JP5040803B2 - プログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Description
近年における半導体装置の素子サイズの更なる微細化の要請に伴って、リソグラフィー工程で形成するレジストパターンの微細化が求められている。
そのため、フォトマスクのマスクパターンの設計時において、いわゆる光近接効果を考慮した設計が求められる。この場合、レジストパターンの変形を抑止するため、光近接効果によるレジストパターンの変形をシミュレーションにより予め予想し、フォトマスクのマスクパターンの設計に補正を加えることが行われている。高精度なパターン転写を実現するためには、高精度に仕上がりのレジストパターンのサイズを予測することが重要であり、シミュレーション装置であるシミュレータの予測精度向上が必要となっている。
・露光後におきるレジスト膜内の酸拡散の考慮。
・光の波をスカラー量として取り扱うのではなく電磁波として取り扱うベクターモデルへの変更。
・基板上のレジスト膜内で起きる多重干渉の考慮。
・露光光の強度分布及び強度ムラの考慮。
・露光光がフォトマスク及び投影レンズを通過する際に生じる電磁気学的な影響の考慮。
ここで例えば、限りなく厳密化したモデルを用いて光近接効果補正(Optical Proximity Correction:OPC)を行う場合を考えると、現実的な時間で処理を行うためには専用ハードウエアを用意するか、もしくは数千台にも及ぶ演算機が必要となることが予想され、これは望ましくない。
本件では、厳密なシミュレーションを行うことなく、厳密なモデルが持つ特徴を比較的簡単な計算で実現し、実用上問題のない精度でシミュレーションを行う。
図1は、本件のシミュレーション方法で用いる露光装置を模倣したシミュレーションモデルを示す模式図である。
この露光装置の模倣構成は、露光光を出射する光源1、マスクパターンを有するフォトマスク2、投影レンズ群の入口面3a,瞳面3b,出口面3cを有する投影レンズ群3、半導体ウェーハ等を模した被露光面4を備えている。ここで、フォトマスク2では、マスクパターンには例えば光近接効果補正(OPC)が施されている。
I(x,y)=E(x,y)E*(x,y) ・・・(1)
ここで、*は共役を表し、Eは被露光面4上の電場振幅を表す。E(x,y)は以下の式で求まる。
D(fx,fy)=F[M(x,y)] ・・・(3)
ここで、(x,y)は実空間上の座標を、(fx,fy),(sx,sy)は空間周波数上の座標をそれぞれ表す。Fはフーリエ変換を、F-1は逆フーリエ変換をそれぞれ表す。M(x,y)はフォトマスク2の露光光の照射されるマスクパターンの形状を、D(fx,fy)は回折光の振幅を、P(fx,fy)は投影レンズ3bが光を透過させるか否か(0又は1となる)をそれぞれ表す。
E(x,y,sx,sy)
=F-1[D(fx−sx,fy−sy)・P(fx、fy)] ・・・(4)
I(x,y,sx,sy)
=E(x,y,sx,sy)E*(x,y,sx,sy) ・・・(5)
となる。
TCC=f(S,P) ・・・(7)
I(x,y)
=F-1[frequency filter(fx−f'x,fy−f'y)
・I(fx−f'x,fy−f'y) ・・・(6)'
として、高次の高周波成分を弱めるローパスフィルタを周波数フィルタ(frequency filter)として用いることが提案されている。しかしながら、従来のfrequency filterは拡散を模倣したものであって、常に、
frequency filter(fx,fy)=exp(−(fx2+fy2)C1)
の型であり、調整可能なパラメータはいわゆる拡散長に相当するC1のみであった。
frequency filter(fx,fy)=function(fx,fy)
と定義して、多項式を用いることも検討されている。
多項式を用いる場合、frequency filterを十分によく表現するためには、例えば32次等の高次項まで用いる必要があり、パラメータ数が多く実験に適合する多項式の係数を求めることが困難である。また、多項式であるため、得られた係数を見てもそれがどのようなフィルタであり、どのように機能しているかを把握することが難しい。
frequency filter(0)=1
frequency filter(fr)=1+0.1x fr≠0
xは−20≦x≦10を満たす整数、xの係数(ここでは0.1)はステップ値
として、実験との差が最も少なくなるxを探す。次に小さいfr値を持つテーブルを探索する。この操作を繰り返すことにより、全てのテーブル値を求めることができる。全てのテーブル値を求めた後に、その値に対するステップ値を0.1よりも小さく設定して、低次の項から同じ操作を繰り返す。以上の操作を、必要な精度が得られるまで繰り返すことにより、全てのテーブルを求めることが可能である。
なお、空間周波数フィルタは通常、fr=0の時に1とするのが望ましいが、これに限定されるものではない。
