JP2015522512A - 高エネルギー密度を有するリチウム遷移金属オリビンの低コスト製造方法 - Google Patents
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Abstract
高い比容量を有するリチウム遷移金属オリビン粒子の安価な製造方法が開示される。この方法は:a)少なくとも1種のリチウムイオン供給源と、少なくとも1種の遷移金属イオン供給源と、少なくとも1種のHxPO4イオン(xは、0〜2である。)供給源と、少なくとも1種の、炭酸、炭酸水素、ギ酸および/または酢酸イオン供給源とを含む前駆体材料を、水および水に混和できる液体共溶媒の混合物であり、存在している水および共溶媒の相対的割合による混合物中において組み合わせるステップであり、その液体共溶媒が少なくとも130℃の沸騰温度を有し;リチウムイオン対HxPO4イオンのモル比が0.9:1〜1.2:1であり、またリチウム遷移金属リン酸塩と、炭酸、ギ酸もしくは酢酸の少なくとも1種とが形成されるステップ、b)得られた混合物を120℃までの温度で加熱して、その炭酸、ギ酸、酢酸および/または炭素含有分解生成物を、反応混合物から選択的に除去し、場合によって水の一部もしくは全部を反応混合物から除去し、リチウム遷移金属オリビン粒子を生成させるステップ、ならびに次いでc)このリチウム遷移金属オリビン粒子を、液体共溶媒から分離するステップを含む。
Description
本発明は、リチウム遷移金属オリビン、およびリチウム遷移金属オリビンを含有するリチウム電池電極材料の製造方法に関する。
リチウム電池は、自動車および多くの型の電子装置向けの一次および二次電池として広く使用されている。これらの電池は、しばしば高いエネルギーおよび出力密度を有する。
リチウム遷移金属化合物は、これらの電池における正極材料として一般に使用されている。正極材料として記載されているリチウム遷移金属化合物の中には、LiCoO2などの岩塩構造化合物、LiMn2O4などのスピネル、ならびにリン酸リチウム鉄、リン酸リチウムコバルト鉄およびリン酸リチウムマンガン鉄などのオリビン材料がある。例えば、LiFePO4は、熱的に安定であり、低い毒性および高レート特性(高い出力密度)を有する低コスト材料として知られる。しかし、LiFePO4は、比較的低い作動電圧(Li+/Liに対し3.4V)を有し、このため低いエネルギー密度を有する。原則として、作動電圧、したがってエネルギー密度は、鉄のいくらかまたは全てをマンガンで置換することによって増大させることができ、そうすることによって、パワー特性を著しく犠牲にせずに、より高いエネルギー密度が期待される。しかし、鉄をマンガンに置き換えることによって、構造安定性および輸送動力学が悪影響を受け、得られた比容量は理論レベルに達せず著しく低下している。
リチウム遷移金属オリビン電極材料を調製する方法が、それらの性能ならびにそれらのコストに、著しい影響を有することが見出されている。いくつかのアプローチが試みられている。これらのアプローチの中には、固相、ゾルゲル、水熱反応、マイクロ波アシストソルボサーマル法および共沈法がある。共沈法は、低原料費であり、また容易にスケールアップされ、したがって最も商業的に興味がある潜在的利点を有する。
残念なことに、以前に開発された共沈法は、いくつかの問題を欠点としている。リン酸の全ての3つの酸性水素を中和して、所望のオリビン構造を生成させる必要がある。そうするには、リン酸1モル当り塩基3モルを要する。最適な塩基は、典型的には水酸化リチウムである。生成物中に、リン酸イオン1モル当り約1モルのリチウムしか存在しないので、リン酸を中和するために水酸化リチウム3モルを使用する必要性は、工程に投入されたリチウムの大部分が、望ましくないリチウム塩として出て行くことを意味する。水酸化リチウムは、原料について最も高価なので、このような大過剰の水酸化リチウムを使用する必要性は、原料費の大きな増加を示す。さらに、望ましくないリチウム塩は、再循環および再使用のため回収されなければならず、さもなければ処分しなければならない。回収および再循環は複雑かつ費用が掛かり、処分は、貴重なリチウムの浪費を意味する。
水酸化リチウムの量を減らす一つの方法は、前以てリン酸を部分的に中和することである。したがって、リン酸の代わりにリン酸二水素アンモニウムなどの塩を使用することができる。リン酸が既に一部中和されているので、中和を完結するために必要とされる水酸化リチウムはより少なく、水酸化リチウムの要求条件は緩和される。しかし、アンモニウムイオンは、生成物中に不純物として存在することができるアンモニウム塩を形成し、これらは、他の方法で廃棄物流から除去して、それらを回収および再循環し、さもなければ処分しなければならない。
WO2007/113624は、リチウムおよび遷移金属の供給源として酢酸塩を使用するリチウム遷移金属オリビンの製造方法を記載している。この方法は、リン酸イオンの供給源としてリン酸二水素アンモニウムを使用する。さらなる酢酸も存在する。この方法は、リチウム遷移金属オリビンの結晶を形成するために反応混合物が還流ステップを受ける際に、反応副生物として酢酸アンモニウムおよび酢酸を生成し、これらが、反応混合物と一緒に残留する。溶媒を再使用するために、これらの反応副生物は、反応溶媒から取り出さなければならないし、さもなければ溶媒は処分しなければならない。いずれの場合も、この方法は、多くの処理ステップおよび関連コストを必要とし、またしばしば、十分に高いエネルギー密度を有するリチウム遷移金属オリビン材料をもたらさない。
本発明は、一態様において、リチウム遷移金属オリビン粒子の製造方法であって、
a)少なくとも1種のリチウムイオン供給源と、少なくとも1種の遷移金属イオン供給源と、少なくとも1種のHxPO4イオン(xは、0〜2である。)供給源とを含む前駆体材料を、水および水に混和できる液体共溶媒の混合物であり、存在している水および共溶媒の相対的割合による混合物中において組み合わせるステップであり、その液体共溶媒が少なくとも130℃の沸騰温度を有し;リチウムイオン対HxPO4イオンのモル比が0.9:1〜1.2:1であり、またリチウム遷移金属リン酸塩および反応副生物が形成され、この反応副生物が、120℃以下の温度で全て沸騰もしくは分解してガスを形成するステップ、
b)得られた混合物を120℃までの温度で加熱して、その反応副生物を、反応混合物から選択的に除去し、場合によって水の一部もしくは全部を反応混合物から除去し、リチウム遷移金属オリビン粒子を生成させるステップ、ならびに次いで
c)このリチウム遷移金属オリビン粒子を、液体共溶媒から分離するステップ
を含む製造方法である。
a)少なくとも1種のリチウムイオン供給源と、少なくとも1種の遷移金属イオン供給源と、少なくとも1種のHxPO4イオン(xは、0〜2である。)供給源とを含む前駆体材料を、水および水に混和できる液体共溶媒の混合物であり、存在している水および共溶媒の相対的割合による混合物中において組み合わせるステップであり、その液体共溶媒が少なくとも130℃の沸騰温度を有し;リチウムイオン対HxPO4イオンのモル比が0.9:1〜1.2:1であり、またリチウム遷移金属リン酸塩および反応副生物が形成され、この反応副生物が、120℃以下の温度で全て沸騰もしくは分解してガスを形成するステップ、
