭素が超臨界状態にされる。必要に応じて耐圧容器内2内に更に二酸化炭素が圧入される。この際、攪拌器2Aを適宜、作動させて、超臨界状態となる二酸化炭素および純水を混合する。その後、二酸化炭素を超臨界状態で所定時間保持する。
所定時間の経過後に、手動弁5を作動させて、耐圧容器2内の二酸化炭素をガス状にして耐圧容器2の外部に放出するとともに耐圧容器2の内部を常圧に戻す。耐圧容器2内に、正極物質原料に含まれていた不純物を含有する水(以下において、この水を不純物含有水と称することがある。)と正極物質とが残留する。耐圧容器2内の不純物含有水と正極物質との混合物から、分離手段例えば濾過により正極物質を回収し、耐圧容器2内に存置しておく。
この段階つまり第1工程が終了した段階における耐圧容器2内に存在する正極物質は微粉化されていて通常の場合その平均粒径が5μm以下、場合によっては1μm以下になっている。
次いで、耐圧容器2内に微粉化された正極物質をそのまま存置しておくとともに、耐圧容器内に導電性ポリマーと二酸化炭素と要すれば水とを導入し、導入後にその耐圧容器2を気密に閉鎖しておく。
次に、耐圧容器2内を昇圧および/または昇温することにより、耐圧容器2内に供給された二酸化炭素が超臨界状態にされる。必要に応じて耐圧容器内2内に更に二酸化炭素が圧入される。この際、攪拌器2Aを適宜、作動させて、超臨界状態となる二酸化炭素および純水を混合する。その後、二酸化炭素を超臨界状態で所定時間保持する。
所定時間の経過後に、手動弁5を作動させて、耐圧容器2内の二酸化炭素をガス状にして耐圧容器2の外部に放出するとともに耐圧容器2の内部を常圧に戻す。耐圧容器2内に、水と正極物質とが残留する。この第2工程の終了後に耐圧容器2内に残留する水には、正極物質中に含まれている残留不純物及び導電性ポリマーが含まれていることがある。耐圧容器2内の水と正極物質との混合物から、分離手段例えば濾過により正極物質を回収する。
かくして得られる正極物質の平均粒径は多くの場合1μm以下に微粉化され、正極物質の粒子の表面に導電性ポリマーが付着している。
(実施例1)
製品名が「LiMn4」と称される市販品(雲南玉渓江竜科技有限公司製)を正極原料物質とした。この正極原料物質は、元素分析装置(日機装株式会社製、製品名:SEMTRAC mini EDS)にて元素分析した結果、不純物として、Caを0.07質量%、Feを0.01質量%、Kを0.04質量%、Naを0.18質量%、Mgを0.04質量%の割合で含有していた。このような割合で不純物を含む市販品をそのまま正極物質として採用して製造されるリチウムイオン電池は、使用中に発熱、発火、燃焼といった現象を起こすことがあるので安全なリチウムイオン電池の原材料とすることができない。
粒度分析装置(日機装株式会社製、商品名:マイクロトラック)にてこの市販品の平均粒径を測定したところ、その平均粒径は20μmであった。この市販品のSEM画像(1000倍)を図2に示した。
また、この市販品から、IR用錠剤作製装置を用いて、直径13mmのペレットを作製した。この市販品のペレットにつき四探針法(JIS K7194 導電性プラスチックの四探針法)による抵抗率試験方法に従って抵抗率を測定したところ、その表面抵抗率は0.295×10Ω/□であった。
1質量部の前記市販品を耐圧容器内に装填した。次いで耐圧容器内に純水1〜100重量部を装填した。耐圧容器内を40〜100℃に加熱するとともに、7〜25MPaに加圧することにより、耐圧容器内の二酸化炭素を超臨界状態にし、そのまま2時間超臨界状態を維持した。
前記時間が経過した後に、耐圧容器の気密状態を開放して耐圧容器内を常圧に戻すとともに耐圧容器内でガス状に戻った二酸化炭素を耐圧容器の外に放出した。
耐圧容器内の粉状物と水を主成分とする液体との混合物を取り出し、濾過し、濾過物を純水で洗浄し、乾燥することにより粉状物を分離した。
この粉状物を元素分析装置(日機装株式会社製、製品名:SEMTRAC mini EDS)にて元素分析した結果、Ca、Fe、K、Na、Ni及びMgが検出されなかった。その結果、その粉状物は、不純物の検出されない高純度のLiMn4であった。
粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラック)で測定したところ、この粉状物の平均粒径は0.522μmであった。また、この粉状物から、IR用錠剤作製装置を用いて、直径13mmのペレットを作製した。このペレットにつき四探針法(JIS K7194 導電性プラスチックの四探針法)による抵抗率試験方法に従って抵抗率を測定したところ、その表面抵抗率は0.87×10Ω/□であった。
この粉状物1質量部を前記耐圧容器内に装填するとともに、平均粒径が0.1μmである導電性ポリマー(商品名:Baytron PH500)1w/oの水ディスパーション液0.05質量部と、二酸化炭素600質量部とを耐圧容器内に装填した。