また、次数を落として5次の多項式を用いた場合には、図3に示すように破線の折れ線グラフは図2よりは実線の折れ線グラフに近づくが、その曲線形状は実線の折れ線グラフとは異なるものとなる。
以上から、図2及び図3の○印に示すような空間周波数フィルタを表現するには、離散的な複素数のテーブルが最も適していると言える。
D(fx,fy)
=frequency filter mask(fx,fy)・F[M(x,y)] ・・・(3)'
このようにD(fx,fy)を定義することにより、フォトマスクの有する製造誤差や微小開口部の透過率が少なくなる現象を簡易的に表すことができる。
P'(fx,fy)=frequency filter pupil(fx,fy)P(fx,fy)
とし、式(7)を、
TCC=f(S,P') ・・・(7)'
としてTCCを求めることにより、投影レンズ群3を露光光が透過する際の性質を高精度に表すことが可能になる。
以下、上記した本件の基本骨子の内容を踏まえ、本件を適用した好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図4は、本実施形態によるリソグラフィー・シミュレータを模式的に示すブロック図であり、図5は、本実施形態によるリソグラフィー・シミュレーション方法をステップ順に示すフロー図である。一方、図6は、本実施形態によるリソグラフィー・シミュレーション方法の比較例を示すフロー図である。
図4に示すように、11は、フォトマスクのマスクパターンを透過した露光光の回折光Dを算出する回折光算出部であり、具体的には例えば上記した式(3)のD(fx,fy)を算出する。
12は、投影レンズ3bが光を透過させるか否かを表すレンズ透過光算出部であり、具体的には例えば上記した式(2)のP(fx,fy)として、0又は1をとる。
13は、被露光面4における露光光の光強度分布を算出する光強度分布算出部であり、具体的には例えば上記した式(6)のI(x,y)を算出する。
14は、光強度分布算出部13で算出された光強度分布に基づき、マスクパターンが露光転写されてなるレジストパターンの寸法を算出するレジストパターン寸法算出部である。
以下、空間周波数フィルタ21,22,23の適用について、本実施形態によるリソグラフィー・シミュレーション方法の具体例において説明する。
図5に示すように、先ず、例えば図1のシミュレーションモデルにおけるフォトマスク2のマスクパターンが入力される(ステップS1)。
続いて、レンズ透過光算出部12は、空間周波数フィルタ22の適用により、例えばfrequency filter pupil(fx,fy)を用いて、上記した式(7)'のTCC=f(S,P')を算出する(ステップS3)。
続いて、光強度分布算出部13は、空間周波数フィルタ23の適用により、例えばfrequency filter(fx,fy)を用いて、上記した式(6)'のI(x,y) を算出する(ステップS4)。
具体的に、レジストパターン寸法算出部14は例えば、光強度I(x,y)の値がある一定値以上のフォトレジスト部分が感光し現像液に可溶となると考えて、レジストパターンの寸法を算出する。
本実施形態の空間周波数フィルタでは、表現したいフィルタ形状をテーブルの数値(テーブル値)で指定し、テーブル値の指定が無い点については直線補完する方式を用いる。このようにすることで、テーブル値の少ない入力により適切なフィルタ形状を表すことができる。具体的には、上述した手法(段落[0024]の手法)でその値を容易に求めることが可能である。また、所望するフィルタ形状が複雑な場合には、それに応じて指定する数値列の数を増加させることにより、所望のフィルタ形状を容易に表現することが可能である。
この比較例のリソグラフィー・シミュレーション方法では、本実施形態と同様に、マスクパターンを入力するステップS101、回折光を算出するステップS102、レンズ透過光を算出するステップS103、光強度分布を算出するステップS104、及びレジストパターン寸法を算出するステップS105を実行する。このリソグラフィー・シミュレータを用いたシミュレーション方法では、ステップS103及びステップS104において、それぞれ多項式を用いた空間周波数フィルタ101,102が適用される。
図8は、本実施形態の比較例のリソグラフィー・シミュレーション方法による予測精度を示す特性図であり、図9は、本実施形態のリソグラフィー・シミュレーション方法による予測精度を示す特性図である。図8及び図9では、横軸が隣接するレジストパターンの間隔(μm)を、縦軸が、フィッティング誤差(シミュレーションによるレジストパターンの寸法と、実際に形成したレジストパターンの寸法との差分値)をそれぞれ表す。