b)得られた混合物を120℃までの温度で加熱して、その反応副生物を、反応混合物から選択的に除去し、場合によって水の一部もしくは全部を反応混合物から除去し、リチウム遷移金属オリビン粒子を生成させるステップ、ならびに次いで
c)このリチウム遷移金属オリビン粒子を、液体共溶媒から分離するステップ
を含む製造方法である。
他の態様において、本発明は、リチウム遷移金属オリビン粒子の製造方法であって、
a)少なくとも1種のリチウムイオン供給源と、少なくとも1種の遷移金属イオン供給源と、少なくとも1種のHxPO4イオン(xは、0〜2である。)供給源と、少なくとも1種の、炭酸、炭酸水素、ギ酸および/または酢酸イオン供給源とを含む前駆体材料を、水および水に混和できる液体共溶媒の混合物であり、存在している水および共溶媒の相対的割合による混合物中において組み合わせるステップであり、その液体共溶媒が少なくとも130℃の沸騰温度を有し;リチウムイオン対HxPO4イオンのモル比が0.9:1〜1.2:1であり、またリチウム遷移金属リン酸塩と、炭酸、ギ酸もしくは酢酸の少なくとも1種とが形成されるステップ、
b)得られた混合物を120℃までの温度で加熱して、その炭酸、ギ酸、酢酸および/または炭素含有分解生成物を、反応混合物から選択的に除去し、場合によって水の一部もしくは全部を反応混合物から除去し、リチウム遷移金属オリビン粒子を生成させるステップ、ならびに次いで
c)このリチウム遷移金属オリビン粒子を、液体共溶媒から分離するステップ
を含む製造方法である。
a)少なくとも1種のリチウムイオン供給源と、少なくとも1種の遷移金属イオン供給源と、少なくとも1種のHxPO4イオン(xは、0〜2である。)供給源と、少なくとも1種の、炭酸、炭酸水素、ギ酸および/または酢酸イオン供給源とを含む前駆体材料を、水および水に混和できる液体共溶媒の混合物であり、存在している水および共溶媒の相対的割合による混合物中において組み合わせるステップであり、その液体共溶媒が少なくとも130℃の沸騰温度を有し;リチウムイオン対HxPO4イオンのモル比が0.9:1〜1.2:1であり、またリチウム遷移金属リン酸塩と、炭酸、ギ酸もしくは酢酸の少なくとも1種とが形成されるステップ、
b)得られた混合物を120℃までの温度で加熱して、その炭酸、ギ酸、酢酸および/または炭素含有分解生成物を、反応混合物から選択的に除去し、場合によって水の一部もしくは全部を反応混合物から除去し、リチウム遷移金属オリビン粒子を生成させるステップ、ならびに次いで
c)このリチウム遷移金属オリビン粒子を、液体共溶媒から分離するステップ
を含む製造方法である。
この方法は、少なくとも次の利点をもたらす。HxPO4イオン(すなわち、遷移金属化合物中に存在するリン酸、リン酸水素およびリン酸二水素イオン)1モル当り約1.2モルを超えるリチウムイオン(リチウム前駆体の形態における)を提供する必要がない。この反応が、塩よりもむしろ反応副生物としてのフュージティブ酸(fugitive acid)(炭酸、ギ酸および/または酢酸)を生成させる。このフュージティブ酸および/またはその炭素含有分解生成物は揮発性であり、加熱ステップ(b)の間に反応混合物および反応溶媒から除去される。結果として、リチウム遷移金属オリビン粒子からまたは溶媒相から塩副生物を除去する必要がない。いくつかの場合、除去される酸は、反応混合物から分離されると直ぐに、凝縮によって容易に回収され、容易に再循環または再使用することができる。
さらに他の利点は、本方法において形成されるリチウム遷移金属オリビンは、しばしば高い充/放電レートでも、特に高い比容量を示すことである。
本発明の方法のステップa)において、少なくとも1種のリチウムイオン供給源、少なくとも1種の遷移金属イオン供給源、少なくとも1種のHxPO4イオン(xは、0〜2である。)供給源、および少なくとも1種の、炭酸、炭酸水素、ギ酸もしくは酢酸イオン供給源を含む前駆体材料が、組み合わされる。これらの前駆体材料は、リチウム遷移金属オリビン以外の化合物であり、反応してリチウム遷移金属オリビンを形成する化合物である。いくつかのもしくは全ての前駆体材料は、必要な出発材料の2種以上の供給源とすることができる。
例えば、リチウムイオンの供給源は、水酸化リチウムまたはリン酸二水素リチウムとすることができる。リン酸二水素リチウムは、リチウムイオンおよびHxPO4イオン両方の供給源として機能し、前駆体材料の残部と組み合わされる前に、水酸化リチウムによってリン酸を部分中和するステップによって形成することができる。
遷移金属イオンは、鉄(II)、コバルト(II)およびマンガン(II)イオンの少なくとも1種を含むことが好ましく、鉄(II)イオンと、コバルト(II)およびマンガン(II)イオンのいずれか、または両方とを含むことが、より好ましい。これらの遷移金属イオンの適切な供給源には、リン酸鉄(II)、リン酸水素鉄(II)、リン酸二水素鉄(II)、炭酸鉄(II)、炭酸水素鉄(II)、ギ酸鉄(II)、酢酸鉄(II)、リン酸コバルト(II)、リン酸水素コバルト(II)、リン酸二水素コバルト(II)、炭酸コバルト(II)、ギ酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、リン酸マンガン(II)、リン酸水素マンガン(II)、リン酸二水素マンガン(II)、炭酸マンガン(II)、炭酸水素マンガン(II)、ギ酸マンガン(II)および酢酸マンガン(II)が含まれる。前記リスト中のリン酸塩、リン酸水素塩およびリン酸二水素塩は、遷移金属イオンの供給源として役立つであろうほかに、HxPO4イオンの供給源のいくつかもしくは全てとしても役立つであろう。炭酸塩、炭酸水素塩、ギ酸塩および酢酸塩は、遷移金属イオンの供給源として役立つであろうほかに、それらのそれぞれのアニオンの供給源のいくつかもしくは全てとしても役立つであろう。遷移金属イオンの供給源には、ヒドロキシル、炭酸、炭酸水素、ギ酸、酢酸、リン酸、リン酸水素およびリン酸二水素以外のアニオンが存在しないことが好ましい。
好ましい実施形態において、遷移金属イオンには、2種以上の異なる遷移金属が含まれ、本方法でリチウム混合遷移金属オリビンが生成される。このような場合、遷移金属イオンの一方がFe(II)イオンであり、他方の遷移金属イオンが、Co(II)イオン、Mn(II)イオン、またはCo(II)およびMn(II)イオン両方の混合物であることが好ましい。Feイオン対Coおよび/またはMnイオンのモル比は、10:90〜90:10とすることができ、好ましくは25:75〜75:50である。とりわけ好ましいFeイオン対Coおよび/またはMnイオンのモル比は、25:75〜50:50である。