耐圧容器内を70℃に加熱するとともに、10MPaに加圧することにより、耐圧容器内の二酸化炭素を超臨界状態にし、そのまま0.5〜2時間超臨界状態を維持した。
前記時間が経過した後に、耐圧容器の気密状態を開放して耐圧容器内を常圧に戻すとともに耐圧容器内でガス状に戻った二酸化炭素を耐圧容器の外に放出した。
耐圧容器内の粉状物と水を主成分とする液体との混合物を取り出し、濾過し、濾過物を純水で洗浄し、乾燥することにより粉状物を分離した。
粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラック)で測定したところ、この粉状物の平均粒径は1μmであった。
第2工程を経て得られた前記粉状物つまり高純度のLiMn粉末のSEM画像(1000倍)を図3に示した。
第2工程を経て得られた前記高純度のLiMn4粉末をEDS分析(日機装株式会社製、製品名:SEMTRAC mini EDS)して得られた画像を図5〜8に示した。
図5〜8によると、導電性ポリマーの構造特有の酸素分子と硫黄分子とが粉末の輪郭に一致するような形状となっていることが観察されるので、LiMn4粉末の表面に導電性ポリマーが付着していると認められる。
第2工程を経て得られた前記高純度のLiMn粉末から、IR用錠剤作製装置を用いて、直径13mmのペレットを作製した。このペレットにつき四探針法(JIS K7194 導電性プラスチックの四探針法)による抵抗率試験方法に従って抵抗率を測定したところ、その表面抵抗率は1.375×10Ω/□であった。この結果から、導電性ポリマーが表面に付着してなる正極物質の導電性が導電性ポリマーが表面に付着していない正極物質の導電性よりも大きいことが裏付けられた。
以上の結果を考察すると、この発明の方法によると、正極物質の高純度化、正極物質の微粒子化、及び高電気伝導性の達成を実現することができると、結論した。
1 改質微粉状正極物質製造装置
2 耐圧容器
2A 攪拌器
3 二酸化炭素ボンベ
3A ポンプ
3B 手動弁
4 水貯留タンク
4A ポンプ
4B 手動弁
5 手動弁
6 導電性ポリマー供給装置

Claims (5)

  1. 正極物質とこの正極物質以外の物質とを含有する正極物質原料と、極性溶媒と、超臨界流体とを、耐圧容器内で、前記超臨界流体が超臨界状態又は亜臨界状態になるように、加熱加圧し、次いで前記耐圧容器内の圧力を降下して超臨界流体をガス化し、微粉となった正極物質を分離し、
    前記微粉となった正極物質と導電性ポリマーと超臨界流体とを、耐圧容器内で、前記超臨界流体が超臨界状態又は亜臨界状態になるように、加熱加圧し、次いで前記耐圧容器内の圧力を降下して超臨界流体をガス化することを特徴とするリチウムイオン二次電池における改質微粉状正極物質の製造方法。
  2. 前記極性溶媒が水及び/又は水溶性極性有機溶媒であり、前記超臨界流体が二酸化炭素である前記請求項1に記載のリチウムイオン二次電池における改質微粉状正極物質の製造方法。
  3. 前記正極物質が、LiMn、LiFeO、LiCoO、LiNiO、一般式LiPO(ただし、0.8<x<2、0<y<1.5、AはCo、Ni、Mn、Fe、Cu、及びCrから選ばれた一種)で示されるリン酸塩、及び一般式LiPO(ただし、B及びCはMg、Ca、Zn、Ge、Ti、Sr、Ba、Sc、Y、Al、Ga、In、Si、B、及び希土類元素から選ばれた互いに異なる一種であり、0.8<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5、0≦w<1.5、zとwは同時には0ではない)で示されるリン酸塩よりなる群から選択される少なくとも一種である前記請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池における改質微粉状正極物質の製造方法。
  4. 前記正極物質原料が前記正極物質以外の物質である不純物を多くとも0.5質量%含有してなる前記請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池における改質微粉状正極形成物質の製造方法。
  5. 前記導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリエチレンスルホン酸とポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)との組み合わせ、ポリピロール、及びポリアニリンより成る群から選択される少なくとも一種のポリマーである前記請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池における改質微粉状正極物質の製造方法。
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