上述した本実施形態によるリソグラフィー・シミュレータを構成する各構成要素(回折光算出部11、レンズ透過光算出部12、光強度分布算出部13、及びレジストパターン寸法算出部14)等の機能は、コンピュータのRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。同様に、リソグラフィー・シミュレーション方法の各ステップ(図5のステップS1〜S5)等は、コンピュータのRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
前記フォトマスクのマスクパターンを通過した露光光を算出する第1のステップと、
前記投影レンズを通過した露光光を算出する第2のステップと、
前記被露光面に形成される光強度分布を算出する第3のステップと
を含み、
前記第1のステップ、前記第2のステップ及び前記第3のステップのうち、少なくとも1つにおいて、離散的な複素数のテーブルで定義される周波数フィルタを用いて前記算出を行うことを特徴とするシミュレーション方法。
前記フォトマスクのマスクパターンを通過した露光光を算出する第1の算出部と、
前記投影レンズを通過した露光光を算出する第2の算出部と、
前記被露光面に形成される光強度分布を算出する第3の算出部と
を含み、
前記第1の算出部、前記第2の算出部及び前記第3の算出部のうち、少なくとも1つは、離散的な複素数のテーブルで定義される周波数フィルタを用いて前記算出を行うことを特徴とするシミュレーション装置。
前記各ステップは、
前記フォトマスクのマスクパターンを通過した露光光を算出する第1のステップと、
前記投影レンズを通過した露光光を算出する第2のステップと、
前記被露光面に形成される光強度分布を算出する第3のステップと
を含み、
前記第1のステップ、前記第2のステップ及び前記第3のステップのうち、少なくとも1つにおいて、離散的な複素数のテーブルで定義される周波数フィルタを用いて前記算出を行うことを特徴とするプログラム。
前記各ステップは、
前記フォトマスクのマスクパターンを通過した露光光を算出する第1のステップと、
前記投影レンズを通過した露光光を算出する第2のステップと、
前記被露光面に形成される光強度分布を算出する第3のステップと
を含み、
前記第1のステップ、前記第2のステップ及び前記第3のステップのうち、少なくとも1つにおいて、離散的な複素数のテーブルで定義される周波数フィルタを用いて前記算出を実行するプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
2 フォトマスク
3 投影レンズ群
3a,3b,3c 入口面,瞳面,出口面
4 被露光面
11 回折光算出部
12 レンズ透過光算出部
13 光強度分布算出部
14 レジストパターン寸法算出部
21〜23,101,102 空間周波数フィルタ
31 マスクパターン
32 補助パターン
Claims (4)
- 光源、フォトマスク、投影レンズ及び被露光面を有する露光装置のシミュレーションモデルを用いて、前記被露光面における光強度分布を見積もるシミュレーションの各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記各ステップは、
前記フォトマスクのマスクパターンを通過した露光光を算出する第1のステップと、
前記投影レンズを通過した露光光を算出する第2のステップと、
前記被露光面に形成される光強度分布を算出する第3のステップと
を含み、
前記第1のステップ、前記第2のステップ及び前記第3のステップのうち、少なくとも1つにおいて、離散的な複素数のテーブルで定義される周波数フィルタを用いて前記算出を実行することを特徴とするプログラム。 - 前記フォトマスクは、光近接効果補正の施された前記マスクパターンを有することを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
- 前記各ステップは、前記第3のステップの後に、前記マスクパターンが前記被露光面に転写されてなるレジストパターンの寸法を算出する第4のステップを更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のプログラム。
- 光源、フォトマスク、投影レンズ及び被露光面を有する露光装置のシミュレーションモデルを用いて、前記被露光面における光強度分布を見積もるシミュレーションの各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記各ステップは、
前記フォトマスクのマスクパターンを通過した露光光を算出する第1のステップと、
前記投影レンズを通過した露光光を算出する第2のステップと、
前記被露光面に形成される光強度分布を算出する第3のステップと
を含み、
前記第1のステップ、前記第2のステップ及び前記第3のステップのうち、少なくとも1つにおいて、離散的な複素数のテーブルで定義される周波数フィルタを用いて前記算出を実行するプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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