炭酸、炭酸水素、ギ酸および/または酢酸イオンの供給源は、前述の遷移金属炭酸塩、遷移金属炭酸水素塩、遷移金属ギ酸塩または遷移金属酢酸塩化合物、ならびにギ酸および酢酸のいずれともすることができる。ギ酸および/または酢酸イオンの供給源として、遊離のギ酸および/または酢酸を使用しないことが好ましい。前述のものの任意の2種以上の混合物を使用することができる。炭酸、炭酸水素、ギ酸および/または酢酸イオンの供給源には、水素、リチウム、および、オリビン型遷移金属リン酸塩生成物の一部を構成する遷移金属イオン以外のカチオンが存在しないことが好ましい。特に、炭酸、炭酸水素、ギ酸および/または酢酸イオンの供給源には、オリビン型遷移金属リン酸塩生成物の一部を構成する遷移金属イオンを除いて、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンまたは他の金属が存在しないことが好ましい。
HxPO4イオンの供給源は、リン酸水素リチウム、リン酸二水素リチウム、前述の遷移金属リン酸塩、遷移金属リン酸水素塩および遷移金属リン酸二水素塩のいずれかならびにリン酸とすることができる。HxPO4イオンの供給源には、水素、リチウム、および、オリビン型遷移金属リン酸塩生成物の一部を構成する遷移金属イオン以外のカチオンが存在しないことが好ましい。特に、HxPO4イオンの供給源には、オリビン型遷移金属リン酸塩生成物の一部を構成する遷移金属イオンを除いて、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンまたは他の金属が存在しないことが好ましい。
リチウムイオン対HxPO4イオンのモル比は、0.9:1〜1.2:1、好ましくは0.95:1〜1.1:1、より好ましくは1.0:1〜1.05:1である。
遷移金属イオン対HxPO4イオンのモル比は、0.75:1〜1.25:1、好ましくは0.85:1〜1.25:1、より好ましくは0.9:1〜1.1:1である。
全体として、十分なリチウムおよび遷移金属イオンが提供されてHxPO4イオンを完全に中和し、リン酸塩を形成する。
炭酸、炭酸水素、ギ酸および/または酢酸イオン対HxPO4イオンのモル比は、1:1〜2.5:1、好ましくは1.5:1〜2:1であることが好ましい。
本方法のステップa)は、水および共溶媒の混合物中で行われる。共溶媒は、融解温度60℃以下、好ましくは25℃以下および沸騰温度少なくとも130℃、好ましくは少なくとも180℃を有する材料である。共溶媒は、存在する水および共溶媒の相対的割合で水と混和できる。混和できるとは単に、混合する際に水および共溶媒が単一相を形成するという意味である。
水は、脱イオンおよび脱酸素されることが好ましい。
共溶媒は、1つもしくは複数のヒドロキシル基、好ましくは少なくとも2つのヒドロキシル基、および特に正確には2つのヒドロキシル基を含有することが好ましい。
適切な共溶媒の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、分子量約1000までを有する他のポリアルキレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが含まれる。ジエチレングリコールが、好ましい共溶媒である。2種以上の共溶媒が、存在することができる。
他の適切な共溶媒には、ジメチルスルホキシド、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなどが含まれる。
水および共溶媒の混合物は、水および共溶媒の組合せ重量に対して、水25〜75重量%、好ましくは水33〜67重量%、より好ましくは水40〜60重量%を含有できる。
本方法のステップa)に導入される原料、水および溶媒には、水素、リチウム、およびリチウム遷移金属オリビン生成物の一部を構成する遷移金属イオン以外のカチオンが存在しないことが好ましい。特に、これらの材料には、リチウム遷移金属オリビン生成物の一部を構成する遷移金属イオンを除いて、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンまたは他の金属が存在しないことが好ましい。同様に、本方法のステップ(a)に導入される原料、水および溶媒には、HxPO4、ヒドロキシル、ギ酸塩、酢酸塩、炭酸水素塩および炭酸塩アニオン以外の無機アニオンが存在しないことが好ましい。
本発明の目的のため、第二の材料が、その材料の重量の僅か0.25%以下を構成する場合、好ましくはその材料の重量の僅か0.1%以下を構成する場合、ある材料もしくは材料の混合物には、第二の材料が「存在しない(devoid)」とみなされる。
ステップa)に取り込まれる材料は、遷移金属のより高い酸化状態への酸化を防止するため、少量の酸化防止剤、好ましくはアスコルビン酸などの有機酸化防止剤を含むことができる。
ステップa)は、出発材料を種々の方法で組み合わせるステップによって実行することができる。一般に、リチウム遷移金属リン酸塩が形成される限り、出発材料の添加順序は重要ではない。このステップにおいて形成されるリチウム遷移金属リン酸塩は、オリビン構造を有しなくてもよく、または一部分だけオリビン構造を有することができる。したがって、例えば、前駆体は、下記の方法のいずれかで組み合わせることができる:
1)水または水および共溶媒の混合物中の遷移金属イオン前駆体の溶液を形成する;水または水および共溶媒の混合物中のリン酸溶液を添加する;次いで、水または水および共溶媒の混合物中の水酸化リチウム溶液を添加する。この方法では、遷移金属イオン前駆体が、炭酸塩、炭酸水素塩、ギ酸塩および/または酢酸塩であることが好ましい。
2)水または水および共溶媒の混合物中の遷移金属イオン前駆体の溶液を形成する;水または水および共溶媒の混合物中の水酸化リチウム溶液を添加する;次いで、水または水および共溶媒の混合物中のリン酸溶液を添加する。この方法では、遷移金属イオン前駆体が、炭酸塩、炭酸水素塩、ギ酸塩および/または酢酸塩であることが好ましい。この方法は、不純物相を形成するため、あまり好ましくない。
3)水または水および共溶媒の混合物中の遷移金属イオン前駆体の溶液を形成する;水または水および共溶媒の混合物中において水酸化リチウムおよびリン酸を組み合わせる;次いで、遷移金属イオン前駆体の溶液に、水酸化リチウム/リン酸溶液を添加する。この場合における、遷移金属イオン前駆体は、炭酸塩、炭酸水素塩、ギ酸塩および/または酢酸塩であることが好ましい。
4)水または水および共溶媒の混合物中の、リン酸二水素鉄(II)、リン酸水素鉄(II)および/またはリン酸鉄(II)の第一の溶液を形成する。このことは、例えば、リン酸中に金属鉄を溶解するステップによって行うことができる。別個に、水または水/共溶媒混合物中の炭酸コバルト(II)、ギ酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、炭酸マンガン(II)、炭酸水素マンガン(II)、ギ酸マンガン(II)および酢酸マンガン(II)の1種もしくは複数の第二の溶液を形成する。第二の溶液に、水酸化リチウムまたは、水もしくは水/共溶媒混合物中の水酸化リチウムの溶液を添加する。第一および第二の溶液を組み合わせる。
5)水または水および共溶媒の混合物中の、リン酸二水素鉄(II)、リン酸水素鉄(II)および/またはリン酸鉄(II)の第一の溶液を形成する。このことは、例えば、リン酸中に金属鉄を溶解するステップによって行うことができる。水酸化リチウムまたは、水もしくは水/共溶媒混合物中の水酸化リチウムの溶液を添加する。水または水/共溶媒混合物中の炭酸コバルト(II)、ギ酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、炭酸マンガン(II)、炭酸水素マンガン(II)、ギ酸マンガン(II)および酢酸マンガン(II)の1種もしくは複数の第二の溶液を形成する。第一および第二の溶液を組み合わせる。
1)水または水および共溶媒の混合物中の遷移金属イオン前駆体の溶液を形成する;水または水および共溶媒の混合物中のリン酸溶液を添加する;次いで、水または水および共溶媒の混合物中の水酸化リチウム溶液を添加する。この方法では、遷移金属イオン前駆体が、炭酸塩、炭酸水素塩、ギ酸塩および/または酢酸塩であることが好ましい。
2)水または水および共溶媒の混合物中の遷移金属イオン前駆体の溶液を形成する;水または水および共溶媒の混合物中の水酸化リチウム溶液を添加する;次いで、水または水および共溶媒の混合物中のリン酸溶液を添加する。この方法では、遷移金属イオン前駆体が、炭酸塩、炭酸水素塩、ギ酸塩および/または酢酸塩であることが好ましい。この方法は、不純物相を形成するため、あまり好ましくない。
3)水または水および共溶媒の混合物中の遷移金属イオン前駆体の溶液を形成する;水または水および共溶媒の混合物中において水酸化リチウムおよびリン酸を組み合わせる;次いで、遷移金属イオン前駆体の溶液に、水酸化リチウム/リン酸溶液を添加する。この場合における、遷移金属イオン前駆体は、炭酸塩、炭酸水素塩、ギ酸塩および/または酢酸塩であることが好ましい。
4)水または水および共溶媒の混合物中の、リン酸二水素鉄(II)、リン酸水素鉄(II)および/またはリン酸鉄(II)の第一の溶液を形成する。このことは、例えば、リン酸中に金属鉄を溶解するステップによって行うことができる。別個に、水または水/共溶媒混合物中の炭酸コバルト(II)、ギ酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、炭酸マンガン(II)、炭酸水素マンガン(II)、ギ酸マンガン(II)および酢酸マンガン(II)の1種もしくは複数の第二の溶液を形成する。第二の溶液に、水酸化リチウムまたは、水もしくは水/共溶媒混合物中の水酸化リチウムの溶液を添加する。第一および第二の溶液を組み合わせる。
5)水または水および共溶媒の混合物中の、リン酸二水素鉄(II)、リン酸水素鉄(II)および/またはリン酸鉄(II)の第一の溶液を形成する。このことは、例えば、リン酸中に金属鉄を溶解するステップによって行うことができる。水酸化リチウムまたは、水もしくは水/共溶媒混合物中の水酸化リチウムの溶液を添加する。水または水/共溶媒混合物中の炭酸コバルト(II)、ギ酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、炭酸マンガン(II)、炭酸水素マンガン(II)、ギ酸マンガン(II)および酢酸マンガン(II)の1種もしくは複数の第二の溶液を形成する。第一および第二の溶液を組み合わせる。
ステップa)は、他の出発材料の添加順序を使用して、行うことができる。
ステップa)は、100℃未満の任意の温度で行うことができる。好ましい温度は15℃〜95℃であり、またより好ましい温度は20〜90℃である。特に好ましい温度は60〜90℃である。
ステップa)は、撹拌しながら、前駆体を完全に混合するまで、およびステップa)が実行されると、沈殿し始めうるいずれかの固体材料を少なくとも一部懸濁するまで行われることが好ましい。
ステップb)において、ステップ(a)から得られる混合物が、次いで120℃までの温度で加熱されて、炭酸、ギ酸、酢酸、またはそれらの炭素含有分解生成物が反応混合物から選択的に除去される。このステップの間の温度は共溶媒の沸騰温度未満であり、そのため本質的に全ての共溶媒が、この加熱ステップb)の間混合物中に残る。しかし、炭酸、ギ酸、酢酸、およびそれらの炭素含有分解生成物は、このステップの間還流されず、そのため反応混合物から除去される。最も典型的には、これらの材料は、蒸気流として頭上に排出される。いくつかの場合、蒸気流は、所望される場合凝縮させて、これらの材料をこの工程に再循環させるため、または他の用途のため回収することができる。
炭酸、ギ酸、酢酸、および/またはそれらの炭素含有分解生成物が除去されるという条件で、反応混合物から取り出される蒸気の冷却がステップb)の間にいくらか行われて、ステップb)の間に蒸発した共溶媒が凝縮および戻されうる。炭酸はもちろん、水溶液の外部に存在せず、こうして主に二酸化炭素として除去されるであろう。同様に、ギ酸は分解され、二酸化炭素として除去される可能性があるが、ギ酸の一部もしくは全部を、ギ酸として除去できる。
水の一部もしくは全部が、典型的にはステップb)の間に除去されるであろう。ステップb)の間に蒸発する水を凝縮させる必要はないが、さもなければ、このような除去水は反応混合物に戻される。
ステップb)の間、除去される生成物またはそれらの共沸物の沸騰温度に対応するある温度で、温度がプラトー(安定状態)になる可能性がある。さらに、反応混合物から水が除去されるにつれ、100〜120℃の範囲にある温度で温度がプラトーに達する可能性がある。一般に、ステップb)の間過熱を避けること、すなわち、反応混合物の温度を、その最低沸点成分(または最低沸点共沸物)の温度に到達させ、このような低沸点成分および/または共沸物が除去されると、すぐ次の最低沸点成分または共沸物の温度まで、その温度を上昇させるなど、炭酸塩、炭酸水素塩、ギ酸、酢酸および/またはそれらの炭素含有分解生成物が除去されるまでそうすることが好ましい。炭酸、ギ酸、酢酸、およびそれらの分解生成物は、典型的には温度が110〜120℃に達する時点までに本質的に完全に揮発される。これらの材料が除去されると直ぐに、還流しない連続した加熱により、水が除去され続けると、反応混合物の温度が上昇するであろう。
ステップb)は、ステップa)から得られた反応混合物から、炭酸、ギ酸、酢酸、またはそれらのそれぞれの分解生成物からの炭素の少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%が除去されるまで継続されることが好ましい。炭酸、ギ酸、酢酸、またはそれらのそれぞれの分解生成物からの炭素の濃度が、ステップb)において、反応混合物の重量に対して僅か0.1重量%以下まで低下することが好ましい。
ステップb)は、大気圧、大気圧未満もしくは大気圧以上で行うことができ、ただし、遭遇する圧力条件のもとで、炭酸、ギ酸、酢酸、またはそれらのそれぞれの炭素含有分解生成物は揮発する。共溶媒が沸騰しないように温度および圧力条件は一緒に選択されることが好ましい。しかし、共溶媒が沸騰する場合、共溶媒蒸気は凝縮させ、反応混合物に戻すことができる。
ステップb)が終われば、反応混合物は共溶媒およびリチウム遷移金属リン酸塩を含有し、このリチウム遷移金属リン酸塩は、本方法のこの時点で一部分だけオリビン構造を有することができる。リチウム遷移金属リン酸塩は、析出物の形態にあるとしてよい。反応混合物は、典型的には、ステップb)の間に除去されない、いくらかの水分を含有し、またいくらかの量の未反応もしくは一部の出発材料を含有するであろう。リチウム遷移金属オリビンは、炭酸、ギ酸、酢酸および/またはそれらのそれぞれの炭素含有分解生成物が除去されれば、共溶媒(およびいくらか残留する水)から取り出すことができる。
しかし、ステップb)が終わった後、ある時間的期間、混合物を継続して加熱することが好ましい。反応混合物をさらに加熱することは、驚くほど高い充/放電容量を示す、所望のオリビン型リチウム遷移金属リン酸塩を発達させるのに有利である。このため、好ましい方法では、ステップ(b)が終わった後、反応混合物は、少なくとも110℃の温度に、少なくとも30分の期間加熱される。このさらなる加熱ステップの間の温度は、共溶媒の沸騰温度まで高くすることができるが、好ましい温度は200℃までであり、より好ましい温度は180℃までである。このさらなる加熱ステップが行われると、水を除去し続けることができ、次に徐々に残留液体の沸騰温度を上昇させる。さらなる加熱ステップは、還流もしくは一部還流条件下で行われて、ステップb)が終わった後残留する水分の全てもしくは一部を捕捉することができる。このさらなる加熱ステップは、24時間以上まで継続できるが、より好ましい時間は6時間まで、4時間まで、または2時間までである。
本方法が完結すると、生成物リチウム遷移金属オリビン粒子は、濾過、遠心分離などの任意の好都合な固液分離方法を使用して、共溶媒から分離することができる。分離された固形分は、乾燥されて、残留水および共溶媒を除去することができる。この乾燥は、高温(50〜250℃など)で行うことができ、大気圧よりも低い圧力下で行われるのが好ましい。乾燥ステップの前に、所望される場合、共溶媒、水、水/共溶媒混合物または他の共溶媒用溶媒により、固形分を1回もしくは複数回洗浄できる。
生成物は粒子として形成され、フレーク様、ロッド様または他の形態を有し、また好ましくは100nm以下の粒径を有することができる。
本方法で生成されるリチウム遷移金属オリビンは、種々の型のリチウム電池における電極材料、特に正極材料として有用である。同オリビンは、任意の好都合な方法で、典型的には、それを結合剤とブレンドするステップ、スラリーを形成するステップおよびそれを集電板上に注型するステップによって電極に配合することができる。電極は、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属などの導電性材料の粒子および/または繊維を含有できる。リチウム遷移金属オリビン粒子は、黒鉛、カーボンブラックおよび/または他の導電性炭素と一緒に、例えば、WO2009/127901において記載されるように、ボールミル粉砕方法を使用してナノコンポジットに形成できる。このようなナノコンポジットは、少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも75重量%のリチウム遷移金属オリビン粒子と、30重量%まで、より好ましくは1〜25重量%の炭素とを含有することが好ましい。
本発明の方法で生成されるオリビン型リチウム遷移金属リン酸塩はしばしば、驚くほど高い比容量を示し、これは、オリビン粒子中の遷移金属の特定の選択および割合について、しばしば理論値に近い。比容量は、Maccor 4000電気化学的試験器または同等の電気化学的試験器を使用し、順次、放電レートC/10、1C、5C、10Cおよび最後に0.1Cを使用した電気化学的試験により、25℃において半電池を使用して測定される。本発明に従って生成されたリチウム遷移金属オリビンは、繰返しC/10放電レートについて理論容量の少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも93%さえもの比容量を有することができる。例えば、本発明に従って作製したLi(1−x)Mn0.75Fe0.25PO4オリビンは、例えば、繰返しC/10放電レートで、少なくとも140mAh/g、少なくとも150mAh/g、少なくとも155mAh/g、または少なくとも160mAh/gさえもの比容量示すことができ、これらの値は、およそ170mAh/gの理論値に近い。
このような正極を内蔵するリチウム電池は、任意の適切な設計を有することができる。このような電池は典型的に、正極のほかに、負極、負極および正極の間に配置されたセパレーター、ならびに負極および正極に接触する電解質溶液を備える。電解質溶液には、溶媒およびリチウム塩が含まれる。
適切な負極材料には、例えば、天然もしくは人造黒鉛、炭素化ピッチ、炭素繊維、黒鉛化メソフェーズミクロスフェア、ファーネスブラック、アセチレンブラックおよび種々の他の黒鉛化材料などの炭素質材料が含まれる。適切な炭素質負極およびその構築方法は、例えば、米国特許第7,169,511号において記載されている。他の適切な負極材料には、金属リチウム、リチウム合金、他のリチウム化合物例えばチタン酸リチウムおよびある種の金属酸化物が含まれる。
セパレーターは、好都合なことに非電子伝導性材料である。セパレーターは、作動条件下で電解質溶液または電解質溶液の成分のいずれとも、反応性もしくは可溶性とすべきではない。ポリマー質セパレーターが、一般に適している。セパレーターを形成するのに適したポリマーの例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルスルホンなどが含まれる。
電池電解質溶液は、少なくとも0.1モル/リットル(0.1M)、好ましくは少なくとも0.5モル/リットル(0.5M)、より好ましくは少なくとも0.75モル/リットル(0.75M)、好ましくは3モル/リットル(3.0M)まで、またより好ましくは1.5モル/リットル(1.5M)までのリチウム塩濃度を有する。リチウム塩は、LiAsF6、LiPF6、LiPF4(C2O4)、LiPF2(C2O4)2、LiBF4、LiB(C2O4)2、LiBF2(C2O4)、LiClO4、LiBrO4、LiIO4、LiB(C6H5)4、LiCH3SO3、LiN(SO2C2F5)2およびLiCF3SO3などのリチウム塩を含む、電池使用に適しているいずれともすることができる。電池電解質溶液中の溶媒は、例えば、炭酸エチルなどの環状炭酸アルキレン;炭酸ジエチル、炭酸ジメチルもしくは炭酸メチルエチルなどの炭酸ジアルキル、種々のアルキルエーテル;種々の環状エステル;種々のモノニトリル;グルタロニトリル(glutaronitrile)などのジニトリル;対称性もしくは非対称性スルホン、ならびにそれらの誘導体;炭素原子12個までを有する種々のスルホラン、種々の有機エステルおよびエーテルエステルなどとすることができ、またはそれらを含むことができる。
電池は、二次(充電式)電池が好ましく、二次リチウム電池がより好ましい。このような電池において、放電反応は、電解質溶液への負極からのリチウムイオンの脱リチウム化、および正極中へのリチウムイオンの並流組み込みを含む。充電反応は、逆に、電解質溶液から負極中へのリチウムイオンの組み込みを含む。充電の際に、リチウムイオンは、負極側でインターカレートされ、同時に、正極材料内のリチウムイオンは電解質溶液中に脱インターカレートされる。
本発明に従って作製したリチウム遷移金属オリビン粒子を含む正極を内蔵する電池は、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、航空宇宙ビークルおよび機器、e−バイクなどの工業的用途において使用することができる。本発明の電池はまた、数多くの電気および電子デバイス例えば、数ある中でもコンピューター、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、PDA、MP3および他の音楽プレーヤー、工具、テレビジョン、おもちゃ、ビデオゲームプレーヤー、家電製品、医用デバイス例えばペースメーカーおよび除細動器などを作動させるのにも有用である。
下記の実施例は、本発明を例示するために提供されるが、本発明の範囲を制約することは意図されていない。全ての部および百分率は、特に他に示されない限り重量による。
実施例1:0.25モルの酢酸鉄(II)および0.75モルの酢酸マンガン(II)を水中に溶解する。この溶液に、水約30重量%およびジエチレングリコール70重量%の混合物中の水酸化リチウム1モルの溶液を添加する。得られた反応混合物を100℃に加熱し、10分にわたって水中の85%リン酸溶液1モルを添加する。撹拌した反応混合物を次いで加熱する。約10分に渡って温度を110℃に上げ、その際酢酸が揮発し、次いでさらに1時間の間にわたって119℃に上げ、その際水分および残っている酢酸が除去される。次いで反応混合物を還流に設定し、2時間還流し、その間に温度を約180℃に上げ、その際さらなる水分が失われる。得られた生成物混合物を冷却し、水で洗浄し、濾過し、再び洗浄し、再び濾過する。得られたリチウム鉄マンガンオリビン粒子は、次いで80℃において真空下で乾燥する。X線回折により、純粋なオリビンリン酸リチウム鉄マンガン材料が示される。走査透過顕微鏡法で、これらの粒子が、フレーク様形態を有することが見られる。BET表面積は、31m2/gである。タップ密度は、約0.8g/cm3である。
回収した粒子の一部は、それぞれの場合に、高表面積カーボンブラック(Ketjen EC−600JD)18重量%および水8重量%と一緒に、WO2009/127901において記載される方法でボールミル粉砕される。粉砕は400rpmで2時間行われ、続いて、得られた被覆された粒子は、窒素下において230℃で1晩乾燥される。得られた被覆された粒子は、気相成長した炭素繊維および結合剤と93:2:5の重量比で混合されて、電極を形成する。比容量は、Maccor 4000電気化学的を使用して、順次放電レートC/10、1C、5C、10Cおよび最後に0.1Cを使用し、25℃において半電池を使用して測定される。種々のCレートにおける放電容量は、以下の表1に示した通りである。
実施例2は、リン酸および水酸化リチウムが一緒に混合され(LiH2PO4を形成する)、金属酢酸塩溶液に一緒に添加される点を除いて実施例1と同一の一般的方法で調製される。第二の試料は、酢酸が除去された後、反応混合物が5時間還流される点を除いて同一の方法で作製される。それぞれの場合、X線回折で純粋なオリビン型構造が見られる。前記のように電極が形成されかつ評価され、種々のCレートにおける放電容量は、表1に示した通りである。
表1におけるデータから見ることができるように、本発明の方法により非常に高い放電容量が得られる。
0.845gの金属鉄を氷酢酸3.62g中に溶解させて、酢酸鉄(II)溶液を作製する。10.95gの酢酸マンガン(II)四水和物を脱イオンおよび脱酸素水30g中に溶解する。2つの溶液をブレンドし、200gのジエチレングリコールを添加する。得られた酢酸鉄/マンガン溶液を70℃に加熱する。別個に、6.96gの水中85%リン酸溶液、および水20グラム中の水酸化リチウム1.48gを混合する。この溶液を、酢酸鉄/マンガン溶液に混合し、得られた混合物を撹拌しながら、溶液温度が120℃に到達するまで周囲圧力で加熱する。この加熱ステップの間に酢酸および水を沸騰除去する。得られたリチウム鉄マンガンオリビン粒子のスラリーを、165℃で1〜3時間の期間加熱し、次いで固形分を洗浄し、残った共溶媒から濾過し、前記実施例におけるように乾燥する。このように作製した正極材料についての目標とした組成はLi(1−x)Fe0.25Mn0.75PO4である。この実施例についての放電容量は140mAh/g(最初のC/10放電レート)、136mAh/g(1C)、113mAh/g(5C)、74mAh/g(10C)、および143mAh/g(第2のC/10)である。
0.884gの金属鉄を脱イオンおよび脱酸素水10グラムおよび6.96gのリン酸水溶液中に溶解させ、70〜100℃に加熱する。別個に、11.06gの酢酸マンガン(II)四水和物を脱イオンおよび脱酸素水30gおよびジエチレングリコール200gの混合物中に溶解する。水20グラム中に溶解した水酸化リチウム1.47gを酢酸マンガン溶液と混合する。リン酸鉄溶液を、酢酸マンガン溶液に添加し、得られた混合物を、溶液温度が110℃に到達するまで周囲圧力で加熱する。この加熱ステップの間に酢酸および水を沸騰除去する。次いで、反応混合物を110℃で1時間還流し、次いで125℃で2〜24時間の期間さらに加熱する。リチウムマンガン鉄オリビン粒子を、残った共溶媒から濾過し、また洗浄し、濾過し、先の実施例におけるように乾燥する。このように作製した正極材料についての目標とした組成はLi(1−x)Fe0.25Mn0.75PO4である。この実施例についての放電容量は147mAh/g(最初のC/10放電レート)、139mAh/g(1C)、112mAh/g(5C)、72mAh/g(10C)、および148mAh/g(第2のC/10)である。
1.27gの金属鉄を脱イオンおよび脱酸素水10グラムおよび10.47gのリン酸水溶液中に溶解させ、70〜100℃に加熱する。別個に、16.5gの酢酸マンガン(II)四水和物を、脱イオンおよび脱酸素水30gおよびジエチレングリコール200gの混合物中に溶解する。水30グラムおよびジエチレングリコール10グラムの混合物中に溶解した水酸化リチウム2.25gを酢酸マンガン溶液と混合する。リン酸鉄溶液を、酢酸マンガン溶液に添加し、得られた混合物を、溶液温度が110℃に到達するまで周囲圧力で加熱する。この加熱ステップの間に酢酸および水を沸騰除去する。次いで、反応混合物を110℃で1時間還流し、次いで160℃で2〜24時間の期間さらに加熱する。このように作製した正極材料についての目標とした組成はLi(1−x)Fe0.25Mn0.75PO4である。リチウムマンガン鉄オリビン粒子を、残った共溶媒から濾過し、また洗浄し、濾過し、先の実施例におけるように乾燥する。
0.864gの金属鉄を脱イオンおよび脱酸素水10グラムおよび7.082gのリン酸水溶液中に溶解させ、70〜100℃に加熱する。10gのジエチレングリコールを添加する。別個に、80℃で8.9gのギ酸マンガン(II)一水和物を脱イオンおよび脱酸素水46.5gおよびジエチレングリコール150gの混合物中に溶解する。水20グラムの混合物中に溶解した水酸化リチウム1.55gを、75℃でギ酸マンガン溶液と混合する。約90℃の温度でリン酸鉄溶液を、ギ酸マンガン溶液に添加し、得られた混合物を、周囲圧力および115℃で4時間加熱して、ギ酸および炭素含有ギ酸分解生成物を除去する。このように作製した正極材料についての目標とした組成はLi(1−x)Fe0.2Mn0.8PO4である。リチウムマンガン鉄オリビン粒子を、残った共溶媒から濾過し、また洗浄し、濾過しかつ先の実施例におけるように乾燥する。
0.859gの金属鉄を脱イオンおよび脱酸素水10グラムおよび7.1gのリン酸水溶液中に溶解させ、70〜100℃に加熱する。10gのジエチレングリコールを添加する。別個に、11.135gの酢酸マンガン(II)四水和物を脱イオンおよび脱酸素水30gおよびジメチルスルホキシド160gの混合物中に溶解する。85℃で水酸化リチウム1.464gを酢酸マンガン溶液と混合する。リン酸鉄溶液を、約105℃の温度で酢酸マンガン溶液に添加し、得られた混合物を、周囲圧力および105℃で2時間加熱して、酢酸を除去する。次いで、反応混合物を125℃でさらに1時間加熱する。リチウムマンガン鉄オリビン粒子を、残った共溶媒から濾過し、また洗浄し、濾過しかつ先の実施例におけるように乾燥する。このように作製した正極材料についての目標とした組成はLi(1−x)Fe0.25Mn0.75PO4である。
この実験は、先の実施例よりも大きな反応器内で、より高い撹拌速度で行われる。リチウム遷移金属オリビン粒子は、50nm未満の大きさを有し、ナノロッド形態を示す。これらの粒子は、放電容量152mAh/g(最初のC/10放電レート)、145mAh/g(1C)、106mAh/g(5C)、62mAh/g(10C)、および153mAh/g(第2のC/10)を提供する。
この実験は繰り返され、今度は洗浄ステップを飛ばし、代わりに、高温および大気圧よりも低い圧力で粒子を乾燥して共溶媒を蒸発させる。これらの粒子は、放電容量159mAh/g(最初のC/10放電レート)、155mAh/g(1C)、135mAh/g(5C)、90mAh/g(10C)、および160mAh/g(第2のC/10)を提供する。この実施例では、高放電容量だけでなく、高レート特性が実証されている。
0.038モルの金属鉄を、0.159モルのリン酸を含有する水溶液中に溶解させる。0.121モルの炭酸マンガンを、約100gのジエチレングリコール85重量%および水15重量%の混合物中に溶解する。得られた炭酸マンガン溶液を、さらなる約1000gのジエチレングリコール85%および水15%の混合物と一緒に、鉄/リン酸溶液に添加する。得られた混合物を、窒素下で3時間撹拌し、その間に混合物は濃縮される。
0.159モルの水酸化リチウムを、約200gのジエチレングリコール85%および水15%の混合物中に溶解し、得られた溶液を窒素下で撹拌する。得られた水酸化リチウム溶液を、鉄/リン酸/炭酸マンガン混合物に添加し、加熱せずに20分間撹拌する。この溶液を、加熱マントル内のフラスコに入れ、設定温度260℃まで20分にわたって加熱する。約30分加熱後、溶液温度は115℃に達し、その間に炭酸塩分解生成物が除去される。次いでその温度で混合物を1時間還流させる。還流を中断し、溶液の温度を160℃まで上げ、その際水が沸騰除去される。反応混合物は還流で約90分間加熱され、その間に溶液温度は約180℃まで上昇する。この混合物を撹拌しながら窒素下で冷却する。リチウムマンガン鉄オリビン粒子を、遠心分離により残った溶媒から回収し、80℃で真空下において乾燥する。この材料の目標とした組成はLi(1−x)Fe0.24Mn0.76PO4である。この実施例についての放電容量は145mAh/g(最初のC/10放電レート)、140mAh/g(1C)、118mAh/g(5C)、83mAh/g(10C)、および146mAh/g(第2のC/10)である。
Claims (24)
- リチウム遷移金属オリビン粒子の製造方法であって、
a)少なくとも1種のリチウムイオン供給源と、少なくとも1種の遷移金属イオン供給源と、少なくとも1種のHxPO4イオン(xは、0〜2である。)供給源と、少なくとも1種の、炭酸、炭酸水素、ギ酸および/または酢酸イオン供給源とを含む前駆体材料を、水および水に混和できる液体共溶媒の混合物であり、存在している水および共溶媒の相対的割合による混合物中において組み合わせるステップであり、その液体共溶媒が少なくとも130℃の沸騰温度を有し;リチウムイオン対HxPO4イオンのモル比が0.9:1〜1.2:1であり、またリチウム遷移金属リン酸塩と、炭酸、ギ酸もしくは酢酸の少なくとも1種とが形成されるステップ、
b)得られた混合物を120℃までの温度で加熱して、炭酸、ギ酸、酢酸、および/またはそれらの炭素含有分解生成物を、反応混合物から選択的に除去し、場合によって水の一部もしくは全部を反応混合物から除去し、リチウム遷移金属オリビン粒子を生成させるステップ、ならびに次いで
c)リチウム遷移金属オリビン粒子を、液体共溶媒から分離するステップ
を含む製造方法。 - 前駆体材料が、少なくとも1種のFe(II)イオン供給源、ならびに少なくとも1種の、Co(II)イオン、Mn(II)イオン、またはCo(II)イオンおよびMn(II)イオン両方の供給源を含む、請求項1に記載の方法。
- Fe(II)イオンの供給源が、リン酸鉄(II)、リン酸水素鉄(II)、リン酸二水素鉄(II)、炭酸鉄(II)、炭酸水素鉄(II)、ギ酸鉄(II)および酢酸鉄(II)の1種または複数であり、またCo(II)イオンまたはMn(II)イオンの供給源が、リン酸コバルト(II)、リン酸水素コバルト(II)、リン酸二水素コバルト(II)、炭酸コバルト(II)、ギ酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、リン酸マンガン(II)、リン酸水素マンガン(II)、リン酸二水素マンガン(II)、炭酸マンガン(II)、炭酸水素マンガン(II)、ギ酸マンガン(II)および酢酸マンガン(II)から選択される、請求項2に記載の方法。
- リチウムイオンの供給源が、水酸化リチウム、リン酸水素リチウム、またはこれらの混合物である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- HxPO4イオンの供給源が、リン酸、リン酸水素リチウム、リン酸二水素リチウム、遷移金属リン酸塩、遷移金属リン酸水素塩または遷移金属リン酸二水素塩の1種もしくは複数である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
- 共溶媒が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、分子量約1000までを有する他のポリアルキレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、またはそれらのいずれか2種以上の混合物である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
- 共溶媒が、ジメチルスルホキシド、2−メトキシエタノールまたは2−エトキシエタノールである、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
- ステップa)が、水または水および共溶媒の混合物中の遷移金属イオン前駆体の溶液を形成するステップ;水または水および共溶媒の混合物中の水酸化リチウム溶液を、遷移金属イオン前駆体溶液に添加するステップ;次いで、水または水および共溶媒の混合物中のリン酸溶液を添加するステップによって行われる、請求項1から7のいずれかにに記載の方法。
- 遷移金属イオン前駆体が、炭酸塩、炭酸水素塩、ギ酸塩および/または酢酸塩である、請求項8に記載の方法。
- ステップa)が、水または水および共溶媒の混合物中の遷移金属イオン前駆体の溶液を形成するステップ;水または水および共溶媒の混合物中において水酸化リチウムおよびリン酸を組み合わせるステップ;次いで、水酸化リチウム/リン酸溶液を遷移金属イオン前駆体の溶液に添加するステップによって行われる、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
- 遷移金属イオン前駆体が、炭酸塩、炭酸水素塩、ギ酸塩および/または酢酸塩である、請求項10に記載の方法。
- ステップa)が、水または水および共溶媒の混合物中のリン酸二水素鉄(II)、リン酸水素鉄(II)および/またはリン酸鉄(II)の第一の溶液を形成するステップと、別個に、水または水/共溶媒混合物中の炭酸コバルト(II)、ギ酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、炭酸マンガン(II)、炭酸水素マンガン(II)、ギ酸マンガン(II)および酢酸マンガン(II)の1種または複数の第二の溶液を形成するステップと、第二の溶液に、水酸化リチウムまたは、水もしくは水/共溶媒混合物中の水酸化リチウムの溶液を添加するステップと、第一および第二の溶液を組み合わせるステップとによって行われる、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
- 第一の溶液が、金属鉄をリン酸中に溶解するステップによって調製される、請求項12に記載の方法。
- ステップa)が、水または水および共溶媒の混合物中のリン酸二水素鉄(II)、リン酸水素鉄(II)および/またはリン酸鉄(II)の第一の溶液を形成するステップと、水酸化リチウムまたは、水もしくは水/共溶媒混合物中の水酸化リチウムの溶液を添加するステップと、水または水/共溶媒混合物中の炭酸コバルト(II)、ギ酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、炭酸マンガン(II)、炭酸水素マンガン(II)、ギ酸マンガン(II)および酢酸マンガン(II)の1種または複数の第二の溶液を形成するステップと、第一および第二の溶液を組み合わせるステップとによって行われる、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
- 第一の溶液が、金属鉄をリン酸中に溶解するステップによって調製される、請求項14に記載の方法。
- 反応混合物が、ステップb)の終了後およびステップc)の前に、少なくとも110℃の温度に少なくとも30分の期間加熱される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- ステップa)に導入される、前駆体材料、水および液体共溶媒には、水素、リチウム、および、リチウム遷移金属オリビン生成物の一部を構成する遷移金属イオン以外のカチオンが存在しない、請求項1から16のいずれかに請求項に記載の方法。
- ステップa)に導入される前駆体材料、水および液体共溶媒には、HxPO4、ヒドロキシル、ギ酸、酢酸、炭酸水素および炭酸アニオン以外の無機アニオンが存在しない、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
- リチウム遷移金属オリビン粒子の製造方法であって、
a)少なくとも1種のリチウムイオン供給源と、少なくとも1種の遷移金属イオン供給源と、少なくとも1種のHxPO4イオン(xは、0〜2である。)供給源とを含む前駆体材料を、水および水に混和できる液体共溶媒の混合物であり、存在している水および共溶媒の相対的割合による混合物中において組み合わせるステップであり、その液体共溶媒が少なくとも130℃の沸騰温度を有し;リチウムイオン対HxPO4イオンのモル比が0.9:1〜1.2:1であり、またリチウム遷移金属リン酸塩および反応副生物が形成され、反応副生物が、120℃以下の温度で全て沸騰もしくは分解してガスを形成するステップ、
b)得られた混合物を120℃までの温度で加熱して、その反応副生物を、反応混合物から選択的に除去し、場合によって水の一部もしくは全部を反応混合物から除去し、リチウム遷移金属オリビン粒子を生成させるステップ、ならびに次いで
c)リチウム遷移金属オリビン粒子を、液体共溶媒から分離するステップ
を含む製造方法。 - 請求項1から20のいずれかに記載の方法に従って製造したリチウム遷移金属オリビン粒子。
- 遷移金属が、鉄と、マンガンおよびコバルトの少なくとも1種との混合物である、請求項21に記載のリチウム遷移金属オリビン粒子。
- 第二の放電レートC/10において、理論値の少なくとも90%の比容量を有する、請求項22に記載のリチウム遷移金属オリビン粒子。
- 遷移金属が、モル比25:75における鉄およびマンガンであり、また第二の放電レートC/10において、少なくとも140mAh/gの比容量を有する、請求項23に記載のリチウム遷移金属オリビン粒子。
- 第二の放電レートC/10において、少なくとも150mAh/gの比容量を有する、請求項23に記載のオリビン型リチウム遷移金属リン酸塩。
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